JP3210187B2 - 走査型プローブ顕微鏡の走査方式 - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡の走査方式

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走査型トンネル顕微
鏡、原子間力顕微鏡等の走査型プローブ顕微鏡の走査方
式に関し、特に、広範囲の試料表面にわたって原子レベ
ルの像を得るための走査方式に関する。
【0002】
【従来の技術】探針を利用する顕微鏡には、走査型トン
ネル顕微鏡(STM)、原子間力顕微鏡(AFM)、そ
の他がある。STMもAFMも原子レベルの分解能
(0.1nm以下)があることが知られている。STM
は、探針先端と試料間のトンネル電流が間隙の大きさに
非常に敏感であることを利用し、深針を試料表面に沿う
X、Y方向に走査しながらトンネル電流が一定になるよ
うに探針の高さ(Z方向)を制御することにより、表面
の凹凸像を得るものある。また、AFMは、マイクロビ
ーム(微小な梁)の先端と試料表面間に働く原子間力に
より変形したマイクロビームの微小変形を光学的方法な
いしマイクロビームに従属したSTMにより検出しなが
ら、マイクロビームの変形が一定になるようにZ方向の
位置を補正しながら、試料又はマイクロビームをX、Y
方向に走査することにより、試料の表面形状を得るもの
である。上記の何れの顕微鏡においても、プローブの走
査とその方向の位置制御には、一般的に圧電体が用いら
れている。
【0003】ここで、STMの概略の構成を図6に示
す。図中、42は試料、43は探針、44はヘッド、4
6はZ軸方向圧電素子、48はX軸方向圧電素子、49
はY軸方向圧電素子、45と47は絶縁板、51は電
極、52はXY走査回路、53はサーボ回路、54はト
ンネル電流電圧変換回路、55はバイアス電源、56は
マイクロコンピュータ、57はメモリ、58は表示装置
を示す。
【0004】図6において、STMユニットは、ヘッド
44に探針43が装着され、ヘッド44が絶縁板45、
47及び圧電素子46、48、49により支持されてい
る。圧電素子46、48、49は、X軸、Y軸、Z軸か
らなる3次元アクチュエータを構成し、圧電素子46が
Z軸、圧電素子48がX軸、圧電素子49がY軸を駆動
するものである。3次元アクチュエータを構成する圧電
素子46、48、49のそれぞれ両側に配置された電極
51には駆動電圧が印加される。3次元アクチュエータ
の制御には、XY走査回路52によりX軸、Y軸方向圧
電素子48、49に対する印加電圧を掃引することによ
り探針43をX軸、Y軸方向に移動させて2次元走査
し、この走査をしながらトンネル電流が一定になるよう
にサーボ回路53を通してZ軸方向圧電素子46に対す
る電圧を制御する。そこで、その制御電圧値をマイクロ
コンピュータ56により探針43の走査に同期してサン
プリングしてメモリ57に記憶しながら表示装置58に
表示することによって、試料42の表面形状(凹凸像)
を観察することができるものである。
【0005】上記したように、STM及びAFMは、原
子レベルの分解能が得られることが知られているが、探
針の最大走査範囲(200nm〜100μm)で走査を
行うと、原子レベルの分解能を得ることは不可能であ
る。なぜなら、通常、このような走査型プローブ顕微鏡
の縦横の分解能は、メモリの容量の関係から、最大51
2(9bit)×512(9bit)程度の画素で構成
されるため、200nmの最大走査範囲で走査を行う
と、2画素間の距離は約0.4nmとなり、原子1個の
大きさよりも大きくなってしまうためである。したがっ
て、通常、原子レベルでの像を得る場合は、走査範囲を
小さくして走査する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来、試料表明の広範
囲にわたって原子レベルの像を得ようとする場合は、原
子レベルでの分解能が得られる程度(最大50nm程
度)まで走査範囲を小さくして走査を行い、次に、試料
を移動させて観察視野を移動させ、再度同様の走査を行
うことを繰り返して、最後に得られた画像をつなぎ合わ
せることにより行っている。
【0007】このような方法では、1つの走査範囲につ
いて走査を行って、次の走査範囲を決定するには、オペ
レータがパラメータ等の設定を行う必要があり、多くの
時間と労力が必要となっている。このための時間がかか
ると、この間に試料がドリフトして安定した観察ができ
ない等が問題となってくる。
【0008】本発明はこのような従来技術の問題点を解
決するためになされたものであり、その目的は、ST
M、AFM等の走査型プローブ顕微鏡の探針の最大走査
範囲内をいくつかの部分領域に分けて順次走査を行い、
得られた画像をつなぎ合わせることによって探針の最大
走査範囲内で原子レベルの高分解能を持った画像を得る
走査方式を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の走査型プローブ顕微鏡の走査方式は、試料表面に沿
って圧電素子により深針を走査させることによって試料
表面の凹凸に関する信号を得る走査型プローブ顕微鏡に
おいて、前記圧電素子に、前記探針の最大走査範囲をn
分した部分領域を順次変更させるためのオフセット信号
と、このオフセット信号が1つの部分領域にある間に、
その部分領域内を走査するための走査信号とを重畳して
印加するようにしたことを特徴とするものである。
【0010】この場合、部分領域が隣接する部分領域と
一部重なるように、オフセット信号及び走査信号の少な
くとも一方の値が設定されるようにしてもよい。
【0011】
【作用】本発明においては、探針を走査する圧電素子
に、探針の最大走査範囲をn分した部分領域を順次変更
させるためのオフセット信号と、このオフセット信号が
1つの部分領域にある間に、その部分領域内を走査する
ための走査信号とを重畳して印加するようにしたので、
部分領域で原子レベルの高分解能が得られるようにな
る。この部分領域の画像をつなぎ合わせることにより最
大走査範囲全域で高分解能が得られることになる。ま
た、このように最大走査範囲を分割して所定の順で各部
分領域の画像を得るので、取り込んだ画像のつなぎ合わ
せが自動化でき、マニュアルでの調整、設定が必要でな
くなり、短時間で探針の最大走査範囲内で原子レベルの
高分解能を持った画像を得ることができる。
【0012】
【実施例】本発明の基本原理は、図2に示すように、走
査型プローブ顕微鏡の探針の最大走査範囲を自動的にn
等分して、その部分領域を順次走査して、得られた各画
像をつなぎ合わせことによって探針の最大走査範囲内で
原子レベルの高分解能を持った画像を得るようにするこ
とである。
【0013】以下、STMを例にあげて説明するが、A
FMについても同様である。図1に1実施例のSTMの
概略の構成を示すが、図6に示した従来例と異なる点
は、XY走査回路52から出力されるX方向、Y方向駆
動信号として、後記するようなXオフセット信号、X
走査信号、Yオフセット信号、Y走査信号の4つ
の信号が出力されること、及び、この中、Xオフセット
信号とX走査信号が図のような加算回路11により
重畳されてX軸方向圧電素子48に印加されること、Y
オフセット信号とY走査信号が図のような加算回路
12により重畳されてY軸方向圧電素子49に印加され
ることだけであり、その他の点では同じである。
【0014】そして、上記XY走査回路52からは、図
3に例示するような波形のXオフセット信号、X走査
信号、Yオフセット信号、Y走査信号が出力され
る。ただし、この例の場合は、X方向、Y方向それぞれ
を3等分する場合で、信号電圧1は分割された3等分の
1辺を走査するのに必要な電圧とする。
【0015】すなわち、XY走査回路52から出力され
るXオフセット信号、Yオフセット信号は、最大走
査範囲をそれぞれの方向にn等分した最大走査範囲内の
部分領域を順次変更させるための信号である。そして、
XY走査回路52から出力されるX走査信号、Y走査
信号は、Xオフセット信号、Yオフセット信号が
1つの部分領域にある間に、その部分領域内を2次元掃
引走査するための信号であり、従来と同様のものであ
る。したがって、各部分領域の走査範囲は最大走査範囲
に比べて1辺方向にn分の1になるため、サーボ回路5
3を通してZ軸方向圧電素子46に印加される制御電圧
値のサンプリング点の間隔はその分だけ小さくでき、分
解能が上がることになる。
【0016】図4(a)は図3のXオフセット信号と
X走査信号を合成した波形図、図4(b)は図3のY
オフセット信号とY走査信号を合成した波形図であ
り、このような探針駆動信号による走査により得られる
各部分領域の凹凸画像は、マイクロコンピュータ56を
介して順にメモリ57に取り込まれ、全べての部分領域
の走査が完了した時点で、それらの画像信号はマイクロ
コンピュータ56でつなぎ合わされ、表示装置58に表
示される。このようにして、図4(c)に示すように、
全体の観察領域が探針の最大走査範囲へ広がり、かつ、
その全範囲で、探針の最大走査範囲内を一度に走査して
得られる分解能よりn倍高い例えば原子レベルの高分解
能が得られる。
【0017】ところで、走査装置の特性により、実際に
走査を行った部分領域の画像をつなぎ合わせて表示を行
った場合に、画像が不連続になったり、また、一部で重
なって走査が行われることが考えられる。これを防ぐた
めに、図5に示すように、各部分領域の走査範囲を若干
広げて走査範囲が隣接する部分領域と一部重複するよう
に走査し、表示の時にその重複部を重複させて表示する
ようにしてもよい。このような重複のある走査をするに
は、オフセット信号、又は走査信号、の少なく
とも一方の電圧値、振幅を調整すればよい。
【0018】以上、本発明の走査型プローブ顕微鏡の走
査方式をいくつかの実施例に基づいて説明してきたが、
本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能で
ある。
【0019】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の走査型プローブ顕微鏡の走査方式によると、探針を走
査する圧電素子に、探針の最大走査範囲をn分した部分
領域を順次変更させるためのオフセット信号と、このオ
フセット信号が1つの部分領域にある間に、その部分領
域内を走査するための走査信号とを重畳して印加するよ
うにしたので、部分領域で原子レベルの高分解能が得ら
れるようになる。この部分領域の画像をつなぎ合わせる
ことにより最大走査範囲全域で高分解能が得られること
になる。また、このように最大走査範囲を分割して所定
の順で各部分領域の画像を得るので、取り込んだ画像の
つなぎ合わせが自動化でき、マニュアルでの調整、設定
が必要でなくなり、短時間で探針の最大走査範囲内で原
子レベルの高分解能を持った画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例の走査方式を行う走査型トン
ネル顕微鏡の概略の構成を示す図である。
【図2】本発明の基本原理を説明するための図である。
【図3】図1のXY走査回路から出力される信号の波形
図である。
【図4】図3のオフセット信号とX走査信号を合成した
波形図と合成画面を示す図である。
【図5】別の実施例の図4と同様な図である。
【図6】従来の走査型トンネル顕微鏡の概略の構成を示
す図である。
【符号の説明】
11、12…加算回路 42…試料 43…探針 44…ヘッド 46…Z軸方向圧電素子 48…X軸方向圧電素子 49…Y軸方向圧電素子 45、47…絶縁板 51…電極 52…XY走査回路 53…サーボ回路 54…トンネル電流電圧変換回路 55…バイアス電源 56…マイクロコンピュータ 57…メモリ 58…表示装置 …Xオフセット信号 …X走査信号 …Yオフセット信号 …Y走査信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−281002(JP,A) 特開 平1−216204(JP,A) 特開 平6−34313(JP,A) 特開 平6−160076(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 13/10 - 13/24 G12B 21/00 - 21/24 G01B 11/30 G01B 21/30 H01J 37/28 JICSTファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料表面に沿って圧電素子により深針を
    走査させることによって試料表面の凹凸に関する信号を
    得る走査型プローブ顕微鏡において、前記圧電素子に、
    前記探針の最大走査範囲をn分した部分領域を順次変更
    させるためのオフセット信号と、このオフセット信号が
    1つの部分領域にある間に、その部分領域内を走査する
    ための走査信号とを重畳して印加するようにしたことを
    特徴とする走査型プローブ顕微鏡の走査方式。
  2. 【請求項2】 部分領域が隣接する部分領域と一部重な
    るように、前記オフセット信号及び走査信号の少なくと
    も一方の値が設定されていることを特徴とする請求項1
    記載の走査型プローブ顕微鏡の走査方式。
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