JP3141288B2 - 低熱膨張鋳造合金の製造方法 - Google Patents
低熱膨張鋳造合金の製造方法Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低熱膨張鋳造合
金、特に熱膨張が少ないことを要求される精密機械部品
等の用途に適した低熱膨張鋳造合金の製造方法に関する
ものである。
金、特に熱膨張が少ないことを要求される精密機械部品
等の用途に適した低熱膨張鋳造合金の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、各分野において技術の微細化が進
み、周辺機器における微小寸法変化の管理の重要性が高
まり、機器の熱変形抑制のため、低熱膨張材料を要所要
所に適用することが普及してきた。現在、低熱膨張を目
的として利用される実用金属材料の中で32%Ni−5
%Co−Fe合金(以下、この合金を「スーパーインバ
ー」と呼ぶ。)は、常温〜100℃間の熱膨張係数が0
〜1×10-6/℃で最も小さく、またこの合金に鋳造性
を付与する目的でC、Siを2%前後添加した特公昭6
0−51547号公報に記載の低熱膨張鋳鉄や、より低
い熱膨張係数と優れた被削性をあわせもつ本出願人によ
る特開昭63−162841号公報に記載の快削性低熱
膨張合金が知られている。スーパーインバーは主として
鋳塊を熱間加工あるいは、さらに冷間加工することによ
り製造され、板材、棒材、線材の形で供給される。一
方、低熱膨張鋳造合金は製品形状に近似した鋳型内で鋳
造されるため、種々の形状の部品素材として供給され
る。これらは、いずれも熱膨張が少ないことを利用し、
精密機械等の部品に適用される。
み、周辺機器における微小寸法変化の管理の重要性が高
まり、機器の熱変形抑制のため、低熱膨張材料を要所要
所に適用することが普及してきた。現在、低熱膨張を目
的として利用される実用金属材料の中で32%Ni−5
%Co−Fe合金(以下、この合金を「スーパーインバ
ー」と呼ぶ。)は、常温〜100℃間の熱膨張係数が0
〜1×10-6/℃で最も小さく、またこの合金に鋳造性
を付与する目的でC、Siを2%前後添加した特公昭6
0−51547号公報に記載の低熱膨張鋳鉄や、より低
い熱膨張係数と優れた被削性をあわせもつ本出願人によ
る特開昭63−162841号公報に記載の快削性低熱
膨張合金が知られている。スーパーインバーは主として
鋳塊を熱間加工あるいは、さらに冷間加工することによ
り製造され、板材、棒材、線材の形で供給される。一
方、低熱膨張鋳造合金は製品形状に近似した鋳型内で鋳
造されるため、種々の形状の部品素材として供給され
る。これらは、いずれも熱膨張が少ないことを利用し、
精密機械等の部品に適用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来の低熱膨張
合金のうちスーパーインバーは熱膨張特性は良好である
が、代表的な難削材であり、機械加工能率が低いという
大きな欠点がある。また、供給される素材形状が板、
棒、線であるため、製品形状を得るには多大の切削加工
を必要とし、高価な材料の相当量が切り屑として排出さ
れる問題がある。一方、低熱膨張鋳造合金のうち特公昭
60−51547号公報の低熱膨張鋳鉄では、金属組織
中に大量の黒鉛が存在するので、前記スーパーインバー
に対して被削性や振動減衰性は良好であるが、常温から
100℃間の熱膨張係数が3〜4×10-6/℃であり、
スーパーインバーと比べて大きな隔たりがある。そのた
め、より高精度の寸法安定性が要求されるような部品に
は適用できないといった問題がある。また、特開昭63
−162841号公報に見られる快削性低熱膨張合金
は、前記低熱膨張鋳鉄より熱膨張係数が大幅に改善され
ており、また前記スーパーインバーより被削性、鋳造性
も大幅に改善されている。しかし、C添加量の上限が低
いため、金属組織中の黒鉛量が少なく、低熱膨張鋳鉄と
比較して被削性(切削抵抗)、鋳造性、振動減衰性が不
十分であるといった問題がある。
合金のうちスーパーインバーは熱膨張特性は良好である
が、代表的な難削材であり、機械加工能率が低いという
大きな欠点がある。また、供給される素材形状が板、
棒、線であるため、製品形状を得るには多大の切削加工
を必要とし、高価な材料の相当量が切り屑として排出さ
れる問題がある。一方、低熱膨張鋳造合金のうち特公昭
60−51547号公報の低熱膨張鋳鉄では、金属組織
中に大量の黒鉛が存在するので、前記スーパーインバー
に対して被削性や振動減衰性は良好であるが、常温から
100℃間の熱膨張係数が3〜4×10-6/℃であり、
スーパーインバーと比べて大きな隔たりがある。そのた
め、より高精度の寸法安定性が要求されるような部品に
は適用できないといった問題がある。また、特開昭63
−162841号公報に見られる快削性低熱膨張合金
は、前記低熱膨張鋳鉄より熱膨張係数が大幅に改善され
ており、また前記スーパーインバーより被削性、鋳造性
も大幅に改善されている。しかし、C添加量の上限が低
いため、金属組織中の黒鉛量が少なく、低熱膨張鋳鉄と
比較して被削性(切削抵抗)、鋳造性、振動減衰性が不
十分であるといった問題がある。
【0004】本発明は、上述の従来の低熱膨張合金の欠
点を解消したもので、スーパーインバーに匹敵するよう
な小さい熱膨張係数でかつ被削性に優れた低熱膨張鋳造
合金から、従来の低熱膨張鋳鉄に匹敵する被削性、鋳造
性、振動減衰性でかつより小さい熱膨張係数が得られる
低熱膨張鋳造合金まで、使用目的に応じた特性を有する
低熱膨張鋳造合金を得るための製造方法を提供すること
を目的とするものである。
点を解消したもので、スーパーインバーに匹敵するよう
な小さい熱膨張係数でかつ被削性に優れた低熱膨張鋳造
合金から、従来の低熱膨張鋳鉄に匹敵する被削性、鋳造
性、振動減衰性でかつより小さい熱膨張係数が得られる
低熱膨張鋳造合金まで、使用目的に応じた特性を有する
低熱膨張鋳造合金を得るための製造方法を提供すること
を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記従来の低熱膨張鋳造
合金はいずれもスーパーインバーの化学組成(32%N
i−5%Co−Fe)を基本組成とし、鋳造性、被削性
を得るため、特定量のC、Siその他の元素を添加した
ものである。これらの低熱膨張鋳造合金の顕微鏡組織
は、概ねオーステナイト基地と黒鉛から構成され、この
うちオーステナイト基地のFe−Ni−Co組成比はス
ーパーインバーと等しいが、C、Siが大量に固溶して
いる。CやSiはいずれも熱膨張係数を増大させる作用
があり、低熱膨張鋳造合金では必然的にスーパーインバ
ーより大きい熱膨張係数を有することになる。本発明者
は、以上の事実に基づいて、被削性、鋳造性に必要な
C、Siを添加し、なおかつ従来の低熱膨張鋳造合金よ
り低い熱膨張係数を得るため、C−Ni−Co組成比を
種々検討した結果、最小の熱膨張係数を得るための適正
なNi、Co量およびC量とCo量との間に特定の関係
(式)があることを見出し、本発明に至ったものであ
る。すなわち、最小の熱膨張係数が得られるCo量とC
量の関係は、 5C+4.0≦Co≦5C+5.5(但し、0.5<C<1.5)・・・・ を満足することが必要である。
合金はいずれもスーパーインバーの化学組成(32%N
i−5%Co−Fe)を基本組成とし、鋳造性、被削性
を得るため、特定量のC、Siその他の元素を添加した
ものである。これらの低熱膨張鋳造合金の顕微鏡組織
は、概ねオーステナイト基地と黒鉛から構成され、この
うちオーステナイト基地のFe−Ni−Co組成比はス
ーパーインバーと等しいが、C、Siが大量に固溶して
いる。CやSiはいずれも熱膨張係数を増大させる作用
があり、低熱膨張鋳造合金では必然的にスーパーインバ
ーより大きい熱膨張係数を有することになる。本発明者
は、以上の事実に基づいて、被削性、鋳造性に必要な
C、Siを添加し、なおかつ従来の低熱膨張鋳造合金よ
り低い熱膨張係数を得るため、C−Ni−Co組成比を
種々検討した結果、最小の熱膨張係数を得るための適正
なNi、Co量およびC量とCo量との間に特定の関係
(式)があることを見出し、本発明に至ったものであ
る。すなわち、最小の熱膨張係数が得られるCo量とC
量の関係は、 5C+4.0≦Co≦5C+5.5(但し、0.5<C<1.5)・・・・ を満足することが必要である。
【0006】ここにおいて、第1の発明は、化学組成が
重量%で、C:0.5%超〜1.5%未満、Si:0.
5%〜1.5%、Mn:1.0%以下、Ni:25.0
%〜32.0%、Co:6.5%超〜13.0%からな
り、かつ前記組成においてNi+Coの範囲が33.0
%〜40.0%未満、残部は鉄及び不可避的元素からな
る低熱膨張鋳造合金の製造方法において、前記低熱膨張
鋳造合金を600〜950℃の温度範囲で加熱後、急冷
することにより、20〜100℃の平均熱膨張係数を3
×10-6/℃以下にすることを特徴とする低熱膨張鋳造
合金の製造方法であり、第2の発明は、化学組成が重量
%で、C:0.5%超〜1.5%未満、Si:0.5%
〜1.5%、Mn:1.0%以下、Ni:25.0%〜
32.0%、Co:6.5%超〜13.0%、Mg及び
/又はCa:0.2%以下、Ti:0.2%以下からな
り、かつ前記組成においてNi+Coの範囲が33.0
%〜40.0%未満、残部は鉄および不可避的元素から
なる低熱膨張鋳造合金の製造方法において、前記低熱膨
張鋳造合金を600〜950℃の温度範囲で加熱後、急
冷することにより、20〜100℃の平均熱膨張係数を
3×10-6/℃以下にすることを特徴とする低熱膨張鋳
造合金の製造方法であり、第3の発明は、化学組成が重
量%で、C:0.5%超〜1.5%未満、Si:0.5
%〜1.5%、Mn:1.0%以下、Ni:25.0%
〜32.0%からなり、かつ前記組成においてNi+C
oの範囲が33.0%〜40.0%未満、残部は鉄およ
び不可避的元素からなる低熱膨張鋳造合金の製造方法に
おいて、CとCoの関係が、5C+4.0≦Co≦5C
+5.5%を満たすようにCoを添加することにより、
使用目的に応じた低熱膨張性、被削性、鋳造性、振動減
衰性を得ることを特徴とする低熱膨張鋳造合金の製造方
法であり、第4の発明は、化学組成が重量%で、C:
0.5%超〜1.5%未満、Si:0.5%〜1.5
%、Mn:1.0%以下、Ni:25.0%〜32.0
%、Mg及び/又はCa:0.2%以下、Ti:0.2
%以下からなり、かつ前記組成においてNi+Coの範
囲が33.0%〜40.0%未満、残部は鉄および不可
避的元素からなる低熱膨張鋳造合金の製造方法におい
て、CとCoの関係が、5C+4.0≦Co≦5C+
5.5%を満たすようにCoを添加することにより、使
用目的に応じた低熱膨張性、被削性、鋳造性、振動減衰
性を得ることを特徴とする低熱膨張鋳造合金の製造方法
である。更に、前記第3、第4の発明において、前記低
熱鋳造合金を600〜950℃の温度範囲で加熱後、急
冷することを特徴とする低熱膨張鋳造合金の製造方法で
ある。
重量%で、C:0.5%超〜1.5%未満、Si:0.
5%〜1.5%、Mn:1.0%以下、Ni:25.0
%〜32.0%、Co:6.5%超〜13.0%からな
り、かつ前記組成においてNi+Coの範囲が33.0
%〜40.0%未満、残部は鉄及び不可避的元素からな
る低熱膨張鋳造合金の製造方法において、前記低熱膨張
鋳造合金を600〜950℃の温度範囲で加熱後、急冷
することにより、20〜100℃の平均熱膨張係数を3
×10-6/℃以下にすることを特徴とする低熱膨張鋳造
合金の製造方法であり、第2の発明は、化学組成が重量
%で、C:0.5%超〜1.5%未満、Si:0.5%
〜1.5%、Mn:1.0%以下、Ni:25.0%〜
32.0%、Co:6.5%超〜13.0%、Mg及び
/又はCa:0.2%以下、Ti:0.2%以下からな
り、かつ前記組成においてNi+Coの範囲が33.0
%〜40.0%未満、残部は鉄および不可避的元素から
なる低熱膨張鋳造合金の製造方法において、前記低熱膨
張鋳造合金を600〜950℃の温度範囲で加熱後、急
冷することにより、20〜100℃の平均熱膨張係数を
3×10-6/℃以下にすることを特徴とする低熱膨張鋳
造合金の製造方法であり、第3の発明は、化学組成が重
量%で、C:0.5%超〜1.5%未満、Si:0.5
%〜1.5%、Mn:1.0%以下、Ni:25.0%
〜32.0%からなり、かつ前記組成においてNi+C
oの範囲が33.0%〜40.0%未満、残部は鉄およ
び不可避的元素からなる低熱膨張鋳造合金の製造方法に
おいて、CとCoの関係が、5C+4.0≦Co≦5C
+5.5%を満たすようにCoを添加することにより、
使用目的に応じた低熱膨張性、被削性、鋳造性、振動減
衰性を得ることを特徴とする低熱膨張鋳造合金の製造方
法であり、第4の発明は、化学組成が重量%で、C:
0.5%超〜1.5%未満、Si:0.5%〜1.5
%、Mn:1.0%以下、Ni:25.0%〜32.0
%、Mg及び/又はCa:0.2%以下、Ti:0.2
%以下からなり、かつ前記組成においてNi+Coの範
囲が33.0%〜40.0%未満、残部は鉄および不可
避的元素からなる低熱膨張鋳造合金の製造方法におい
て、CとCoの関係が、5C+4.0≦Co≦5C+
5.5%を満たすようにCoを添加することにより、使
用目的に応じた低熱膨張性、被削性、鋳造性、振動減衰
性を得ることを特徴とする低熱膨張鋳造合金の製造方法
である。更に、前記第3、第4の発明において、前記低
熱鋳造合金を600〜950℃の温度範囲で加熱後、急
冷することを特徴とする低熱膨張鋳造合金の製造方法で
ある。
【0007】本発明方法による前記のような組成及び熱
処理からなる低熱膨張鋳造合金は、使用目的に応じて組
成を選ぶことにより、スパーインバーにほぼ匹敵する熱
膨張係数をもち、かつ被削性、鋳造性をあわせもつ合金
や、低熱膨張鋳鉄並みの鋳造性、振動減衰性を有し、か
つより低熱膨張性の合金が得られる。本発明方法による
低熱膨張鋳造合金は、 適正量のC、Siの添加により被削性と鋳造性を得る
とともに、従来の低熱膨張鋳鉄より基地中のC、Si濃
度を低くする。 基地中の過飽和固溶炭素Cを、熱処理により黒鉛とし
て析出させて、基地中の固溶炭素濃度を上記の状態よ
り更に低くする。 基地中の固溶炭素濃度に応じて、最も低い熱膨張係数
とNi量、Co量を選ぶ。 黒鉛形状のコントロールにより強度および振動減衰性
を任意に制御する。 以上の〜の基本的な考えに基づく組成から成るもの
である。
処理からなる低熱膨張鋳造合金は、使用目的に応じて組
成を選ぶことにより、スパーインバーにほぼ匹敵する熱
膨張係数をもち、かつ被削性、鋳造性をあわせもつ合金
や、低熱膨張鋳鉄並みの鋳造性、振動減衰性を有し、か
つより低熱膨張性の合金が得られる。本発明方法による
低熱膨張鋳造合金は、 適正量のC、Siの添加により被削性と鋳造性を得る
とともに、従来の低熱膨張鋳鉄より基地中のC、Si濃
度を低くする。 基地中の過飽和固溶炭素Cを、熱処理により黒鉛とし
て析出させて、基地中の固溶炭素濃度を上記の状態よ
り更に低くする。 基地中の固溶炭素濃度に応じて、最も低い熱膨張係数
とNi量、Co量を選ぶ。 黒鉛形状のコントロールにより強度および振動減衰性
を任意に制御する。 以上の〜の基本的な考えに基づく組成から成るもの
である。
【0008】次に、本発明方法による低熱膨張鋳造合金
における各々の組成並びに熱処理の限定理由について説
明する。
における各々の組成並びに熱処理の限定理由について説
明する。
【0009】(1)炭素C 通常、低熱膨張鋳鉄は2%前後の炭素を含有しており、
基地の固溶限度を越える炭素が過飽和に固溶している。
この過飽和の程度は全炭素量に比例し、 固溶炭素=固溶限度炭素+過飽和炭素 で構成され、全炭素量から固溶炭素を引いた分の炭素は
黒鉛として析出している。例えば、CおよびSiをそれ
ぞれ2%前後含有する低熱膨張鋳鉄では、黒鉛の容積率
は概ね4〜7%である。このような低熱膨張鋳鉄はスー
パーインバーと比較すると切削性が改善されているが、
これは組織中に存在する黒鉛により、工具との摩擦抵抗
が小さくなり、また切削により生ずる切り屑がつながる
ことなく細かく分断されるためである。本発明者は、切
削性と黒鉛容積率の関係を調べた結果、後述する実施例
の図1に示すように、黒鉛容積率が1〜4%において、
切削抵抗が低く、かつ加工面粗さが細かい良好な切削性
を示すことがわかった。すなわち、黒鉛容積率1%未満
では切削抵抗が高くなり、4%を越えると加工面粗さが
劣化するほか、加工中に飛散する黒鉛粉による環境汚染
が著しくなる。また、過大な炭素の含有は、基地中への
炭素の過飽和な固溶を促し、熱膨張係数増加の原因とな
る。そこで、炭素添加量を被削性改善に必要な量に制限
する。それと同時に、後述する図2から明らかなよう
に、C添加量およびCo添加量によって熱膨張係数の最
小値が変化するので、Co添加量とともにC添加量を制
限する。以上を満足させるため、Cは0.5%超〜1.
5%未満とした。
基地の固溶限度を越える炭素が過飽和に固溶している。
この過飽和の程度は全炭素量に比例し、 固溶炭素=固溶限度炭素+過飽和炭素 で構成され、全炭素量から固溶炭素を引いた分の炭素は
黒鉛として析出している。例えば、CおよびSiをそれ
ぞれ2%前後含有する低熱膨張鋳鉄では、黒鉛の容積率
は概ね4〜7%である。このような低熱膨張鋳鉄はスー
パーインバーと比較すると切削性が改善されているが、
これは組織中に存在する黒鉛により、工具との摩擦抵抗
が小さくなり、また切削により生ずる切り屑がつながる
ことなく細かく分断されるためである。本発明者は、切
削性と黒鉛容積率の関係を調べた結果、後述する実施例
の図1に示すように、黒鉛容積率が1〜4%において、
切削抵抗が低く、かつ加工面粗さが細かい良好な切削性
を示すことがわかった。すなわち、黒鉛容積率1%未満
では切削抵抗が高くなり、4%を越えると加工面粗さが
劣化するほか、加工中に飛散する黒鉛粉による環境汚染
が著しくなる。また、過大な炭素の含有は、基地中への
炭素の過飽和な固溶を促し、熱膨張係数増加の原因とな
る。そこで、炭素添加量を被削性改善に必要な量に制限
する。それと同時に、後述する図2から明らかなよう
に、C添加量およびCo添加量によって熱膨張係数の最
小値が変化するので、Co添加量とともにC添加量を制
限する。以上を満足させるため、Cは0.5%超〜1.
5%未満とした。
【0010】(2)珪素Si 珪素は鋳造性の改善および黒鉛化の促進効果があるので
添加する。0.5%未満ではその効果が不十分であり、
1.5%超では熱膨張係数を増加させるので、Siは
0.5%〜1.5%とした。以上のようなC、Si量の
調整および後述する熱処理を行っても基地中にはなお少
なくとも固溶限度である0.15%〜0.3%の炭素が
固溶している。
添加する。0.5%未満ではその効果が不十分であり、
1.5%超では熱膨張係数を増加させるので、Siは
0.5%〜1.5%とした。以上のようなC、Si量の
調整および後述する熱処理を行っても基地中にはなお少
なくとも固溶限度である0.15%〜0.3%の炭素が
固溶している。
【0011】(3)Ni、Co 本発明者は、このような基地中の炭素の存在により、最
も低熱膨張となるNi、Co量が、従来の低熱膨張鋳造
合金が採用しているスーパーインバー組成と異なり、後
述する実施例の図2に示すような関係にあることを見出
した。図2は、Ni+Coを37%にしたときの20〜
100℃平均熱膨張係数と各C%におけるCo量(wt
%)との関係を示すグラフである。図2に示すように、
C量によって最小の熱膨張係数が得られるCo量が変化
する。この図より、C量が多い場合でも熱膨張係数の最
小値を、添加すべきCo量を適正に調整することによっ
て、十分に小さい範囲に抑制できることがわかる。そし
て、このCo量は、C〓0%のとき約5%であり、この
組成はスーパーインバーに相当する。また、本発明のC
の範囲、すなわち0.5%超、1.5%未満において、
0.5%付近の低C域では約8.5%Coであり、6.
5%Co以下では従来の低熱膨張鋳造合金との熱膨張係
数の差がほとんどなくなる。また、1.5%付近の高C
域では約12.5%Coであり、13%を超えると、従
来の低熱膨張鋳鉄の熱膨張係数(3×10-6/℃)に近
づく。すなわち、図2より、使用目的に応じたC組成に
対して最小の熱膨張係数を得るためには、Co量とC量
の関係が、前記式のとおり、 5C+4.0≦Co≦5C+5.5(但し、0.5<C
<1.5) を満足する必要がある。
も低熱膨張となるNi、Co量が、従来の低熱膨張鋳造
合金が採用しているスーパーインバー組成と異なり、後
述する実施例の図2に示すような関係にあることを見出
した。図2は、Ni+Coを37%にしたときの20〜
100℃平均熱膨張係数と各C%におけるCo量(wt
%)との関係を示すグラフである。図2に示すように、
C量によって最小の熱膨張係数が得られるCo量が変化
する。この図より、C量が多い場合でも熱膨張係数の最
小値を、添加すべきCo量を適正に調整することによっ
て、十分に小さい範囲に抑制できることがわかる。そし
て、このCo量は、C〓0%のとき約5%であり、この
組成はスーパーインバーに相当する。また、本発明のC
の範囲、すなわち0.5%超、1.5%未満において、
0.5%付近の低C域では約8.5%Coであり、6.
5%Co以下では従来の低熱膨張鋳造合金との熱膨張係
数の差がほとんどなくなる。また、1.5%付近の高C
域では約12.5%Coであり、13%を超えると、従
来の低熱膨張鋳鉄の熱膨張係数(3×10-6/℃)に近
づく。すなわち、図2より、使用目的に応じたC組成に
対して最小の熱膨張係数を得るためには、Co量とC量
の関係が、前記式のとおり、 5C+4.0≦Co≦5C+5.5(但し、0.5<C
<1.5) を満足する必要がある。
【0012】この式は以下のようにして導いたものであ
る。図2より、熱膨張係数の最小値a点、b点、c点、
d点をそれぞれ結ぶ線は厳密には2次曲線となるが、簡
単のため、直線a−b、b−c、c−dから平均の1次
関数としてあらわし、これにCoの許容範囲を設定した
ものである。すなわち、平均の1次関数は、Co=5C
+5(%)であらわされ、許容範囲として+0.5%、
−1.0%を設定したものである。本発明においてはC
が0.5%超〜1.5%未満の低C域から高C域の範囲
でCo量を調整することにより使用目的に応じた低熱膨
張性、被削性、鋳造性、振動減衰性を有する低熱膨張鋳
造合金を得ることにあるので、低C域を中心とする、あ
るいは高C域を中心とする、それぞれの特性を有する低
熱膨張鋳造合金が上記の式から簡単に求めることがで
きる。以上の結果より、Coは6.5%超、13%以下
が適正範囲であることが分かる。
る。図2より、熱膨張係数の最小値a点、b点、c点、
d点をそれぞれ結ぶ線は厳密には2次曲線となるが、簡
単のため、直線a−b、b−c、c−dから平均の1次
関数としてあらわし、これにCoの許容範囲を設定した
ものである。すなわち、平均の1次関数は、Co=5C
+5(%)であらわされ、許容範囲として+0.5%、
−1.0%を設定したものである。本発明においてはC
が0.5%超〜1.5%未満の低C域から高C域の範囲
でCo量を調整することにより使用目的に応じた低熱膨
張性、被削性、鋳造性、振動減衰性を有する低熱膨張鋳
造合金を得ることにあるので、低C域を中心とする、あ
るいは高C域を中心とする、それぞれの特性を有する低
熱膨張鋳造合金が上記の式から簡単に求めることがで
きる。以上の結果より、Coは6.5%超、13%以下
が適正範囲であることが分かる。
【0013】図3は、後述する実施例のうちC量が本発
明範囲内のものについて、Ni+Co量と20〜100
℃平均熱膨張係数の関係を示したものである。図3よ
り、従来の低熱膨張鋳鉄より小さな熱膨張係数の得られ
る範囲は、Ni+Co量が33.0%〜40.0%未満
であることがわかる。好ましくは、34.0%〜39.
0%である。なお、Co量、Ni+Co量を上記範囲と
してもNi量が25.0%未満、32.0%超では目的
とする熱膨張係数が得られないので、Niは25.0%
〜32.0%の範囲に限定する必要がある。以上より、
本発明のC量において、非常に低い熱膨張係数を得るた
めには、Niを25.0%〜32.0%、Coは6.5
%超〜13%で規定される範囲で、更に、Ni+Coを
33.0%〜40.0%未満の範囲に限定する。
明範囲内のものについて、Ni+Co量と20〜100
℃平均熱膨張係数の関係を示したものである。図3よ
り、従来の低熱膨張鋳鉄より小さな熱膨張係数の得られ
る範囲は、Ni+Co量が33.0%〜40.0%未満
であることがわかる。好ましくは、34.0%〜39.
0%である。なお、Co量、Ni+Co量を上記範囲と
してもNi量が25.0%未満、32.0%超では目的
とする熱膨張係数が得られないので、Niは25.0%
〜32.0%の範囲に限定する必要がある。以上より、
本発明のC量において、非常に低い熱膨張係数を得るた
めには、Niを25.0%〜32.0%、Coは6.5
%超〜13%で規定される範囲で、更に、Ni+Coを
33.0%〜40.0%未満の範囲に限定する。
【0014】(4)Ca、Mg、Ti また、本発明合金の付加的作用として、後述する実施例
の図6に示すように、Ca、Mg、Tiの添加量を調整
することにより、黒鉛形状が片状〜芋虫状〜球状に変化
し、用途に応じた特性を得ることができる。すなわち、
片状黒鉛であれば高い振動減衰性が、芋虫状黒鉛であれ
ば中庸の強度と振動減衰性が、球状黒鉛であれば高強度
と高延性が得られる。このために、黒鉛球状化作用のあ
るMg及び/又はCaを0.2%以下、黒鉛芋虫状化作
用のあるTiを0.2%以下とする。
の図6に示すように、Ca、Mg、Tiの添加量を調整
することにより、黒鉛形状が片状〜芋虫状〜球状に変化
し、用途に応じた特性を得ることができる。すなわち、
片状黒鉛であれば高い振動減衰性が、芋虫状黒鉛であれ
ば中庸の強度と振動減衰性が、球状黒鉛であれば高強度
と高延性が得られる。このために、黒鉛球状化作用のあ
るMg及び/又はCaを0.2%以下、黒鉛芋虫状化作
用のあるTiを0.2%以下とする。
【0015】(5)Mn Mnはその脱酸効果により鋳造品の健全性を高めるので
添加するが、1.0%超では熱膨張係数の増加が無視で
きなくなるので、1.0%以下とする。
添加するが、1.0%超では熱膨張係数の増加が無視で
きなくなるので、1.0%以下とする。
【0016】(6)熱処理 熱処理に当たっては、図4の熱処理温度と基地中の固溶
炭素との関係をあらわす模式図に示すように、図中の曲
線の鋳造状態において、基地中には過飽和の炭素が固
溶しているので、曲線のように加熱し、更に直線に
従って急冷することにより、過飽和に固溶している基地
中の固溶炭素が微細黒鉛として析出するため基地中の固
溶炭素濃度が低下することがわかる。また、のように
熱処理温度から急冷することにより、鋳造時に生じたN
i、Coのミクロ偏析が緩和するため熱膨張係数が低下
する。この効果のためには、熱処理温度600℃未満で
は偏析緩和効果が少なく、熱処理温度950℃を超える
と、基地中の固溶炭素濃度が再び高くなり、いずれも熱
膨張係数を増大させるので、熱処理温度は600〜95
0℃とした。また、熱処理後徐冷すると、偏析緩和効果
が減ずるので、加熱後の冷却を急冷とすることが望まし
い。なお、急冷に当たっては空冷、油冷、水冷のいずれ
の方法を用いてもよい。
炭素との関係をあらわす模式図に示すように、図中の曲
線の鋳造状態において、基地中には過飽和の炭素が固
溶しているので、曲線のように加熱し、更に直線に
従って急冷することにより、過飽和に固溶している基地
中の固溶炭素が微細黒鉛として析出するため基地中の固
溶炭素濃度が低下することがわかる。また、のように
熱処理温度から急冷することにより、鋳造時に生じたN
i、Coのミクロ偏析が緩和するため熱膨張係数が低下
する。この効果のためには、熱処理温度600℃未満で
は偏析緩和効果が少なく、熱処理温度950℃を超える
と、基地中の固溶炭素濃度が再び高くなり、いずれも熱
膨張係数を増大させるので、熱処理温度は600〜95
0℃とした。また、熱処理後徐冷すると、偏析緩和効果
が減ずるので、加熱後の冷却を急冷とすることが望まし
い。なお、急冷に当たっては空冷、油冷、水冷のいずれ
の方法を用いてもよい。
【0017】
【実施例】次に、本発明の実施例について述べる。30
KVA高周波誘導溶解炉により、次の表1に示す化学組
成の供試材No. 1〜16の合金を溶解、鋳造し、φ35
mm×L220mmの丸棒を得た。供試材No. 2、5、1
2、15については、φ100mm×L400mmの丸棒を
も同時に鋳造した。なお、供試材No. 17はφ35mmお
よびφ100mmの鍛造材丸棒を使用した。表1に各供試
材No. 1〜17の化学分析値(重量%)を示す。なお、
No. 1〜7は本発明例、No. 8〜14は比較例、No. 1
5〜17は従来例を、但しNo. 16は本出願人による前
出の特開昭63−162841号公報に記載の低熱膨張
鋳造合金を、No. 17はスーパーインバーを示す。
KVA高周波誘導溶解炉により、次の表1に示す化学組
成の供試材No. 1〜16の合金を溶解、鋳造し、φ35
mm×L220mmの丸棒を得た。供試材No. 2、5、1
2、15については、φ100mm×L400mmの丸棒を
も同時に鋳造した。なお、供試材No. 17はφ35mmお
よびφ100mmの鍛造材丸棒を使用した。表1に各供試
材No. 1〜17の化学分析値(重量%)を示す。なお、
No. 1〜7は本発明例、No. 8〜14は比較例、No. 1
5〜17は従来例を、但しNo. 16は本出願人による前
出の特開昭63−162841号公報に記載の低熱膨張
鋳造合金を、No. 17はスーパーインバーを示す。
【0018】
【表1】
【0019】各供試材No. 1〜16のφ35mm丸棒を用
いて、鋳造まま、及び850℃から水冷した状態の20
〜100℃間の熱膨張係数を測定し、その結果を表2に
示す。なお、No. 17は焼きなまし状態にて同様の測定
を行った。
いて、鋳造まま、及び850℃から水冷した状態の20
〜100℃間の熱膨張係数を測定し、その結果を表2に
示す。なお、No. 17は焼きなまし状態にて同様の測定
を行った。
【0020】
【表2】
【0021】また、切削性と黒鉛容積率の関係を調べる
ため、供試材No. 2、5、12、15、17のφ100
mm丸棒を用いて、表3に示す切削条件で被削性を測定し
た。その供試材No. 2、5、12、15、17の黒鉛容
積率(vol %)、切削抵抗(kg f)及び加工面粗さ(R
max :μm)を表4に示す。
ため、供試材No. 2、5、12、15、17のφ100
mm丸棒を用いて、表3に示す切削条件で被削性を測定し
た。その供試材No. 2、5、12、15、17の黒鉛容
積率(vol %)、切削抵抗(kg f)及び加工面粗さ(R
max :μm)を表4に示す。
【0022】
【表3】
【表4】
【0023】図1は、表4の切削抵抗と加工面粗さに及
ぼす黒鉛容積率の影響を調べるために求めた、切削抵抗
(kg f)及び加工面粗さ(μm)の各々と黒鉛容積率
(vol%)との関係を示すグラフである。図1に示すよ
うに、切削抵抗が低くかつ加工面粗さが小さい良好な切
削性を示す黒鉛容積率は、1〜4%であることが明らか
である。
ぼす黒鉛容積率の影響を調べるために求めた、切削抵抗
(kg f)及び加工面粗さ(μm)の各々と黒鉛容積率
(vol%)との関係を示すグラフである。図1に示すよ
うに、切削抵抗が低くかつ加工面粗さが小さい良好な切
削性を示す黒鉛容積率は、1〜4%であることが明らか
である。
【0024】表2の熱膨張係数の結果から明らかなよう
に、本発明合金No. 1〜7の熱膨張係数は鋳造ままの時
1.3〜2.5(×10-6/℃)、水冷時0.5〜2.
0(×10-6/℃)であり、一方、比較例はNo. 12を
除きNo. 8〜14は鋳造ままの時3.2〜5.0(×1
0-6/℃)、水冷時2.6〜4.2(×10-6/℃)と
本発明合金の方が熱膨張係数が小さくなっている。比較
例No. 12は熱膨張係数の点では本発明合金と遜色がな
いが、表4に示すように切削抵抗が高く、また図5に示
すように切り屑が螺旋状連続屑であり、被削性が劣る。
また、従来例のNo. 15、16の熱膨張係数は鋳造まま
の時3.4、2.3(×10-6/℃)、水冷時3.6、
1.6(×10-6/℃)であり、本発明合金の熱膨張係
数は従来の低熱膨張鋳造合金より小さく、また、本発明
合金No. 1のように適正な組成においては、No. 17の
スーパーインバーとほぼ同等の値が得られることがわか
る。
に、本発明合金No. 1〜7の熱膨張係数は鋳造ままの時
1.3〜2.5(×10-6/℃)、水冷時0.5〜2.
0(×10-6/℃)であり、一方、比較例はNo. 12を
除きNo. 8〜14は鋳造ままの時3.2〜5.0(×1
0-6/℃)、水冷時2.6〜4.2(×10-6/℃)と
本発明合金の方が熱膨張係数が小さくなっている。比較
例No. 12は熱膨張係数の点では本発明合金と遜色がな
いが、表4に示すように切削抵抗が高く、また図5に示
すように切り屑が螺旋状連続屑であり、被削性が劣る。
また、従来例のNo. 15、16の熱膨張係数は鋳造まま
の時3.4、2.3(×10-6/℃)、水冷時3.6、
1.6(×10-6/℃)であり、本発明合金の熱膨張係
数は従来の低熱膨張鋳造合金より小さく、また、本発明
合金No. 1のように適正な組成においては、No. 17の
スーパーインバーとほぼ同等の値が得られることがわか
る。
【0025】図3は、本実施例のうちC量が0.53〜
1.41%(本発明範囲内)のものについて、Ni+C
o量と20〜100℃平均熱膨張係数の関係を示したも
のである。図3より、従来の低熱膨張鋳鉄より小さな熱
膨張係数の得られる範囲は、Ni+Co量が33.0%
〜40.0%未満であることがわかる。なお、Co量、
Ni+Co量を上記範囲としてもNi量が25.0%未
満、32.0%超では目的とする熱膨張係数が得られな
いので、Niでは25.0%〜32.0%の範囲に限定
する必要があることがわかった。
1.41%(本発明範囲内)のものについて、Ni+C
o量と20〜100℃平均熱膨張係数の関係を示したも
のである。図3より、従来の低熱膨張鋳鉄より小さな熱
膨張係数の得られる範囲は、Ni+Co量が33.0%
〜40.0%未満であることがわかる。なお、Co量、
Ni+Co量を上記範囲としてもNi量が25.0%未
満、32.0%超では目的とする熱膨張係数が得られな
いので、Niでは25.0%〜32.0%の範囲に限定
する必要があることがわかった。
【0026】図5は表4の供試材No. 2、5、12、1
5、17の切り屑の外観の説明図である。図5に示すよ
うに、本発明合金のNo. 2、5の切り屑の外観は連結し
ない小片であり、比較例のNo. 12及び従来例のNo. 1
7の切り屑の外観は共に螺旋状連続屑であり、従来例の
No. 15は小片状屑を呈している。また、表4に示すよ
うに、本発明合金のNo. 2、5は、それぞれ1.2、
3.8vol %の適正な黒鉛容積率を有し、その場合、切
削抵抗は103、91(kg f)、加工面粗さは10.
3、13.6(Rmax :μm)であり、比較例のNo. 1
2及び従来例のNo. 17に比べ、切り屑処理性にも優れ
バランスのとれた被削性を有していることは明らかであ
る。
5、17の切り屑の外観の説明図である。図5に示すよ
うに、本発明合金のNo. 2、5の切り屑の外観は連結し
ない小片であり、比較例のNo. 12及び従来例のNo. 1
7の切り屑の外観は共に螺旋状連続屑であり、従来例の
No. 15は小片状屑を呈している。また、表4に示すよ
うに、本発明合金のNo. 2、5は、それぞれ1.2、
3.8vol %の適正な黒鉛容積率を有し、その場合、切
削抵抗は103、91(kg f)、加工面粗さは10.
3、13.6(Rmax :μm)であり、比較例のNo. 1
2及び従来例のNo. 17に比べ、切り屑処理性にも優れ
バランスのとれた被削性を有していることは明らかであ
る。
【0027】また、図6の(1)、(2)、(3)にN
o. 5、6、7発明合金の黒鉛形状をそれぞれ示すミク
ロ組織の金属顕微鏡(×100)写真の写しを示す。図
6に示すように、本発明合金No. 5は球状化作用のある
Mg及びCaを添加し、球状黒鉛を有するミクロ組織
((1)図)であり、本発明合金No. 6は一旦球状化し
た黒鉛をTiによって芋虫状としたミクロ組織((2)
図)であり、本発明合金No. 7はMg、Ca、Tiを添
加せず、片状黒鉛を有するミクロ組織((3)図)であ
る。このように、Ca、Mg、Tiの含有量を調整する
ことにより、用途に応じた黒鉛形状を得られることがわ
かる。
o. 5、6、7発明合金の黒鉛形状をそれぞれ示すミク
ロ組織の金属顕微鏡(×100)写真の写しを示す。図
6に示すように、本発明合金No. 5は球状化作用のある
Mg及びCaを添加し、球状黒鉛を有するミクロ組織
((1)図)であり、本発明合金No. 6は一旦球状化し
た黒鉛をTiによって芋虫状としたミクロ組織((2)
図)であり、本発明合金No. 7はMg、Ca、Tiを添
加せず、片状黒鉛を有するミクロ組織((3)図)であ
る。このように、Ca、Mg、Tiの含有量を調整する
ことにより、用途に応じた黒鉛形状を得られることがわ
かる。
【0028】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、スーパー
インバーに匹敵するような小さい熱膨張係数でかつ被削
性に優れた低熱膨張鋳造合金から、従来の低熱膨張鋳鉄
に匹敵する被削性、鋳造性、振動減衰性でかつより小さ
い熱膨張係数が得られる低熱膨張鋳造合金まで、使用目
的に応じた特性を有する低熱膨張鋳造合金を得ることが
できる。
インバーに匹敵するような小さい熱膨張係数でかつ被削
性に優れた低熱膨張鋳造合金から、従来の低熱膨張鋳鉄
に匹敵する被削性、鋳造性、振動減衰性でかつより小さ
い熱膨張係数が得られる低熱膨張鋳造合金まで、使用目
的に応じた特性を有する低熱膨張鋳造合金を得ることが
できる。
【図1】切削抵抗と加工面粗さに及ぼす黒鉛容積率の影
響を表すグラフである。
響を表すグラフである。
【図2】20〜100℃平均熱膨張係数と各炭素量にお
けるCo量(wt %)との関係を表すグラフである。
けるCo量(wt %)との関係を表すグラフである。
【図3】20〜100℃平均熱膨張係数とNi+Co量
(wt %)との関係を表すグラフである。
(wt %)との関係を表すグラフである。
【図4】熱処理温度と基地中の固溶炭素との関係を表す
模式図である。
模式図である。
【図5】各供試材における切り屑の外観の比較図であ
る。
る。
【図6】本発明合金の黒鉛形状をそれぞれ示すミクロ組
織の金属顕微鏡写真の写しである。
織の金属顕微鏡写真の写しである。
Claims (5)
- 【請求項1】 化学組成が重量%で、C:0.5%超〜
1.5%未満、Si:0.5%〜1.5%、Mn:1.
0%以下、Ni:25.0%〜32.0%、Co:6.
5%超〜13.0%からなり、かつ前記組成においてN
i+Coの範囲が33.0%〜40.0%未満、残部は
鉄及び不可避的元素からなる低熱膨張鋳造合金の製造方
法において、 前記低熱膨張鋳造合金を600〜950℃の温度範囲で
加熱後、急冷することにより、20〜100℃の平均熱
膨張係数を3×10-6/℃以下にすることを特徴とする
低熱膨張鋳造合金の製造方法。 - 【請求項2】 化学組成が重量%で、C:0.5%超〜
1.5%未満、Si:0.5%〜1.5%、Mn:1.
0%以下、Ni:25.0%〜32.0%、Co:6.
5%超〜13.0%、Mg及び/又はCa:0.2%以
下、Ti:0.2%以下からなり、かつ前記組成におい
てNi+Coの範囲が33.0%〜40.0%未満、残
部は鉄および不可避的元素からなる低熱膨張鋳造合金の
製造方法において、 前記低熱膨張鋳造合金を600〜950℃の温度範囲で
加熱後、急冷することにより、20〜100℃の平均熱
膨張係数を3×10-6/℃以下にすることを特徴とする
低熱膨張鋳造合金の製造方法。 - 【請求項3】 化学組成が重量%で、C:0.5%超〜
1.5%未満、Si:0.5%〜1.5%、Mn:1.
0%以下、Ni:25.0%〜32.0%からなり、か
つ前記組成においてNi+Coの範囲が33.0%〜4
0.0%未満、残部は鉄および不可避的元素からなる低
熱膨張鋳造合金の製造方法において、 CとCoの関係が、5C+4.0≦Co≦5C+5.5
%を満たすようにCoを添加することにより、使用目的
に応じた低熱膨張性、被削性、鋳造性、振動減衰性を得
ることを特徴とする低熱膨張鋳造合金の製造方法。 - 【請求項4】 化学組成が重量%で、C:0.5%超〜
1.5%未満、Si:0.5%〜1.5%、Mn:1.
0%以下、Ni:25.0%〜32.0%、Mg及び/
又はCa:0.2%以下、Ti:0.2%以下からな
り、かつ前記組成においてNi+Coの範囲が33.0
%〜40.0%未満、残部は鉄および不可避的元素から
なる低熱膨張鋳造合金の製造方法において、 CとCoの関係が、5C+4.0≦Co≦5C+5.5
%を満たすようにCoを添加することにより、使用目的
に応じた低熱膨張性、被削性、鋳造性、振動減衰性を得
ることを特徴とする低熱膨張鋳造合金の製造方法。 - 【請求項5】 前記低熱鋳造合金を600〜950℃の
温度範囲で加熱後、急冷することを特徴とする請求項3
又は4記載の低熱膨張鋳造合金の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10279881A JP3141288B2 (ja) | 1998-10-01 | 1998-10-01 | 低熱膨張鋳造合金の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10279881A JP3141288B2 (ja) | 1998-10-01 | 1998-10-01 | 低熱膨張鋳造合金の製造方法 |
Related Parent Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP22742089A Division JP2897031B2 (ja) | 1989-09-04 | 1989-09-04 | 低熱膨張鋳造合金 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11158542A JPH11158542A (ja) | 1999-06-15 |
| JP3141288B2 true JP3141288B2 (ja) | 2001-03-05 |
Family
ID=17617245
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10279881A Expired - Lifetime JP3141288B2 (ja) | 1998-10-01 | 1998-10-01 | 低熱膨張鋳造合金の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3141288B2 (ja) |
-
1998
- 1998-10-01 JP JP10279881A patent/JP3141288B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH11158542A (ja) | 1999-06-15 |
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