JP3142714B2 - パラ系アラミド繊維の染色方法 - Google Patents

パラ系アラミド繊維の染色方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、深色性と洗濯に対する
堅牢性の良好なアラミド繊維の染色方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】アラミド繊維は、その特徴を生かして様
々な用途に展開が図られている。
【0003】中でも、パラ系アラミド繊維は、高い比強
度、比弾性率、優れた耐熱性、耐薬品性などを有するた
め、産業資材用のロープ、ネット、漁網あるいは防護作
業衣などに利用されている。
【0004】しかしながら、パラ系アラミド繊維はいず
れも結晶性が高く、分子間結合力が強固な緻密な分子構
造を有しているため、従来の染色技術で着色することは
難しく、下記のような方法が提案されている。
【0005】アセトフエノン、パラフエニルフエノー
ルなどのキャリヤーを多量に使用して高温・高圧下で染
色する方法(例えば、特開昭58−87376号公報な
ど) N−メチルピロリドンなどの溶媒中でパディングして
染色する方法(例えば、特開昭62−268877公報
など) 濃硫酸の紡糸溶液中に染料あるいは顔料を分散させて
製糸を行い着色糸を得る方法(例えば、特開昭63−2
56765号公報あるいは特開平2−41414号公報
など) 硫酸溶液に予め浸漬した後に染色促進剤に接触させる
ことによってカチオン染料に染色可能なポリパラフエニ
レンテレフタルアミド(PPTA)繊維を得る方法(例
えば、特開平3−76868号公報など)
【0006】しかしながら、これらの方法はいずれも、
着色し得る色相の範囲に制約があったり、耐光堅牢性が
劣る等の欠点を有しており、必ずしも満足のいくもので
はなかった。
【0007】さらに、特開昭52−25178号公報に
は、アラミド繊維をテトラメチレンスルフォン、ジメチ
ルスルフォンなどのスルフォンにより前処理した後、染
色する方法が開示されている。
【0008】しかしながら、上記の方法において使用さ
れるスルフォンは極性が弱く、特にパラ系アラミド繊維
を前処理した場合には染料の繊維内部への拡散が不充分
となり、メタ系アラミド繊維を前処理した場合に比べて
深色化の向上効果が少ないという問題を有していること
が判明した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の有する問題点を解消し、多様な濃い色相に着
色が可能で、且つ洗濯堅牢性が良好なパラ系アラミド繊
維の染色方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために鋭意検討した結果、パラ系アラミド繊維
を極性の強いジメチルスルフォキシド中で加熱処理する
とき、多様な濃い色相を呈することが可能で、且つ洗濯
堅牢性が良好なパラ系アラミド繊維が得られることを究
明した。
【0011】かくして本発明によれば、パラ系アラミド
繊維を染色するに際し、パラ系アラミド繊維を70℃以
上のジメチルスルフォキシド中で加熱処理した後、染色
することを特徴とするパラ系アラミド繊維の染色方法が
提供される。
【0012】本発明で使用するパラ系アラミド繊維と
は、デュポン社のケブラーに代表されるポリパラフェニ
レンテレフタルアミド(以下、PPTAと称する)繊維
や、PPTAと3,4’オキシジフニレンテレフタルア
ミドとの共重合体(帝人 (株)製テクノーラ)繊維な
ど、主鎖中にパラフェニレン基を含む芳香族ポリアミド
繊維をいう。
【0013】上記パラ系アラミド繊維には、本発明の目
的を損なわない範囲で、天然繊維、再生繊維あるいは他
の合成繊維が混紡、混繊、合撚などにより複合されてい
ても構わない。
【0014】本発明においては、上記パラ系アラミド繊
維を、染色に先立ってジメチルスルフォキシド中で70
℃以上の温度で加熱処理することが必要である。
【0015】該加熱処理は、繊維の状態で実施してもよ
く、製編織して布帛とした後、実施してもよい。
【0016】上記処理温度が70℃未満の場合には、染
色の際に染料を繊維内部に充分拡散させることができな
い。ただ、あまり処理温度が高すぎるとジメチルスルフ
ォキシドが分解し易くなるので、140℃程度に留める
ことが好ましい。
【0017】加熱処理時間は、使用するパラ系アラミド
繊維の種類や繊度等に応じて適宜設定すれば良いが、5
〜90分間が好ましく、15〜60分間がさらに好まし
い。
【0018】また、ジメチルスルフォキシドは、実質的
にジメチルスルフォキシドのみからなるものを使用する
ことが好ましいが、50重量%未満の範囲で水、アセト
ン、エタノールなどを含む混合溶液の状態で使用されて
も構わない。
【0019】ジメチルスルフォキシド中で加熱処理され
たパラ系アラミド繊維は、次いで、分散染料および/ま
たはカチオン染料により染色されることが必要である。
【0020】ここで、分散染料とは、水に難溶性で、水
中に分散した系からポリエステル繊維やアセテート繊維
などの疎水性繊維の染色に用いられる染料をいい、ベン
ゼンアゾ系(モノアゾ、ジスアゾなど)、複素環アゾ系
(チアゾールアゾ、ベンゾチアゾールアゾ、キノリンア
ゾ、ピリゾンアゾ、イミダゾールアゾ、チオフェンアゾ
など)、アントラキノン系、縮合系(キノフタリンスチ
リル、クマリンなど)の分散染料が例示される。
【0021】また、カチオン染料としては、共役型カチ
オン染料としてのメチン系、ポリメチン系、アザメチン
系、アゾ系、トリアゾールアゾ系、チアゾールアゾ系、
ベンゾチアゾールアゾ系、トリフェニルメタン系や、絶
縁型カチオン染料としてのアゾ系、アントラキノン系カ
チオン染料が例示される。
【0022】染色温度は、130〜170℃が好まし
く、150〜170℃がより好ましい。染色温度が13
0℃未満であると、充分な深色性が得られない場合があ
る。
【0023】また、上記染色温度が高いほど染着性は高
まるが、反面染料の分解等の問題も発生し始めるので、
高々200℃程度までに止めることが好ましい。
【0024】また、分散染料を用いて染色した場合に
は、染色後、還元剤、アルカリおよび界面活性剤を用い
て還元洗浄を充分に行うことが好ましい。
【0025】一方、カチオン染料で染色した場合にはア
ルカリおよび界面活性剤を用いてソーピングを充分に行
うことが好ましい。
【0026】還元洗浄やソーピングは、80℃以上の温
度で行なうことが好ましく、100℃以上が更に好まし
い。
【0027】温度が80℃未満の場合は、繊維表面に染
着している染料などを除去する効果が不充分であり、温
度が高いほど効果が上がるが、染色温度を越える必要は
なく高々140℃で充分である。還元洗浄の回数も多い
方が良いが4回程度で充分である。
【0028】かくして得られたパラ系アラミド繊維は、
いかなる色相においても濃色に着色されており、且つ良
好な洗濯堅牢性を示す。
【0029】
【作用】本発明においては、パラ系アラミド繊維の染色
に先立って、該繊維をジメチルスルフォキシド中で70
℃以上の温度で加熱処理しているので、濃色に着色し、
しかも洗濯堅牢性を向上させることが可能である。
【0030】即ち、パラ系アラミド繊維はジメチルスル
フォキシド中で加熱処理すると膨潤し、染色の際に染料
が繊維内部まで拡散されて染着性が向上する上、染色が
終われば元の緻密な構造に戻るので、染料が繊維内部に
固定化され、洗濯堅牢性も良好となる。
【0031】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を詳しく説明す
る。なお、実施例中の各物性の評価の方法は下記の通り
である。
【0032】(1) 染着度 マクベス カラーアイ(Macbeth COLOR−
EYE )モデルM−2020PLを用い、見掛けの色
の濃さをK/S値で表わした。
【0033】K/S値は、染色された試料の最大吸収波
長における反射率(R)から、下記に示すクーベルカム
ンク(Kubelka−Munk)の式より求められる
ものである。 K/S=(1−R)2 /2R この値が大きい程、色が濃いことを示す。
【0034】(2) 洗濯堅牢性 洗濯堅牢性の評価はJIS L 0844−73に示さ
れるA−2法で行なった。
【0035】[実施例1]パラ系アラミド繊維として1
000デニール/1334フィラメントの帝人 (株) 製
テクノーラを経緯それぞれ31本/インチの密度で平織
とし、濃度1g/lのスコアロール400(花王製)を
用いて80℃で20分間精錬した。
【0036】該織物を水洗、乾燥した後80℃に加熱し
たジメチルスルフォキシド中で30分間熱処理し、次い
で熱湯で30分間湯洗して水洗、乾燥した。
【0037】次いで表1の処方で160℃の温度で60
分間染色した。
【0038】
【表1】
【0039】さらに、染色された織物を表2の洗浄浴で
80℃で20分間の還元洗浄を4回行った。
【0040】
【表2】
【0041】得られた織物の染着度および洗濯堅牢性を
表3に示す。
【0042】[実施例2]実施例1において、染色温度
を140℃に変更した以外は実施例1と同様に実施し
た。
【0043】得られた織物の染着度および洗濯堅牢性を
表3に示す。
【0044】[実施例3]実施例1において、染料をBa
sacryl Red GL(C.I.Basic Red 29) に変更した以外は実
施例1と同様に実施した。
【0045】得られた織物の染着度および洗濯堅牢性を
表3に示す。
【0046】[比較例1]実施例1において、ジメチル
スルフォキシドに代えてジメチルスルフォンを用いた以
外は実施例1と同様に実施した。
【0047】得られた織物の染着度および洗濯堅牢性を
表3に示す。
【0048】[比較例2]実施例1において、ジメチル
スルフォキシドに代えてジメチルフォルムアミドを用い
た以外は実施例1と同様に実施した。
【0049】得られた織物の染着度および洗濯堅牢性を
表3に示す。
【0050】[比較例3]実施例3において、加熱処理
温度を60℃とした以外は実施例1と同様に実施した。
【0051】得られた織物の染着度および洗濯堅牢性を
表3に示す。
【0052】
【表3】
【0053】なお、表3の中で、洗濯堅牢性が“−”で
表わしてある箇所は、染着度が小さすぎて洗濯堅牢性が
評価できなかったことを示す。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、多様な濃い色相に着色
することが可能であり、洗濯しても色落ちしたり汚染の
問題がない、洗濯堅牢性に優れたパラ系アラミド繊維の
染色方法が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−206088(JP,A) 特開 平3−76868(JP,A) 特開 昭60−173187(JP,A) 特開 平3−51382(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06P 5/00 D06P 5/20 D06P 5/22

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パラ系アラミド繊維を染色するに際し、
    パラ系アラミド繊維を70℃以上のジメチルスルフォキ
    シド中で加熱処理した後、染色することを特徴とするパ
    ラ系アラミド繊維の染色方法。
  2. 【請求項2】 染色温度が130〜170℃である請求
    項1記載のパラ系アラミド繊維の染色方法。
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