JP3087933B2 - 建物ユニットの輸送用保護材および建物ユニットの輸送方法 - Google Patents

建物ユニットの輸送用保護材および建物ユニットの輸送方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐火性能を向上させた
建物ユニットの輸送用保護材およびこの建物ユニットの
輸送方法に関する。
【0002】
【背景技術】近年、高温における強度が従来の一般構造
用鋼材と比較して高い、いわゆる建築構造用耐火鋼材
(Fire Resistant Steel:FR鋼)が開発されている。
このFR鋼は、鋼材温度 600℃における0.2 %耐力が常
温時規格値の2/3 以上の長期許容耐力を有する。
【0003】一方、耐火被覆材として機能する耐火塗料
が開発されている。この耐火塗料は、高温時( 300℃前
後)に主成分であるポリリン酸アンモニウムが発泡して
断熱性を発揮する。そこで、前記FR鋼よりなる柱や梁
にこの耐火塗料を被覆することにより耐火性能を向上さ
せた建築部材が提案されている。従来、建築現場でこの
ような耐火塗料で被覆された建築部材を使用して建物を
建築していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】現場作業で軸組み工法
により建築する際、建築部材を吊り上げて所定位置に配
置する際、建築部材同士が接触して特に建築部材の側部
の耐火塗料に傷が付くことがある。このような問題は、
ユニット式建物を構成する建物ユニットにおいては、建
物ユニットを輸送する際に生じる。すなわち、建物ユニ
ットの柱の室外側に臨む側面部は、建物ユニットの輸送
時に固いものと接触して損傷しやすく、この部分の耐火
塗料が剥がれ易いという問題がある。このように耐火塗
料が剥がれてFR鋼が露出すると、その部分ではこの耐
火塗料で被覆されたFR鋼特有の耐火性能が得られなく
なっていた。また、耐火塗料の剥がれた部分を現場で塗
装し直すと、作業が面倒であり建築の作業効率を落とす
ことにもなっていた。
【0005】そこで、本発明の目的は、建築現場への建
物ユニットの輸送に際し、耐火塗料が剥がれるのを防止
できる建物ユニットの輸送用保護材および建物ユニット
の輸送方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、ユニ
ットフレームが耐火鋼により組み立てられているととも
に、このユニットフレームに耐火塗料が被覆されている
建物ユニットに用いられる輸送用保護材であって、前記
建物ユニットのユニットフレームを構成する柱の室外側
側面部を覆う側部と、この側部の上部に設けられて前記
柱の上面側を覆う上面部とを備え、この上面部には、前
記柱の上面に螺合される建物ユニット吊り下げ用のボル
トを貫通させる孔部が設けられていることを特徴とする
建物ユニットの輸送用保護材である。
【0007】請求項2の発明は、ユニットフレームが耐
火鋼により組み立てられているとともに、このユニット
フレームに耐火塗料が被覆されている建物ユニットに用
いられる輸送用保護材であって、前記建物ユニットを覆
う上面部および側面部を備えた養生シートに設けられ、
かつこの養生シートにおける前記建物ユニットを構成す
る柱の室外側側面部を覆う位置に取り付けられているこ
とを特徴とする建物ユニットの養生シートに取り付けら
れた輸送用保護材である。
【0008】以上において、前記ユニットフレームは、
通常、床フレーム、天井フレームおよび柱を備えて構成
される。前記耐火塗料は、ユニットフレームを組み立て
る前の耐火鋼に被覆しておいてもよく、又は耐火鋼で組
み立てた後のユニットフレームに被覆するようにしても
よい。前記耐火塗料の具体例は、ポリリン酸アンモニウ
ムを主成分とするものである。
【0009】前記耐火鋼は、背景技術で説明したものと
同じ建築構造用耐火鋼材、いわゆるFR鋼である。この
ようなFR鋼は、規格によって成分が若干異なるが、例
えばNSFR490Aは、C:0.10、Si:0.20、Mn:1.11、P:
0.019 、S:0.003 (各wt%)である。前記建物ユニッ
トには、箱形の建物ユニット、屋根ユニット等の他、斜
線制限に対応した台形状の建物ユニット等も含まれる。
前記保護材の材質は任意である。例えば、金属製のも
の、あるいはセラミックファイバー、ロックウール等の
シートを適用できる。
【0010】一方、請求項3の発明は、請求項1に記載
の輸送用保護材を前記建物ユニットが製造される工場で
当該建物ユニットに取り付け、この状態で前記建物ユニ
ットを建物の建築現場へ輸送した後、前記輸送用保護材
を前記建物ユニットから取り外すか、または、請求項2
に記載の養生シートに取り付けられた輸送用保護材を前
記建物ユニットが製造される工場で当該建物ユニットに
前記養生シートと同時に取り付け、この状態で前記建物
ユニットを建物の建築現場へ輸送した後、前記輸送用保
護材を前記建物ユニットから前記養生シートと同時に取
り外すことを特徴とする建物ユニットの輸送方法であ
る。ここで、保護材を養生シートに取り付ける場合、保
護材の取付け場所は、養生シートの内側でも外側でもよ
い。また、養生シートが2層構造の場合には、その中間
に設けてもよい。
【0011】
【作用】製造された建物ユニットは、個々の建築部材と
比べると、室外側に向いた部分が少ないため、傷がつき
にくくなっているが、柱では室外側に面した側面部が依
然と残っている。従って、このまま建物ユニットを建築
現場に輸送しようとすると、トラック等への積み込みや
積み下ろし作業の際、また輸送途中においても、柱に固
いものが接触して耐火塗料が剥がれる虞れがある。
【0012】そこで、請求項1の発明によれば、建物ユ
ニットを輸送するのあたり、保護材の側部で建物ユニッ
トの柱の側面部を覆うから、柱を被覆する耐火塗料が輸
送中等において良好に保護され、前記目的が達成され
る。この際、保護材は建物ユニット吊り下げ用のボルト
を利用して建物ユニットに取り付けられるため、保護材
の取付、取外作業が容易になるとともに、保護材には当
該ボルトが貫通する孔部だけを設ければよく、建物ユニ
ットに対する保護材の取付構造が簡略化される。
【0013】また、請求項2の発明によれば、保護材で
柱の側面部を覆うことにより、請求項1の発明と同様、
前記目的が達成される。さらに、この請求項2の発明で
は、建物ユニットを覆う上面部および側面部を備えた養
生シートに保護材を取り付けておくので、養生シートを
建物ユニットに被せると同時に柱に対応した位置に保護
材を容易に位置させたり、養生シートを取り外すことで
柱から保護材を容易に取り除くことができる。そして、
養生シートを建物ユニットに取り付けることで、柱に対
する保護材の取付状態も維持されるから、保護材には建
物ユニットに取り付けるための特別な取付手段が不要に
なり、構造が簡略化される。また、建物ユニットは養生
シートの側面部および上面部でも覆われるため、柱のみ
ならず建物ユニットの略全体の保護が確実に行われるよ
うになり、耐火塗料の剥がれが一層確実に防止されるよ
うになる。
【0014】請求項3の輸送方法の発明によれば、請求
項1または請求項2に係る保護材を用いて建物ユニット
を輸送するので、それぞれの保護材を用いた時の前述し
た作用効果が同様に得られる。
【0015】
【実施例】図1、図2には、本発明の第1実施例に係る
保護材としての保護カバー26を建物ユニット11に適用し
た例が示されている。この建物ユニット11は、ユニット
フレーム12に床パネル13、天井パネル14および図示しな
い外壁パネルが取り付けられて構成される。前記ユニッ
トフレーム12は、床フレーム15、天井フレーム16および
柱17を備えて構成される。前記床フレーム15は、耐火塗
料18で被覆された建築構造用耐火鋼材(FR鋼)よりな
る長辺梁21と短辺梁22が四角に組まれ、対向する長辺梁
21間に複数の根太が架け渡されたものである。
【0016】また、天井フレーム16も、床フレーム15と
同様に、耐火塗料18で被覆されたFR鋼よりなる長辺梁
21と短辺梁22が四角に組まれ、対向する長辺梁21間に複
数の小梁23が架け渡されたものである。柱17も、FR鋼
が耐火塗料18で被覆されたものである。前記耐火塗料18
は、いずれもポリリン酸アンモニウムを主成分としてな
る。このような建物ユニット11は、次のようにして製造
する。
【0017】先ず、工場において、FR鋼製の柱17、梁
21,22 等にポリリン酸アンモニウムを主成分としてなる
耐火塗料18を塗布する。塗布条件は、建築材料の種類、
用途によっても異なるが、例えば塗布量1400g/m2 、
塗布回数3回として塗膜厚2.2mm 、絶乾かさ比重1.67g
/m3 となるように仕上げる。なお、必要に応じて耐火
塗料18の塗布の前に所要の錆止め剤を塗ったり、耐火塗
料18の表面に所要の保護剤を塗ったりする。次に、従来
と同様に、ユニットフレーム12をこれらの柱17、梁21,2
2 を使用して組み立てた後、外壁パネル等をユニットフ
レーム12に取り付けて、建物ユニット11を完成させる。
【0018】上記実施例に係る建物ユニット11によれ
ば、柱17や梁21,22 で物との接触により耐火塗料18が剥
がれる虞れのある部分、即ち室外側に露出している部分
が少なく、またこれらの柱17や梁21,22 の各面のうち、
多くの面が床パネル13や天井パネル14等で覆われている
ため、ユニットフレーム12には傷がつきにくい。また、
建物ユニット11のユニットフレーム12には、軸組み構造
におけるような梁同士等の接合構造が少ないため、ユニ
ットフレーム12を組み立てる際に耐火塗料18が剥がれる
虞れも少ない。従って、工場で耐火塗料18で被覆された
FR鋼を使用して建物ユニット11を製造することによ
り、建築現場の建物ユニット11においても耐火塗料18で
被覆されたFR鋼特有の耐火性能をそのまま維持でき
る。
【0019】保護カバー26は、建物ユニット11をこの製
造工場から建物の建築現場へ輸送する際に用いられるも
のであって、ユニットフレーム12の柱17の両側面部に沿
ったL字形の側部27を有する金属製である。この保護カ
バー26の上面部28には、建設現場で建物ユニット11がク
レーン等で吊り下げられる際に使用するボルト29の挿通
用孔部31が形成されている。
【0020】そして、工場でこの保護カバー26を柱17の
室外側に面した両側面部に取り付け、吊り下げ用ボルト
29を前記孔部31を通して柱17の雌ねじ孔部19に螺合させ
ることにより保護カバー26を建物ユニット11に固定す
る。この後、建物ユニット11に図示しない養生シートを
被せる。次いで、このように柱17に保護カバー26が取り
付けられた状態の建物ユニット11をトラック等に積載し
て建築現場に輸送した後、建築現場で前記保護カバー26
を柱17から取り外す。この後、通常通り、複数の建物ユ
ニット11を組み合わせてユニット式建物を建築する。
【0021】上記実施例によれば、建物ユニット11を輸
送するにあたり、柱17の両側面部が保護カバー26で保護
されているため、トラック等への積み込みや積み降ろし
作業の際、また輸送途中において、柱17に固いものが直
接接触せず、耐火塗料18が剥がれる虞れはなくなる
【0022】また、吊り下げ用ボルト29および柱17の雌
ねじ孔部19を利用して保護カバー26を取り付けられるよ
うにしたので、保護カバー26の取り付けを容易にできる
とともに、保護カバー26には当該ボルト29が貫通する孔
部31だけを設けておけばよく、建物ユニット11に対する
保護カバー26の取付構造を簡略化できる。
【0023】次に、図3を参照して本発明に係る保護材
の第2実施例を説明する。本実施例においては、保護材
である保護パッド33は養生シート32に取り付けられてい
る。この養生シート32は、上面部34と側面部35よりな
り、この側面部35は連続して形成されたものである。
【0024】前記側面部35には、建物ユニット11に被せ
る際、余裕を持たせるためのフレヤー36を有する。前記
保護パッド33は、セラミックファイバー等よりなるシー
ト状のものであり、養生シート32裏側のユニットフレー
ム12の柱17が位置することになる部分に取り付けられて
いる。そして、工場でこの養生シート32を保護パッド33
がユニットフレーム12の柱17の部分に位置するように建
物ユニット11に被せ、適当な止め具37でフレヤー36を側
面部35に止める。この後、上記第1実施例と同様に建物
ユニット11を建築現場に輸送した後、建築現場で前記養
生シート32を建物ユニット11から取る。
【0025】本実施例によっても、第1実施例と同様
に、建物ユニット11の輸送途中における耐火塗料18の剥
がれを防止できる。
【0026】また、建物ユニット11を覆う上面部34およ
び側面部35を備えた養生シート32に保護パッド33が取り
付けられているので、養生シート32を建物ユニット11に
被せると同時に柱17に対応した位置に保護パッド33を容
易に位置させたり、養生シート32を取り外すことで柱17
から保護パッド33を容易に取り除くことができ、保護パ
ッド33の取付、取外作業を容易にできる。
【0027】そして、養生シート32を建物ユニット11に
取り付けることで、柱17に対する保護パッド33の取付状
態も維持されるから、保護パッド33には建物ユニット11
に取り付けるための特別な取付手段を設ける必用がな
く、構造を簡略化できる。
【0028】さらに、建物ユニット11は養生シート32の
側面部35および上面部34でも覆われるため、柱17のみな
らず建物ユニット11の略全体の保護を確実にでき、耐火
塗料の剥がれを一層確実に防止できる。
【0029】次に、図4を参照して本発明に係る保護材
の第3実施例を説明する。本実施例において使用する保
護パッド39は、第2実施例と同様に、養生シート38に取
り付けられたものである。但し、この養生シート38の場
合、側面部が第3実施例のように連続したものではな
く、各側面部41に分離しており、ファスナーで閉じられ
るようになっている。
【0030】そして、工場でこの養生シート38を保護パ
ッド39がユニットフレーム12の柱17の部分に位置するよ
うに建物ユニット11に被せ、側面部41間をファスナーで
閉じる。この後、上記第1実施例と同様に建物ユニット
11を建築現場に輸送した後、建築現場で前記養生シート
38を建物ユニット11から取る。本実施例によっても、第
1実施例と同様に、建物ユニット11の輸送途中における
耐火塗料18の剥がれを防止できる。また、第2実施形態
と同様な効果を得ることもできる。
【0031】
【発明の効果】本発明に係る建物ユニットの輸送用保護
材および建物ユニットの輸送方法によれば、建物ユニッ
トを輸送する際、ユニットフレームの室外側に露出して
いる部分を保護材で覆うため、この部分を被覆する耐火
塗料を良好に保護してその剥がれを防止でき、耐火鋼特
有の耐火性能を建築後においてもそのまま維持できると
いう効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る保護材を適用した建
物ユニットを示す斜視図である。
【図2】第1実施例の要部を示す要部斜視図である。
【図3】第2実施例に係る保護材を示す斜視図である。
【図4】第3実施例に係る保護材を示す斜視図である。
【符号の説明】
11 建物ユニット 12 ユニットフレーム 17 柱 18 耐火塗料 26 保護材である保護カバー 32,38 養生シート 33,39 保護材である保護パッド

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ユニットフレームが耐火鋼により組み立
    てられているとともに、このユニットフレームに耐火塗
    料が被覆されている建物ユニットに用いられる輸送用保
    護材であって、 前記建物ユニットのユニットフレームを構成する柱の室
    外側側面部を覆う側部と、この側部の上部に設けられて
    前記柱の上面側を覆う上面部とを備え、この上面部に
    は、前記柱の上面に螺合される建物ユニット吊り下げ用
    のボルトを貫通させる孔部が設けられていることを特徴
    とする建物ユニットの輸送用保護材。
  2. 【請求項2】 ユニットフレームが耐火鋼により組み立
    てられているとともに、このユニットフレームに耐火塗
    料が被覆されている建物ユニットに用いられる輸送用保
    護材であって、 前記建物ユニットを覆う上面部および側面部を備えた養
    生シートに設けられ、かつこの養生シートにおける前記
    建物ユニットを構成する柱の室外側側面部を覆う位置に
    取り付けられていることを特徴とする建物ユニットの養
    生シートに取り付けられた輸送用保護材。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の輸送用保護材を前記建
    物ユニットが製造される工場で当該建物ユニットに取り
    付け、この状態で前記建物ユニットを建物の建築現場へ
    輸送した後、前記輸送用保護材を前記建物ユニットから
    取り外すか、 または、請求項2に記載の養生シートに取り付けられた
    輸送用保護材を前記建物ユニットが製造される工場で当
    該建物ユニットに前記養生シートと同時に取り付け、こ
    の状態で前記建物ユニットを建物の建築現場へ輸送した
    後、前記輸送用保護材を前記建物ユニットから前記養生
    シートと同時に取り外す ことを特徴とする建物ユニット
    の輸送方法。
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