JP2985509B2 - 低周波水中送波器 - Google Patents

低周波水中送波器

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JP2985509B2
JP2985509B2 JP4147028A JP14702892A JP2985509B2 JP 2985509 B2 JP2985509 B2 JP 2985509B2 JP 4147028 A JP4147028 A JP 4147028A JP 14702892 A JP14702892 A JP 14702892A JP 2985509 B2 JP2985509 B2 JP 2985509B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は遠距離ソーナー、海洋資
源探査などに使用される低周波帯でハイパワーの水中送
波器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水中において低周波の超音波は高周波の
それと比較して伝搬損失が少なく、より遠方まで到達す
ることができるために、ソーナー、海洋資源探査、海流
の調査などの分野で低周波の超音波を利用することは数
々の長所がある。従来から水中において強力超音波を放
射する送波器として動電形送波器と圧電形送波器が知ら
れている。動電形送波器は大きな変位がとりうる反面、
発生力が小さいことにより低周波で小型のトランスジュ
ーサを得ることは極めて困難である。また、圧電形送波
器は、電気機械エネルギー変換材料としてジルコンチタ
ン酸鉛系圧電磁器が用いられている。圧電磁器それ自身
は水に比べて約20倍以上も音響インピーダンスが大き
いために発生力は極めて大きいという利点があるものの
音響放射において媒質排除に必要な変位をとることがで
きないという欠点がある。低周波になるに従い単位放射
面積当たりの音響放射インピーダンスが極めて小さくな
ることを考慮すると、低周波で効率の良い音響放射を行
うためには、圧電磁器の変位をより一層拡大させて音響
放射を行う必要がある。
【0003】従来、低周波数帯(3kHz以下)におけ
るハイパワー送波器として、例えばジャーナル・オブ・
アコースティカル・ソサイアティー・オブ・アメリカ
(J.Acoust.Soc.Am.、vol.68、
No.4、pp1046−1052(1980.1
0))に記載されているように、図5に示す楕円形シェ
ルを用いた屈曲伸び送波器が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図5に示した屈曲伸び
送波器は圧電磁器からなるアクティブ柱状体20が長軸
方向に伸び変位をしたときに、楕円シェル21が図中の
矢印で示すように柱状体20の倍数の変位で収縮する一
種の変位拡大機構を有する送波器である。(楕円シェル
の4分の1部分だけ矢印で示す。)このような屈曲伸び
送波器の共振周波数は、アクティブ柱状体20のスチフ
ネスがシェルのそれに比べて相当大きいために、楕円シ
ェル21自身の共振周波数の2倍かそれ以上の値とな
る。即ち、一定寸法を有する楕円シェル21自身の屈曲
伸びモードに関する共振周波数を相当低下させることな
しには、屈曲伸び送波器の低周波小型化は達成されない
わけであり、屈曲伸び送波器においてシェル自身の共振
周波数の一層の低下が望まれている。しかしながら以下
に述べる理由により、この楕円シェル自身の低周波小型
化は極めて困難である。
【0005】この楕円シェルの動作を説明するために、
楕円シェルの長軸をx軸、短軸をy軸に、奥行方向をz
軸に対応させて、楕円シェルの4分の1部分を図6に示
す。楕円シェルの肉厚の中心とx軸とが交わる点を
(a,0)、またy軸と交わる点を(0,b)とする。
即ち楕円シェルの長径をa、短径をbとする。いま、ア
クティブ柱状体20が伸びてP点を+x方向にξだけ変
位させたとき、楕円シェル自身のもつ変位拡大機構によ
り、Q点において−y方向にξの数倍の変位が現れるわ
けで、シェル全体として媒質を引き込むことになる。こ
れに対して、アクティブ柱状体が収縮したときシェル全
体としては媒質を排除する方向に働くわけである。この
場合、楕円シェルをx軸で切った断面はx軸に平行に、
あたかもローラーをはいたかのように、並進変位するだ
けでz軸廻りの回転変位は零である。したがって、z軸
廻りの回転を許さない分だけ、シェルの動きに関する拘
束が大きくなり、シェルの共振周波数が高くなる。屈曲
伸び送波器は、楕円シェル自身の共振周波数が、以上の
ような理由により低下しにくいために低周波小型化は極
めて困難であった。
【0006】一方、楕円シェルの形状を変えた場合、b
/aを大きくしていって円に近づけて行くほど確かにシ
ェル共振周波数は低下する。しかしこの場合、b/aを
大きくするほど周波数低下に比べて変位拡大率が大幅に
減少してしまうために形状を変えて小型化をはかるメリ
ットはなくなる。また、シェルの肉厚を小さくした場合
にも、共振周波数が低下することが認められる。しか
し、この場合、シェルの媒質排除能力が低下するばかり
か、耐水圧特性も著しく劣化するという欠点があった。
【0007】そこでこのような従来のトランスジューサ
の欠点を克服した小型な送波器として図2に示すような
構造を考えることは容易である。図2に示した送波器で
は、主面を窪ませた金属ディスク41に圧電磁器からな
るアクティブ円板体40をはめ込んだ円板状振動体を2
枚用意し、それらをアクティブ円板体40が互いに外表
面側になるようにボルト締め42ではり合わせた構造と
なっている。この送波器の駆動原理としては、アクティ
ブ円板体40が径方向に変位する径ひろがり振動を利用
し、その振動をアクティブ円板体40とそれをはめ込ん
だ金属ディスク41からなる円板状振動体の屈曲振動に
変換することで変位の拡大を図る方式をとる。この送波
器構造では、耐水圧特性を劣化させることなく薄型軽量
化が容易に可能であるという利点をもつ。しかし、金属
ディスクの周辺が固定されているため、低周波化及びハ
イパワー化には限界があり、さらなる低周波化及びハイ
パワー化には改良が必要である。
【0008】本発明は小型軽量でハイパワー特性に優れ
た無指向性の低周波送波器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の送波器は、円形
の圧電磁器を用いたアクティブ円板体と、このアクティ
ブ円板体をはめ込んだディスクとからなる円板状振動体
2個を高強度材料でできたリングを介してアクティブ円
板体が互いに外表面側となるように結合させたことを特
徴とする低周波水中送波器である。
【0010】
【作用】本発明の送波器は上記構造とすることにより従
来技術の問題点を改善している。以下図面に従って説明
する。
【0011】図1は本発明の送波器の一例を示したもの
である。図1の送波器の動作原理について詳細に説明す
る。図1において30は円形の圧電磁器を用いたアクテ
ィブ円板体である。このアクティブ円板体30は厚み方
向に分極されており、その分極方向に沿って電圧を入力
することにより径ひろがり振動が励振されるものであ
る。さらにこのアクティブ円板体は強力接着剤により、
高張力鋼などの機械的強度の大きな材料からできた金属
ディスク31の窪み内部に接着されている。図1では、
このようなアクティブ円板体がはめ込まれた金属ディス
クを2枚用意し、高強度な材料でできたOリング32を
介して端面のバネバンド35により接合されている。さ
らにその外形廻りを保護板33を介して、ウレタン樹脂
34等でモールドされている。
【0012】アクティブ円板体がξ1 だけ径方向に変位
すると、2枚の金属ディスクの接合部分すなわちOリン
グ部分が支持端となって、アクティブ円板体と金属ディ
スク一体の系はξ2 だけ中心軸方向に変位する。このと
き、ξ2 はξ1 に比べ拡大されていてξ2 >ξ1 とな
る。これが繰り返され、アクティブ円板体と金属ディス
ク一体の系は屈曲振動をとることになる。
【0013】本発明の送波器では、2枚の金属ディスク
の間に高強度な材料でできたOリング32を挟み込むこ
とにより金属ディスク周辺部の角度変位をfreeに近
い状態(pin端支持)にすることができ、アクティブ
円板体と金属ディスクとが一体となって振動する方式を
とるので、薄型・軽量化、低周波化及びハイパワー化が
容易に可能である。図3(a)、(b)にOリング32
がある場合とない場合との振動モードを示す(軸対称、
2分の1のモデルで示している。)。なお、図3
(a)、(b)それぞれにおいて実線はモーダル解析に
よる構造変位図を、破線は構造原型図を示し、また
θa 、θb はそれぞれの場合の角度変位を示している。
Oリング32を挿入することにより、アクティブ円板体
と金属ディスク一体の系の屈曲振動は、その支持部がp
in端支持に近い状態で行われることになり、低周波化
が図れる。さらに図3で示されているようにθa >θb
と振動モードの振幅も大きくとれ、すなわち媒質排除量
も多くなるため、大音圧を出すことが可能である。
【0014】本発明の送波器で用いているアクティブ円
板体は引張応力にはやや脆い傾向にあるが、本発明では
図1に示すようにアクティブ円板体30を2枚の金属デ
ィスクの外表面にはめ込み、さらに有限要素法による応
力解析によりアクティブ円板体30の直径を送波器全体
の直径の60〜75%程度に決定することで、静水圧下
でアクティブ円板体30に対し、圧縮応力のみがかかる
ようにすることができる。よって、本発明に基づく低周
波水中送波器は耐水圧性に優れ、深々度(水深500m
程度)での使用が可能である。なお、本発明においてア
クティブ体の外形は簡易性に優れる点では円板が望まし
いが、これに限定されない。例えば、圧電磁器の縦効果
縦振動を積極的に利用するため、図4(a)、(b)に
示すように圧電磁器セグメントを多数、中心から放射状
に配列した構造も有効である。
【0015】図4(a)、(b)を参照して請求項3の
発明について詳細に説明する。図4(a)、(b)にお
いて50はアクティブ体なる圧電磁器セグメント群であ
る。各セグメントは送波器の径方向に分極されており、
さらに隣合うセグメントの分極方向は逆向きとなってい
る。その分極方向に沿って電圧を入力することにより、
縦効果縦振動(33モード)が励振されるものである。
このアクティブセグメント群は強力接着剤により、高張
力鋼などの機械的強度の大きな材料からできた金属ディ
スク51の窪み内部に接着されている。図4(a)、
(b)では、このようなアクティブセグメント群がはめ
込まれた金属ディスクを2枚用意し、高強度な材料でで
きたOリング52を介してバネバンド55により接合さ
れている。さらにその外形廻りを保護板53を介して、
ウレタン樹脂54等でモールドされている。
【0016】本発明の送波器では、変換効率の高い縦効
果縦振動(33モード)を積極的に利用することを特徴
としている。そのため圧電磁器によるアクティブ体部分
は、径方向に分極されたセグメントを中心から放射状に
はり合わせることで形成し、各セグメントごとに径方向
に電圧を入力するようになっている。この際、入力電圧
は消費電力および圧電磁器の電界強度の兼ね合いから、
各セグメントの電極間距離を適当にすることで調整可能
である。また各セグメントには常に圧縮応力がかかるよ
うに、テーパー状にしたスペーサー58を介して送波器
中央部のボルト締め57により圧力補償が施されている
ことも特徴である。
【0017】
【実施例1】本発明の一実施例を図1を参照に説明す
る。図1においてアクティブ円板体30の直径を104
mmφ、厚さ7mm、金属ディスク31の直径を160
mmφ、厚さを厚いところで14mm、薄いところで7
mm、挿入Oリング32の内径を140mmφ、太さ8
mmφ、2枚の振動体のギャップを4mmと設計した。
従って、モールド前の段階で送波器全体の寸法は160
mmφ×32mmとなる。アクティブ円板体30にはジ
ルコンチタン酸鉛系圧電磁器、金属ディスク31にはア
ルミニウム合金A7075−T6、挿入Oリング32に
はマルエージ鋼を適用している。本送波器の空気中での
共振周波数は3125Hzである。アクティブ円板体の
径方向変位に対し、アクティブ円板体と金属ディスク一
体の系の中央部分すなわち送波器の中心軸上では約1
7.1倍の変位が得られる。
【0018】次にこの送波器の水槽中での特性では、音
響放射面から1m離れた点における音圧は2500Hz
において202dBre1μPaの音圧が得られる。ま
た水中でのQ値も5.1程度のかなり低い値を得ること
ができる。指向性については、ほとんど無指向性であ
る。
【0019】
【実施例2】次に図4(a)、(b)を参照して本発明
の実施例を説明する。図4においてアクティブセグメン
ト群50の対角線の長さを180mm、厚さ7mm、金
属ディスク51の直径を200mmφ、厚さを厚いとこ
ろで14mm、薄いところで7mm、挿入リング52の
内径を180mmφ、太さ8mmφ、2枚の振動体ギャ
ップを4mmと設計した。従って、送波器全体の寸法は
約200mmφ×32mmとなる。尚、図1ではアクテ
ィブセグメント群50の外形を八角形で構成している
が、必ずしも八角形に限るわけでなく正多角形であれば
良い。アクティブセグメント群50にはジルコンチタン
酸鉛系圧電磁器、金属ディスク51にはアルミニウム合
金A7075−T6、挿入リング52にはマルエージ鋼
を適用している。本送波器の空気中での共振周波数は2
579Hzである。
【0020】次にこの送波器の水槽での特性について
は、音響放射面から1m離れた点における音圧は、20
00Hzにおいて205dBre1μPaの音圧が得ら
れる。水中でのQ値も5.6程度で、また指向性につい
てはほとんど無指向性である。
【0021】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、小型軽量
で音響放射効率の優れた無指向性のハイパワー低周波送
波器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の送波器の構造例を示す部分断面斜視図
である。
【図2】従来構造を改良した送波器の基本構造の部分断
面斜視図である。
【図3】本発明の送波器の振動モードを示す図である。
【図4】本発明の送波器の他の例を示す断面図及び平面
図である。
【図5】従来の屈曲伸び送波器を示す断面図である。
【図6】従来の屈曲伸び送波器に用いられる楕円シェル
を示す断面図である。
【符号の説明】
20 アクティブ柱状体 21 楕円シェル 30 アクティブ円板体 31 金属ディスク 32 高強度材料Oリング 33 保護板 34 ウレタン樹脂 35 バネバンド 36 ボルト 40 アクティブ円板体 41 金属ディスク 42 ボルト 50 アクティブ円板体 51 金属ディスク 52 高強度材料Oリング 53 保護板 54 ウレタン樹脂 55 バネバンド 56 ボルト 57 圧力補償用ボルト 58 テーパー付きスペーサー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−122400(JP,A) 実開 昭55−74189(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H04R 1/44 330 H04R 17/00 332

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円形の圧電磁器を用いたアクティブ
    円板体と、このアクティブ円板体をはめ込んだディスク
    とからなる円板状振動体2個を高強度材料でできたリン
    グを介してpin端支持にし、アクティブ円板体が互いに
    外表面側となるように結合させたことを特徴とする低周
    波水中送波器。
  2. 【請求項2】 2個の円板状振動体はそれらの外周部に
    おいて結合されている請求項1記載の低周波水中送波
    器。
  3. 【請求項3】 前記振動体について、主面に正多角形状
    に凹部を形成したディスクの該凹部にアクティブ体なる
    圧電磁器セグメントを多数、中心から外周部へ向かって
    放射状に配列し円板状振動体としたことを特徴とする請
    求項1記載の低周波水中送波器。
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