JP3141441B2 - レーザーによるSiC結晶膜の形成法 - Google Patents

レーザーによるSiC結晶膜の形成法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はSiC単結晶薄膜の製造
方法に関し、より詳しくは、従来法より低い温度でSi
C単結晶薄膜を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、Siを用いたデバイスはめざまし
い発展をとげ、到る所で使用されるようになった。しか
し、Siデバイスは100℃前後の温度を超えると、正
常に動作することができず、過酷な環境で動作するデバ
イスとしては不適切であると考えられている。そこで過
酷な環境(例えば熱、放射線、化学薬品などのもとで)
においても正常に動作すると考えられるシリコンカーバ
イド(SiC)に注目し研究が行なわれてきた。SiC
にはおよそ、250種の結晶形があることが知られてお
り、このうち3C構造は電子デバイスに適しており、4
H、6H、15Rの各構造がLEDに適していることが
知られている。そしてかかる構造を持つSiC単結晶
は、従来、熱CVD法やプラズマCVD法により製造さ
れていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来用い
られてきた熱CVD法においては、単結晶薄膜の成長時
の温度が、1000〜1400℃と高いため、格子欠陥
や、界面不整合を起こしやすいという課題があるのみな
らず、一般的に基板として用いられるSi基板とSiC
の格子定数が、約1Å異なるため、Si基板上にSiC
がうまく積層せず、このため基板上に炭素源となるガス
を流しつつ、急加熱してバッファ層を形成する等の処置
を行っている。しかしながらバッファ層形成時の急加熱
は、基板温度を室温から1500℃付近まで、1分程度
で加熱するものであり、煩わしい作業であった。また、
プラズマCVD法を用いれば、プロセスの低温化は可能
であるが、作成した薄膜の表面をプラズマにより損傷さ
せてしまうという課題があった。さらにレーザーCVD
法を用いると、多結晶やアモルファス状態の薄膜しか得
られず、SiC単結晶を作成できなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、鋭
意検討の結果、レーザー光を励起源とし、該レーザー光
が基板を照射するようにしたレーザーCVD法により、
かかる課題が解決されることを見出し、本発明に到達し
た。すなわち本発明の目的は、SiCの単結晶薄膜を低
温で成長させることが可能で、格子欠陥や、界面不整合
を起こしにくく、かつバッファ層を基板上に生成させる
工程の不要な、SiC単結晶薄膜の製造方法を提供する
ことであり、かかる目的は炭素源及びシリコン源となる
原料ガスを含有する材料ガスを、基板上に送り、該基板
上において該原料ガスを分解させ、該基板上にSiCの
薄膜を成長させる方法において、該基板の温度が、20
〜800℃であり、該原料ガスの分解をレーザー光で行
い、かつ該レーザー光が該基板を照射することを特徴と
するSiC単結晶薄膜の製造方法、より詳しくは該レー
ザー光が、該基板に対し、45〜90°の角度で該基板
を照射する前記SiC単結晶薄膜の製造方法、により容
易に達成される。
【0005】以下、本発明をより詳細に説明する。
【0006】本発明に用いられる基板は所望するSiC
の結晶形と同じであれば特に問わないが所望するSiC
の格子定数と、基板の格子定数の差は小さい方が好まし
く、具体的には格子定数の差が、1Å以下であることが
好ましい。また、基板の結晶性は高いほど好ましい。具
体的には、例えば立方晶の3C−SiCの場合には、S
i単結晶基板が、結晶性が高く大口径の基板を容易に入
手できるため用いられる。また本発明の方法は基板温度
が従来の製造方法よりかなり低温であるため、高温で分
解しやすいGaAs等のIII−V族化合物の基板も使
用できるようになった。基板の面方位については特に問
わないが、低指数の面が好ましい。
【0007】以下の文において原料ガスとは炭素源ガス
及びシリコン源ガス、材料ガスとは原料ガス及びキャリ
アガスその他必要に応じドーパントガス等を含み、薄膜
成長時に供給されるガスを意味する。
【0008】本発明に使用される装置の1例を、図1に
示す。図1の装置は、実際に実施例にて用いたものでも
ある。反応室1は真空ポンプ2により減圧され、反応室
1中には、その上に薄膜を成長させるための基板3が、
その表面にレーザー光が照射されるようにステージ4上
に載置される。ステージ4は、ヒーター5により所望の
温度に加熱され、その結果基板3も加熱される。基板3
が所望の温度に加熱された後、材料ガス供給管6より、
炭素源ガスとシリコン源ガスよりなる原料ガスとキャリ
アガスを主成分とする材料ガスが供給される。供給され
た原料ガスは基板上にて、ウィンドウ9を通って反応室
1内に導入されたレーザー光により照射され、光分解さ
れ、基板3とおなじ結晶形のSiC単結晶薄膜として堆
積、成長する。このときウインドウ9が、生成したSi
やCが付着することにより曇ってしまい、レーザー光の
透過率を下げてしまうことのないよう、シールドガス供
給管10より、Arガスのような、不活性気体を供給す
ることにより、生成したSiやCをウィンドウ9に近寄
らせなくすることが好ましい。
【0009】従来SiC単結晶薄膜をレーザーCVD法
により製造する試みでは、基板に対しレーザー光が水平
に照射されており、基板自身にレーザー光が照射される
ことはなく、またSiCの多結晶やアモルファスは得ら
れたが、単結晶薄膜を得ることは出来なかった。それに
対し本発明では、基板自身にレーザー光が照射されるこ
とによって驚くべきことに、SiC単結晶薄膜が容易に
得られるようになったのである。以下に製造条件につ
き、詳細に説明する。
【0010】本発明に用いられる原料ガスは、分解エネ
ルギーや、吸収係数、多重光子吸収等を考慮し、用いる
レーザー光に分解され、炭素源及び/又はシリコン源と
して使用できるものを選択すればよく、特に限定されな
いが、例えばArFエキシマレーザーであれば、シリコ
ン源ガスとしてSi26、SiH3Cl、SiH2
2、SiHCl3等が好ましく、炭素源ガスとしては、
CH4、C26、C38,C22、C24等が好まし
く、特に好ましくはC22、C24である。
【0011】本発明に用いられるレーザー光源として
は、そのレーザー光により分解する原料ガスを用いれば
よいため、原理的には特に限定されないが、短波長、す
なわち高エネルギーのエキシマーレーザーをもちいるの
が好ましく、具体的には、XeFエキシマレーザー(波
長315nm,以下括弧内は発振波長を示す。)、Xe
Clエキシマレーザー(308nm)、XeBrエキシ
マレーザー(282nm)、KrFエキシマレーザー
(249nm)、ArFエキシマレーザー(193n
m)、F2エキシマレーザー(157nm)等が用いら
れ、入手しやすく、波長の短い点より、ArFエキシマ
レーザーが特に好ましい。
【0012】本発明で用いるレーザー光の基板表面に対
する単位面積あたりのパルスエネルギーは、用いられる
レーザー光の波長や照射角、材料ガスの種類、圧力によ
り異なるので、特に限定されないが、例えばArFエキ
シマレーザーを用い、基板に垂直に照射し、材料ガス圧
が2Torrの場合、5〜20mJ/cm2が好まし
い。20mJ/cm2を超えると成長させた薄膜の表面
が粗くなりやすい。レーザーパルスの繰り返し周波数
は、特に限定されないが、あまり低いと成長速度が遅く
なるので好ましくない。
【0013】レーザー光の基板に対する照射角度は、レ
ーザー光が基板に照射されさえすれば特に限定されない
が、本発明においては、レーザー光を原料ガスの分解の
みならず、基板の表面を活性化するためにも使用してい
るので、45〜90°が好ましく、より好ましくは60
〜90°、最も好ましくは、90°である。照射角が9
0°に近いほど、すなわち基板に対して垂直に近く照射
するほど、成長速度が速く、結晶性もよくなり、好まし
い。
【0014】本発明においては、基板の温度を20〜8
00℃に保持する。高温では薄膜の結晶欠陥が増加し、
低温では生成した薄膜は粗いものになるので上記範囲が
適当である。良好なSiC薄膜を得るには、好ましくは
20〜600℃、特に好ましくは、200〜500℃に
保持するのがよい。
【0015】本発明における原料ガスの供給は、キャリ
アガス、シールドガス等を含む反応室内の全ガス圧で、
2.5Torr以下が好ましく、より好ましくは1〜2
Torrである。
【0016】2.5Torrを超えると成長した薄膜の
表面が微粒子に覆われたような粗い面になりやすく、均
一な表面が得られにくい。またあまり圧力が低いと成長
速度が遅くなりやすい。炭素源ガスとシリコン源ガスの
量比は、使用するレーザー光に対するそれぞれのガスの
光分解しやすさに影響されたため、単純に炭素とシリコ
ンの原子数の比が1:1になる組成にはならず、例えば
22とSi26を用いた場合、Si26:C22
3:7〜3:17が好ましく、より好ましくは1:4で
ある。
【0017】本発明における原料ガスの供給方法は特に
限定されないが、供給した原料ガスが、なるべく基板付
近で光分解されるのが好ましく、具体的には、レーザー
光を基板に対して90°で照射した場合、基板に対し平
行な方向から原料ガスを供給することが好ましい。
【0018】
【実施例】以下本発明を、実施例を用いて更に詳細に説
明するが、本発明は、その要旨を超えないかぎり、実施
例に限定されるものではない。
【0019】
【実施例1、2、比較例1、2】基板として、3C構造
をもつSi単結晶を用い、レーザー光源としてArFエ
キシマレーザー(波長193nm)を用い、図1に示す
装置を用い、レーザー光を90°に照射するようにし
て、3C−SiC単結晶薄膜を成長させた。薄膜形成プ
ロセスのダイヤグラムを図2に示す。また製造条件とそ
の結果を表1に示す。さらに、Cu−Kα線を用いたX
RD測定の結果、回折角35.6°に顕著なピークがみ
られ、3C−SiCであることが確認された。単位面積
当りのパルスエネルギーが15mJ/cm2を超える
と、成長した薄膜表面が、0.2μm程度の微粒子によ
り形成された粗い面になってしまい、緻密な薄膜が得ら
れなかった。
【0020】
【実施例3〜5、比較例3、4】実施例1と同様の装置
を用い、表2に示す条件にて該装置を動かし、3C−S
iC単結晶薄膜を成長させた。結果を表2に示す。炉内
圧力、すなわち材料ガス濃度が、3Torrを超える
と、パルスエネルギーが約10mJ/cm2の条件で
は、薄膜表面が、微粒子により形成された粗い面になっ
てしまう。これは材料ガスの濃度が高いため、気相中で
の反応が支配的になってしまい、気相中で成長したSi
Cの微粒子が、堆積したためと考えられる。
【0021】
【実施例6、7、比較例5、6】実施例1と同様の装置
を用い、表3に示す条件にて該装置を動かし、3C−S
iC単結晶薄膜を成長させた。結果を表3に示す。原料
ガスとしてC22とSi 26を用いた場合、その量比
は、Si26:22=3:7〜3:17の範囲が好ま
しく、1:4のとき、SiとCの組成比が1:1になり
とくに好ましい。これはSi源ガスとC源ガスの光分解
しやすさが異なることに起因すると考えれる。
【0022】
【発明の効果】本発明の製造方法により、SiCの単結
晶薄膜を低温で成長させることが可能で、格子欠陥や界
面不整合を起こしにくく、かつバッファ層を基板上に生
成させる工程の不要な、SiC単結晶薄膜を容易に提供
することができる。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明のSiCの単結晶薄膜の製造
方法にかかわる装置の説明図である。
【図2】 図2は、本発明の実施例において用いた基板
温度と処理時間及び供給したガスの種類を示すダイヤグ
ラムである。 1:反応室 2:真空ポンプ 3:基板 4:ステージ
5:ヒーター 6:材料ガス供給管 7:材料ガスボンベ 8:レーザ
ー光 9:ウィンドウ 10:シールドガス供給管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/205 C30B 25/02 C30B 29/36

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素源及びシリコン源となる原料ガス
    を含有する材料ガスを、基板上に送り、該基板上におい
    て該原料ガスを分解させ、該基板上にSiCの薄膜を成
    長させる方法において、該基板の温度が、20〜800
    ℃であり、該原料ガスの分解をレーザー光で行い、かつ
    該レーザー光が該基板を照射することを特徴とするSi
    C単結晶薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 該レーザー光が、該基板に対し、45
    〜90°の角度で該基板を照射する請求項1記載のSi
    C単結晶薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 該基板の温度が、20〜600℃の範囲
    に有ることを特徴とする請求項1または2記載のSiC
    単結晶薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 該基板の温度が、200〜500℃の範
    囲に有ることを特徴とする請求項1または2記載のSi
    C単結晶薄膜の製造方法。
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