JP3207596B2 - プラスミドdnaの調製方法 - Google Patents

プラスミドdnaの調製方法

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JP3207596B2
JP3207596B2 JP06914593A JP6914593A JP3207596B2 JP 3207596 B2 JP3207596 B2 JP 3207596B2 JP 06914593 A JP06914593 A JP 06914593A JP 6914593 A JP6914593 A JP 6914593A JP 3207596 B2 JP3207596 B2 JP 3207596B2
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勝志 村上
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定の分離膜、及びそ
の1用途として好適な、遺伝子工学の分野で多用される
プラスミドDNAの簡便なる調製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスミドDNAは細胞内で、宿主染色
体とは別個に独立して自律的に複製され、安定保持伝達
される遺伝子因子であり、遺伝子組換えDNA実験で
は、制限酵素などで切断した目的DNAをつないで増殖
させるベクターとして用いられている。ベクター用のプ
ラスミドDNAとしては小型で自律的増殖能があるDN
A分子で、分子内に効率よく導入でき、目的のDNAの
導入を形質の変化として認識するマーカー遺伝子や、目
的のDNA挿入のために適当な制限酵素切断点を持って
いるなどの機能が必要であり、多くの組換え用プラスミ
ドが開発されている。遺伝子組換え実験においてはクロ
ーニング、シークエンシング等の目的でプラスミドDN
Aを分離、調製する操作が頻繁に行われている。プラス
ミドDNAを調製する方法としてはアルカリ−SDS法
があり、例えばプラスミドを含有する微生物の培養液よ
り、微生物を遠心分離によって集菌し、次に菌体を溶液
I〔50mM グルコース、25mM トリス−塩酸
(pH8.0)、10mM EDTA〕に懸濁、かくは
んした後、室温放置、次に氷冷下で溶液II(0.2N
NaOH、1% SDS)を溶菌処理のために添加、か
くはんし、続いて溶液III (3M 酢酸カリウム(pH
4.8)〕を添加し、かくはんし、溶液の中和処理を行
う。次に遠心分離により、溶菌残渣とプラスミドDNA
を含有する遠心上清に分離、上清を分別後、該上清に冷
エタノールを添加し、−20℃、30分間冷却後プラス
ミドDNAを沈殿させた後、遠心分離により沈殿を得、
沈殿をRNaseAを含有するTEバッファー〔10m
M トリス−塩酸(pH7.5)、1mMEDTA〕に
溶解、RNase処理後、7.5M酢酸アンモニウム、
冷エタノールを添加、再度プラスミドDNAを沈殿さ
せ、遠心分離により、目的のプラスミドDNAを調製し
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記アルカリ−SDS
法によるプラスミドDNA調製は多工程を要し、遠心工
程時に染色体DNA等の不純物が混入する場合もあり、
個人差、試料差が比較的大きく、調製プラスミドDNA
をシークエンシングに用いる場合、不純物のため非特異
的なバンドが現れたり、DNAポリメラーゼ反応が阻害
される場合もあり、操作に熟練を要し、一般には調製D
NAを更に精製する必要があった。本発明の目的は簡便
に高純度プラスミドDNAを調製する方法及び該方法に
使用するプラスミドDNA調製用基材を提供することに
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第1の発明は、プラスミドDNAの調製方法に関
し、プラスミドDNAの調製方法において、該プラスミ
ドDNAを保持する微生物又は細胞を破壊して得られる
プラスミドDNAを含有する微生物又は細胞内成分を、
下部に孔径0.2〜0.8μmの孔を有するセルロース
アセテート膜が位置し、該膜の上部に保留粒子径0.5
〜1.0μmの孔を有するボロシリケートガラス繊維膜
が位置する二重膜で分離し、染色体DNAが分離され
液を採取する工程を包含することを特徴とする。また本
発明の第2の発明は、染色体DNAが分離されたプラス
ミドDNAを調製するための分離膜に関し、下部に孔径
0.2〜0.8μmの孔を有するセルロースアセテート
膜、該膜の上部に保留粒子径0.5〜1.0μmの孔を
有するボロシリケートガラス繊維膜が位置することを特
徴とする。
【0005】本発明者らは、微生物又は細胞破壊液中の
プラスミドDNAの選択的分離にセルロースアセテート
膜が有効であり、該膜とボロシリケートガラス繊維膜を
組合せ使用することにより高純度プラスミドDNAの調
製が簡便かつ迅速に行えることを見出し、本発明を完成
させた。
【0006】本発明で使用するプラスミドDNAを保持
する微生物又は細胞とは、例えば細菌、放線菌、カビ、
酵母、動物細胞、植物細胞等であり、これら微生物又は
細胞を破壊する方法は、それぞれの微生物又は細胞で通
常使用されている方法でよく、物理的、化学的、あるい
は酵素学的方法等より選択使用することができる。
【0007】本発明で分離に使用する二重膜は、上部は
プラスミドDNAを保持する微生物又は細胞や、該微生
物又は細胞の破壊物が適当に分散した状態で保持できる
膜が良く、また該膜上で微生物又は細胞の分離や、分離
した微生物又は細胞の破壊等が行えるものが望ましく、
例えば保留粒子径0.3〜1.0μmの孔を有するボロ
シリケートガラス繊維膜が使用できるが、二重膜形成時
の微生物又は細胞の保持能力、プラスミドDNAを含有
する微生物又は細胞内成分の分離時間等より保留粒子径
0.5〜1.0μmの孔径の膜が好ましく、この範囲の
保留粒子径を有する膜より、試料に合せ選択すれば良
い。なお、保留粒子径は均一であっても良いし、0.5
〜1.0μmの範囲で分布していても良い。また膜面
積、膜厚等は試料の性状、処理量、好ましい処理時間等
に合せ選択すれば良い。次に下部は、細胞破片や変性染
色体DNA等は通過させず、プラスミドDNAの吸着が
無く、プラスミドDNAを含有する溶液を効率よく通過
させるものが望ましく、例えば孔径0.2〜0.8μm
の孔を有するセルロースアセテート膜が使用できる。な
お、孔径は均一であっても良いし、0.2〜0.8μm
の範囲で分布していても良い。また膜面積、膜厚等は試
料の性状、処理量等に応じて選択すれば良い。
【0008】本発明で分離に使用する二重膜は通常密着
した状態で、円筒状の容器に保持されていれば良く、保
持容器の材質、形状は通常の分離方法、例えば減圧ろ
過、加圧ろ過、遠心ろ過等に使用できる材質、形状であ
れば良く、その形状は例えば通常のフィルターの形状で
あれば良く、フィルターの容器と二重膜は組立式でも良
いし、一体成形式でも良く、該フィルターを使用し、プ
ラスミドDNAを含有する微生物又は細胞内成分と微生
物又は細胞破片、変性染色体DNA等の分離を減圧法、
加圧法等により短時間に行うことができる。また、従来
のアルカリ−SDS法で問題となる遠心分離後のプラス
ミドDNAを含有する微生物又は細胞内成分(上清)と
変性染色体DNAを含有する微生物又は細胞の破片(沈
殿)を分画する際に生ずるプラスミドDNA画分への変
性染色体DNAの画分の混入も無く、純度良くプラスミ
ドDNA画分を調製することができる。
【0009】次にアルカリ−SDS法に準じ、本発明を
更に説明する。プラスミドDNAを含有する微生物、例
えばプラスミドpUC19を含有する大腸菌JM109
株( Escherichia coli JM109/pUC19)を培
養し、例えばOD660nm 約3の培養液を調製した場合、
例えば保留粒子径0.5μmの孔を有するボロシリケー
トガラス繊維膜(アドバンテック社製:GC−50)、
0.45μmの孔径のセルロースアセテート膜(アドバ
ンテック社製:C045A)の組合せで径10mmの二
重膜を作製し、該二重膜を保持するフィルターを使用す
れば減圧下で、約1.5mlの培養液が約40秒で迅速
にろ過でき、培養菌体が二重膜に保持される。例えば上
記培養液1.5mlをろ過し、得られた菌体に溶液I′
(溶液Iに50μg/mlのRNaseAを添加)の必
要量、例えば100μlを添加し、室温で1分間放置す
る。次に溶液IIの必要量、例えば200μlを添加し、
室温で2分間放置する。続いて溶液III の必要量、例え
ば150μlを添加し、室温で3分間放置する。次い
で、例えば真空ポンプで減圧し、プラスミドDNAを含
有する分離液約400μlを約3分間で採取することが
できる。次に例えば2倍容の冷エタノールを添加し、−
20℃、30分間処理後遠心分離をすることによりプラ
スミドDNAを含有するエタノール沈殿を得ることがで
きる。プラスミドDNAの分離効率を高めるためには、
例えば各溶液の添加時にかくはん操作を行っても良い。
【0010】なお溶液IにRNaseを添加することに
より操作時間が短縮され、リゾチームを添加することに
よりプラスミドDNAの収率が向上する。例えば溶液I
に50μg/mlのRNaseA及び4mg/mlのリ
ゾチームを添加し用いれば良い。また、溶菌成分を減圧
法によりろ過する場合は、必要に応じて消泡剤を使用し
ても良く、消泡剤としては例えばアデカノール(旭電化
工業社製)、エイノール(バイオット社製)、ニッサン
ディスホームCB442(日本油脂社製)等より選択
し、例えば、溶液III に0.05%のエイノールを添加
すれば良い。また減圧度を調製することによってろ液の
発泡や飛散を防止することができ、例えばエイノール
0.05%存在下真空度を−650mmHg付近に調整
することにより、発泡を完全に抑制することができる。
更にプラスミドDNA沈殿作製時にエタノールに換え、
イソプロピルアルコールを用いれば少量の溶媒量で、か
つ室温下で迅速に高純度プラスミドDNA沈殿を調製す
ることができる。
【0011】プラスミドDNAを含有する微生物又は細
胞の負荷量が多い場合は、例えば保留粒子径0.8μm
の孔を有するボロシリケートガラス繊維膜を使用すれば
良い。例えば保留粒子径0.8μmの孔を有するボロシ
リケートガラス繊維膜(アドバンテック社製:GA−2
00)と前出の0.45μmのセルロースアセテート膜
を組合せ、径10mmの二重膜を作製、使用することに
より、前出 Escherichia coli JM109/pUC19
のOD660nm 約6の培養液1.5mlが減圧下で約3分
でろ過でき、プラスミドDNAを含有する分離液も約5
分で採取することができる。
【0012】本発明のプラスミドDNAの調製方法にお
いては、本発明の二重膜を有するフィルターと多数サン
プル処理用の吸引ろ過装置を組合せることによって、短
時間に、多数のサンプル処理を行うことができる。また
フィルターと遠心チューブと組合せ使用してもよい。
【0013】以上、詳細に説明した様に、本発明の方
法、二重膜を使用することにより、プラスミドDNAを
含有する微生物又は細胞内成分を簡便に採取でき、高純
度プラスミドDNAの調製を容易に、再現性よく行うこ
とができる。なお本発明においては、細胞の分取から、
プラスミドDNAを含有する分離液の採取までを同一フ
ィルターで行えるので特に簡便であるが、細胞の破壊ま
でを別途行い、プラスミドDNAを含有する分離液の採
取のみを本発明の方法で行ってもよい。
【0014】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げるが、本発明は
これらの実施例に何ら限定されるものでは無い。
【0015】実施例1 (1)大腸菌JM109/pUC19の培養 プラスミドpUC19で形質転換された大腸菌JM10
9を100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地
(10g/リットル トリプトン、5g/リットル 酵
母エキス、5g/リットル 塩化ナトリウム)100m
lに植菌し、培養温度37℃、振とう速度120rpm
にて16時間培養し、OD660nm 約3の培養液を調製し
た。
【0016】(2)プラスミドDNAの調製 減圧用フィルターホルダーに保留粒子径0.5μmの孔
を有するボロシリケートガラス繊維膜(GC−50:ア
ドバンテック社製)を上部に、孔径0.45μmの孔を
有するセルロースアセテート膜(C045A:アドバン
テック社製)を下部に配置して径10mmの二重膜を作
製し、該二重膜上に培養液1.5mlを供し、吸引ビン
を通して真空ポンプ(ロータリーユニポンプRW−10
0:日本理化学器械社製)にて吸引し、膜面に菌体を集
菌した。ろ過時間は約40秒であった。次に二重膜上に
50μg/mlのRNaseA(シグマ社製I型−A
S)を含む溶液I〔50mM グルコース、25mM
トリス−塩酸(pH8)、10mM EDTA:以下溶
液I′と称す〕100μlを加え1分間放置し、続いて
溶液II(0.2N水酸化ナトリウム、1%SDS)20
0μlを加え2分間放置し、更に溶液III (3M酢酸カ
リウム)150μlを加え中和し、3分放置後、真空ポ
ンプで吸引、ろ過し、プラスミドDNAを含有する分離
液(以下、プラスミド分離液と略す)(約400μl)
を採取した。ろ過時間は約2分40秒であった。このプ
ラスミド分離液に冷エタノール800μlを加えかくは
ん後、ディープフリーザーにて−20℃、30分間冷却
処理した後、遠心分離により目的のプラスミドDNA画
分を得た。一方、培養液1.5mlからアルカリ−SD
S法によりプラスミドDNA画分を調製した。二重膜を
使用した方法及び従来法のアルカリ−SDS法により得
たプラスミドDNA画分を100μlのTEバッファー
に溶解し、その1000分の1をアガロースゲル電気泳
動しエチジウムブロマイドを含むTBEバッファー〔9
0mM トリス−ほう酸、2mM EDTA(pH
8)〕で染色し、その後TBEバッファー中で振とうし
て脱色して蛍光イメージアナライザー(FMBIO−1
00:宝酒造社製)にかけ実像化した。各バンドの蛍光
強度よりプラスミドDNAの収量を比較すると、二重膜
法を使用する方法で得られるプラスミドDNA量は従来
法と比べ20〜29%と少ないが、プラスミドDNAに
対する変性染色体DNAの混入は無く、二重膜を使用す
る方法により、変性染色体DNAの混入の無い、プラス
ミドDNA画分が調製されていた。任意に選出した7名
のパネラーによって行われた、従来法との比較を表1に
示す。なお表1において+印の多いものほど、染色体D
NAの混入割合が多いことを示し、−印は染色体DNA
が検出されなかったことを示し、本発明の方法により、
染色体DNAの混入のない高品質プラスミドDNAが、
個人差無く、調製されている。
【0017】
【表1】 表 1 ─────────────────────────────── パネラー 二重膜を用いた方法 アルカリ−SDS法 ─────────────────────────────── A − +++ B − − C − − D − ++ E − ++ F − + G − + ───────────────────────────────
【0018】(3)二重膜を使用する方法で調製したプ
ラスミドDNA画分約150ngを制限酵素:BamH
I(宝酒造社製)10単位を含む反応液(10mM 塩
化マグネシウム、1mM ジチオスレイトール)中で3
0℃、1時間処理し、アガロースゲル電気泳動により評
価した。プラスミドDNAは完全に直鎖状DNAに切断
された。更に、該プラスミドDNAをRI標識ヌクレオ
チド又は蛍光プライマーを用いてジデオキシ法によりシ
ークエンスを行った。プラスミドpUC19のマルチク
ローニングサイトの近傍に結合するプライマーM4(宝
酒造社製)1pmolと得られたプラスミド画分1μg
を混合し、宝酒造製BcaBEST Dideoxy
Sequencing Kitで〔α32p〕dCTPを
用いて行った反応液を8M尿素を含む6%ポリアクリル
アミドゲル電気泳動で分離し、オートラジオグラフィー
によりラダー像を得た。また、プライマーM4の5′末
端をローダミンXで標識したもの2pmol及びプラス
ミド画分1μgを用いた反応液では電気泳動後、前出の
蛍光イメージアナライザーFMBIO−100で走査す
ることによりラダー像を求めた。どちらの方法でも鮮明
なラダー像が得られた。ジデオキシシークエンシングに
用いるDNAは特に純度が高いことが望ましく、不純物
のために非特異的なバンドが現れたり、DNAポリメラ
ーゼ反応が阻害される場合が多く、アルカリ−SDS法
でプラスミドDNAを調製した場合、個人差、試料差が
比較的大きく、一般に、更に精製が必要とされている
が、本発明の方法により得られたプラスミドDNA画分
はジデオキシシークエンシングに用いるDNA画分とし
て充分に高純度であり、また前述表1に示した様に個人
差も無く、安定してシークエンシングに用いることがで
きた。
【0019】またプラスミドDNAの収量を改善するた
めに、溶液I′にリゾチームを最終濃度が4mg/ml
になるように加え、予め冷却しておいた上で添加した。
その結果、プラスミドDNAの収量は従来法のアルカリ
−SDS法に対して70〜77%に改善された。これら
RNaseA、リゾチームの添加が制限酵素処理及びシ
ークエンシングに悪影響を及ぼすことはなかった。
【0020】プラスミド分離液からのDNAの回収方法
についてエタノール沈殿法とイソプロピルアルコール沈
殿法を比較した。前述の様にエタノール沈殿法では、プ
ラスミド分離液に対して2倍量の冷エタノールを加えか
くはん後、−20℃、30分間冷却した後、遠心分離に
より、目的のプラスミドDNA画分を得たが、イソプロ
ピルアルコール沈殿法では、プラスミド分離液に対して
0.6倍量のイソプロピルアルコールを加えかくはん
後、遠心分離することにより、目的のプラスミドDNA
画分を得ることができた。エタノール沈殿法とイソプロ
ピルアルコール沈殿法で、プラスミドDNAの収量に差
は認められなかったが、イソプロピルアルコール沈殿法
で得られるプラスミドDNA画分の方が混入する不純物
の量が大幅に減少していた。不純物の混入が少ないこ
と、冷却処理が不要なこと、DNA回収に要する時間が
短い点等より、イソプロピルアルコール沈殿法はエタノ
ール沈殿法より簡便で良好な結果を得た。
【0021】実施例2 実施例1記載の保留粒子径0.5μmの孔を有するボロ
シリケートガラス繊維膜、及び孔径0.45μmの孔を
有するセルロースアセテート膜より成る径10mmの二
重膜を作製し、実施例1記載のOD660nm 約3の培養液
1.5mlを供し、吸引ビンを通して真空ポンプにて吸
引し、膜上に菌体を集菌した。次に二重膜上に4mg/
mlのリゾチームを含む溶液I′を100μl加え1分
間放置し、続いて溶液IIを200μl加え2分間放置
し、更に溶液III を150μl加え中和し、3分放置
後、真空ポンプで吸引、ろ過し、プラスミド分離液(約
400μl)を採取した。ろ過時間は約2分40秒であ
った。このプラスミド分離液に0.6倍量のイソプロピ
ルアルコールを加え、かくはん後遠心分離により目的の
プラスミドDNA画分を得た。得られた画分に変性染色
体DNAの混入も無く、高純度プラスミドDNAを短時
間で調製することができた。
【0022】実施例3 実施例1記載の方法に準じOD660nm 約6の培養液を調
製した。ボロシリケートガラス繊維膜として、保留粒子
径0.5μmの孔を有するボロシリケートガラス繊維膜
(GC−50:膜厚0.2mm)、保留粒子径0.8μ
mの孔を有するボロシリケートガラス繊維膜(GA−2
00:膜厚0.75mm:アドバンテック社製)、保留
粒子径1.0μmの孔を有するボロシリケートガラス繊
維膜(GA−100:膜厚0.45mm:アドバンテッ
ク社製)をそれぞれ用い、孔径0.45μmの孔を有す
るセルロースアセテート膜との径10mmの二重膜をそ
れぞれ作製した。次に作製した二重膜を使用し、実施例
1記載のOD660nm 約3の培養液、又は上記OD660nm
約6の培養液より、プラスミドDNA画分を実施例2に
準じ調製した。各二重膜を使用した場合の培養液及びプ
ラスミド分離液のろ過時間と、収量比を表2に示す。な
お表中プラスミドDNAの収量比は保留粒子径0.5μ
mの孔を有するボロシリケートガラス繊維膜を使用し、
OD660nm 約3の培養液を処理した際のプラスミド収量
を100とした。
【0023】
【表2】 表 2 ──────────────────────────────────── ガラス繊維膜保留粒子径 菌体負荷量 ろ過時間 収量比 (μm) OD660nm 培養液 プラスミド分離液 ──────────────────────────────────── GC−50 3 38秒 2分38秒 100 0.5 6 3分38秒 14分35秒 119 ──────────────────────────────────── GA−200 3 40秒 2分18秒 54 0.8 6 2分40秒 4分30秒 102 ──────────────────────────────────── GA−100 3 1分 5秒 3分30秒 44 1.5 6 4分35秒 8分55秒 93 ────────────────────────────────────
【0024】GC−50の場合、菌体負荷量が多くなる
とろ過時間が長くなり二重膜の特徴の1つである迅速性
が失われてしまう。大腸菌の増殖量は培地組成、培養条
件、クローンの種類によって様々でありフィルター上に
供する菌体量を制限することは実験操作上実際的ではな
いために菌量の増加に対してもろ過時間の短いことが望
まれる。この問題は、ガラス繊維膜の種類をGA−10
0、GA−200に変えることによって改善された。こ
れら2種の膜では同量の菌体から得られるプラスミドD
NAの収率は低下するが、その収量は、その後の通常の
プラスミドの使用に必要な量以上であった。なお、各ボ
ロシリケートガラス繊維膜と孔径0.2μm又は0.8
μmの孔を有するセルロースアセテート膜(C020
A,C080A:アドバンテック社製)をそれぞれ組合
せ使用した場合の各ろ過時間、プラスミドDNAの収
率、純度は孔径0.45μmの孔を有するセルロースア
セテート膜を使用した場合と同様の結果を示した。
【0025】実施例4 実施例3記載の保留粒子径0.8μmの孔を有するボロ
シリケートガラス繊維膜、及び孔径0.45μmの孔を
有するセルロースアセテート膜より成る径10mmの二
重膜を保持するフィルターを24本作製し、次いで24
本立の箱型の多数サンプル処理用吸引容器を用い、実施
例1記載の培養液1.5ml、及び溶液I′200μ
l、溶液II400μl、溶液III 300μlを用い、実
施例2記載の方法に準じ24サンプル一括処理を行っ
た。吸引容器内の真空度−750mmHgにおいては激
しい発泡によりプラスミド分離液をかなり損失した。こ
の発泡を防ぐために多数サンプル処理用吸引容器と真空
ポンプの間にニードルバルブを設け容器内の真空度を調
節した。その結果、真空度を−650mmHg付近にコ
ントロールすることで発泡をほぼ抑制することができ
た。更に、最終濃度が0.02%になるようにエイノー
ル(バイオット社製消泡剤)を加えることにより発泡は
完全に抑制された。そこで、溶液III にエイノールを
0.05%添加し、吸引時の真空度を−650mmHg
付近に調整し、24サンプル一括処理を行った。培養液
の添加から、プラスミド分離液の採取までの操作中に、
発泡等によるプラスミド分離液の損失は無く、簡便にプ
ラスミド分離液を採取することができた。また、このと
き得られたプラスミドDNAは、制限酵素処理、シーク
エンシングに問題なく使用することができた。なお、実
施例3に記載の培養液を用いた場合も、20分以内に2
4サンプルのプラスミド分離液の採取を終了することが
でき、イソプロピルアルコール処理後のプラスミドDN
Aの純度も充分であった。
【0026】
【発明の効果】本発明により、簡便で迅速な高純度プラ
スミドDNAの調製方法が提供され、また本発明の分離
膜を使用することにより、被分離物の多数サンプルの一
括処理を効率よく行うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中尾 雅幸 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (72)発明者 石野 良純 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (72)発明者 村上 勝志 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (72)発明者 加藤 郁之進 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 平4−360686(JP,A) 特開 平4−349892(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 B01D 61/14 B01D 71/04 B01D 71/16 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) WPIDS(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスミドDNAの調製方法において、
    該プラスミドDNAを保持する微生物又は細胞を破壊し
    て得られるプラスミドDNAを含有する微生物又は細胞
    内成分を、下部に孔径0.2〜0.8μmの孔を有する
    セルロースアセテート膜が位置し、該膜の上部に保留粒
    子径0.5〜1.0μmの孔を有するボロシリケートガ
    ラス繊維膜が位置する二重膜で分離し、染色体DNAが
    分離された液を採取する工程を包含することを特徴とす
    るプラスミドDNAの調製方法。
  2. 【請求項2】 染色体DNAが分離されたプラスミドD
    NAを調製するための分離膜であって、下部に孔径0.
    2〜0.8μmの孔を有するセルロースアセテート膜が
    位置し、該膜の上部に保留粒子径0.5〜1.0μmの
    孔を有するボロシリケートガラス繊維膜が位置している
    ことを特徴とする分離膜。
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