JP3294280B2 - パクリタクセルの製造方法 - Google Patents

パクリタクセルの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は下記一般式(1)で示されるパクリタクセル
(paclitaxel)を製造する新規な方法に関するものであ
る。
[上記式中、Phはフェニルを表し、Acはアセチルを表
し、Bzはベンゾイルを表し、以下、これらは同じ意味を
有する] 本発明は、さらに一般式(1)のパクリタクセルの製
造に用いられる新規な中間体、及びその製造方法に関す
るものである。
背景技術 (1)で示されるパクリタクセル、すなわちテルペン
タクサン(taxane)系誘導体は、広範囲な抗白血病及び
抗腫瘍活性を有する強力ながん化学療法剤である。した
がって、生物学及び化学両分野でこの化合物に相当関心
が高まっている。パクリタクセルはさらに米国を含むい
くつかの国で卵巣がんと乳がんに対する抗がん剤として
市販が許可されている。
今まで、パクリタクセルはセイヨウイチイの一種であ
るタクサス・ブレビフォリア(Taxus brevifolia)の樹
皮から分離、提供されてきた。しかしながら、その分離
及び精製工程が非常に煩わしいのみならず、これら常緑
樹の樹皮にはパクリタクセルが少量しか含まれていない
ため、このようにして提供されるパクリタクセルの量
は、ますます増加する商業的需要を充足させるには力不
足であった。
最近、化学者らはパクリタクセルの製造に適用できる
半合成経路(semi−synthesis)、及び中間体の製造方
法を含むこの化合物の新規な合成法について努力を傾注
した。しかしながら、これまでに発表された多数の合成
方法は満足できる結果を表していない。
たとえば、WO93/06094は、下記反応式1に示したよう
に、ベータラクタム化合物と7−トリエチルシリル−バ
ッカチンIIIを反応させ、次いで脱保護することによ
り、パクリタクセルを製造する方法が記載されている。
現在、この反応は所望のパクリタクセル化合物を製造す
るための最も簡略な方法として認められている。
[式中、TESはトリエチルシリルを表し、以下、同じ意
味を有する] この方法は、カップリング反応が、ベータ−ラクタム
化合物を用いて容易に行われうる長所があるが、ベータ
−ラクタム化合物自体の合成が非常に難しく、カップリ
ング反応が無水条件下で−45℃の低温で行なわれなけれ
ばならず、ガラス製品に対する強い腐食作用および取扱
い難い性質(すなわち48%HF)を有する毒性の酸をタク
サン誘導体などの保護基として用いられるトリエチルシ
リル(TES)基を除去するのに用いられなければならな
いという多くの短所をも有している。
その他、下記反応式2に示されているように、ベータ
−ラクタムの代わりにオキサゾリジン化合物を、ジシク
ロヘキシルカルボジイミドまたは2−ジピリジルカルボ
ネートの存在下で、7−Troc−バッカチンIIIでカップ
リングさせる方法がコマーコンらのTetrahedron Letter
s,5185−5188頁,1992に記載されている。
[式中、Bocはt−ブトキシカルボニルを表し、Trocは
トリクロロエトキシカルボニルを表し、以下、これらは
同じ意味を有する] パクリタクセルを製造する上記方法において、反応式
1の以前の方法で用いられた保護基(−TES)とは異な
るタクサン誘導体の新たな保護基(−Troc)が用いられ
てきた。しかしながら、かかる新たな保護基の使用によ
り、所望の生成物を得るためにより多くの反応工程が行
なわれなければならず、保護及び脱保護反応に激しい反
応条件を必要とし、その結果通算収率が低くなる。した
がって、反応式2の方法は反応式1の方法より劣るもの
と理解される。
反応式2の方法では、オキサゾリジン誘導体をタクサ
ン誘導体とカップリングさせてパクリタクセルを製造す
る。かかる目的で用いられてきた公知のオキサゾリジン
誘導体として、下記一般式(6)で示される化合物(WO
94/10169参照)及び下記一般式(7)で示される化合
物(韓国特許出願第95−703548号参照)が挙げられる。
[式中、RaはフェニルまたはRfO、ここで、Rfはアルキ
ル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロ
アルケニル、フェニルまたは窒素原子を含む複素環化合
物を表し、 RbおよびRcは相互に独立して水素、アルキル、フェニル
アルキル、フェニル、アルコキシフェニルまたはジアル
コキシフェニルを表すか、または RbおよびRcは4ないし7個の環原子を有する環状の鎖を
形成できる] [式中、Rdは水素、ベンゾイルまたはRgOCO−、ここ
で、Rgはアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シク
ロアルケニルまたはビシクロアルキルを表し、 Reはトリハロメチルまたはトリハロメチルで置換された
フェニルを表す] 上記の一般式(6)のオキサゾリジン誘導体は環の2
−位に種々の置換基を有し、さらに3−位のアミン基は
置換されたカルボニル基により必ず保護されている。3
−位のアミン基が保護されていなければ、他のオキサゾ
リジン分子の5−位のカルボン酸と反応し易いからであ
る。この種の副反応は、オキサゾリジン誘導体とタクサ
ン誘導体との間のカップリング反応よりさらに大きい反
応性を有し、その結果カップリング反応を有利に行なう
ことができない。さらに他の場合は一般式(7)のオキ
サゾリジン誘導体からわかる。すなわち、オキサゾリジ
ン環の2−位の置換基がトリハロメチルまたはトリハロ
メチルで置換されたフェニルである場合に、所望のカッ
プリング反応は3−位のアミン基が保護されていなくと
もオキサゾリジン分子間の自己カップリングのような副
反応なしに行なわれ得る。オキサゾリジン環の3−位の
アミン基の保護が必要でなければ、後の段階で保護基を
除去する必要がないなど種々の利点が期待できる。
一方、下記反応式3に示されているように、パクリタ
クセルを製造するもう一つの方法は韓国特許出願第94−
702930号に記載されている。
上記方法では、オキサゾリン誘導体をC−13に直結し
たヒドロキシ基を有するタクサン誘導体とカップリング
させてオキサゾリン置換基を有するタクサン誘導体を生
成させ、オキサゾリン環を開環させた後、脱保護してパ
クリタクセルが製造される。しかし、2−位がフェニル
基により置換されたオキサゾリン誘導体およびトリエチ
ルシリル基で保護されたタクサン誘導体を出発物質とし
て用いる場合、オキサゾリン環の開環反応と脱保護反応
は容易に行なうことができない。すなわち、強い酸性お
よび長い反応時間のような厳しい反応条件(すなわち1N
−HCl(5.5当量)、0℃、21時間)が求められるが、そ
れにもかかわらず、生産性及び反応収率が低い。
前述したように、パクリタクセルを製造するために開
発された従来の方法はベータ−ラクタム誘導体、オキサ
ゾリジン誘導体あるいはオキサゾリン誘導体のような種
々の側鎖置換基を用いている。しかし、これらの置換基
はすべて、たとえばそれ自体の合成またはタクサン誘導
体とのカップリングが難しく、置換体環の開環が厳しい
条件を必要とするなど、いくつかの問題を有している。
検討されるべき別の重要な点は、タクサン誘導体の保
護基の選択である。今まで知られているタクサン誘導体
の保護基としては、トリエチルシリルおよびトリクロロ
エトキシカルボニルが挙げられる。かかる保護基を除去
するためには、強い酸性条件あるいは長い反応時間、た
とえば48%HF/ピリジンの存在下に14時間の反応;ギ酸
溶媒中で4時間の反応;亜鉛、AcOH/MeOH=1/1および60
℃の条件下での反応;0.5%HCl/EtOH中で30時間の反応な
どが、通常求められる。しかも、これら保護基は次のよ
うな問題を有する。トリエチルシリル基の場合には、過
剰量(20当量)の高価な塩化トリエチルシリルが保護反
応に用いられなければならず(WO 93/06094参照);ま
たトリクロロエトキシカルボニル基の場合には、この保
護基が選択性を有しないので保護されたタクサン誘導体
を製造するために複雑な合成経路を適用しなければなら
ない(Commerconら、Tetrahedron Lettres,pp5185−518
8,1992参照)。
[発明の開示] そこで、本発明者らは、前述した先行技術方法の種々
の問題点を解決し、パクリタクセルを製造する一層改良
された方法を開発するため、数年間にわたって集中的に
研究してきた。その結果、二つのハロメチル置換基が2
−位に存在し、3−位のアミンが保護されていない新規
なオキサゾリジン誘導体と7−位のヒドロキシ基がトリ
ハロアセチルにより保護された新規なタクサン誘導体と
の間でカップリングを行なえば、非常に温和な条件下に
側鎖置換基の開環反応および脱保護反応が容易に行われ
ることを確認できた。特に、本発明者らは、2−位に二
つのハロメチル置換基を有する新規なオキサゾリジン誘
導体を用いると、オキサゾリジン誘導体とタクサン誘導
体とのカップリング反応が3−位のアミンを保護しなく
とも、オキサゾリジン分子間の自己カップリングのよう
な副反応なしに首尾よく行われるという驚くべき事実を
見出した。
したがって、本発明の目的は(a)下記一般式(2)
で示されるオキサゾリジン誘導体あるいはその塩を、縮
合剤の存在下に溶媒中で下記一般式(3)で示される7
−トリハロアセチル−バッカチンIIIとカップリングさ
せて、下記一般式(4)で示されるオキサゾリジン置換
体−含有タクサンを生成させ;(b)オキサゾリジン環
を酸の存在下に溶媒中で開環させ、得られた生成物を塩
基の存在下に塩化ベンゾイルと反応させて、7−位のヒ
ドロキシ基が下記一般式(5)で示されるトリハロアセ
チル基で保護された保護パクリタクセルを生成させ、
(c)次いで7−位の保護基を溶媒中でアンモニアまた
はアンモニアと弱酸の塩により除去することを特徴とす
る、下記一般式(1)で示されるパクリタクセルを製造
する新規な方法を提供することである。
[式中、Xはハロゲンを表し、R1はトリハロアセチルを
表す] 本発明のもう一つの目的は新規な出発物質、一般式
(2)のオキサゾリジン誘導体および一般式(3)のタ
クサン誘導体、ならびにそれらの製造方法を提供するこ
とである。
[発明を実施するための最善の態様] 本発明によるパクリタクセルの製造方法は、次の反応
式4のように要約することができる。
[式中、XおよびR1はそれぞれ前述した通りである] 以下、上記反応式4に記載の方法をさらに具体的に説
明する。
一般式(3)の7−トリハロアセチル−バッカチンII
Iと一般式(2)のオキサゾリジン誘導体とをカップリ
ングさせて一般式(4)のオキサゾリジン置換体−含有
タクサンを製造する工程(a)の反応は、好ましくは20
ないし60℃の温度で行なわれる。この反応に適した溶媒
は、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、メ
チルt−ブチルエーテルあるいはジオキサンのようなエ
ーテル類;メチルイソブチルケトンのようなケトン類;
アセトニトリルのようなニトリル類;エチルアセテー
ト、イソプロピルアセテートまたはn−ブチルアセテー
トのようなエステル類;ペンタン、ヘキサンまたはヘプ
タンのような脂肪族炭化水素類;ジクロロメタン、クロ
ロホルムまたは1,2−ジクロロエタンのような塩素化炭
化水素類;ベンゼン、トルエンまたはキシレンのような
芳香族炭化水素類;ジメチルアセトアミドまたはジメチ
ルホルムアミドのようなアミド類を含む。カップリング
反応で、一般式(2)のオキサゾリジン誘導体は、一般
式(3)の化合物に対して、過剰量で、たとえば等モル
ないし3倍モル量、好ましくは1.5ないし3倍モル量で
用いられる。このカップリング反応は、縮合剤の存在下
に、そして任意に活性化剤の存在下に行なわれる。縮合
剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミドのような
カルボジイミド類;および2−ジピリジルカルボネート
のような反応性カルボネート類が挙げられる。また、活
性化剤としては、4−ジメチルアミノピリジン、4−ピ
ロリジノピリジンのようなアルキルアミノピリジン類な
どが挙げられる。一般に、縮合剤は一般式(2)のオキ
サゾリジン化合物に対して化学量論的な量で用いられ、
また活性化剤は一般式(3)の7−トリハロアセチル−
バッカチンIIIに対して化学量論的な量またはそれより
少ない量で用いられる。
一般式(5)の化合物を製造する工程(b)の反応
は、オキサゾリジン環を開環させ、開環された生成物を
塩基の存在下で塩化ベンゾイルと反応させることからな
る。この反応は、一般式(4)の化合物に対して1ない
し1.5当量の酸を用いる弱酸性の条件を必要とするだけ
であり、これは出発物質として一般式(2)の新規なオ
キサゾリジン誘導体を使用することによる効果である。
反応溶液の酸度を調節するために用いられる酸類は、塩
酸、硫酸、ギ酸、硝酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、p−
トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸および安息香酸
を含む。酸は一般式(4)の化合物に対して化学量論的
な量で用いられるが、最短時間で反応を完結させて副反
応を最小化するために、好ましくは1.5当量の酸が用い
られる。溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチル
エーテルあるいはジオキサンのようなエーテル類;アセ
トニトリルのようなニトリル類;アセトンあるいはメチ
ルイソブチルケトンのようなケトン類;エチルアセテー
ト、イソプロピルアセテートあるいはn−ブチルアセテ
ートのようなエステル類;ジクロロメタン、クロロホル
ムあるいは1,2−ジクロロエタンのような塩素化炭化水
素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭
化水素類;およびジメチルアセトアミドあるいはジメチ
ルホルムアミドのようなアミド類からなる群から選ばれ
た1種以上を用いることができる。この反応は、−20な
いし60℃の範囲の温度で、10ないし30分間行なうのが好
ましい。
得られた反応溶液は適切な塩基で中和した後、塩化ベ
ンゾイルと反応させて一般式(5)の7−位がトリハロ
アセチルで保護されたパクリタクセルを製造する。反応
試剤の塩化ベンゾイルは、一般式(4)のオキサゾリジ
ン置換基−含有タクサンに対して化学量論的な量で、よ
り具体的には1ないし1.2当量用いられる。塩基として
は、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
および水酸化リチウムからなる群から選ばれた1種以上
の水溶性塩基を、一般式(4)の化合物に対して過剰
量、好ましくは3ないし20当量用いることができる。
最後に、工程(c)でアンモニアあるいはアンモニア
の弱酸との塩を用いて、化合物(5)の7−位のトリハ
ロアセチル基を除去して、一般式(1)の所望の化合物
パクリタクセルを製造する。この反応で、5ないし40%
の濃度を有する水性アンモニアあるいはアンモニア−有
機溶媒溶液が一般式(5)の化合物に対して化学量論的
な量以上、好ましくは1ないし5当量用いられる。アン
モニアの弱酸との塩がアンモニアに代わる場合には、一
般式(5)の化合物に対して1ないし5当量用いられ
る。弱酸はギ酸、酢酸あるいはプロピオン酸でもよい。
溶媒としては、メタノール、エタノールあるいはイソプ
ロピルアルコールのようなアルコール類;テトラヒドロ
フラン、ジエチルエーテルあるいはジオキサンのような
エーテル類;アセトニトリルのようなニトリル類;エチ
ルアセテート、イソプロピルアセテートあるいはn−ブ
チルアセテートのようなエステル類;ジクロロメタン、
クロロホルムあるいは1,2−ジクロロエタンのような塩
素化炭化水素類;ベンゼン、トルエンあるいはキシレン
のような芳香族炭化水素類;およびジメチルアセトアミ
ドあるいはジメチルホルムアミドのようなアミド類から
なる群から選ばれた1種以上を用いることができる。こ
の反応は、好ましくは0ないし60℃の範囲の温度で行な
われる。従来は、タクサンの7−位の保護基を除去する
ために非常に強い酸性条件が一般に求められてきた。し
かしながら、本発明は、アンモニアまたはアンモニアの
弱酸との塩を用いる弱アルカリ性あるいは殆ど中性の条
件下で保護基を容易に除去することを可能にした。
パクリタクセルを製造する方法において出発物質とし
て用いられる一般式(3)の7−トリハロアセチル−バ
ッカチンIIIはそれ自体新規な化合物である。したがっ
て、本発明のもう一つの目的は一般式(3)の新規なタ
クサン誘導体を提供することである。
一般式(3)の7−トリハロアセチル−バッカチンII
Iは、(d)下記一般式(8)で示される10−デアセチ
ル−バッカチンIIIを塩基の存在下に溶媒中でハロゲン
化トリハロアセチルと反応させて、下記一般式(9)で
示される10−デアセチル−7−トリハロアセチル−バッ
カチンIIIを得た後、(e)得られた一般式(9)の化
合物を塩基の存在下に溶媒中でハロゲン化アセチルと反
応させることにより製造することができる。
[式中、R1はトリハロアセチルを表す] 一般式(3)の化合物を製造する方法は、次の反応式
5のように要約することができる。
[式中、R1は前述した通りである] 反応式5の工程(d)では、一般式(8)の10−デア
セチル−バッカチンIIIの7位のヒドロキシ基をトリハ
ロアセチルで保護して、一般式(9)の10−デアセチル
−7−トリハロアセチル−バッカチンIIIを製造する。
保護基としてトリエチルシリルあるいはトリクロロエト
キシカルボニルを用いる従来の方法では、約20倍モル量
以上のトリエチルシリルを用いなければならないか、ま
たは数工程からなるやや複雑な方法を行なわなければな
らなかった。反面、本発明によるこの工程では、単に化
学量論的な量のトリハロアセチルを用いるだけで、タク
サン誘導体の7−位のヒドロキシ基を選択的に保護する
ことができる。トリクロロアセチルクロリド、臭化トリ
クロロアセチル、トリブロモアセチルクロリド、臭化ト
リブロモアセチル、トリフルオロアセチルクロリド、臭
化トリフルオロアセチル、トリヨードアセチルクロリド
および臭化トリヨードアセチルからなる群から選ばれた
1種がハロゲン化トリハロアセチルとして用いられ、そ
れは通常一般式(8)の化合物に対して化学量論的な量
以上、好ましくは1ないし1.5当量用いられる。この反
応で適切に用いられる溶媒としては、テトラヒドロフラ
ン、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテ
ルあるいはジオキサンのようなエーテル類;メチルイソ
ブチルケトンなどのケトン類;アセトニトリルのような
ニトリル類;エチルアセテート、イソプロピルアセテー
トあるいはn−ブチルアセテートのようなエステル類;
ペンタン、ヘキサンあるいはヘプタンのような脂肪族炭
化水素類;ジクロロメタン、クロロホルムあるいは1,2
−ジクロロエタンのような塩素化炭化水素類;ベンゼ
ン、トルエンあるいはキシレンのような芳香族炭化水素
類;ジメチルアセトアミドあるいはジメチルホルムアミ
ドのようなアミド類;およびピリジンのような塩基性溶
媒を含む。溶媒としてピリジンを用いる場合には、塩基
を用いないで反応を行うことができる。適切な塩基とし
ては、ピリジン、トリエチルアミン、イミダゾール、DB
U、ジイソプロピルエチルアミン、カリウムt−ブトキ
シド、ナトリウムエトキシド、n−ブチルリチウム、フ
ェニルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、水素
化ナトリウムあるいはリチウムビストリメチルシリルア
ミドなどが挙げられる。この反応は好ましくは−20ない
し60℃の温度範囲で行なわれる。
工程(e)では、一般式(9)の1−デアセチル−7
−トリハロアセチル−バッカチンIIIを溶媒中で塩基の
存在下にハロゲン化アセチルと反応させて、一般式
(3)の新規な7−トリハロアセチル−バッカチンIII
を製造する。ハロゲン化アセチルは、一般式(9)の10
−デアセチル−7−トリハロアセチル−バッカチンIII
に対して化学量論的な量以上、好ましくは1ないし8当
量用いられる。適切に用いられる溶媒および塩基、なら
びに反応温度の範囲は、工程(d)で述べたのと同じで
ある。
次の一般式(2a)で示されるオキサゾリジン誘導体
は、それ自体新規な化合物であり、したがってそれは本
発明のさらにもう一つの目的である。
[式中、Xは前述した通りであり、 Rは水素またはC1−C3アルキルを表す] この化合物の最も重要な特徴は、二つのハロメチル置
換基がオキサゾリジン環の2−位に存在し、かつ3−位
のアミンが保護されていないことである。加えて、この
化合物は本発明によるパクリタクセルを製造する方法の
出発物質である一般式(2)の化合物を含む。
上述した一般式(2a)のオキサゾリジン誘導体は、次
の一般式(10)で示される(2R,3S)−フェニルイソセ
リン誘導体を、溶媒中で酸触媒の存在下に次の一般式
(11)で示される化合物と反応させて製造することがで
きる。
[式中、RおよびXはそれぞれ前述した通りである] 上記の方法を行なって製造される一般式(2a)の化合
物は、二つの形態の化合物を含む。一つは遊離酸の形態
(R=水素)であり、もう一つはエステルの形態(R=
アルキル)である。したがって、遊離酸の形態が好まし
ければ、一般式(2a)のエステル形態の化合物に対して
加水分解をさらに行なえばよい。
オキサゾリジン誘導体を製造する従来のあらゆる方法
は、出発物質としてフェニルイソセリンアルキルエステ
ル(エステル形態)のみを用いていた。しかしながら、
本発明では、オキサゾリジン誘導体をフェニルイソセリ
ンおよびフェニルイソセリンアルキルエステルから製造
することができる。すなわち、本発明者らは、一般式
(2)の新規なオキサゾリジン誘導体(R=水素)がフ
ェニルイソセリンから直接製造できるという驚くべき事
実を見出した。エステル形態ではないフェニルイソセリ
ンを出発物質として用いる場合には、二工程(一工程は
フェニルイソセリンからフェニルイソセリンメチルエス
テルを製造することであり、もう一工程はオキサゾリジ
ン誘導体からメチルエステル基を除去することである)
が省かれ、したがってこれは本発明によりもたらされる
もう一つの利点である。
一般式(2a)のオキサゾリジン誘導体を製造する方法
は、次の反応式6で示すことができる。
[式中、X及びRはそれぞれ前記の通りである] Rが水素またはアルキルである一般式(2a)のオキサ
ゾリジン誘導体は、(2R,3S)−フェニルイソセリン誘
導体を溶媒中で酸触媒の存在下に一般式(11)のハロゲ
ン化アセトンと反応させて製造される。酸触媒として
は、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリ
フルオロメチルスルホン酸、ピリジニウムp−トルエン
スルホネート、アンバーライトIR−120などが用いられ
る。そして、溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジイ
ソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテルあるい
はジオキサンのようなエーテル類;アセトニトリルのよ
うなニトリル類;エチルアセテート、イソプロピルアセ
テートあるいはn−ブチルアセテートのようなエステル
類;ジクロロメタン、クロロホルムあるいは1,2−ジク
ロロエタンのような塩素化炭化水素類;ベンゼン、トル
エンあるいはキシレンのような芳香族炭化水素類;およ
びジメチルアセトアミドあるいはジメチルホルムアミド
のようなアミド類から選ばれた1種以上を用いることが
できる。用いられる溶媒に溶解し難い(2R,3S)−フェ
ニルイソセリン(R=水素)を出発物質として用いる場
合には、少量のアミド類を反応溶液に加えることによ
り、良い収率が達成され、さらに溶媒の総容積に対して
1/20倍以上の量のアミド類を加えることによって、反応
時間を短縮することができる。この反応は好ましくは30
ないし100℃の範囲の温度で行なわれる。
Rがアルキルである一般式(2a)の化合物が得られる
場合には、それをさらに加水分解してRが水素である一
般式(2a)の化合物とすることができる。水酸化物のよ
うな水溶性の塩基は、加水分解用試剤として用いられ
る。この目的のために用いられる水酸化物は、たとえば
水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムな
どのアルカリ金属水酸化物を含む。加水分解用試剤は、
Rがアルキルである一般式(2a)のオキサゾリジン化合
物に対して好ましくは1ないし2当量用いられる。反応
溶媒としては容積比10:1ないし100:1の水−混和性有機
溶媒と水との混合溶媒が用いられる。ここで適切に用い
られる水−混和性有機溶媒は、メタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン
およびアセトニトリルを含む。この反応は−20ないし60
℃の範囲の温度で行なうのが好ましい。加水分解が完了
した後、有機溶媒を減圧蒸留により除去して、Rが水素
である一般式(2a)のオキサゾリジン化合物を無機塩の
形態(RCO2M)で得る。塩の形態を遊離酸の形態(RCO
2H)に転換させるためには、酸またはpH5ないし7を有
する緩衝液を用いる。この目的のために用いられる酸と
しては、塩酸、ギ酸、酢酸およびトリフルオロ酢酸を含
む。この酸は、加水分解反応で用いられるアルカリ金属
水酸化物と同当量用いられる。
カップリング後の開環反応は、一般式(2a)の化合物
を用いると温和な条件下で容易に行なうことができるの
で、本発明によるこの化合物は、開環及び脱保護反応の
過程で非常に強い酸性条件及び長い反応時間(すなわ
ち、1H−HCl(5.5当量)、0℃、21時間)を必要とする
既存の2−フェニル−2−オキサゾリン誘導体よりさら
に有利である。
反応式6の反応で出発物質として用いられる(2R,3
S)−フェニルイソセリン誘導体またはその塩は、公知
の方法によって得られる。(米国特許5,420,337号;Comm
erconら.,Tetrahedron Letters,33,5185−5188頁,1992
年;およびKimら.,韓国特許出願第96−7304号参照)。
このようにして得られる一般式(2)のオキサゾリジ
ン化合物(R=水素)は、酸の存在下で不安定のため、
次の一般式(2b)で示される3級アミン塩基との塩の形
態での化合物を貯蔵するのが好ましい。
[式中、Xは前述した通りであり、 R5、R6およびR7は相互に独立してC1−C4アルキルもしく
はフェニルアルキルを表すか、または R5およびR6は一緒になって4ないし7個の環原子を有す
る環状の鎖を形成することができる] 本発明を以下の実施例によりさらに具体的に説明す
る。しかしながら、これらの実施例は本発明の実例を挙
げて説明するためのものであって、いかなる意味におい
ても本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1 10−デアセチル−7−トリクロロアセチル−バッカチン
IIIの合成 10−デアセチル−バッカチンIII30g(0.055mol)をク
ロロホルム1.35Lに溶解し、これにピリジン134mL(30当
量)を滴下した後、反応混合物を10分間攪拌した。トリ
クロロアセチルクロリド12g(0.066mol)を徐々に加え
た後、得られた混合物を室温で30分間攪拌した。次い
で、トリクロロアセチルクロリド3g(0.017mol)をさら
に加えて、全ての混合物を20分間攪拌した。溶媒を減圧
下で除去し、水100mLを残留物に加えた後、得られた溶
液をエチルアセテート700mLで抽出した。得られた有機
層を塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥した後、減圧蒸留した。残留物をトルエン20
0mLに溶解させた後、0℃に冷却した。得られた微細な
固体を濾取した後、ヘキサン200mLで洗浄して、純粋な
標題化合物36g(収率:95%)を得た。
融点:216℃ [α]D 25=−45.3゜(c=1,CHCl3)1 H NMR(300MHz,CDCl3);δ8.12(d,J=7.3Hz,2H),7.
67−7.49(m,3H),5.67(d,J=6.9Hz,1H),5.61−5.55
(m,1H),5.35(s,1H),5.00(d,J=8.6Hz,1H),4.90
(m,1H),4.38(d,J=8.5Hz,1H),4.22(d,J=8.4Hz,1
H),3.99(m,1H),2.77−2.71(m,1H),2.32−1.09(m,
18H) 実施例2 7−トリクロロアセチル−バッカチンIIIの合成 実施例1で得られた10−デアセチル−7−トリクロロ
アセチル−バッカチンIII36g(0.052mol)をクロロホル
ム1.25Lに溶解した。これにピリジン125ml(30当量)を
滴下した後、混合物を10分間攪拌した。この混合物に臭
化アセチル38g(0.309mol)を徐々に加え、得られた混
合物を室温で3時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、
水100mLを残留物に加えた後、得られた溶液をエチルア
セテート700mLで抽出した。得られた有機層を塩化ナト
リウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た後、減圧蒸留した。残留物をトルエン200mLに溶解し
た後、0℃に冷却した。得られた微細な固体を濾取した
後、ヘキサン200mLで洗浄して、純粋な標題化合物35.9g
(収率:94%)を得た。
融点:180℃ [α]D 25=−62.3゜(c=1,CHCl3)1 H NMR(300MHz,CDCl3):δ8.13(d,J=7.3Hz,2H),7.
67−7.49(m,3H),6.50(s,1H),5.76−5.67(m,2H),
5.00(d,J=8.8Hz,1H),4.89(m,1H),4.37(d,J=9.0H
z,1H),4.19(d,J=9.4Hz,1H),4.06(m,2H),2.73−2.
69(m,1H),2.34−1.11(m,21H) 実施例3 (4S,5R)−2,2'−ジ(クロロメチル)−4−フェニル
−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステ
ルの合成 (2R,3S)−フェニルイソセリンメチルエステル10.0g
(0.051mol)、1,3−ジクロロアセトン6.51g(0.051mo
l)およびピリジニウムp−トルエンスルホネート0.1g
をアセトニトリル100mLに溶解した。混合物を80℃で40
分間攪拌した後、反応溶媒を減圧蒸留により除去した。
水100mLを残留物に加えた後、エチルアセテート200mLで
抽出した。有機層に含まれている水分を無水硫酸マグネ
シウムで除去した後、溶媒を減圧留去して標題化合物1
4.1g(収率:90%)を得た。1 H NMR(300MHz,CDCl3):δ7.47−7.28(m,5H),4.64
−4.53(m,2H),3.95(s,2H),3.84(d,J=6.0Hz,2H),
3.78(s,3H),3.10(d,J=10.2Hz,1H) 実施例4 (4R,5R)−2,2'−ジ(クロロメチル)−4−フェニル
−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸トリエチルア
ミン塩の合成(方法I) 実施例3で製造された(4S,5R)−2,2'−ジ(クロロ
メチル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−
カルボン酸メチルエステル13.0(0.043mol)をメタノー
ル50mLに溶解した後、これに3.0N水酸化リチウム水溶液
15.7mL(0.047mol)を滴下した。反応混合物を常温で30
分間攪拌した後、反応溶媒を減圧蒸留により除去した。
水30mLおよび3.0N塩酸水溶液15.7mL(0.047mol)を残留
物に加えた後、エチルアセテート200mLで抽出した。有
機層に含まれている水分を無水硫酸マグネシウムで除去
した後、これにトリエチルアミン9.0mL(0.065mol)を
滴下した。溶媒を減圧留去して、標題化合物15.7g(収
率:94%)を得た。1 H NMR(300MHz,CDCl3):δ7.52−7.28(m,5H),4.57
(d,J=7.6Hz,1H),4.46(d,J=7.6Hz,1H),3.94−3.81
(m,4H),3.07(q,J=7.1Hz,6H),1.28(t,J=7.1Hz,9
H) 実施例5 (4S,5R)−2,2'−ジ(クロロメチル)−4−フェニル
−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸トリエチルア
ミン塩の合成(方法II) (2R,3S)−フェニルイソセリン10.0g(0.055mol)、
1,3−ジクロロアセトン7.0g(0.055mol)、ジメチルホ
ルムアミド5mLおよびピリジニウムp−トルエンスルホ
ネート0.1gをアセトニトリル100mLに溶解した。混合物
を80℃で1時間攪拌した後、反応溶媒を減圧蒸留により
除去した。水100mLを残留物に加えた後、エチルアセテ
ート200mLで抽出した。有機層に含まれている水分を無
水硫酸マグネシウムで除去した後、これにトリエチルア
ミン11.5mL(0.083mol)を滴下した。溶媒を減圧留去し
て、標題化合物19g(収率:88%)を得た。
実施例6 13−[4S,5R)−2,2'−ジ(クロロメチル)−4−フェ
ニル−1,3−オキサゾリジニルカルボニル]−バッカチ
ンIIIの合成 実施例4または5で製造された(4S,5R)−2,2'−ジ
(クロロメチル)−4−フェニル−1,3−オキサゾリジ
ン−5−カルボン酸トリエチルアミン塩、および実施例
2で製造された7−トリクロロアセチル−バッカチンII
I9.8g(0.013mol)を、ジシクロヘキシルカルボジイミ
ド8.2g(0.040mol)および4−ジメチルアミノピリジン
0.1gと共に、トルエン120mLに溶解した。得られた混合
物を常温で1時間攪拌し、セライトパッド(cellitepa
d)を介して濾過し、減圧蒸留して反応溶媒を除去し
た。残留物をカラムクロマトグラフィー(溶出液:エチ
ルアセテート/ヘキサン=1/2,v/v)に付して淡黄色固
体の標題化合物12.6g(収率:94.5%)を得た。
融点:187℃ [α]D 25=−24.8゜(c=0.14,CHCl3)1 H NMR(300MHz,CDCl3):δ8.03(d,J=7.2Hz,2H),7.
68−7.45(m,8H),6.39(s,1H),6.26(t,J=8.5Hz,1
H),5.76−5.69(m,2H),5.67−5.62(m,2H),4.89(d,
J=8.4Hz,1H),4.65(m,1H),4.43(d,J=8.2Hz,1H),
4.27(d,J=8.4Hz,1H),4.11(d,J=7.3Hz,1H),4.04
(s,2H),3.90(m,1H),3.82(d,J=9.8Hz,2H),3.20
(d,J=10.5Hz),2.65(m,1H),2.15−1.14(m,21H) 実施例7 パクリタクセルの合成 実施例6で製造したカップリング生成物12g(0.012mo
l)をエチルアセテート50mLに溶解した。これに濃塩酸
1.5mL(0.018mol)を滴下し、混合物を常温で20分間攪
拌した。反応溶液を重炭酸ナトリウム12g(0.14mol)で
中和した。水100mLを混合物に加えた後、これに塩化ベ
ンゾイル1.7mL(0.014mol)を滴下した。反応溶液を常
温で10分間攪拌し、エチルアセテート300mLで抽出した
後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧蒸留
により除去し、得られた残留物をメタノールとテトラヒ
ドロフランの混合溶媒(3/1,v/v)50mLに溶解した。こ
れに、メタノールに溶解した2.0Mアンモニア(6.0mL,0.
012mol)を滴下し、得られた混合物を常温で1時間攪拌
した後、反応溶媒を減圧留去した。残留物をカラムクロ
マトグラフィー(溶出液:エチルアセテート/ヘキサン
=2/1,v/v)に付して、白色固体の標題化合物9.39g(収
率:92%)を得た。1 H NMR(300MHz,CDCl3):δ8.15(d,J=7.2Hz,2H),7.
76(d,J=7.2Hz,2H),7.64−7.37(m,1H),7.04(d,J=
8.8Hz,1H),6.29(s,1H),6.25(dd,J=8.9Hz,J=8.9H
z,1H),5.80(dd,J1=2.5Hz,J2=8.7Hz,1H),5.69(d,J
=7.1Hz,1H),4.95(dd,J1=2.3Hz,J2=10Hz,1H),4.81
(dd,J1=2.5Hz,J2=5.0Hz,1H),4.41(m,1H),4.32
(d,J=8.5Hz,1H),4.22(d,J=8.5Hz,1H),3.83(d,J
=6.9Hz,1H),3.66(d,J=5.3Hz,1H),2.54−1.16(m,2
2H) 本発明による利点は、次のように要約することができ
る。
パクリタクセルを製造する既存の方法は、一般にバッ
カチンIIIの7−位のヒドロキシ基の保護のためにトリ
エチルシリルまたはトリクロロエトキシカルボニル基が
用いられている。これらの保護基の除去は強酸を用いる
非常に激しい条件を必要としている。しかしながら、本
発明では同じ位置のヒドロキシ基がトリハロアセチル基
で保護されており、弱アルカリ性または殆ど中性の温和
な条件下で容易に除去することができる(たとえば、1
当量のアンモニア/有機溶媒、20℃、1時間;あるいは
1.2当量のアンモニウムアセテート/有機溶媒、20℃、
3時間)。したがって、本発明によれば、パクリタクセ
ルを容易に、しかもより経済的に製造することができ
る。特に、反応条件の温和なことは、この方法を工業的
な規模で適用する場合に著しく有利であると予想され
る。
本発明のさらにもう一つの利点は、二つのハロメチル
置換基が2−位に存在し、3−位のアミンがバッカチン
IIIの置換基のように保護されていない新規なオキサゾ
リジン誘導体の使用にある。かかる新規なオキサゾリジ
ン誘導体は、自己カップリングのような副反応を引き起
こさず、カップリングした後の開環反応を容易にして、
生産性を向上させる。さらに、この新規なオキサゾリジ
ン誘導体はフェニルイソセリンから直接製造できるた
め、反応工程を短縮することができる。
したがって、除去し易い適切な保護基を用いることに
より、本方法は温和な条件下で高い通算収率で簡便に行
なうことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ムン ヨン ホー 大韓民国,キョンギ―ド 463―070、ソ ンナム―シティ、ブンダン―グ、ヤタプ ―ドン #319―1 (72)発明者 リー クァン オク 大韓民国,ソウル 120―113、ソデムン ―ク、ヨンヒ 3―ドン ドンジンアパ ートメント #7―209 (72)発明者 キム ナム ドゥ 大韓民国,キョンギ―ド 449―840、ヨ ンイン―シティ スジ―ウプ ピョント クチョン―リ サムソン4スアパートメ ント #1101―1403 (72)発明者 ハー テー ヒー 大韓民国,キョンギ―ド 463―500、ソ ンナム―シティ、ブンダン―グ、クミ― ドン #220、アパートメント 405― 1206 (72)発明者 シン ジョン エー 大韓民国,ソウル 121―100、マポ― グ、ノゴサン―ドン 31―100 (72)発明者 リー クァン スン 大韓民国,ソウル 138―160、ソンパ― グ、カラク―ドン、クットンアパートメ ント #2―806 (72)発明者 キム ウァン ジュー 大韓民国,ソウル 138―050、ソンパ― グ、パンイ―ドン、オリンピックアパー トメント #311―1002 (56)参考文献 国際公開94/7879(WO,A1) 国際公開94/20484(WO,A1) 国際公開93/17997(WO,A1) Tetrahedron Let t.,Vol.33,No.36,p.5185 −5188(1992) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 305/14 C07D 263/06 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (28)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)下記一般式(2)で示されるオキサ
    ゾリジン誘導体またはその塩を、縮合剤の存在下に溶媒
    中で下記一般式(3)で示される7−トリハロアセチル
    −バッカチンIIIとカップリングさせて、下記一般式
    (4)で示されるオキサゾリジン置換基−含有タクサン
    を生成させ;(b)オキサゾリジン環を酸の存在下に溶
    媒中で開環させ、得られた生成物を塩基の存在下にベン
    ゾイルクロリドと反応させて、7−位のヒドロキシ基が
    下記一般式(5)で示されるトリハロアセチル基で保護
    された保護パクリタクセルを生成させ;(c)次いで7
    −位の保護基を溶媒中でアンモニアあるいはアンモニア
    の弱酸との塩により除去することを特徴とする、下記一
    般式(1)で示されるパクリタクセルを製造する方法。 [式中、 Xはハロゲンを表し、 R1はトリハロアセチルを表す]
  2. 【請求項2】Xがクロロであり、R1がトリクロロアセチ
    ルである請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】工程(a)の溶媒が、テトラヒドロフラ
    ン、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテ
    ル、ジオキサン、メチルイソブチルケトン、アセトニト
    リル、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、n
    −ブチルアセテート、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、
    ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタ
    ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルアセトア
    ミドおよびジメチルホルムアミドから選ばれた1種以上
    である請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】工程(a)の縮合剤が、カルボジイミド類
    あるいは反応性カルボネート類である請求項1に記載の
    方法。
  5. 【請求項5】工程(a)の反応が、活性化剤としての4
    −ジメチルアミノピリジンあるいは4−ピロリジノピリ
    ジンの存在下で行なわれる請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】工程(b)の溶媒が、テトラヒドロフラ
    ン、ジエチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、
    アセトン、メチルイソブチルケトン、エチルアセテー
    ト、イソプロピルアセテート、n−ブチルアセテート、
    ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタ
    ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルアセトア
    ミドおよびジメチルホルムアミドからなる群から選ばれ
    た1種以上である請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】工程(b)で、塩酸、硫酸、ギ酸、硝酸、
    酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メ
    タンスルホン酸、および安息香酸からなる群から選ばれ
    た酸を、一般式(4)のオキサゾリジン置換基−含有タ
    クサンに対して1.5当量用いる請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】工程(b)でベンゾイルクロリドを一般式
    (4)のオキサゾリジン置換基−含有タクサンに対して
    1ないし1.2当量用いる請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】工程(b)の塩基が、重炭酸ナトリウム、
    重炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸
    化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムか
    らなる群から選ばれた1種以上である請求項1に記載の
    方法。
  10. 【請求項10】工程(c)で、5ないし40%の濃度を有
    する水性アンモニアあるいはアンモニア−有機溶媒溶液
    を、一般式(5)の化合物に対して1ないし5当量用い
    る請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】工程(c)で、ギ酸、酢酸およびプロピ
    オン酸からなる群から選ばれた弱酸とのアンモニアの塩
    を、一般式(5)の化合物に対して1ないし5当量用い
    る請求項1に記載の方法。
  12. 【請求項12】(d)下記一般式(8)で示される10−
    デアセチル−バッチカンIIIを、塩基の存在下に溶媒中
    でハロゲン化トリハロアセチルと反応させて、下記一般
    式(9)で示される10−デアセチル−7−トリハロアセ
    チル−バッカチンIIIを生成させた後、(e)得られた
    一般式(9)の化合物を塩基の存在下に溶媒中でハロゲ
    ン化アセチルと反応させることを特徴とする、一般式
    (3)のタクサン誘導体を製造する方法。 [式中、R1はトリハロアセチルを表す]
  13. 【請求項13】工程(d)でトリクロロアセチルクロリ
    ド、臭化トリクロロアセチル、トリブロモアセチルクロ
    リド、臭化トリブロモアセチル、トリフルオロアセチル
    クロリド、臭化トリフルオロアセチル、トリヨードアセ
    チルクロリドおよび臭化トリヨードアセチルからなる群
    から選ばれたハロゲン化トリハロアセチルを、一般式
    (8)の化合物に対して1ないし1.5当量用いる請求項1
    2に記載の方法。
  14. 【請求項14】ハロゲン化トリハロアセチルがトリクロ
    ロアセチルクロリドである請求項12または13に記載の方
    法。
  15. 【請求項15】工程(e)でハロゲン化アセチルを一般
    式(9)の化合物に対して1ないし8当量用いる請求項
    12に記載の方法。
  16. 【請求項16】ハロゲン化アセチルが臭化アセチルであ
    る請求項12または15に記載の方法。
  17. 【請求項17】工程(d)または工程(e)で、溶媒が
    テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、メチル
    t−ブチルエーテル、ジオキサン、メチルイソブチルケ
    トン、アセトニトリル、エチルアセテート、イソプロピ
    ルアセテート、n−ブチルアセテート、ペンタン、ヘキ
    サン、ヘプタン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2
    −ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジ
    メチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドおよびピリ
    ジンからなる群から選ばれた1種以上である請求項12に
    記載の方法。
  18. 【請求項18】工程(d)または(e)で、塩基がピリ
    ジン、トリエチルアミン、イミダゾール、DBU、ジイソ
    プロピルエチルアミン、カリウムt−ブトキシド、ナト
    リウムエトキシド、n−ブチルリチウム、フェニルリチ
    ウム、リチウムジイソプロピルアミド、水素化ナトリウ
    ムおよびリチウムビストリメチルシリルアミドからなる
    群から選ばれた1種以上である請求項12に記載の方法。
  19. 【請求項19】次の一般式(2a)で示されるオキサゾリ
    ジン誘導体またはその塩。 [式中、Xは請求項1で定義した通りであり、Rは水素
    またはC1−C3アルキルを表す]
  20. 【請求項20】次の一般式(2b)で示される塩の形態で
    ある請求項19に記載の化合物。 [式中、Xは請求項1で定義した通りであり、 R5、R6およびR7は相互に独立してC1−C4アルキルもしく
    はフェニルアルキルを表すか、または R5とR6は一緒になって4ないし7個の環原子を有する環
    状の鎖を形成することができる]
  21. 【請求項21】Xがクロロである請求項19または20に記
    載の化合物。
  22. 【請求項22】次の一般式(10)で示される(2R,3S)
    −フェニルイソセリン誘導体を、溶媒中で酸触媒の存在
    下に次の一般式(11)で示される化合物と反応させるこ
    とを特徴とする、請求項19で定義した通りのオキサゾリ
    ジン誘導体またはその塩の製造方法。 [式中、 Rは請求項19で定義した通りであり、また Xは請求項1で定義した通りである]
  23. 【請求項23】溶媒がテトラヒドロフラン、ジイソプロ
    ピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、ジオキサ
    ン、アセトニトリル、エチルアセテート、イソプロピル
    アセテート、n−ブチルアセテート、ジクロロメタン、
    クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トル
    エン、キシレン、ジメチルアセトアミドおよびジメチル
    ホルムアミドからなる群から選ばれた1種以上である請
    求項22に記載の方法。
  24. 【請求項24】酸触媒がp−トルエンスルホン酸、メタ
    ンスルホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、ピリジ
    ニウムp−トルエンスルホネートおよびアンバーライト
    IR−120からなる群から選ばれた1種以上である請求項2
    2に記載の方法。
  25. 【請求項25】Rがアルキルである一般式(2a)の化合
    物が、水溶性の塩基の存在下に溶媒中でさらに加水分解
    されて、Rが水素である一般式(2a)の化合物を得る、
    請求項22に記載の方法。
  26. 【請求項26】溶媒が容積比10:1ないし100:1である水
    −混和性有機溶媒と水との混合物である請求項25に記載
    の方法。
  27. 【請求項27】水−混和性有機溶媒がメタノール、エタ
    ノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラ
    ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ア
    セトンおよびアセトニトリルからなる群から選ばれた1
    種以上である請求項26に記載の方法。
  28. 【請求項28】水酸化リチウム、水酸化ナトリウムおよ
    び水酸化カリウムからなる群から選ばれた水溶性の塩基
    が、RがC1−C3アルキルである一般式(2a)の化合物に
    対して1ないし2当量用いられる請求項25に記載の方
    法。
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