JP3230583U - フィルター及びマスク - Google Patents
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Abstract
【課題】微粒子を捕集する性能を高くすることが可能であり、かつ、捕集した有害物の有害性を低減することが可能なフィルター及び本フィルターを用いたマスクを提供する。【解決手段】フィルター1は、微粒子を99%以上捕集可能であり、かつ、抗ウイルス性、抗菌性、抗アレルゲン性及び抗臭気物質性のうち少なくとも一つを有し、繊維を構成要素とする第1通気層10及び第2通気層20と、その中間に配置され、基板層32上に形成されるナノファイバー層30とを備える。第1通気層及び第2通気層の少なくとも一方には、抗ウイルス性、抗菌性、抗アレルゲン性及び抗臭気物質性のうち少なくとも一つを有する剤が担持される。またマスクは、鼻口を覆うための被覆部材と、被覆部材に配設された装着部材とを備え、被覆部材がフィルターを有する。【選択図】図1
Description
本考案は、フィルター及びマスクに関する。
従来、鼻口を覆うための被覆部材と、被覆部材に配設された装着部材(例えば、耳にかける紐)とを備え、被覆部材にフィルターが配置されているマスクが広く知られている(例えば、特許文献1 参照。)。フィルターとしては、織布、不織布及び吸着体(例えば、多孔質体)を単独で又は組み合わせて用いるものが一般的に用いられている。
マスクにおいて特に重要な性能は、微粒子(微小物質)を捕集する性能である。特に、近年においては、従来あまり意識されてこなかった微小な有害物質による健康への影響についての研究が進んできた他、新型ウイルス(数十nm〜数百nm程度の大きさであることが多い)による疾病の世界的流行もあり、一般向けのマスクの分野においても微粒子を捕集する性能についての関心が非常に高くなってきている。
マスク及びフィルターの性能の試験方法や評価方法には様々なものがあるが、例えば、試験粒子として0.1μm程度の微粒子を用いる試験が広く用いられており、当該試験の結果(捕集効率)が99%以上であるマスク及びフィルターは高い性能を有すると評価されることが多い。なお、上記試験としては、米国材料試験協会規格(ASTM規格)のASTM F 2299に基づいて実施されるPFE(Particle Filtration Efficiency、微粒子捕集効率)試験(分野の実情等に合わせて一部条件を変更した試験を含む)が有名である。
ところで、従来広く普及しているマスク用のフィルターでは、非常に小さい試験粒子を用いる上記PFE試験を、物理的な構造だけで、99%以上という成績でクリアすることは困難である。このため、マスク用のフィルターにおいては、帯電加工によりフィルターを帯電させ、電気的な力によって微粒子を捕集する性能を補うことが一般的となっている。
しかし、帯電加工によるフィルターの帯電量は使用時間や使用環境等に応じて減少する。このため、捕集性能を帯電加工に頼るフィルター及びマスクには、フィルターの帯電量が減少すると十分な捕集性能を発揮できなくなり、かつ、それを視覚的に判別することもできないという問題がある。
帯電加工に依存せずに微粒子を捕集する性能を高くすることができる(例えば、上記PFE試験を99%以上という成績でクリアすることができる)フィルターとしては、例えば、ナノファイバーを用いるものを挙げることができる。このようなフィルターとして、従来、通気層とナノファイバー層とを備えるフィルターが知られている(例えば、特許文献2参照。)。当該フィルターによれば、ナノファイバーからなるナノファイバー層の性質(微細な繊維径に起因する広い表面積、微細な空隙等)により、帯電加工に依存せずに微粒子を捕集する性能を高くすることが可能となる。ナノファイバー層を有するフィルターをマスクに応用することにより、フィルターの帯電量の減少による性能低下に悩まされないマスクを製造することができると考えられる。また、極細繊維であるナノファイバーを構成要素とするナノファイバー層は、孔径の小ささ、比表面積の大きさ及び空隙率の高さにおいて特に顕著な特徴を有する。このため、ナノファイバーを用いるフィルターでは、微粒子を捕集する性能の高さを、薄さ及び通気性の良さと両立させることができる。
ところで、フィルターを人間が装着するマスクの構成要素として用いる場合、ウイルス、細菌、アレルゲン、真菌等の有害物がフィルターに捕集される。特に、ナノファイバーを用いたフィルターのような微粒子を捕集する性能が高いフィルターには、多くの有害物が捕集されると考えられる。マスクのフィルターにおいてこれらの有害物の有害性を低減することが可能であれば、マスクの装着者のみならず、装着者の周囲にいる者、廃棄物を運搬・処理する者等にとっても、捕集された有害物によって被害を受けるリスクを低減することが可能となると考えられる。
そこで、本考案は上記課題に鑑みてなされたものであり、微粒子を捕集する性能を高くすることが可能であり、かつ、捕集した有害物の有害性を低減することが可能であるフィルターを提供することを目的とする。また、本考案は、本考案のフィルターを用いたマスクを提供することも目的とする。
本考案のフィルターは、微粒子を99%以上捕集可能であり、かつ、抗ウイルス性、抗菌性、抗アレルゲン性及び抗臭気物質性のうち少なくとも一つを有することを特徴とする。
本考案のマスクは、鼻口を覆うための被覆部材と、前記被覆部材に配設された装着部材とを備え、前記被覆部材は、本考案のフィルターを有することを特徴とする。
本考案のフィルターは、微粒子を99%以上捕集可能であり、かつ、抗ウイルス性、抗菌性、抗アレルゲン性及び抗臭気物質性のうち少なくとも一つを有するため、微粒子を捕集する性能を高くすることが可能であり、かつ、捕集した有害物の有害性を低減することが可能であるフィルターとなる。
また、本考案のマスクは、本考案のフィルターを用いるため、微粒子を捕集する性能を高くすることが可能であり、かつ、捕集した有害物の有害性を低減することが可能であるマスクとなる。このため、本考案のマスクは、マスクの装着者のみならず、装着者の周囲にいる者、廃棄物を運搬・処理する者等にとっても、捕集された有害物による被害を受けるリスクを低減することが可能なマスクとなる。
なお、本考案のフィルターはマスクの構成要素として使用することを念頭に考案されたものであるが、マスク以外の用途に応用することもできる。例えば、内部が密閉空間となりやすい場所や物(例えば、高層ビルディングをはじめとする多くの近代建築物や、自動車、列車、飛行機等の乗り物)や、有害物の存在が深刻な危機を発生させうる場所(例えば、病院や研究所)で使用する空気清浄機、空調機器等の構成要素として使用することもできる。
以下、本考案のフィルター及びマスクを図に示す各実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、各図面に示す構造等は全て模式的なものであり、必ずしも現実に即したものとはなっていない。以下に説明する各実施形態は、実用新案登録請求の範囲に係る考案を限定するものではない。また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本考案に必須であるとは限らない。以下の説明においては、実質的に同一の構成要素については実施形態をまたいで同一の符号を付し、再度の説明は省略する。
[実施形態1]
1.フィルター1
図1は、実施形態1に係るフィルター1を説明するために示す図である。図1(a)はフィルター1の平面図であり、図1(b)は図1(a)のA1−A1断面図である。なお、図1(b)においては、フィルター1の構造をわかりやすくするため、フィルター1を厚さ方向に大きく拡大して示している。後述する図2、図3(c)、図4(b)及び図5においても同様であるが、図3(c)においては他の図よりもフィルター1の厚さの拡大度合いを小さくして表示している。
1.フィルター1
図1は、実施形態1に係るフィルター1を説明するために示す図である。図1(a)はフィルター1の平面図であり、図1(b)は図1(a)のA1−A1断面図である。なお、図1(b)においては、フィルター1の構造をわかりやすくするため、フィルター1を厚さ方向に大きく拡大して示している。後述する図2、図3(c)、図4(b)及び図5においても同様であるが、図3(c)においては他の図よりもフィルター1の厚さの拡大度合いを小さくして表示している。
実施形態1に係るフィルター1は、微粒子を99%以上捕集可能であり、かつ、抗ウイルス性、抗菌性、抗アレルゲン性及び抗臭気物質性のうち少なくとも一つを有する。フィルター1は、図1に示すように、繊維を構成要素とする第1通気層10及び第2通気層20と、第1通気層10と第2通気層20との間に配置され、ナノファイバーを構成要素とするナノファイバー層30とを備える。また、フィルター1は、ナノファイバー層30を形成する際の基材である基材層32も備える。フィルター1は、後述するマスク100に用いるためのフィルターである。なお、フィルター1においては、「微粒子を99%以上捕集可能であること」は主にナノファイバー層30により達成され、「抗ウイルス性、抗菌性、抗アレルゲン性及び抗臭気物質性」は主に第1通気層10と第2通気層20により得られる。「微粒子を99%以上捕集可能である」という効果を得られるかどうかは、FDA(Food and Drug Administration、米国食品医薬品局)によるサージカルマスクのPFE試験規格に則り、ASTM規格のASTM F 2299に基づく試験(ただし、試験粒子として0.1μmの粒子を用い、試験粒子の電気的中和は行わない)により判定する。
1−1.第1通気層10及び第2通気層20
第1通気層10及び第2通気層20は、不織布であっても織布であってもよい。また、第1通気層10及び第2通気層20は、それぞれ単一の層からなるものであってもよいし、接合された複数の層からなるものであってもよい。第1通気層10及び第2通気層20における繊維の太さは任意であるが、フィルター1の強度及びナノファイバー層30との役割分担の観点からは、ナノファイバー層30のナノファイバーよりも太い繊維を用いることが好ましい。第1通気層10及び第2通気層20における繊維の材料も任意であるが、例えば、後述する剤としてアースプラス(株式会社信州セラミックスの登録商標)を用いる場合には、セルロース系の再生繊維や、ポリエチレンテレフタラート(PET)等の合成樹脂を好適に用いることができる。主に通気性の観点から、第1通気層10及び第2通気層20における繊維は、層の総重量の半分以上の重量を占めることが好ましい。
第1通気層10及び第2通気層20は、不織布であっても織布であってもよい。また、第1通気層10及び第2通気層20は、それぞれ単一の層からなるものであってもよいし、接合された複数の層からなるものであってもよい。第1通気層10及び第2通気層20における繊維の太さは任意であるが、フィルター1の強度及びナノファイバー層30との役割分担の観点からは、ナノファイバー層30のナノファイバーよりも太い繊維を用いることが好ましい。第1通気層10及び第2通気層20における繊維の材料も任意であるが、例えば、後述する剤としてアースプラス(株式会社信州セラミックスの登録商標)を用いる場合には、セルロース系の再生繊維や、ポリエチレンテレフタラート(PET)等の合成樹脂を好適に用いることができる。主に通気性の観点から、第1通気層10及び第2通気層20における繊維は、層の総重量の半分以上の重量を占めることが好ましい。
第1通気層10及び第2通気層20の少なくとも一方には、抗ウイルス性、抗菌性、抗アレルゲン性及び抗臭気物質性のうち少なくとも一つを有する剤が担持されている。フィルター1においては、第1通気層10及び第2通気層20の両方に剤が担持されている。フィルター1における「抗ウイルス性、抗菌性、抗アレルゲン性及び抗臭気物質性」及びこれらの性質の効果である「有害物の有害性を低減する効果」は、有害物の種類にもよるが、有害物の化学的・物理的構造に影響を与えて、有害物を不活性化、低毒性化、無害化、増殖抑制、殺菌等することにより得られる。このため、当該剤としては、有害物(大部分は有機物からなると考えられる)を分解する触媒又は当該触媒を含有する混合物を好適に用いることができる。
本明細書における「有害物を分解する」は、分解対象の有害物全体を完全に分解することと、有害物の一部のみを分解することとの両方を含む。また、本明細書における「有害物を分解する」は、有害物の分子構造の一部(例えば、特定の化学結合)を分解することも含む。
フィルター1における剤は、金属からなる粒子と酸化チタンからなる粒子とが互いに結合した金属−酸化チタン結合体粒子を含有するものである。本明細書における「酸化チタン」は、チタンと酸素とが結合した物質のことをいう。なお、本明細書における「酸化チタン」は、構造中にその他の元素を含むものであってもよい。酸化チタンとしては、二酸化チタン(TiO2、酸化チタン(IV)と表現されることもある)を好適に用いることができる。金属からなる粒子としては、例えば、金、銀、白金、銅又はそれらの混合物からなる粒子を用いることができる。各粒子の粒子径は、例えば、0.1μm〜100μm程度とすることができる。このような粒子径とすることで、環境に対する有害作用を有しないようにしつつ、有害物の有害性を低減する効果を得ることが可能となる。当該金属−酸化チタン結合体粒子においては、金属からなる粒子の一部が、酸化チタンからなる粒子にくいこむような結合をしている。なお、上記粒子径や構造は、本考案の権利範囲を限定するものではない。
フィルター1における剤は、吸着剤を含有する。フィルター1における吸着剤は、具体的にはハイドロキシアパタイトからなる。
フィルター1における剤としては、具体的には、アースプラス(株式会社信州セラミックスの登録商標)を好適に用いることができる。アースプラス(株式会社信州セラミックスの登録商標)は、銀からなる粒子の一部が酸化チタンからなる粒子の物理的な結合、例えば内部にくいこむような構造をした銀−酸化チタン結合体粒子とハイドロキシアパタイトとを含有する、不溶性の複合機能材料である。
アースプラス(株式会社信州セラミックスの登録商標)における銀−酸化チタン結合体粒子は、化学結合ではなく、むしろ機械的な物理結合により材料粒子を結合させたものである。当該銀−酸化チタン結合体粒子は、例えば、ボールミル、高温ローラー、超音波圧着法等により、銀からなる粒子と二酸化チタンからなる粒子とを熱結合、圧力結合又は熱圧結合することにより得ることができる。
なお、酸化チタンは、一般的には光触媒として知られている。例えば、単に酸化チタンのみをマスク内に配置しても、光が届かないために触媒としての能力を発揮できない。しかしながら、本考案のような金属−酸化チタン結合体粒子は、光が届かなくても有機物を分解可能であることが知られている。特にアースプラス(株式会社信州セラミックスの登録商標)における銀−酸化チタン結合体粒子は、所定の製造方法により得られた構造に起因して、光が届かない場合でも抗ウイルス性、抗菌性、抗アレルゲン性及び抗臭気物質性を発揮することができる。このため、剤がアースプラス(株式会社信州セラミックスの登録商標)である場合には、マスク内のような光が届かない場所に配置されている場合であっても、十分にその効果を得ることができる。
これまで説明してきたような剤の担持は、例えば、剤を液中に分散させて剤の分散液を作製し、当該分散液に通気層の材料である不織布又は織布を浸漬し、その後液分を蒸発させることで実施することができる。
1−2.ナノファイバー層30
本明細書における「ナノファイバー」とは、平均径が数nm〜1000nm程度の繊維のことをいう。ナノファイバー層30は、ナノファイバーの不織布からなることが好ましい。ナノファイバー層30は、単一の層からなるものであってもよいし、複数の層からなるものであってもよい。ナノファイバー層30の目付は任意であるが、例えば、目付は0.01g/m2〜1.5g/m2の範囲内とすることが好ましく、0.05g/m2〜0.4g/m2の範囲内とすることが一層好ましい。また、ナノファイバー層30におけるナノファイバーの太さは任意であるが、例えば、平均繊維径を50nm〜200nmの範囲内とすることが好ましい。ナノファイバーの材料も任意であるが、繊維径の細いナノファイバーを安定して得るという観点からは、例えば、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリアミド及びポリフッ化ビニリデンを特に好適に用いることができる。
本明細書における「ナノファイバー」とは、平均径が数nm〜1000nm程度の繊維のことをいう。ナノファイバー層30は、ナノファイバーの不織布からなることが好ましい。ナノファイバー層30は、単一の層からなるものであってもよいし、複数の層からなるものであってもよい。ナノファイバー層30の目付は任意であるが、例えば、目付は0.01g/m2〜1.5g/m2の範囲内とすることが好ましく、0.05g/m2〜0.4g/m2の範囲内とすることが一層好ましい。また、ナノファイバー層30におけるナノファイバーの太さは任意であるが、例えば、平均繊維径を50nm〜200nmの範囲内とすることが好ましい。ナノファイバーの材料も任意であるが、繊維径の細いナノファイバーを安定して得るという観点からは、例えば、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリアミド及びポリフッ化ビニリデンを特に好適に用いることができる。
実施形態1においては、ナノファイバー層30は剤を担持していない。なお、実施形態1及び後述する各実施形態における説明は、本考案においてナノファイバー層30に剤が存在することを否定するものではない。ナノファイバー層30はナノファイバー以外の物質を有していてもよいが、主に通気性及びフィルター性能の観点から、ナノファイバー層30におけるナノファイバーは、層の総重量の半分以上の重量を占めることが好ましい。
基材層32は、構成要素として繊維を用いる場合には、強度及び取り扱いやすさの観点から、ナノファイバー層30のナノファイバーよりも太い繊維を用いることが好ましい。基材層32は、通気性を有するのであれば、必ずしも繊維を用いたものでなくてもよい。なお、基材層32自体も何らかの物質を捕集する能力を有していてもよい。
2.フィルター1の製造方法
図2は、実施形態1に係るフィルター1の製造方法を説明するために示す図である。図2(a)は準備工程を説明するための図であり、図2(b)及び図2(c)は一体化工程を説明するための図である。なお、図2の各図は、図1(b)に対応する断面図である。
図2は、実施形態1に係るフィルター1の製造方法を説明するために示す図である。図2(a)は準備工程を説明するための図であり、図2(b)及び図2(c)は一体化工程を説明するための図である。なお、図2の各図は、図1(b)に対応する断面図である。
実施形態1に係るフィルター1は、例えば、準備工程及び一体化工程を含む、以下のような方法により製造することができる。
準備工程は、繊維を構成要素とする第1通気層10及び第2通気層20と、ナノファイバーを構成要素とするナノファイバー層30とを準備する工程である。実施形態1においては、第1通気層10、第2通気層20及び基材層32と一体化しているナノファイバー層30を別々に準備する(図2(a)参照。)。これらの準備方法は一般的な事項であるため、詳細な説明は省略する。
一体化工程は、第1通気層10と第2通気層20との間にナノファイバー層30を配置した状態で、第1通気層10、第2通気層20及びナノファイバー層30を一体化させる工程である。実施形態1における一体化工程においては、粒状の熱可塑性樹脂からなる接着剤40,42を用い、熱及び圧力をかけて第1通気層10、第2通気層20及びナノファイバー層30を接着する。当該工程も一般的な事項であるため、詳細な説明は省略する。
以上の工程により、実施形態1に係るフィルター1を製造することができる。なお、フィルターの製造方法は、必要に応じて他の工程(例えば、打ち抜きや切断によりフィルター1の形状を形成する工程)をさらに含んでいてもよい。
3.マスク100
図3は、実施形態1に係るマスク100を説明するために示す図である。図3(a)はマスク100を装着時に外側にすべき側から見た平面図であり、図3(b)は図3(a)の反対側から見た図(底面図)であり、図3(c)は図3(a)のA2−A2断面図であり、図3(d)は被覆部材110にフィルター1を装着する様子を説明するための斜視図である。
図3は、実施形態1に係るマスク100を説明するために示す図である。図3(a)はマスク100を装着時に外側にすべき側から見た平面図であり、図3(b)は図3(a)の反対側から見た図(底面図)であり、図3(c)は図3(a)のA2−A2断面図であり、図3(d)は被覆部材110にフィルター1を装着する様子を説明するための斜視図である。
実施形態1に係るマスク100は、図3に示すように、鼻口を覆うための被覆部材110と、被覆部材110に配設された装着部材120とを備える。被覆部材110は、実施形態1に係るフィルター1を有する。フィルター1は、フィルター1以外の被覆部材110の構成要素から独立しており、交換可能である。マスク100は、被覆部材110内に配置されているフィルター1の効果により、微粒子を99%以上捕集可能であり、かつ、捕集した有害物の有害性を低減することが可能である。
被覆部材110においては、表側部材112(装着時に外気側に向けるべき部材)と裏側部材114(装着時に装着者側に向けるべき部材)との間に空間が存在する。フィルター1は、当該空間内に配置される。フィルター1の装着及び離脱は、開口部116を介しておこなう(図3(d)参照。)。なお、マスク100においては、開口部116は裏側部材114の装着時に上方に来る側にあるが、開口部116は他の位置にあってもよい(例えば、裏側部材の側方。後述する実施例参照。)。
表側部材112及び裏側部材114は、連続している一つの部材からなるものであってもよいし、別の部材を接合(縫合)したものであってもよい。マスク100においては、表側部材112及び裏側部材114は、通気性を有する織布からなることが好ましい。
4.実施形態1に係るフィルター1及びマスク100の効果
実施形態1に係るフィルター1は、微粒子を99%以上捕集可能であり、かつ、抗ウイルス性、抗菌性、抗アレルゲン性及び抗臭気物質性のうち少なくとも一つを有するため、微粒子を捕集する性能を高くすることが可能であり、かつ、捕集した有害物の有害性を低減することが可能であるフィルターとなる。
実施形態1に係るフィルター1は、微粒子を99%以上捕集可能であり、かつ、抗ウイルス性、抗菌性、抗アレルゲン性及び抗臭気物質性のうち少なくとも一つを有するため、微粒子を捕集する性能を高くすることが可能であり、かつ、捕集した有害物の有害性を低減することが可能であるフィルターとなる。
また、実施形態1に係るフィルター1によれば、ナノファイバーを構成要素とするナノファイバー層30を備えるため、帯電加工に依存せずとも微粒子を捕集する性能を高くすることが可能となる。また、実施形態1に係るフィルター1によれば、ナノファイバー層30における孔径の小ささ、比表面積の大きさ及び空隙率の高さにより、微粒子を捕集する性能の高さを、薄さ及び通気性の良さと両立させることができる。さらに、実施形態1に係るフィルター1によれば、第1通気層10及び第2通気層20の少なくとも一方には、抗ウイルス性、抗菌性、抗アレルゲン性及び抗臭気物質性のうち少なくとも一つを有する剤が担持されているため、有害物の化学的・物理的構造に影響を与えることで、捕集した有害物の有害性を低減することが可能となる。
また、実施形態1に係るフィルター1によれば、第1通気層10及び第2通気層20の両方に剤が担持されているため、フィルター1のどちら側に有害物が存在する場合であっても、有害物の有害性を低減する効果を発揮可能である。つまり、フィルター1によれば、有害物が外部環境に存在する場合と装着者の体内に存在する場合との両方に対応することが可能となる。
また、実施形態1に係るフィルター1によれば、剤は、金属−酸化チタン結合体粒子を含有するため、安定な固定触媒により有害物の有害性を低減する効果を得ることが可能となる。
また、実施形態1に係るフィルター1によれば、金属−酸化チタン結合体粒子においては、金属からなる粒子の一部が酸化チタンからなる粒子にくいこむような結合(物理結合)をしているため、光の届かない場所でも抗ウイルス性等を得ることが可能となる。
また、実施形態1に係るフィルター1によれば、剤は、吸着剤を含有するため、金属−酸化チタン結合体粒子の離脱や捕集した有害物の離脱を抑制することが可能となる。
また、実施形態1に係るフィルター1によれば、吸着剤は、ハイドロキシアパタイトからなるため、金属−酸化チタン結合体粒子や有害物とともに水分を適切に保持することが可能となり、その結果、金属−酸化チタン結合体粒子による有害物の有害性低減を促進することが可能となる。
実施形態1に係るマスク100は、実施形態1に係るフィルター1を用いるため、微粒子を捕集する性能を高くすることが可能であり、かつ、捕集した有害物の有害性を低減することが可能であるマスクとなる。このため、実施形態1に係るマスク100は、マスク100の装着者のみならず、装着者の周囲にいる者、廃棄物を運搬・処理する者等にとっても、捕集された有害物による被害を受けるリスクを低減することが可能なマスクとなる。
また、実施形態1に係るマスク100によれば、フィルター1は交換可能であるため、使用後のフィルター1を外して廃棄し、フィルター1以外の構成要素を洗濯した後に新しいフィルター1を装着することで、長期間の使用と性能の維持とを両立することが可能となる。
ところで、織布からなる被覆部材を備えるマスクは一般に「布マスク」と呼称され、不織布からなる被覆部材を備えるマスクは「不織布マスク」と呼称される。一般に織布の方が柔らかく、折り曲げ等に強いため、布マスクは不織布マスクと比較して、丈夫である、フィット感が良い、洗濯できる、立体的な縫製がしやすい等の利点を有する。また、適切な縫製がなされている布マスクについては、装着者のくしゃみ等の際にマスクと顔との隙間から出る飛沫を少なくできるため、装着者からその周囲の人間への飛沫の到達を妨害する効果がありそうであることがスーパーコンピューターによるシミュレーション等により判明しつつある。一方、布マスクにおける微粒子を捕集する性能は不織布マスクと比較して劣る場合が多く、特にウイルスは大部分を通過させてしまうことから、布マスクはウイルスから装着者を保護するという用途には不向きであるとされている。帯電加工により高い捕集性能を得ている布マスクも市販されているが、帯電加工に依存する捕集性能は長期間持続するものではないため、洗濯も含めた長期使用が想定される布マスクと帯電加工との組み合わせは、相性が良くないと考えられる。
一方、実施形態1に係るマスク100のようにフィルター1を交換可能とすることで、布マスクの利点を損なわずに高い捕集性能を確保すること、及び、長期使用に適するマスクとすることが可能となる。なお、マスクのフィルターを交換可能とすること自体は既に知られているが(例えば、特許文献1参照。)、ナノファイバー層を有するフィルターによれば微細な繊維により高い捕集性能を確保しつつ圧倒的な薄さを実現することが可能となるため、予備のフィルターの交換、持ち運び、保管等に関する負担の低さは、本考案のマスクの大きな長所となる。
[実施形態2]
図4は、実施形態2に係るフィルター2を説明するために示す図である。図4(a)はフィルター2の平面図であり、図4(b)は図4(a)の断面図(図1(b)に対応する断面図)である。
図5は、実施形態2に係るフィルター2の製造方法を説明するために示す図である。図5(a)は準備工程を説明するための図であり、図5(b)及び図5(c)は一体化工程を説明するための図である。なお、図5の各図は、図4(b)に対応する断面図である。
図4は、実施形態2に係るフィルター2を説明するために示す図である。図4(a)はフィルター2の平面図であり、図4(b)は図4(a)の断面図(図1(b)に対応する断面図)である。
図5は、実施形態2に係るフィルター2の製造方法を説明するために示す図である。図5(a)は準備工程を説明するための図であり、図5(b)及び図5(c)は一体化工程を説明するための図である。なお、図5の各図は、図4(b)に対応する断面図である。
実施形態2に係るフィルター2は、基本的には実施形態1に係るフィルター1と同様の構成を有するが、基材層が存在しない点で実施形態1に係るフィルター1とは異なる。実施形態2に係るフィルター2は、図4に示すように、第1通気層10と、第2通気層20と、ナノファイバー層30とを備える。なお、図示は省略するが、フィルター2も、実施形態1に係るマスク100におけるフィルターとして用いることができる。
実施形態2に係るフィルター2は、例えば、準備工程及び一体化工程を含む、以下のような方法により製造することができる。
実施形態2における準備工程は、基本的には実施形態1における準備工程と同様の工程であるが、準備する第1通気層10とナノファイバー層30とが一体化している(図5(a)参照。)。このような第1通気層10及びナノファイバー層30は、第1通気層10(又はその材料)上にナノファイバーを直接形成することで得ることができる。
実施形態2における一体化工程は、第1通気層10と第2通気層20との間にナノファイバー層30を配置した状態で、第1通気層10、第2通気層20及びナノファイバー層30を一体化させる工程である。実施形態2における一体化工程においては、既に第1通気層10とナノファイバー層30とが一体化しているため、実施形態1における接着剤42に相当するものを使用する必要はない。
以上の工程により、実施形態2に係るフィルター2を製造することができる。なお、実施形態2に係るフィルターの製造方法も、必要に応じて他の工程をさらに含んでいてもよい。
実施形態2に係るフィルター2は、基材層が存在しない点で実施形態1に係るフィルター1とは異なるが、実施形態1に係るフィルター1と同様に、微粒子を99%以上捕集可能であり、かつ、抗ウイルス性、抗菌性、抗アレルゲン性及び抗臭気物質性のうち少なくとも一つを有するため、微粒子を捕集する性能を高くすることが可能であり、かつ、捕集した有害物の有害性を低減することが可能なフィルターとなる。
また、実施形態2に係るフィルター2によれば、基材層が存在しない分、全体の厚さを薄くすることが可能となり、その結果、通気性を向上させることが可能となる。
なお、実施形態2に係るフィルター2は、基材層の存在以外については実施形態1に係るフィルター1と基本的に同様の構成を有するため、実施形態1に係るフィルター1が有する効果のうち相当する効果もさらに有する。
[実施例]
図6は、実施例に係るマスク100aにおいて被覆部材110aにフィルター1aを装着する様子を示す写真である。
図6は、実施例に係るマスク100aにおいて被覆部材110aにフィルター1aを装着する様子を示す写真である。
実施例に係るフィルター1aは、実施形態1に係るフィルター1と基本的に同様の構成を有するフィルターである。また、実施例に係るマスク100aは、図6に示すように、被覆部材110aと装着部材120aとを備え、被覆部材110aにおいて表側部材(符号を図示せず。)と裏側部材114aとの間に空間が存在する、実施形態1に係るマスク100と基本的に同様の構成を有するマスクである。なお、実施例に係るマスク100aにおいては、開口部116aは裏側部材114aの側方に存在する。マスク100aにおいては、フィルター1aを差し込むようにして装着することができる。
以上、本考案を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本考案は上記の各実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
(1)上記各実施形態において記載した構成要素の数、材質、形状、位置、大きさ、角度等は例示であり、本考案の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
(2)本考案においては、上記実施形態1で説明した以外の剤を使用することもできる。例えば、酸化チタンの他に、単独で又は複合して有害物の有害性を低減しうる(例えば、有機物を分解する反応の触媒となる)物質を用いることもできる。当該物質の候補としては、例えば、Cr2O3、Co3O4、Al2O3、SiC、CdS、CdSe、WO3、Fe2O3、SrTiO3、KNbO3及びこれらの組み合わせを挙げることができる。また、銀の他に、単独で又は複合して有害物の有害性を低減しうる金属(例えば、金、プラチナ、銅及びこれらの組み合わせ)を用いることもできる。さらに、吸着剤としてハイドロキシアパタイト以外の物質(例えば、ゼオライト、セピオライト、ハイドロキシアパタイト以外のアパタイト、活性炭及びこれらの組み合わせ)を用いることもできる。
(3)本考案のフィルターは、フィルターと被覆部材とが一体であるマスク又は一体化されているマスク(一般的な不織布マスクのような、フィルターの交換を考慮しないマスク)にも応用可能である。
(4)上記各実施形態においては、フィルター1,2はマスク100の構成要素として用いるためのもの(マスク用フィルター)であったが、本考案はこれに限定されるものではない。本考案のフィルターは、ウイルス等に対する通過制御や抗ウイルス性、抗菌性、抗アレルゲン性又は抗臭気物質性を活用できる用途に応用することができる。図7は、本考案のフィルターを使用可能な事例を説明するために示す図である。例えば、本考案のフィルターは、自動車200における空調機器210(図7(a)参照。)、電車300における空調機器310,312(図7(b)参照。)、航空機400における空調機器410(図7(c)参照。)、建築物500における空調機器510、暖房機器512、加湿器514(図7(d)参照。)の構成要素として用いることもできる。本考案のフィルターは薄くて取り扱いやすいため、既存の機器のフィルターにも簡易に取り付けることが可能である。また、病院等のシビアな感染対策が求められる場所では、フィルターを定期的に交換することで従来にない効果も期待される。なお、当然であるが、図7(a)〜図7(d)は概念的な模式図であり、各図に示した物の形状及び空調機器等の位置は本考案を限定するものではない。
(5)上記各実施形態におけるフィルター1,2における「第1通気層10及び第2通気層20と、ナノファイバー層30とを備え、第1通気層10及び第2通気層20の少なくとも一方には、抗ウイルス性、抗菌性、抗アレルゲン性及び抗臭気物質性のうち少なくとも一つを有する剤が担持されている」という構成はあくまで例示であり、本考案を限定するものではない。本考案のフィルターは、「微粒子を99%以上捕集可能であり、かつ、抗ウイルス性、抗菌性、抗アレルゲン性及び抗臭気物質性のうち少なくとも一つを有する」ことを達成可能な他の構成も取り得る。
1,1a,2…フィルター、10…第1通気層、20…第2通気層、30…ナノファイバー層、32…基材層、40,42…接着剤、100,100a…マスク、110,110a…被覆部材、112…表側部材、114,114a…裏側部材、116,116a…開口部、120,120a…装着部材、200…自動車、210,310,312,410,510…空調機器、300…電車、400…航空機、500…建築物、512…暖房機器、514…加湿器
Claims (10)
- 微粒子を99%以上捕集可能であり、かつ、抗ウイルス性、抗菌性、抗アレルゲン性及び抗臭気物質性のうち少なくとも一つを有することを特徴とするフィルター。
- マスク用フィルターであることを特徴とする請求項1に記載のフィルター。
- 繊維を構成要素とする第1通気層及び第2通気層と、
前記第1通気層と前記第2通気層との間に配置され、ナノファイバーを構成要素とするナノファイバー層とを備え、
前記第1通気層及び前記第2通気層の少なくとも一方には、抗ウイルス性、抗菌性、抗アレルゲン性及び抗臭気物質性のうち少なくとも一つを有する剤が担持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルター。 - 前記第1通気層及び前記第2通気層の両方に前記剤が担持されていることを特徴とする請求項3に記載のフィルター。
- 前記剤は、金属からなる粒子と酸化チタンからなる粒子とが互いに結合した金属−酸化チタン結合体粒子を含有することを特徴とする請求項3又は4に記載のフィルター。
- 前記金属−酸化チタン結合体粒子においては、前記金属からなる粒子の一部が、前記酸化チタンからなる粒子にくいこむような結合をしていることを特徴とする請求項5に記載のフィルター。
- 前記剤は、吸着剤をさらに含有することを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のフィルター。
- 前記吸着剤は、ハイドロキシアパタイトからなることを特徴とする請求項7に記載のフィルター。
- 鼻口を覆うための被覆部材と、前記被覆部材に配設された装着部材とを備え、
前記被覆部材は、請求項1〜8のいずれかに記載のフィルターを有することを特徴とするマスク。 - 前記フィルターは交換可能であることを特徴とする請求項9に記載のマスク。
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| JP2021056537A (ja) * | 2021-01-05 | 2021-04-08 | イー インク コーポレイション | 電気光学ディスプレイを生産するプロセス |
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