JP2967397B2 - アルコキシアルシンの精製法 - Google Patents

アルコキシアルシンの精製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルコキシアルシンに
含まれる不純物としての塩素化合物を除去するアルコキ
シアルシンの精製法に関する。さらに詳しくは、アルコ
キシアルシンを蒸留精製する際、アルカリ金属アルコキ
シドあるいはアルカリ土類金属アルコキシドを添加、撹
拌し、次いで蒸留することからなるアルコキシアルシン
の精製法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルコキシアルシンは、三酸化二ヒ素と
アルコールとの反応、あるいは三塩化ヒ素とアルコール
とアンモニアとの反応から製造されることはすでに公知
である。
【0003】近年、超LSIの製造工程において、シリ
コンウエハーにヒ素を拡散するためのシリカ系被膜形成
塗布液(例えば特開平3−11624号)や、CVD法
でステップカバレッジの格段に優れた酸化ヒ素−シリカ
ガラス膜(例えば特開平1−286319号)等を作る
ために、塩素や金属不純物を含まない高純度のアルコキ
シアルシンが必要とされている。特に塩素に関しては、
回路の腐食を促進するためその含有量をppmオーダー
以下にすることが求められている。
【0004】しかし、従来からアルコキシアルシンが超
LSIの製造において使用されることがなかったため、
この目的に合う高純度アルコキシアルシンの製造法、精
製法およびアルコキシアルシン中に含まれる微量の塩素
分の定量分析法等に関する報告を見出し得ない状況にあ
る。
【0005】そこで本発明者等は、三塩化ヒ素とアルコ
ールとアンモニアとの反応で合成したアルコキシアルシ
ンを蒸留し、その主留分の不純物としての塩素分を分析
したところ、塩素分が数百ppmと非常に多いことが判
明した。
【0006】分析法は、アルコキシアルシンを加水分解
し、生成したスラリー中の塩素を電位差滴定法により定
量し、金属不純物をICP発光分析法により定量した。
実施例における分析も上記の分析法を用いた。なお、ア
ルコキシアルシン中の塩素化合物は同定はしていない
が、多くはAs(OR)Cl(ORはアルコキシ
基、x+y=3)で存在すると推測され、僅か一部が塩
化アンモニウムや三塩化ヒ素であると考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】三塩化ヒ素とアルコー
ルとアンモニアとの反応でアルコキシアルシンを製造す
る従来の技術では、アルコキシアルシン中に数百ppm
の不純物としての塩素分が含まれることは避けられな
い。また、三酸化二ヒ素とアルコールとの反応で製造さ
れるアルコキシアルシン中に微量の塩素分が含まれた場
合には、蒸留などの従来技術では塩素分をppmオーダ
ー以下に低減することは不可能である。
【0008】本発明の目的は、アルコキシアルシンに含
まれる塩素分をppmオーダー以下にするアルコキシア
ルシンの精製法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、長年、金
属アルコキシドの合成反応について研究を続けてきた。
また、その高純度化の方法についても鋭意研究を続けて
きた。その結果、アルコキシアルシンを蒸留精製する
際、アルカリ金属アルコキシドあるいはアルカリ土類金
属アルコキシドを添加、撹拌し、次いで蒸留すれば、効
率よく塩素分を低減できることを見出し本発明を完成さ
せるに至った。
【0010】すなわち、本発明の特徴は、アルコキシア
ルシンを蒸留精製する際、アルカリ金属アルコキシドあ
るいはアルカリ土類金属アルコキシドを添加、撹拌し、
次いで蒸留することである。
【0011】添加したアルカリ金属分あるいはアルカリ
土類金属分は塩素分と反応して塩化物として液中に残る
が、これら塩化物および未反応のアルカリ金属アルコキ
シド、アルカリ土類金属アルコキシドは不揮発性の化合
物であるため、蒸留によって容易にアルコキシアルシン
から分離することができる。したがって、アルコキシア
ルシンに含まれる塩素分をppmオーダー以下にまで除
去できるのである。
【0012】本発明におけるアルコキシアルシンは、蒸
留できるものであれば何でもよいが、好ましくは、トリ
メトキシアルシン、トリエトキシアルシン、トリプロポ
キシアルシン、トリイソプロポキシアルシン、トリブト
キシアルシン、トリイソブトキシアルシン、トリターシ
ャリーブトキシアルシン、トリセカンダリーブトキシア
ルシンである。
【0013】本発明において用いられるアルカリ金属ア
ルコキシドあるいはアルカリ土類金属アルコキシドは、
ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリ
ウムプロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリ
ウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムプロポ
キシド、カリウムイソプロポキシド、リチウムメトキシ
ド、リチウムエトキシド、リチウムプロポキシド、リチ
ウムイソプロポキシド、マグネシウムメトキシド、マグ
ネシウムエトキシド、マグネシウムプロポキシド、マグ
ネシウムイソプロポキシド、カルシウムメトキシド、カ
ルシウムエトキシド、カルシウムプロポキシド、カルシ
ウムイソプロポキシド、ストロンチウムメトキシド、ス
トロンチウムエトキシド、ストロンチウムプロポキシ
ド、ストロンチウムイソプロポキシド等である。
【0014】上記の化合物は、アルコキシアルシンに含
まれる塩素分の反応当量以上、好ましくは該当量の3〜
5倍量添加すればよい。また、アルコキシアルシン中に
水分が含まれる場合は、これらの化合物が水分と反応し
て消失するので、水分当量以上、好ましくは3〜5倍量
を加算して添加すればよい。
【0015】本発明において、アルカリ金属アルコキシ
ドあるいはアルカリ土類金属アルコキシドの添加は、水
分が入らないように不活性ガス雰囲気中で行い、撹拌し
ながら液温を30℃〜80℃で約1時間保てばよい。
【0016】本発明において用いるアルコキシアルシン
は、三塩化ヒ素とアルコールとアンモニアとの反応生成
物から、副生した塩化アンモニウム結晶を濾過や遠心分
離などの機械的操作で除去する製法により製造されたも
のが好ましい。すなわち、この製法で用いられる三塩化
ヒ素原料は、蒸留で精製することが容易であるため、他
の金属不純物を非常に少なくすることができ、ひいては
アルコキシアルシン中の金属不純物の低減が可能である
ためである。
【0017】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、当然のことであるが、以下の実施例は本発明の一
例を示すものであって、本発明はこの実施例にのみ限定
されるものではない。
【0018】
【実施例1】撹拌機、コンデンサー付きのアルゴン置換
した4つ口フラスコに、脱水したトルエン61と脱水し
たエタノール1733g(37.6モル)を仕込み、撹
拌しながら無水三塩化ヒ素2168g(11.96モ
ル)を添加し、次いでフラスコを冷却しながら、アンモ
ニアガス9001(40.2モル)を6時間かけて吹き
込んだ。この間反応温度は30〜50℃に保った。
【0019】生成物を濾過して、副生した塩化アンモニ
ウム結晶を除き、濾液にナトリウムエトキシド7gを加
え、50℃に加熱撹拌を1時間行った。次いでエタノー
ル、トルエンを常圧留去したのち、100Torrで単
蒸留し、粗トリエトキシアルシンを得た。
【0020】これを精留釜に仕込み、5時間かけて10
0Torrの減圧精留を行い、107℃付近の主留分と
して無色透明の精トリエトキシアルシン2140gを得
た(収率85%)。この精トリエトキシアルシンを分析
したところ、塩素分は1ppm、ナトリウムは1ppm
以下であった。
【0021】
【実施例2】実施例1において用いたナトリウムエトキ
シドの代わりにストロンチウムイソプロポキシド15g
を用いたほかは、実施例1と同様な操作を行い主留分を
得た。その分析値は、塩素分2ppm、ストロンチウム
1ppm以下であった。
【0022】
【比較例】ナトリウムエトキシドを添加しないことのほ
かは、実施例1と同様な操作を行い主留分を得た。その
分析値は、塩素分240ppm、ナトリウム1ppm以
下であった。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、アルコキシアルシンを
蒸留精製する際、アルカリ金属アルコキシドあるいはア
ルカリ土類金属アルコキシドを添加、撹拌し、次いで蒸
留することによって、塩素分を極微量に低減したアルコ
キシアルシンを収率よく得ることができる特徴がある。
比較例のようにアルコキシアルシンにアルカリ金属アル
コキシドあるいはアルカリ土類金属アルコキシドを添加
しないで蒸留すると、塩素分が数百ppmと高く、pp
mオーダーまで精製できない。これに対して、本発明に
よれば実施例からも明かなとおり、塩素分をppmオー
ダー以下にまで精製できる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルコキシアルシンを蒸留精製する際、
    アルカリ金属アルコキシドあるいはアルカリ土類金属ア
    ルコキシドを添加、撹拌し、次いで蒸留することを特徴
    とするアルコキシアルシンの精製法。
  2. 【請求項2】 アルコキシアルシンが、トリメトキシア
    ルシン、トリエトキシアルシン、トリプロポキシアルシ
    ン、トリイソプロポキシアルシン、トリブトキシアルシ
    ン、トリイソブトキシアルシン、トリターシャリーブト
    キシアルシン、トリセカンダリーブトキシアルシンであ
    ることを特徴とする請求項1のアルコキシアルシンの精
    製法。
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