JP3143794B2 - ボンド磁石の製造方法 - Google Patents

ボンド磁石の製造方法

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JP3143794B2 JP08025494A JP2549496A JP3143794B2 JP 3143794 B2 JP3143794 B2 JP 3143794B2 JP 08025494 A JP08025494 A JP 08025494A JP 2549496 A JP2549496 A JP 2549496A JP 3143794 B2 JP3143794 B2 JP 3143794B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボンド用樹脂と磁
粉とを混合して成形してなるボンド磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】等方性のボンド磁石の製法としては、従
来より、圧縮成形法(プレス法)と射出成形法とがあ
る。圧縮成形法では、例えば熱硬化性樹脂であるエポキ
シ樹脂をボンド用樹脂として用いる。そして、磁粉とエ
ポキシ樹脂とのコンパウンドを常温で3〜10T/cm2の圧
力でプレス成形し、得られた成形体をオーブンにおいて
大気または真空中で100〜200℃程度に1〜2時間加熱す
ることによりエポキシ樹脂を硬化させて、所定形状のボ
ンド磁石とする。なお、必要ならば、加熱後の硬化体に
はさらに塗装が施される。
【0003】このようなエポキシ樹脂をボンド用樹脂と
する圧縮成形では、磁粉の配合比を高くでき、磁力は強
くできる。例えばネオジウム・鉄・ボロン系合金からな
る磁粉とエポキシ樹脂との組合せならば、磁粉の重量比
を95〜98%程度にまでできる。しかし、成形されたボン
ド磁石に体積比で4〜5%程度のポアが残り、強度的に
は弱くなる。また、成形されたボンド磁石の表面に磁粉
が直接露出するため、ネオジウム・鉄・ボロン系合金の
ような磁粉を用いた場合には、防錆のための塗装が後工
程として必要になり、コストが高くつく。また、塗装に
は、エポキシ樹脂系の塗料が用いられるが、エポキシ樹
脂による塗装は柔らかい欠点もある。なお、一般的に磁
粉自体に防錆用のコーティングが施してあるが、このコ
ーティングは圧縮成形時の加圧により破壊されてしまう
ので、結局、防錆用の塗装が必要になる。
【0004】一方、射出成形法では、例えば熱可塑性樹
脂であるポリアミドをボンド用樹脂として用いる。そし
て、射出成形機の加熱シリンダー装置で磁粉とポリアミ
ドとのコンパウンドを加熱して溶融させ、成形用の金型
内へ射出する。磁粉およびポリアミドからなる材料は、
金型内の材料通路を通り、サイドゲートやトンネルゲー
トなどのゲートからボンド磁石の形状をしたキャビティ
内に充填され、ボンド磁石が成形される。
【0005】このような射出成形では、成形されたボン
ド磁石にポアが生じることはなく、強度的には強くでき
る。また、成形されたボンド磁石の表面部つまり金型に
直接接している部分には、磁粉を含まないポリアミドの
みからなる被覆層が自然にでき、これにより、防錆効果
が得られる。
【0006】しかし、射出成形においては、磁粉が多く
なると流動性が悪くなるので、磁粉を多くすることには
制約がある。ゲートに関しては、ゲート径を大きくする
ことにより流動性の悪さにある程度対応できるが、ゲー
ト径を大きくするとゲート部の後処理が面倒になるなど
の問題がある。そして、このように磁粉の配合比を高く
できないために、磁力を強くできない。例えばネオジウ
ム・鉄・ボロン系合金からなる磁粉とポリアミドとの組
合せならば、磁粉の重量比を最大93%程度にしかできな
い。また、磁粉の混入による流動抵抗は、金型のゲート
などを磨耗、破損しやすくする。実際、従来は、数万シ
ョットの成形でゲートを形成する金型部材を交換するこ
とが必要になっていた。
【0007】また、従来の射出成形法では、成形された
ボンド磁石に、ゲート部分の材料が固化後に切断された
跡であるゲート跡が残るようになっていた。このゲート
跡には磁粉が直接露出し、空気にさらされるため、その
ままでは、ゲート跡が錆びるおそれがある。ゲート跡が
錆びるのを防ぐためには、塗装を行わなければならない
が、それではコストがかさむことになるし、ポリアミド
は塗装が難しい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、圧縮成
形法によるボンド磁石の製造方法では、強度を高くでき
ないとともに、防錆のための塗装が必要である問題があ
った。また、射出成形法でも、従来は、磁力を強くでき
ないとともに、ゲート跡が錆びるなどの問題があった。
【0009】本発明は、このような問題点を解決しよう
とするもので、確実に全体を防錆できるとともに、磁力
を強くできるボンド磁石の製造方法を提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明のボンド
磁石は、前記目的を達成するために、熱可塑性樹脂から
なるボンド用樹脂と磁粉とを混合して成形してなり、こ
の磁粉の重量比が93%以上であるボンド磁石の製造方法
において、互いに開閉し型閉時に相互間にキャビティを
形成する複数の型体と、このキャビティの容積を調整す
る容積調整手段とを備え、この容積調整手段が前記キャ
ビティの容積を小さくするのに伴って材料通路から前記
キャビティへのゲートが閉じる構成とした金型装置を用
い、前記磁粉が溶融した前記熱可塑性樹脂に混合してな
る材料を材料供給装置から前記材料通路へ供給して前記
キャビティ内に充填し、この充填後に前記キャビティの
容積を小さくしてこのキャビティ内の材料を前記ゲート
が閉じるまで前記材料供給装置側へ戻すとともに、前記
ゲートが閉じた後前記キャビティの容積をさらに所定容
積まで小さくして前記キャビティ内の材料を圧縮するこ
とによりボンド磁石を成形し、その際にこのボンド磁石
の全表面を前記熱可塑性樹脂により隙間なく覆うもので
ある。
【0011】すなわち、キャビティ内に磁粉および熱可
塑性樹脂からなる材料を充填した後に、容積調整手段に
よりキャビティの容積を小さくしてゲートを閉じ、キャ
ビティ内に残った材料と材料通路内の材料とを金型装置
内で切断する。その後は、材料供給装置からキャビティ
内には材料が供給されないが、同じ容積調整手段により
キャビティの容積をさらに小さくし、このキャビティ内
の材料を圧縮することにより、この材料の固化に伴う収
縮が補償される。前述のように、キャビティの容積を小
さくしてこのキャビティ内の材料をゲートが閉じるまで
材料供給装置側へ戻すことにより、キャビティ内に充填
される材料の圧力および量が正確に制御される。また、
ゲートは材料が溶融状態にあるうちに閉じられるので、
成形されたボンド磁石の全表面が隙間なく熱可塑性樹脂
により覆われた状態になる。そして、磁粉の重量比が93
%以上であることにより、高い磁力が得られ、ボンド用
樹脂が全表面を隙間なく覆っていることは、錆が生じる
ことを確実に防ぐ。
【0012】請求項2の発明は、請求項1の発明のボン
ド磁石の製造方法において、前記ボンド用樹脂がポリア
ミド12であるものである。
【0013】熱可塑性樹脂であるポリアミド12をボン
ド用樹脂として、射出成形を行うと、ボンド磁石の表面
部に、磁粉を含まないポリアミド12のみからなる被覆
層が自然にできる。
【0014】請求項3の発明は、請求項2の発明のボン
ド磁石の製造方法において、前記磁粉がネオジウム・鉄
・ボロン系合金からなるものである。
【0015】ネオジウム・鉄・ボロン系合金は錆びるお
それのあるものであるが、前述のようにボンド用樹脂で
あるポリアミド12がボンド磁石の全表面を隙間なく覆
うことにより、防錆が確実になされる。
【0016】
【発明の実施形態】以下、本発明のボンド磁石の一実施
例について図面を参照しながら説明する。本実施例のボ
ンド磁石Mは、ボンド用樹脂と磁粉とを混合して成形し
てなる等方性の磁石である。そして、ボンド用樹脂とし
て熱可塑性樹脂であるポリアミド12(ナイロン12)が
用いられており、磁粉としてネオジウム・鉄・ボロン系
合金の磁粉が用いられている。磁粉の重量比は93%以上
である。なお、前記磁粉の比重はポリアミド12の比重
の7.6倍程度である。また、図5に示すように、磁粉を
含まないポリアミド12のみからなる被覆層M1がボンド
磁石Mの全表面を隙間なく覆っている。さらに、ボンド
磁石M内にポアはない。なお、ボンド用樹脂、磁粉とし
ては、もちろん他の材料を用いることもできる。また、
本実施例のボンド磁石Mは円筒形状になっているが、ボ
ンド磁石の形状は、もちろんそれに限るものではなく、
様々なものがあり得る。
【0017】本ボンド磁石Mは、高圧成形とも呼ばれる
一種の射出成形法により成形される。ここで、この成形
に用いる装置の構成の一例を説明する。インラインスク
リュー式の射出成形機を示す図4において、1は材料供
給装置である加熱シリンダー装置である。この加熱シリ
ンダー装置1は、ほぼ円筒状のシリンダー本体2を有し
ている。このシリンダー本体2には、加熱用のヒーター
3が外周に設けられているとともに、ノズル4が先端部
(図示左部)に設けられている。また、シリンダー本体
2の後部上側にはホッパー5が設けられている。そし
て、シリンダー本体2内には、スクリュー6が回転自在
にかつ軸方向(図示左右方向)に移動自在に収容されて
いる。このスクリュー6の後側には、油圧シリンダー11
のピストンロッド12が固定して連結してある。すなわ
ち、この油圧シリンダー11は、スクリュー6を軸方向に
駆動するものである。また、スクリュー6は、電動サー
ボモーター13により回転駆動されるようになっている。
このサーボモーター13からスクリュー6に回転を伝達す
るために、ピストンロッド12の外周に固定されたスプラ
イン筒14に、回転伝達用のギヤ15がスプライン嵌合して
ある。すなわち、ギヤ15は、スクリュー6に対して回り
止めされているが、軸方向へは自在に動けるようになっ
ている。
【0018】また、21は直圧式の型締装置で、この型締
装置21は、固定側プラテン22および可動側プラテン23を
有している。この可動側プラテン23は、タイバー24に沿
って図示左右方向に移動自在になっており、油圧シリン
ダー25により型締用ラム26を介して駆動されるものであ
る。この油圧シリンダー25は、サーボ弁などからなる駆
動制御装置27により駆動が制御され、型締力を調整可能
になっている。そして、固定側プラテン22には、金型装
置31のうちの固定型32が取り付けられ、可動側プラテン
23には、同可動型33が取り付けられる。なお、前記型締
装置21および加熱シリンダー装置1は、コンピューター
などの制御装置により総合的に制御されるようになって
いる。
【0019】つぎに、金型装置31の構成を図1から図3
に基づいて詳しく説明する。これらの図において、太い
線のハッチングで示してあるのは、ポリアミド12と磁
粉とを混合してなる材料Cである。一対の型体である固
定型32および可動型33は、可動側プラテン23の移動によ
り互いに開閉し、型閉時に相互間に製品形状のキャビテ
ィ34を形成するものである。なお、成形されるボンド磁
石Mの軸方向が固定型32および可動型33の型開閉方向に
一致させてある。
【0020】前記固定型32は、固定側プラテン22に取り
付けられる固定側取り付け板36と、この固定側取り付け
板36の可動型33側の面に固定された固定側受け板37とを
有しており、これら固定側取り付け板36および固定側受
け板37により基体38を構成している。また、固定側取り
付け板36にはローケートリング39およびスプルーブッシ
ュ40が固定されている。このスプルーブッシュ40は、加
熱シリンダー装置1のノズル4が接続されるもので、内
部が材料通路であるスプルー41になっており、固定側受
け板37を貫通して可動型33側へ突出している。
【0021】また、固定側受け板37の可動型33側には、
閉鎖部材である移動板46が前記型開閉方向に所定範囲移
動可能に支持されている。そして、固定側受け板37の可
動型33側にストッパー48とともにボルト49により固定さ
れたスリーブ50が移動板46を摺動自在に貫通している。
なお、ストッパー48は、可動型33側から移動板46に当た
ることにより、この移動板46と基体38との間の最大隙間
すなわち最大開き量を規制するものである。また、固定
側取り付け板36と移動板46との間に圧縮状態で挟まれた
付勢手段であるスプリング51により、移動板46は、基体
38に対して可動型33の方へ付勢されている。そして、前
記スプルーブッシュ40の先端部が移動板46に形成された
貫通孔52に摺動自在に嵌合されている。
【0022】また、前記基体38には、固定側取り付け板
36と固定側受け板37とにより挟まれてスリーブ56が固定
されているが、このスリーブ56は、固定側受け板37を貫
通して可動型33側へ突出しており、スリーブ56の先端側
は、移動板46に形成された貫通孔57に摺動自在に嵌合さ
れている。そして、スリーブ56の先端部は、移動板46よ
りも可動型33側へ突出できる凸部58をなしている。
【0023】前記可動側プラテン23に取り付けられる前
記可動型33は、前記固定型32の移動板46に突き当たって
閉じる可動側型板64を有している。これら可動側型板64
および移動板46の相互の案内のために、移動板46にはガ
イドピン66が固定されており、可動側型板64には、ガイ
ドピン66が摺動自在に嵌合される貫通孔67が形成されて
いる。
【0024】そして、可動側型板64には、前記固定型32
の凸部58が挿脱自在に嵌合される凹部71が形成されてい
る。また、可動側型板64に形成されたピン部73が凹部71
内に同軸的に突出している。このピン部73は、前記固定
型32の凸部58を形成するスリーブ56内に挿脱自在に嵌合
されるものである。凸部58と凹部71との嵌合面およびピ
ン部73とスリーブ56との嵌合面は、型開閉方向と平行な
柱面をなしており、かつ、ボンド磁石Mにバリが生じな
いように、相互間の隙間はほとんどない。そして、最終
的な製品形状のキャビティ34は、凸部58と凹部71とによ
り形成されるようになっている。すなわち、凸部58の先
端面がボンド磁石Mの一端面を形成し、凹部71の底面が
ボンド磁石Mの他端面を形成し、凹部71の内周面がボン
ド磁石Mの外周面を形成し、ピン部73がボンド磁石Mの
内周面を形成するものである。そして、閉じた固定型32
の移動板46と可動側型板64とが固定型32の基体38に対し
て移動することにより、キャビティ34の容積が連続的に
変化するようになっており、こうして、キャビティ34の
容積を調節する容積調節手段が構成されている。
【0025】また、閉じた固定型32の移動板46と可動型
33の可動側型板64との間には、前記スプルー41をキャビ
ティ34に連通させる材料通路であるランナー76およびゲ
ート77が形成されるようになっている。移動板46の可動
型33側の面には、凸部58を囲む円環状の窪部78が形成さ
れている。この窪部78は、前記ランナー76に連通してお
り、このランナー76の一部およびこのランナー76からキ
ャビティ34へのゲート77を形成するものである。このゲ
ート77は、固定型32の凸部58が可動型33の凹部71に嵌合
することにより閉じられるものである。なお、スプリン
グ51が移動板46を付勢する力は、ランナー76内の樹脂の
圧力に抗して移動板46と可動型33とが閉じた状態が保た
れる力に設定してある。
【0026】なお、図示していないが、可動型33には、
型開に伴い、成形されたボンド磁石Mおよびランナー76
内で固化した材料Cを突き出しピンにより突き出して離
型させる突き出し機構が設けられている。
【0027】つぎに、射出成形の方法について説明す
る。加熱シリンダー装置1においては、可塑化工程と射
出工程とが繰り返し行われる。ポリアミド12と磁粉と
のコンパウンドからなる材料Cがホッパー5からシリン
ダー本体1内に供給されるが、可塑化工程では、材料C
のポリアミド12がヒーター3による加熱とスクリュー
6の回転による混練とにより溶融して可塑化される。こ
の可塑化とともに、材料Cは、スクリュー6の回転によ
って前方へ送られ、シリンダー本体1内の先端側に溜め
られていく。それに伴って、スクリュー6は材料Cの圧
力により後退する。なお、可塑化工程中も、油圧シリン
ダー11により、スクリュー6には前方への適当な背圧が
かけられている。スクリュー6が所定位置まで後退した
ことが検出されると、油圧シリンダー11の駆動によりス
クリュー6が前進し、シリンダー本体1内の先端側の材
料Cがノズル4から射出され、金型装置31のスプルー41
へ供給される。スクリュー6が所定位置まで前進したこ
とが検出されると、あるいは、スクリュー6が前進限ま
で前進すると、再び可塑化工程となる。
【0028】型締装置21は、まず弱い一定の型締力F1で
固定型32と可動型33とを型閉する。このとき、図1
(a)に示すように、固定型32の移動板46と可動型33と
が突き当たって閉じる。一方、固定型32の基体38と移動
板46とは初期開き量A1をもって開いているが、ストッパ
ー48は移動板46には当たっていない。すなわち、型締力
F1とスプリング51の力Gとが釣り合っている。また、固
定型32の凸部58は可動型33の凹部71に嵌合しておらず、
開いたゲート77によりランナー76とキャビティ34とが連
通している。この状態で、加熱シリンダー装置1からス
プルー41へ材料Cを射出する。この材料Cは、スプルー
41からランナー76およびゲート77を通ってキャビティ34
内に充填される(充填工程)。
【0029】この充填工程に引き続いて、型締力はF1の
まま、加熱シリンダー装置1においては、スクリュー6
が所定位置まで前進したことが検出されるまで、あるい
は、スクリュー6が前進限まで前進するまで射出工程が
続けられる。すなわち、加熱シリンダー装置1から金型
装置31への材料Cの供給がなお続くが、それに伴い、金
型装置31内の材料Cの圧力により、図1(b)に示すよ
うに、油圧がクローズされていない型締装置21が与えて
いる型締力F1に抗して、固定型32の基体38に対し移動板
46および可動型33が開く方向に変位する。これにより、
発生した内圧が解除される。そして、基体38と移動板46
との間の拡大した開き量A2は、金型装置31内の材料Cの
圧力と型締力との均衡により決まる。より詳しくは、型
締力F1と、スプリング51の力Gおよび金型装置31内の材
料Cが移動板46および可動型33を後退させる力Hとの釣
り合いによって開き量A2が決まる。この開き量A2は、金
型装置31内により多くの材料Cが供給されるほど大きく
なる。換言すれば、加熱シリンダー装置1より供給され
る材料Cの量に誤差があっても、前記開き量の変化によ
り誤差が吸収され、キャビティ34内の材料Cの圧力が調
整されて一定になる(調圧工程)。こうして、キャビテ
ィ34内の材料Cの圧力を正確に制御できることになる。
【0030】なお、開き量がA1からA2に大きくなること
によりスプリング51の力Gは若干弱くなり、また、可動
型33とともに型締用ラム26が押し戻されることにより油
圧シリンダー25が与える型締力も若干変化し得るが、こ
れらスプリング51の力Gや型締力の変化は、無視できる
ほどに小さなものである。すなわち、移動板46および可
動型33の変移に応じて変化するスプリング51の力Gや型
締力と釣り合う材料Cの圧力のばらつきは、一定の容積
のキャビティに異なる量の材料Cを充填したときに生じ
る圧力のばらつきに比べれば、ずっと小さい。
【0031】また、前記調圧工程において、固定型32の
基体38と移動板46および可動型33とを開くように作用す
る材料Cの圧力は、固定型32については、型開閉方向と
平行な方向において基体38にかかる圧力である。これが
調圧に関わる圧力である。これに対して、前記実施例の
金型装置31では、ランナー76を固定型32の移動板46と可
動型33との間に形成したので、基体38と移動板46および
可動型33とを開くように作用する材料Cの圧力は、ほぼ
キャビティ34のみにおいて基体38にかかる(正確には、
スプルーブッシュ40を含む)。したがって、キャビティ
34を基準に調圧がなされることになる。一方、ランナー
76内の材料Cの圧力は、移動板46と可動型33とを開くよ
うに作用するが、ランナー76内の材料Cの圧力にはスプ
リング51の力が抗し、移動板46と可動型33とが閉じた状
態に保たれる。これは、次の計量工程でも同様である。
【0032】調圧工程の終了後、型締装置21は、型締力
をF2に強める。これにより、固定型32の基体38と移動板
46とが閉じていく。それに伴い、キャビティ34内の余分
な材料Cは、まだ開いているゲート77からランナー76へ
戻り、金型装置31内の材料Cは、加熱シリンダー装置1
のシリンダー本体2内に戻る。その分、スクリュー6は
後退する。そして、図2(a)に示すように、固定型32
の凸部58が可動型33の凹部71に嵌合し始めるとゲート77
が閉じ、この時点で、キャビティ34内に一定量の材料C
が残ることになる(計量工程)。
【0033】計量工程の後、図2(b)に示すように、
固定型32の基体38と移動板46とが互いに突き当たるまで
閉じ、それに伴い、キャビティ34内の材料Cが加圧され
て圧縮される(圧縮工程)。その圧縮量Bは、計量工程
の終了時点での基体38と移動板46との開き量A3に等し
い。
【0034】前記調圧工程が終了した時点では、キャビ
ティ34の容積すなわちキャビティ34内の材料Cの量は一
定していない。しかし、その後の計量工程において、前
述のようにキャビティ34内の材料Cがランナー76へ戻
り、ゲート77が閉じた瞬間には、キャビティ34内に一定
量の材料Cが残る。こうして、調圧工程および計量工程
により、キャビティ34内に充填される材料Cの圧力およ
び量が正確に制御されることになる。
【0035】ところで、金型装置31において、ランナー
76を固定型32の移動板46と可動型33との間に形成したこ
とにより、計量工程において、ランナー76の容積は変化
しない。したがって、容積が小さくなっていくキャビテ
ィ34からランナー76へ材料Cが円滑に戻り、キャビティ
34内の材料Cの圧力が確実に一定に保たれる。これとと
もに、型閉の動作も速くできる。
【0036】また、移動板46に、凸部58を囲んで、ラン
ナー76の一部およびゲート77を形成する窪部78を形成し
たので、ゲート77付近の材料Cの冷却が遅れ、これによ
り、計量工程に際して、キャビティ34からランナー76へ
材料Cがよりいっそう円滑に戻る。これに対して、もし
窪部78がなく、ゲートが単なるサイドゲートになってい
たとすると、一般的にキャビティ内の材料Cの冷却は固
定型と可動型との分割面に近い位置がより速く進むため
に、ゲート付近の材料Cの冷却、固化も比較的速く進む
ことから、キャビティからランナーへ材料Cが円滑に戻
らないおそれがある。
【0037】型閉に伴いゲート77が閉じた後には圧縮工
程となって、キャビティ34内の材料Cは所定容積まで圧
縮されるが、計量工程において、キャビティ34内に一定
の圧力で一定量の材料Cが残されることにより、圧縮も
円滑に行われる。そして、圧縮により、材料Cの冷却に
よる固化に伴う収縮が補償される。したがって、この補
償のために、加熱シリンダー装置1側で保圧工程を行う
必要はない。
【0038】そして、キャビティ34内の材料Cが十分に
冷却して固化した後、型締装置21により固定型32と可動
型33とが型開される。それに伴い、キャビティ34内の材
料Cすなわちボンド磁石Mとランナー76およびスプルー
41内で固化した材料Cは、まず固定型32から離れる。つ
いで、図示していないランナー突き出しピンがランナー
76およびスプルー41内で固化した材料Cを突き出して可
動型33から離型させるとともに、図示していない製品突
き出しピンがボンド磁石Mを突き出して可動型33から離
型させる。さらに、ランナー76およびスプルー41内で固
化した材料Cおよびボンド磁石Mが取り出された後、再
び型閉が行われ、以上の工程が繰り返される。
【0039】以上のように、前記実施例の構成によれ
ば、金型装置31内で行われる調圧工程および計量工程に
より、キャビティ34内に充填される材料Cの圧力および
量を容易に正確に制御でき、したがって、品質の安定し
た高精度のボンド磁石Mを得られる。
【0040】また、金型装置31において、ランナー76を
固定型32の移動板46と可動型33との間に形成したことに
より、キャビティ34を基準に調圧が行われ、また、計量
工程ではキャビティ34内の材料Cが円滑にランナー76へ
戻ることにより、キャビティ34内に充填される材料Cの
圧力および量をより正確に制御できる。さらに、移動板
46に、凸部58を囲んで、ランナー76の一部およびゲート
77を形成する窪部78を形成したことにより、計量工程
時、キャビティ34内の材料Cをいっそう円滑にランナー
76へ戻せる。
【0041】ところで、前記の成形に伴い、ボンド磁石
Mの表面部すなわち金型装置31に直接接している部分に
は、磁粉を含まないポリアミド12のみからなる被覆層
M1が自然にできる。しかも、本実施例の成形方法によれ
ば、材料Cがまだ十分溶融状態にあるうちに、ゲート77
が閉じられて、キャビティ34内に残った材料Cとランナ
ー76内の材料Cとが切断されるので、ゲート跡自体がボ
ンド磁石Mに生じない。したがって、成形されたボンド
磁石Mの全表面が隙間なくポリアミド12により覆われ
た状態になる。これにより、磁粉がネオジウム・鉄・ボ
ロン系合金からなり錆びるおそれのあるものでもかかわ
らず、後工程で塗装を行うことなく、ボンド磁石M全体
を確実に防錆できる。そして、塗装工程が不要になるこ
とから、製造コストも低減できる。なお、ポリアミド1
2は耐蝕性の点でも優れている。
【0042】一方、充填工程においてはゲート77を大き
くしておけるので、材料Cの流動抵抗を小さくでき、こ
れにより、材料Cにおける磁粉の配合比を大きくでき
る。本実施例のように、ネオジウム・鉄・ボロン系合金
の磁粉とポリアミド12との組合せの場合、磁粉の重量
比を93%以上、例えば95〜96%、さらには97%程度にま
で上げることが可能である。これにより、ボンド磁石M
の磁力を強くでき、その磁気特性を向上できる。これと
ともに、材料Cの流動抵抗を小さくできることにより、
金型装置31の特にゲート77付近の磨耗、破損を防止で
き、金型寿命も長くできる。さらに、圧縮工程における
圧縮によりボンド磁石Mの密度を高められ、ボンド磁石
M内にポアがないこととあいまって、ボンド磁石Mの強
度、硬度および磁力をいっそう強くできる。
【0043】なお、本発明は、前記実施例に限定される
ものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、
前記実施例では、インラインスクリュー式の射出成形機
を用いた場合を例に採って説明したが、成形機には、プ
ランジャー式のものなど、各種のものを用いられる。ま
た、型締装置も、前記実施例のような直圧式のものの
他、トグル式のものなど、各種のものを用いられる。型
締装置の駆動源も、油圧シリンダーに限らず、電動モー
ターなどであってもよい。さらに、金型装置も、前記実
施例のものには限らない。例えば、移動体を付勢する付
勢手段としては、スプリングの他、エアシリンダーなど
を用いることもできる。
【0044】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、ボンド磁石に
おいて、磁粉の重量比が93%以上であるとともに、ボン
ド用樹脂が全表面を隙間なく覆っているので、確実に全
体を防錆できるとともに、磁力を強くできる。また、製
造に際し、磁粉およびボンド樹脂である熱可塑性樹脂か
らなる材料をキャビティ内に充填した後、このキャビテ
ィ内の材料を材料供給装置側へ戻しながら、キャビティ
の容積を小さくしてゲートを閉じるので、キャビティ内
に充填される材料の圧力および量を正確に制御でき、ま
た、金型装置での成形の工程のみにより、成形されたボ
ンド磁石の全表面を熱可塑性樹脂により隙間なく覆うこ
とができるとともに、キャビティ内への材料の充填に際
してはゲートを大きくしておけるので、磁粉の配合比を
大きくでき、これにより、成形されたボンド磁石の磁力
を強くできる。さらには、金型装置のゲート部分の磨
耗、破損を防止でき、金型寿命も長くできる。また、ゲ
ートを閉じた後の材料の圧縮により、成形されたボンド
磁石の密度を高められ、ボンド磁石の強度および磁力を
いっそう強くできるとともに、精度もより向上できる。
【0045】例えば、請求項2の発明のように、ボンド
用樹脂を熱可塑性樹脂であるポリアミド12とすれば、
射出成形を行うことにより、ポリアミド12によってボ
ンド磁石の表面を覆うことができる。
【0046】そして、請求項3の発明のように、磁粉が
錆びるおそれのあるネオジウム・鉄・ボロン系合金から
なっていても、錆の発生を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すボンド磁石の成形用の
金型装置の断面図で、(a)は充填工程時、(b)は調
圧工程時を示している。
【図2】同上金型装置の断面図で、(a)は計量工程
時、(b)は圧縮工程時を示している。
【図3】同上図2(b)のキャビティ付近の拡大図であ
る。
【図4】同上射出成形に用いる装置全体を示す一部を断
面にした側面図である。
【図5】成形されたボンド磁石の一部の断面図である。
【符号の説明】
1 加熱シリンダー装置(材料供給装置) 31 金型装置 32 固定型(型体) 33 可動型(型体) 34 キャビティ 76 ランナー(材料通路) 77 ゲート C 材料 M ボンド磁石
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−215409(JP,A) 特開 昭58−218108(JP,A) 特開 平7−235413(JP,A) 特開 平2−109307(JP,A) 特開 昭54−85395(JP,A) 特開 昭55−103714(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 7/02 H01F 41/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂からなるボンド用樹脂と磁
    粉とを混合して成形してなり、この磁粉の重量比が93%
    以上であるボンド磁石の製造方法において、互いに開閉
    し型閉時に相互間にキャビティを形成する複数の型体
    と、このキャビティの容積を調整する容積調整手段とを
    備え、この容積調整手段が前記キャビティの容積を小さ
    くするのに伴って材料通路から前記キャビティへのゲー
    トが閉じる構成とした金型装置を用い、前記磁粉が溶融
    した前記熱可塑性樹脂に混合してなる材料を材料供給装
    置から前記材料通路へ供給して前記キャビティ内に充填
    し、この充填後に前記キャビティの容積を小さくしてこ
    のキャビティ内の材料を前記ゲートが閉じるまで前記材
    料供給装置側へ戻すとともに、前記ゲートが閉じた後前
    記キャビティの容積をさらに所定容積まで小さくして前
    記キャビティ内の材料を圧縮することによりボンド磁石
    を成形し、その際にこのボンド磁石の全表面を前記ボン
    ド用樹脂により隙間なく覆うことを特徴とするボンド磁
    石の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ボンド用樹脂がポリアミド12であ
    ることを特徴とする請求項1記載のボンド磁石の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記磁粉がネオジウム・鉄・ボロン系合
    金からなることを特徴とする請求項2記載のボンド磁石
    の製造方法。
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