JP3068183B2 - 熱安定性ポリ塩化ビニル樹脂 - Google Patents

熱安定性ポリ塩化ビニル樹脂

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Description

【発明の詳細な説明】 本出願は、1990年5月11日に出願された一部継続出願
第07/522,280号である。
発明の背景 本発明は、熱安定性ポリビニルハリド樹脂に関する、
特に、本発明は、ポリビニルハリド樹脂、たとえばアリ
ル位置塩素を有さず、そしてこれまで開示されたものよ
り卓越した熱安定性を有するポリ塩化ビニルに関する。
ポリビニルハリドは種々の用途に使用される。これら
の熱可塑性ポリマーは、押出、射出成形、圧縮成形及び
他の熱形成法により有用な製品に加工され得る。一般的
に、これらの方法は、加工助剤と共に樹脂を混合し、樹
脂粒子を融合する温度にその組成物を加熱し、所望する
形状にその組成物を形成し、そして次にその組成物を固
体に冷却することを包含する。ポリマー主鎖における不
飽和及び不安定アリルハリドの存在により、樹脂は、熱
に暴露である場合、脱ハロゲン化水素に対して敏感であ
る。特にポリ塩化ビニルは熱に対して敏感であるので、
それらは明確な融点を示さず、そして形成の間、それら
の融合を促進するために融合剤と共に組合されるべきで
ある。溶融温度で、そのポリマーは劣化し、そして黒く
変色する。そのポリマーは、熱に暴露される場合、アリ
ル位置塩素が活性化され、そしてポリマー主鎖から開放
されるので、劣化する。架橋又は二重結合の成長を引き
起こす主鎖の他の部分と反応する遊離基が残存する。ま
た、遊離塩素は、Cl2を形成するために一緒に、又はHCl
を形成するために開放された水素と反応する。ポリ塩化
ビニルは初め白色であるが、加工の間、熱により損傷を
受けた熱成形製品は、黄色から黒色の範囲の色を有す
る。
熱成形法の間、ポリビニルハリド樹脂を安定化するた
めには、熱安定剤が樹脂に添加される。これらの安定剤
を用いることによって、樹脂は、減じられた程度の劣化
及び脱色を伴って融合され得る。そのような熱安定剤の
例は、有機金属化合物、たとえば脂肪酸の金属、アルカ
リ金属及びアルカリ土類金属塩である。金属は、鉛、バ
リウム、カドミウム、錫、カルシウム及び亜鉛を包含す
る。一般的な有機金属安定剤はジブチル錫ジ−2−エチ
ルヘキサノエートである。その安定剤は不安定アリル位
置塩素と反応することによって機能すると思われる。塩
素は、主鎖上の塩素のための金属及び有機基の置換基と
複合体化する。
不運には、安定剤は、比較的に短期間の安定性のみを
付与する。有機基は、加熱される場合、塩素がPVCにお
けるように排除されるのと同じ機構によりさらに排除さ
れる。さらに、安定剤は環境に対して有害であり、又は
毒性でありさえし、それ自体、樹脂を変色せしめること
ができ、そしてまた、樹脂と不相溶性でもある。金属
は、金属塩化物複合体として樹脂と混合したまま存続す
るので、それは樹脂又は形成された製品から滲出し、又
は移動する。これは成形品の亀裂を引き起し、並びに樹
脂−形成品と接触して存在する他の製品に損傷を引き起
こす。また、安定化されたPVCにおいて、残留金属塩化
物は、高い加工温度でポリマーの劣化に寄与する。その
金属塩化物複合体は、高温でポリマーの架橋及び粘度上
昇に寄与する。この粘度は、化合物が200℃で約25分間
加工される場合に観察される。化合物を加工するのに必
要とされるトルクの量は、粘度が上昇するにつれて劇的
に上昇する。従って、加工費用は上昇する。さらに、主
鎖上に有機基の置換は、ポリ塩化ビニル樹脂の構造を変
え、そしてその性質に影響を及ぼす。従って、安定剤は
熱成形加工の間、ポリ塩化ビニル樹脂を安定化するため
にある一定範囲の温度で効果的であるが、それらはそれ
らの使用を阻止する欠点を有する。
従って、アリル位置塩素を置換することが知られてい
る従来のアルキル錫安定剤添加物は、アリル位置炭素で
アルキル基を置換する。この処理は、安定化処理溶液に
より樹脂を処理することによって行なわれ得る。この方
法においては、樹脂は溶媒に溶解され、そして次にその
処理溶液が添加される。次に樹脂がその溶液から沈殿せ
しめられ、そして回収される。処理溶液の例は、ジメチ
ルホルムアミド中、カリウムアリルキサントゲン酸塩、
ジ(n−ブチル)錫ビス(n−ドデシルメルカプチド)
又はo−ジクロロ−ベンゼン中、ジ(ブチル)錫ジクロ
リドの混合物、及び低級アルカノールとジアルキルアル
ミニウムクロリドとの混合物である。再びこれらの化合
物は、不安定性アリル位置塩素を置換し、そしてその主
鎖上に水素以外の外来性構造体を導入する。たとえばジ
アルキルアルミニウムクロリド及び低級アルカノール処
理において、ジアルキルアルミニウムクロリドは、ポリ
マー主鎖へのアルカノールの有機部分の置換の触媒を担
当する。従って、その有機部分は、エーテル結合を通し
て主鎖に結合される。これは、アリル位置枝分れとして
知られていることをもたらす。それにもかかわらずこの
アリル位置枝分れは、アルキル位置枝分れを有さない−
CH2−構造体に比べて、より不安定な部位である。
従って、ポリビニルハリド製品の多くの使用を考慮す
る場合、卓越した熱安定性を有する樹脂が所望される。
また、安定剤及び有機物処理に関与する欠点の観点か
ら、ビニルハリドポリマー、たとえば正確な1Hプロトン
核磁気共鳴分光法により分析される場合、アリル位置塩
素及びアリル位置枝分れを有さない塩化ビニルポリマー
を生成することが所望される。さらに、アリル位置塩
素、アリル位置枝分れ及び不飽和を有さない塩化ビニル
ポリマーを生成することがまたひじょうに所望される。
発明の要約 本発明は、アリル位置ハリド及びアリル位置枝分れを
有さないポリビニルハリド樹脂に関する。もう1つの態
様において、本発明は、アリル位置ハリド、アリル位置
枝分れ及び不飽和を有さないポリビニルハリド樹脂に関
する。その樹脂は、熱重量分析法及びブラベンダー動的
熱安定性試験により測定される場合、卓越した熱安定性
を有する。
特定の態様において、本発明は、特にその劣化温度以
下の融点を有する塩化ビニルモノマーから調製されるポ
リ塩化ビニル樹脂に関する。その樹脂の劣化温度は、樹
脂が白色から黒色に変色する温度である。好ましくは、
樹脂はそれが白色からカッ色に変色する前、及びより好
ましくは、それが白色から黄色に変色する前、溶融す
る。
もう1つの態様において、本発明は、特に約100℃以
下、好ましくは約80℃以下のガラス転移温度及び約190
℃〜約220℃の間の融点を有する塩化ビニルモノマーか
ら調製される。
さらにもう1つの観点において、本発明は、ポリ塩化
ビニル樹脂の熱安定性を改良するための方法に関する。
この方法は、樹脂に存在するアリル位置塩素の置換のた
めの選択的親和性を有する水素置換性化合物とポリ塩化
ビニル樹脂とを接触することを含んで成る。この化合物
は、NMRにより検出される場合、実質的にすべてのアリ
ル位置及び好ましくは第一塩素を選択的に除去する。本
発明の樹脂は、細管融点試験に基づいて測定される場
合、従来の遊離基開始されたビニルハリド樹脂に比べて
少なくとも約5℃高い熱安定性を有する。その樹脂はま
た、従来の遊離基開始されたポリビニルハリド樹脂の脱
塩酸速度の50%である、加工温度での速度を有する。
もう1つの観点において、本発明は、ポリビニルハリ
ド樹脂からアリル位置塩素を選択的に除去するための方
法を提供する。1つの例として、その方法は、アリル位
置塩素の置換のための選択的親和性を有する水素置換性
化合物とポリ塩化ビニル樹脂とを接触することを含んで
成る。その化合物は、NMRにより検出される場合、実質
的にすべてのアリル位置及び好ましくは第一塩素を樹脂
主鎖から選択的に除去する。
さらにもう1つの観点において、本発明は、本発明の
ポリビニルハリド樹脂から硬質の製品を調製するための
方法を提供する。その方法は、実質的にアリル位置塩素
及びアリル位置枝分れを有さず、又は実質的にアリル位
置塩素、アリル位置枝分れ及び不飽和を有さないポリビ
ニルハリド、好ましくはポリ塩化ビニル樹脂を含んで成
る組成物を溶融し、そして所望する形状に前記溶融され
た組成物を成形し、そして固体製品を得るために前記組
成物を冷却することを含んで成る。最後に、本発明は、
本発明の組成物から形成される製品にも関する。
本発明の樹脂は、熱形成加工において耐変色性であ
り、そして多くの製品を製造するのに有用である。それ
らは、食品包装フィルム、医薬用途、たとえば血液バッ
グ及びIVバッグ、線材及びケーブル用途及び同様のもの
に使用され得る。それらの熱安定性樹脂は、ホットラン
ナー成形機械、押出及び射出成形方法により加工され得
る。また、アリル位置塩素が除去されるので、樹脂は、
アリル位置塩素を含む樹脂に比べてγ線減菌に対して耐
変色性である。本発明の方法は、ポリ塩化ビニル樹脂の
組成物を変性するための柔軟な方法を提供する。その方
法は、少量の塩素をポリマー主鎖から選択的に除去する
ので、種々の塩素含有量を有するポリ塩化ビニルが調製
され得る。
図面の簡単な説明 第1図は、アリル位置塩素及びアリル位置枝分れを有
さない、本発明の例1のポリ塩化ビニル樹脂のNMRスペ
クトルである。
第2図は、アリル位置塩素、アリル位置枝分れ及び不
飽和を有さない、本発明の例4のポリ塩化ビニル樹脂の
NMRスペクトルである。
第3図は、市販のポリ塩化ビニル懸濁液のNMRスペク
トルである。
第4図は、アメリカ特許第3,875,131号に従って調製
され、そしてアリル位置塩素及び不飽和を含む例5のポ
リ塩化ビニル樹脂のNMRスペクトルである。
第5図は、190℃でのHCL発生vs時間の図である。
発明の詳細な記載 ポリ塩化ビニル樹脂はいづれかの方法により調製され
得る。典型的な方法は、塊状、懸濁及びエマルジョン重
合を包含する。遊離基塊状重合方法においては、遊離基
重合開始剤が塩化ビニルモノマーの反応塊状物に添加さ
れ、そしてポリマーが、それがモノマー相から分離する
につれて回収される。塊状方法により実施されるもう1
つの重合アプローチは、触媒として第三アルキルリチウ
ムの使用を包含する。アメリカ特許第3,875,131号は、
そのような方法を開示する。第三アルキルリチウム開始
の重合の使用の利点は、遊離基重合方法により調製され
る樹脂に比べて、重合鎖における不安定アリル位置塩素
のレベルの低下である。懸濁及びエマルジョン重合にお
いては、モノマーが液相に懸濁され、遊離基重合開始剤
が添加され、そしてポリマーが、それが形成するにつれ
て回収される。エマルジョン重合は、エマルジョンサイ
ズのミセル粒子を供給するために界面活性剤の使用を必
要とする。好ましい方法においては、塩化ビニルが、モ
ノマー100重量部当たりテトラヒドロフラン約5〜約100
部の存在下で、約0℃〜約60℃の間の温度で塊状又は懸
濁重合において重合される。得られた樹脂は、本発明の
方法により都合良く改良される良好な初期熱安定性を示
す。
本発明のポリビニルハリドは、ビニルハリドモノマー
のホモポリマー、又はビニルハリド及び共重合可能コモ
ノマーのコポリマーであり得る。ビニルハリドの化学的
性質は類似する。それらの劣化機構は類似し、そして安
定化機構もまた、類似する。本明細書に使用される場
合、本発明の例は、ポリ塩化ビニル樹脂を言及するが、
しかし本発明はポリ塩化ビニル及びポリ弗化ビニルも言
及する。ポリビニルクロリドは、ビニルハリドモノマ
ー、たとえば塩化ビニル又は弗化ビニルを用いて形成さ
れる重合された樹脂を意味し、そしてそれは、使用され
るモノマーに依存して、そのポリマー主鎖上に多くの塩
素又は弗素側基を有する。用語“樹脂”とは、追加の成
分、たとえば可塑剤、安定剤、等を有さないポリマー又
はコポリマーのみを意味する。コモノマーは、塩化ビニ
ルモノマーのビニル基と共重合できるが、しかし水素置
換性化合物に対して非反応性であるモノマーである。こ
れらのコモノマーは、重合できるエチレン系不飽和基を
有することができる。適切なコモノマーは、スチレン誘
導体、たとえばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、
クロロスチレン;ビニルナフタレン;オレフィン及びジ
オレフィン、たとえばエチレン、プロピレン、ブタジエ
ン、イソプレン、クロロプレン及び同様のもの;ビニリ
デンハリド、たとえば塩化ビニリデン及び同様のもの;
及び前記モノマータイプのいづれかとそれらと共重合で
きる他のモノマーとの混合物を包含する。好ましくは、
50重量%以下、及びより好ましくは、25重量%以下のコ
モノマーが使用される。最っとも好ましくは、ポリ塩化
ビニル樹脂は、独立的に塩化ビニルモノマーから調製さ
れ、すなわちそれは塩化ビニルのホモポリマーである。
ポリ塩化ビニル樹脂は、いづれの分子量でも有すること
ができるが、しかし低分子量樹脂が一般的に、高分子量
樹脂よりも熱形成工程において処理が容易である。ま
た、低分子量樹脂は、高分子量樹脂よりも溶媒により容
易に溶解し、そしてその結果、水素置換性化合物により
より容易に処理され得る。樹脂の重量平均分子量は、約
20,000〜約200,000の範囲であり得る。
ポリ塩化ビニル樹脂は、アリル位置ハリドの置換のた
めの選択的親和性を有する水素置換性化合物と接触され
る。好ましくは、前記化合物はまた、第一ハリドのため
の選択的親和性を有する。“水素置換性”とは、化合物
がポリマー主鎖上のハロゲンと水素とを置換することを
意味する。アリル位置ハロゲンの置換のための選択的親
和性“及び第一ハロゲン”とは、化合物がポリマー主鎖
上のアリル位置及び好ましくは、また第一ハロゲン(但
し他のハロゲンではない)に対して選択的であることを
意味する。従って、ポリマーは、それがビニルハリドモ
ノマーから形成され、そして主鎖に多くのハロゲン側基
を含むポリビニルハリドである。本発明のポリビニルハ
リド樹脂は、従来のポリビニルハリド樹脂よりも約2〜
3重量%低いハロゲン含有率を有する。この後、本発明
は、ポリ塩化ビニルポリマーに関して記載されるであろ
う。
本発明に使用するための適切な水素置換性化合物は、
水素化物含有化合物である。好ましい化合物は、有機水
素化物化合物である。有機水素化物化合物は、水素化物
部分及び有機部分から構成される。水素化物部分は、樹
脂主鎖上にアリル位置又は第一塩素と水素とを置換する
能力を有する。好ましくは、水素化物部分は、炭素−炭
素二重結合のための親和性を有する無機元素を含む。
有機部分は、有機相に水素化物を安定化し、又は溶解
できる。また、有機部分は、水素化部分の塩基性を低
め、そして従ってアリル位置及び第一塩素の置換のため
の水素化物の選択性の改良をもたらす。有機部分は有機
溶媒又は有機金属塩であり得る。
好ましくは、有機金属塩の金属は、アルカリ土類及び
アルカリ金属、たとえばリチウム、カルシウム、ナトリ
ウム、及び同様のものであり、そしてリチウムが最っと
も好ましい。有機金属塩の好ましい有機基は、直鎖又は
枝分れ鎖の短鎖アルキル又はエーテル基である。特に好
ましい有機基は、2〜12個の炭素原子を有する第一及び
第三アルキル又はエーテル基である。特に好ましい基
は、エチル、ブチル、イソブチル、第三ブチル及び同様
のものである。好ましい有機溶媒は、ポリ塩化ビニル樹
脂に対する溶媒であり、特に好ましくは、テトラヒドロ
フランである。
水素化物部分における適切な無機元素の例は、アルカ
リ土類金属、アルカリ金属及び他の一価の無機元素であ
る。好ましい元素は、リチウム、硼素及びアルミニウム
であり、そして硼素が最っとも好ましい。なぜならば、
その水素化物は、他の水素化物よりもアリル位置及び第
一塩素に対する高い程度の選択性を示すからである。
最っとも好ましい水素置換性化合物は、硼素を含む化
合物及び有機金属塩である、それらのひじょうに好まし
い化合物は有機金属塩である。それらの特に好ましい有
機硼水素化物は、リチウムトリ−sec−ブチル硼水素化
物及びリチウムトリエチル硼水素化物である。テトラヒ
ドロフラン中、ボランが、有機溶媒に溶解される無機水
素化物のひじょうに好ましい例である。テトラヒドロフ
ラン中、ボランはアリル位置塩素に対して高い選択性で
あり、そして他の有機硼水素化物塩もまたアリル位置塩
素と共に第一塩素を選択的に除去することができる。最
っとも好ましい有機硼水素化物塩は、リチウムトリエチ
ル硼水素化物である。
リチウムトリ−tert−ブトキシアルミノ水素化物は、
もう1つの有機水素化物化合物の例である。それは好ま
しい有機硼水素化物塩ほど選択的ではないので、比較的
少量のアルミノ水素化物が使用される。
好ましい有機硼水素化物塩は、アルカリ土類金属水素
化物とボランの炭化水素誘導体とを接触することによっ
て調製され得る。好ましい有機硼水素化物塩、たとえば
リチウムトリエチル硼水素化物は、市販されており、そ
してAldrich Chemical Company,Inc.から得られる。ト
リエチルボランは、Aldrich及びMorton Thiokol,Alfa P
roducts Divisionから入手できる。
有機硼水素化物塩の調製の例としては、1当量のトリ
エチルボランが過剰のリチウム水素化物を含むテトラヒ
ドロフランに添加される。その混合物が25℃で24時間撹
拌され、そして次に2〜3時間、還流される。過剰のリ
チウム水素化物が濾過により除去され、そして透明な溶
液が得られる。テトラヒドロフラン中、リチウムトリエ
チル硼水素化物の溶液は、不活性雰囲気下において室温
で安定しているように見える。
ポリ塩化ビニル樹脂からアリル位置及び第一塩素を除
去するためには、樹脂は、アリル位置塩素と水素とを置
換するのに十分な態様で水素置換性化合物と接触せしめ
られる。好ましくは、樹脂は適切な溶媒に溶解され、そ
して次に水素置換性化合物と液体の形で接触せしめられ
る。ポリ塩化ビニル樹脂のための溶媒は、水素置換性化
合物に対して非反応性であるべきである。その樹脂の量
を溶解するのに十分な溶媒の量が使用される。最っとも
好ましくは、樹脂のための溶媒はまた、水素置換性化合
物のための溶媒でもある。従って、溶液の高い相溶性混
合物が調製され得る。添加される水素置換性化合物の量
は、樹脂の熱安定性を改良するために、有効数のアリル
又は第一塩素を除去するのに十分な量である。水素置換
性化合物は異なった選択性を有するので、その量は、使
用される化合物のタイプに従って異なるであろう。たと
えば、有機金属塩及びアルミニウム水素化物化合物が過
剰に使用される場合、すべての塩素側基が除去され得る
が、アリル位置及び第一塩素は除去され得ない。しか
し、有機硼水素化物、たとえばリチウムトリエチル硼水
素化物が樹脂と等モル使用される場合、実質的にすべて
のアリル位置及び第一塩素が選択的に除去される。
樹脂は、アリル位置及び好ましくは第一塩素を除去す
るために十分な時間、及びいづれかの温度で水素置換性
化合物により処理され得る。一般的に、温度が高いほ
ど、反応は早い。しかしながら、この早い反応は低い調
節及び選択性に関与する。アリル位置及び第一塩素の除
去に対するこの方法の選択性は、低い温度で効果的に得
られる。溶媒が、ポリ塩化ビニル樹脂を溶解するために
使用される場合、その温度の上限は、典型的には、溶媒
の還流温度である。その方法は一般的に約80℃以下及び
好ましくは約25℃以下で行なわれる。処理時間は、改良
された熱安定性を有する樹脂を付与するために多量のア
リル位置及び第一塩素を除去するのに十分な時間であ
る。典型的には、この時間は、約2〜約20時間、及び好
ましくは4〜約12時間の範囲である。
いくつかのタイプの樹脂のためには、水素置換性化合
物による処理の前、抽出用溶媒により樹脂を前処理する
ことが好都合である。この前処理方法は、熱に対して高
い感受性の樹脂のためにひじょうに有用である。しかし
ながら、他の樹脂、たとえばテトラヒドロフランの存在
下で低温度で調製された樹脂のためには、この前処理は
ほとんど好都合ではない。その抽出用溶媒は、ポリ塩化
ビニル樹脂から不純物を抽出することにおいて有用であ
るものである。
処理が完結した後、ポリ塩化ビニル樹脂又は水素置換
性化合物が回収される。1つの方法においては、アルコ
ール、たとえばメタノールが、いづれか残留する水素置
換性化合物と複合体化するために樹脂及び水素置換性化
合物の混合物に添加される。次に、この混合物は、ポリ
塩化ビニル樹脂を沈殿せしめるために多量のアルコール
に添加され得る。次に前記樹脂は、この沈殿物を濾過す
ることによって回収される。
本発明のポリ塩化ビニル樹脂は、水素置換性化合物に
よる処理の前のポリ塩化ビニル樹脂に比べて改良された
熱安定性を有する。本発明の方法は、いづれのタイプの
ポリ塩化ビニル樹脂の熱安定性でも改良するために使用
され得る。“改良”とは、細管試験において、処理され
た樹脂が前処理された樹脂よりも少なくとも5℃、好ま
しくは少なくとも10℃、より好ましくは少なくとも20℃
及び最っとも好ましくは少なくとも30℃高い温度で変色
することを意味する。用語“前処理された樹脂”とは、
それが水素置換性化合物により処理される前の樹脂を言
及する。細管試験により測定される場合、樹脂のサンプ
ルが融点装置で徐々に加熱された細管に配置され、そし
て次に色及び温度が示される。驚くべきことには、275
℃で、本発明の好ましい樹脂は、樹脂が完全に劣化して
いないことを示す黒色に完全に変わらなかった。樹脂の
熱安定性の改良を示すもう1つの方法においては、樹脂
の脱塩酸化速度の測定である。本発明の処理された樹脂
は、一定時間にわたって少なくとも20モル%以下、好ま
しくは少なくとも40モル%及びより好ましくは少なくと
も50モル%の塩化水素を発生することができる。テトラ
ヒドロフランの存在下で、低温、すなわち60℃以下で重
合される好ましい樹脂に関しては、処理された樹脂は、
脱塩酸化が生じない約20分の誘導時間を有することがで
きる。
本発明の安定化されたポリ塩化ビニル樹脂は、有機金
属熱安定剤の添加又は有機金属化合物による処理により
生じるようなアリル位置枝分れを有さない。本明細書に
使用される場合、用語“アリル位置枝分れ”とは、ポリ
マーが樹脂の主鎖に存在するアリル位置炭素上に枝分れ
鎖を有さないことを意味する。枝分れ基の存在及びタイ
プは、NMRにより決定され得る。
本明細書に使用される場合、用語“アリル位置塩素を
有さない”とは、ポリマーがNMRにより測定される場
合、アリル位置炭素上に置換される塩素を有さないこと
を意味する。“第一塩素を有さない”とは、ポリマーが
第一炭素上に置換される塩素を有さないことを意味す
る。ポリマー上のそれらの塩素の不在は、NMRにより示
され得る。アリル位置塩素のためのピークは、1H(プロ
トン)NMRにおいて5.7〜5.9ppmで示される。第1図に示
されるように、本発明の樹脂は5.7〜5.9ppm範囲でピー
クを示さず、そしてこれは、樹脂がアリル位置塩素を有
さないことを示す。H2NMRの検出できる限界は約0.01重
量%である。従って、本発明の樹脂は、約0.01重量%ま
でのアリル位置塩素を有し、そして“アリル位置塩素を
有さない”と思われる。第一塩素の不在は、前処理され
た樹脂の1H NMRが本発明の樹脂の1H NMRに比較される場
合、ピークのシフトで示される。
本発明の好ましい樹脂は、前処理された樹脂よりも約
2重量%〜3重量%低い塩素分有率を有する。本発明の
好ましいタイプの樹脂は、約20,000〜200,000の重量平
均分子量及び約190℃〜約220℃の融点で約100℃及び好
ましくは約80℃以下、及びより好ましくは約70℃〜約80
℃の範囲のガラス転移温度、Tgを有する。これらの温度
は、前処理されたポリ塩化ビニル樹脂の温度よりも低
い。従って、本発明の樹脂はより容易に加工され、そし
て熱形成用途においてより広く使用され得る。
熱重量分析法により分析される場合、本発明の樹脂
は、前処理された樹脂より少なくとも約5℃及び好まし
くは少なくとも約10℃高い温度で1%の重量損失を示
す。ブラベンダー動的熱安定性試験により分析される場
合、本発明の樹脂は、前処理された樹脂よりも少なくと
も4℃及び好ましくは少なくとも約10℃高い温度で対照
程度に変色する。また、そのブラベンダー試験におい
て、処理された樹脂は、前処理された樹脂よりも少なく
とも約5℃及び好ましくは少なくとも約10℃高い温度で
粘度上昇を示す。
融点に関して、前処理されたポリ塩化ビニル樹脂は、
溶融する前、完全に黒く変わる。これらの樹脂は、溶融
加工される場合、比較的多量の融合剤及び熱安定剤を必
要とする。本発明の処理された樹脂は融点を有するの
で、その樹脂は少量の加工成分、たとえば融合剤、熱安
定剤及び同様のものの添加を伴わないで又はその添加を
伴わないで溶融加工され得る。溶融加工性用途の例は、
押出し及び射出成形製品、カレンダードフィルム及びホ
ットランナー成形を包含する。特性の製品は、線材及び
ケーブルジャケット、医学用バッグ及び食品用ラップ及
び硬質又は半硬質性構造用ハウジングを包含する。
本発明の処理された樹脂は、いづれかの従来のポリ塩
化ビニル用途に使用され得、そしていづれかの従来の配
合成分又はアロイポリマーと共にブレンドされ得る。そ
れらはまた、従来のポリ塩化ビニル反応体により処理さ
れ得る。たとえば、本発明の処理された樹脂は、後−塩
素化され得、ここで追加の塩素が主鎖上に付加される。
これらの追加の塩素の付加により、処理された樹脂のTg
が高められ得る。ポリ塩化ビニルを塩素化するためのい
づかの既知の方法が使用され得る。1つの方法におい
て、ポリ塩化ビニル樹脂が、塩素を含む水に置かれる。
このスラリーが、その樹脂に塩素を付加するために紫外
線により活性化される。従って、改良された熱安定性を
有する塩素化されたポリ塩化ビニル樹脂が調製され得
る。
所望する製品を形成するために、本発明の樹脂は、配
合成分、たとえば加工助剤、滑剤、可塑剤、UV安定剤、
熱安定剤、色素、充填剤及び同様のものと共に組合され
得る。しかしながら、本明細書に示されるように、低量
の熱安定剤が使用され得る。
次の例は、本発明を例示するものであって、本発明を
限定するものではない。
例1 B.F.Goodrich Companyから入手できる市販のポリ塩化
ビニル樹脂、Geon 179を、分散重合法により調製す
る。前記樹脂を、メタノールにより48時間、抽出し、そ
して乾燥せしめる。Geon179のサンプル5gを、約100mlの
無水テトラヒドロフランに添加する。その混合物を窒素
下で撹拌し、そして温度を50℃に高める。樹脂が溶解し
た後、その溶液を氷浴中で約7℃に冷却する。テトラヒ
ドロフラン中、リチウムトリエチル硼水素化物の1.0M溶
液100mlを、窒素下で撹拌しながら添加用漏斗から滴下
する。この混合物を約10時間撹拌し、そして約22℃に暖
める。次にその混合物を温水により1時間、加熱する。
次に得られた透明且つ粘性の混合物を、撹拌しながら、
メタノール500mlに添加する。白色のわずかな沈殿物が
形成し、そして濾過する。その沈殿物をメタノール500m
lと共にブレンドし、そして再び濾過する。得られる細
かな白色繊維を、真空下で約10時間、40℃で乾燥せしめ
る。
樹脂は、約77.0℃のTg変曲点及び77.2℃の中点値を有
する。空気下で1%重量損失での温度は262.82℃であ
る。窒素パージ下で、1%重量損失での温度は252.14℃
である。
細管試験においては、樹脂を細管に配置し、そして融
点装置において徐々に加熱する。樹脂の色の変化及びそ
の対応する温度が観察される。樹脂は226℃で黄色に変
化し、そして240℃でカッ色に変化する。その試験装置
は275℃の上限を有し、そしてその温度で、樹脂は完全
には黒色に変化しなかった。従って、この樹脂は275℃
で完全には劣化しなかった。比較すれば、処理されてい
ないGeon179樹脂は、190℃で黄色に変わり、220℃でカ
ッ色に変化し、そして250℃で黒色に変化する。
例2 B F Goodrich Companyから入手できる市販の懸濁ポリ
塩化ビニル樹脂を、例1に記載されるのと同じ態様でリ
チウムトリエチル硼水素化物溶液により処理する。その
樹脂の2つのサンプル、すなわちサンプル1及び2を、
ワックス滑剤及び加工助剤と共に配合する。化合物サン
プル2はまた、メチル錫安定剤を含む。比較として、非
処理樹脂の2種の化合物を同じタイプ及び量の配合成分
により調製する。異なったサンプルの配合表が次の表に
列挙される: サンプルの熱安定性を、ブラベンダー押出機上でのDT
Sにより測定する。温度は200℃であり、そして押出機は
50RPMで作動される。サンプルの一部を観察し、そして
外観及びその対応する時間を示す。その結果は次の表に
列挙される: この例は、処理された時間が、追加の安定剤を伴わな
いでさえ、実質的に改良された熱安定性を有することを
示す。
例3 ポリ塩化ビニル樹脂を、重合方法に関して引例により
本明細書に組込まれるアメリカ特許第4,070,534号に開
示される懸濁方法により調製する。その重合配合表は、
塩化ビニル約870g、テトラヒドロフラン130g(モノマー
100重合部に基づいて約15重量部)、ポリビニルアルコ
ール分散剤4g、水2000g及び第2ブチルペルオキシジカ
ーボネート触媒0.5ccである。反応器を窒素によりパー
ジし、そして次に塩化ビニル及びTHFを添加する。分散
剤を水と共に混合し、そしてこの混合物を反応器に添加
する。触媒を添加した後、重合は開始する。重合反応の
温度は40℃であり、そして重合は75%の転換率である。
ポリマーを反応器から回収し、従来の乾燥手段により乾
燥せしめ、そしてメタノールにより洗浄し、そして次に
再び乾燥せしめる。
次にこの樹脂を、例1及び2におけるのと同じ手段
で、リチウムトリエチル(硼水素化物)溶液により処理
する。その処理された樹脂の脱塩酸化を測定し、そして
前処理された樹脂の脱塩酸化と比較する。その結果は、
次の表に示される。
この例は、処理された樹脂が前処理された樹脂よりも
より低い脱塩酸化速度を有することを示す。
例4 例2に使用される市販の懸濁ポリ塩化ビニル樹脂を、
まず、1HプロトンNMRを用いて分析した。処理前の樹脂
は第3図に示され、そしてアリル位置塩素及び不飽和を
示す。次のその樹脂を、メタノールによる48時間の抽出
により処理し、そして乾燥せしめた。次に、この樹脂の
サンプル5gを、約100mlの無水テトラヒドロフランに添
加した。その混合物を窒素下で撹拌し、そして温度を50
℃に高める。樹脂を溶解した後、その溶液を氷浴におい
て約7℃に冷却した。THF中、ボランの一定量が使用さ
れ、そしてその量は、20:1モル過剰のボラン:アリル位
置塩素に基づかれており、ここでアリル位置塩素は、塩
化ビニルモノマー1000モル当たり2モルである。ボラン
/THFを、窒素下で撹拌しながら、添加漏斗から滴下し
た。その混合物を約10時間撹拌し、そして約22℃に暖め
た。次はその混合物を温水により1時間、加熱した。得
られた透明且つ粘性の混合物を、激しく撹拌しながら、
メタノール500mlに添加した。白色の少量の沈殿物が形
成し、そしてそれを濾過した。沈殿物をメタノール500m
lと共にブレンドし、そして再び濾過した。得られる細
かい白色繊維を、真空下で40℃で約10時間、乾燥せしめ
る。処理された樹脂のNMRスペクトルが第2図に示され
る。そこで、アリル位置塩素及び不飽和がビニル位置プ
ロトンとして除去され、そして先に存在したアリル位置
塩素はスペクトルに不在であることが見出される。
例5 PVC樹脂を、第三ブチルリチウム開始剤を用いて、ア
メリカ特許第3,875,131号の方法により重合せしめた。
重合を15℃で13時間行ない、そしてモノマーの%転換率
は64%であった。モル塩化ビニルモノマー当たりモルで
の合計触媒濃度は11.58×10-4であった。この樹脂のNMR
スペクトルは第4図に示される。アリル位置塩素及び不
飽和の両者が存在することは明らかである。
結論 第4図に示されるように、アメリカ特許第3,875,131
号('131)に開示される方法は、第3図に示される市販
の懸濁遊離基重合されたPVCに比べて低レベルのアリル
位置塩素及び不飽和の形成をもたらすが、しかし'131の
方法は、アリル位置塩素の完全な排除をもたらさない。
さらに、この方法は、第4図に示されるように、鎖にお
ける不飽和の排除をもたらさない。アリル位置塩素の不
在は、4.05と4.1ppmとの間でのダブレットの消出により
及び5.7と5.9ppmとの間での化学シフトを有するビニル
位置プロトンの不在により確かめられる。アリル位置塩
素の不在でのビニル位置プロトンは、第1図のNMRスペ
クトルを有する例1に見出されるように、5.3〜5.6ppm
で上昇する特徴的な化学シフトを有する。従って、本発
明は、第2図に示されるように、分析的に検出できるレ
ベルのアリル位置塩素を欠き、そしてアリル位置枝分れ
を有さない新規のポリビニルハリドポリマーを開示す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 8/26 C08F 8/04

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】H1NMR分析により測定して、分析的に検知
    可能なレベルのアリル位置塩素、第一級炭素上で置換さ
    れた塩素およびアリル位置枝分かれを含まないポリ塩化
    ビニル樹脂であり、4.05〜4.1ppmおよび5.7〜5.9ppmの
    間にピークを有せず、そして分解温度とは異なる融点を
    有し、この融点が約190℃〜約220℃である、ポリ塩化ビ
    ニル樹脂。
  2. 【請求項2】ポリ塩化ビニル樹脂上のアリル位置塩素を
    選択的に水素により置換するための方法であって、 前記樹脂と下記構造: MRbXHc 〔式中、MはNa,Li又はKであり; Rは1〜18個の炭素原子を含むアルキル、シクロアルキ
    ル、置換されたアルキル又はアルキルエーテルであり; bは1,2又は3であり; XはB又はAlであり; Hは水素であり;そして cは1,2又は3である〕を有する有機金属水素化物試薬
    とを接触せしめることを含んで成る方法。
  3. 【請求項3】前記有機金属水素化物が、リチウムトリ−
    sec−ブチル硼水素化物、リチウムトリエチル硼水素化
    物及びリチウムトリ−tertブトキシアルミノ水素化物か
    ら成る群から選択される請求の範囲第2項記載の方法。
  4. 【請求項4】溶媒に前記樹脂を溶解する段階を包含し、
    そして前記接触が溶液において行なわれる請求の範囲第
    2項記載の方法。
  5. 【請求項5】前記有機金属水素化物試薬が前記樹脂の0.
    01〜0.1モル%で存在する請求の範囲第2項記載の方
    法。
  6. 【請求項6】前記樹脂が、モノマー100重量部当たりテ
    トラヒドロフラン約5〜約100重量部の存在下で、約0
    〜約60℃の温度で塩化ビニルモノマーを重合することに
    よって調製される請求の範囲第2項記載の方法。
  7. 【請求項7】前記Rが、エチル、ブチル、イソブチル及
    びtert−ブチルから成る群から選択される請求の範囲第
    2項記載の方法。
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