JP3141426B2 - 鉛蓄電池用極板とその製造方法 - Google Patents

鉛蓄電池用極板とその製造方法

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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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  • Cell Electrode Carriers And Collectors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車用,産業用,民生
機器用に広く用いられている鉛蓄電池の極板とその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、特に鉛蓄電池のメンテナンスフリ
ー化の要望が高まるにつれて自己放電や減液の原因とな
っているアンチモンを含まない合金を格子に用いる鉛蓄
電池が開発されてきた。
【0003】そのなかで最も実用性に富む電池系は、格
子合金に鉛−カルシウム−錫系合金を用いた、いわゆる
カルシウムタイプである。
【0004】このカルシウムタイプの電池では歴史的に
従来の格子が鋳造方式で作られてきた背景もあって鋳造
方式で試みられてきたが、格子の鋳造性に難点があった
り耐食性に問題があったりして現在では厚手の鋳造体を
多段の圧延ローラで圧延して連続シートを形成し、これ
を俗にエキスパンドと呼ばれる機械的な網状展開方法を
適用して網状体にし、これを格子に用いる方法が採用さ
れている。
【0005】これらの合金の耐食性はもとより当然これ
らの工法や生産性に関連してきびしい選択がおこなわれ
た。
【0006】まず第一に耐食性についてはこの種の合金
の基本的な固溶体の性質からカルシウム含有量を0.1
0wt%(以下%)、特に0.15%を超えると極端に腐
食がおおきくなるという鋳造合金での試験結果があるだ
けでなく、自動車用等に実用されて激しい腐食のトラブ
ルに遭遇している。これらの事実に基づき、一般に0.
10%を越える領域は危険領域とされてきたのが実態で
ある。
【0007】一方工法上の課題は、スラブ圧延の時にシ
ートにクラックが発生したり、エキスパンド加工しても
骨が至る所で破断してしまうことである。カルシウムの
含有量は合金の延展性に大きな影響を与え、たとえばカ
ルシウムの含有量が0.05〜0.07%程度では破断
伸度(ひっぱって切れるまでの元の寸法に対する延びた
寸法の比率)が約20%と大きく、延びやすいのに対し
て0.10%を越える領域ではせいぜい7〜8%と低
く、このことは後者の場合、圧延段階ではクラックの発
生、エキスパンド加工の段階では骨切れや骨折れがおこ
りやすいことにつながる。
【0008】これらの理由で従来カルシウムについては
0.02%以上0.1%以下、錫については0.3%以
上2.0%以下の領域が適切な組成領域とされ、このマ
トリックス範囲内においてさらに加工のしやすさを求め
て適切な錫/カルシウム比率5〜7が紹介され、格子を
強くする数々の添加成分やまた熱処理によって時効硬化
をさせて用いる技術も提案された。
【0009】そして現実にはほとんどエキスパンド格子
の場合カルシウムの含有量は0.07%程度を用いるの
が常識になっている。このようにして登場したカルシウ
ムタイプのエキスパンド格子を用いる鉛蓄電池は、従来
のアンチモン系合金格子を用いた電池に代わって、多く
の自動車に適用され新しいメンテナンスフリーのバッテ
リーとして認識され開発された組成も工法もその当時は
まったく問題がなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところがここ数年来、
エンジンの高効率やターボチャージャーの採用、エンジ
ンルーム内の集密化などのほか、道路の渋滞の増加もて
つだって、バッテリーの環境は従来経験しなかった75
℃を越える程に高温度になるのもしばしばであり、中に
は90℃を越えることもある。
【0011】そこでは従来発生しなかった種類の電池の
短寿命が発生する傾向が生じつつある。この原因は主に
は高温度下で使用することによる格子の腐食や伸びが発
端になり、活物質と格子との間に剥離も生じることが明
らかになった。
【0012】このことは基本的に合金の強度に関する問
題であるので、改めて強度の強い格子のあり方を求めな
ければならなくなった。すなわちメンテナンスフリー性
にすぐれ生産性も高い鉛−カルシウム−錫系合金のエキ
スパンド格子の利点を生かしつつこの厳しい高温度の環
境の中での格子の伸びやそれに伴う剥離を防ぐ技術が今
後のメンテナンスフリー時代への対応として必要になっ
てきたのである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題に対して本発明
はあえて従来時に腐食の観点から避けてきたカルシウム
含有量が重量比で0.10%を越える合金領域に挑戦
し、この領域でもクラックを発生することなく圧延で
き、また骨の破断もないエキスパンド加工が可能である
ことおよびそれで得られた格子が延びに強く、また耐食
性も優れているという発見に至ったのである。
【0014】すなわち基本構成としてはカルシウム含有
量が重量比で0.10%を超える鉛−カルシウム−錫系
合金の基板を鋳造後、圧延工程によってえられた緻密で
積層状の結晶構造をそなえた連続シートのエキスパンド
加工体を格子に用いることを特徴とする鉛蓄電池用極板
を開示するものである。
【0015】また上記の加工を障害なく行うのに適切な
いくつかの工夫の中でもっとも効果的な製造法として鉛
−カルシウム−錫系合金の鋳造工程,圧延工程,エキス
パンド加工工程,ペースト塗着工程を備え一連の工程の
なかで、この圧延工程において鋳造体を多段の圧延ロー
ラで段階的に連続シート状に圧延する方法をとると共
に、少なくとも一つの段階において圧延されてローラか
ら出て行く被圧延物体の進行速度/圧延ローラの線速度
(先進比という)を1より大きくしてローラを遅らせな
がら圧延していく方法を明らかにしたものである。さら
にこの先進比は1.05以上1.20以下が実用性の高
い領域であること、さらにはこの多段の圧延のいずれか
の段階で先進比を1より小さくし、スリップさせながら
圧延する方法を併用することが効果的であることを明ら
かにする。また伸びにくい合金シートをうまく活用する
別の方法として、熱処理をしないでエキスパンド加工
し、その後に熱処理して硬化させる製造法についても開
示する。
【0016】
【作用】腐食性の激しいPb3Caという金属間化合物
が生成されてくるカルシウム0.10重量%よりわずか
に多い領域では、合金の抗張力がカルシウムの少ない領
域に対して2倍近い値となり、機械的強度を持たせる基
本的性質をそなえている。この領域のカルシウム含有量
になると一般的に耐食性に劣ると言われているが、その
領域であっても圧延処理し、結晶形態を緻密な積層状と
することにより高温度の使用に耐える耐食性をもたせる
ことができることを見い出した。
【0017】従来適切な圧延やエキスパンド加工が難し
い領域であっただけにこの組成領域の耐食性については
ほとんど情報がなく、粒界の大きな鋳造試片による試験
結果がほとんどあったので、どのようにしてこの領域の
合金の耐食性を改善できるかについてはわかっているよ
うで実際には十分に解明されていなかった。
【0018】このような耐食効果は、錫の少ない領域で
も見られるが錫の含有量0.5%以上では一層顕著にな
る。錫の含有量は耐食性には多くてもよいが高温度での
長期過放電放置の場合にはデンドライトの原因となるの
で基材部分に入れるには2%以内に留めるのがよいと思
われる。
【0019】先に述べたようにこのカルシウム0.1重
量%を越える領域は、圧延時のクラックの発生やエキス
パンド加工時の骨の破断がおこりやすい。この領域で適
切に加工を進める方法はいろいろある。たとえばゆっく
りと圧延やエキスパンド加工を進めるとか、200℃に
近い高温度で圧延するとかの方法も可能である。錫の添
加量を選ぶこともそれを助長する。しかし生産性よく適
切な圧延をするには、従来通り多段の圧延ローラを用い
て一挙に微細結晶構造にまで圧延するのではなく、最大
でも元の厚さの1/2以下にしないように順次圧延して
行くことがまず大切である。さらに効果的な工夫は圧延
ローラの鏡面仕上げと回転速度の設定によって圧延物体
がローラから送り出されてくる速度/回転するローラの
線速度(先進比)を1より大きくし、適切な値を選ぶこ
とによって伸びにくい合金でもクラックの発生を抑制で
きる。この先進比は1.05以上1.20以下に調節す
ることが30m/分にもおよぶ高速圧延には効果的であ
る。この場合のメカニズムは詳細には明らかではない
が、ローラ速度を遅らせることによって表面より内部の
層を先行させることが圧延時のクラックの発生を防ぐよ
うである。
【0020】またこれでもクラックの発生がある時には
多段の圧延工程の一部においてローラを高速回転させて
スリップさせながら圧延する方法を併用することによっ
て改善される。このクラック防止効果は特にカルシウム
含有量の多い領域に限らず従来の含有量の少ない領域で
あっても生産速度を早めるとクラックが発生しやすくな
るので有効になる。
【0021】一方エキスパンド加工時の骨の破断防止に
ついては、基本的に圧延時にクラックが発生しなければ
あまり問題にならないが、圧延速度を早めるときおよび
カルシウム含有量が0.2重量%を越える場合はトラブ
ルが発生しやすい。普通は圧延後50〜100℃で数時
間以上熱処理して時効硬化させてからエキスパンド加工
するのであるが、カルシウムの含有量の増加ですでに加
工に耐える4〜5kg/mm2の抗張力があるときにはかえ
って熱処理は好ましくない。
【0022】しかしながら最終の抗張力は、格子の使用
中の伸びを抑制するのに必要であることから、エキスパ
ンド加工後に行ってもよい。この場合ペーストを塗着し
たあとで熟成乾燥と兼ねることもよい。
【0023】
【実施例】以下、実施例によって本発明の特徴を述べ
る。鉛−カルシウム−錫合金でのカルシウムの含有量、
錫の含有量のマトリクスを組み、合金基板を常法によっ
て連続鋳造し、これを多段のローラで圧延しこれを常法
によってエキスパンド加工して網状格子体とする。これ
に活物質ペーストを塗着して極板の形に成型し熟成乾燥
して未化成の極板を作り、この間の品位の観察をすると
ともにこれらを用いて5時間率容量48AH相当の電池を
作り、75℃の気相雰囲気中で充電条件14.0V最大
電流25Aの定電圧充電2時間、放電は25A1時間と
定めこれを1サイクルとして39サイクル毎に90℃で
310A放電し30秒目電圧が7.2V以下になったと
きを寿命とする試験を行った。
【0024】図1は従来の組成領域の格子を代表してカ
ルシウム含有量を0.07重量%(以下単に%とい
う)、錫含有量0.3%の場合の寿命回数を100と
し、各種格子の条件での寿命を指数で示したものであ
る。また寿命終了時点でのBの極板の格子の上下方向の
伸びの絶対値を図1にLとして併記した。これらにおい
て、A,B,Cはそれぞれ錫の量が0.3%,0.5
%,2.0%である。なお圧延速度は約30m/分にし
た。また広い組成範囲でクラックの発生がなく、格子が
形成するには先進比をおよそ1.1にする必要があっ
た。
【0025】DではAと同じ組成で圧延速度を55m/
分に増加させたものであり、クラックが発生したので8
段のローラのうち、5段目においてローラの回転速度,
圧延率,ローラのスプリング圧力などを調節し、逆にロ
ーラ側の線速度を高めスリップさせながら圧延してクラ
ックの発生をなくした。このシートを75℃で6時間熱
処理した後エキスパンド加工した場合の例である。
【0026】Eは熱処理をしないままにエキスパンド加
工し、活物質を充填したのち60℃以上で熟成乾燥を加
えた場合である。
【0027】ついでこの図に沿って本発明の効果を説明
する。A〜Cの結果は、従来のカルシウム0.1%以下
の領域に比べて本発明の0.1%を越える領域では従来
鋳造合金では腐食のために使用に耐えないと見捨てられ
てきたにもかかわらず、厳しい高温度の環境への耐久力
が大幅に向上することを示している。これはこのカルシ
ウムの高含有量の領域でも積層状の結晶構造をうまく作
りさえすれば、従来にも勝る耐久性を与えることができ
ることを示している。また錫の含有量はその耐久力を向
上するのに助けになっていることも示している。またL
との関係においては、この高温度環境に対する耐久力が
格子の伸びと深い関係を持っており、格子の強度そのも
のを本発明が改善したことを示す。
【0028】一方Dでは熱処理によって硬度を高めたシ
ートを無理やりエキスパンド加工すると、伸びそのもの
よりも骨にクラックを発生させ、かえって寿命を縮め
る。これに対しEはエキスパンド加工前に熱処理しない
で、加工後に熱処理することで改善できることを示す。
【0029】なお、本発明の重要な要素技術のひとつで
ある先進比については、クラックが発生しやすいカルシ
ウム含有量0.14%について先進比1.05〜1.2
0の範囲を適用したXと、1.05未満の場合のYとに
ついて、1000枚の極板当たりのクラック発生率とし
て図2に示した。このように生産スピードとの関係があ
って画一ではないが、およそ30〜60m/min前後の
生産圧延速度であれば、先進比は1.05〜1.20が
適当であろう。またこの設定は各ローラでの圧延率、材
料の送りこみ速度と厚さ、ローラの回転速度ロールスプ
リングなどで容易に調節できる。
【0030】この効果は骨格の基本に関するものであ
り、既存の添加物,不純物,表面処理などの補助的な技
術の併用で変わるものではなく、また極板が正極,負極
のいずれに適用されても、また電池のタイプとして液入
り電池,ガス吸収式シール電池のいずれかに適用しても
い。
【0031】
【発明の効果】上記の如く本発明はカルシウムタイプの
鉛合金格子を用いた鉛蓄電池の、高温下での格子の伸び
を抑制し、高温下での耐久力を著しく向上するものであ
って、近い将来ますます高温化する環境への対応力を増
したメンテナンスフリー鉛蓄電池を提供することができ
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種組成による格子を使った電池の高温耐久試
験の結果を示す図
【図2】圧延速度とクラック発生率との関係を示す図
【符号の説明】
A 本発明の実施例の特性を示し、錫の添加量が0.3
% B 本発明の実施例の特性を示し、錫の添加量が0.5
% C 本発明の実施例の特性を示し、錫の添加量が2.0
% D エキスパンド加工前に熱処理したもの E エキスパンド(加工機)熱処理したもの L 耐久試験後の格子の伸びの一例
フロントページの続き (72)発明者 星原 直人 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 鈴井 康彦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 米津 和吉 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 結城 正義 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/82 H01M 4/74

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシウム含有量が重量比で0.10%を
    越える鉛−カルシウム−錫系合金の基板をスラブ鋳造
    後、圧延工程においてスラブ鋳造体を多段の圧延ローラ
    で段階的に連続シート状に圧延すると共に、少なくとも
    一つの段階において被圧延物の進行速度に対し圧延ロー
    ラの線速度を小さくしながら圧延した連続シートのエキ
    スパンド加工された格子体を用いた鉛蓄電池用極板。
  2. 【請求項2】 錫の含有量が重量比で0.5%以上である
    請求項に記載の鉛蓄電池用極板。
  3. 【請求項3】 鉛−カルシウム−錫系合金のスラブ鋳造工
    程,圧延工程,エキスパンド加工工程およびペースト塗
    着工程を備え、前記圧延工程においてスラブ鋳造体を多
    段の圧延ローラで段階的に連続シート状に圧延すると共
    に少なくとも一つの段階において、圧延されてローラか
    ら出て行く被圧延物の進行速度に対し圧延ローラの線速
    度を小さくしながら圧延することを特徴とする鉛蓄電池
    用極板の製造方法。
  4. 【請求項4】 ローラから出て行く被圧延物の進行速度/
    圧延ローラの線速度の比(先進比という)を1.05以
    上1.20以下にした請求項に記載の鉛蓄電池用極板
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 少なくとも一つのローラにおいて先進比を
    1より小としスリップさせながら圧延する段階を混在さ
    せた請求項またはに記載の鉛蓄電池用極板の製造方
    法。
  6. 【請求項6】格子中のエキスパンド加工前に熱処理を行
    わず、エキスパンド加工後の工程で60〜100℃の領
    域で少なくとも6時間以上の熱処理を行う請求項3、
    または5に記載の鉛蓄電池用極板の製造方法。
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