ところで、コイル材は複数種類のものが多数用意されることが多く、用意された多数のコイル材の保管、および保管されたコイル材のリールスタンドへの移送や装着に係る作業者の負担が大きいという問題がある。
例えば、多数のコイル材を床面に積み重ねて保管する場合には、保管スペースは小さくて済むが下の方に積まれたコイル材の取出しが難しくなる。また、多数のコイル材を床面に積み重ねることなく平置きにして保管する場合には、コイル材の取出しは容易だが大きな保管スペースが必要となる。
また、コイル材の多くが重さ20Kg以上の重量物であるため、コイル材を保管したり、保管されたコイル材を取り出してリールスタンドへ装着したりするときの作業者への負荷が大きいという問題がある。
例えば、保管されているコイル材を、フォークリフトに載せて搬送しリールスタンドに装着する場合、保管されているコイル材をフォークリフトに載せるのに適したフォークリフトに対するコイル材の姿勢と、搬送したコイル材をリールスタンドに装着するのに適したフォークリフトに対するコイル材の姿勢とが違うときには、作業者が手作業でコイル材の姿勢を変更する必要があるため作業者への負荷が大きくなる。
そのため、コイル材をより小さなスペースに保管できるようにするとともに、作業者がコイル材をより容易に取り扱うことができるようにしたいという要請がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、コイル材を効率良く保管するとともに、コイル材を取り扱う作業者の負担を軽減することができるコイルハンガーおよびコイルハンガーシステムを提供することを目的とするものである。
本発明の第1のコイルハンガーは、プレス用のコイル材を保持した状態で、支持体に離脱可能に掛止されるコイルハンガーであって、コイルハンガーを搬送するための搬送アームが係合するアーム係合部と、アーム係合部に対して前記保持したコイル材を鉛直軸の周りに回動可能とする回動部とを備えたことを特徴とするものである。
本発明の第2のコイルハンガーは、プレス用のコイル材を保持するためのコイル材保持部と、支持体に掛止される保管用継手部と、保管用継手部へ離脱可能に掛止されるとともに、コイル材保持部を支持する搬送用支持部とを備え、搬送用支持部が、この搬送用支持部を保管用継手部から離脱させてその搬送用支持部を搬送するための搬送アームが係合するアーム係合部、およびアーム係合部に対してコイル材保持部を鉛直軸の回りに回動可能に支持する回動部を有することを特徴とするものである。
前記コイルハンガーは、このコイルハンガーにコイル材を保持した状態でそのコイルハンガーを支持体に掛止したときに、コイル材の幅方向が水平となるように構成されたものとすることが望ましい。
前記アーム係合部は、搬送アームが挿入される開口を有するものであり、回動部は、コイルハンガーがコイル材を保持しているときに、開口に搬送アームが挿入される挿入方向とコイル材の幅方向とが平行になる位置と、前記挿入方向とコイル材の幅方向とが垂直になる位置との間でコイル材を回動可能なものとすることが望ましい。
前記支持体は、所定方向に延びる円柱状部を備えたものとすることができ、保管用継手部は、支持体の円柱状部に掛止される上側円弧部と搬送用支持部が掛止される下側円弧部とを有するS字状のフックとすることができる。
本発明のコイルハンガーシステムは、前記コイルハンガーと、そのコイルハンガーが掛止される支持体とを備え、この支持体は、それぞれがコイル材を保持した複数のコイルハンガーを同時に掛止可能なように所定方向に延びる部材であることを特徴とするものである。
このコイルハンガーシステムは、前記コイルハンガーを支持体に係止する支持体掛止部を有するものとし、この支持体掛止部は支持体に対して所定方向に移動可能に掛止されるものとすることが望ましい。
前記支持体掛止部は前記保管用継手部とすることができる。
前記コイルハンガーシステムは、コイルハンガーの支持体掛止部と支持体との間に、支持体掛止部を支持体から持ち上げて所定方向に移動させる移動冶具を挿入する空間が形成されるように構成されたものとすることが望ましい。
前記支持体掛止部を支持体から持ち上げる方向は、鉛直方向の上方とすることが望ましい。
前記支持体は、複数のコイルハンガーが水平な所定方向へ並ぶようにコイルハンガーを同時に掛止可能なものとし、コイルハンガーのアーム係合部は、コイルハンガーを支持体に掛止したときに、水平な所定方向および鉛直方向に対して直交する方向への搬送アームの移動により、搬送アームのアーム係合部への係合を可能とするものとし、コイルハンガーの回動部は、コイルハンガーを支持体に掛止したときに、コイルハンガーの保持するコイル材の幅方向が水平な所定方向と平行になるようにコイル材を保持可能なものとすることが望ましい。
なお、コイル材は、帯状の薄板金属材料を巻回してなる円筒形状をなすプレス用の材料である。
また、コイル材の幅方向は、上記帯状の薄板金属材料を巻回してなる円筒形状をなすプレス用のコイル材における帯状に延びる薄板金属材料の幅方向を意味するものである。なお、上記コイル材の幅方向は、円筒形状をなすコイル材の円筒の延びる方向を意味するものでもある。
前記挿入方向と幅方向とが垂直になるとは、挿入方向に平行な直線と幅方向に平行な直線とが交わるときに2つの直線の交差する角度が直角になることを意味するものである。
前記搬送アームとしては、典型的にはフォークリフトのアームが挙げられるが、これに限らずコイルハンガーのアーム係合部に係合してコイル材を搬送可能なものであればどのようなものであってもよい。
前記回動可能とは、保持したコイル材を1回転、すなわち360度回転可能である必要はない。例えば、保持したコイル材をリールスタンドに装着するときにそのコイル材を装着し易い姿勢となるように回動できれば、回動可能な角度は360度未満であってもよい。
前記回動部は、コイルハンガーによりコイル材を保持しているときに、搬送アームが挿入される開口に搬送アームを挿入する挿入方向とコイル材の幅方向とが平行になる平行位置と、その挿入方向とコイル材の幅方向とが垂直になる垂直位置とにおいて、クリック感を出して開口に対するコイル材の回動を制限して半固定状態とするディテント機構を有するものとすることが望ましい。
本発明の第1のコイルハンガーは、コイルハンガーを搬送するための搬送アームが係合するアーム係合部と、アーム係合部に対して前記保持したコイル材を鉛直軸の周りに回動可能とする回動部とを備えるようにしたので、搬送アームによるアーム係合部への係合を容易に行えるようにコイル材の向きを変更したり、アーム係合部に搬送アームを係合させてコイルハンガーを搬送するときのコイル材の向きを容易に変更したりすることができるので、コイル材を取り扱う作業者の負担を軽減することができる。
すなわち、搬送アームにアーム係合部を係合させたままの状態でアーム係合部に対するコイル材の向きを回動部により容易に変更することができるので、コイル材を取り扱う作業者の負担を軽減することができる。例えば、搬送アームを保管されているコイルハンガーのアーム係合部に係合させるときのこの搬送アームに対するコイル材の向きと、搬送アームをアーム係合部に係合さて搬送したコイル材をリールスタンドに装着するときの搬送アームに対するコイル材の向きとを作業者が容易に変更することができるので、コイル材を取り扱う作業者の負担を軽減することができる。
また、複数のコイル材それぞれを複数のコイルハンガーで保持して個別に保管する場合には、複数のコイル材を床上に平置きする場合に比してコイル材を互に接近させて保管することができ、より少ない保管スペースにコイル材を保管でき、かつ、複数のコイル材のうちから1つのコイル材を容易に取り出すことができる。
これにより、コイル材を効率良く保管できるとともに、コイル材を取り扱う作業者の負担を軽減することができる。
本発明の第2のコイルハンガーは、コイル材保持部と、保管用継手部と、搬送用支持部とを備え、搬送用支持部が、この搬送用支持部を保管用継手部から離脱させてその搬送用支持部を搬送するための搬送アームが係合するアーム係合部、およびアーム係合部に対してコイル材保持部を鉛直軸の回りに回動可能に支持する回動部を有するものとしたので、上記第1のコイルハンガーと同様の効果をより確実に得ることができる。
また、コイルハンガーを、このコイルハンガーにコイル材を保持した状態でそのコイルハンガーを支持体に掛止したときに、コイル材の幅方向が水平となるように構成されたものとすれば、より確実にコイル材を互に接近させて保管することができ、コイル材の保管スペースをより確実に少なくすることができる。
また、アーム係合部を、このアーム係合部へ搬送アームを係合させるためのこの搬送アームが挿入される開口を有するものとし、回動部を、コイルハンガーによりコイル材を保持しているときに、開口に搬送アームが挿入される挿入方向とコイル材の幅方向とが平行になる平行位置と、挿入方向とコイル材の幅方向とが垂直になる垂直位置との間でコイル材を回動可能なものとすれば、アーム係合部に搬送アームを係合させるときや、アーム係合部に搬送アームを係合させてコイル材を搬送するときや、アーム係合部に搬送アームを係合させて搬送したコイル材を降ろすときにコイル材の向きを各作業に都合の良い向きにより確実に変更することができるので、コイル材を取り扱う作業者の負担をより確実に軽減することができる。
また、支持体を所定方向に延びる円柱状部を備えたものとし、保管用継手部を、支持体の円柱状部に掛止される上側円弧部とこの上側円弧部の下側に配置され搬送用支持部が掛止される下側円弧部とを有するS字状のフックとすれば、搬送用支持部を保管用継手部からより容易に離脱させることができる。
すなわち、例えば、搬送用支持部の有するアーム係合部に搬送アームを係合させて、保管用継手部から搬送用支持部を離脱させるときに、アーム係合部に係合させた搬送アームを上方に移動させることにより、搬送用支持部を下側円弧部から外すことができるので、保管用継手部から搬送用支持部をより容易に離脱させることができる。
本発明のコイルハンガーシステムは、コイルハンガーと、このコイルハンガーが掛止される支持体とを備え、支持体が、それぞれがコイル材を保持した複数のコイルハンガーを同時に掛止可能なように所定方向に延びる部材としたので、複数のコイル材を効率良く保管できるとともに、コイル材を取り扱う作業者の負担を軽減することができる。
すなわち、複数のコイル材を所定方向に並べて保管することができるので、コイルハンガーに保持されたコイル材の個別の取出しやそのコイル材のコイルハンガーへの収容を他のコイル材と干渉することなくより容易に行うことができるとともに、コイルハンガーの保管スペースをより小さくすることができる。
また、コイルハンガーの支持体掛止部を、支持体に対して所定方向に移動可能に掛止されるものとすれば、支持体にコイルハンガーを掛止した状態でコイルハンガーの位置を所定方向に移動させることができるので、支持体に並べて掛止された互に隣り合うコイルハンガーの間隔を容易に変更することができ、例えば、コイルハンガーに保持されたコイル材を個別に取り出したりそのコイル材をコイルハンガーへ収容したりするときに、そのコイル材と隣り合う他のコイルハンガーが保持するコイル材との間隔を広げることができるので、コイル材を扱う作業をより容易に行うことができ、作業者の負担を軽減することができる。
また、コイルハンガーシステムを、支持体と支持体掛止部との間に、支持体掛止部を支持体から持ち上げて所定方向に移動させる移動冶具を挿入する空間が形成されるように構成されたものとすれば、コイルハンガーをより容易に移動させることができ、作業者の負担をさらに軽減することができる。
また、支持体を、複数のコイルハンガーが水平な所定方向へ並ぶようにコイルハンガーを同時に掛止可能なものとし、コイルハンガーのアーム係合部を、コイルハンガーを支持体に掛止したときに、水平な所定方向および鉛直方向に対して直交する方向への搬送アームの移動により、搬送アームのアーム係合部への係合を可能とするものとし、コイルハンガーの回動部が、コイルハンガーを支持体に掛止したときに、コイルハンガーが保持するコイル材の幅方向が水平な所定方向と平行になるようにコイル材を保持可能なものとすれば、複数のコイル材を互に接近させるように並べて保管することができるので、より確実に少ない保管スペースにコイル材を保管でき、かつ、複数のコイル材のうちから1つのコイル材を容易に取り出すこともできる。これにより、コイル材を効率良く保管できるとともに、コイル材を取り扱う作業者の負担を軽減することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態によるコイルハンガーを示す図であり、図1Aはコイルハンガーを示す正面図、図1Bはコイルハンガーを示す右側面図である。また、図2は本発明の実施の形態によるコイルハンガーシステムを示す図であり、図2Aはコイルハンガーをコイルハンガースタンドに掛止した状態を示す正面図、図2Bは上記図2Aに対応する右側面図である。さらに、図3は、搬送用支持部に対してコイル材保持部を回動させたときの様子を示す図であり、図3Aは、搬送用支持部に対してコイル材保持部を90度回動させたときの様子を示す正面図、図3Bは、搬送用支持部に対してコイル材保持部を90度回動させたときの様子を示す右側面図である。
なお、図1Aの枠F1中には後述する回動軸41が示されている。また、図1B中の枠F2には、後述するように、支持軸210に掛止された保管用継手部10と保管用継手部10Eが示されている。保管用継手部10は、S字形状をなす線状部材からなるものであり、この線状部材の断面の面積がS字形状に沿って変動するように形成されたものである。また、保管用継手部10Eは、S字形状をなす線状部材からなるものであり、この線状部材の断面の面積がS字形状に沿って一定となるように形成されたものである。
なお、図1Aの枠F1中に示した保管用継手部10Eは、保管用継手部10と共通の構成についてはこの保管用継手部10の場合と同一の符号を用いて示したものである。
以後、主に、断面積が変動するように形成された保管用継手部10について説明する。
図示のコイルハンガー100は、プレス用のコイル材1を保持するためのコイル材保持部30と、支持体である支持軸210に掛止される保管用継手部10(支持体掛止部ともいう)と、保管用継手部10へ離脱可能に掛止されるとともに、コイル材保持部30を支持する搬送用支持部20とを備えている。
搬送用支持部20は、この搬送用支持部20を保管用継手部10から離脱させてこの搬送用支持部20を搬送するための搬送アーム500が係合するアーム係合部である開口20Ka、および開口20Kaに対してコイル材保持部30を鉛直軸(図中矢印Y方向に平行な軸)の回りに回動可能に支持する回動部40を有するものである。
コイル材1は、帯状の薄板金属材料を巻回してなる円筒形状をなすプレス用材料である。
また、このコイルハンガー100を掛止するためのコイルハンガースタンド200は、上記支持軸210と、この支持軸210を床面FLから支持するための支持部220とを備えたものである。
上記コイルハンガー100とコイルハンガースタンド200とによってコイルハンガーシステム300が構成されている。
支持部220は、支持軸210の右端を支持する三角形状を成すフレームである右支持部220Rと、支持軸210の左端を支持する三角形状を成すフレームである左支持部220Lと、右支持部220Rの下部と左支持部220Lの下部とを連結する連結板230と、右支持部220Rの底部および左支持部220Lの底部にそれぞれ2つずつ配された合計4つのキャスター240とを備えている。
コイルハンガー100は、このコイルハンガー100にコイル材1を保持した状態でそのコイルハンガー100を支持軸210に掛止したときに、コイル材1の幅方向が水平となるように構成されている。
なお、支持軸210は1方向に延びる棒状の形状をなす円柱状部であり、支持部220は、支持軸210の延びる方向が水平となるように支持軸210を支持する。
なお、コイル材1の幅方向は、巻回されて円筒形状をなすコイル材1におけるその円筒形状の延びる方向、すなわち薄板金属材料が帯状に延びる方向と直交する方向(図1A、1Bにおいては矢印X方向)である。
また、コイルハンガー100は、コイルハンガー100がコイル材を保持しているときに、開口20Kaに搬送アーム500が挿入される方向とコイル材1の幅方向とを平行にしたり、直交させたりするようにコイル保持部30を開口20Kaに対して回動可能である。すなわち、コイル保持部30の保持するコイル材1を開口20Kaに対して回動可能である。
アーム係合部である開口20Kaは、複数のコイルハンガー100をコイルハンガースタンド200に同時に掛止したときに、支持軸210の延びる水平な1方向および鉛直方向に対して直交する方向への搬送アーム500の移動によりこの搬送アーム500が開口20Kaに係合可能となるように構成されている。
また、回動部40は、複数のコイルハンガー100をコイルハンガースタンド200に同時に掛止したときに、各コイル材の幅方向が一致するように、あるいは各コイル材の幅方向が支持軸210の延びる水平な1方向に一致するように、各コイル材1を保持するコイル保持部30を支持することを可能とするように構成されたものである。
ここで、回動部40を介してコイル保持部30を開口20Kaに対して回動させ、コイル材1の幅方向が支持軸210の延びる水平な1方向と平行になるようにコイル保持部30の向き、すなわちコイル材1の向きを定めることができる。
なお、保管用継手部10は、金属材料をS字形状を成すように成形したフックであり、支持軸210に掛止したときに上側に位置する上側円弧部11と下側に位置する下側円弧部12とからなるものである。この下側円弧部12には搬送用支持部20が離脱可能に掛止される。
上記保管用継手部10は、上記のようにS字形状に沿って断面積が変動するものである。このようにS字形状に沿って断面の面積を変動させることにより、保管用継手部10の重心位置を所望の位置に定めることができる。
また、図1Bの枠F2中に示されている保管用継手部10Eは、上記保管用継手部10と略同様の構成を有するものであるが、S字形状に沿って断面の面積が一定である。このようにS字形状に沿って断面の面積を一定とすることにより、保管用継手部10を容易に製作することができる。
上記のように、保管用継手部10と保管用継手部10Eとは、S字形状に沿った断面積に違いがあるため、それぞれの重心位置も違うが、その他の構成および機能については同等である。
この、保管用継手部10は、支持軸210に保管用継手部10を掛止したときに、支持軸210のと保管用継手部10との間に、コイルハンガー100を支持軸210に沿って移動させるための移動冶具である後述する移動用ハンドルの突起を挿入する空間が生じるように構成されている。なお、コイルハンガー100の移動は、移動用ハンドルにより保管用継手部10を支持軸210から持ち上げてこのコイルハンガー100を支持軸210に沿って移動させる。
すなわち、保管用継手部10は、この保管用継手部10を支持軸210に掛止したときに上側円弧部11の下側、かつ、支持軸210の上側に位置する領域に、移動用ハンドルの突起を係合させる隙間Skが形成されるようにするための突起係合部11Sを有している。
また、搬送用支持部20は、コイルハンガー100を支持軸210に掛止したときに、上側に配される上搬送保持部22と下側に配される下搬送保持部23とを有している。上搬送保持部22は、下方が開放された馬蹄形状をなすものであり上側に下側円弧部12に掛止する湾曲部22Uを有している。下搬送保持部23は、上搬送保持部22の開放された側に溶接され固定された板形状をなすものである。
上搬送保持部22と下搬送保持部23とに囲まれた空間が上記開口20Kaとなる。
なお、下搬送保持部23は、回動部40の一部を構成するものである。
コイル材保持部30は、コイルハンガー100を支持軸210に掛止したときに、上側に配される上コイル保持部31、下側に配される下コイル保持部32、および上コイル保持部31と下コイル保持部32とを連結する2本の連結ワイヤロープ33とを有している。
なお、コイル材保持部30の上コイル保持部31は、回動部40の一部を兼ねるものである。
各連結ワイヤロープ33の両端にはボルトBoを通すための係合輪Waが設けられている。
板形状をなす上コイル保持部31の両端(図1Aの矢印X方向における両端)には、各連結ワイヤロープ33の一端の係合輪Waを通したボルトBoがそれぞれ螺合して、各連結ワイヤロープ33の一端がボルトBoを介して上コイル保持部31の両端に回動可能に連結されている。
さらに下コイル保持部32の両端(図1Aの矢印X方向における両端)には、各連結ワイヤロープ33の他端それぞれの係合輪Waを通したボルトBoが螺合して、各連結ワイヤロープ33の他端それぞれが下コイル保持部32の両端に回動可能に連結されている。
コイル材1をコイル材保持部30で保持するときには、コイル材1を上コイル保持部31と下コイル保持部32との間に配置し、上コイル保持部31と下コイル保持部32とを4つのボルトBoを介して2本の連結ワイヤロープ33で連結する。これにより、上コイル保持部31、下コイル保持部32、および2本の連結ワイヤロープ33の4つの部材で囲まれた開口30Kaにコイル材1が配される。
下コイル保持部32は、コイル材1を内側から支えてこのコイル材1を円筒形状を成す正しい姿勢で保持するための支え板32Jであって、このコイル材1の内径に沿って延びる支え板32Jを有している
搬送用支持部20が備える回動部40は、一端に大径のヘッド部41A、他端に小径のネジ部41C、そのヘッド部41Aとネジ部41Cとの間に中径の軸部41Bを有する回動軸41(図1Aの枠F1中に記載の図参照)、上記ネジ部41Cに螺合するナットNu、外側にネジ部を有する筒状体に収容された球体Qtがこの筒状体の延びる方向へ向けて筒状体内からバネによって押圧されるように構成した2つのプランジャ42、回動軸41を通すための図中矢印Y方向に貫通する開口とこの開口の両側に形成された上記2つのプランジャ42が螺合するように形成された雌ネジ部とを有する下搬送保持部23、および下搬送保持部23の開口を通った回動軸41を通すための図中矢印Y方向へ貫通する開口とこの開口の両側に上記2つのプランジャ42により押圧されている各球体Qtがはまり込むテーパ溝31Tpが形成された上記コイル材保持部30の一部を兼ねる上コイル保持部31とを備えたものである。
なお、テーパ溝31Tpは、上コイル保持部31上におけるこの上コイル保持部31を貫通する開口の周りの4箇所、すなわち図中矢印+X,−X,+Z,−Zの各方向毎に形成されている。
下搬送保持部23の開口および上コイル保持部31の開口を通った回動軸41は、回動軸41の他端のネジ部41CにナットNuが螺合されて、上記ヘッド部41Aと螺合されたナットNuとの間に板形状をなす下搬送保持部23と上コイル保持部31とが挟み込まれて両者の間隔が狭められた状態となっている。そして、下搬送保持部23の雌ネジ部に螺合したプランジャ42の球体Qtが上コイル保持部31の上面を押圧しながら移動して、上コイル保持部31を押圧する球体Qtがこの上コイル保持部31の上面に形成されたテーパ溝31Tpにはまり込んだときに、下搬送保持部23に対して上コイル保持部31が回動軸41(図中矢印Y方向に平行な軸)の回りに位置決めされる。
すなわち、搬送用支持部20に対してコイル材保持部30を回動させると搬送用支持部20に配されたプランジャ42の球体Qtがコイル材保持部30に配されたテーパ溝31Tpにはまり込んだときに、搬送用支持部20に対するコイル材保持部30の位置が回動方向に半固定状態となる。
図1A、1Bに示すように、搬送アーム500が挿入される搬送用支持部20の開口20Kaと、コイル材1が保持されるコイル材保持部30の開口30Kaとが共に正面(図中矢印Z方向)を向いたときに、2つのプランジャ42の球体Qtそれぞれがコイル材保持部30に配された2つのテーパ溝31Tpにはまり込んで、コイル材保持部30が回動方向に半固定状態となる。
また、図3A、3Bに示すように、搬送用支持部20に対してコイル材保持部30を鉛直軸(図中矢印Y方向に平行な軸)の回りに90度回動させたときにも、すなわち、搬送用支持部20の開口20Kaに搬送アーム500を挿入する方向と、コイル材保持部30の開口30Kaにコイル材1を通す方向とを直交させたときにも、2つのプランジャ42の球体Qtそれぞれがコイル材保持部30に配された2つのテーパ溝31Tpにはまり込んで、搬送用支持部20に対するコイル材保持部30の位置が回動方向に半固定状態となる。
次に、上記コイルハンガー100およびコイルハンガースタンド200を備えたコイルハンガーシステム300の作用について説明する。
図4はコイルハンガースタンド200からコイルハンガー100の主要部を離脱させる様子を示す図、図5はリールスタンドの近くに搬送されたコイルハンガー100の主要部の様子を示す図、図6はリールスタンドにコイルハンガーを取り付ける様子を示す図、図7はリールスタンドに取り付けたコイルハンガーを用いてプレス加工を行う様子を示す図である。
なお、図4には、コイルハンガースタンド200からコイルハンガー100のコイル材を保持している部分を取り出すときの、支持軸210に掛止された保管用継手部10の様子が示されている。また、図4の枠F3中には、コイルハンガースタンド200からコイルハンガー100のコイル材を保持している部分を取り出すときの、支持軸210に掛止された保管用継手部10Eの様子が示されている。
なお、上述のように保管用継手部10はS字形状に沿って断面の面積が変動するものであり、保管用継手部10EはS字形状に沿って断面の面積が一定である。
コイルハンガースタンド200には、このコイルハンガースタンド200の支持軸210に保管用継手部10を掛止したコイルハンガー100が多数保管されている。
保管用継手部10を支持軸210に掛止したコイルハンガー100は、保管用継手部10から搬送用支持部20等を離脱可能に掛止した状態で保管されている。
また、搬送用支持部20が回動部40を介してコイル材保持部30を回動可能に吊り下げた状態で支持し、かつ、搬送用支持部20の開口20Kaおよびコイル材保持部30の開口30Kaが両方共に正面(図中矢印Z方向)を向くように配されている。
すなわち、支持軸210が延びる方向と、コイル材1の幅方向およびコイル材1の並ぶ方向とが一致するように支持軸210にコイルハンガー100を掛止している。
次に、フォークリフト(図示は省略)を操作して、このフォークリフトのフォークの爪である搬送アーム500を搬送用支持部20の開口20Kaに挿入し、この搬送アーム500を上方に移動させて、搬送用支持部20を保管用継手部10から離脱させる。
すなわち、搬送アーム500を搬送用支持部20の開口20Kaに挿入して上方に移動させることにより保管用継手部10が支持軸210の周りに回動可能となる。そして、図4に示すように、重力の作用により保管用継手部10の重心位置が最も低い位置に定められるようにこの保管用継手部10が支持軸210の周りに回動する。この保管用継手部10の回動により下側円弧部12が搬送用支持部20の湾曲部22Uから外れるように、保管用継手部10の重心位置が予め定められている。そして、この保管用継手部10の回動により、下側円弧部12が湾曲部22Uから外れて開口20Kaの外側に出るように移動する。
その後、搬送アーム500を下方に移動させることにより、搬送用支持部20が下側円弧部12に触れることなく、この搬送用支持部20の湾曲部22Uを下側円弧部12の下方まで移動させることができる。
なお、上記保管用継手部10の場合と同様に、保管用継手部10Eが支持軸210の周りに回動可能となったときにも、図4の枠F3中に示すように、重力の作用により保管用継手部10Eの重心位置が最も低い位置となるようにこの保管用継手部10Eが支持軸210の周りに回動する。
この保管用継手部10Eの回動により、下側円弧部12が搬送用支持部20の湾曲部22Uから外れて開口20Kaの外側に出るように移動すれば、搬送アーム500を下方に移動させることにより、搬送用支持部20が下側円弧部12に触れることなく、この搬送用支持部20の湾曲部22Uを下側円弧部12の下方まで移動させることができる。
なお、上記保管用継手部10が回動したときに、下側円弧部12が搬送用支持部20の湾曲部22Uから外れない場合には、例えば、手動により、下側円弧部12を搬送用支持部20の湾曲部22Uから外し、この下側円弧部12を開口20Kaの外側に出してから、搬送アーム500を下方に移動させる。
次に、下側円弧部12の下方まで湾曲部22Uが移動された状態において、搬送用支持部20は、搬送アーム500の移動により、すなわちフォークリフトの−Z方向への移動により、コイルハンガースタンド200によるコイルハンガー100の保管領域から1つのコイルハンガー100が取り出される。
つづいて、図5に示すように、開口20Kaに搬送アーム500を係合させた状態のまま、フォークリフトが搬送用支持部20を移送して、この搬送用支持部20の支持するコイル材保持部30が保持しているコイル材1をプレス装置700の近くの床面FL上に配置されたリールスタンド600の手前まで搬送する。
なお、リールスタンド600は、コイル材1を保持するための回転可能な内径支持チャック610を有している。
ここで、図6および図3A、3Bに示すように、手動操作により、回動部40を介してコイル材保持部30を90度回転させる。すなわち、搬送用支持部20の開口20Kaの向きとコイル材保持部30の開口30Kaの向きとが90度をなすように回転させる。
その後、フォークリフトを操作して、リールスタンド600の正面方向からこのリールスタンド600にコイル材1を接近させて、このコイル材1の内径を3つ爪チャック機構を有する内径支持チャック610に配する。そして、内径支持チャック610によりコイル材1の内径側をチャックして、コイル材1をリールスタンド600に装着する。
その後、上コイル保持部31から2本の連結ワイヤロープ33および下コイル保持部32を外して取り除き、コイル材1のリールスタンド600への取り付けを完了する。
図7に示すように、フォークリフトは、搬送アーム500に開口20Kaを係合さてせたまま、搬送用支持部20を、この搬送用支持部20の有する回動部40の一部を兼ねる上コイル保持部31とともにリールスタンド600から離れる方向へ搬送する。
そして、リールスタンド600へ取り付けられたコイル材1が、プレス装置700に供給されてプレス加工が行われる。
このように、上記コイルハンガー100およびコイルハンガースタンド200を備えたコイルハンガーシステム300を使用することにより、複数のコイル材1の中から1つのコイル材1を個別に取り出してリールスタンド600に配置する作業を容易に実行することができる。
なお、リールスタンド600に配置されたコイル材1を取り外してこのコイル材1をコイル材保持部30で保持する作業、およびコイル材1を保持したコイル材保持部30を支持する搬送用支持部20をフォークリフトで搬送し、コイルハンガースタンド200の支持軸210に掛止されている保管用継手部10に掛止してコイル材1を保持したコイルハンガー100をコイルハンガースタンド200に保管する作業等は、上記手順を逆に行うことにより実施することができる。
なお、コイル材1を使い切った場合には、このコイル材1を代替可能な同種のコイル材がリールスタンド600に装着される。また、コイル材1が残っている状態でプレス装置700による所定量のプレス加工部品の製造が完了した場合には、リールスタンド600に配されたコイル材1が取り外されて、次のプレス加工部品の製造に用いられる他のコイル材がこのリールスタンド600に装着される。
以下、コイルハンガースタンド200に保管されているコイルハンガー100を、支持軸210の延びる方向へ移動させるための、上述の図2Aに示されている移動用ハンドル800について説明する。
図8Aは、図2Aに示す移動用ハンドルを拡大して示す図、図8Bは図2Aに示す移動用ハンドルを図中矢印−X方向から見た様子を拡大して示す左側面図である。
この移動用ハンドル800は、保管用継手部10の突起係合部11Sに係合させてこの保管用継手部10を上方に押し上げる作用点となる作用点部である突起部810と、外力を加えるための力点となる力点部であるレバー部820と、上記作用点と力点とに関して定められる支点となる支点部830とを備えている。
この移動用ハンドル800は支持軸210上に配されて使用されるものであり、支点部830は、上記突起部810とレバー部820とが連結され固定されている連結部831と上記支持軸210に沿って移動用ハンドル800を移動させるための上記連結部831に係合する回転ローラ832とを備えている。移動用ハンドル800は、回転ローラ832と支持軸210との接触位置を支点としてレバー部820に加えられた力を突起部810に作用させる。
なお、突起部810とレバー部820と連結部831とは一体化されている。
この移動用ハンドル800を使用する際には、支点部830の回転ローラ832を支持軸210上に接触させて支持軸210上に移動用ハンドル800を配置し、レバー部820を図中矢印−Y方向へ押し下げるようにして加えた外力を上記回転ローラ832と支持軸210との接触点を支点として突起部810に作用させ、この突起部810を図中矢印+Y方向へ押し上げる。この移動用ハンドル800によるテコの作用により、突起部810に係合させたコイルハンガー100の突起係合部11Sを上方へ(図中矢印+Y方向へ)移動させ、コイルハンガー100を支持軸210から持ち上げる。さらに、コイルハンガー100を支持軸210から持ち上げた状態で、レバー部820に対して支持軸210の延びる方向(図中矢印X方向)への力を加えることにより回転ローラ832を回転させながら移動用ハンドル800の全体を支持軸210上に移動させ、コイルハンガー100の支持軸210上の位置を変更させることができる。
以下、コイルハンガーの変形例について説明する。図9はコイルハンガーの変形例を示す図であり、図9Aはコイルハンガーの変形例を示す正面図、図9Bはコイルハンガーの変形例を示す右側面図である。以下、上記実施の形態と同様の構成については同じ符号を使用し説明を省略する。
図9A、9Bに示すコイルハンガー101は、上述したコイルハンガー100の変形例であり、上述のコイルハンガー100においては保管用継手部10へ離脱可能に掛止される搬送用支持部20であったものを、コイルハンガー101においては、保管用継手部10′に固定されこの保管用継手部10′と一体化された搬送用支持部20′を備えるようにしたものである。なお、保管用継手部10′と搬送用支持部20′とは溶接等により一体化することができる。
このコイルハンガー101は、プレス用のコイル材1を保持した状態で、支持体である支持軸210に離脱可能に掛止される支持体掛止部である保管用継手部10′を有するものであって、コイルハンガー101を搬送するための搬送アーム500が係合するアーム係合部である開口20Ka′と、開口20Ka′に対して上記保持したコイル材1を鉛直軸(図中矢印Y方向に平行な軸)の周りに回動可能とする回動部40とを備えたものである。
そして、フォークリフトの搬送アーム500が開口20Ka′に係合して搬送用支持部20′を搬送するときには、この搬送用支持部20′に一体化された保管用継手部10′を支持軸210から離脱させて、この保管用継手部10′と搬送用支持部20′とを両方共に搬送する。
その他の構成および作用は上記コイルハンガー100と同様である。
なお、コイルハンガーは支持体に直接掛止するものであってもよいし、支持体に掛止した部材に対してさらに掛止するものであってもよい。
図10は本発明のコイルハンガーシステムの変形例を示す図であり、図10Aはコイルハンガーをコイルハンガースタンドに掛止した状態を示す正面図、図10Bは上記図10Aに対応する右側面図である。
変形例のコイルハンガーシステム300′は、上記コイルハンガー100と、このコイルハンガー100を掛止するための、上段に配された上段支持軸210Uおよび下段に配された下段支持軸210Dを有するコイルハンガースタンド200′とによって構成されている。
このコイルハンガースタンド200′は、上段支持軸210Uおよび下段支持軸210Dを床面FLから支持するための支持部220′を備えている。
支持部220′は、上段支持軸210Uの右端を支持する三角形状を成すフレームである上段右支持部220URと、下段支持軸210Dの右端を支持する三角形状を成すフレームである下段右支持部220DRと、上段支持軸210Uの左端を支持する三角形状を成すフレームである上段左支持部220ULと、下段支持軸210Dの左端を支持する三角形状を成すフレームである下段左支持部220DLと、上段右支持部220URの下部と上段左支持部220ULの下部とを連結する連結板230′と、上段右支持部220URの下端と下段右支持部220DRの下端の連結部MRの底部および上段左支持部220ULの下端と下段左支持部220DLの下端の連結部MLの底部それぞれに2つずつ配された合計4つのキャスター240′とを備えている。
このように、上下2段の支持軸210U、210Dそれぞれに、コイル材1を収容した多数のコイルハンガー100を同時に掛止することができるので、コイル材1を収容する空間の利用効率を高めることができる。
このコイルハンガーシステム300′に関する他の構成および作用は、上述のコイルハンガーシステム300と同様である。
上記本発明のコイルハンガーおよびコイルハンガーシステムによれば、以下のような効果を奏することもできる。なお、以下に記載の効果は上述の効果の一部を重複して示すものである。
作業者が手を怪我しない。
保管スペースを少なくすることができる。
天井クレーンの無いところでも作業できる。
フォークリフトのフォークにコイル材を吊るしたままコイル材の向きを変え、そのままリールスタンドに取り付けることができる。
作業中および保管中においてコイル材の外周部分が損傷を受け難いので、このコイル材をプレス装置に供給するときに、コイル材の外周部分を廃棄することなくその外周部分かから使用することができる。
地震が発生したときに、コイル材を重ねて保管していた場合には、上に積まれたコイル材が落下する危険がある。しかし、コイル材をコイルスタンドに吊ってある場合には、地震の揺れがコイル材の揺れによって吸収されるためコイルスタンドは倒れ難くなり、しかも、コイル材による揺れの吸収によってコイルスタンドは簡単には動かない。そのため、コイルスタンドに吊ってあるコイル材がやたらに揺れてコイル材の間に手を挟まれるようなこともない。