JP3214265B2 - ブレーキ音の試験判定装置およびその方法 - Google Patents

ブレーキ音の試験判定装置およびその方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はブレーキダイナモメー
タによりブレーキ制動中に発生する所謂ブレーキ鳴き音
を評価するブレーキ音の試験判定装置およびその方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】自動車において、ブレーキ装置は最も重
要な安全装置のひとつで、走行状態のいかんにかかわら
ず、確実にしかも安定に作動しなければならない。この
ため、自動車のブレーキ装置を予めブレーキダイナモメ
ータを用いて試験することが行われるようになって来
た。その試験のうちにブレーキ音(ブレーキ鳴き)を判
定する方法がある。このブレーキ音の判定方法としては
従来、次のような方法が採用されている。
【0003】(1)騒音周波数毎に、ある一定の騒音レ
ベル閾値を設定し、その閾値を超えた騒音レベル値をブ
レーキ鳴きと判定する方法、(図6Aに示す方法) (2)騒音レベル値は次のような方法で設定、 a.周波数分析装置またはコンピュータ装置などにて周
波数毎に閾値を設定しておく方法、(図6Bに示す方
法) b.周波数分析装置またはコンピュータ装置などにブレ
ーキが鳴いていない状態の騒音周波数をメモリさせ、こ
れを閾値とする方法、(図6Cに示す方法) 上記図6B,Cの方法において、ブレーキ鳴きが発生し
た場合、図6Dに示すような波形となったときにその波
形をブレーキ鳴きと判定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来のブレー
キ鳴き試験方法でもブレーキ鳴きの判定は可能であるけ
れども、この判定方法はブレーキの鳴きが生じたときの
騒音レベルおよび周波数を測定し、この測定時のブレー
キ温度、ブレーキ液圧、制動トルク、各部の振動値、回
転速度などを計測して、ブレーキ鳴きの発生原因などを
解析するものである。しかし、上記判定方法は閾値の設
定値との比較による騒音レベル抽出のため、データ量と
してはかなり多くなってしまう問題がある。また、閾値
の設定方法により抽出される騒音レベルの評価が異なっ
てくるので、閾値の設定は重要であるけれども、この閾
値の設定は通常経験に頼ることが多く、測定者によって
試験結果が異なってしまう恐れが多かった。
【0005】この発明は上記の事情に鑑みてなされたも
ので、ブレーキ鳴きの判定が容易となるとともに、鳴き
原因の追求が容易になるブレーキ音の試験判定装置およ
びその方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の目的
を達成するために、第1発明は、ブレーキダイナモメー
タと、このブレーキダイナモメータにセットされた被試
験ブレーキ本体と、この被試験ブレーキ本体のブレーキ
部位に最も近い位置に設けられた騒音計測機器と、前記
被試験ブレーキ本体の2個所に設けられた第1および第
2振動計測機器と、前記騒音計測機器の騒音出力が供給
され、予め計測された暗騒音計測値と比較されてその差
の騒音スペクトルデータが出力される第1高速フーリエ
変換器と、前記第1および第2振動計測機器の振動出力
が供給され、出力に振動スペクトルデータを送出する第
2および第3高速フーリエ変換器と、前記第1から第3
高速フーリエ変換器に得られた騒音及び振動スペクトル
データが入力され、これらデータを処理してブレーキ鳴
きを判定するコンピュータとを備えてなることを特徴と
するものである。
【0007】第2発明、被試験ブレーキ本体のブレーキ
部位に最も近い位置に設けた騒音計測機器から出力され
た騒音波形から波形のピークポイント得る第1工程と、
被試験ブレーキ本体に設けた第1および第2振動計測機
器から出力された振動波形から波形のピークポイントを
得る第2工程と、第1と第2工程で得られた波形のピー
クポイントに一致するピークポイントがあったときにブ
レーキ鳴きと判定する第3工程とからなることを特徴と
するものである。
【0008】第3発明、被試験ブレーキ本体の騒音実測
波形からある一定の騒音レベル閾値またはブレーキが鳴
いていない状態の騒音波形を差し引いた騒音波形のピー
クポイントと振動波形のピークポイントとを比較した
後、各々のピークポイントにおける騒音と振動の周波数
帯が一致した領域が存在したときブレーキ鳴きありと判
定することを特徴とする。
【0009】第4発明は、被試験ブレーキ本体をダイナ
モメータに取り付けてブレーキ音の試験を行うものにお
いて、前記被試験ブレーキ本体近辺に騒音計測機器を設
け、且つ前記ブレーキ本体に振動計測機器を設け、前記
計測機器により検出された騒音信号と振動信号との波形
ピークポイントが一定の周波数範囲内に入ったときブレ
ーキ鳴きと判定することを特徴とする。
【0010】
【作用】騒音計測機器で制動中のブレーキから出る騒音
を計測し、第1および第2振動計測機器でブレーキ本体
の振動音を計測し、騒音計測機器の計測値は第1高速フ
ーリエ変換器にて予め計測してあるブレーキの暗騒音計
測値と比較して騒音スペクトルデータに変換し、第1及
び第2振動計測機器の計測値は第2および第3高速フー
リエ変換器にて振動スペクトルデータに変換して両デー
タをコンピュータで処理してブレーキ鳴きを判定する。
【0011】
【実施例】以下この発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1はこの発明の実施例を示すもので、図1に
おいて、11は図示しない電動機、フライホイール、ト
ルクメータ等から構成されるブレーキダイナモメータ
で、一般の鳴きダイナモメータには、完成車で試験する
シャーシーダイナモメータと、一輪のみで試験するロー
ラ付きブレーキダイナモメータがある。ブレーキダイナ
モメータ11には被試験ブレーキ(図示しない)がセッ
トされる。被試験ブレーキの最も近い位置に騒音計測機
器12を配置し、ブレーキ本体の2箇所にブレーキ本体
の振動を計測する第1、第2振動計測機器13、14を
配置する。各計測機器12〜14で計測した値はそれぞ
れ第1から第3高速フーリエ変換器(FFT1〜FFT
3)15〜17に入力されて演算される。第1高速フー
リエ変換器15には後述する予め計測した暗騒音計測値
が入力され、この暗騒音計測値と演算値とが比較される
ように構成されている。第1から第3高速フーリエ変換
器15〜17の演算出力はブレーキコントロールシステ
ム18に設けられたコンピュータ19に入力されて処理
される。
【0012】騒音計測機器12で計測したブレーキに最
も近い位置での騒音の音圧のアナログ信号は第1高速フ
ーリエ変換器15で高速にサンプリングされたのち、F
FT演算されるとともに、暗騒音計測値と比較されて、
その差が出力される。また、第1、第2振動計測機器1
3、14で計測されたブレーキ本体の振動のアナログ信
号は第2、第3高速フーリエ変換器16、17により前
記と同様に高速にサンプリングされたのち、FFT演算
される。
【0013】第1から第3高速フーリエ変換器15〜1
7は各計測機器12〜14から出力された時間軸波形デ
ータをFFT演算を行うことにより、周波数軸上の波形
データ(スペクトル波形データ)に変換する。図2Aは
FFT演算される前の時間軸波形データで、図2BはF
FT演算された後のスペクトル波形データである。この
ようにして得られるスペクトル波形データを1計測区間
中に亙って複数計測する。そして、得られた複数のスペ
クトル波形データより、各周波数帯(ポイント)の最大
値を全周波数帯に対して抽出し、1つのピーク波形デー
タを各フーリエ変換器15〜17にて作成する。作成さ
れたピーク波形データはコンピュータ19に入力され
る。なお、図2Bのポイント数及び周波数の数値は一例
を示したものである。
【0014】ここで、前述した暗騒音について述べる。
暗騒音は非制動中の定速回転時の騒音で、試験前に設定
した各速度について、自動で計測し、データの取り込み
を行う。この暗騒音計測は図4に示すようにして行われ
る。まず、暗騒音測定のために次のような各項目を計測
前に設定する。
【0015】(A)計測速度 任意の計測速度を設定し、暗騒音計測を開始すると設定
された速度まで自動で運転され、暗騒音とその時の速度
を自動で計測する。
【0016】(B)計測時間 図4において暗騒音計測のための時間tsを設定し、各
計測速度で得られるスペクトル波形データは、ここで設
定した計測時間内の平均波形となる。
【0017】上記の測定条件で得られた暗騒音ピーク波
形データを保存記憶する。このようにして記憶された暗
騒音ピーク波形データは第1高速フーリエ変換器15に
供給され、この暗騒音ピーク波形データと騒音計測機器
12で計測したデータとを比較し、その差が第1高速フ
ーリエ変換器15から出力されてコンピュータ19に入
力される。
【0018】第1高速フーリエ変換器15から出力され
る騒音スペクトルが図5Aに示すような波形であったと
する。そのときの振動スペクトル(第2と第3高速フー
リエ変換器16、17の波形)が図5Bに示すような波
形であった場合、ブレーキ鳴きピークポイントと振動ス
ペクトル波形のピークポイントの一致が予め設定した周
波数照合帯域BPW(図示破線で示す領域)内に入って
いるかどうかを判定する。例えば、図5Aの騒音スペク
トル波形のピークポイントから実線Xの線分を図5Bの
振動スペクトル波形に降ろしたとき、振動波形のピーク
が周波数照合帯域幅BPWに入っていない場合にはブレ
ーキ鳴きではないと判定する。また、同様に図5Aの騒
音スペクトル波形のピークポイントから実線Y,Zの線
分を図5Bの振動スペクトル波形に降ろしたとき、振動
波形のピークが周波数照合帯域幅BPW内に入っている
ときには、ブレーキ鳴きであると判定する。この判定処
理はコンピュータ19により行われる。
【0019】上記のようにブレーキ制動中の鳴き音を評
価する試験方法として、騒音波形とブレーキを構成する
各部品の振動波形のピークポイントの周波数が一致した
場合をブレーキ鳴きとしたので、ブレーキ鳴きの判定が
容易になった。また、上記実施例では、騒音測定を1個
所、振動測定を2個所の例で示したが、ブレーキ制動中
の測定回転速度領域を「高速−低速」「高速−中速−定
速」と分割し、それぞれの領域で騒音実測波形、振動実
測波形を測定するために、騒音及び振動測定のチャンネ
ル数を増加してもよい。これはピークポイントを抽出す
るための周波数帯を細分化し、ブレーキ鳴き判定の精度
及びサンプリング周波数を向上させることにある。さら
に、振動測定の個所を増加し、各振動波形のピークポイ
ントの論理条件のORまたはANDと騒音波形のピーク
ポイントとを比較することによってブレーキ鳴き判定の
条件を変えても良い。
【0020】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
ブレーキ鳴き時の騒音と振動を同時に捕らえているの
で、鳴き原因の追求が容易にできるようになる。また、
ブレーキ制動中の鳴き判定が閾値による判定だけでな
く、振動波形による判定も行うので、判定が容易となる
だけでなく、ブレーキ鳴きの発生原因をブレーキの構成
部品毎に評価することが容易となる。さらに、ブレーキ
試験は1回の運転パターンで数1000回ものブレーキ
制動を行い、各制動毎にブレーキ鳴きの判定及びこの時
のブレーキ温度、ブレーキ液圧、制動トルク、回転速
度、各部の振動値等を測定するため、データ量が膨大と
なるが、ブレーキが鳴いたという判定が容易になると保
存するデータ量を鳴いた周波数の所のみにすれば、保存
データ量を削減することができるなどの利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示すブロック構成図。
【図2】図2A,Bは高速フーリエ変換器による演算前
と演算後の波形図。
【図3】図3A,Bは高速フーリエ変換器の演算後の波
形図。
【図4】暗騒音測定のための波形図。
【図5】図5A,Bはブレーキ鳴き検出手段を示す波形
図。
【図6】従来のブレーキ鳴き判定方法の説明図。
【符号の説明】
11…ブレーキダイナモメータ 12…騒音計測機器 13、14…第1、第2振動計測機器 15〜17…第1から第3高速フーリエ変換器 18…ブレーキコントロールシステム 19…コンピュータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01H 3/00 G01M 17/007

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキダイナモメータと、このブレー
    キダイナモメータにセットされた被試験ブレーキ本体
    と、この被試験ブレーキ本体のブレーキ部位に最も近い
    位置に設けられた騒音計測機器と、前記被試験ブレーキ
    本体の2個所に設けられた第1および第2振動計測機器
    と、前記騒音計測機器の騒音出力が供給され、予め計測
    された暗騒音計測値と比較されてその差の騒音スペクト
    ルデータが出力される第1高速フーリエ変換器と、前記
    第1および第2振動計測機器の振動出力が供給され、出
    力に振動スペクトルデータを送出する第2および第3高
    速フーリエ変換器と、前記第1から第3高速フーリエ変
    換器に得られた騒音及び振動スペクトルデータが入力さ
    れ、これらデータを処理してブレーキ鳴きを判定するコ
    ンピュータとを備えてなることを特徴とするブレーキ音
    の試験判定装置。
  2. 【請求項2】 被試験ブレーキ本体のブレーキ部位に最
    も近い位置に設けた騒音計測機器から出力された騒音波
    形から波形のピークポイント得る第1工程と、被試験ブ
    レーキ本体に設けた第1および第2振動計測機器から出
    力された振動波形から波形のピークポイントを得る第2
    工程と、第1と第2工程で得られた波形のピークポイン
    トに一致するピークポイントがあったときにブレーキ鳴
    きと判定する第3工程とからなることを特徴とするブレ
    ーキ音の試験判定方法。
  3. 【請求項3】 被試験ブレーキ本体の騒音実測波形から
    ある一定の騒音レベル閾値またはブレーキが鳴いていな
    い状態の騒音波形を差し引いた騒音波形のピークポイン
    トと振動波形のピークポイントとを比較した後、各々の
    ピークポイントにおける騒音と振動の周波数帯が一致し
    た領域が存在したときブレーキ鳴きありと判定すること
    を特徴とするブレーキ音の試験判定方法。
  4. 【請求項4】 被試験ブレーキ本体をダイナモメータに
    取り付けてブレーキ音の試験を行うものにおいて、前記
    被試験ブレーキ本体近辺に騒音計測機器を設け、且つ前
    記ブレーキ本体に振動計測機器を設け、前記計測機器に
    より検出された騒音信号と振動信号との波形ピークポイ
    ントが一定の周波数範囲内に入ったときブレーキ鳴きと
    判定することを特徴とするブレーキ音の試験判定方法。
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