電気及び電子部品の小型化、軽量化、多機能化に伴い、回路形成用のドライフィルムレジスト、ソルダーレジストをはじめとする感光性樹脂(感光性材料)には、プリント配線板の高密度化に対応するために、高解像度が要求されている。これらの感光性樹脂による画像形成は、感光性樹脂を露光後、現像することによって行われる。
プリント配線板の小型化、高機能化に対応するため、感光性樹脂が薄膜化される傾向がある。感光性樹脂には、液を塗布して使用するタイプの液状レジストとフィルムタイプのドライフィルムレジストがある。最近では15μm以下の厚みのドライフィルムレジストが開発され、製品化も進んでいる。しかし、このような薄いドライフィルムレジストでは、従来の厚さのレジストに比べて、密着性及び凹凸への追従性が不十分となり、剥がれやボイドなどが発生する問題があった。
上述の点を改善するために、厚い感光性樹脂を使用しながら、高解像度が達成できる種々の手段が提案されている。例えば、サブトラクティブ法によって導電パターンを作製する方法において、絶縁層の片面又は両面に金属層が設けられてなる積層基板上にドライフィルムレジストを貼り付けてレジスト層を形成した後、レジスト層の薄膜化工程を行い、次に、回路パターンの露光工程、現像工程、エッチング工程を行うことを特徴とする導電パターンの形成方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、ソルダーレジストパターンを形成する方法において、導電性パターンを有する回路基板上にソルダーレジストからなるレジスト層を形成した後、レジスト層の薄膜化工程を行い、次にパターン露光工程を行い、再度レジスト層の薄膜化工程を行うことを特徴とするソルダーレジストパターンの形成方法が開示されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
また、特許文献4には、レジスト層の薄膜化工程に使用される薄膜化装置が開示されている。具体的には、レジスト層が形成された基板を高濃度のアルカリ水溶液(薄膜化処理液)に浸漬(ディップ、dip)してレジスト層の成分のミセルを一旦不溶化し、処理液中に溶解拡散しにくくする薄膜化処理ユニット、ミセル除去液スプレーによって一挙にミセルを溶解除去するミセル除去処理ユニット、表面を水で洗浄する水洗処理ユニット、水洗水を除去する乾燥処理ユニットの四つの処理ユニットを少なくとも含むレジスト層の薄膜化装置が開示されている。
特許文献4で開示されている薄膜化装置の一部について、図5に示した概略断面図を用いて説明する。薄膜化処理ユニット11では、投入口7からレジスト層が形成された基板3が投入される。基板3は、ディップ槽2の入口ロール対27を通過した後、搬送ロール対4によって、ディップ槽2中の薄膜化処理液1に浸漬した状態で搬送され、レジスト層の薄膜化処理が行われる。その後に、基板3は、ミセル除去処理ユニット12に搬送される。ミセル除去処理ユニット12では、搬送ロール対4によって搬送されてきた基板3に対し、ミセル除去液供給管20を通じてミセル除去液用ノズル21からミセル除去液スプレー22が供給される。基板3上のレジスト層は、薄膜化処理ユニット11内部のディップ槽2において、高濃度のアルカリ水溶液である薄膜化処理液1によって、レジスト層の成分がミセル化される。このミセルは薄膜化処理液1に対しては不溶性である。その後、ミセル除去液スプレー22によって、ミセルが除去されることで、レジスト層が薄膜化される。
また、特許文献4には、薄膜化処理ユニット11におけるディップ槽2から持ち出された薄膜化処理液1が、ミセル除去処理ユニット12中に多量に持ち込まれることによって、ミセル除去液10のpHが上がり過ぎて、ミセル除去性能にばらつきが発生し、レジスト層の薄膜化処理量が不均一になる問題を解決するために、図6に示したように、基板3が、薄膜化処理ユニット11内部のディップ槽2の出口ロール対5を通過した後、ミセル除去処理ユニット12に搬送される間に、薄膜化処理液持出抑制機構である液切りロール対8を設置したレジスト層の薄膜化装置も開示されている。
特許文献4に記載されている薄膜化処理液持出機構は、ディップ槽2の下流側において薄膜化処理液1が出て行くのを抑制する機構である。しかし、投入口7から投入された基板3の先端がディップ槽2の入口ロール対27の間に入ると、ロール間から薄膜化処理液1がディップ槽2の上流側へ逆流し、基板3のディップ槽3に入っていない部分に付着する。この逆流現象は、基板3上に積層されたレジスト層表面に凹凸がある場合、ロールとレジスト層の間に隙間ができやすくなるため、より顕著に発生する傾向がある。その結果、逆流した薄膜化処理液1が付着したレジスト層と付着していないレジスト層とで、薄膜化量が変わってしまうため、基板3におけるレジスト量の薄膜化量が不均一になる場合があった。
このように、薄膜化された後のレジスト層の厚みが不均一になって、薄膜化後のレジスト層に厚みの薄い部分があると、サブトラクティブ法における導電パターン形成では回路の断線の原因となり、ソルダーレジストのパターン形成では耐候性低下の原因となり、どちらも生産における歩留まりの低下につながるという問題があった。
<薄膜化工程>
レジスト層の薄膜化工程とは、基板上に形成されたレジスト層に薄膜化処理液を供給し、薄膜化処理液によってレジスト層中の成分をミセル化すると共に、このミセルを一旦不溶化し、薄膜化処理液中に溶解拡散しにくくする薄膜化処理、ミセル除去液スプレーによって、レジスト層表面のミセルを一挙に溶解除去するミセル除去処理を含む工程である。さらに、ミセル除去処理で完全に除去できなかったレジスト層表面のミセル、残存した薄膜化処理液及びミセル除去液を水によって洗浄する水洗処理、水洗処理で使用した水を除去する乾燥処理を含むこともできる。
<薄膜化処理>
薄膜化処理は、パドル処理、スプレー処理、ブラッシング、スクレーピング等の方法を用いることもできるが、浸漬処理によって行われることが好ましい。浸漬処理では、レジスト層が形成された基板を薄膜化処理液に浸漬(ディップ、dip)する。浸漬処理以外の処理方法は、薄膜化処理液中に気泡が発生しやすく、その発生した気泡が薄膜化処理中にレジスト層表面に付着して、薄膜化された後のレジスト層の厚みが不均一になる場合がある。スプレー処理等を使用する場合には、気泡が発生しないように、スプレー圧をできるだけ小さくしなければならない。
本考案において、レジスト層形成後の厚みとレジスト層が薄膜化された量で、薄膜化された後のレジスト層の厚みが決定される。また、本考案では、0.01〜500μmの範囲でレジスト層の薄膜化量を自由に調整することができる。
<レジスト>
レジストとしては、アルカリ現像型のレジストが使用できる。また、液状レジストであってもよく、ドライフィルムレジストであってもよく、高濃度のアルカリ水溶液(薄膜化処理液)によって薄膜化でき、かつ、薄膜化処理液よりも低濃度のアルカリ水溶液である現像液によって現像できるレジストであれば、いかなるレジストでも使用できる。アルカリ現像型レジストは光架橋性樹脂成分を含む。光架橋性樹脂成分は、例えば、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤等を含有してなる。また、エポキシ樹脂、熱硬化剤、無機フィラー等を含有させてもよい。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂の有機高分子が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有した単量体(重合性単量体)を重合(ラジカル重合等)して得られたものであることが好ましい。これらのアルカリ水溶液に可溶な重合体は、単独で用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エチレン性不飽和二重結合を有した単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン等のスチレン誘導体;ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド;アクリロニトリル;ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸モノエステル;マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸系単量体;フマル酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等が挙げられる。
光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物;グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー;ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート;γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β′−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、EO、PO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、EO及びPOは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを示し、EO変性された化合物は、エチレンオキサイド基のブロック構造を有するものであり、PO変性された化合物は、プロピレンオキサイド基のブロック構造を有するものである。これらの光重合性化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン、Michler ketone)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物等が挙げられる。上記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体における2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は、同一であって対称な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、硬化剤として用いられる場合がある。アルカリ可溶性樹脂のカルボン酸と反応させることで架橋させ、耐熱性や耐薬品性の特性の向上を図っているが、カルボン酸とエポキシは常温でも反応が進むために、保存安定性が悪く、アルカリ現像型ソルダーレジストは一般的に使用前に混合する2液性の形態をとっている場合が多い。無機フィラーを使用する場合もあり、例えば、タルク、硫酸バリウム、シリカ等が挙げられる。
基板の表面にレジスト層を形成する方法は、いかなる方法でもよいが、例えば、スクリーン印刷法、ロールコート法、スプレー法、浸漬法、カーテンコート法、バーコート法、エアナイフ法、ホットメルト法、グラビアコート法、刷毛塗り法、オフセット印刷法が挙げられる。ドライフィルムレジストの場合は、ラミネート法が好適に用いられる。
<基板>
基板としては、プリント配線板用基板、リードフレーム用基板;プリント配線板用基板やリードフレーム用基板を加工して得られる回路基板が挙げられる。
プリント配線板用基板としては、例えば、フレキシブル基板、リジッド基板が挙げられる。
フレキシブル基板の絶縁層の厚さは5〜125μmで、その両面又は片面に1〜35μmの金属層が設けられて積層基板となっており、可撓性が大きい。絶縁層の材料には、通常、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー等が用いられる。絶縁層上に金属層を有する材料は、接着剤で貼り合わせる接着法、金属箔上に樹脂液を塗布するキャスト法、スパッタリングや蒸着法で樹脂フィルム上に形成した厚さ数nmの薄い導電層(シード層)の上に電解メッキで金属層を形成するスパッタ/メッキ法、熱プレスで貼り付けるラミネート法等のいかなる方法で製造したものを用いてもよい。金属層の金属としては、銅、アルミニウム、銀、ニッケル、クロム、あるいはそれらの合金等のいかなる金属を用いることができるが、銅が一般的である。
リジッド基板は、紙基材又はガラス基材にエポキシ樹脂又はフェノール樹脂等を浸漬させた絶縁性基板を重ねて絶縁層とし、その片面もしくは両面に金属箔を載置し、加熱及び加圧により積層し、金属層が設けられた積層基板が挙げられる。また、内層配線パターン加工後、プリプレグ、金属箔等を積層して作製する多層用のシールド板、貫通孔や非貫通孔を有する多層板も挙げられる。厚みは60μm〜3.2mmであり、プリント配線板としての最終使用形態により、その材質と厚みが選定される。金属層の材料としては、銅、アルミニウム、銀、金等が挙げられるが、銅が最も一般的である。これらプリント配線板用基板の例は、「プリント回路技術便覧−第二版−」((社)プリント回路学会編、1987年刊、日刊工業新聞社発刊)や「多層プリント回路ハンドブック」(J.A.スカーレット(Scarlett)編、1992年刊、(株)近代化学社発刊)に記載されている。
リードフレーム用基板としては、鉄ニッケル合金、銅系合金等の基板が挙げられる。
回路基板とは、絶縁性基板上に半導体チップ等の電子部品を接続するための接続パッドが形成された基板である。接続パッドは銅等の金属からなる。また、回路基板には、導体配線が形成されていてもよい。回路基板を作製する方法は、例えばサブトラクティブ法、セミアディティブ法、アディティブ法が挙げられる。サブトラクティブ法では、例えば、上記のプリント配線板用基板にエッチングレジストパターンを形成し、露光工程、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程を実施して回路基板が作製される。
<薄膜化装置>
図1、図3及び図4は、本考案の薄膜化装置の一例を示す概略図である。本考案の薄膜化装置は、基板3上に形成されたレジスト層に薄膜化処理液1を供給し、レジスト層中の成分をミセル化させる薄膜化処理ユニット11を備えてなる。薄膜化処理ユニット11は、薄膜化処理液が入っているディップ槽2を有する。
薄膜化処理ユニット11では、レジスト層が形成された基板3が、投入口7から薄膜化処理ユニット11へと投入される。基板3は、ディップ槽2の入口ロール対27を通過した後、搬送ロール対4によって、ディップ槽2中の薄膜化処理液1に浸漬された状態で搬送され、ディップ槽2の出口ロール対5を通過する。これらの処理によって、基板3上のレジスト層中の成分は薄膜化処理液1によってミセル化され、このミセルが薄膜化処理液1に対して不溶化される。
薄膜化処理液1は、薄膜化処理液貯蔵タンク13中の薄膜化処理液吸込口14から薄膜化処理液供給用ポンプ(図示せず)によって吸い込まれ、薄膜化処理液供給管15を経てディップ槽2に供給される。ディップ槽2に供給された薄膜化処理液1は、オーバーフローし、薄膜化処理液回収管16を通って薄膜化処理液貯蔵タンク13に回収される。このようにして、薄膜化処理液1は、ディップ槽2と薄膜化処理貯蔵タンク13との間を循環する。薄膜化処理液ドレン管17からは、余剰分の薄膜化処理液1が排出される。
薄膜化処理液1として使用されるアルカリ水溶液に用いられるアルカリ性化合物としては、例えばリチウム、ナトリウム又はカリウム等のアルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アンモニウムリン酸塩、アンモニウム炭酸塩等の無機アルカリ性化合物;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキサイド(コリン、Choline)等の有機アルカリ性化合物が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、単独で用いてもよいし、混合物としても使用できる。薄膜化処理液1の媒体である水には、水道水、工業用水、純水等を用いることができるが、特に純水を使用することが好ましい。
アルカリ性化合物の含有量は、0.1質量%以上50質量%以下で使用できる。また、レジスト層表面をより均一に薄膜化するために、薄膜化処理液1に、硫酸塩、亜硫酸塩を添加することもできる。硫酸塩又は亜硫酸塩としては、リチウム、ナトリウム又はカリウム等のアルカリ金属硫酸塩又は亜硫酸塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属硫酸塩又は亜硫酸塩が挙げられる。
薄膜化処理液1のアルカリ性化合物としては、これらの中でも特に、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物;TMAH、コリンから選ばれる有機アルカリ性化合物を好ましく使用することができる。これらのアルカリ性化合物は、単独で用いてもよいし、混合物としても使用できる。また、アルカリ性化合物の含有量が5〜25質量%であるアルカリ水溶液が、表面をより均一に薄膜化できるため、好適に使用できる。アルカリ性化合物の含有量が5質量%未満では、薄膜化された後のレジスト層の厚みが不均一になる場合がある。また、25質量%を超えると、アルカリ性化合物の析出が起こりやすくなる場合があり、液の経時安定性、作業性に劣る場合がある。アルカリ性化合物の含有量は7〜17質量%がより好ましく、8〜13質量%がさらに好ましい。薄膜化処理液1として使用されるアルカリ水溶液のpHは10以上とすることが好ましい。また、界面活性剤、消泡剤、溶剤等を適宜添加することもできる。
薄膜化処理液1として使用されるアルカリ水溶液の温度は、15〜35℃が好ましく、さらに好ましくは20〜30℃である。温度が低すぎると、レジスト層へのアルカリ性化合物の浸透速度が遅くなる場合があり、所望の厚みを薄膜化するのに長時間を要する。一方、温度が高すぎると、レジスト層へのアルカリ性化合物の浸透と同時に溶解拡散が進行することにより、薄膜化された後のレジスト層の厚みが不均一になる場合がある。
薄膜化処理ユニット11の後に備えられたミセル除去処理ユニット12では、薄膜化処理ユニット11においてレジスト層が薄膜化処理液1に対して不溶化された基板3が搬送ロール対4によって搬送される。搬送されている基板3に対して、ミセル除去液スプレー22によってミセル除去液10が供給され、ミセルが一挙に溶解除去される。
ミセル除去液10は、ミセル除去液貯蔵タンク18中のミセル除去液吸込口19からミセル除去液10をミセル除去液供給用ポンプ(図示せず)で吸い込み、ミセル除去液供給管20を経てミセル除去液用ノズル21からミセル除去液スプレー22として噴射される。ミセル除去液スプレー22は、基板3から流下した後、ミセル除去液貯蔵タンク18に回収される。このようにして、ミセル除去液10はミセル除去処理ユニット12内を循環する。ミセル除去液ドレン管23からは、余剰分のミセル除去液10が排出される。
ミセル除去液10としては、水を用いることもできるが、薄膜化処理液1よりも希薄なアルカリ性化合物を含有するpH5〜10の水溶液を用いることが好ましい。ミセル除去液10によって、薄膜化処理液で不溶化されたレジスト層の成分のミセルが再分散されて除去される。ミセル除去液10に使用される水としては、水道水、工業用水、純水等を用いることができるが、特に純水を使用することが好ましい。ミセル除去液10のpHが5未満の場合、レジスト層の成分が凝集し、不溶性のスラッジとなって、薄膜化後のレジスト層表面に付着する場合がある。一方、ミセル除去液10のpHが10を超えた場合、レジスト層が過度に溶解拡散し、面内で薄膜化されたレジスト層の厚みが不均一になる場合がある。また、ミセル除去液10は、硫酸、リン酸、塩酸などを用いて、pHを調整することができる。
ミセル除去処理におけるミセル除去液スプレー22の条件(温度、スプレー圧、供給流量)は、薄膜化処理されるレジスト層の溶解速度に合わせて適宜調整される。具体的には、処理温度は10〜50℃が好ましく、より好ましくは15〜35℃である。また、スプレー圧は0.01〜0.5MPaとするのが好ましく、より好ましくは0.1〜0.3MPaである。ミセル除去液10の供給流量は、レジスト層1cm2当たり0.030〜1.0L/minが好ましく、0.050〜1.0L/minがより好ましく、0.10〜1.0L/minがさらに好ましい。供給流量がこの範囲であると、薄膜化後のレジスト層表面に不溶解成分を残すことなく、面内略均一に不溶化したレジスト層の成分のミセルを除去しやすい。レジスト層1cm2当たりの供給流量が0.030L/min未満では、不溶化したレジスト層の成分の溶解不良が起こる場合がある。一方、供給流量が1.0L/minを超えると、供給のために必要なポンプ等の部品が巨大になり、大掛かりな装置が必要となる場合がある。さらに、1.0L/minを超えた供給量では、レジスト層の成分の溶解拡散に与える効果が変わらなくなることがある。スプレーの方向は、レジスト層表面に効率よく液流れを作るために、レジスト層表面に垂直な方向に対して、傾いた方向から噴射することが好ましい。
<薄膜化処理液逆流防止機構>
薄膜化処理ユニット11において、投入口7から投入された基板3の先端がディップ槽2の入口ロール対27の間に入ると、ロール間から薄膜化処理液1がディップ槽2の上流側へ逆流し、基板3のディップ槽3に入っていない部分に付着し、逆流した薄膜化処理液1が付着したレジスト層と付着していないレジスト層とで、薄膜化量が変わってしまうため、基板3におけるレジスト量の薄膜化量が不均一になる場合があった。ディップ槽2が薄膜化処理液逆流防止機構を有することによって、薄膜化処理液1の上流側への逆流を防止することができる。
図1、3及び4は、本考案のレジスト層の薄膜化装置の一例を示す概略図である。図1、3及び4のレジスト層の薄膜化装置では、ディップ槽2が入口ロール対27を有し、薄膜化処理液逆流防止機構が、ディップ槽2の入口ロール対27の上側ロール30に荷重をかける荷重機構である。図1のレジスト層の薄膜化装置では、荷重機構が、ディップ槽2の入口ロール対27の上側ロール30上に備えられた荷重ロール29である。図2は、図1における薄膜化処理液逆流防止機構の拡大概略図であり、荷重ロール29が備えられていることで、ディップ槽2の入口ロール対27間に挟まれている基板3に荷重が付与され、基板3とディップ槽2の入口ロール対27とが密着し、薄膜化処理液が上流側へと逆流することを防ぐことができる。荷重機構として、ディップ槽2の入口ロール対27の上側ロール30の幅方向端部に露出しているロールシャフト28に荷重を付与する機構も有用であるが、基板3とディップ槽2の入口ロール対27との密着性が優れている点で、荷重ロール29の方が好ましい。
図3及び図4のレジスト層の薄膜化装置では、荷重機構が、下側ロール32よりも重い上側ロール30を有する、ディップ槽2の入口ロール対27である。図3では、上側ロール30における表面の弾性体として、下側ロール32の弾性体よりも密度の大きい弾性体を使用している。図4では、上側ロールにおけるロールシャフト31の重さが、下側ロールにおけるロールシャフト28よりも重い。
本考案の薄膜化装置に使用される搬送ロール対4は、基板3を搬送することができることに加え、レジスト層表面に密着することが好ましい。搬送ロールは、表面に凹凸のないストレートタイプのものが好適に用いられる。搬送ロールの種類としては、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)やアクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、シリコーン、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、フッ素等のゴムロール;発泡ポリビニルアルコール(PVA)、発泡ポリ塩化ビニル(PVC)等のスポンジロール;金属ロール;ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂ロール等が挙げられる。その中でも、優れたゴム弾性(シール性、回復性)を有し、比重が小さく、軽量であり、低硬度から中硬度であり、レジスト層への接触による衝撃が少なく、高濃度のアルカリ水溶液である薄膜化処理液1への耐薬品性にも優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー、又は、塩ビ系熱可塑性エラストマーのロールが好ましい。オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、サーモラン(THERMORUN、登録商標)、塩ビ系熱可塑性エラストマーとしては、サンプレーン(SUNPRENE、登録商標)が挙げられる。また、搬送ロールの設置位置及び本数は、基板3を搬送することができれば、特に図1、図2及び図4に示される設置位置及び本数に限定されるものではない。
荷重ロール29も、搬送ロール対4と同じ種類、機能、物性のロールを使用することができる。また、適正な荷重を付与するために、荷重ロール29全体、荷重ロール29のロールシャフトの重さを適宜変更することができる。ディップ槽2の入口ロール対27の下側ロール32も、搬送ロール対4と同じ種類、機能、物性のロールを使用することができる。ディップ槽2の入口ロール対27の上側ロール30としては、下側ロール32よりも重くすること以外は、搬送ロール対4と同じ種類、機能、物性のロールを使用することができる。
ディップ槽の出口ロール対5、薄膜化処理ユニットの出口ロール対6、ミセル除去処理ユニットの入口ロール対9も、搬送ロール対4と同じ種類、機能、物性のロールが好適に用いられる。特に、ディップ槽の出口ロール対5は、ディップ槽2における薄膜化処理液1の液面維持及びレジスト層表面に被覆された薄膜化処理液1の液膜を掻き落とす液切りのために用いられる。また、薄膜化処理ユニットの出口ロール対6は、ミセル除去処理ユニット12への薄膜化処理液1の持ち込みと薄膜化処理ユニット11へのミセル除去液10の逆流を抑制するために用いられる。ミセル除去処理ユニットの入口ロール対9は主に薄膜化処理ユニット内に逆流してくるミセル除去液10を堰き止めるために用いられる。
また、図1、2及び4には図示されていないが、薄膜化処理ユニット11内部のディップ槽の出口ロール対5と薄膜化処理ユニットの出口ロール対6との間に、図6に図示されているような、液切りロール対8が設置されていてもよい。液切りロール対8によって、薄膜化処理液1の液膜は掻き落とされ、かつ、該液膜の厚みが均一に揃えられる。薄膜化処理液1の液膜が均一に揃えられた基板3は、薄膜化処理ユニットの出口ロール対6を通過した後、ミセル除去処理ユニット12へと搬送される。液切りロール対8は、1対でもその効果はあるが、複数のロール対で連続的に液切りすることでさらに大きな効果が得られる。液切りロール対8は、レジスト層表面に密着することが重要である。そのため、液切りロールとしては、表面に凹凸のないストレートタイプのものが好適に用いられる。液切りロールの種類としては、上記搬送ロールと同じ種類が好適に用いられる。
以下実施例によって本考案をさらに詳しく説明するが、本考案はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ガラス基材エポキシ樹脂基板(面積510mm×340mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.2mm、三菱ガス化学社(MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.)製、商品名:CCL−E170)にドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト(日立化成社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、商品名:RY3625、厚み25μm)を熱圧着し、レジスト層を形成した。
次に、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離した後、薄膜化処理ユニット11が、薄膜化処理液が入っているディップ槽2を有し、ディップ槽2が薄膜化処理液逆流防止機構を有し、ディップ槽2が入口ロール対27を有し、薄膜化処理液逆流防止機構が、ディップ槽の入口ロール対27の上側ロールに荷重をかける荷重機構であり、荷重機構が荷重ロール29であるレジスト層の薄膜化装置(図1)を使用して、レジスト層を薄膜化した。
このレジスト層の薄膜化装置では、薄膜化処理ユニット11において、投入口7から投入された基板3の先端がディップ槽2の入口ロール対27の間に入ると、荷重ロール29が備えられていることによって、ディップ槽2の入口ロール対27間に挟まれている基板3に荷重が付与される。そして、基板3とディップ槽2の入口ロール対27とが密着し、薄膜化処理液1が上流側へと逆流することを防ぐことができた。
薄膜化処理液1(アルカリ水溶液)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、ディップ槽2における浸漬処理時間が30秒となるように薄膜化処理を行った。その後、ミセル除去処理ユニット12において、不溶化したミセルを除去し、レジスト層を薄膜化した。ミセル除去処理後に、水洗処理及び乾燥処理を実施した。その後、レジスト層の薄膜化部の厚みを10点測定したところ、最大値は13.3μmであり、最小値は10.9μmであり、平均厚みは12.1μmだった。また、薄膜化されたレジスト層の表面を光学顕微鏡で観察したところ、平滑な面であることが確認された。
(実施例2)
薄膜化処理液逆流防止機構が、下側ロール32よりも重い上側ロール30を有する、ディップ槽2の入口ロール対27であり、上側ロール30における表面の弾性体として、下流ロール32の弾性体よりも密度の大きい弾性体を使用しているレジスト層の薄膜化装置(図3)を使用した以外は、実施例1と同様に、レジスト層を薄膜化した。このレジスト層の薄膜化装置でも、ディップ槽2の入口ロール対27の上流側へ薄膜化処理液1が上流側へと逆流することを防ぐことができた。レジスト層の薄膜化部の厚みを10点測定したところ、最大値は13.2μmであり、最小値は11.0μmであり、平均厚みは12.2μmだった。また、薄膜化されたレジスト層の表面を光学顕微鏡で観察したところ、平滑な面であることが確認された。
(実施例3)
薄膜化処理液逆流防止機構が、下側ロール32よりも重い上側ロール30を有する、ディップ槽2の入口ロール対27であり、上側ロールにおけるロールシャフト31が、下流ロールのロールシャフト28よりも重い、レジスト層の薄膜化装置(図4)を使用した以外は、実施例1と同様に、レジスト層を薄膜化した。このレジスト層の薄膜化装置でも、ディップ槽2の入口ロール対27の上流側へ薄膜化処理液1が上流側へと逆流することを防ぐことができた。レジスト層の薄膜化部の厚みを10点測定したところ、最大値は13.1μmであり、最小値は11.1μmであり、平均厚みは12.2μmだった。また、薄膜化されたレジスト層の表面を光学顕微鏡で観察したところ、平滑な面であることが確認された。
(比較例1)
薄膜化処理液逆流防止機構が無いレジスト層の薄膜化装置(図5)を使用した以外は、実施例1と同様に、レジスト層を薄膜化した。このレジスト層の薄膜化装置では、ディップ槽2の入口ロール対27の上流側へ薄膜化処理液1が上流側へと逆流した。レジスト層の薄膜化部の厚みを10点測定したところ、最大値は13.5μmであり、最小値は10.6μmであり、平均厚みは11.8μmだった。また、薄膜化されたレジスト層の表面を光学顕微鏡で観察したところ、厚みが不均一であった。