JP3147891U6 - サーマルソリューションを有する携帯電話 - Google Patents

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Abstract

【課題】携帯電話中の部品から発生するか、又は携帯電話中に存在する熱から携帯電話中の部品を遮蔽するための改良されたサーマルソリューションを有する携帯電話を提供する。
【解決手段】携帯電話130が、熱源を有する第一部品と、この第一部品から熱が伝達される第二部品と、第一部品と第二部品との間に挿入されるサーマルソリューション10とを備えてなり、第二部品が携帯電話のキーパッド、バッテリー、ディスプレー、ケースのいずれかであって、サーマルソリューション10が、第一部品より発生する熱から第二部品を熱的に遮蔽する少なくとも一枚の剥離されたグラファイトの圧縮粒子のシートより構成する。
【選択図】図2

Description

本考案は、電子的デバイス中の部品を熱的に遮蔽し、デバイス部品に対する熱の影響を防止または軽減することができるサーマルソリューションを有する携帯電話に関する。
高い処理速度および高周波数で作動する能力があり、小型で、より複雑な電力条件を有し、他の技術的優位性を示す電子装置、例えばラップトップコンピュータ、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)および関連する携帯装置、ならびに部品が互いに非常に近接して配置されている他の装置、を包含する、益々高度になる電子装置の開発に伴い、比較的極端な温度が発生することがある。例えば、電力増幅器およびデジタル信号プロセッサーは、特に携帯電話で、膨大な熱を発生することがある。しかし、これらの部品、ならびにバッテリー、マイクロプロセッサー、集積回路、その他の洗練された電子部品は、典型的には、特定範囲の閾温度下でのみ効率的に動作する。これらの部品の動作中に発生する過剰の熱は、それらの固有性能に有害であるのみならず、他のシステム部品およびシステム全体の性能および信頼性を損ない、システムの故障を引き起こすことさえある。電子システムの作動が期待される極端な温度を含む環境条件の幅が益々広くなることも、過剰熱の悪影響を助長している。
微小電子装置から熱を消散させる必要性が増大するにつれて、熱管理が、電子製品の設計で益々重要な要素になっている。電子装置の性能信頼性および期待される寿命の両方が、装置の部品温度に逆比例している。例えば、デバイス、例えば典型的なシリコン半導体、の動作温度、または同様に、その半導体がさらされる他の部品に由来する温度、を下げることにより、デバイスの処理速度、信頼性および期待される寿命を増加させることができる。従って、部品の寿命および信頼性を最大にするには、部品がさらされる温度を制御することが、非常に重要である。
電子装置中の発熱部品を単純に絶縁することは有用であるが、そのようにすることは不利な場合がある。熱源を絶縁すると、その熱源から発生した熱が、発熱している部品の中および周りに保持される。そのため、絶縁により、その部品に対する熱的負荷が増大し、部品の動作効率または寿命が低下することがある。従って、システム中、特に携帯電話の一部品から発生する熱を、発熱部品から遠くへ伝達するか、または発散させる、ならびにデバイスの他の部品から遮蔽する必要がある。
熱源、例えば電子部品から発生する熱の放散に好適な、比較的軽い材料の一群は、一般的にグラファイトと呼ばれるが、特に以下に説明するような天然グラファイトおよびフレキシブルグラファイトを基材とする材料である。これらの材料は、異方性であり、選択された方向に熱を優先的に移動させるように、放熱装置を設計することができる。グラファイト材料は、銅やアルミニウムのような金属よりはるかに軽量であり、従って、多くの優位性を与える。
グラファイトは、炭素原子の六角形配列または網目の層平面から形成されている。これらの、六角形に配置された炭素原子の層平面は、実質的に平らであり、実質的に互いに平行で等間隔になるように配向または配列されている。実質的に平らで、平行で、等間隔の炭素原子のシートまたは層は、通常、グラフェン層または基底面と呼ばれ、一つに連結または結合されており、それらの群がクリスタライトに配置されている。高度に秩序付けられたグラファイトは、かなりの大きさのクリスタライトからなり、それらのクリスタライトは、相互に高度に整列または配向しており、十分に秩序付けられた炭素層を有する。つまり、高度に秩序付けられたグラファイトは、高度の選択的クリスタライト配向を有する。グラファイトは、異方性構造を有し、従って、方向性が高い多くの特性、例えば熱的および電気的伝導性および流体拡散性を示すか、または有することに注意すべきである。
簡潔に述べると、グラファイトは炭素のラミネート構造、すなわち弱いファンデルワールス力により一つに接合された炭素原子の重なり合った層または薄片からなる構造として特徴付けることができる。グラファイト構造を考える時、2つの軸または方向、すなわち「c」軸または方向および「a」軸または方向、を指定する。簡単にするために、「c」軸または方向は、炭素層に対して直角の方向と考えることができる。「a」軸または方向は、炭素層に対して平行の方向または「c」方向に対して直角の方向と考えることができる。フレキシブルグラファイトシートを製造するのに好適なグラファイトは、非常に高度の配向を有する。
上記の様に、炭素原子の平行な層を一つに保持している結合力は弱いファンデルワールス力だけである。天然グラファイトを処理し、重なり合った炭素層または薄片間の間隔を十分に広げ、その層に対して直角の方向、すなわち「c」方向に大きく拡張し、膨張した、または膨れあがったグラファイト構造を形成することができ、その際、炭素層の薄層特性は実質的に維持されている。
大きく膨張した、より詳しくは、最終的な厚さ、つまり「c」方向寸法が本来の「c」方向寸法の約80倍以上にも膨張したグラファイトフレークを、結合剤を使用せずに形成し、膨張したグラファイトの凝集性の、または一体化されたシート、例えばウェブ、紙、細片、テープ、ホイル、マット、等(典型的には「フレキシブルグラファイト」と呼ばれる)を製造することができる。最終的な厚さ、つまり「c」方向寸法が本来の「c」方向寸法の約80倍以上にも膨張したグラファイト粒子を、一体化されたフレキシブルシートに、結合剤を使用せずに圧縮により形成することは、大きく膨張したグラファイト粒子間に達成される機械的なかみ合わせ力または凝集性により可能であると考えられる。
シート材料は、膨張グラファイト粒子およびグラファイト層が、非常に大きな圧縮、例えばロールプレス加工により得られるシートの対向面に対して実質的に平行に配向しているために、可撓性に加えて、上記の様に熱的および電気的な伝導性および流体拡散性に関して、出発材料である天然グラファイトに匹敵する高度の異方性を有することも分かっている。この様にして製造されたシート材料は、可撓性に優れ、良好な強度を有し、非常に高度に配向している。
簡潔に言うと、可撓性で、結合剤を含まない、異方性のグラファイトシート材料、例えばウェブ、紙、細片、テープ、ホイル、マット、等の製造方法は、予め決められた負荷の下で、結合剤の不存在下で、「c」方向寸法が本来の粒子の約80倍以上にも膨張したグラファイト粒子を圧縮または圧迫し、実質的に平らで、可撓性で、一体化されたグラファイトシートを形成することを含んでなる。膨張したグラファイト粒子は、一般的に外観がウォーム状である、または細長く、圧縮された後、圧縮永久ひずみを維持し、シートの対向する主表面と整列している。シート材料の密度および厚さは、圧縮の程度を制御することにより変えることができる。シート材料の密度は約0.04g/cm〜2.0g/cmである。フレキシブルグラファイトシート材料は、グラファイト粒子がシートの対向する平行な主要表面に対して平行に配向しているために、かなりの程度の異方性を示し、異方性の程度は、シート材料をロールプレス加工し、配向性を増加することにより増加する。ロールプレス加工した異方性シート材料では、厚さ、すなわち、対向する平行なシート表面に対して直角の方向は「c」方向を含んでなり、長さおよび幅に沿った、すなわち対向する主要表面に沿った、または平行な方向は、「a」方向を含んでなり、シートの熱的、電気的および流体拡散性は、「c」および「a」方向で非常に大きく、数等級異なっている。
剥離されたグラファイトの圧縮粒子のシート(すなわちフレキシブルグラファイト)を、熱源から発生する熱を放散させるための放熱体、熱的界面および吸熱源の構成部品として使用することが提案されている(例えば米国特許第6,245,400号、第6,482,520号、第6,503,626号、および第6,538,892号参照)が、「触れた時の温度」、すなわち電子的デバイスの外側表面が、使用者が不快感を感じるか、または危険にさらされる程度に発熱すること、および隣接する部品の加熱という問題は十分には対処されていない。
従って、ある部品から発生する熱を発散または消散させ、隣接する部品に対する影響を阻止する必要がある、携帯用または小型化された装置、例えば携帯電話の電子部品に使用するサーマルソリューションの改良された設計が常に必要とされている。
本考案は、発熱している電子部品から熱を放散させながら、同時に、他の、特に隣接する部品を、発熱部品から発生する熱の影響から遮蔽することができるサーマルソリューションを有する携帯電話を提供するものである。本考案のサーマルソリューションは、少なくとも一個の、剥離されたグラファイトの圧縮された粒子の異方性シート(本明細書では「フレキシブルグラファイト」と呼ぶ)を含んでなる。本明細書で使用する用語「フレキシブルグラファイト」は、熱分解グラファイトの単独またはラミネートとしてのシートも含む。本考案のサーマルソリューションとして使用するフレキシブルグラファイトシートは、面内熱伝導率が、その面貫通熱伝導率よりも実質的に高い。つまり、本考案のサーマルソリューションは、比較的高い(10倍以上のオーダーの)熱的異方性比を有する。この熱的異方性比は、面内熱伝導率と面貫通熱伝導率の比である。
本サーマルソリューションは、2つの主表面を含んでなり、その一方が、熱源、例えばハードドライブ、電力増幅器またはプロセッサーの表面と作動接触する(電子的熱管理工業で使用される「作動接触」および「直接作動接触」の用語は、放熱体、熱的界面、吸熱源等に関して使用され、熱源から来る熱が、そのような放熱体、熱的界面、吸熱源等に伝達されるように配置されることを意味する)。サーマルソリューションの面内熱伝導率により熱源から熱が放散されるように、サーマルソリューションの面積は、熱源上のサーマルソリューションの接触面積よりも大きい。あるいは、本考案のサーマルソリューションは、サーマルソリューションが熱源と作動接触または直接作動接触していなくても、デバイスの一個以上の部品が携帯電話中で発生する熱から遮蔽されるように、携帯電話中に配置することができる。
グラファイトの厚さを通した熱伝導率は比較的低い(言い換えれば、熱的異方性比が高い)ので、発生した熱は、サーマルソリューションの厚さを通して(すなわち、2つの主要表面間の方向で)は容易に移動しない。従って、サーマルソリューションを熱源と、携帯電話中の別の部品との間に配置する場合、そのサーマルソリューションは、熱源から他の部品への熱流を低減させるか、または排除する。本考案のサーマルソリューションは成形可能であるので、空間が限られている用途、特に携帯電話で使用できる。
さらに、フレキシブルグラファイト材料を本考案のサーマルソリューションとして使用することのもう一つの利点は、グラファイト系材料に、電磁および無線周波数(EMI/RF)干渉を遮断する能力があることである。本考案のサーマルソリューションは、その主目的である放熱/遮蔽機能に加えて、本サーマルソリューションが中に配置されている装置(携帯電話)の部品をEMI/RF干渉から遮蔽すると考えられる。
本考案の別の実施態様では、本サーマルソリューションは、サーマルソリューションと携帯電話部品との間に挟まれるように張り合わせた、または被覆された、熱伝達材料、例えばアルミニウムまたは他の等方性導体、例えば銅の層を有し、サーマルソリューションの取扱性および機械的堅牢性を改良すると共に、サーマルソリューションの熱伝達およびEMI/RF遮蔽特性を変えることができる。同様に、熱的界面材料、例えばサーマルグリース、または国際特許出願第PCT/US02/40238号に記載されている、および/またはオハイオ州レイクウッドのAdvanced Energy Technology Inc.からeGraf Hi−Therm(商品名)製品として市販されているグラファイト系熱的界面をサーマルソリューションと熱源との間に挿入し、熱源と本考案のサーマルソリューションとの間の熱移動を促進することができる。さらに別の実施態様では、反射性材料をサーマルソリューションの表面の一方上に使用し、次いでそのサーマルソリューションを携帯電話のキーパッドの下に配置し、キーパッドおよび使用者をデバイス中で発生した熱から遮蔽すると共に、キーパッドを見易くすることができる。本考案のさらに別の実施態様は、サーマルソリューションを携帯電話のプリント基板(「PCB」)の層間に配置し、PCBの片側にある部品(PCBと一体化されているか、または隣接する)をPCBの反対側で発生した熱から遮蔽する。
さらに、サーマルソリューションの機械的堅牢性および取扱性を改良し、遮蔽される部品への熱移動をさらに遮断または遮蔽する可能性を与えるために、熱伝導性が比較的低い材料、例えばMylar(登録商標)材料のようなプラスチック材料または他の樹脂もしくは類似の材料をサーマルソリューションの上に配置することができる。
サーマルソリューションの主表面の一方または両方の上にアルミニウム、プラスチック等を使用することにより、別の利点を得ることができる。十分な理由があるとは考えられていないが、グラファイト部品を電子装置中に使用することにより、グラファイト粒子がグラファイト部品から剥離する問題が生じるという恐れが指摘されている。アルミニウム、プラスチック、等は、グラファイトサーマルソリューションを包み込み、グラファイト剥離の可能性を排除するように機能または連係することもできる。
従って、本考案の目的は、携帯電話装置内から発生するか、または装置中に存在する熱から、電子装置の部品を遮蔽するための、改良されたサーマルソリューションを有する携帯電話を提供することである。
本考案のさらに別の目的は、隣接する構造への熱移動を回避しながら、効果的に放熱させるように機能する、十分に高い熱的異方性比を有するサーマルソリューションを有する携帯電話を提供することである。
本考案のさらに別の目的は、使用できる空間が限られている環境で放熱および熱遮断(または遮蔽)の両方を行うことができる、成形可能なサーマルソリューションを有する携帯電話を提供することである。
下記の説明を読むことにより当業者に明らかなように、これら及び他の目的は、熱源を有する第一部品(例えば電力増幅器、デジタル信号プロセッサー又はハードドライブ)と、この第一部品から熱が伝達される第二部品と、第一部品と前記第二部品との間に挿入されるサーマルソリューションとを備えて成り、前記第二部品は携帯電話のキーパッド、バッテリー、ディスプレー、ケースのいずれかであって、前記サーマルソリューションが、前記第一部品より発生する熱から前記第二部品を熱的に遮蔽する少なくとも一枚の剥離されたグラファイトを圧縮した粒子のシートより成る構成とすることで達成することができる。このサーマルソリューションは、好ましくは面内熱伝導率が少なくとも約140W/m°K、より好ましくは少なくとも約200W/m°Kであり、面貫通熱伝導率が約12W/m°K以下、より好ましくは約10W/m°K以下である。
本考案の別の実施態様では、本サーマルソリューションは、その上に保護被覆、例えばプラスチックを有することができる。最も好ましくは、保護被覆の熱伝導率が、前記剥離されたグラファイトの圧縮粒子の少なくとも一枚のシートの面貫通熱伝導率未満である。熱伝達材料、例えば金属または熱界面をサーマルソリューションと第一部品との間に配置することもできる。
上記の一般的な説明および下記の詳細な説明の両方が、本考案の実施態様を提供し、実用新案登録請求する本考案の性格および特徴を理解するための全体図および骨格を提供することを理解すべきである。添付の図面は、本考案をさらに理解するためにここに包含し、本明細書の一部を構成する。これらの図面は、本考案の様々実施態様を例示し、説明と共に、本考案の原理および操作を開示するのに役立つ。
上記のように、本考案の携帯電話に用いるサーマルソリューションは、一般的にフレキシブルグラファイトと呼ばれる、剥離されたグラファイトの圧縮された粒子のシートから形成されている。グラファイトは、平らな層状平面で共有結合した原子を含んでなり、平面間で弱く結合した結晶形態の炭素である。グラファイトの粒子、例えば天然グラファイトフレークを、例えば硫酸および硝酸の溶液のインターカレート(intercalant)で処理することにより、グラファイトの結晶構造が反応し、グラファイトとインターカレートの化合物を形成する。処理したグラファイト粒子を、以下、「インターカレーション処理されたグラファイトの粒子」と呼ぶ。高温にさらすことにより、グラファイト中のインターカレートが分解して揮発し、インターカレーション処理されたグラファイトの粒子を、「c」方向で、すなわちグラファイトの結晶平面に対して直角の方向で、アコーディオン状に、その本来の体積の約80倍以上もの寸法で膨張させる。剥離されたグラファイト粒子は、細長い外観を呈するので、一般的にウォームと呼ばれる。これらのウォームを一緒に圧縮し、フレキシブルシートを形成することができるが、これらのシートは、本来のグラファイトフレークと異なり、様々な形状に成形および切断することができる。
本考案で使用するのに好適なグラファイト出発材料は、有機および無機酸ならびにハロゲンでインターカレーション処理し、次いで加熱した時に膨脹することができるグラファイト化度の高い炭素質材料を包含する。これらのグラファイト化度の高い炭素質材料は、最も好ましくは約1.0のグラファイト化度を有する。本考案で使用する用語「グラファイト化度」は、下記式:
Figure 0003147891
に従う値を意味する。ここでd(002)は、オングストローム単位で測定した結晶構造中にある炭素のグラファイト層間における間隔である。グラファイト層間の間隔dは標準的なX線回折技術により測定される。(002)、(004)および(006)ミラー指数に対応する回折ピークの位置を測定し、標準的な最小二乗技術を使用し、これらのピークすべてに対する総誤差を最小にする間隔を導く。グラファイト化度の高い炭素質材料の例としては、様々な供給源から得られる天然グラファイト、ならびに他の炭素質材料、例えば化学蒸着、重合体の高温熱分解、または溶融した金属溶液からの結晶化等により製造されたグラファイトがある。天然グラファイトが最も好ましい。
本考案で使用するフレキシブルシート用のグラファイト出発材料は、出発材料の結晶構造が必要なグラファイト化度を維持し、剥離可能である限り、非グラファイト成分を含むことができる。一般的に、結晶構造が必要なグラファイト化度を有し、剥離可能である炭素含有材料はすべて、本考案で使用するのに好適である。その様なグラファイトは、好ましくは純度が少なくとも80重量%である。より好ましくは、本考案で使用するグラファイトは、純度が少なくとも約94%である。最も好ましい実施態様では、使用するグラファイトの純度が少なくとも約98%である。
グラファイトシートの一般的な製造方法は、ここにその開示を参考として含めるShaneらの米国特許第3,404,061号に記載されている。Shaneらの方法の典型的な実施では、例えば硝酸および硫酸の混合物を、好ましくはグラファイトフレーク100重量部あたりインターカレート溶液約20〜約300重量部(pph)のレベルで含む溶液中にフレークを分散させることにより、天然グラファイトフレークをインターカレーション処理する。インターカレーション溶液は、この分野で公知の酸化剤および他のインターカレーション剤を含む。例としては、酸化剤および酸化性混合物を含む溶液、例えば硝酸、塩素酸カリウム、クロム酸、過マンガン酸カリウム、クロム酸カリウム、二クロム酸カリウム、過塩素酸等、または混合物、例えば、濃硝酸と塩素酸塩、クロム酸とリン酸、硫酸と硝酸、または強有機酸の混合物、例えばトリフルオロ酢酸、および有機酸に可溶な強酸化剤を含む溶液が挙げられる。あるいは、電位を利用してグラファイトの酸化を引き起こすこともできる。電解酸化を利用してグラファイト結晶中に導入することができる化学種としては、硫酸ならびに他の酸がある。
好ましい実施態様では、インターカレーション剤は、硫酸、または硫酸およびリン酸、と酸化剤、すなわち硝酸、過塩素酸、クロム酸、過マンガン酸カリウム、過酸化水素、ヨウ素酸または過ヨウ素酸等、との混合物の溶液である。あまり好ましくはないが、インターカレーション溶液は、金属ハロゲン化物、例えば塩化第二鉄、および硫酸と混合した塩化第二鉄、またはハロゲン化物、例えば臭素と硫酸の溶液として、または臭素の有機溶剤溶液として、臭素を含むこともできる。
インターカレーション溶液の量は、約20〜約350pph、より典型的には約40〜約160pphである。フレークをインターカレーション処理した後、過剰の溶液はすべてフレークから排出し、フレークを水洗する。あるいは、インターカレーション溶液の量を約10〜約40pphに制限することができ、これによって、ここにその開示を参考として含める米国特許第4,895,713号に開示されている様に、洗浄工程を無くすことができる。
インターカレーション溶液で処理したグラファイトフレークの粒子は、所望により、例えば混合により、温度25℃〜125℃で酸化性インターカレーション溶液の表面被膜と反応し得る、アルコール、糖、アルデヒドおよびエステルから選択された有機還元剤と接触させることができる。好適な、具体的な有機試剤としては、ヘキサデカノール、オクタデカノール、1−オクタノール、2−オクタノール、デシルアルコール、1,10デカンジオール、デシルアルデヒド、1−プロパノール、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、デキストロース、フルクトース、ラクトース、スクロース、ジャガイモデンプン、エチレングリコールモノステアレート、ジエチレングリコールジベンゾエート、プロピレングリコールモノステアレート、グリセロールモノステアレート、ジメチルオキシレート、ジエチルオキシレート、メチルホルメート、エチルホルメート、アスコルビン酸およびリグニンに由来する化合物、例えばリグノ硫酸ナトリウムがある。有機還元剤の量は、グラファイトフレーク粒子の約0.5〜4重量%であるのが好適である。
インターカレーションの前、最中または直後に膨脹助剤を塗布することによっても改良することができる。これらの改良には、剥離温度の低下および膨脹体積(「ウォーム体積」とも呼ばれる)の増加が含まれる。本明細書における膨脹助剤は、膨脹の改良を達成できるように、インターカレーション溶液に十分に可溶な有機材料が有利である。より詳しくは、好ましくは炭素、水素および酸素だけを含む、この種の有機材料を使用するとよい。カルボン酸が特に効果的であることが分かっている。膨脹助剤として有用な、好適なカルボン酸は、少なくとも一個の炭素原子、好ましくは約15個までの炭素原子を有し、インターカレーション溶液中に、剥離の一つ以上の特徴を大きく改善するのに有効な量で溶解し得る、芳香族、脂肪族または環状脂肪族、直鎖状または分岐鎖状の、飽和および不飽和モノカルボン酸、ジカルボン酸およびポリカルボン酸から選択される。有機膨脹助剤のインターカレーション溶液に対する溶解度を改良するために、好適な有機溶剤を使用することができる。
飽和脂肪族カルボン酸の代表例は、例えば式H(CHCOOHを有し、nが0〜約5の数である酸であり、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、等を包含する。カルボン酸の代わりに、酸無水物または反応性カルボン酸誘導体、例えばアルキルエステルも使用できる。アルキルエステルの代表例は、ギ酸メチルおよびギ酸エチルである。硫酸、硝酸および他の公知の水性インターカレートは、ギ酸を最終的に水および二酸化炭素に分解する能力を有する。このため、ギ酸および他の敏感な膨脹助剤をグラファイトフレークと接触させた後で、水性インターカレートにフレークを浸漬するのが有利である。ジカルボン酸の代表例は、2〜12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸、特にシュウ酸、フマル酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、1,5−ペンタンジカルボン酸、1,6−ヘキサンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸またはテレフタル酸である。アルキルエステルの代表例は、シュウ酸ジメチルおよびシュウ酸ジエチルである。環状脂肪族酸の代表例は、シクロヘキサンカルボン酸であり、芳香族カルボン酸の代表例は、安息香酸、ナフトエ酸、アントラニル酸、p−アミノ安息香酸、サリチル酸、o−、m−およびp−トリル酸、メトキシおよびエトキシ安息香酸、アセトアセタミド安息香酸およびアセトアミド安息香酸、フェニル酢酸およびナフトエ酸である。ヒドロキシ芳香族酸の代表例は、ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、5−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、5−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸および7−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸である。ポリカルボン酸の中ではクエン酸が特記される。
インターカレーション溶液は、水性であり、剥離を強化するのに有効な量、好ましくは約1〜10%の膨脹助剤を含む。膨脹助剤をグラファイトフレークと、インターカレーション水溶液中に浸漬する前または後に接触させる実施態様では、膨脹助剤をグラファイトと、典型的にはグラファイトフレークの約0.2〜約10重量%の量で、好適な手段、例えばV−ブレンダー、により混合することができる。
グラファイトフレークをインターカレーション処理し、インターカレート被覆した、インターカレーション処理したグラファイトフレークを有機還元剤と混合した後、その混合物を温度25〜125℃にさらし、還元剤とインターカレート被覆の反応を促進する。加熱期間は約20時間までであり、上記範囲中の高い温度では、より短く、例えば少なくとも約10分間である。高い温度では、半時間以下、例えば10〜25分間のオーダーの時間でよい。
この様に処理したグラファイトの粒子は、「インターカレーション処理したグラファイトの粒子」と呼ばれることがある。高温、例えば少なくとも約160℃、特に約700℃〜1000℃以上の温度にさらすことにより、インターカレーション処理されたグラファイトの粒子は、c−方向で、すなわち構成するグラファイト粒子の結晶面に対して直角の方向で、アコーディオン状に、その本来の体積の約80〜1000倍以上にも膨張する。膨脹した、すなわち剥離されたグラファイト粒子は、細長い外観を呈するので、一般的にウォームと呼ばれる。これらのウォームを一緒に圧縮し、フレキシブルシートを形成することができるが、これらのシートは、本来のグラファイトフレークと異なり、様々な形状に成形および裁断することができる。
フレキシブルグラファイトシートおよびホイルは、凝集性であり、良好な取扱強度を有し、例えばロールプレス加工により、厚さ約0.075mm〜3.75mm、典型的な密度約0.1〜1.5グラム/立方センチメートル(g/cm)に効果的に圧縮される。米国特許第5,902,762号(ここに参考として含める)に開示されているように、約1.5〜30重量%のセラミック添加剤をインターカレーション加工したグラファイトフレークと混合し、最終的なフレキシブルグラファイト製品の樹脂含浸性を高めることができる。これらの添加剤は、長さ約0.15〜1.5ミリメートルのセラミック繊維粒子を含む。粒子の幅は約0.04〜0.004mmが好適である。セラミック繊維粒子は、グラファイトに対して非反応性で非粘着性であり、約1100℃までの、好ましくは約1400℃以上の温度で安定している。好適なセラミック繊維粒子は、細断した石英ガラス繊維、炭素およびグラファイト繊維、ジルコニア、窒化ホウ素、炭化ケイ素およびマグネシア繊維、天然鉱物繊維、例えばメタケイ酸カルシウム繊維、ケイ酸カルシウムアルミニウム繊維、酸化アルミニウム繊維等から形成される。
グラファイトフレークをインターカレーション処理し、剥離させるための上記の方法は、国際特許出願第PCT/US02/39749号に記載されているように、グラファイトフレークをグラファイト化温度、すなわち約3000℃以上の温度で前処理し、潤滑性添加剤のインターカレート中に包含することにより、有利に増強することができる。
グラファイトフレークの前処理、つまりアニーリングにより、続いてフレークをインターカレーション処理および剥離にかけた時に、膨脹が大幅に増大する(すなわち、膨脹体積が300%以上増加する)。実際、膨脹の増加は、アニーリング工程を含まない類似の処理と比較して、少なくとも約50%である。アニーリング工程に使用する温度は、100℃低い温度でも膨脹はかなり小さくなるので、3000℃を大きく下回るべきではない。
本考案のアニーリングは、インターカレーションおよびそれに続く剥離により高い膨脹度を有するフレークを得るのに十分な時間行う。典型的には、必要な時間は1時間以上、好ましくは1〜3時間であり、不活性環境中で行うのが最も有利である。最大限の有利な結果を得るには、アニーリング処理したグラファイトフレークを、この分野で公知の他の処理、すなわち有機還元剤、インターカレーション助剤、例えば有機酸の存在下でのインターカレーション処理、およびインターカレーション処理に続く界面活性剤洗浄、にもかけ、膨脹度を増大させる。その上、最大限の有利な結果を得るには、インターカレーション処理工程を繰り返すとよい。
本考案で使用する、3000℃の範囲内にある温度はグラファイト化製法で見られる範囲の上限にあるので、本考案のアニーリング工程は、誘導炉または他の、この分野でグラファイト化に公知であり、認められているそのような装置中で行うことができる。
インターカレーション前のアニーリングにかけたグラファイトを使用して製造されたウォームは、一つに「固まる」場合があり、坪量(area weight)の均質性に悪影響を及ぼすことが観察されているので、「自由流動性」ウォームの形成を助ける添加剤が非常に好ましい。インターカレーション溶液に潤滑性添加剤を加えることにより、圧縮装置の床(例えばグラファイトウォームをフレキシブルグラファイトシートに圧縮(または「カレンダー加工」)するのに従来から使用されているカレンダー加工区域の床)を横切ってウォームをより一様に配分することができる。従って、得られるシートは、坪量の均質性が高くなり、引張強度が大きくなる。潤滑性添加剤は、好ましくは長鎖炭化水素、より好ましくは少なくとも約10個の炭素を有する炭化水素である。長鎖炭化水素基を有する他の有機化合物も、他の官能基が存在していても使用できる。
より好ましくは、潤滑性添加剤は油であり、特に鉱油は不快臭や臭気を発し難いことを考えると鉱油が最も好ましいが、これは長期間の貯蔵には重要なことである。上に詳細に説明した特定の膨脹助剤も潤滑性添加剤の定義に適合することが分かる。これらの材料を膨脹助剤として使用すると、インターカレートに別の潤滑性添加剤を含まなくてもよい場合がある。
潤滑性添加剤は、インターカレート中に少なくとも約1.4pph、より好ましくは少なくとも約1.8pphの量で存在する。潤滑性添加剤を含む上限は、下限ほど重要ではないが、約4pphを超えるレベルで潤滑性添加剤を含んでも、それに見合う程の利点は見られない。
この様に処理したグラファイトの粒子は、「インターカレーション処理したグラファイトの粒子」と呼ばれることがある。高温、例えば少なくとも約160℃、特に約700℃〜1200℃以上の温度、にさらすことにより、インターカレーション処理されたグラファイトの粒子は、c−方向で、すなわち構成するグラファイト粒子の結晶面に対して直角の方向で、アコーディオン状に、その本来の体積の約80〜1000倍以上にも膨張する。膨脹した、すなわち剥離されたグラファイト粒子は、細長い外観を呈するので、一般的にウォームと呼ばれる。これらのウォームを一緒に圧縮し、フレキシブルシートを形成することができるが、これらのシートは、本来のグラファイトフレークと異なり、様々な形状に成形および裁断し、小さな横方向開口部を設けることができる。
フレキシブルグラファイトシートおよびホイルは、凝集性であり、良好な取扱強度を有し、例えばロールプレス加工により、厚さ約0.075mm〜3.75mm、典型的な密度約0.1〜1.5グラム/立方センチメートル(g/cc)に効果的に圧縮される。米国特許第5,902,762号(当該文献は本明細書に参考として包含される)に開示されているように、約1.5〜30重量%のセラミック添加剤をインターカレーション加工したグラファイトフレークと混合し、最終的なフレキシブルグラファイト製品の樹脂含浸性を高めることができる。これらの添加剤は、長さ約0.15〜1.5ミリメートルのセラミック繊維粒子を含む。粒子の幅は約0.04〜0.004mmが好適である。セラミック繊維粒子は、グラファイトに対して非反応性で非粘着性であり、約1100℃までの、好ましくは約1400℃以上の温度で安定している。好適なセラミック繊維粒子は、細断した石英ガラス繊維、炭素およびグラファイト繊維、ジルコニア、窒化ホウ素、炭化ケイ素およびマグネシア繊維、天然鉱物繊維、例えばメタケイ酸カルシウム繊維、ケイ酸カルシウムアルミニウム繊維、酸化アルミニウム繊維、等から形成される。
フレキシブルグラファイトシートは、場合により樹脂で処理するのが有利であり、吸収された樹脂は、硬化後、フレキシブルグラファイトシートの耐湿性および取扱強度、すなわち剛性を高めると共に、シートの形状を「固定する」。好適な樹脂含有量は、好ましくは少なくとも約5重量%、より好ましくは約10〜35重量%、好適には約60重量%までである。本考案の実施に特に有用であることが分かっている樹脂としては、アクリル、エポキシおよびフェノールを基剤とする樹脂系、フルオロ系重合体、またはそれらの混合物がある。好適なエポキシ樹脂系には、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)を基剤とする系、および他の多官能性樹脂系があり、使用できるフェノール系樹脂としては、レゾールおよびノボラックフェノール系がある。所望により、フレキシブルグラファイトは、樹脂に加えて、または樹脂の代わりに、線維および/または塩を含浸させることができる。さらに、反応性または非反応性添加剤を樹脂系と併用し、特性(例えば粘着性、材料流動性、疎水性等)を変えることができる。
あるいは、本考案のフレキシブルグラファイトシートは、国際特許出願第PCT/US02/16730号に記載されているように、新しく膨脹させたウォームではなく、再粉砕したフレキシブルグラファイトシートの粒子を利用することもできる。シートは、新しく形成されたシート材料、循環使用された材料、スクラップシート、あるいは他のいずれかの好適な供給源でもよい。
また、本考案では、未使用材料と循環使用材料の混合物も使用できる。
循環使用材料用の供給源材料は、上記のように圧縮成形されたシートまたはシートの切り取り部分、または例えば予備カレンダー加工ロールで圧縮してあるが、樹脂含浸していないシートでよい。さらに、供給源材料は、樹脂含浸してあるが、まだ硬化させていないシートまたはシートの切り取り部分、または樹脂含浸し、硬化させたシートまたはシートの切り取り部分でもよい。供給源材料は、循環使用するフレキシブルグラファイトプロトン交換メンブラン(PEM)燃料電池部品、例えばフローフィールドプレートまたは電極でもよい。グラファイトの各種供給源のそれぞれは、そのまま、または天然グラファイトフレークと混合して使用することができる。
フレキシブルグラファイトシートの供給源材料を入手した後、公知の処理または装置、例えばジェットミル、エアミル、ブレンダー、等、により粉砕し、粒子を製造することができる。好ましくは、粒子の大部分は20USメッシュを通過し、より好ましくは主要部分(約20%を超える、最も好ましくは約50%を超える)が80USメッシュを通過しないような直径を有する。最も好ましくは、粒子は、約20メッシュ以下の粒子径を有する。フレキシブルグラファイトが樹脂含浸されている場合、粉砕工程の際に樹脂系に対する熱損傷を避けるために、粉砕する時に冷却するのが好ましい場合がある。
粉砕した粒子のサイズは、グラファイト製品の機械加工性および成形性と、所望の熱的特性が釣り合うように、選択することができる。例えば、小さな粒子は、容易に機械加工および/または成形できるグラファイト製品を与えるのに対し、大きな粒子は、異方性が高く、従って、面内の電気的および熱的伝導性が高いグラファイト製品を与える。
供給源材料が樹脂含浸されている場合、樹脂を粒子から除去するのが好ましい。樹脂除去に関しては、以下に詳細に説明する。
供給源材料を粉砕し、すべての樹脂を除去した後、その材料を再度膨脹させる。再膨脹は、上記のインターカレーションおよび剥離工程、およびShaneらの米国特許第3,404,061号およびGreinkeらの米国特許第4,895,713号に記載されている方法を使用して行うことができる。
典型的には、インターカレーションの後、インターカレーション処理した粒子を炉中で加熱することにより、粒子を剥離させる。この剥離工程の際、インターカレーション処理された天然グラファイトフレークを、循環使用されるインターカレーション処理された粒子に加えることができる。好ましくは、再膨脹工程の際、粒子は、約100cc/g〜約350cc/g以上の範囲内の比体積を有するように膨脹させる。最後に、再膨脹工程の後、再膨脹した粒子を、上記のようにフレキシブルシートに圧縮することができる。
出発材料が樹脂含浸されている場合、好ましくは樹脂を粒子から少なくとも部分的に除去すべきである。この除去工程は、粉砕工程と再膨脹工程との間に行うべきである。
一実施態様では、除去工程は、樹脂を含む再粉砕粒子を、例えば空気中の火炎(open flame)の上で加熱することを含む。より詳しくは、含浸された樹脂を少なくとも約250℃の温度に加熱し樹脂を除去する。この加熱工程の際、樹脂の分解生成物が急激な発火を避けるように注意すべきであり、これは、空気中で慎重に加熱するか、または不活性雰囲気中で加熱することにより行うことができる。好ましくは、加熱は、約400℃〜約800℃の範囲内で、少なくとも約10〜約150分間以上行うべきである。
さらに、樹脂除去工程により、樹脂を除去しない類似の方法と比較して、成形方法で製造される製品の引張強度が増加することがある。膨脹工程(すなわちインターカレーションおよび剥離)の際に、樹脂をインターカレーション薬剤と混合した時に、場合によって毒性副生成物が生じることがあるので、樹脂除去工程は有利である。
このように、膨脹工程の前に樹脂を除去することにより、上記の強度特性増加のように、より優れた製品が得られる。強度特性増加は、一部、膨脹増加の結果である。粒子中に樹脂が存在する場合、膨脹は制限される。
強度特性および環境上の問題に加えて、樹脂が場合により酸と暴走発熱反応を引き起こす恐れがあるために、インターカレーションの前に樹脂を除去するとよい。
上記のことから、大部分の樹脂を除去するのが好ましい。より好ましくは、約75%を超える樹脂を除去する。最も好ましくは、99%を超える樹脂を除去する。
フレキシブルグラファイトシートを粉砕した後、所望の形状に成形し、好ましい実施態様では硬化させる(樹脂含浸してある場合)。あるいは、シートを粉砕の前に硬化させることもできるが、粉砕後の硬化が好ましい。
所望により、本考案のサーマルソリューションの形成に使用するフレキシブルグラファイトシートは、ラミネート層間に接着剤を含むか、または含まないラミネートとして使用することができる。そのラミネート積重構造には、非グラファイト層を含むこともできるが、これには接着剤の使用が必要であり、これは上記のように不利な場合がある。そのような非グラファイト層は、金属、プラスチックまたは他の非金属材料、例えば線維ガラスまたはセラミックを含むことができる。
上記のように、このようにして形成された剥離されたグラファイトの圧縮粒子のシートは本来異方性である、すなわちシートの熱伝導率が、シートを貫通する方向、つまり「c」方向に対して、面内方向、つまり「a」方向でより大きい。このようにして、グラファイトシートの異方性は、熱を本サーマルソリューションの平面方向に(すなわちグラファイトシートに沿った「a」方向に)向ける。そのようなシートは、一般的に面内方向で少なくとも140W/m°K、より好ましくは少なくとも約200W/m°K、最も好ましくは少なくとも約250W/m°K、面貫通方向で約12W/m°K以下、より好ましくは約10W/m°K以下、最も好ましくは約6W/m°K以下の熱伝導率を有する。従って、本サーマルソリューションは、熱的異方性比(すなわち、面内熱伝導率と面貫通熱伝導率の比)が約10以上である。
ラミネートの面内および面貫通方向における熱伝導率の値は、ラミネートの形成に使用される場合を含めて、本サーマルソリューションの形成に使用するフレキシブルグラファイトシートのグラフェン層の方向的整列を変えることにより、あるいはラミネートが形成された後の、ラミネート自体のグラフェン層の方向的整列を変えることにより、操作できる。このようにして、本サーマルソリューションの面内熱伝導率は増加し、一方、本サーマルソリューションの面貫通熱伝導率は低下し、これによって熱的異方性比が増加する。
このグラフェン層の方向的整列を達成できる方法の一つは、構成フレキシブルグラファイトシートに圧力を、シートをカレンダー加工すること(すなわちせん断力を作用させることにより)、またはダイプレス加工または往復プラテンプレス加工すること(すなわち圧縮作用により)であるが、方向的整列にはカレンダー加工がより効果的である。例えば、シートを密度1.1g/ccに対して1.7g/ccにカレンダー加工することにより、面内熱伝導率は約240W/m°Kから約450W/m°K以上に増加し、面貫通熱伝導率は比例して低下し、従って、個々のシートおよびさらに、そこから形成されるすべてのラミネートの熱的異方性比が増加する。
あるいは、ラミネートを形成する場合、例えば圧力をかけることにより、ラミネートを形成するグラフェン層の方向的整列が全体で増加し、ラミネートを構成するフレキシブルグラファイトシートの出発密度より大きい密度になる。実際、この様式で、ラミネート化された製品に、少なくとも約1.4g/ cc、より好ましくは少なくとも約1.6g/ccで、約2.0g/ccまでの最終密度が得られる。圧力は、通常の手段、例えばダイプレス加工またはカレンダー加工により、作用させることができる。少なくとも約60メガパスカル(MPa)の圧力が好ましく、2.0g/ccまでの密度を達成するには、少なくとも約550MPa、より好ましくは少なくとも約700MPaの圧力が必要である。
驚くべきことに、グラフェン層の方向的整列を増加することにより、密度は純粋な銅の密度よりはるかに小さいままで、グラファイトラミネートの面内熱伝導率を、純粋な銅の伝導率と等しいか、またはそれ以上の伝導率に増加させることができる。さらに、得られる整列したラミネートは、強度が「整列していない」ラミネートより増加している。
ここで、図面、特に図1に関して、本考案のサーマルソリューションの一実施態様を、全体的に番号10で示す。サーマルソリューション10は、10aおよび10bで示す2つの主要表面を有する、剥離されたグラファイトの圧縮された粒子のシートを含んでなる。サーマルソリューション10の主要表面10aまたは10bの一方は、100で示す熱源、例えば携帯電話のチップセットのような電子部品、作動接触して配置されるサイズを有し、熱源100から発生した熱をサーマルソリューション10の中に放散させる。熱源100と接触する主要表面10aまたは10bの面積は、熱源100と接触している面積よりも大きいので、サーマルソリューション10は熱を熱源100から放散させる。
さらに、サーマルソリューション10の主要表面10aまたは10bの一方は、放熱装置110と接触して作動することができる。放熱装置110は、熱源100と同じ主要表面10aまたは10b上で、サーマルソリューション10と接触することができる。サーマルソリューション10の異方性のために、熱源100から来る熱は放熱装置110に広がり、それによって、発生した熱は放散される。このようにして、サーマルソリューションは、熱を放熱装置110に放散させることを含めて、熱源100から発生した熱を放散させる放熱体として作用する。
しかし、サーマルソリューション10の熱的異方性比が比較的高いために、熱源100から来る熱は、熱源100と作動接触する主要表面10aまたは10bの一方から他方へ、サーマルソリューション10の面を貫通して効果的に伝達されない。従って、熱源100が中に配置されているデバイス(例えば携帯電話)中の他の部品には熱が効果的に伝達されず、サーマルソリューション10が熱源100とそのような他の部品との間に配置されていれば、そのような他の部品がさらされる温度が下がる(無論、サーマルソリューション10が吸熱源または他の放熱装置と併用されない限り、サーマルソリューション10は、熱源100から発生する熱を放散させると共に、少なくとも一時的に他の部品をその熱から遮蔽するが、吸熱源または他の放熱装置の使用と比較して、放熱は遅くなる)。
図2は、サーマルソリューション10を携帯電話130の中に配置し、本考案の設計の有利な態様を達成する例を示す。図2から分かるように、携帯電話130は、そのケースの中に、132で示す一個以上の発熱部品を包含する多くの部品を有することができる。さらに、携帯電話130は、放熱装置、例えば吸熱源(図には示していない)を有することができる。しかし、空間が限られているために、吸熱源を常に発熱部品132に隣接して配置できる訳ではない。
サーマルソリューション10は、携帯電話130中で、発熱部品132および、存在する場合、吸熱源124の上を覆うように、様々な位置に配置する。例えば、図2に示した例では、サーマルソリューション10は、携帯電話130のキーパッド135と発熱部品132を有する基板の間、この基板と温度に敏感な部品134を収納する枠体の間、並びにこの枠体とバッテリー126を保持する外側ケース133の間にそれぞれ設けている。従って、熱を発熱部品132から吸熱源に流し、放散させることができる。その上、サーマルソリューション10の面貫通熱伝導率は比較的低いので、熱はサーマルソリューション10を通しては効果的に流れず、サーマルソリューション10により遮蔽された環境の過熱を防止する。これは、より等方性の材料、例えば銅またはアルミニウムを使用した場合には、不可能であろう。
その上、サーマルソリューション10は、使用者にとって不快な場合があるホットスポットが携帯電話130の外側ケース133上に生じるのを阻止することができ、携帯電話130の温度に敏感な部品(134で示す)を熱源132から発生する熱からも遮蔽する。さらに、サーマルソリューション10を携帯電話130の熱源132とキーパッド135との間に配置し、熱源132から発生する熱からキーパッド135を遮蔽することができる。実際、サーマルソリューションは、反射性材料136、例えば日本国の東レから市販されているLuminor材料と反射性材料136とを、サーマルソリューション10とキーパッド135との間に配置して張り合わせ、キーパッド135の反射率を増加させることができる。
携帯電話130中の熱に敏感な部品の一つはバッテリー126である。サーマルソリューション10を発熱部品132とバッテリー126との間に配置することにより、サーマルソリューション10は、発熱部品132から発生する熱からバッテリー126を遮蔽すると共に、その熱をバッテリー126の表面を横切って発散させることにより、有害な影響を及ぼすことがあるバッテリー126上のホットスポットを軽減することができる。
所望により、図3に示すように、サーマルソリューション10に保護被覆20を施し、サーマルソリューション10の取扱性および機械的堅牢性を改良し、グラファイト粒子がサーマルソリューション10から剥がれるか、または他の様式で分離する可能性を防止することができる。保護被覆20は、サーマルソリューション10を効果的に隔離し、電子装置中に導電性材料(グラファイト)を含むことにより生じる電気的干渉を避けるので有利である。その上、熱伝導率が比較的低い保護被覆20を使用することにより、サーマルソリューション10の熱遮蔽効果が高くなる。
保護被覆20は、グラファイト材料の剥離を防止する、および/またはグラファイトを電気的に隔離するのに十分な、すべての好適な材料、例えばポリエチレン、ポリエステルまたはポリイミドのような熱可塑性材料を含むことができる。
保護被覆20を上に施したサーマルソリューション10は、幾つかの異なった方法で製造することができる。例えば、フレキシブルグラファイトシートを所定のサイズに切断し、サーマルソリューション10を形成した後、保護被覆20を形成する材料を個々のサーマルソリューション10の上に塗布し、図3に示すように、サーマルソリューション10の周りに剥離を防止する境界を形成することができる。この目的には、当業者には良く知られている様々な被覆方法、例えばスプレー被覆、ローラー被覆および熱ラミネートプレス加工、により、保護被覆20を施すことができる。保護被覆20は、機械的マッピングおよび張り合わせによっても施すことができる。
一般的に、被覆方法は、保護被覆20をサーマルソリューション10にほとんどの用途に十分な強度で接着させる。しかし、所望により、あるいは接着性が比較的低い保護被覆、例えばMylar(登録商標)ポリエステル材料およびKaptonポリイミド材料(共に、E.I. du Pont de Nemours and Company of Wilmington,Delawareから市販されている)、を行うには、接着剤の層をサーマルソリューション10と保護被覆20との間に塗布するとよい。好適な接着剤は、保護被覆20をサーマルソリューション10に十分に接着させることができる接着剤、例えばアクリル樹脂またはラテックス接着剤である。
やはり図3に示す別の実施態様では、サーマルソリューション10の取扱性および堅牢性を改良し、熱源100とサーマルソリューション10との間の熱伝導を強化する材料30をサーマルソリューション10と熱源100との間に挿入することができる。そのような材料の一つは、銅またはアルミニウムのような金属である。他の熱的界面材料、例えば国際特許出願第PCT/US02/40238号に記載されている材料も使用できる。
このように、本考案のサーマルソリューション10を使用することにより、電子装置の部品から発生する熱を遮蔽し、発散させ、熱を放散させると共に、隣接する部品への熱移動を低減させることができる。これらの機能は、銅またはアルミニウムのような伝統的な放熱材料では達成できず、これらの材料では、等方性のために、触れた時の温度および隣接する部品への熱移動はほとんど低下しない。触れた時の温度および隣接する部品への熱移動を低減させるために使用できる絶縁材料は、熱を放散させず、熱源部品の周囲で熱の蓄積を引き起こす。
本明細書中で引用する特許、特許出願および出版物は、すべて参考として、本明細書に包含される。
上に説明した本考案を、多くの様式で変形できることは明らかである。そのような変形は、本考案の精神および範囲から離れていると見なすべきではなく、当業者には明らかなように、そのような修正のすべては、請求項に規定する範囲内に含まれる。
熱源と吸熱源をブリッジするように配置された、本考案のサーマルソリューションの第一実施態様を模式的に示す透視図である。 本考案のサーマルソリューションを有する携帯電話の分解組立図である。 本考案のサーマルソリューションの、プラスチックおよびアルミニウムの上層を有する第二実施態様の断面図である。
符号の説明
10 サーマルソリューション
20 保護被膜
110 放熱装置
130 携帯電話

Claims (9)

  1. 熱源を有する第一部品と、該第一部品から熱が伝達される第二部品と、前記第一部品と前記第二部品との間に挿入されるサーマルソリューションとを備えて成る携帯電話であって、前記第二部品が携帯電話のキーパッド、バッテリー、ディスプレー、ケースのいずれかであって、前記サーマルソリューションが、前記第一部品より発生する熱から前記第二部品を熱的に遮蔽する少なくとも一枚の剥離されたグラファイトの圧縮粒子のシートより成ることを特徴とする携帯電話。
  2. 前記サーマルソリューションが、少なくとも140W/m°Kの面内熱伝導率を有する請求項1に記載の携帯電話。
  3. 前記サーマルソリューションが、12W/m°K以下の面貫通熱伝導率を有する請求項2に記載の携帯電話。
  4. 前記サーマルソリューションが、該サーマルソリューションの上に保護被膜をさらに含んでなる請求項1に記載の携帯電話。
  5. 前記保護被膜が、前記剥離されたグラファイトの圧縮粒子の少なくとも一枚のシートの面貫通熱伝導率未満の熱伝導率を有する請求項4に記載の携帯電話。
  6. 熱伝達材料が、前記サーマルソリューションと前記第一部品との間に配置される請求項1に記載の携帯電話。
  7. 前記熱伝達材料が、金属または熱界面を含んでなる請求項6に記載の携帯電話。
  8. 前記第一部品が、電力増幅器、デジタル信号プロセッサー又はハードドライブである請求項1に記載の携帯電話。
  9. 反射性材料が前記サーマルソリューションとキーパッドとの間に配置される請求項1に記載の携帯電話。
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