JP3055852B2 - 碍子の組立方法、同組立方法に使用するセメントモルタル、および同セメントモルタルの調製方法 - Google Patents

碍子の組立方法、同組立方法に使用するセメントモルタル、および同セメントモルタルの調製方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は碍子の組立方法、同組立
方法に使用するセメントモルタル、及び同セメントモル
タルの調製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、セメントモルタルは外壁、床等
の塗装材、煉瓦、石材等の接合材、電気絶縁材料からな
る碍子本体に対するキャップ、ピン等の接合材として使
用されるもので、通常セメント、骨材および水を混練
し、または必要により急結剤、減水剤等の添加剤を上記
した3者に添加して混練して調製される。また、セメン
トモルタルは塗布、充填等使用状態に応じた最適な流動
性を維持するように水の含有量が調整され、通常セメン
トに対する水の重量比(以下水比という)を30%また
はこれ以上に調整されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のセメ
ントモルタルは上記したごとく水比が30%またはこれ
以上であることから余剰水分が多く、硬化して強度を発
現するのに長時間を要する。また、従来のセンメントモ
ルタルの硬化の遅延は上記した余剰水分のみならず混練
手段、すなわち、上記したごとくセメントモルタルの調
製時にセメント、骨材および水を同時に混練するという
手段に起因している。セメントはその特性から大気中の
水分を吸収して単一粒子が凝集した2次粒子を形成して
いるので、かかる状態のセメントを骨材および水と混練
しても水がセメントの単一粒子の周囲に行き渡らず、セ
メント全体の水和反応が均一には発生せずにセメントモ
ルタルの硬化時間が長くなり、またセメントモルタルの
強度が短時間に十分には発現できない。
【0004】このようなセメントモルタルの硬化の遅延
に対処するために、凝結促進剤を添加して硬化を促進す
る手段が採られる場合がある。しかしながら、凝結促進
剤の添加はセメントモルタルの硬化時間の短縮にはさほ
ど大きな効果がなく、また逆に被接合部材の種類、例え
ば被接合部材の一方または両者が金属製である場合には
電食現象が発生して被接合部材が腐食することが考えら
れる。また、セメントモルタルの強度の発現を十分に促
進するには、セメントモルタルの養生時間を長くする必
要があり、経済的に極めて不利である。
【0005】また、被接合部材の接合においては、セメ
ントモルタルが高水分でJISR5201の規格の規定
に基づくフロー試験で得られるフロー値が200前後で
流動性が高いため、一方の被接合部材への充填は容易で
はあるが、他方の被接合部材を充填状態にあるセメント
モルタルによりその挿入状態を保持させようとしても、
セメントモルタルの保持能力だけでは不可能であって、
セメントモルタルが所定の硬度に硬化するまでの間他方
の被接合部材の挿入状態を専用の治具により保持しなけ
ればならず、接合作業が面倒でかつ手間のかかる作業と
なっている。この接合作業においては、セメントモルタ
ル内の気泡を抜くために高周波数で低振幅の振動、例え
ば175Hzで0.2mmの振動が付与される。
【0006】本発明の目的は以上の知見に基づき、電気
絶縁材料からなる碍子本体に金具を接合する碍子の組立
方法において、特定のセメントモルタルを使用すること
により上記各問題を解消するとともに、かかる特定のセ
メントモルタルおよびその調製方法を提供することにあ
る。
【0007】本発明は、電気絶縁材料からなる碍子本体
にセメントモルタルを介して金具を接合する碍子の組立
方法であり、前記セメントモルタルとして、JISR5
201で規定するフロー試験に基づくフロー値が100
〜110である、静止状態では流動性を示さずかつ振動
付与状態で流動化するセメントモルタルを採用し、同セ
メントモルタルを前記碍子本体と前記金具との間に介在
させて前記セメントモルタルに振動を付与して同セメン
トモルタルを流動化させ、次いで前記振動の付与を停止
して前記セメントモルタルの流動状態を消失させて前記
碍子本体と前記金具との相対的な動きを規制し、この規
制状態で前記セメントモルタルを養生手段にて硬化させ
ることを特徴とするものである。
【0008】また、本発明は上記した碍子の組立方法に
使用するセメントモルタルであり、当該セメントモルタ
ルはセメント、骨材および水を混練して調製され、セメ
ントと骨材の重量比(骨材比)が100/25、セメン
トに対する水の重量比(水比)が14〜18%であるこ
とを特徴とするものである。
【0009】さらにまた、本発明は当該セメントモルタ
ルの調製方法であり、セメント、骨材および水を混練す
に先立ってセメントおよび骨材を予備混合し、次いで
当該混合物に水を添加して混練することを特徴とするも
のである。
【0010】
【発明の作用・効果】本発明に係る碍子の組立方法にお
いては、セメントモルタルとして、JISR5201で
規定するフロー試験に基づくフロー値が100〜110
である、静止状態では流動性を示さずかつ振動付与状態
で流動化するセメントモルタルを採用しているため、セ
メントモルタル碍子本体と金具との間への充填性
るが、充填時にはセメントモルタルに振動を付与して流
動化現象を生じさせているので、セメントモルタルは碍
子本体と金具との間に迅速かつ確実に細密充填すること
ができて、これら両者間の接合強度の向上を図ることが
できるとともに、同セメントモルタルは振動を停止させ
た充填状態では流動状態を消失して碍子本体に対する金
具の保持性が高いため、金具を専用の保持治具で保持す
ることなくその嵌合状態を保持し得、セメントモルタ
ルを養生する際に保持治具を使用する必要がない。
【0011】また、本発明に係るセメントモルタルにお
いては、セメントと骨材の重量比(骨材比)が100/
25であって、セメントに対する水の重量比(水比)が
14〜18%であるため、水比が30%またはこれ以上
という従来のセメントモルタルに比較して余剰水分が少
なく、硬化時間および強度の発現時間の短縮を図ること
ができる。また、当該セメントモルタルにおいてはフロ
ー値が低くて水比が高い従来のセメントモルタルに比較
して碍子本体と金具との間への充填性が劣るが、振動を
付与されると流動化現象を生じて充填性を高めるととも
に、振動の付与を停止した後には金具に対する保持性を
発揮する。従って、当該セメントモルタルを上記した碍
子の組立方法で採用すれば、セメントモルタルの養生に
際しての金具を保持するための保持治具の使用を廃止す
ることができるとともに養生時間の短縮を図ることがで
き、かつ碍子本体と金具間の接合強度を一層向上させる
ことができる。また、当該セメントモルタルは余剰水分
が低いことにより、硬化した状態では緻密な充填状態と
なり、これによっても強度の向上を図ることができる。
【0012】また、本発明に係るセメントモルタルの調
製方法によれば、大気中の水分を吸湿して凝集し2次粒
子となって活性度が失われたセメントを、混練に先立っ
て同セメントに骨材のみを添加して予備混合する手段を
採用しているため、この予備混合によりセメント粒子を
高分散状態にして粒子表面の活性化を図ることができ
る。かかる状態の混合物に水を添加して混練すれば、水
が単一のセメント粒子の周囲に十分に行き渡ってセメン
ト全体の水和反応が均一に発生し、余剰水分が低いこと
とあいまってセメントモルタルの硬化時間および強度の
発現時間を一層短縮することができる。
【0013】
【実施例】
(実験例1)本実験においては、セメントとして早強ポ
ルトランドセメント、骨材として珪砂、減水剤としてパ
リック#1またはマイテイ150、凝結剤として塩化カ
ルシウムをそれぞれ採用し、表1に示す本発明に係るセ
メントモルタル(A)と、従来のセメントモルタル
(B)を調製した。調製された各セメントモルタル
(A),(B)について表2に示す条件で充填して養生
(蒸気養生、湯バス養生)して硬化実験を行い、養生終
了直後からの所定経過時間(日数)毎のセメントモルタ
ルの圧縮強度の測定を行った。得られた結果を図1に示
す。
【0014】なお、蒸気養生は温度45〜55℃、湿度
≧95%、時間2hrの条件で、また湯バス養生は温度
35℃、時間24hrの条件で行った。また、混練には
DALTON万能混合撹拌機を使用し、セメントと骨材
の比(骨材比)を重量比で100/25としている。な
お、減水剤であるパリック#1とは藤沢薬品工業株式会
社の商標であってオキシカルボン酸ナトリウムを主要成
分とするものであり、マイテイ150とは花王石鹸株式
会社の商標であってβ−ナフタリンスルホン酸ホルマリ
ン高縮合物を主要成分とするものである。
【0015】これらの結果から、本発明に係る水比およ
びフロー値が低いセメントモルタルにおいては、予備混
合した後に混練することにより調製されるとともに、低
周波数で高振幅の振動を付与することにより細密に充填
され、湯バス養生を採用することなく蒸気養生のみで高
い圧縮強度を得ることができる。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】(実験2)本実験においては、セメントモ
ルタルの混練に先立ってなされるセメントと骨材の予備
混合の時間とセメントモルタルの圧縮強度との関係を検
討した。本実験では骨材比が100/25の配合で0〜
60minの予備混合したものを、水比17%、減水剤
(マイテイ)の添加量1.5%、凝結剤(塩化カルシウ
ム)の添加量1.3%、水添加時の混練時間5min、
その後の減水剤の添加時の混練時間3minとしてフロ
ー値107のセメントモルタルを調製し、同セメントモ
ルタルの充填時に付与する振動の周波数50Hz、振幅
1.2mm、蒸気養生の温度45℃、湿度95%、時間
2hrの条件を採用した。得られた結果を図2のグラフ
に示す。同グラフから明らかなように、圧縮強度は予備
混合の初期において急激に増加するが、その後漸次低下
してほぼ一定となって安定化する。この安定領域は15
min以上であり、予備混合時間は経済的には15mi
nが有利である。
【0019】(実験3)本実験においては、セメントモ
ルタルの水比、混練時間、凝結剤、充填時に付与する振
動の周波数、同振動の振幅、混練時の真空引き等各因子
についての圧縮強度に及ぼす影響を検討した。各実験に
おいては、圧縮強度に対する影響を測定する1つの因子
以外の全ての因子については表3に示す一定の条件を採
用し、1つの因子のみを変更因子として実験したもの
で、この変更因子以外の条件は本発明に包含されるもの
である。得られた結果を図3〜図8に示す。
【0020】
【表3】
【0021】図3は、セメントモルタルにおける水比と
圧縮強度との関係を示すグラフであり、ロツトによるバ
ラツキはあるもののセメントモルタルにおいては水比が
15.5〜16.5%の点で圧縮強度が最高となり、こ
の水比を外れると圧縮強度は急激に低下する結果を得
た。しかしながら、初期の圧縮強度は600kg/cm
2以上が目標とされていて水比14〜18でもこの値を
満足しているが、好ましくは15.5〜16.5であ
る。なお、セメントモルタルの水比と減水剤(マイテ
イ)の添加量とは、混練を考慮すれば密接に関係するも
のであり、減水剤の添加量を同図の()内に示す値に設
定している。
【0022】図4は、セメントモルタルの混練時間と圧
縮強度との関係を示すグラフであり、混練時間が長い程
圧縮強度が増加する傾向がある。混練時間は圧縮強度を
考慮すれば、最低限15minである。図5は、セメン
トモルタルへの凝結剤(塩化カルシウム)の添加量と圧
縮強度との関係を示すグラフである。本発明に係るセメ
ントモルタルにおいては、凝結剤の添加量に応じて圧縮
強度が著しく低下するもので、凝結剤を添加しないセメ
ントモルタルの圧縮強度が最高である。従って、本発明
のセメントモルタルにおいては、凝結剤の添加は全く不
要である。
【0023】図6はセメントモルタルの容器内への充填
時に付与する振動の周波数と圧縮強度との関係、図7は
同振動の振幅と圧縮強度との関係を示すグラフである。
圧縮強度は付与する振動の周波数が50Hzにおいて最
高の値となり、また振幅が1.2mmにおいて最高の値
となる。従って、本発明に係るセメントモルタルの充填
時には、周波数が50Hz前後で振幅が1.2mm前後
の振動を付与することが好ましい。このような振動は従
来採用されている振動に比較して低周波数で高振幅であ
る。図8は、セメントモルタルの混練時の真空引きの有
無と圧縮強度との関係を示すグラフであり、圧縮強度は
真空引きを採用した場合には極めて高い。従って、セメ
ントモルタルの充填時には真空引きを採用することが好
ましい。
【0024】(実験4)本実験においては、図9に示す
懸垂碍子10の組立用に本発明に係るセメントモルタル
を使用した。同図は当該懸垂碍子10を構成する電気絶
縁部材からなる碍子本体11に対して金具であるピン1
2とキャップ13を接合する組立工程を示しており、同
組立工程では、先づ同図(a)に示すように、周囲を支
持された碍子本体11内にセメントモルタル14を振動
を付与しつつ充填してピン12を挿入するとともに、受
承部材15にて受承されたキャップ13をセメントモル
タル14を充填した状態で振動を付与しつつ碍子本体1
1の頭部に嵌合(碍子本体挿入)し、同図(b)に示す
状態にあるピン12およびキャツプ13の碍子本体11
に対する接合状態を観察した。得られた結果を使用した
セメントモルタル14の水比およびフロー値とともに表
4に示す。なお、本実験で使用したセメントモルタル
は、骨材比が100/25の配合で15min間予備混
合したものを用い、減水剤(マイテイ)の添加量1.5
%として、水添加時の混練時間15min、その後の減
水剤の添加時の混練時間3minとして調製したもので
ある。
【0025】これらの結果から、セメントモルタル14
の水比およびフロー値を適切に設定することにより、す
なわち水比14〜18%でフロー値100〜110の範
囲に設定することによりセメントモルタル14はピン1
2およびキャツプ13を十分に保持し、その後の養生の
際にはピン12およびキャップ13に対する保持治具の
使用を省略することができる。
【0026】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセメントモルタルと従来のセメン
トモルタルとの養生後の所定時間経過後の圧縮強度の関
係を示すグラフである。
【図2】本発明に係るセメントモルタルにおける予備混
合時間と圧縮強度との関係を示すグラフである。
【図3】同セメントモルタルにおける水比と圧縮強度と
の関係を示すグラフである。
【図4】同セメントモルタルにおける混練時間と圧縮強
度との関係を示すグラフである。
【図5】同セメントモルタルにおける凝結剤の添加量と
圧縮強度との関係を示すグラフである。
【図6】同セメントモルタルの充填時に付与する振動の
周波数と圧縮強度との関係を示すグラフである。
【図7】同振動の振幅と圧縮強度との関係を示すグラフ
である。
【図8】同セメントモルタルの混練時における真空引き
の有無と圧縮強度との関係を示すグラフである。
【図9】碍子本体にピンおよびキャップを接合する碍子
の組立工程の概略図である。
【符号の説明】
11…碍子本体、12…ピン(金具)、13…キャップ
(金具)、14…セメントモルタル。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電気絶縁材料からなる碍子本体にセメント
    モルタルを介して金具を接合する碍子の組立方法であ
    り、前記セメントモルタルとして、JISR5201で
    規定するフロー試験に基づくフロー値が100〜110
    である、静止状態では流動性を示さずかつ振動付与状態
    で流動化するセメントモルタルを採用し、同セメントモ
    ルタルを前記碍子本体と前記金具との間に介在させて前
    記セメントモルタルに振動を付与して同セメントモルタ
    ルを流動化させ、次いで前記振動の付与を停止して前記
    セメントモルタルの流動状態を消失させて前記碍子本体
    と前記金具との相対的な動きを規制し、この規制状態で
    前記セメントモルタルを養生手段にて硬化させることを
    特徴とする碍子の組立方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のセメントモルタルであ
    り、セメント、骨材および水を混練して調製され、セメ
    ントと骨材の重量比(骨材比)が100/25、セメン
    トに対する水の重量比(水比)が14〜18%であるこ
    とを特徴とするセメントモルタル。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載のセメントモルタ
    ルの調製方法であり、セメント、骨材および水を混練す
    に先立ってセメントおよび骨材を予備混合し、次いで
    当該混合物に水を添加して混練することを特徴とするセ
    メントモルタルの調製方法。
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