JP3142957B2 - 気流の可視化方法 - Google Patents

気流の可視化方法

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JP3142957B2 JP04160013A JP16001392A JP3142957B2 JP 3142957 B2 JP3142957 B2 JP 3142957B2 JP 04160013 A JP04160013 A JP 04160013A JP 16001392 A JP16001392 A JP 16001392A JP 3142957 B2 JP3142957 B2 JP 3142957B2
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琢也 白井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、クリーンルーム内の
気流中に混入された水滴ミストに可視光を照射し、その
際に生ずる散乱光を認識することによってクリーンルー
ム内気流を可視化する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来気流を可視化するにあたっては、い
わゆるトレーサー方法が採られている。これは可視化し
ようとする気流中にトレーサーを混入し、このトレーサ
ーの動きによって当該気流の動きを認識するものであ
る。そして従来のトレーサー方法は、トレーサーとして
使用する物質により大きく二つに分けられる。
【0003】一つは気流の中に浮遊しやすい軽い微粒
子、例えば線香からの煙や繊維くずなどをトレーサーと
して用いるもので、これらを可視化しようとする気流中
に混入し、それぞれの微粒子の動きが気流の動きと一致
すると仮定して、これら煙や繊維くずなどの微粒子の動
きによって気流の動きを認識する方法である。
【0004】他の一つは水滴ミストをトレーサーとして
用いるもので、上記と同じくこれを可視化しようとする
気流中に混入して、該水滴ミストの動きによって気流の
動きを認識する方法である。
【0005】そしていずれの方法においても、通常は気
流の動きを画像として記録するため、ランプによって気
流中のトレーサーを照明し、その際のトレーサーからの
散乱光をカメラで撮影するという手法を採っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら微粒子を
トレーサーとして用いる方法では、微粒子が気流中や気
流周辺の物体表面に付着してそれらを汚してしまうとい
う欠点があり、クリーンルーム内の気流の可視化には利
用できない。
【0007】この点水滴ミストをトレーサーとして用い
る方法によれば、水滴ミストは水蒸気に変化するだけな
ので、清浄な水を原料として水滴ミストを発生させれば
上記のような表面汚染を引き起こすおそれはない。とこ
ろが水滴ミストは気流で搬送される短時間の間に、蒸発
したり周囲に拡散してしまって著しく個数濃度が減少
し、その結果画像の鮮明度が不足して、特に気流の下流
側の広がりを十分に可視化できないという問題があっ
た。
【0008】本発明はそのような従来の可視化方法の欠
点であった微粒子トレーサーの付着による表面汚染、及
び水滴ミストの蒸発、周囲への拡散による可視化画像の
鮮明度不足という課題を解決することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】 本発明では、クリーン
ルーム内の気流を可視化するにあたって水滴ミストをト
レーサーとして用いるが、その気流中のトレーサーに
ンプ等で照射するにあたり、主要ピークの波長が630
nmから700nmにある特定波長域の可視光を照射光
として使用し、さらに当該照射によって生ずる散乱光
を、少なくとも前記特定波長域可視光以外の可視光をカ
ットする光学フィルタを通して認識することによって前
記課題を解決するものである。
【0010】なお認識するための具体的な手段として
は、視覚による直接の認識の他に、例えば従来から一般
に行われているビデオカメラでの画像化、光学カメラに
よる写真撮影などが挙げられる。
【0011】また水滴ミストを発生させるには、水槽内
の水を超音波によって振動させてその水面から発生さる
方法、水蒸気を急冷凝縮して霧状トレーサーを発生させ
る方法などがある。
【0012】そして本発明では以下の理由から紫外線
(波長390nm以下)、赤外線(800nm以上)を
使用せず、可視光を照射する構成をとっている。即ち、
紫外線は別名“化学線”とも呼ばれるように強い光学作
用があり、空気中で照射するとオゾンを発生させたり、
ヒトの目に入射した場合は視力障害を引き起こすおそれ
があり好ましくない。また赤外線は紫外線と異なり化学
作用は弱いが、物体にあたると吸収されて大部分が熱に
変わる性質がある。そして高温物体や照明灯表面からも
赤外線が盛んに放射され、常温下の機器、器具さらには
人体からも赤外線が放射されている。従って赤外線を気
流への照射光として使用した場合、気流中に混入した水
滴ミストからの散乱光にこれら種々の物体からの放射赤
外線が混ざり、光学フィルタで両者を分離することが不
可能になり、鮮明な可視化した画像を得るのが難しいか
らである。
【0013】 ところで近年の無窓建築工場の照明に
は、分光分布が図1、図2および図3に示されるような
蛍光灯が使用され、その中でも通常は図2に示された昼
白色蛍光灯が多く使用されている。一方特殊な環境、例
えば半導体製造におけるフォトリソ工程では、分光分布
が図4に示される純黄色カラード蛍光灯が使用されてい
る。これらの各分光分布を見てわかるように、主要なピ
ークの波長は630nmに達しない波長域に存在してい
る。本発明はこの点に着目し、気流中の水滴ミストに照
射する特定波長域の可視光を、その分光分布中の主要な
ピークの波長が630nm以上の赤色可視光とした、気
流の可視化方法をも提供するものである。
【0014】またクリーンルームにおいては特に高い清
浄度が要求されるので、本発明では請求項1において用
いる水滴ミストを、純水を原料として発生されるものと
した気流の可視化方法を請求項として提供する。
【0015】
【作用】本発明によれば、水滴ミストがトレーサーとし
て機能し、特定波長域の可視光を気流中の水滴ミストに
照射すると、該水滴ミストからその特定波長域の散乱光
が生じ、これをさらに当該特定波長域以外の可視光をカ
ットする光学フィルタを通して認識するので、照射する
光の波長域を気流周辺の照明光の波長域とは違うもの、
好ましくはその分光分布中の主要なピーク波長が相異な
るものを使用することにより、光学フィルタによって散
乱光と照明光とを容易に分離でき、気流を鮮明に可視化
することができる。また使用する光学フィルタは、少な
くとも照射可視光の波長域以外の可視光をカットできれ
ばよく、照射可視光の分光分布中の主要なピーク波長と
その周辺波長域以外の可視光までをもカットするもので
もよい。
【0016】 また、その分光分布中の主要なピークの
波長が、630nm以上の赤色可視光を水滴ミストの照
射光として使用しているので、既述の如く主要なピーク
の波長が630nm未満の赤色以外の波長域に存在して
いる蛍光灯を気流周辺照明として使用する場所では、水
滴ミストからの散乱光と照明光の波長の違いを利用して
光学フィルタにより両者を容易に分離でき、鮮明な可視
化画像が得られる。
【0017】ところで当然のことながら、散乱効率が大
きいほど鮮明な可視化画像が得やすい。そしてMie理
論によれば散乱効率Kは水滴の円周、照射する光の波長
によって求めた変数X=πdp/λと関係があることが
知られている。ここでdpは水滴直径、λは照射光の波
長である。そこで水滴直径を3μm、可視光の波長を3
80nm〜760nmの範囲とすれば、変数Xの範囲は
約12〜25となる。図5はそのようにして求めた変数
Xと水滴の散乱効率Kの関係を示しているが、これによ
れば波長が380nm〜760nmの範囲で散乱効率K
が最大となるのはX=15〜18、波長に換算すると大
体520nm〜630nmの間であり、そのときの散乱
効率は約2.7〜2.8となっている。また逆に当該範
囲及びその周辺範囲で散乱効率が最小となるのはX=1
2、波長に換算すると約780nmのときであり、その
ときの散乱効率は1.6となっている。そこで、例えば
赤色可視光の波長域を630nmから700nmの範囲
とすれば、散乱効率Kは2.12〜2.75となり、ま
ずまず大きい値となり、当該波長域の赤色可視光を気流
中の水滴ミストに照射した際の散乱光を画像化した場
合、鮮明な画像が得られるものである。
【0018】 請求項によれば、上記請求項におい
て、トレーサーに用いる水滴ミストが純水を原料として
発生されたものであるから、これら水滴ミストが蒸発し
ても不純物が残存せず、物体の表面や室内を汚染するこ
とはないものである。
【0019】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明すると、図6は本実施例を実施するためのシステムの
構成を示す説明図であって、1は水蒸気の急冷方式によ
る純水ミストの発生装置、2はこの発生装置1によって
発生されるミストを吹き出すためのノズルである。 3
は可視光照射用光源であり、純水ミストが気流に乗って
流れてくる空間に可視光を照射するようになっている。
本実施例で使用した可視光照射用光源3は純赤色カラー
ド蛍光灯であり、その分光分布は図7に示したように、
650nm付近をピークに600nmから700nmの
範囲にスペクトルが分布しているものである。
【0020】そして可視光照射用光源3の光を照射した
際に生ずる散乱光を、光学フィルタ4とカメラ用レンズ
5を通してビデオカメラ6で撮影する。本実施例で使用
した光学フィルタ4の透過性並びにビデオカメラ6の撮
像管の分光感度は図8に示したようになっている。この
ような特性を有する光学フィルタ4とビデオカメラ6の
組合わせにより、600nmから750nmの範囲の波
長の光を選択的に取り込めるようになっている。またビ
デオカメラ6で撮影した画像の画像信号はモニタ7で確
認しながらこれをビデオデッキ8に記録するようになっ
ている。なお図6中、9は室内照明灯であって、その光
源は広く一般に使用されている昼白色蛍光灯であり、1
0は適宜の物体である。
【0021】本実施例は以上のようなシステムとして構
成されているので、物体10周辺の気流を可視化する場
合、純水ミストの発生装置1によって発生したミスト
を、ノズル2によって物体10周辺の気流に混入し、さ
らに可視光照射用光源3の光を当該気流中のミストに照
射すれば、その際に生ずるミストからの散乱光を室内照
明の光よりも効率よくビデオカメラ6に取り込むことが
できる。
【0022】そして実際に本実施例によって画像化した
結果を、従来の可視化方法によるものと比較すれば、次
のようになった。図9は本実施例によってビデオデッキ
8に取り込んだ画像信号をもとに、モニタ7の画面に可
視化された純水ミスト群の速さと方向、即ち気流の速度
ベクトルを記号表示したものであり、同図中例えば
「・」の右側に「−」が結合している記号は、気流方向
が左から右で、速さが「−」の長さに対応することを示
している。一方図10は本実施例と同一条件、同一シス
テムの下で、可視光照射用光源に室内照明9と同じ分光
分布を持った蛍光灯を使用し、さらに従来と同様光学フ
ィルタ4を通さずに直接ビデオカメラ6からビデオデッ
キ8に取り込んだ画像信号をもとに、図9と同一の記号
表示を用いて気流速度をベクトル表示したものである。
【0023】これら各図をみれば、図9、10ともに、
上方から純水ミストが画面下方に向かって流れているこ
とがわかる。また純水ミストを吹き出しているノズル2
付近の一様な鉛直下方向の気流が、物体10に当たっ
て、その気流の速度ベクトルが変化している様子もうか
がえる。
【0024】 ところが両図面に示された速度表示を具
体的に比較すれば、本実施例によって得た図9の方は、
物体10の周囲の気流の速度ベクトル分布が明確に表示
されているのに対し、従来の可視化方法による図10の
方は、物体10の周囲において、純ミストが蒸発ない
し周囲に拡散してその散乱光が弱まった分、そのまま画
像の鮮明度が悪くなっており、その部分の気流の速度ベ
クトル分布を表示することが不可能になっていることが
わかる。従って、本実施例の方がより鮮明に気流を可視
化していることが確認できた。
【0025】
【発明の効果】本発明による効果は以下のように挙げら
れる。即ち請求項1によれば、照射する光の波長域に他
の照明灯などの光の波長域と違うものを使用すれば、ト
レーサーたる水滴ミストからの散乱光と他の照明光とを
容易に分離できるので、気流を鮮明に可視化することが
できる。しかも照射する光は可視光であるから、発熱体
周りの気流の可視化を行う場合でもこれら発熱体からの
赤外輻射によって可視化が妨げられたり、鮮明度が低下
することはなく、また紫外線のようにオゾンを発生させ
たり、周囲物体への化学作用や視覚障害を引き起こすこ
ともない。
【0026】また、その分光分布中の主要なピークの波
長が630nm以上の赤色可視光を水滴ミストの照射光
として使用しているので、通常の昼白色蛍光灯の照明下
の気流を鮮明に可視化することができる。またその場
合、水滴ミストの散乱効率も比較的高いので、両者が相
俟って極めて鮮明に気流を可視化することがでる。
【0027】 請求項によれば、上記請求項の効果
をそのまま具有しつつ、さらに水滴ミストが蒸発しても
不純物が残存しないので、器物表面や室内を汚染するこ
とはない。従って、厳格な清浄度が要求されるクリーン
ルームなどにおいても適用できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】昼光色蛍光灯の分光分布を示すグラフである。
【図2】昼白色蛍光灯の分光分布を示すグラフである。
【図3】白色蛍光灯の分光分布を示すグラフである。
【図4】純黄色カラード蛍光灯の分光分布を示すグラフ
である。
【図5】Mie理論により計算した水滴の散乱効率を示
すグラフである。
【図6】実施例にかかる気流の可視化システムの構成を
示す説明図である。
【図7】実施例で用いた可視光照射用光源の分光分布を
示すグラフである。
【図8】実施例で用いた光学フィルタの透過特性とビデ
オカメラの撮像管の分光感度特性を夫々示すグラフであ
る。
【図9】実施例によって得られた可視化画像をもとに記
号表示した気流の速度ベクトルを示す説明図である。
【図10】従来の可視化方法によって得られた可視化画
像をもとに記号表示した気流の速度ベクトルを示す説明
図である。
【符号の説明】
1 純水ミストの発生装置 2 ノズル 3 可視光照射用光源 4 光学フィルタ 5 カメラ用レンズ 6 ビデオカメラ 7 モニタ 8 ビデオデッキ 9 室内照明灯 10 物体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 隆紀 神奈川県座間市立野台639−2 (56)参考文献 特開 昭62−67419(JP,A) 特開 昭62−5145(JP,A) 特開 昭61−111467(JP,A) 特開 平2−22563(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01P 13/00 G01P 5/00 - 5/22

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可視化しようとするクリーンルーム内の
    気流中に水滴ミストを混入し、さらに該気流中の水滴ミ
    ストに、主要ピークの波長が630nmから700nm
    にある特定波長域の可視光を照射し、その際に生ずる散
    乱光を、少なくとも当該特定波長域以外の可視光をカッ
    トする光学フィルタを通して認識する、クリーンルーム
    気流の可視化方法。
  2. 【請求項2】 水滴ミストは純水を原料として発生され
    るものである請求項1に記載のクリーンルーム内気流の
    可視化方法。
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