JP2988818B2 - ポリオレフィン系導電性複合繊維 - Google Patents

ポリオレフィン系導電性複合繊維

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、静電気障害が発生し易
い分野用いられるポリオレフィン不織布に適したポリオ
レフィン系の導電性複合繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンなどのポリオレフィンを
素材とする不織布は、耐薬品性,柔軟性,吸油性に優れ
かつ安価であるため、各種表層材,フィルター,油吸着
材などに広く用いられている。しかしながら、該不織布
は本質的に疎水性であるため静電気を生起しやすく、特
に電子機器なカバー材や防塵衣料などに適用される場
合、高い制電性能(帯電防止性能)が要求される。
【0003】一般に、不織布の帯電防止には、炭素繊維
(特開平2−41453号公報)や金属繊維(特開昭6
3−315653号公報)またはカーボンブラックなど
の導電粒子を含有した導電性複合繊維などの導電性繊維
を少量混入する方法が行われている。導電性繊維の不織
布は、通常の不織布構成繊維の綿と導電性繊維の綿を混
綿し、カードしてウェブ化し、これをニードルあるいは
熱及び水流などの方法で交絡処理を施して製造される。
しかし、金属繊維や炭素繊維は、捲縮付与ができず、通
常の合成繊維素材との熱接着性にも劣るため、上述の交
絡処理時、ウェブから脱落し易い。このような理由か
ら、捲縮などの通常の合成繊維と同等の加工ができる導
電性複合繊維は、比較的よく用いられている。また、導
電性複合繊維の中でも、図7に示すような繊維軸方向に
おいて導電成分が繊維表面に露出したもの(導電成分露
出型)は、図6のような導電成分を芯、保護成分を鞘と
した芯鞘型に比べ、コロナ放電性すなわち制電制に優れ
るため、より多く用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
導電成分露出型の導電性複合繊維では、ポリオレフィン
不織布に適応できない場合があった。特に、不織布の構
成繊維同士の接着および交絡、または不織布の模様付け
として行うエンボス,カレンダー加工などの熱的接着加
工の際、ポリオレフィン素材の導電性複合繊維では、保
護成分との接着性の点から導電成分にもポリオレフィン
を用いるため、保護成分と同様に導電成分も溶融変形や
切断を生じ導電性の著しい低下あるいは消失を招くこと
が多い。また、ポリアミド,ポリエステルなどのポリオ
レフィン以外の素材の導電性複合繊維では、ポリオレフ
ィンとの親和性がないため、上述の熱的接着加工を行っ
ても、その後の加工もしくは製品使用中に、不織布中か
ら導電性繊維が抜け落ちることが多い。このように、ポ
リオレフィンとの接着性に富み、導電成分の融点および
軟化点がポリオレフィンのそれより高く、かつ制電性に
優れたポリオレフィン不織布に適した導電性複合繊維
は、未だ得られていないのが現状である。本発明の目的
は、工業生産が容易でポリオレフィン不織布に適したポ
リオレフィン系の導電性複合繊維を提供することにあ
る。
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、導
電粒子を含有するポリアミドまたはポリエステルからな
る導電成分Aと、不飽和カルボン酸またはその誘導体を
グラフト重合した変性ポリオレフィンからなる接着成分
B、および繊維形成性ポリオレフィンからなる保護成分
Cとからなる3成分複合繊維であって、A成分とC成分
の間にB成分が介在し、かつA成分の少なくとも一部が
繊維表面に露出してなることを特徴とする導電性複合繊
維である。
【0005】本発明における導電成分Aは、ポリオレフ
ィンより融点や軟化点が高く、変性ポリオレフィンと接
着させ易い熱可塑性ポリマーと導電性粒子を常法に従っ
て均一に混合したものにより構成される。このような熱
可塑性ポリマーとしては、ナイロン6,ナイロン66,
ナイロン10,ナイロン12などまたはこれらを主成分
とするポリアミド共重合体などのポリアミド、またはポ
リエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレー
ト,ポリエチレンオキシベンゾエートなどまたはこれら
を主成分とするポリエステル共重合体などのポリエステ
ルが挙げられる。これらは、不飽和カルボン酸またはそ
の誘導体をグラフトしたポリオレフィンとの接着が容易
であり好ましい。なかでも、ポリオレフィン不織布の熱
加工時の導電性成分の溶融変形、切断を防ぐ上で、融点
または軟化点が170℃以上、特に200℃以上のもの
が最も好ましい。
【0006】導電粒子には、導電性カーボンブラックや
銀,ニッケル,銅,鉄あるいはこれらの合金などの金属
粉,また硫化銅,よう化銅,硫化亜鉛,硫化カドミウム
などの金属化合物やアンチモン,インジウムをドーピン
グした酸化錫,アルミニウム,インジウム,ゲルマニウ
ム,錫などをドーピングした酸化亜鉛など第2成分(不
純物)を少量、通常50%以下、多くの場合25%以下
ドーピングした導電性金属酸化物粒子が挙げられる。更
に、酸化チタン,酸化亜鉛,酸化マグネシウム,酸化
錫,酸化鉄,酸化珪素,酸化アルミニウムなどの非導電
性無機物粒子の表面に上記金属化合物や導電性金属酸化
物の導電性皮膜を形成した粒子も用いられる。これら導
電粒子の中でも、導電性カーボンブラックやアンチモン
をドーピングした導電性酸化錫およびこれをコーティン
グした酸化チタンは、粒径が小さくて均一な粒子が容易
に得られ、特に好適である。
【0007】導電粒子の導電性は、粉末状(50Kg/
cm2 加圧下)での比抵抗(体積抵抗率)が104 Ωc
m程度以下、特に102 Ωcm程度以下が好ましく、1
01Ωcm程度以下が最も好ましい。実際に102 〜1
0-3Ωcm程度のものが得られ、本発明の目的に好適に
適用することができるが、更に優れた導電性のものは一
層好ましい。また、導電粒子は充分小さい粒径のもので
なくてはならない。平均粒径が1〜2μmのものも使用
不可能ではないが、粗大粒子が核となり、紡糸,延伸時
の糸切れを誘発する場合が多い。このため、通常平均粒
径が1μm以下、特に0.5μm以下、最も好ましくは
0.3μm以下のものを用いる。
【0008】導電粒子のポリアミドまたはポリエステル
への混合率は、混合するポリマーの性質や結晶性また導
電粒子の種類、導電性,粒子形状粒子径などによって異
なるが、多くの場合10〜85重量%程度の範囲内であ
り、特に15〜80重量%が好ましい。10重量%未満
では、導電性が発現しないことが多く。一方、85重量
%を越えると粒子をポリマーに均一に分散することが困
難となり、仮に多大の努力で分散し得ても、ポリマーの
流動性が低下し、紡糸に支障を来すので好ましくない。
導電成分Aの比抵抗は107 Ωcm未満であることが必
要であり、104 Ωcm以下が好ましく、102 Ωcm
以下が特に好ましい。
【0009】本発明の複合繊維の保護成分Cは、ポリエ
チレン,ポリプロピレン,ポリブーテン−1など、およ
びこれらの共重合体のうち溶融紡糸可能であればあらゆ
るポリオレフィンが使用可能である。
【0010】本発明では、導電成分と保護成分との接着
材(接着成分)として変性ポリオレフィンを両性分間に
介在させることが肝要である。変性ポリオレフィンとし
ては、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブテン−1
などのポリオレフィンに不飽和カルボン酸またはその誘
導体をグラフト重合したものが例示される。不飽和カル
ボン酸またはその誘導体としては、アクリル酸,マレイ
ン酸,フマル酸,テトラヒドロフタル酸,イタコン酸,
シロラコン酸,クロトン酸,イソクロトン酸などの不飽
和カルボン酸,またはその誘導体、例えば酸ハライド,
アミド,イミド,無水物,エステルなどが挙げられ、具
体的には、無水マレイン酸,マレイン酸モノメチル,マ
レイン酸ジメチルマレイン酸クロライド,無水シトラコ
ン酸,シトラコン酸クロライドなどが例示される。特
に、不飽和ジカルボン酸またはその無水物が好適であ
る。
【0011】変性ポリオレフィン中に占める不飽和カル
ボン酸またはその誘導体の量(変性量)は、ポリオレフ
ィンに対して通常0.1〜10重量%、好ましくは0.
5〜7重量%、最も好ましくは1〜5重量%である。変
性量が0.1重量%未満では、導電成分を形成するポリ
アミド,ポリエステルとの接着性が悪くなり、紡糸,延
伸の際、導電成分と保護成分の剥離を生じ、製糸が困難
である。一方、変性量が10重量%以上では、熱安定性
が悪くなり、複合紡糸が困難となることが多く好ましく
ない。
【0012】また、導電成分,保護成分および接着成分
には、必要に応じて分散剤(ワックス類,ポリアルキレ
ンオキシド類,各種界面活性剤,有機電解質など)、着
色剤,熱安定剤(酸化防止剤,紫外線吸収剤など)流動
性改善剤その他の添加剤を加えることができる。
【0013】本発明の複合繊維の横断面(輪郭)は円形
でもよく、非円形でもよく特に限定されないが、導電成
分A、接着成分Bおよび保護成分Cの複合形態が重要で
ある。すなわち複合繊維の横断面形状において接着成分
Bは導電成分Aと保護成分Cの間に介在し、かつ繊維軸
方向において導電成分Aの少なくとも一部が繊維表面に
露出していることが肝要である。図1〜図5は本発明に
用いることができる複合構造の例を示す複合繊維の横断
面図である。図においてAは導電成分を、Cは保護成
分、Bは接着成分である。図1,図2は放射型の例、図
3は鍵穴型の例、図4は多重化した鍵穴型の例、図5は
並列(サイドバイサイド)型の例である。導電成分を繊
維表面に露出させることにより制電性能(帯電防止性)
に優れた導電性複合繊維が得られる。また、元来接着し
ない導電成分と保護成分の間に両者と接着する接着成分
を介在させることにより、製糸が可能となる。
【0014】導電成分の複合比率(断面積占有率)につ
いては、導電粒子を多量に混合した導電成分は曳糸性
(紡糸性)や強伸度などに劣る傾向があるため、通常5
0%以下が好ましく、特に30%以下、より好ましくは
20%以下が好適である。接着成分の複合比率は繊維の
単糸繊度により異なるが、繊維横断面での接着成分の厚
みLが、通常0.3μm以上、好ましくは0.5〜5μ
mが好ましい。厚みLが薄過ぎると、厚み斑により導電
成分と保護成分の間に接着成分がない箇所が多くなり、
導電成分と保護成分の剥離を招き易く、製糸化が不安定
となる場合が多い。逆に、厚みLが大きいと、比較的高
価な変性ポリオレフィンの繊維中の構成比率が高くなり
コスト的に不利であり、また、変性ポリオレフィンに繊
維形成能がない場合、製糸できない。
【0015】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。
【0016】
【実施例1】分子量14000のナイロン6に導電性カ
−ボンブラックを35重量%混合分散した導電性コンパ
ウンドをCPIとする。メルトフローレート値(以下、
試験法はASTM D1238)35g/10min、
融点152℃のポリプロピレンに導電性カーボンブラッ
クを35重量%混合分散した導電性コンパウンドをCP
2とする。また、無水マレイン酸を2重量%グラフト重
合したメルトフロ−レ−ト値が17g/10min、融
点163℃の変性ポリプロピレンをAP1とする。分子
量16000のナイロン6をP1とする。メルトフロー
レート値が23g/10min、融点152℃のポリプ
ロピレンをP2とする。CP1,CP2を導電成分A、
AP1を接着成分B、P1,P2を保護成分Cとし、溶
融したこれら3成分または2成分を紡糸口金パック内で
表1に示す複合構造、複合比率に複合し、温度270
℃,径0.25mmのオリフィスから紡出し、冷却オイ
リングしながら700m/minの速度で巻取り170
デニール/24フィラメントの未延伸糸UDY1〜UD
Y6を得た。
【0017】
【表1】
【0018】次に、未延伸糸UDY1〜UDY6を85
℃の延伸ローラー上で2.36倍に延伸し、120℃の
熱プレート上で熱処理して巻取り、72デニール/24
フィラメントの延伸糸DY1〜DY6を得た。DY5
は、捲取糸のコップ内の所々に白化している箇所があっ
た。この繊維を電子顕微鏡で観察したところ、接着成分
の厚みは、0〜約0.1μmで変動しており、白色部分
では導電成分と保護成分との間が剥離していた。一方、
同様にDY1を観察したが、接着成分の厚みは約0.8
μmで安定しており、導電成分と保護成分間は十分接着
していた。また、DY6は未延伸糸ボビンからの糸の引
出し時、導電成分の脱落物が飛散したり、捲取った糸中
に毛羽,タルミが多く、延伸が極めて困難であった。
【0019】次いで、上記延伸糸DY1〜DY4を約1
0万デニールに合糸し、スタッファー型捲縮加工機によ
り約15個/25mmクリンプをかけ、51mm長にカ
ットし、ステープルY1〜Y4を得た。ステープルY1
〜Y4の電気抵抗値は、3.3×107 、2.7×10
7 、5.9×107 、1.4×107 Ω/cmであり、
いずれも良好な導電性能を有していた。ステ−プルY1
〜Y4を別途作成した単糸1.5デニ−ル15個/25
mmクリンプ、51mmカット長のポリプロピレン(メ
ルトフローレート値 23g/10min)ステープル
綿と混率10重量%で混綿、カードし、目付50g/m
2 ウエブを作成、さらにこれらのウエブを温度160℃
のローラー、綿圧30Kg/cmで格子模様(5mm
角)にエンボス加工を施し不織布F1〜F4を作成し
た。これら不織布の温湿度20℃、23%RH条件下で
の表面抵抗率の測定結果を表2に示す。
【0020】
【表2】
【0021】不織布F1の表面抵抗率は2.3×107
Ωで導電性に優れているが、F2〜F4の不織布では、
いずれも1010Ω以上で導電性に劣っていた。不織布F
3は、その表面をネル布で擦ると導電性繊維が数多く抜
けた。また、不織布F2の表面を走査型電子顕微鏡で観
察したところ、導電性複合繊維の導電成分が切断され液
滴状に変形していた。
【0022】
【実施例2】分子量15000、融点257℃のポリエ
チレンテレフタレートに、表面に酸化すずの皮膜15%
を有する酸化チタン粒子に対して1.5%の酸化アンチ
モンを混合焼成して得られた淡灰青色の平均粒径0.2
5μm、比抵抗4.0Ωcmの導電粒子を65重量%混
合、分散させた導電性コンパウンドをCP3とする。C
P3を導電成分A,実施例1のAP1を接着成分B、P
2を保護成分Cとして、複合比率A/B/C=10/1
5/75で図3に示すようなサイドバイサイド型に複合
し、紡糸温度を280℃とした以外は実施例1と同一条
件でステープルY7を作成した。Y7の電気抵抗値は
3.2×107 Ω/cmで良好な導電性を有していた。
Y7を実施例1のポリプロピレン綿に混合率10%で混
綿、カードし、ウェブを作成した。次いでこのウェブを
160℃のローラーで線圧30Kg/cmで格子形状に
エンボス加工し不織布を作成した。この不織布の表面抵
抗率は5.4×108 Ωで導電性に優れていた。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、制電性能に優れ、ポリ
オレフィンとの接着性に富むポリオレフィン系導電性複
合繊維が容易に製造できる。ここで得られる複合繊維
は、通常の合成および天然繊維と同様な取扱いができ、
連続フィラメントまたはステープル状で、捲縮しない状
態または捲縮した状態で、ポリオレフィン素材の不織布
に公知の方法で混合でき、製品への制電性付与が可能と
なる。もちろん、ポリオレフィン以外の他の素材の繊維
製品にも混用でき、繊維製品への混用率は通常0.1〜
5重量%程度、目的によっては5〜100重量%や0.
1重量%未満の混率が適応される場合もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性複合繊維の複合構造の具体例で
ある。
【図2】本発明の導電性複合繊維の複合構造の具体例で
ある。
【図3】本発明の導電性複合繊維の複合構造の具体例で
ある。
【図4】本発明の導電性複合繊維の複合構造の具体例で
ある。
【図5】本発明の導電性複合繊維の複合構造の具体例で
ある。
【図6】本発明の優位性を示すのに用いた2成分導電性
複合繊維の複合構造の比較例である。
【図7】本発明の優位性を示すのに用いた2成分導電性
複合繊維の複合構造の比較例である。
【符号の説明】
A 導電性複合繊維の導電成分 B 導電性複合繊維の導電成分 C 導電性複合繊維の導電成分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−2808(JP,A) 特開 昭57−191324(JP,A) 特開 平6−272113(JP,A) 特開 昭62−21819(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 8/00 - 8/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電粒子を含有する熱可塑性のポリアミ
    ドまたはポリエステルからなる導電成分Aと、不飽和カ
    ルボン酸またはその誘導体をグラフト重合した変性ポリ
    オレフィンからなる接着成分B、および繊維形成ポリオ
    レフィンからなる保護成分Cとからなる3成分系複合繊
    維であって、A成分とC成分の間に厚さ0.3μm以上
    のB成分が介在しかつA成分の少なくとも一部が繊維表
    面に露出してなることを特徴とする導電性複合繊維。
  2. 【請求項2】 B成分の不飽和カルボン酸またはその誘
    導体のグラフト重合量がポリオレフィンに対して0.1
    〜10重量%である請求項1記載の導電性複合繊維。
  3. 【請求項3】 不飽和カルボン酸またはその誘導体が、
    不飽和ジカルボン酸またはその無水物である請求項1記
    載の導電性複合繊維。
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