JP3169246B2 - モータのブラシ装置 - Google Patents

モータのブラシ装置

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JP3169246B2
JP3169246B2 JP34624791A JP34624791A JP3169246B2 JP 3169246 B2 JP3169246 B2 JP 3169246B2 JP 34624791 A JP34624791 A JP 34624791A JP 34624791 A JP34624791 A JP 34624791A JP 3169246 B2 JP3169246 B2 JP 3169246B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、整流子の軸直角方向を
磨耗による長さ減少方向として配置されかつ付勢力で整
流子の周面に圧接される角柱形状のブラシと、このブラ
シを保持する保持手段と、を備えたモータのブラシ装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、直流モータは、整流子とブラシ
とを備えており、これらの相互作用によって整流作用を
行っている。この整流作用を適正に行うため、ブラシを
所定位置に保持すべくブラシホルダ等が配設されてい
る。また、ブラシホルダにはブラシスプリングが配設さ
れており、このブラシスプリングの付勢力によって、ブ
ラシは整流子の周面に圧接されている。
【0003】ここで、整流子の回転状態において、ブラ
シに所謂自励振動が生じることが経験的に知られてい
る。この自励振動は、種々の要因によって起こり得る
が、基本的にはブラシ、ブラシスプリング、ブラシホル
ダ及び整流子といった系に生じている力のバランスが崩
れた場合に生じる。そして、ブラシに自励振動が生じる
と、整流作用が悪化すると共に異音が生じるため、自励
振動を抑制すべく従来から種々の対策が講じられてい
る。この対策の一例として、ブラシの後端面を傾斜面と
し、この傾斜面にブラシスプリングの付勢力を作用させ
たものがあり、以下図9及び図10を用いてこの構造を
説明する。
【0004】図9(A)に示されるように、ブラシ10
0の後端面は傾斜面100Aとされて、この傾斜面10
0Aに図示しないブラシスプリングの付勢力Pが作用し
ている。このブラシスプリングの付勢力Pはブラシ10
0の長手方向(整流子102の軸直角方向)に作用し、
このため傾斜面100Aには水平分力P1 が生じてい
る。この水平分力P1 によって、ブラシ100の側面1
00Bがブラシホルダ104の側面104Aに強制的に
押し付けられるようになっている。
【0005】従って、この構造によれば、ブラシ100
の側面100Bとブラシホルダ104の側面104Aと
が当接状態にあり、この状況下においてブラシ100に
自励振動を生じさせる外力が作用した場合、ブラシ10
0の側面100Bとブラシホルダ104の側面104A
とが摺動することにより発生する熱エネルギーに外部入
力を変換することで、ブラシ100の自励振動が増幅さ
れるのを抑制するものである。なお、この構造と類似す
る技術が、実開昭60−31153号公報に開示されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た構造はブラシスプリングの付勢力Pの水平分力P1
利用するものであるため、ブラシ100の後端面付近で
のブラシホルダ104の側面104Aへの押圧力(側
圧)はある程度得られても、ブラシ100の先端面10
0C付近でのブラシホルダ104の側面104Aへの押
圧力が不足する。このため、上述した構造は、外部入力
が比較的小さい所定条件下では成立するものの、外部入
力が比較的大きい場合には功を奏さない。
【0007】以下、このことを図9(B)及び図9
(C)を用いて更に詳述する。なお、図9(B)及び図
9(C)は、ブラシ100の長手直角平面に対する傾斜
面100Aの傾斜角度θを横軸、ブラシ100のブラシ
ホルダ104の側面104Aへの側圧Rを縦軸にとり、
整流子102の回転状態でブラシスプリングの付勢力P
に起因した側圧Rを測定したグラフである。また、測定
対象部位はブラシ100のA点〜D点であり、得られた
グラフは測定値を代表する理論値に基づくものである。
【0008】図9(B)のグラフから判るように、ブラ
シ100の傾斜面100AのD点では、傾斜面100A
の傾斜角度θに拘わらず側圧Rはプラスである。一方、
ブラシ100の傾斜面100AのC点では、傾斜面10
0Aの傾斜角度θが約17°を境にして側圧Rがプラス
とマイナスとに分かれる。また、図9(C)のグラフか
ら判るように、ブラシ100の先端面100CのB点で
は、傾斜面100Aの傾斜角度θに拘わらず側圧Rはマ
イナスである。一方、ブラシ100の先端面100Cの
A点では、傾斜面100Aの傾斜角度θに拘わらず側圧
Rはプラスである。
【0009】例えば傾斜角度θが30°の場合、ブラシ
100の四隅に作用する側圧Rの正負は先端面100C
のB点を除いて+Rとなる(図10(A)参照)。ま
た、例えば傾斜角度θが10°の場合、ブラシ100の
傾斜面100AのD点が+R、C点が−Rとなり、ブラ
シ100の先端面100CのA点はプラスR、B点は−
Rとなる。
【0010】従って、傾斜角度θが30°、10°のい
ずれの場合においても共通していえることは、ブラシ1
00の先端面100Cの側圧Rの作用する方向が常に逆
であるということである。このことは、安定した所定の
側圧Rは、側面104Aにおける先端面100C付近で
は作用していないことを意味する。
【0011】しかも、実際には、この不安定な状況下に
おいて、ブラシ100の先端面100Cと整流子102
の周面との接触状況が摩擦等により変化して、整流子1
02の周面からの反力によるモーメントがブラシ100
に瞬間的に加わることがある。すなわち、傾斜面100
A付近でのブラシホルダ104の側面104Aへの側圧
Tは図9(B)のC点、D点のグラフを境界とする領域
R内で変動し、また先端面100C付近でのブラシホル
ダ104の側面104Aへの側圧Rは図9(C)のA
点、B点のグラフを境界とする領域S内で変動し得るの
で、より側圧Rの作用状況がより不安定になる。このた
め、ブラシ100の側面100Bとブラシホルダ104
の側面104Aとの面接触状況を安定的に維持すること
ができず、ブラシ100の先端面100Cと整流子10
2の周面との接触状況によっては点接触状態となる。こ
の場合、ブラシ100の側面100Bとブラシホルダ1
04の側面104Aとの面接触状況下における摺動によ
るエネルギー変換が適切に行われなくなるという不具合
が生じる。
【0012】上述したことから、ブラシ100の後端面
を傾斜面100Aとしたことによっては、ブラシ100
に生じる自励振動を効果的に抑制できず、良好な整流作
用、低騒音効果を充分には得ることができない。
【0013】本発明は上記事実を考慮し、ブラシに生じ
ようとする自励振動を確実に抑制することができるモー
タのブラシ装置を得ることが目的である。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、整流子の軸直
角方向を磨耗による長さ減少方向として配置されかつ付
勢力で前記整流子の周面に圧接され、前記整流子の回転
方向側に位置する回転方向側面と、前記整流子の軸直角
平面内に位置する軸直角側面と、前記付勢力が作用する
付勢力作用面と、を有する角柱形状のブラシと、このブ
ラシを前記減少方向へ移動可能に保持すると共に、前記
回転方向側面に当接する回転方向当接側面と、前記軸直
角側面に当接する軸直角当接側面と、を有する保持手段
と、を備えたモータのブラシ装置であって、前記回転方
向側面及び前記回転方向当接側面を前記軸直角側面及び
前記軸直角当接側面に対して前記整流子の回転方向側へ
所定の角度で傾斜させることにより、前記ブラシの回転
方向側面及び軸直角側面の二面を前記保持手段の回転方
向当接面及び軸直角当接面の二面に同時に押し付け、前
記ブラシの後端側に設けられた前記付勢力作用面を前記
軸直角側面に対して前記整流子の軸線側へ所定の角度で
傾斜させることにより、前記ブラシの軸直角側面を前記
保持手段の軸直角当接面に押し付ける力を増強させた
とを特徴としている。
【0015】
【作用】上記構成の本発明によれば、角柱形状のブラシ
は、整流子の軸直角方向を磨耗による長さ減少方向とし
て配置され、付勢力で整流子の周面に圧接されている。
従って、整流子の回転により、整流子の周面とこれに圧
接されたブラシの端面とが摺動し、整流作用が行われ
る。
【0016】ここで、本発明によれば、ブラシにおける
整流子の回転方向側に位置する回転方向側面及び保持手
段における回転方向当接面が、ブラシにおける整流子の
軸直角平面内に位置する軸直角側面及び保持手段におけ
る軸直角当接面に対して整流子の回転方向側へ所定の角
度で傾斜されている。
【0017】従って、整流子の回転により整流子の周面
とブラシの圧接端面との間に生じる動摩擦力の反作用と
しての力が、ブラシの回転方向側面、保持手段の回転方
向当接面間で分化される。この内、一方の分力がブラシ
の回転方向側面を保持手段の回転方向当接面に押し付け
る力として、また他方の分力がブラシの軸直角側面を保
持手段の軸直角当接面に押し付ける力として、それぞれ
作用する。このため、ブラシの回転方向側面及び軸直角
側面の二面が保持手段の回転方向当接面及び軸直角当接
面の二面に同時に押し付けられることになる。しかも、
これらの押圧力は、相互に当接する回転方向側面及び回
転方向当接面、軸直角側面及び軸直角当接側面全体に作
用する。従って、二面による面接触状態でブラシを保持
手段に安定的に保持させることができ、これによりブラ
シに自励振動が生じるのを効果的に抑制することができ
る。さらに、本発明によれば、ブラシにおける付勢力作
用面がブラシの後端側に設けられており、ブラシの軸直
角側面に対して整流子の軸線側へ所定の角度で傾斜され
ている。従って、ブラシに作用する付勢力も分化され、
その一部がブラシの軸直角側面を保持手段の軸直角当接
面に押し付ける力として作用する。このため、本発明に
よれば、結果的には、ブラシの軸直角側面は、動摩擦力
の反作用の他方の分力と付勢力の分力との合力で保持手
段の軸直角当接面に押し付けられる。すなわち、本発明
によれば、ブラシの軸直角側面を保持手段の軸直角当接
面に押し付ける力が増強される。加えて、本発明によれ
ば、ブラシの整流子周面側(即ち、ブラシ前端側)につ
いては動摩擦力を利用した保持手段への側圧が得られ、
ブラシの付勢力作用側(即ち、ブラシ後端側)について
は当該付勢力を利用した保持手段への側圧が得られる。
つまり、ブラシの前端側及び後端側のいずれか一方にの
み保持手段への側圧がかかる場合には側圧のアンバラン
スに起因した振動がブラシに生じる可能性があるが、本
発明では、ブラシの前端側及び後端側の双方に保持手段
への側圧をかけているため、バランス良く側圧をかける
ことができる。またこのことは、保持手段に対してブラ
シの前端側及び後端側の双方を同一方向へ押圧すること
で安定した当接状態を確保し、自励振動を起こさせるエ
ネルギーを当接面間の摺動で 吸収(消費)しやすくなる
という効果に繋がるものである。その結果、本発明によ
ればブラシを保持手段により一層安定的に保持させるこ
とができ、これによりブラシに自励振動が生じるのをよ
り一層効果的に抑制することができる。
【0018】
【実施例】以下、図1〜図6を用いて、本発明に係るモ
ータのブラシ装置が適用された一実施例について説明す
る。
【0019】図3に示されるように、モータ10は筒状
のハウジング12内へ回転軸14が同軸的に挿入され、
ハウジング12の底部に設けた軸受16及びハウジング
12の入口部に取り付けられるブラケット18へ固定し
た軸受22を介して軸支されている。回転軸14にはコ
イル24が巻装され、ハウジング12の内周へ取り付け
られた磁石26と対応している。
【0020】ハウジング12の入口部には、ブラケット
18へインシュレータプレート28が固着されている。
このインシュレータプレート28は、図2に示されるよ
うに、薄肉の合成樹脂から形成されており、その中央部
には貫通孔32が形成されている。インシュレータプレ
ート28の裏面には貫通孔32を取り囲む状態で固定脚
(図示省略)が突出され、この固定脚がスペーサ36を
介在させた状態でブラケット18に固着されている。イ
ンシュレータプレート28の貫通孔32には回転軸14
へ固着された整流子38が挿入状態で回転するようにな
っている。
【0021】また、インシュレータプレート28には貫
通孔32を挟む両側に平面視で矩形状の凹部40が形成
されており、その底面の四隅には係止孔42が形成され
ている。この凹部40へはブラシ44を保持するブラシ
ホルダ46が嵌着されている。このブラシホルダ46と
インシュレータプレート28とで本発明における保持手
段が構成されており、また凹部40は軸直角当接側面と
して、後述するブラシホルダ46の側壁部46Cは回転
方向当接側面として、それぞれ機能する。
【0022】図1に示されるように、ブラシホルダ46
は薄肉板材を屈曲させて形成されている。また、ブラシ
ホルダ46の長手直角断面は略コ字形とされており、頂
壁部46A、側壁部46B、46C及び後壁部46D
(図6参照)を備えている。ブラシホルダ46の頂壁部
46Aには、開口端と連通する長孔48がブラシホルダ
46の長手方向に沿って形成されており、後述するブラ
シ44のピグテイル50が貫通配置されている。また、
一対の側壁部46B、46Cからはインシュレータプレ
ート28の係止孔42へ挿入係止される脚部52が一体
形成されている。これらの脚部52が係止孔42へ挿入
係止された状態では、ブラシホルダ46の長手方向が整
流子38の軸線S(図3参照)に対して直交する方向と
なる。そして、上述したブラシホルダ46の両側壁部4
6B、46Cは互いに平行とされ、かつ頂壁部46Aに
対して所定角度θだけ傾斜されている。
【0023】また、ブラシホルダ46内には、略緊密に
角柱形状のブラシ44が挿入されている。このブラシ4
4は、図1、図5及び図6に示されるように、頂部44
A、側部44B、44C、底部44D、先端部44E、
後端部44Fから成り、頂部44Aにはピグテイル50
が取り付けられている。なお、ブラシ44の側部44C
が本発明における回転方向側面として、また底部44D
が軸直角当接側面として、さらに後端部44Fが付勢力
作用面として、それぞれ機能する。
【0024】ブラシ44の後端部44Fは、頂部44A
に対して所定角度φだけ傾斜されている。この後端部4
4Fには、一端がブラシホルダ46の後壁部46Dに当
接係止されたブラシスプリング54の他端が係止されて
いる。従って、ブラシスプリング54は、ブラシ44を
整流子38の周面に押し付ける方向(図1の矢印A方
向)へ押圧付勢しており、この方向がブラシ44の磨耗
による長さ減少方向である。
【0025】さらに、ブラシ44の側部44B、44C
は互いに平行とされ、かつブラシホルダ46の一対の側
壁部46B、46Cの傾斜角度と同一の所定角度θだけ
頂部44A及び底部44Dに対して傾斜されている。す
なわち、このブラシ44は長手方向に見た形状が平行四
辺形とされている。
【0026】以下に、本実施例の作用を説明する。図2
に示されるように、ブラシ44がブラシスプリング54
を介在させた状態でブラシホルダ46へ挿入されて、イ
ンシュレータプレート28の凹部40へ組付けられると
(図2には、ブラシ44及びブラシホルダ46の組付前
後の状態が各々図示されている)、ブラシ44の先端部
44Eはブラシスプリング54によって整流子38の周
面へ圧接される。この状態では、ブラシ44には、その
後端部44Fの傾斜面にブラシスプリング54の付勢力
Pが作用している。
【0027】この状態でモータ10が駆動しこれに伴い
整流子38が図4の矢印B方向へ回転すると、ブラシ4
4の先端部44Eと整流子38の周面との間に動摩擦力
Q’に対する反作用の力(以下、「反動摩擦力」とい
う)Qが作用する。従って、モータ10の駆動状態で
は、ブラシ44には、反動摩擦力Qと前述した付勢力P
とが同時に作用することになる。以下、図5及び図6を
用いて、整流子38の回転状態においてブラシ44及び
ブラシホルダ46間に作用する力学的状態を説明する。
【0028】〔反動摩擦力Qの作用状況〕図5に示され
るように、整流子38の回転状態では、反動摩擦力Qに
よってブラシ44は整流子38の回転方向へ追従して回
転しようとする。従って、この反動摩擦力Qによってブ
ラシ44の側部44Cが、ブラシホルダ46の側壁部4
6Cを押圧することになる。
【0029】ここで、ブラシ44の側部44C及びブラ
シホルダ46の側壁部46Cは、共に頂部44A及び頂
壁部46Aに対して傾斜角度θで傾斜しているので、反
動摩擦力Qが分化される。すなわち、反動摩擦力Qは、
ブラシホルダ46の側壁部46Cの面直角方向の垂直分
力Q・cos θと、ブラシホルダ46の側壁部46Cの面
方向の水平分力Q・sin θと、に分化される。
【0030】この内、垂直分力Q・cos θは、そのまま
ブラシホルダ46の側壁部46Cを押圧する力として作
用する。一方、水平分力Q・sin θは、図5において仮
想したX−Y座標系で更にX軸方向の水平分力(Q・si
n θ)sin θと、Y軸方向の垂直分力(Q・sin θ)co
s θと、に分化される。この内、Y軸方向の垂直分力
(Q・sin θ)cos θが、インシュレータプレート28
の凹部40を押圧する力として作用する。なお、X軸方
向の水平分力(Q・sin θ)sin θは、前述した場合
(反動摩擦力Qを分化させた場合)と同様に分化させて
もよいが、ここでは反動摩擦力Qに比べ微小であるた
め、無視することにする。
【0031】上述したことから、結果的には、ブラシ4
4の側部44C及びブラシホルダ46の側壁部46Cを
頂部44A及び頂壁部46Aに対して傾斜角度θだけ傾
斜させたことにより、反動摩擦力Qを利用して、ブラシ
44の側部44Cがブラシホルダ46の側壁部46Cを
垂直分力Q・cos θで押圧し、かつブラシ44の底部4
4Dがインシュレータプレート28の凹部40を垂直分
力(Q・sin θ)cosθで押圧している。
【0032】〔付勢力Pの作用状況〕図6に示されるよ
うに、ブラシスプリング54の付勢力Pは、ブラシ44
の後端部44Fが頂部44A及び底部44Dに対して傾
斜角度φで傾斜しているので、前述した場合と同様にし
て分化される。すなわち、付勢力Pは、ブラシ44の後
端部44Fの傾斜面の面直角方向の垂直分力P・cos φ
と、ブラシ44の後端部44Fの傾斜面の面方向の水平
分力P・sin φと、に分化される。
【0033】ここで、水平分力P・sin φは、ブラシス
プリング54に作用している外的状況(例えば、ブラシ
スプリング54が伸縮する際に屈曲しないようにガイド
しているブラシホルダ46等の部材との摩擦力等)によ
ってキャンセルされる。従って、ブラシ44の後端部4
4Fには、垂直分力P・cos φのみが作用していると考
えられる。
【0034】従って、垂直分力P・cos φを図6におい
て仮想したX−Y座標系で更に分化させると、X軸方向
の水平分力(P・cos φ)cos φと、Y軸方向の垂直分
力(P・cos φ)sin φと、が得られる。この内、水平
分力(P・cos φ)cos φがブラシ44を整流子38の
周面へ押圧する付勢力として作用し、垂直分力(P・co
s θ)sin θがインシュレータプレート28の凹部40
を押圧する力として作用する。
【0035】上述したことから、結果的には、ブラシ4
4の後端部44Fを頂部44A及び底部44Dに対して
傾斜角度φだけ傾斜させたことにより、付勢力Pを利用
して、ブラシ44の先端部44Eが整流子38の周面を
水平分力(P・cos φ)cosφで押圧し、かつブラシ4
4の底部44Dがインシュレータプレート28の凹部4
0を垂直分力(P・cos φ)sin φで押圧している。
【0036】そして、全体としては、ブラシ44の側部
44Cがブラシホルダ46の側壁部46Cを垂直分力Q
・cos θで押圧し、ブラシ44の底部44Dがインシュ
レータプレート28の凹部40を垂直分力(Q・sin
θ)cos θと垂直分力(P・cos φ)sin φとの合力で
押圧し、更にブラシ44の先端部44Eが整流子38の
周面を水平分力(P・cos φ)cos φで押圧している。
【0037】このように本実施例では、ブラシ44の側
部44C及びブラシホルダ46の側壁部46Cを共に頂
部44A及び頂壁部46Aに対して傾斜角度θで傾斜さ
せて反動摩擦力Qを分化させたので、各々の分力を用い
て、ブラシ44の側部44Cでブラシホルダ46の側壁
部46Cを、またブラシ44の底部44Dでインシュレ
ータプレート28の凹部40を押圧させることができ
る。このため、ブラシ44はブラシホルダ46及びイン
シュレータプレート28から成る保持手段に二面で押圧
するので、安定した面接触状態を維持することができ
る。従って、ブラシ44に生じようとする自励振動を効
果的に抑制することができる。この結果、ブラシ44及
び整流子38による良好な整流作用が得られると共にモ
ータ10に異音が生じるのを著しく低減することができ
る。
【0038】また、本実施例では、ブラシ44の後端部
44Fをも傾斜面として付勢力Pを分化させたので、こ
れによっても、ブラシ44の底部44Dでインシュレー
タプレート28の凹部40を押圧させることができ、上
述した効果がより一層得られる。
【0039】なお、本実施例では、長手方向に見て平行
四辺形とされたブラシ44及びこれを略緊密に保持する
ブラシホルダ46を適用したが、これに限らず、整流子
38の回転方向側の側部44C及び側壁部46Cのみを
傾斜させた構成でもよい。
【0040】また、本実施例では、ブラシスプリング5
4として圧縮コイルバネを適用したが、これに限らず、
トーションスプリングやぜんまいばね等の付勢手段を適
用してもよい。
【0041】さらに、本実施例では、長手方向に見て平
行四辺形とされたブラシ44及びこれを略緊密に保持す
るブラシホルダ46を適用したが、これに限らず、図
7、図8に示されるような長手方向に見て傾斜角度がα
及びβの等脚台形とされたブラシ60を適用してもよ
い。なお、このブラシ60を適用する場合には、ブラシ
60を略緊密に保持すべくブラシホルダの形状も当然に
変更されることになる。
【0042】この構造によれば、整流子38にセグメン
ト段差があった場合や整流子38の真円度が悪化した場
合でも、ブラシ60が実線で示される位置(図8にC線
で示されるのがセグメント端である)から点線で示され
る位置(図8にC’線で示されるのが移動後のセグメン
ト端である)へ移動し、即ち整流子38の回転方向へ移
動し、ブラシホルダの側壁部及びインシュレータプレー
トに圧着されるというメリットがある。言い換えると、
この構造によれば、傾斜角度α、βの傾斜面を設けたこ
とにより、上述した実施例と同様に反動摩擦力を分化し
て押圧力に変換することに加え、セグメント段差等によ
りブラシ60が受けた瞬間的な反力をも分化して押圧力
に変換することができるという効果が有る。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るモー
タのブラシ装置は、ブラシにおける整流子の回転方向側
に位置する回転方向側面及び保持手段における回転方向
当接面を、ブラシにおける整流子の軸直角平面内に位置
する軸直角側面及び保持手段における軸直角当接面に対
して所定の角度で傾斜させたので、ブラシに生じようと
する自励振動を確実に抑制することができるという優れ
た効果を有する。さらに、本発明に係るモータのブラシ
装置は、上記構成に加えて、ブラシにおける付勢力作用
面をブラシの軸直角側面に対して整流子の軸線側へ所定
の角度で傾斜させたので、ブラシに生じようとする自励
振動をより効果的かつ確実に抑制することができるとい
う優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係るブラシ及びブラシホルダを中心
に示す分解斜視図である。
【図2】図1のブラシ、ブラシホルダがインシュレータ
プレートに組み付けられる前後の状態を示す斜視図であ
る。
【図3】図2のブラシ、ブラシホルダ等がモータに組み
込まれた状態をモータの回転軸を含む平面で切断した状
態で示す断面図である。
【図4】図4はブラシの傾斜状況を説明するための説明
図であり、図4(A)は整流子の周面にブラシが当接し
ている状態をブラシの後端部側から見た概略図、図4
(B)は整流子及びブラシを図4(A)の(B)線矢視
方向から見た概略図である。
【図5】図4(A)のブラシを拡大し、かつ反動摩擦力
による分力の作用状況を説明するための説明図である。
【図6】図4(B)のブラシを拡大し、かつ付勢力によ
る分力の作用状況を説明するための説明図である。
【図7】図1のブラシの変形例に係り、長手方向に見て
等脚台形とされたブラシを示す斜視図である。
【図8】図7のブラシを用いた場合の効果を説明するた
めの図4(A)に対応する概略図である。
【図9】後端部のみが傾斜された従来のブラシを示して
おり、図9(A)はこのブラシ及び整流子を示す概略
図、図9(B)は図9(A)においてブラシの後端に作
用する側圧を示すグラフ、図9(C)は図9(A)にお
いてブラシの先端に作用する側圧を示すグラフである。
【図10】図10(A)は傾斜角度θが30°の場合に
おけるブラシに作用する側圧の状況を示す説明図、図1
0(B)は傾斜角度θが15°の場合におけるブラシに
作用する側圧の状況を示す説明図である。
【符号の説明】
10 モータ 11 ブラシ装置 28 インシュレータプレート(保持手段) 38 整流子 40 凹部(軸直角当接側面) 44 ブラシ 44C 側部(回転方向側面) 44D 底部(軸直角側面)44F 後端部(付勢力作用面) 46 ブラシホルダ(保持手段) 46C 側壁部(回転方向当接側面) 54 ブラシスプリング 60 ブラシ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大矢 多喜雄 東京都武蔵野市境南町2丁目27番2号 (56)参考文献 特開 平1−185148(JP,A) 特開 昭57−47(JP,A) 実開 昭61−114968(JP,U) 実開 昭60−156867(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 13/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 整流子の軸直角方向を磨耗による長さ減
    少方向として配置されかつ付勢力で前記整流子の周面に
    圧接され、前記整流子の回転方向側に位置する回転方向
    側面と、前記整流子の軸直角平面内に位置する軸直角側
    面と、前記付勢力が作用する付勢力作用面と、を有する
    角柱形状のブラシと、 このブラシを前記減少方向へ移動可能に保持すると共
    に、前記回転方向側面に当接する回転方向当接側面と、
    前記軸直角側面に当接する軸直角当接側面と、を有する
    保持手段と、 を備えたモータのブラシ装置であって、 前記回転方向側面及び前記回転方向当接側面を前記軸直
    角側面及び前記軸直角当接側面に対して前記整流子の回
    転方向側へ所定の角度で傾斜させることにより、前記ブ
    ラシの回転方向側面及び軸直角側面の二面を前記保持手
    段の回転方向当接面及び軸直角当接面の二面に同時に押
    し付け、 前記ブラシの後端側に設けられた 前記付勢力作用面を前
    記軸直角側面に対して前記整流子の軸線側へ所定の角度
    で傾斜させることにより、前記ブラシの軸直角側面を前
    記保持手段の軸直角当接面に押し付ける力を増強させた
    ことを特徴とするモータのブラシ装置。
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