JP3290623B2 - カリックスアレーンを構成要素とするチューブ状化合物 - Google Patents
カリックスアレーンを構成要素とするチューブ状化合物Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カーボンナノチュ
ーブに類似の新規な分子(化合物)に関し、詳述すれ
ば、カリックスアレーンを構成要素とするチューブ状化
合物とその製造方法に関する。
ーブに類似の新規な分子(化合物)に関し、詳述すれ
ば、カリックスアレーンを構成要素とするチューブ状化
合物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カーボンナノチューブは、ベンゼン環を
つなげたグラファイトのシートがチューブ状(円筒状)
に丸まった構造から成り、直径がサブナノメータ、
円筒でらせん構造、サイズが分子とバルクの中間であ
る等のユニークな形状を有しているために、研究対象と
して広範囲の研究者に興味が持たれているとともに、新
しい機能性材料として応用展開も期待されている。例え
ば、最近、単層のナノチューブの直径を制御することに
より、その電気的特性(金属性になるか、半導体状態に
なるか)が顕著に変化することが報告されている(Natu
re, 391, 59(1998) ; Nature, 391, 62(1998))。
つなげたグラファイトのシートがチューブ状(円筒状)
に丸まった構造から成り、直径がサブナノメータ、
円筒でらせん構造、サイズが分子とバルクの中間であ
る等のユニークな形状を有しているために、研究対象と
して広範囲の研究者に興味が持たれているとともに、新
しい機能性材料として応用展開も期待されている。例え
ば、最近、単層のナノチューブの直径を制御することに
より、その電気的特性(金属性になるか、半導体状態に
なるか)が顕著に変化することが報告されている(Natu
re, 391, 59(1998) ; Nature, 391, 62(1998))。
【0003】しかしながら、カーボンナノチューブは、
その当初の発見(Nature, 354, 56(1991))以来、専ら、
アーク放電法やパルスレーザ法のような大量のエネルギ
ーを消費する気相法によって製造されており、また、そ
の多くは研究の過程で偶然の産物として得られたもので
ある。特に、上述の文献で示唆に従ってカーボンナノチ
ューブの直径(さらにはその長さ)を制御し得るような
方法は未だ確立されていない。
その当初の発見(Nature, 354, 56(1991))以来、専ら、
アーク放電法やパルスレーザ法のような大量のエネルギ
ーを消費する気相法によって製造されており、また、そ
の多くは研究の過程で偶然の産物として得られたもので
ある。特に、上述の文献で示唆に従ってカーボンナノチ
ューブの直径(さらにはその長さ)を制御し得るような
方法は未だ確立されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、比較
的簡単な化学合成により、カーボンナノチューブに類似
する新しいタイプの化合物、特に、その直径と長さが制
御されたチューブ状化合物を提供することにある。
的簡単な化学合成により、カーボンナノチューブに類似
する新しいタイプの化合物、特に、その直径と長さが制
御されたチューブ状化合物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、環状化合物
の1種として知られているカリックスアレーンを用いる
ことにより上記の目的を達成したものである。すなわ
ち、本発明は、下記の一般式(A)で表されることを特
徴とするチューブ状化合物を提供する。
の1種として知られているカリックスアレーンを用いる
ことにより上記の目的を達成したものである。すなわ
ち、本発明は、下記の一般式(A)で表されることを特
徴とするチューブ状化合物を提供する。
【0006】
【化2】
【0007】式(A)中、nは、0〜8の整数を示す
が、一般的には0〜3の整数である。また、mは、1〜
3の整数であるが、一般的には1または3である。さら
に、本発明は、上記の一般式(A)の化合物を製造する
方法であって、有機溶媒中で、カリックス〔4〕アレー
ン、カリックス〔5〕アレーンまたはカリックス〔6〕
アレーンを金属塩触媒の存在下に75〜180 ℃の加熱して
縮合重合させることを特徴とする方法も提供する。本発
明の方法を実施するのに好ましい金属塩触媒は、ビスマ
ス酸ナトリウムである。
が、一般的には0〜3の整数である。また、mは、1〜
3の整数であるが、一般的には1または3である。さら
に、本発明は、上記の一般式(A)の化合物を製造する
方法であって、有機溶媒中で、カリックス〔4〕アレー
ン、カリックス〔5〕アレーンまたはカリックス〔6〕
アレーンを金属塩触媒の存在下に75〜180 ℃の加熱して
縮合重合させることを特徴とする方法も提供する。本発
明の方法を実施するのに好ましい金属塩触媒は、ビスマ
ス酸ナトリウムである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のチューブ状化合物の構成
単位となるカリックスアレーンとは、複数個のフェノー
ル単位がメチレン基を介して結合した環状オリゴマーで
あり、フェノール単位の数(X)に応じてカリックス
〔X〕アレーンと称される。
単位となるカリックスアレーンとは、複数個のフェノー
ル単位がメチレン基を介して結合した環状オリゴマーで
あり、フェノール単位の数(X)に応じてカリックス
〔X〕アレーンと称される。
【0009】フェノール単位の数(X)としては、3〜
8のものが一般に知られているが、本発明のチューブ状
化合物は、カリックスアレーンのうち、カリックス
〔4〕アレーン、カリックス〔5〕アレーンまたはカリ
ックス〔6〕アレーン(すなわち、式(A)において、
mが1〜3の整数)を構成単位とするものである。チュ
ーブ状化合物の合成の容易さからは、カリックス〔4〕
アレーンおよびカリックス〔6〕アレーン(すなわち、
式(A)においてmが1または3)が好ましい。カリッ
クスアレーンのフェノール単位においてOH基またはメ
チレン基が結合している部位以外の部位は、一般に無置
換であるが、必要に応じて、従来から知られているよう
な各種の置換基を有するカリックスアレーンを用いても
よい。
8のものが一般に知られているが、本発明のチューブ状
化合物は、カリックスアレーンのうち、カリックス
〔4〕アレーン、カリックス〔5〕アレーンまたはカリ
ックス〔6〕アレーン(すなわち、式(A)において、
mが1〜3の整数)を構成単位とするものである。チュ
ーブ状化合物の合成の容易さからは、カリックス〔4〕
アレーンおよびカリックス〔6〕アレーン(すなわち、
式(A)においてmが1または3)が好ましい。カリッ
クスアレーンのフェノール単位においてOH基またはメ
チレン基が結合している部位以外の部位は、一般に無置
換であるが、必要に応じて、従来から知られているよう
な各種の置換基を有するカリックスアレーンを用いても
よい。
【0010】本発明に従えば、このようなカリックスア
レーンを原料とし、簡単な化学合成により、直径と長さ
が制御されたチューブ状化合物を得ることができる。す
なわち、得ようとするチューブ状化合物の直径の大きさ
に応じて、カリックス〔4〕アレーン、カリックス
〔5〕アレーンまたはカリックス〔6〕アレーンを用
い、これと金属塩触媒とを有機溶媒に溶解し、75〜180
℃に加熱すると、ポリエーテル化、すなわち、カリック
スアレーンのフェノール単位の1つおきの水酸基を介し
てカリックスアレーン構造が縦方向に結合(縮合重合)
した式(A)の化合物が得られる(図1参照)。
レーンを原料とし、簡単な化学合成により、直径と長さ
が制御されたチューブ状化合物を得ることができる。す
なわち、得ようとするチューブ状化合物の直径の大きさ
に応じて、カリックス〔4〕アレーン、カリックス
〔5〕アレーンまたはカリックス〔6〕アレーンを用
い、これと金属塩触媒とを有機溶媒に溶解し、75〜180
℃に加熱すると、ポリエーテル化、すなわち、カリック
スアレーンのフェノール単位の1つおきの水酸基を介し
てカリックスアレーン構造が縦方向に結合(縮合重合)
した式(A)の化合物が得られる(図1参照)。
【0011】反応時間は、一般に20〜30時間であり、こ
れによって一般に、式(A)におけるnが0〜3に相当
する2量体〜5量体、すなわち2〜5個のカリックスア
レーン構造が縦方向に結合したチューブ状化合物が得ら
れる。反応条件を変化させることにより(特に、反応時
間を長くすることにより)、nがさらに大きいチューブ
状化合物、例えば10量体から成るチューブ状化合物(す
なわち、式(A)においてnが8)を得ることもでき
る。反応に用いる有機溶媒としては、一般に、ベンゼ
ン、トルエンまたはキシレンのような芳香族炭化水素が
好ましい。また、触媒としては、基本的にはポリエーテ
ル化反応に使用される金属塩触媒(例えば、塩化第1
銅)が使用可能であるが、本発明者は反応効率の点から
ビスマス酸ナトリウムが特に優れていることを見出して
いる。反応後は、カラムクロマトグラフィーのような分
離手段により、それぞれの大きさのチューブ状化合物を
分離することができる。
れによって一般に、式(A)におけるnが0〜3に相当
する2量体〜5量体、すなわち2〜5個のカリックスア
レーン構造が縦方向に結合したチューブ状化合物が得ら
れる。反応条件を変化させることにより(特に、反応時
間を長くすることにより)、nがさらに大きいチューブ
状化合物、例えば10量体から成るチューブ状化合物(す
なわち、式(A)においてnが8)を得ることもでき
る。反応に用いる有機溶媒としては、一般に、ベンゼ
ン、トルエンまたはキシレンのような芳香族炭化水素が
好ましい。また、触媒としては、基本的にはポリエーテ
ル化反応に使用される金属塩触媒(例えば、塩化第1
銅)が使用可能であるが、本発明者は反応効率の点から
ビスマス酸ナトリウムが特に優れていることを見出して
いる。反応後は、カラムクロマトグラフィーのような分
離手段により、それぞれの大きさのチューブ状化合物を
分離することができる。
【0012】以上のような方法によって得られた化合物
が式(A)のような構造を有することは、質量スペクト
ル解析およびNMRスペクトル解析により確認されてい
る(後述の実施例参照)。本発明のチューブ状化合物
は、数個の芳香環から成り自由度が小さい環状構造を有
するカリックス〔4〜6〕アレーンが縦方向に結合して
構成されているので、単層のカーボンナノチューブに類
似した構造を有し、しかもその直径が一定に制御されて
いる。例えば、カリックス〔4〕アレーンから構成され
る本発明のチューブ状化合物は約0.2 nmの直径を有
し、また、カリックス〔6〕アレーンから構成される本
発明のチューブ状化合物は約0.7 nmの直径を有する。
さらに、本発明のチューブ状化合物はその長さも制御さ
れている。
が式(A)のような構造を有することは、質量スペクト
ル解析およびNMRスペクトル解析により確認されてい
る(後述の実施例参照)。本発明のチューブ状化合物
は、数個の芳香環から成り自由度が小さい環状構造を有
するカリックス〔4〜6〕アレーンが縦方向に結合して
構成されているので、単層のカーボンナノチューブに類
似した構造を有し、しかもその直径が一定に制御されて
いる。例えば、カリックス〔4〕アレーンから構成され
る本発明のチューブ状化合物は約0.2 nmの直径を有
し、また、カリックス〔6〕アレーンから構成される本
発明のチューブ状化合物は約0.7 nmの直径を有する。
さらに、本発明のチューブ状化合物はその長さも制御さ
れている。
【0013】かくして、本発明のチューブ状化合物は、
チューブを構成する各カリックスアレーンの芳香環(ベ
ンゼン環)のπ電子間の相互作用に基づく新しいタイプ
の機能性材料としての用途が期待される。例えば、本発
明のチューブ状化合物の紫外−可視スペクトル解析によ
れば該化合物の縦方向に沿って電気伝導が生じることが
示されており、本発明のチューブ状化合物が電子材料と
して使用され得ることが理解される。
チューブを構成する各カリックスアレーンの芳香環(ベ
ンゼン環)のπ電子間の相互作用に基づく新しいタイプ
の機能性材料としての用途が期待される。例えば、本発
明のチューブ状化合物の紫外−可視スペクトル解析によ
れば該化合物の縦方向に沿って電気伝導が生じることが
示されており、本発明のチューブ状化合物が電子材料と
して使用され得ることが理解される。
【0014】
【実施例】以下に、本発明の特徴をさらに明らかにする
ため実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって
制限されるものではない。実施例1:チューブ状化合物の合成 冷却用コンデンサを備えたフラスコに、カリックス
〔4〕アレーン(1)0.1g(0.235mmol)とビスマス酸
ナトリウム0.94g(3.36mmol) 、溶媒としてベンゼンま
たはトルエン3.7ml を加え、窒素気流下26.5時間、110
℃において加熱還流を行った。加熱終了後、フラスコ内
の混合物をろ過し、ろ紙上に残ったものをクロロホルム
で洗浄した。さらにろ紙上に残っているものを水に懸濁
させ、その懸濁液に塩酸を加え生成していると考えられ
る有機ナトリウム塩の加水分解を行った。この懸濁液を
ろ過し、ろ紙上の残査を水で洗浄し次にトルエンで洗浄
した。有機層すべてを一緒にし、無水硫酸ナトリウムで
乾燥した後、系から溶媒を除き真空乾燥を行った。収量
49.7mg、回収率は47.7%であった。この状態での薄層ク
ロマトグラフ(シリカゲル、溶媒:クロロホルム/ヘキ
サン=1/1)を測定すると、原料(Rf=0.55)の他
に2量体(2:n=0、Rf=0.45)、3量体(2:n
=1、Rf=0.3)、4量体(2:n=2、Rf=0.2
5)、5量体(2:n=3、Rf=0.18)6量体(2:
n=4、Rf=0.7)と考えられるスポットが観測された
(図1参照)。このほかに原点にもスポットが観測され
た。この混合物を直径1cmのクロマト管を用い、カラム
クロマト分離(シリカゲル、溶媒:ヘキサン−クロロホ
ルム)を行い、原料(15.3mg)、2量体(11.6mg)、3
〜n量体(21.2mg)に分離した。
ため実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって
制限されるものではない。実施例1:チューブ状化合物の合成 冷却用コンデンサを備えたフラスコに、カリックス
〔4〕アレーン(1)0.1g(0.235mmol)とビスマス酸
ナトリウム0.94g(3.36mmol) 、溶媒としてベンゼンま
たはトルエン3.7ml を加え、窒素気流下26.5時間、110
℃において加熱還流を行った。加熱終了後、フラスコ内
の混合物をろ過し、ろ紙上に残ったものをクロロホルム
で洗浄した。さらにろ紙上に残っているものを水に懸濁
させ、その懸濁液に塩酸を加え生成していると考えられ
る有機ナトリウム塩の加水分解を行った。この懸濁液を
ろ過し、ろ紙上の残査を水で洗浄し次にトルエンで洗浄
した。有機層すべてを一緒にし、無水硫酸ナトリウムで
乾燥した後、系から溶媒を除き真空乾燥を行った。収量
49.7mg、回収率は47.7%であった。この状態での薄層ク
ロマトグラフ(シリカゲル、溶媒:クロロホルム/ヘキ
サン=1/1)を測定すると、原料(Rf=0.55)の他
に2量体(2:n=0、Rf=0.45)、3量体(2:n
=1、Rf=0.3)、4量体(2:n=2、Rf=0.2
5)、5量体(2:n=3、Rf=0.18)6量体(2:
n=4、Rf=0.7)と考えられるスポットが観測された
(図1参照)。このほかに原点にもスポットが観測され
た。この混合物を直径1cmのクロマト管を用い、カラム
クロマト分離(シリカゲル、溶媒:ヘキサン−クロロホ
ルム)を行い、原料(15.3mg)、2量体(11.6mg)、3
〜n量体(21.2mg)に分離した。
【0015】実施例2:合成したチューブ状化合物の同
定 1)質量スペクトル解析 実施例1により2〜5量体(n=0〜3)までの分子
(化合物)が生成していることをMALDI−TOF質
量分析法で確認した(図3参照)。図3中、分子量425.
52のシグナルは未反応の原料1+H+ (計算値425.1
7)、分子量447.71のシグナルは未反応の原料1+Na
+ (計算値447.16)、分子量845.32のシグナルは2(n
=0)+H+ (計算値845.31)、分子量1266.45 のシグ
ナルは2(n=1)+H+ (計算値1265.45 )、分子量
1687.5のシグナルは2(n=2)+H+(計算値1685.5
8)、分子量2108.2のシグナルは2(n=3)+H+ (計
算値2105.72)と帰属できる。n=1以上の1〜2質量ユ
ニットの誤差は、低分子領域(およそ155 質量ユニット
付近)で質量を検定していることによる誤差と考えられ
る。分子量2530付近に2(n=4)+H+ (計算値252
5.86)と考えられるシグナルも観測できるが、このデー
タのみからは存在は確定できない。
定 1)質量スペクトル解析 実施例1により2〜5量体(n=0〜3)までの分子
(化合物)が生成していることをMALDI−TOF質
量分析法で確認した(図3参照)。図3中、分子量425.
52のシグナルは未反応の原料1+H+ (計算値425.1
7)、分子量447.71のシグナルは未反応の原料1+Na
+ (計算値447.16)、分子量845.32のシグナルは2(n
=0)+H+ (計算値845.31)、分子量1266.45 のシグ
ナルは2(n=1)+H+ (計算値1265.45 )、分子量
1687.5のシグナルは2(n=2)+H+(計算値1685.5
8)、分子量2108.2のシグナルは2(n=3)+H+ (計
算値2105.72)と帰属できる。n=1以上の1〜2質量ユ
ニットの誤差は、低分子領域(およそ155 質量ユニット
付近)で質量を検定していることによる誤差と考えられ
る。分子量2530付近に2(n=4)+H+ (計算値252
5.86)と考えられるシグナルも観測できるが、このデー
タのみからは存在は確定できない。
【0016】2)NMRスペクトル解析 実施例1において単離できた2量体(2:n=0)につ
いて 1H−NMR(図4参照)、COSYスペクトル
(図5参照)より構造の詳細な検討を行った。図中0〜
2.5ppm付近のシグナルは、水を含めた目的分子とは無関
係のシグナルである。3.75および4.25ppm にベンゼン環
架橋部位のメチレンのプロトンのシグナルが観測でき
る。積分値はそれぞれ4プロトンである。6.71ppm にベ
ンゼン環のHa、7.02ppm にベンゼン環のHb、10.21p
pmに水酸基のプロトンがそれぞれ6:16:6 のプロトン
比で観測される(図2参照)。このプロトン比からも明
らかなように、1の2量体(2:n=0)が生成している
と結論できる。1には4つの水酸基が存在するが向かい
合った2つの水酸基と、もう一つの1分子の向かい合っ
たベンゼン核の水酸基の2つのパラ位が反応しエーテル
結合を生成する。つまり2(n=0)の中の1の4つの
ベンゼン核のうち対面した2つが平行、もう一方対面し
た2つは斜めに傾いた構造をとっていることが強く示唆
される。COSYスペクトル(図5)は、HaとHbの
相関関係を示しており、HaとHbは化学結合で直接隣
り合ったふたつの炭素にそれぞれ結合しているプロトン
であることを示している。図6に3〜5量体(2:n=
1〜3)の 1H−NMRを示した。基本的に同様のスペ
クトルパターンを示すことから式(A)で示される骨格
を有していることが確認された。
いて 1H−NMR(図4参照)、COSYスペクトル
(図5参照)より構造の詳細な検討を行った。図中0〜
2.5ppm付近のシグナルは、水を含めた目的分子とは無関
係のシグナルである。3.75および4.25ppm にベンゼン環
架橋部位のメチレンのプロトンのシグナルが観測でき
る。積分値はそれぞれ4プロトンである。6.71ppm にベ
ンゼン環のHa、7.02ppm にベンゼン環のHb、10.21p
pmに水酸基のプロトンがそれぞれ6:16:6 のプロトン
比で観測される(図2参照)。このプロトン比からも明
らかなように、1の2量体(2:n=0)が生成している
と結論できる。1には4つの水酸基が存在するが向かい
合った2つの水酸基と、もう一つの1分子の向かい合っ
たベンゼン核の水酸基の2つのパラ位が反応しエーテル
結合を生成する。つまり2(n=0)の中の1の4つの
ベンゼン核のうち対面した2つが平行、もう一方対面し
た2つは斜めに傾いた構造をとっていることが強く示唆
される。COSYスペクトル(図5)は、HaとHbの
相関関係を示しており、HaとHbは化学結合で直接隣
り合ったふたつの炭素にそれぞれ結合しているプロトン
であることを示している。図6に3〜5量体(2:n=
1〜3)の 1H−NMRを示した。基本的に同様のスペ
クトルパターンを示すことから式(A)で示される骨格
を有していることが確認された。
【0017】実施例3:チューブ状化合物の特性測定 実施例1で用いた原料1(カリックス〔4〕アレー
ン)、および合成した2量体(2:n=0)、3〜5量
体(2:n=1〜3)の紫外−可視光領域における吸収
スペクトルを測定した(図7、図8および図9参照)。
原料1で見られる277nm のベンゼン環のπ−π* に帰属
される吸収帯は、2量体あるいは3〜5量体では明らか
に長波長側に広がっている。このことは2量体あるいは
3〜5量体中の1同士のベンゼン環のπ電子−π電子の
相互作用を示唆するものであり、生成している化合物
(分子)縦方向に電気伝導が起こっていることを示して
いる。
ン)、および合成した2量体(2:n=0)、3〜5量
体(2:n=1〜3)の紫外−可視光領域における吸収
スペクトルを測定した(図7、図8および図9参照)。
原料1で見られる277nm のベンゼン環のπ−π* に帰属
される吸収帯は、2量体あるいは3〜5量体では明らか
に長波長側に広がっている。このことは2量体あるいは
3〜5量体中の1同士のベンゼン環のπ電子−π電子の
相互作用を示唆するものであり、生成している化合物
(分子)縦方向に電気伝導が起こっていることを示して
いる。
【図1】本発明のチューブ状化合物の合成スキームを概
示するものである。
示するものである。
【図2】原料カリックスアレーンおよび本発明のチュー
ブ状化合物について、そのNMRスペクトルを解析する
ために、特にプロトンの相対位置を示した化学構造式で
ある。
ブ状化合物について、そのNMRスペクトルを解析する
ために、特にプロトンの相対位置を示した化学構造式で
ある。
【図3】本発明のチューブ状化合物の質量スペクトルを
示す。
示す。
【図4】本発明のチューブ状化合物(2量体)のNMR
スペクトル( 1H−NMR)を示す。
スペクトル( 1H−NMR)を示す。
【図5】本発明のチューブ状化合物(2量体)のNMR
スペクトル(COSYスペクトル)を示す。
スペクトル(COSYスペクトル)を示す。
【図6】本発明のチューブ状化合物(3〜5量体)のN
MRスペクトル( 1H−NMR)を示す。
MRスペクトル( 1H−NMR)を示す。
【図7】原料であるカリックス〔4〕アレーンの紫外−
可視吸収スペクトルを示す。
可視吸収スペクトルを示す。
【図8】本発明のチューブ状化合物(2量体)の紫外−
可視吸収スペクトルを示す。
可視吸収スペクトルを示す。
【図9】本発明のチューブ状化合物(3〜5量体)の紫
外−可視吸収スペクトルを示す。
外−可視吸収スペクトルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 321/00 C07D 493/08 C07D 493/18 C07D 493/22 CA(STN) REGISTRY(STN)
Claims (4)
- 【請求項1】 下記の一般式(A)で表されることを特
徴とする化合物。 【化1】 (式(A)中、nは0〜8の整数、mは1〜3の整数で
ある。) - 【請求項2】 nが0〜3の整数、mが1または3であ
ることを特徴とする請求項1の化合物。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2の化合物を製造
する方法であって、有機溶媒中で、カリックス〔4〕ア
レーン、カリックス〔5〕アレーン、またはカリックス
〔6〕アレーンを金属塩触媒の存在下に75〜180 ℃に加
熱して縮合重合させることを特徴とする方法。 - 【請求項4】 金属塩触媒としてビスマス酸ナトリウム
を用いることを特徴とする請求項3の方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP06444998A JP3290623B2 (ja) | 1998-02-27 | 1998-02-27 | カリックスアレーンを構成要素とするチューブ状化合物 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
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Patent Citations (1)
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