JP3141577B2 - フライ用油脂 - Google Patents

フライ用油脂

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、フライ製品表面に生
じるカビ状の白色化を抑制するフライ用油脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
(1) 発明の背景 パーム油を分別したパーム油中融点画分は主にハードバ
ターの原料油脂として使用されているが、最近のカカオ
脂の受給関係の変化に伴って、他の用途への需要を拡大
することも期待されている。
【0003】(2) 従来技術の問題点 特公昭61─44120号公報には、天然パーム油を分
別し、フライ用油脂として使用することが記載されてい
る。該フライ用油脂は、特定の組成と物性をもった中融
点画分であり、通常フライ用油脂として使用されている
白絞油のような液体油よりも、はるかに加熱安定性、保
存安定性が良く、硬化油よりも油脂自体の風味及びフラ
イ製品の風味、色調、作業性などに優れたものであった
が、フライ製品の表面で油脂が白色化してしまうことが
あった。
【0004】特開平1─262754号では、この白色
化を抑制する目的で、天然パーム油中融点画分に、天然
ハイオレイック植物油などの液体油を加えて油脂の融点
を低下させることが提案された。これは、ドーナツに対
しては白色化を抑制する効果はあったが、長期保存を要
するフライ製品には白色化抑制効果が顕著でなかった。
また、インスタントラーメンなどへの使用には経済性の
面で難点があった。さらに、液体油を加えたため安定性
の向上はなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明が解決しよう
とする課題は、フライ後の冷却条件または保存中に生じ
得るカビ状の白色化を抑制するフライ用油脂を提供する
点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1) 概念 パーム油中融点画分をフライ用油脂として用いた場合、
フライ製品表面の白色化には次の二通りが考えられる。
すなわち、フライ後の冷却に伴ってフライ製品表面、特
に凹部に、単に融点の高い固体脂成分が固化して白くな
る場合と、もう一つは、冷却条件によって、または保存
によって生じ得るカビ状に白くなる場合である。しか
し、この二種の白色化のうち、例えば、インスタントラ
ーメンの麺などのように、製品の表面が比較的なめらか
なフライ製品では、固体脂成分の結晶が析出しても、製
品表面で薄く層状になり、外観、手触りなどが特に悪化
することはないので、前者の白色化は殆ど問題にならな
い。ところが、フライ製品の表面に白く粉をふき、カビ
が生えたように見える後者の白色化は、消費者に食品の
劣化を連想させ、また手で触るとぬるめるした触感を生
じることもあるので、商品価値を著しく減じてしまう。
【0007】そこで本発明者らが鋭意研究した結果、高
融点成分である三飽和トリグリセリドを多量含有する極
度硬化油を、パーム油中融点画分に少量加えることによ
って、融点が上昇するにもかかわらず、冷却条件によっ
てまたは保存によって生じ得る、フライ製品表面のカビ
状の白色化を抑制できるという意外な知見を得た。
【0008】(2) 概要 すなわち、この発明に係るフライ用油脂は、沃素価35
以上50以下の天然パーム分画油と極度硬化油を含む油
脂であり、油脂全重量に対して三飽和トリグリセリドを
3.5〜13.5重量%含有することを特徴とする。以
下、この発明を構成する諸要素などについて項分けして
説明する。
【0009】(3) 天然パーム分画油 この発明で使用する天然パーム分画油は、沃素価が35
以上50以下である。上限を超えると安定性が悪くな
り、下限未満では、固体脂の結晶析出による白色化を促
進する傾向があり、作業性も悪くなる。さらに、構成脂
肪酸中、パルミチン酸を40%以上、また飽和脂肪酸を
50〜70%、特に55〜65%、不飽和脂肪酸を50
〜30%、特に45〜35%含んでいることが好まし
い。分画の方法としては、溶剤分別、薬剤分別、圧濾分
別、乾式分別などの方法が挙げられるが、上記天然パー
ム分画油が得られるなら何れの方法を用いてもよい。
【0010】(4) 極度硬化油 この発明に使用される極度硬化油は、原料油脂を水素添
加など通常の方法で硬化・精製した、好ましくは沃素価
が5以下、極度硬化油全重量の85重量%以上が三飽和
トリグリセリドである油脂が好ましい。極度硬化油はフ
ライ用油脂に対して多量配合すると、硬化臭が発生した
り、油脂の口溶け、食感が悪くなったりするので、沃素
価、三飽和トリグリセリド含量を上記範囲として配合量
をできるだけ少なくすることが望まれる。つまり、三飽
和トリグリセリドを多量含有する極度硬化油を用いるこ
とにより、全体の固体脂含量を大幅に増加させることな
く、フライ製品表面のカビ状の白色化を抑制できるので
ある。原料油脂としては、例えば、パーム油、大豆油、
とうもろこし油などの植物性油脂、魚油、牛脂、豚脂な
どの動物性油脂などがあげられる。特にパーム油由来の
硬化油であると、フライ油全体もパーム油のみに由来す
ることになるので、フライ製品の表示上、簡便ですむと
いう利点がある。
【0011】(5) 配合割合 上記天然パーム分画油と極度硬化油を混合し、フライ用
油脂全重量に対して3.5〜13.5重量%三飽和トリ
グリセリドを含有するようにすることが必要である。下
限未満では白色化を抑制する効果が十分でなく、上限を
超えるとフライ用油脂の融点が上昇し、油脂自体及びフ
ライ製品の口溶け、食感が悪くなる。また固体脂含量が
増加するため、硬化臭が発生する。
【0012】なお、この発明のフライ用油脂には、発明
の目的が損なわれない範囲で、所望に応じ、パーム油、
とうもろこし油、綿実油、菜種油、ラード、牛脂などの
未硬化油脂を混合しても差し支えない。また、フライ用
油脂に一般的に使用される添加物、例えばトコフェロー
ルやシリコーン樹脂などの酸化防止剤などを添加しても
よい。
【0013】この発明のフライ用油脂は、インスタント
ラーメン、ポテトチップ、米菓など長期保存を要求され
る製品への使用に極めて適している。
【0014】
【実施例】以下、実施例により発明実施の態様及び結果
を説明するが、例示は単に説明用のもので、発明思想の
制限又は限定を意味するものではない。なお部、ppm
及び%はいずれも重量基準である。
【0015】(実施例1)沃素価52の天然パーム油を
n─ヘキサンで分別した後、常法により脱臭して、沃素
価45、融点26℃のパーム分画油を得た。一方、沃素
価52の天然パーム油を通常の水素添加により硬化した
後脱臭し、沃素価0.9、融点58℃のパーム極度硬化
油を得た。
【0016】このようにして得たパーム分画油95部と
パーム極度硬化油5部とを混合し、この混合油にトコフ
ェロール500ppm、シリコーン2ppmを添加して
フライ用油脂Aとした。組成、物性は表1に示した。
【0017】次に、フライ用油脂Aを用いて下記の条件
でフライ麺を製造した。 フライ条件 麺 :市販の生中華麺を熱湯で2分間茹で、水切
りをしたもの1回につき170g使用した。 油量 :2000g フライ温度:155℃ フライ時間:6分間
【0018】フライ後のフライ麺の風味及び食感、並び
にフライ後室温で放冷、その後ポリ袋に入れ密封、20
℃で1週間放置した後のフライ麺表面の外観及び手触り
について、10名のパネラーによる官能検査を実施し
た。結果は表2に示した。
【0019】(比較例1)実施例1と同様にして得たパ
ーム分画油100部に対し、トコフェロール500pp
m、シリコーン2ppmを添加してフライ用油脂Bとし
た。組成、物性は表1に示した。
【0020】次にフライ用油脂Bを用いて、実施例1と
同様にしてフライ麺を製造し、官能検査を行った。フラ
イ用油脂Bの組成及び物性は表1に、官能検査の結果は
表2に示した。
【0021】(比較例2)実施例1と同様にして得たパ
ーム分画油85部とパーム極度硬化油15部とを混合
し、この混合油に対して、トコフェロール500pp
m、シリコーン2ppmを添加してフライ用油脂Cとし
た。
【0022】次にフライ用油脂Cを用いて、実施例1と
同様にしてフライ麺を製造し、官能検査を行った。フラ
イ用油脂Cの組成及び物性は表1に、官能検査の結果は
表2に示した。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】 注)3種類のフライ麺のうち、最も好ましいと思うもの
から順に3点、2点、1点として評価した。
【0025】フライ麺の風味については、フライ用油脂
Cを使用した麺で「硬化臭味を感じた」という意見が多
かった。フライ用油脂A、Bではどちらも大差なく良好
な風味であると判定された。フライ麺の外観について
は、フライ用油脂Bを使用した麺で、「白く粉をふいた
ように見えた」「カビが生えたように見えた」という意
見があった。フライ麺の手触りについては、フライ用油
脂Bを使用した麺で、「若干ぬるっとしていた」「若干
べとついていた」という意見があった。総合評価は、フ
ライ用油脂Aを使用した麺が最も好ましいという結果で
あった。
【0026】
【作用】フライ製品表面にカビ状の白色化が生じる原因
は不明であるが、おそらく、パーム分画油を単独でフラ
イ用油脂として使用すると結晶転移が起こり、粗大結晶
を形成しやすいためではないかと推測され、これに三飽
和グリセリドを混合すると、三飽和トリグリセリドが微
細な結晶核(シード)となり、白色化が抑制できるもの
と思われる。
【0027】
【発明の効果】以上、この発明のフライ用油脂を使用す
ることによって、製品表面に生じ得るカビ状の白色化を
抑制し、外観、風味などが極めて良好である、高品質な
フライ製品を提供できるようになったのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−262754(JP,A) 特公 昭37−12807(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23D 9/00 - 9/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 沃素価35以上50以下の天然パーム分
    画油と極度硬化油を配合してなり、油脂全重量に対して
    三飽和トリグリセリドを3.5〜13.5重量%含有す
    るフライ用油脂。
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