JP3220355B2 - 被処理水の電気化学的処理方法 - Google Patents

被処理水の電気化学的処理方法

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JP3220355B2 JP13992995A JP13992995A JP3220355B2 JP 3220355 B2 JP3220355 B2 JP 3220355B2 JP 13992995 A JP13992995 A JP 13992995A JP 13992995 A JP13992995 A JP 13992995A JP 3220355 B2 JP3220355 B2 JP 3220355B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真処理液、プール
水、製紙洗浄水、熱交換器の冷却水、ガス吸収塔(スク
ラバー)の吸収水、水道水、養魚用水、浴場水等の被処
理水の処理方法に関し、さらに詳述すると、固定床型三
次元電極電解槽を用いた電気化学的処理によって前記被
処理水中に含まれる微生物を殺菌する電気化学的処理方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】水や水溶液(以下単に水ということもあ
る)の使用あるいは供給を行う各種の設備において、水
中に発生した微生物に起因する種々の不都合が生じる。
その具体例は、例えば下記(a)〜(g)の通りである。
【0003】(a)発色現像等の写真処理工程において
は、発色現像液等の各種写真処理液中に微生物が繁殖
し、それによって写真処理液の性能劣化や写真画像の品
質劣化が生じることがある。 (b)プールでは、プール水中に微生物が繁殖すると、安
全性の点で問題が生じる。 (c)製紙工程では、パルプを水で洗浄することにより不
要成分を除去しているが、この洗浄水中に繁殖した微生
物が最終製品中に残存すると、製品の品質が低下する。 (d)ビルやマンションでは、冷暖房設備用熱交換器の冷
却水中に微生物が繁殖すると、微生物やその排出物が熱
交換器の熱交換面に付着してその性能を低下させたり、
配管内壁に付着して配管を閉塞させたりすることがあ
る。 (e)吸収水とガスとを接触させてガス中の有害成分を吸
収水に吸収させるガス吸収塔(スクラバー)では、吸収
水中に微生物が繁殖すると、微生物やその排出物がガス
吸収塔の内部に設置された多孔板やミストキャッチに付
着して、それらの閉塞障害を引き起こすことがある。 (f)魚類の養殖場では、養魚用水中に微生物が繁殖する
とそれが魚類を汚染し、魚類の商品価値を低下させる。 (g)家庭用浴槽や公衆浴場の浴場水中に微生物が繁殖す
ると、安全性の点で問題が生じる。
【0004】上述した水中に発生した微生物に起因する
不都合は、水を循環して再使用する設備では、水中で微
生物が増殖するため、特に顕著である。
【0005】従来、上記のような不都合を回避するため
に被処理水に含まれる微生物を殺菌する方法としては、
被処理水に殺菌剤、防黴剤等の殺菌用薬剤を添加する方
法が主流である。
【0006】しかし、被処理水に殺菌用薬剤を添加する
方法では、薬剤の消費によってランニングコストが高く
なるとともに、薬剤による弊害が発生することがあっ
た。また、同じ薬剤を続けて使用していると、その薬剤
に対する耐性菌が発生し、別の薬剤を選択する必要が生
じるため、殺菌処理が煩雑になるという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これに対し、被処理水
に殺菌用薬剤を添加する方法の問題点を解消するため、
薬剤を用いない殺菌方法として、被処理水を固定床型三
次元電極電解槽(後述)に導入し、被処理水を上記電解
槽で電気化学的に処理することにより、被処理水中に含
まれる微生物を殺菌する方法が提案されている。
【0008】この方法では、被処理水導入管から固定床
型三次元電極電解槽に被処理水を導入するとともに、電
解槽で微生物を殺菌した処理水を処理水排出管から排出
して、この水を各種設備(例えば写真処理槽やガス吸収
塔)あるいは需要者(例えば水道利用者)に供給する。
また、被処理水導入管の流入端を各種設備に接続して、
水を固定床型三次元電極電解槽で殺菌しつつ前記設備で
循環再使用することもある。
【0009】しかし、固定床型三次元電極電解槽を用い
る殺菌方法は、後述するように電解槽の給電用電極や固
定床型三次元電極に接触した微生物のみを殺菌するもの
であるため、電極に接触しない微生物は殺菌されずに電
解槽を通過する。そのため、被処理水に含まれる微生物
を完全に殺菌することができないものであり、その結果
下記のような問題が生じていた。
【0010】電解槽より下流の配管の内壁に電解槽を
通過した微生物が付着してそこで繁殖し、この微生物に
起因する不都合が生じる。 水を電解槽で殺菌しつつ循環再使用するようにした場
合、電解槽より上流及び下流の配管の内壁に電解槽を通
過した微生物が付着してそこで繁殖し、この微生物に起
因する不都合が生じる。
【0011】ところが、固定床型三次元電極電解槽を用
いる殺菌方法では、電解槽に接続された配管内に巣くっ
ている微生物は電解槽の電極に触れることがなく、この
微生物を殺菌することができないので、前記、の問
題を解消することができなかった。
【0012】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、被処理水を固定床型三次元電極電解槽
に導入して電気化学的に処理するに当たり、電解槽の電
極に接触した微生物の殺菌のみならず、電極に接触しな
い微生物及び電解槽に接続された配管内に巣くっている
微生物の殺菌をも行うことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者らは、
上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、固定
床型三次元電極電解槽に導入される被処理水に水溶性の
臭化アルカリ金属塩又は臭化アンモニウム塩を添加した
場合、被処理水中の臭素イオン(Br - )が電解槽内で
酸化されて殺菌能力の高い臭素酸イオン(BrO-、B
rO2 -)となり、したがって電解槽から排出される処理
水中には電解槽内で生成した臭素酸イオンが含有される
ので、この臭素酸イオンによって、電極に接触せずに電
解槽を通過した微生物及び電解槽に接続された配管内に
繁殖している微生物を殺菌できることを知見し、本発明
をなすに至った。
【0014】したがって、本発明は、被処理水を固定床
型三次元電極電解槽に導入して電気化学的に処理する方
法において、臭化アルカリ金属塩及び臭化アンモニウム
塩から選択される少なくとも1種の水溶性塩を被処理水
中の臭素イオン濃度が10〜150ppmとなるように
被処理水に添加することを特徴とする被処理水の電気化
学的処理方法を提供する。
【0015】本発明に用いる固定床型三次元電極電解槽
は、電解槽本体の内部に水が通過可能な給電用陽極と給
電用陰極とを互いに離間させて設置するとともに、両給
電用電極間に水が通過可能な固定床型三次元電極を配置
したものであり、両給電用電極間に電圧を印加すること
により、固定床型三次元電極に正帯電部と負帯電部とを
形成させるものである。固定床型三次元電極電解槽に
は、単極式電解槽と複極式電解槽がある。単極式電解槽
は、固定床型三次元電極に正帯電部と負帯電部との対が
一対形成されるものであり、複極式電解槽は、固定床型
三次元電極に正帯電部と負帯電部との対が複数対形成さ
れるものである。
【0016】固定床型三次元電極電解槽において、電解
槽本体は、長期間の使用や再度の使用に耐え得る電気絶
縁材料、例えばポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ
ビニルメタクリレートといった合成樹脂等で形成するこ
とができる。
【0017】給電用陽極は、例えば、炭素材(活性炭、
炭、コークス、石炭等)、グラファイト材(炭素繊維、
カーボンクロス、グラファイト等)、炭素複合材(炭素
に金属を粉状で混ぜ焼結したもの等)、活性炭素不織布
といった炭素系材料、上記炭素系材料に白金、パラジュ
ウム、ニッケルといった金属を担持させた材料、寸法安
定性電極(白金族酸化物被覆チタン材)、白金被覆チタ
ン材、ニッケル材、ステンレス材、鉄材等からなる、平
板状、エキスパンドメッシュ状又はパーフォレーテッド
プレート状の多孔板などによって形成することができ
る。
【0018】給電用陰極は、例えば、白金、ステンレ
ス、チタン、ニッケル、銅、ハステロイ、グラファイ
ト、炭素材、軟綱、白金族金属をコーティングした金属
材料等からなる、平板状、エキスパンドメッシュ状又は
パーフォレーテッドプレート状の多孔板などによって形
成することができる。
【0019】また、固定床型三次元電極は、固定床形成
材料を用いて形成する。かかる固定床形成材料として
は、例えば、活性炭、グラファイト、炭素繊維等の炭素
系材料、ニッケル、銅、ステンレススチール、鉄、チタ
ン等の金属材料、上記金属材料に貴金属をコーティング
した貴金属被覆材料などを、粒状、球状、フェルト状、
織布状、多孔質ブロック状等に形成したものを用いるこ
とができる。
【0020】上述した固定床型三次元電極電解槽では、
両給電用電極の間に電圧を印加すると、固定床型三次元
電極に正帯電部と負帯電部との対が形成される(単極式
電解槽では一対、複極式電解槽では複数対)。そのた
め、電解槽内に被処理水を通水し、給電用電極又は三次
元電極の表面に水中の微生物が接触すると、微生物が給
電用電極や三次元電極の表面で酸化還元反応を受けた
り、電流に接触したりすることにより、微生物が死滅す
ると考えられる。死滅する微生物としては、例えば、細
菌(バクテリア)、糸状菌(黴)、酵母、変形菌、単細
胞の藻類、原生動物、ウイルス等が挙げられる。
【0021】この場合、両給電用電極の間に印加する電
圧は、給電用電極や三次元電極の表面に接触した微生物
を死滅させることのできる大きさの電圧であれば十分で
あり、両給電用電極の間に電流を流して水素、酸素等の
ガス発生を伴う実質的な電解反応を生じさせる大きさの
電圧である必要はない。ガス発生を伴うと被処理水に化
学的変化が生じる可能性があり、また電圧を高くすれば
それだけ消費電力量が増えて経済的に不利になるので、
むしろ実質的な電解反応が生じない低い電圧を両給電用
電極間に印加することが好ましい。したがって、本発明
では、印加電位を陽極電位が実質的な酸素発生を伴わな
い+0.2〜+1.2V(vs.SCE)、陰極電位が実質的
に水素発生を伴わない0〜−1.0V(vs.SCE)となる
ようにすることが望ましい。ただし、弊害がなければガ
スを発生させつつ被処理水を処理してもよい。なお、本
発明では、上記のように電極表面上で実質的な電解反応
が生じないことがあるので、本発明方法に使用される電
解槽は電気化学的処理槽というべきであるが、一般呼称
に従って固定床型三次元電極電解槽と称する。
【0022】本発明は、被処理水を固定床型三次元電極
電解槽に導入して電気化学的処理を行うに際し、臭化ア
ルカリ金属塩及び臭化アンモニウム塩から選択される少
なくとも1種の水溶性塩を被処理水中の臭素イオン濃度
が10〜150ppmとなるように電解槽に導入される
被処理水に添加するものである。ここで、臭化アルカリ
金属塩としては、例えば臭化ナトリウム、臭化カリウム
を挙げることができ、臭化アンモニウム塩としては、
例えば臭化アンモニウム等を挙げることができる。な
お、本発明において臭化物を臭化アルカリ金属塩及び
アンモニウム塩に限定しているのは、カルシウムやマ
グネシウムを含む臭化アルカリ土類金属塩を用いるとス
ケールの発生原因となるからである。
【0023】本発明においては、臭化アルカリ金属塩又
は臭化アンモニウム塩を用い、処理水中に臭素酸イオン
(例えばBrO-)を含有させることにより、きわめて
優れた殺菌効果を得ることができる。
【0024】臭化アルカリ金属塩及び臭化アンモニウム
塩から選択される少なくとも1種の水溶性塩を被処理水
に添加する場合は、固定床型三次元電極電解槽に導入さ
れる被処理水中の臭素イオン濃度が10〜150ppm
となるように添加することが好ましい。臭素イオン濃度
が前記範囲より少ないと、臭素酸イオンの生成量が少な
すぎて十分な殺菌効果を得られないことがある。また、
臭素イオン濃度が前記範囲より多いと、被処理液に含ま
れる電解質量が多くなりすぎ、両給電用電極が通電して
両給電用電極に電圧が加わらなくなって、電極接触によ
る電気化学的殺菌作用が弱くなるとともに、臭素イオン
から臭素酸イオンへの酸化反応が良好に行われなくなる
ことがある。
【0025】本発明において、水溶性の防食剤を被処理
水に添加することは、本発明の効果をなんら損なうもの
ではない。使用可能な防食剤としては、例えば、亜硝
酸、珪酸、モリブデン酸、タングステン酸、オキシ酸、
アミノ酸、脂肪族有機酸、脂肪族アミノ酸、芳香族カル
ボン酸、アルミン酸、ほう酸、リグニンスルホン酸、こ
れらの水溶性塩及び亜鉛塩、タンニン、リグニン、アミ
ン、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカ
プトベンゾチアゾール、オルトりん酸塩、ヘキサメタり
ん酸塩、ヒドロキシエチリデンホスホン酸、ホスホノブ
タントリカルボン酸塩等が挙げられる。
【0026】また、本発明において、水溶性のスケール
付着防止剤を被処理水に添加することは、本発明の効果
をなんら損なうものではない。使用可能なスケール付着
防止剤としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、メ
タクリル酸、スルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルス
ルホン酸、スチレンスルホン酸、イタコン酸、イソブチ
レン酸、フマール酸、これらの化合物の塩や、無水マレ
イン酸、アクリルアミド、アクリル酸エステル、酢酸ビ
ニル、スチレン、エチレンオキサイド、エチレン、n−
ブチレン及びイソブチレンから選ばれる1種以上の化合
物のポリマーなどが挙げられる。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に示す
が、本発明は下記実施例に限定されるものではない。ま
ず、本発明に使用する固定床型三次元電極電解槽の好ま
しい例1〜4を示す。
【0028】固定床型三次元電極電解槽1 図2は固定床型三次元電極電解槽の例1(複極式電解
槽)を示す断面図である。図中2は上下にフランジ1を
有する円筒形に形成された合成樹脂製の電解槽本体を示
す。電解槽本体2内の上端部及び下端部には、それぞれ
メッシュ状の多孔板からなる給電用陽極3及び給電用陰
極4が設置されている。両給電用電極3、4間には複数
個(本例では3個)のスポンジ状の固定床形成材料5が
積層されているとともに、各固定床形成材料5の間及び
固定床形成材料5と両給電用電極3、4との間にはそれ
ぞれ多孔性の隔膜又はスペーサ6が配置されている。上
記隔膜としては、例えば織布、素焼板、粒子焼結プラス
チック、多孔板、イオン交換膜等が用いられ、スペーサ
としては、例えば電気絶縁性材料で製作された織布、多
孔板、網、棒状材等が使用される。
【0029】図2の電解槽に下方から矢印で示すよう
化ナトリウムを添加した被処理水を供給しながら通電
を行うと、各固定床形成材料5が分極して図示のように
下面が正、上面が負に帯電し、固定床形成材料5内及び
固定床形成材料5間に電位が生じる。そのため、電解槽
内を流通する被処理水に含まれる微生物が給電用電極
3、4や固定床形成材料5に接触し、殺菌された後、処
理水が電解槽の上方から排出される。また、被処理水に
含まれるBr-が電解槽内で酸化されて殺菌力の高いB
rO-等の臭素酸イオンになり、この臭素酸イオンによ
って、殺菌されずに電解槽を通過した処理水中の微生物
や、電解槽の下流の配管内で繁殖している微生物が殺菌
される。
【0030】固定床型三次元電極電解槽2 図3は固定床型三次元電極電解槽の例2(複極式電解
槽)を示す断面図である。本例の電解槽は、図2の電解
槽の各固定床形成材料5を活性炭、グラファイト、炭素
繊維等の炭素系材料で形成するとともに、各固定床形成
材料5の陽分極する側に、それぞれ酸化イリジウム、酸
化ルテニウム等の白金族金属酸化物からなるメッシュ状
の不溶性金属材料7を密着状態で配置したものである。
その他の点は図2の電解槽と同じであるので、同一参照
符号を付して説明を省略する。
【0031】固定床形成材料5として炭素系材料を使用
し、かつ陽極から酸素ガスが発生する条件で被処理水を
処理する場合、固定床形成材料5の最も強く陽分極する
端部には酸素ガスが最も多く発生し、固定床形成材料5
の炭素系材料が酸素ガスにより酸化されて炭酸ガスとし
て溶解する。これに対し、本例の電解槽のように、固定
床形成材料5の最も強く陽分極する端部に不溶性金属材
料7を密着配置しておくと、不溶性金属材料7の過電圧
は固定床形成材料5を形成する炭素系材料の過電圧より
低いので、殆どの酸素ガスは不溶性金属材料7から発生
し、固定床形成材料5は殆ど酸素ガスと接触しなくな
る。そのため、炭素系材料からなる固定床形成材料5の
溶解が抑制される。
【0032】固定床型三次元電極電解槽3 図4は固定床型三次元電極電解槽の例3(複極式電解
槽)を示す断面図である。図中12は上下にフランジ1
1を有する円筒形に形成された合成樹脂製の電解槽本体
を示す。電解槽本体12内の上端部及び下端部には、そ
れぞれメッシュ状の多孔板からなる給電用陽極13及び
給電用陰極14が設置されている。両給電用電極13、
14間には、炭素系材料等の導電性材料で形成された多
数の粒状の固定床形成材料15と、この固定床形成材料
15より少数の合成樹脂製等からなる絶縁粒子18と
が、ほぼ均一に混在した状態で配置されている。絶縁粒
子18は、両給電用電極13、14が短絡することを防
止している。
【0033】図4の電解槽に下方から矢印で示すよう
化ナトリウムを添加した被処理水を供給しながら通電
を行うと、各固定床形成材料15が分極して給電用陽極
13側が、給電用陰極14側がに帯電する。したが
って、図2の電解槽と同様に、被処理水中の微生物が給
電用電極13、14や固定床形成材料15に接触して殺
菌されるとともに、被処理水に含まれるBr-が酸化さ
れてBrO-等の臭素酸イオンになる。
【0034】固定床型三次元電極電解槽4 図5は固定床型三次元電極電解槽の例4(単極式電解
槽)を示す断面図である。図中22は上下にフランジ2
1を有する円筒形に形成された合成樹脂製の電解槽本体
を示す。電解槽本体22内の上端部及び下端部には、そ
れぞれメッシュ状の多孔板からなる給電用陽極23及び
給電用陰極24が設置されている。両給電用電極23、
24の中間部には隔膜26が設置され、これにより電解
槽本体22の内部が陽極室27と陰極室28とに分けら
れている。また、陽極室27及び陰極室28には、炭素
繊維等の導電性材料からなる一対のフェルト状の固定床
形成材料25が給電用電極23、24とそれぞれ接触し
た状態で配置されている。
【0035】図の電解槽に下方から矢印で示すよう
化ナトリウムを添加した被処理水を供給しながら通電
を行うと、陽極室27内の固定床形成材料25が正、陰
極室28内の固定床形成材料25が負に帯電する。した
がって、図2の電解槽と同様に、被処理水中の微生物が
給電用電極23、24や固定床形成材料25に接触して
殺菌されるとともに、被処理水に含まれるBr-が酸化
されてBrO-等の臭素酸イオンになる。
【0036】次に、実験例1〜7を示す。これらの実験
例では、固定床型三次元電極電解槽を組み込んだ図1の
循環殺菌システムを用いた。図1において、30は図2
に示した電解槽、31は開放型貯水槽、32は貯水槽3
1と電解槽30との間に設けられた被処理水導入管、3
3は被処理水導入管32に介装された送液ポンプ、34
は被処理水導入管32に連結された薬剤注入ポンプ、3
5は電解槽30と貯水槽31との間に設けられた処理水
排出管を示す。
【0037】電解槽30において、電解槽本体1は塩化
ビニル樹脂からなる高さ100mm、内径50mmのフ
ランジ付き円筒体であり、固定床形成材料5は開孔率6
0%のスポンジ状炭素繊維からなる直径50mm、厚さ
10mmのものであり、隔膜6は開孔率85%で直径5
0mm、厚さ1.5mmのポリエチレン製多孔板であ
り、給電用陽極3及び給電用陰極4はいずれも白金を表
面にメッキしたチタンからなる直径48mm、厚さ1.
0mmのメッシュ状のものであった(図2参照)。
【0038】開放型貯水槽31は、高さ500mm、内
径300mmの円筒形で、SGP(配管用炭素鋼鋼管)
製であった。送液ポンプ33は一般的なもので、0.5
〜10リットル/分の送流能力を持つものであり、薬剤
注入ポンプ34は、吐出量15〜40cc/分のダイヤ
フラム型定量ポンプであった。被処理水導入管32及び
処理水排出供給管35は内径20mmのSGP製のもの
であり、両管32及び35の総長さは1000mmであ
った。
【0039】実験例1 図1に示したシステムを使用して工業用水の殺菌処理を
行った。使用した工業用水は、19ppmの塩素イオン
を含有し、臭素イオンを実質的に含まないものであっ
た。まず、貯水槽31、被処理水導入管32及び処理水
排出供給管35の内壁を洗浄し、これら内壁に付着して
いる微生物及びスケールを除去した。貯水槽31に20
リットルの工業用水を注入し、その中に1.7gの臭化
ナトリウム・2水塩を完全に溶解し(Br-として40
ppm)、送液ポンプ33の作動により1.2リットル
/分の速度で送流を開始した後、電解槽30に通電し
た。印加電位は、陽極電位が+0.7V(vs.SCE)、陰
極電位が−0.6V(vs.SCE)であった。
【0040】通電を開始してから1分後、5分後、30
分後、6時間後、24時間後及び1週間後における循環
水の分析を行った。この場合、図中S1、S2及びS3の
サンプリングポイントで循環水を採取し、その中に含ま
れる細菌数をJIS K−0102(’93)に準じて
測定した。S1は貯水槽31の水に含まれる微生物を調
べるためのポイント、S2は電解槽30による処理後の
水に含まれる微生物を調べるためのポイント、S3は配
管内の付着微生物の影響を定量的に分析するためのポイ
ントである。結果を表1に示す。
【0041】通常、NaBrは殺菌剤又は防黴剤の範疇
に入っておらず、水中のBr-は本実験例の濃度(40
ppm)では水中の微生物に対しなんら影響を与えな
い。しかし、本発明では電解槽30でBr-がBrO-
BrO2 -等の臭素酸イオンになり、臭素酸イオンを含む
水が配管内を流れるので、本実験例の結果に見られるよ
うに、30分後には循環水中に微生物が殆ど存在しなく
なった。これは、電解槽30を通過した微生物及び配管
32、35の内壁に付着した微生物がBrO-によって
殺菌されるためであると考えられる。
【0042】実験例2 貯水槽31の水に臭化ナトリウム・2水塩を添加しなか
ったこと以外は、実験例1と同条件で処理を行った。結
果を表1に示す。その結果、電解槽30を出た直後の処
理水中の菌数は減少するものの、貯水槽31の水中の菌
数は時間経過と共に増加した。これは、配管32、35
の内壁で微生物が繁殖するためであると考えられる。
【0043】実験例3 貯水槽31の水に臭化ナトリウム・2水塩を添加せず、
かつ、次亜塩素酸ナトリウムをClO-濃度が40pp
m(実験例1のBr-濃度と同じ濃度)となるように水
に溶解した水溶液120mlを薬剤注入ポンプ34から
被処理水中に40ml/分の速度で注入したこと以外
は、実験例1と同条件で処理を行った。ただし、次亜塩
素酸ナトリウム水溶液の注入開始後3分まではポンプ3
3の送流速度を1.16リットル/分に減じ、3分後に
1.2リットル/分に戻した。結果を表1に示す。
【0044】表1の結果より、殺菌剤又は防黴剤として
最も一般的である次亜塩素酸ソーダを被処理水に添加し
た場合、臭化ナトリウム・2水塩を添加した場合に比べ
て微生物に対する殺菌効果が劣ることがわかった。これ
は、電解槽30でClO-が殺菌力のないCl-に還元さ
れてしまうためであると考えられる。
【0045】実験例4 貯水槽31の水に臭化ナトリウム・2水塩に代えて塩化
カリウムをCl-濃度が40ppmとなるように添加し
たこと以外は、実験例1と同条件で処理を行った。結果
を表1に示す。
【0046】通常、KClは殺菌剤又は防黴剤の範疇に
入っておらず、水中のCl-は本実験例の濃度(40p
pm)では水中の微生物に対しなんら影響を与えない。
しかし、本発明では電解槽30でCl-が殺菌力の強い
ClO-等の塩素酸イオンになり、塩素酸イオンを含む
水が配管内を流れるので、本実験例の結果に見られるよ
うに、NaBrを用いた場合に近い優れた効果が得られ
た。
【0047】実験例5 実験例1の臭化ナトリウム・2水塩の使用量を5倍量
(Br-として200ppm)にしたこと以外は、実験
例1と同条件で処理を行った。本例では、微生物に対す
る殺菌効果は実験例1に比べて低かった。これは、被処
理液に含まれる電解質量が多くなりすぎ、両給電用電極
が通電して両給電用電極に電圧が加わらなくなって、電
極接触による電気化学的殺菌作用が弱まるとともに、B
-からBrO-等の臭素酸イオンへの酸化反応が良好に
行われなくなるためであると考えられる。
【0048】実験例6 実験例1の臭化ナトリウム・2水塩の使用量を1/8倍
量(Br-として5ppm)にしたこと以外は、実験例
1と同条件で処理を行った。本例では、微生物に対する
殺菌効果は実験例1に比べて低かった。これは、電解槽
における臭素酸イオンの生成量が少ないためであると考
えられる。実験例7 実験例1の臭化ナトリウム・2水塩の使用量を1/4倍
量(Br-として10ppm)及び3倍量(Br-として
120ppm)にしたこと以外は、実験例1と同条件で
処理を行った。本例では、添加量10ppm及び120
ppmのいずれの場合も、微生物に対する殺菌効果は実
験例1と同様あるいはそれ以上に優れていた。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、被処理水を固定床型三
次元電極電解槽に導入して電気化学的に処理するに際
し、電解槽の電極に接触した微生物の殺菌のみならず、
電極に接触しないで電解槽を通過した微生物及び電解槽
に接続された配管内に巣くっている微生物をも殺菌する
することができ、微生物を含有する水や水溶液の殺菌処
理をほぼ完全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例に用いた循環殺菌システムを示すフロー
図である。
【図2】固定床型三次元電極電解槽の一例を示す断面図
である。
【図3】固定床型三次元電極電解槽の一例を示す断面図
である。
【図4】固定床型三次元電極電解槽の一例を示す断面図
である。
【図5】固定床型三次元電極電解槽の一例を示す断面図
である。
【符号の説明】
2 電解槽本体 3 給電用陽極 4 給電用陰極 5 固定床形成材料 6 隔膜又はスペーサ 12 電解槽本体 13 給電用陽極 14 給電用陰極 15 固定床形成材料 18 絶縁粒子 22 電解槽本体 23 給電用陽極 24 給電用陰極 25 固定床形成材料 26 隔膜 30 固定床型三次元電極電解槽 32 被処理水導入管 35 処理水排出管
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−16282(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/46 C02F 1/50 C02F 1/76

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理水を固定床型三次元電極電解槽に
    導入して電気化学的に処理する方法において、臭化アル
    カリ金属塩及び臭化アンモニウム塩から選択される少な
    くとも1種の水溶性塩を被処理水中の臭素イオン濃度が
    10〜150ppmとなるように被処理水に添加する
    とを特徴とする被処理水の電気化学的処理方法。
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