JP3205681B2 - ジルコニア粉末の製造方法 - Google Patents
ジルコニア粉末の製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ジルコニア粉末の製
造方法に関するものである。さらに詳しくは、この発明
は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、安定化ジルコニ
ア(SZ)、部分安定化ジルコニア(PSZ)、その他
ファイン・セラミックス材料への応用に有用な、新しい
ジルコニア粉末の製造方法に関するものである。
造方法に関するものである。さらに詳しくは、この発明
は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、安定化ジルコニ
ア(SZ)、部分安定化ジルコニア(PSZ)、その他
ファイン・セラミックス材料への応用に有用な、新しい
ジルコニア粉末の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】ジルコニア・セラミックスは
高温において耐酸性および導電性に優れ、熱膨張係数お
よび熱伝導が比較的大きく、高温での靱性に優れ、さら
には高温において赤外線および可視光線の透過性が比較
的良く、更に屈折率が高いという特性を有している。
高温において耐酸性および導電性に優れ、熱膨張係数お
よび熱伝導が比較的大きく、高温での靱性に優れ、さら
には高温において赤外線および可視光線の透過性が比較
的良く、更に屈折率が高いという特性を有している。
【0003】さらにまたジルコニア・セラミックスは、
様々な安定化剤や添加物を利用することによって様々な
機能が現れるので、構造材料ばかりでなく、機能材料と
しても幅広く利用され、それらの伸びが今後益々期待さ
れている。従来から、ジルコニアの焼結体は高温材料、
特にガラス溶融用や製鉄製鋼用などの耐火物に用いられ
てきた。最近ではファイン・セラミックスとして急速に
利用され始め、今日では全用途の20%程度を占めるま
でに至っている。それらの用途には、例えば断熱性など
の熱的機能(断熱材、ディーゼル・エンジン部品な
ど)、導電性などの電気的機能(超高温炉抵抗発熱体、
自動車排ガス温度センサー、磁気ヘッド・ローラーな
ど)、イオン電導性などの電子機能(酸素計用酸素セン
サー、自動車用排ガス酸素センサー、金属中の酸素およ
びカーボン測定素子、COガス・センサー、酸素ポン
プ、不完全燃焼センサー、高温固体電解質燃料電池な
ど)、非磁性・靱性・切削性などの機械的機能(粉砕用
ボール、コイル調整用ドライバー、ゴルフクラブヘッド
のフェース、スパイク・ピン、鋏、包丁、切削工具、ダ
イス、ノズル、ポンプ、軸受など)、光屈折性などの光
学的機能(キュービック・ジルコニア、人工宝石など)
を利用した各種材料がある。その他、主成分ではない
が、主要構成成分としてジルコニア粉末が使用されてい
るものには、機械電気変換機能を利用した圧電材料(着
火素子、送受話器、スピーカー、超音波送受波器、超音
波診断装置、超音波パワー振動子、発振子、表面波フィ
ルターなど)、電気光学機能を利用した圧電材料(画像
蓄積表示素子、光変調素器、光シャッター、閃光遮断眼
鏡など)がある。
様々な安定化剤や添加物を利用することによって様々な
機能が現れるので、構造材料ばかりでなく、機能材料と
しても幅広く利用され、それらの伸びが今後益々期待さ
れている。従来から、ジルコニアの焼結体は高温材料、
特にガラス溶融用や製鉄製鋼用などの耐火物に用いられ
てきた。最近ではファイン・セラミックスとして急速に
利用され始め、今日では全用途の20%程度を占めるま
でに至っている。それらの用途には、例えば断熱性など
の熱的機能(断熱材、ディーゼル・エンジン部品な
ど)、導電性などの電気的機能(超高温炉抵抗発熱体、
自動車排ガス温度センサー、磁気ヘッド・ローラーな
ど)、イオン電導性などの電子機能(酸素計用酸素セン
サー、自動車用排ガス酸素センサー、金属中の酸素およ
びカーボン測定素子、COガス・センサー、酸素ポン
プ、不完全燃焼センサー、高温固体電解質燃料電池な
ど)、非磁性・靱性・切削性などの機械的機能(粉砕用
ボール、コイル調整用ドライバー、ゴルフクラブヘッド
のフェース、スパイク・ピン、鋏、包丁、切削工具、ダ
イス、ノズル、ポンプ、軸受など)、光屈折性などの光
学的機能(キュービック・ジルコニア、人工宝石など)
を利用した各種材料がある。その他、主成分ではない
が、主要構成成分としてジルコニア粉末が使用されてい
るものには、機械電気変換機能を利用した圧電材料(着
火素子、送受話器、スピーカー、超音波送受波器、超音
波診断装置、超音波パワー振動子、発振子、表面波フィ
ルターなど)、電気光学機能を利用した圧電材料(画像
蓄積表示素子、光変調素器、光シャッター、閃光遮断眼
鏡など)がある。
【0004】このように、ジルコニア(ZrO2 )焼結
体は、高温材料・電子材料・構造材料として広範囲に利
用されており、それに伴って、その材料性能に対して益
々厳しい要求がなされてきてもいる。なお、このジルコ
ニアには約1200℃付近において転移点があり、大き
な体積膨張・収縮を伴う。その結果、ジルコニア焼結体
はそこで破壊されるため、単独で使用されることはほと
んどない。
体は、高温材料・電子材料・構造材料として広範囲に利
用されており、それに伴って、その材料性能に対して益
々厳しい要求がなされてきてもいる。なお、このジルコ
ニアには約1200℃付近において転移点があり、大き
な体積膨張・収縮を伴う。その結果、ジルコニア焼結体
はそこで破壊されるため、単独で使用されることはほと
んどない。
【0005】実用材料としては、通常数〜10数パーセ
ントの安定化剤(CaO,MgO,Y2 O3 ,CeOな
ど)を添加して使用される。また、電子材料(例えばP
ZT)において、ジルコニア粉末は酸化鉛(PbO)や
チタニア(TiO2 )と共に重要な主要構成成分の1つ
として使用される。これら何れの用途にせよ、材料とし
ての性能は焼結体の微構造によって大きく影響され、そ
の微構造は特にジルコニア粉末の粉末特性によって支配
される。このため、特に最近では、微細で均一な易焼結
性ジルコニア粉末が必要とされている。
ントの安定化剤(CaO,MgO,Y2 O3 ,CeOな
ど)を添加して使用される。また、電子材料(例えばP
ZT)において、ジルコニア粉末は酸化鉛(PbO)や
チタニア(TiO2 )と共に重要な主要構成成分の1つ
として使用される。これら何れの用途にせよ、材料とし
ての性能は焼結体の微構造によって大きく影響され、そ
の微構造は特にジルコニア粉末の粉末特性によって支配
される。このため、特に最近では、微細で均一な易焼結
性ジルコニア粉末が必要とされている。
【0006】これまでジルコニア原料粉末は、工業的に
中和沈澱法、加水分解法、アルコキサイド加水分解法、
水熱合成法などの湿式法によって製造されている。この
うちの中和沈澱法によるジルコニア粉末は、通常ジルコ
ニウム塩の融解・アルカリ中和による沈澱・濾過および
水洗・乾燥工程を経て得られた水和ジルコニアを、さら
に熱分解および仮焼することによって製造されている。
この方法は、ジルコニア粉末のもっとも安価な製造法で
あるが、ジルコニア水和物は非結晶質の凝集体であり、
これを仮焼して得られるジルコニア粉末の諸特性は、2
次粒子の存在や高い不均一性等のため悪いので、ファイ
ン・セラミックス材料に利用するにはかなり問題があ
る。
中和沈澱法、加水分解法、アルコキサイド加水分解法、
水熱合成法などの湿式法によって製造されている。この
うちの中和沈澱法によるジルコニア粉末は、通常ジルコ
ニウム塩の融解・アルカリ中和による沈澱・濾過および
水洗・乾燥工程を経て得られた水和ジルコニアを、さら
に熱分解および仮焼することによって製造されている。
この方法は、ジルコニア粉末のもっとも安価な製造法で
あるが、ジルコニア水和物は非結晶質の凝集体であり、
これを仮焼して得られるジルコニア粉末の諸特性は、2
次粒子の存在や高い不均一性等のため悪いので、ファイ
ン・セラミックス材料に利用するにはかなり問題があ
る。
【0007】加水分解法によるジルコニア粉末は、ジル
コニウム塩の溶解・加水分解、乾燥工程を経て得られる
ジルコニア水和物を更に仮焼することによって得られ
る。この方法で得られるジルコニア水和物は結晶質であ
り、従来の水和沈澱法に比べ、ジルコニア粉末の諸特性
はかなり改良されてはいるものの、その均一性はまだ十
分とは言えない。また、均一な結晶性ジルコニウム水和
物を得るためには、100〜200℃の温度で1〜2日
間も熟成する必要があり、経済的に問題がある。
コニウム塩の溶解・加水分解、乾燥工程を経て得られる
ジルコニア水和物を更に仮焼することによって得られ
る。この方法で得られるジルコニア水和物は結晶質であ
り、従来の水和沈澱法に比べ、ジルコニア粉末の諸特性
はかなり改良されてはいるものの、その均一性はまだ十
分とは言えない。また、均一な結晶性ジルコニウム水和
物を得るためには、100〜200℃の温度で1〜2日
間も熟成する必要があり、経済的に問題がある。
【0008】また、水熱合成法は、溶解したジルコニウ
ム塩を水熱反応・濾過および水洗することによって良質
の結晶質ジルコニア粉末が得られる。仮焼工程が不必要
という利点があるものの、水熱反応には300℃以上の
温度、100MPa以上の圧力、1日以上の反応時間が
必要である。従って、コスト的に問題があり、まだ大量
生産向きではない。
ム塩を水熱反応・濾過および水洗することによって良質
の結晶質ジルコニア粉末が得られる。仮焼工程が不必要
という利点があるものの、水熱反応には300℃以上の
温度、100MPa以上の圧力、1日以上の反応時間が
必要である。従って、コスト的に問題があり、まだ大量
生産向きではない。
【0009】アルコキシド法は、アンモニアの存在下で
塩化ジルコニウムとアルコールを反応させ、得られたジ
ルコニウム・アルコラートを加水分解し、乾燥・粉砕工
程を経た後、さらに仮焼される。この方法で得られるジ
ルコニア水和物は非結晶質であり、中和沈澱法や加水分
解法に比べて、ジルコニアの粉末特性は遙かに良質であ
る。しかしながら、この製造法では、イソ・プロピル・
アルコールを使用するため、得られるジルコニア粉末は
遙かにコストが高くなり、付加価値の高い厚膜以外の利
用にはかなり問題がある。
塩化ジルコニウムとアルコールを反応させ、得られたジ
ルコニウム・アルコラートを加水分解し、乾燥・粉砕工
程を経た後、さらに仮焼される。この方法で得られるジ
ルコニア水和物は非結晶質であり、中和沈澱法や加水分
解法に比べて、ジルコニアの粉末特性は遙かに良質であ
る。しかしながら、この製造法では、イソ・プロピル・
アルコールを使用するため、得られるジルコニア粉末は
遙かにコストが高くなり、付加価値の高い厚膜以外の利
用にはかなり問題がある。
【0010】一方、多くのファイン・セラミックス材料
は、工業的には高純度酸化物粉末の混合による、所謂乾
式法で製造されている。その場合、焼結体の微構造や物
性を左右する最も大きな要因は、酸化物粉末の粉末特性
である。例えば、機能性材料であるPZT圧電体では、
ジルコニアは構成成分の1つ(1/4mol%)にしか
過ぎないが、焼結体の微構造および圧電特性を大きく支
配するものは、ジルコニア粉末の粉末特性である。ジル
コニアの粉末特性が悪いと、PZTの焼成温度が高くな
り、結果としてPbOの蒸発が著しく、しかもジルコニ
ウムとチタニウムの分布の偏りが大きくなる。その結
果、単に焼結体の微構造が不均質になるばかりでなく、
圧電特性が著しく低下してしまう。一方、構造材料であ
るPZTでは、ジルコニア粉末の粉末特性が悪いと、高
緻密質の焼結体が得られない上に、安定化剤の分散が不
均一になる。高緻密の焼結体が得られないと、構造材料
として利用することは不可能である。また、安定化剤の
不均一分布は、複数の結晶相の出現や不均一な微構造を
もたらす。その結果、破壊強度や破壊靱性などの機械的
性質が大きく低下する。従って、粉末特性の優れたジル
コニア粉末を得ることが、機能性材料および構造材料の
重要課題の1つとなっている。
は、工業的には高純度酸化物粉末の混合による、所謂乾
式法で製造されている。その場合、焼結体の微構造や物
性を左右する最も大きな要因は、酸化物粉末の粉末特性
である。例えば、機能性材料であるPZT圧電体では、
ジルコニアは構成成分の1つ(1/4mol%)にしか
過ぎないが、焼結体の微構造および圧電特性を大きく支
配するものは、ジルコニア粉末の粉末特性である。ジル
コニアの粉末特性が悪いと、PZTの焼成温度が高くな
り、結果としてPbOの蒸発が著しく、しかもジルコニ
ウムとチタニウムの分布の偏りが大きくなる。その結
果、単に焼結体の微構造が不均質になるばかりでなく、
圧電特性が著しく低下してしまう。一方、構造材料であ
るPZTでは、ジルコニア粉末の粉末特性が悪いと、高
緻密質の焼結体が得られない上に、安定化剤の分散が不
均一になる。高緻密の焼結体が得られないと、構造材料
として利用することは不可能である。また、安定化剤の
不均一分布は、複数の結晶相の出現や不均一な微構造を
もたらす。その結果、破壊強度や破壊靱性などの機械的
性質が大きく低下する。従って、粉末特性の優れたジル
コニア粉末を得ることが、機能性材料および構造材料の
重要課題の1つとなっている。
【0011】このような状況においては、いかに微細、
均一で易焼結性の高品質ジルコニア粉末をより低コスト
で製造するかが、早急に解決されねばならない課題であ
り、この課題の解決の手段として、最も実用的な低コス
トな方法としての前記の通りの中和沈澱法の抜本的な改
善が求められているところでもある。そこで、より詳し
く検討してみると、中和沈澱法によって得られるジルコ
ニウム水和物は通常ゾル状の沈澱であるため、洗浄や濾
過はほとんど不可能である。ジルコニウム溶液にアンモ
ニウム水を滴定すると、例えば図1のように、ジルコニ
ウム水和物は2段(正確には3段階)にわたって沈澱し
てくる。1段目は強い酸性領域(pH=2付近)で生成
する過ジルコン酸〔H2 ZrO5 〕の沈澱であり、2段
目はやや中性領域(pH=6.5付近)で生成するジル
コニア4水和物〔Zr(OH)4 〕の沈澱である。この
ような水和物を仮焼して得られるジルコニア粉末は、化
学組成が全く同じであるにもかかわらず、粉末特性の異
なる2種類の混合物(正確には3種類)として作用す
る。これは、ジルコニア溶液自体の性質なので、中和沈
澱法の条件拘束を如何に制御しても原理的には均一な沈
澱、均一な仮焼粉末を得ることは不可能である。
均一で易焼結性の高品質ジルコニア粉末をより低コスト
で製造するかが、早急に解決されねばならない課題であ
り、この課題の解決の手段として、最も実用的な低コス
トな方法としての前記の通りの中和沈澱法の抜本的な改
善が求められているところでもある。そこで、より詳し
く検討してみると、中和沈澱法によって得られるジルコ
ニウム水和物は通常ゾル状の沈澱であるため、洗浄や濾
過はほとんど不可能である。ジルコニウム溶液にアンモ
ニウム水を滴定すると、例えば図1のように、ジルコニ
ウム水和物は2段(正確には3段階)にわたって沈澱し
てくる。1段目は強い酸性領域(pH=2付近)で生成
する過ジルコン酸〔H2 ZrO5 〕の沈澱であり、2段
目はやや中性領域(pH=6.5付近)で生成するジル
コニア4水和物〔Zr(OH)4 〕の沈澱である。この
ような水和物を仮焼して得られるジルコニア粉末は、化
学組成が全く同じであるにもかかわらず、粉末特性の異
なる2種類の混合物(正確には3種類)として作用す
る。これは、ジルコニア溶液自体の性質なので、中和沈
澱法の条件拘束を如何に制御しても原理的には均一な沈
澱、均一な仮焼粉末を得ることは不可能である。
【0012】また、沈澱形成剤として、アンモニア水
〔NH4 OH〕を用いると、ジルコニウム水和物の沈澱
性状が悪化することはよく知られた事実である。沈澱性
状が悪くなると洗浄や濾過が困難になるばかりでなく、
陰イオンの吸蔵や陽イオンの吸着が増加する。沈澱表面
に吸蔵した陰イオンは、仮焼過程でジルコニアの1次粒
子の成長と2次粒子生成を促進させる。
〔NH4 OH〕を用いると、ジルコニウム水和物の沈澱
性状が悪化することはよく知られた事実である。沈澱性
状が悪くなると洗浄や濾過が困難になるばかりでなく、
陰イオンの吸蔵や陽イオンの吸着が増加する。沈澱表面
に吸蔵した陰イオンは、仮焼過程でジルコニアの1次粒
子の成長と2次粒子生成を促進させる。
【0013】一方、沈澱内部に吸着した陽イオンは、仮
焼物中に残留する。ジルコニア粉末に残留した陽イオン
不純物は、焼結を抑制するばかりでなく、焼結体の微構
造やその物性に悪影響を及ぼす。さらに、ジルコニウム
溶液の性質を変えた(例えば、錯体の生成など)場合に
は、ジルコニウム水和物の沈澱性状は更に悪くなる傾向
がある。沈澱形成剤に苛性ソーダ〔NaOH〕または苛
性カリ〔KOH〕などのアルカリを用いると、水和物の
みならず仮焼粉末中にも少量のアルカリ金属が残存し、
それが焼結性・焼結体の微構造・圧電特性および破壊靱
性などに極めて悪い影響を及ぼす。
焼物中に残留する。ジルコニア粉末に残留した陽イオン
不純物は、焼結を抑制するばかりでなく、焼結体の微構
造やその物性に悪影響を及ぼす。さらに、ジルコニウム
溶液の性質を変えた(例えば、錯体の生成など)場合に
は、ジルコニウム水和物の沈澱性状は更に悪くなる傾向
がある。沈澱形成剤に苛性ソーダ〔NaOH〕または苛
性カリ〔KOH〕などのアルカリを用いると、水和物の
みならず仮焼粉末中にも少量のアルカリ金属が残存し、
それが焼結性・焼結体の微構造・圧電特性および破壊靱
性などに極めて悪い影響を及ぼす。
【0014】このように、これまでの中和沈澱法につい
ては基本的な問題点が明らかになってきた。しかしなが
ら、現状においては、これら問題を解決し、易焼結性
で、微細、均一なジルコニア粉末を製造することのでき
る方策は依然として見出されていないのが現状である。
この発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたもので
あって、従来技術の欠点を克服し、高純度・易焼結性・
2次粒子のない、しかも均一性の高いジルコニア粉末
を、より経済的な手法で製造することのできる新しい方
法を提供することを目的としている。
ては基本的な問題点が明らかになってきた。しかしなが
ら、現状においては、これら問題を解決し、易焼結性
で、微細、均一なジルコニア粉末を製造することのでき
る方策は依然として見出されていないのが現状である。
この発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたもので
あって、従来技術の欠点を克服し、高純度・易焼結性・
2次粒子のない、しかも均一性の高いジルコニア粉末
を、より経済的な手法で製造することのできる新しい方
法を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、ジルコニウム溶液とアンモニア
水の中和反応によって得られるジルコニウム水和物を熱
分解および仮焼することによってジルコニア粉末を生成
する方法において、ジルコニウム溶液に過酸化水素を加
えることを特徴とするジルコニア粉末製造方法を提供す
る。
を解決するものとして、ジルコニウム溶液とアンモニア
水の中和反応によって得られるジルコニウム水和物を熱
分解および仮焼することによってジルコニア粉末を生成
する方法において、ジルコニウム溶液に過酸化水素を加
えることを特徴とするジルコニア粉末製造方法を提供す
る。
【0016】また、この発明は、上記方法において、ア
ンモニア水に硫酸アンモニウムを添加しておくことや、
過酸化水素そして硫酸アンモニウムの添加量を制御する
こと等をその態様としてもいる。
ンモニア水に硫酸アンモニウムを添加しておくことや、
過酸化水素そして硫酸アンモニウムの添加量を制御する
こと等をその態様としてもいる。
【0017】
【作用】この発明は、上記の通りの特徴を有するもので
あるが、さらにその背景、技術的基礎について先ず説明
すると、以下の通りである。すなわち、均一なジルコニ
ア粉末を得るためには、先ずジルコニウム水和物の沈澱
を1段にする必要がある。その方法としては、水酸化物
以外の沈澱(例えば、蓚酸塩等)を得るか、あるいはジ
ルコニウム溶液の性質を変化させた後水酸化物を沈澱さ
せる方法が考えられる。
あるが、さらにその背景、技術的基礎について先ず説明
すると、以下の通りである。すなわち、均一なジルコニ
ア粉末を得るためには、先ずジルコニウム水和物の沈澱
を1段にする必要がある。その方法としては、水酸化物
以外の沈澱(例えば、蓚酸塩等)を得るか、あるいはジ
ルコニウム溶液の性質を変化させた後水酸化物を沈澱さ
せる方法が考えられる。
【0018】前者は化学反応的にはより容易な方法であ
るが、たとえば蓚酸塩はやや毒性がある上コスト的にも
幾分不利である。これに対して、後者は既存の装置を利
用する限り、遙かに経済的に有利である。溶液の性質を
変化させる方法としては、溶媒の種類を変える、または
錯体を生成するなどの方法が考えられる。溶媒を水以外
に変える方法(例えば、アルコキシド法)は既に試みら
れているが、コスト的に問題がある。一方、錯体の生成
を利用することができれば、既存の設備がそのまま利用
できる可能性がある。錯体が利用できるためには、以下
の条件をクリアーする必要がある。すなわち、沈澱する
水和物が1種類であること、沈澱の生成に安価なアンモ
ニア水が利用できること、性状の良い沈澱が得られるこ
と、仮焼後に金属酸化物等の不純物が残存しないことな
どである。この発明の発明者は、以上の観点から鋭意検
討を進め、膨大な実験検証の結果から、これらの条件を
満たすものとして、過酸化水素を見出した。
るが、たとえば蓚酸塩はやや毒性がある上コスト的にも
幾分不利である。これに対して、後者は既存の装置を利
用する限り、遙かに経済的に有利である。溶液の性質を
変化させる方法としては、溶媒の種類を変える、または
錯体を生成するなどの方法が考えられる。溶媒を水以外
に変える方法(例えば、アルコキシド法)は既に試みら
れているが、コスト的に問題がある。一方、錯体の生成
を利用することができれば、既存の設備がそのまま利用
できる可能性がある。錯体が利用できるためには、以下
の条件をクリアーする必要がある。すなわち、沈澱する
水和物が1種類であること、沈澱の生成に安価なアンモ
ニア水が利用できること、性状の良い沈澱が得られるこ
と、仮焼後に金属酸化物等の不純物が残存しないことな
どである。この発明の発明者は、以上の観点から鋭意検
討を進め、膨大な実験検証の結果から、これらの条件を
満たすものとして、過酸化水素を見出した。
【0019】過酸化水素は、ジルコニウム溶液へ添加さ
れるとジルコニウム・イオンと錯体を形成し、しかも上
記の条件を満たし、優れた性状の水和物沈澱が生成され
ることが確認されたのである。この発明は、このような
極めて重要なしかも新しい技術的知見を踏まえて完成さ
れている。
れるとジルコニウム・イオンと錯体を形成し、しかも上
記の条件を満たし、優れた性状の水和物沈澱が生成され
ることが確認されたのである。この発明は、このような
極めて重要なしかも新しい技術的知見を踏まえて完成さ
れている。
【0020】しかもまた、この発明の発明者は、ジルコ
ニウム水和物は本来性状の悪い沈澱しか得られず、これ
は中和反応速度に対して沈澱生成速度が極めて遅いこと
に原因しているため、沈澱の核生成速度に対し成長速度
を相対的に高めることが可能ならば、性状のよい水和物
沈澱が得られる可能性があることにも着目した。それに
は溶液安定剤を添加して核発生速度を抑制する・沈澱凝
集剤を添加するなどの方法がある。この方法が利用でき
るためには、以下の条件がクリアーされなければならな
い。すなわち、沈澱の性状が良くなること、中和反応に
悪影響を与えないこと、プロセスが単純であること、仮
焼後に金属酸化物などの不純物が残存しないことなどで
ある。そして、具体的に、この発明の発明者は、これら
の条件を満たすものとして、硫酸塩、特に硫酸アンモニ
アがあることを見出した。
ニウム水和物は本来性状の悪い沈澱しか得られず、これ
は中和反応速度に対して沈澱生成速度が極めて遅いこと
に原因しているため、沈澱の核生成速度に対し成長速度
を相対的に高めることが可能ならば、性状のよい水和物
沈澱が得られる可能性があることにも着目した。それに
は溶液安定剤を添加して核発生速度を抑制する・沈澱凝
集剤を添加するなどの方法がある。この方法が利用でき
るためには、以下の条件がクリアーされなければならな
い。すなわち、沈澱の性状が良くなること、中和反応に
悪影響を与えないこと、プロセスが単純であること、仮
焼後に金属酸化物などの不純物が残存しないことなどで
ある。そして、具体的に、この発明の発明者は、これら
の条件を満たすものとして、硫酸塩、特に硫酸アンモニ
アがあることを見出した。
【0021】このように、この発明によるジルコニア粉
末の製造方法は、技術的な思想としては、ジルコニウム
の錯体を形成させる第1段階のプロセスと沈澱の性状を
良くする第2段階から構成されるものである。第1段階
のプロセスは、ジルコニウム溶液中に過酸化水素〔H2
O2 〕を加え、ジルコニウムの錯体を形成させる過程で
ある。つまり、ジルコニウム溶液中に所定量の過酸化水
素を添加する。過酸化水素の添加量は、
末の製造方法は、技術的な思想としては、ジルコニウム
の錯体を形成させる第1段階のプロセスと沈澱の性状を
良くする第2段階から構成されるものである。第1段階
のプロセスは、ジルコニウム溶液中に過酸化水素〔H2
O2 〕を加え、ジルコニウムの錯体を形成させる過程で
ある。つまり、ジルコニウム溶液中に所定量の過酸化水
素を添加する。過酸化水素の添加量は、
【0022】
【数3】
【0023】とするのが好ましい。添加量がそれ以下に
なると、ジルコニウムの錯体の形成に効果があるもの
の、その効果は必ずしも十分ではない。しかし、その添
加量が1×10-2 以上になると、その効果は飽和状態に
達する。飽和値以上添加してもよいが、母液中に存在す
る過剰の過酸化水素水が、衝撃や加熱などによって急速
に発泡し、その際沈澱の飛散が起こることがある。
なると、ジルコニウムの錯体の形成に効果があるもの
の、その効果は必ずしも十分ではない。しかし、その添
加量が1×10-2 以上になると、その効果は飽和状態に
達する。飽和値以上添加してもよいが、母液中に存在す
る過剰の過酸化水素水が、衝撃や加熱などによって急速
に発泡し、その際沈澱の飛散が起こることがある。
【0024】過酸化水素と同様の作用はオゾン(O3 )
についても確認されているが、この場合には、添加量の
制御がやや難しいという課題がある。第2段階のプロセ
スは、硫酸塩を含むアンモニア水を、より好ましくは、
硫酸アンモニウムを含有するアンモニア水をジルコニウ
ム溶液中に滴定する過程である。この場合、硫酸塩ある
いは硫酸アンモニウム〔(NH4)2SO4〕の添加量
は、
についても確認されているが、この場合には、添加量の
制御がやや難しいという課題がある。第2段階のプロセ
スは、硫酸塩を含むアンモニア水を、より好ましくは、
硫酸アンモニウムを含有するアンモニア水をジルコニウ
ム溶液中に滴定する過程である。この場合、硫酸塩ある
いは硫酸アンモニウム〔(NH4)2SO4〕の添加量
は、
【0025】
【数4】
【0026】となるようにするのが好ましい。添加量が
それ以下になると、水和物沈澱の性状を良くする作用は
認められるものの、その効果は必ずしも十分ではない。
その添加量が1.0以上になると、水和物沈澱の性状を
良くする効果がさらに促進される。しかし、5.0を越
えると、仮焼ジルコニア粉末の1次粒子が大きくなるば
かりでなく、2次粒子の生成が顕著になる傾向がある。
従って、ジルコニア粉末の使用目的に応じて、硫酸塩、
より好ましくは硫酸アンモニウムの添加量を加減する必
要がある。水和沈澱の性状を良くする効果は、硫酸イオ
ン〔SO 4 2- 〕であって、水溶性の硫酸塩であるなら
ば、硫酸アンモニウムとほぼ同様の効果を示す。しかし
ながら、多くの硫酸塩は金属イオンを含むので、残存不
純物の点で好ましくはない。
それ以下になると、水和物沈澱の性状を良くする作用は
認められるものの、その効果は必ずしも十分ではない。
その添加量が1.0以上になると、水和物沈澱の性状を
良くする効果がさらに促進される。しかし、5.0を越
えると、仮焼ジルコニア粉末の1次粒子が大きくなるば
かりでなく、2次粒子の生成が顕著になる傾向がある。
従って、ジルコニア粉末の使用目的に応じて、硫酸塩、
より好ましくは硫酸アンモニウムの添加量を加減する必
要がある。水和沈澱の性状を良くする効果は、硫酸イオ
ン〔SO 4 2- 〕であって、水溶性の硫酸塩であるなら
ば、硫酸アンモニウムとほぼ同様の効果を示す。しかし
ながら、多くの硫酸塩は金属イオンを含むので、残存不
純物の点で好ましくはない。
【0027】硫酸アンモニウムの添加方法としては、ア
ンモニア水の滴定に先だってジルコニウム溶液に混入す
る、アンモニア水に溶解して同時に滴定する、アンモニ
ア水の滴定後に混入する等の方法が考えられる。しか
し、ジルコニウム溶液に硫酸根(SO4 2-)を添加する
と、錯体が分解することがあるので、あまり好ましい方
法ではない。一方、アンモニア水の滴定後に添加すると
その効果は低下する。これら両方法は、プロセスが1段
BR>階増えることになるので、硫酸アンモニウムを予め
アンモニア水に溶解し、それをジルコニウム溶液に添加
する方がより好ましい。
ンモニア水の滴定に先だってジルコニウム溶液に混入す
る、アンモニア水に溶解して同時に滴定する、アンモニ
ア水の滴定後に混入する等の方法が考えられる。しか
し、ジルコニウム溶液に硫酸根(SO4 2-)を添加する
と、錯体が分解することがあるので、あまり好ましい方
法ではない。一方、アンモニア水の滴定後に添加すると
その効果は低下する。これら両方法は、プロセスが1段
BR>階増えることになるので、硫酸アンモニウムを予め
アンモニア水に溶解し、それをジルコニウム溶液に添加
する方がより好ましい。
【0028】硫酸アンモニウム溶液については、2g/
1000ml程度のものとして沈澱の洗浄に使用するこ
とも有効である。上記2過程を経て得られたジルコニウ
ムの水和物沈澱は、通常の乾燥・熱分解・仮焼過程を経
てジルコニア粉末になる。もちろん、ジルコニウムの溶
液を形成するジルコニウム塩についても、従来と同様に
各種のものが使用できることも言うまでもない。
1000ml程度のものとして沈澱の洗浄に使用するこ
とも有効である。上記2過程を経て得られたジルコニウ
ムの水和物沈澱は、通常の乾燥・熱分解・仮焼過程を経
てジルコニア粉末になる。もちろん、ジルコニウムの溶
液を形成するジルコニウム塩についても、従来と同様に
各種のものが使用できることも言うまでもない。
【0029】この発明によって得られたジルコニア粉末
は高純度で、微細であり、しかも分散性がよい。従っ
て、PZTに使用する原料粉末として、またPSZに用
いる原料粉末として最適となる。以下実施例を示し、こ
の発明についてさらに詳しく説明する。
は高純度で、微細であり、しかも分散性がよい。従っ
て、PZTに使用する原料粉末として、またPSZに用
いる原料粉末として最適となる。以下実施例を示し、こ
の発明についてさらに詳しく説明する。
【0030】
【実施例】実施例1 濃度0.1molの硝酸ジルコニル〔ZrO(NO3 )
2 〕水溶液50ml中に過酸化水素水〔H2 O2 〕(3
0%溶液)2mlを加える。別に、(1:9)のアンモ
ニア水〔NH4 OH〕30ml中に硫酸アンモニウム
〔(NH4 )2 SO4 〕を0.5gを溶解する。
2 〕水溶液50ml中に過酸化水素水〔H2 O2 〕(3
0%溶液)2mlを加える。別に、(1:9)のアンモ
ニア水〔NH4 OH〕30ml中に硫酸アンモニウム
〔(NH4 )2 SO4 〕を0.5gを溶解する。
【0031】上記硝酸ジルコニル溶液を攪拌しながら、
これに上記アンモニア水を滴定して、ジルコニウム水和
物沈澱を得た。沈降容積は比較的大きいにも拘らず、1
回当たりの濾過時間は数分以内であった。この沈澱を乾
燥した後、700℃で2時間熱分解および仮焼した。得
られた仮焼物〔ZrO2 〕の結晶相は単斜晶であった。
この粉末の表面積は、15m2 /g、沈降法による平均
粒径は、0.33μm、幾何標準偏差は2.5であっ
た。粒径分布は図2の通りであった。実施例2 実施例1において、硫酸アンモニウムを0.2g添加し
たところ、ほぼ同様の結果が得られたが、ジルコニア粉
末の表面積は16m2 /g、平均粒径は0.28μmで
あった。実施例3 濃度0.1molのオキシ塩化ジルコニウム〔ZrOC
l2 〕水溶液50ml中に過酸化水素水〔H2 O2 〕
(30%溶液)2mlを加える。別に、(1:9)のア
ンモニア水〔NH4 OH〕30ml中に硫酸アンモニウ
ム〔(NH4 )2SO4 〕を0.5g溶解する。
これに上記アンモニア水を滴定して、ジルコニウム水和
物沈澱を得た。沈降容積は比較的大きいにも拘らず、1
回当たりの濾過時間は数分以内であった。この沈澱を乾
燥した後、700℃で2時間熱分解および仮焼した。得
られた仮焼物〔ZrO2 〕の結晶相は単斜晶であった。
この粉末の表面積は、15m2 /g、沈降法による平均
粒径は、0.33μm、幾何標準偏差は2.5であっ
た。粒径分布は図2の通りであった。実施例2 実施例1において、硫酸アンモニウムを0.2g添加し
たところ、ほぼ同様の結果が得られたが、ジルコニア粉
末の表面積は16m2 /g、平均粒径は0.28μmで
あった。実施例3 濃度0.1molのオキシ塩化ジルコニウム〔ZrOC
l2 〕水溶液50ml中に過酸化水素水〔H2 O2 〕
(30%溶液)2mlを加える。別に、(1:9)のア
ンモニア水〔NH4 OH〕30ml中に硫酸アンモニウ
ム〔(NH4 )2SO4 〕を0.5g溶解する。
【0032】上記オキシ塩化ジルコニウム溶液を攪拌し
ながら、これに上記アンモニア水を滴定して、ジルコニ
ウム水和物沈澱を得た。この沈澱を乾燥した後、700
℃で2時間熱分解および仮焼した。得られた仮焼物〔Z
rO2 〕の結晶相は単斜晶であった。この粉末の表面積
は16m2 /g、沈降法による平均粒径は、0.32μ
m、幾何標準偏差は2.6であった。実施例4 実施例1において、硫酸アンモニウムを20g添加した
ところ、濾過性の良い沈澱が得られた。結晶相100%
斜方相であった。ジルコニア粉末の表面積は約5m2 /
g、平均粒径は0.67μmであった。比較例1 実施例1において硫酸アンモニウムを使用しなかったと
ころ、沈降容積の大きいゾル状水和物沈澱が得られた。
この沈澱の濾過時間は、実施例1で得られた沈澱の約8
倍の時間を要した。実施例1と同様の条件で仮焼したと
ころ、得られた粉末の結晶相は約85%が正方晶、残り
約15%が斜方晶であった。この粉末の表面積は5m2
/g、沈降法による平均粒径は0.60μmであり、分
布曲線は2つに分かれた。図3は、その分布を示したも
のである。比較例2 比較例1において、硫酸アンモニウムを使用しなかった
ところ、沈降容積のかなり大きい水和物沈澱が得られ
た。この沈澱の濾過時間は、実施例1で得られた沈澱の
約30倍の時間を要した。比較例3 比較例1において、過酸化水素を使用しなかったとこ
ろ、沈降容積の比較的小さな水和物沈澱が得られた。こ
の沈澱の濾過時間は、実施例1で得られた沈澱とほぼ同
じ濾過時間であった。
ながら、これに上記アンモニア水を滴定して、ジルコニ
ウム水和物沈澱を得た。この沈澱を乾燥した後、700
℃で2時間熱分解および仮焼した。得られた仮焼物〔Z
rO2 〕の結晶相は単斜晶であった。この粉末の表面積
は16m2 /g、沈降法による平均粒径は、0.32μ
m、幾何標準偏差は2.6であった。実施例4 実施例1において、硫酸アンモニウムを20g添加した
ところ、濾過性の良い沈澱が得られた。結晶相100%
斜方相であった。ジルコニア粉末の表面積は約5m2 /
g、平均粒径は0.67μmであった。比較例1 実施例1において硫酸アンモニウムを使用しなかったと
ころ、沈降容積の大きいゾル状水和物沈澱が得られた。
この沈澱の濾過時間は、実施例1で得られた沈澱の約8
倍の時間を要した。実施例1と同様の条件で仮焼したと
ころ、得られた粉末の結晶相は約85%が正方晶、残り
約15%が斜方晶であった。この粉末の表面積は5m2
/g、沈降法による平均粒径は0.60μmであり、分
布曲線は2つに分かれた。図3は、その分布を示したも
のである。比較例2 比較例1において、硫酸アンモニウムを使用しなかった
ところ、沈降容積のかなり大きい水和物沈澱が得られ
た。この沈澱の濾過時間は、実施例1で得られた沈澱の
約30倍の時間を要した。比較例3 比較例1において、過酸化水素を使用しなかったとこ
ろ、沈降容積の比較的小さな水和物沈澱が得られた。こ
の沈澱の濾過時間は、実施例1で得られた沈澱とほぼ同
じ濾過時間であった。
【0033】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
り、高純度・微粒であるばかりでなく、2次粒子がほと
んどないという良質の特性を持ち、さらにコスト的にも
極めて有利なジルコニア粉末を得ることが可能となる。
さらに、この発明によって得られるジルコニア粉末は、
特にPZTやPSZなどのファイン・セラミックス用原
料粉末として極めて有用である。また、その他様々な用
途に使用されているジルコニアの原料粉末としても広く
利用することが可能となる。
り、高純度・微粒であるばかりでなく、2次粒子がほと
んどないという良質の特性を持ち、さらにコスト的にも
極めて有利なジルコニア粉末を得ることが可能となる。
さらに、この発明によって得られるジルコニア粉末は、
特にPZTやPSZなどのファイン・セラミックス用原
料粉末として極めて有用である。また、その他様々な用
途に使用されているジルコニアの原料粉末としても広く
利用することが可能となる。
【図1】従来の中和沈澱法におけるpH価と沈澱生成と
の関係を示した図である。
の関係を示した図である。
【図2】この発明の実施例としてのジルコニア粉末の粒
径分布図である。
径分布図である。
【図3】比較例としての従来法によるジルコニア粉末の
粒径分布図である。
粒径分布図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−35029(JP,A) 特開 平4−104910(JP,A) 特開 平2−141424(JP,A) 特開 平3−257021(JP,A) 特開 昭61−44717(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 25/02
Claims (4)
- 【請求項1】 ジルコニウム溶液とアンモニア水の中和
反応によって得られるジルコニウム水和物を熱分解およ
び仮焼することによってジルコニア粉末を生成する方法
において、ジルコニウム溶液に過酸化水素を加え、か
つ、アンモニア水に硫酸塩を加えることを特徴とするジ
ルコニア粉末の製造方法。 - 【請求項2】 硫酸塩が硫酸アンモニウムである請求項
1の製造方法。 - 【請求項3】 過酸化水素の添加量を 【数1】 とする請求項1または2の製造法。
- 【請求項4】 硫酸アンモニウムの添加量を 【数2】 とする請求項2の製造法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP07801295A JP3205681B2 (ja) | 1995-04-03 | 1995-04-03 | ジルコニア粉末の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP07801295A JP3205681B2 (ja) | 1995-04-03 | 1995-04-03 | ジルコニア粉末の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08277114A JPH08277114A (ja) | 1996-10-22 |
| JP3205681B2 true JP3205681B2 (ja) | 2001-09-04 |
Family
ID=13649885
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP07801295A Expired - Fee Related JP3205681B2 (ja) | 1995-04-03 | 1995-04-03 | ジルコニア粉末の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3205681B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
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|---|---|---|---|---|
| DE19653629A1 (de) * | 1996-12-20 | 1998-06-25 | Basf Ag | Monoklines Zirconiumoxid mit hoher Oberfläche |
| JP4253877B2 (ja) * | 1998-10-01 | 2009-04-15 | 東ソー株式会社 | ジルコニア微粉末及びその製造方法 |
| JP4082450B2 (ja) * | 2002-06-06 | 2008-04-30 | ホソカワミクロン株式会社 | ジルコニアゾルの製造方法及びジルコニア微粉末の製造方法 |
| JP4254222B2 (ja) * | 2002-12-05 | 2009-04-15 | 東レ株式会社 | ジルコニア粉末 |
| JP5577515B2 (ja) * | 2012-09-25 | 2014-08-27 | ステイト オブ オレゴン アクティング バイ アンド スルー ザ ステイト ボード オブ ハイヤー エデュケーション オン ビハーフ オブ オレゴン ステイト ユニバーシティー | 溶液処理薄膜および積層体、薄膜および積層体を備えた装置、その使用および製造方法 |
| CN103539203B (zh) * | 2013-11-04 | 2014-11-05 | 李树昌 | 从含锆固体废物中制取二氧化锆的方法 |
| JP6808544B2 (ja) * | 2017-03-10 | 2021-01-06 | 株式会社日本触媒 | 固体酸化物形電気化学セル用ハーフセル、固体酸化物形電気化学セル及び固体酸化物形電気化学セル用ハーフセルの製造方法 |
-
1995
- 1995-04-03 JP JP07801295A patent/JP3205681B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH08277114A (ja) | 1996-10-22 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |