JP2995661B2 - 多孔質超硬合金の製造方法 - Google Patents

多孔質超硬合金の製造方法

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雅志 山田
栄一 東海林
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セイコーインスツルメンツ株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は多孔質超硬合金の製造方法に関するもので、
その多孔性と耐摩耗性を兼ね備えた特性は多くの分野で
利用される。その一端の例として、摺動部品として含油
軸受、工具材として吸引治具の先端チップ、金型用とし
て樹脂成形等の空気やガスを吐出するなど基幹材料とし
て多くの利用対象がある。
〔発明の概要〕
本発明による多孔質超硬合金の製造方法は、その原料
粉に樹脂等の有機物を添加することなく、さらに加圧成
形することなく、原料粉を造粒し、任意なカーボン型に
振動を加えながら注入し、これを真空炉の仮焼結で形状
を整える。この仮焼結体をセラミック等の仮に載置して
本焼結を施し、結合材のCo又はNiの溶融によって固体化
する工程により通気性のある超硬合金を得るものであ
る。
〔従来の技術〕
粉末治金法による多孔質超硬合金の製造について、従
来から多くの提案がなされているが、その最近の技術と
して、例えば専門誌「粉体および粉末治金」第36巻第2
号(1989年3月、粉体粉末治金協会発行)の(31)〜
(35)頁に記載された文献「ポアを分散させた摺動用超
硬合金の製造とその諸特性」がある。同文献にも示され
るように従来からの製造方法は、WC−Coの合金粉末に樹
脂を添加混合して、これを加圧成形した後、真空焼結し
ていた。この焼結中に揮散する有機物の作用により良好
なポアの分散を得ている。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記した従来の製造方法では、樹脂等の有機物を添加
した原料粉を焼結前に加圧成形している。この方式は、
焼結時に有機物が揮散することにより、その部分にポア
ができるもので、そのために焼結炉の汚染があり、かつ
超硬材として耐脆性を確保するためには、加圧成形によ
り合金間の均一な結合を得て極部的な欠陥をなくすこと
が不可欠であった。
本発明は上記の必須要件を適用せず、新規な発想に基
づいた製造方法を提供するものである。すなわち、有機
物を添加することなく、原料粉を造粒したものをそのま
まカーボン型に入れ、加圧することなく焼結処理するこ
とにより問題を解決するものである。
〔課題を解決するための手段〕
上記問題を解決するために、本発明の製造方法は、WC
を主成分とし、結合成分としてNi又はCoと、特性改善用
成分よりなる原料粉を造粒してカーボン型に振動を加え
ながら注入し、これを仮焼結する工程を施す。次にカー
ボン型から取り出した仮焼結体を前記した仮焼結よりも
高い温度で本焼結の工程を施すことにより課題を解決す
るものである。
〔作用〕
本発明による多孔質超硬合金の製造方法の特徴点は3
点あり、その作用する事象を説明する。その第1点は、
有機物を添加しなくても均一なポアを得ることで、これ
は造粒された各粒子の表面が接触し、そこにできる空隙
を最終的な焼結体においてポアの形成に導く技術であ
る。
その第2点は、圧縮の工程を適用しないことで、これ
は、上述した各粒子が均一に分散されるとともに、その
表面同士の接触が多点で、かつ均等な接触圧となるよう
にしている。これは原料粒をカーボン型に注入すると
き、あるいは注入した後に振動等の機械的運動エネルギ
ーを加えることによって実現できる。
次に第3点は、上述した加圧をしない注型状態で、一
時的な仮形状を形成するための仮焼結と、次にこれを本
焼結して本格的な超硬材とする2回の焼結工程を適用す
ることである。
以上3点よりなる本発明のうち第1点と第2点の特徴
は、従来からの技術思想を基本的に覆す新規な発想から
なるものである。すなわち、多孔質超硬合金の製造にお
いて、超硬合金に不可欠な脆性対策は重要な課題であ
り、その割れや欠けは金属組織の中の欠陥部から誘発す
ると考えられている。従来この欠陥部をなくすために、
加圧をして全体の密度を均一化し、焼結して無欠陥組織
にしていた。
これに対し本発明は、金属組織の全体を欠陥構造にし
たもので、これにより衝撃や応力は全体に均一に加わ
り、応力集中をさけ、割れや欠けの発生を防止するとと
もに、その欠陥構造の隙間はポアとして通気性の作用を
呈するものである。
〔実施例〕
本発明の一つの実施例を工程順序に沿って説明する。
まず、原料粉の主成分としてWCと結合材として約13%Co
を転動造粒により平均粒径150μmに造粒し、必要なら
ばふるい整粒する。この原料粒(以下単に粒と記す)を
任意な形状のカーボン材よりなる容器の成形型に注入す
る。この注入に際し、成形型に振動を加えながら注入す
ることが好ましいが、注入後に振動を加えてもよい。こ
の加振エネルギーの制御は交流の商用電源を利用し、そ
の強度は粒が破壊しないことが上限で、各粒が均一な密
度に分布することが下限の条件である。
次に、この注形したものを真空炉で仮焼結する。その
条件は2×10-2Torr程度の真空度2時間で500℃まで温
度を上げ、続いて2時間で1160℃まで温度を上げ約30分
間の仮焼結を行い、炉冷をして取り出す。この仮焼結温
度で管理されるべき温度領域は+20℃で型のカーボン材
が粒に反応し、粒の組成中に遊離炭素化が生じたり、離
型性が悪くなる。また、−20℃と低い場合は、各粒同士
の表面の接触に結合力としての繋がりが発生せず、離型
したときに崩れやすくなる。この仮焼結上がりの構造様
態をSEM写真で第1図に示す。この図に見られる粒の表
面の粉末状の現象は本発明に係わる粒が有機バインダー
を混合していないためになめらかな面とならず、原料粉
が不規則に付着した表面となっている。しかし、この略
毬(いが)状の表面が前述の仮焼結で粒相互の結束の作
用に寄与するものである。
この仮焼結の工程で、カーボン型の中の仮焼結体は、
約5%の収縮を伴い、型との間に離型状態となり、かつ
カーボン材との反応による結着もない。従って、容易に
型から取り出すことができる。しかし粒相互の結着力は
弱いので取り扱いは注意を要する。またこの仮焼結の成
形型としてカーボン材を例示したが、これは任意な形状
に対する加工性と、耐熱性及び経済性などから選択した
もので、これに限定するものではない。
次に、この仮焼結体をセラミック板など耐熱性のある
基台の上に載置し、真空度2×10-2Torrで本焼結する。
その焼結条件は、500℃まで1時間、さらに1250℃まで
1時間、次に37分かけて1370℃に上げ、この温度で1時
間かけて本焼結し、炉冷により終了する。
この本焼結の温度により結合材としてのCoが溶融し、
WCの超硬材が得られる。この焼結例における体積収縮は
約20%であり、多孔質の通気性は約28%であった。上記
実施例の焼結体の表面の構造様態をSEM写真で示したも
のが第2図である。第1図と倍率は同じであるからその
収縮程度は明らかであり、各粒の表面は溶融したCoで融
合し、なめらかとなっている。各粒の融合とその間隙に
できたポアの状態のSEM写真を第3図に示す。同図は上
記実施例による焼結体の断面を研摩し、その面の様態を
示したもので、各粒の溶融接面に境界はなく、均一にポ
アは分布している。ここに述べた実施例の焼結条件は一
つの例であり、例えば焼結温度を高くすれば、第3図に
示される溶融接面は広くなり、それに従って抗折力など
機械的強度は向上する。しかしその反面通気性は低下す
る。これらの特性の選択や制御はこの本焼結の条件設定
により任意性があるとともに、特性を改善するために、
Cr,Ti,Ta等の成分を適宜に添加することは必要に応じて
任意である。
〔発明の効果〕
以上のように本発明の方法によれば、有機物を混入せ
ず、圧縮成形の行程も適用せず、簡素化した工程により
廉価で品質の安定した多孔質超硬合金の素材を得ること
ができ、特に有機バインダーの揮散に伴う焼結炉の汚染
による品質低下や作業管理がなく、生産技術的に顕著な
効果を示すものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による仮焼結の粒子構造を示す顕微鏡写
真。第2図,第3図は本発明による本焼結の粒子構造を
示す顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22F 5/00 C22C 1/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】WCを主成分とし、結合成分としてNi又はCo
    を配合した原料粉を造粒し原料粒を形成し、容器となる
    型に振動を加えながら前記原料粒を入れて仮焼結する工
    程と、該仮焼結の工程を経た仮焼結体を前記仮焼結温度
    より高い温度で本焼結する工程よりなることを特徴とす
    る多孔質超硬合金の製造方法。
  2. 【請求項2】WCを主成分とし、結合成分としてNi又はCo
    を配合した原料粉を造粒し、容器となる型に入れた後、
    前記容器を振動し、仮焼結する工程と、該仮焼結の工程
    を経た仮焼結体を前記仮焼結温度より高い温度で本焼結
    する工程よりなることを特徴とする多孔質超硬合金の製
    造方法。
  3. 【請求項3】前記原料粉に特性改善成分としてCr、Ti、
    Taの1種又は2種以上を添加する請求項1または2記載
    の多孔質超硬合金の製造方法。
  4. 【請求項4】前記造粒が転動造粒である請求項1乃至3
    いずれかに記載の多孔質超硬合金の製造方法。
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