JP3301845B2 - 高Al含有フェライト系ステンレス鋼を基材とするマニホルドコンバータ - Google Patents

高Al含有フェライト系ステンレス鋼を基材とするマニホルドコンバータ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐高温酸化特性に優れ
た高Al含有フェライト系ステンレス鋼を基材とするマ
ニホルドコンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】高Al含有フェライト系ステンレス鋼
は、優れた耐高温酸化特性を呈し、ストーブのチムニー
材を始めとして暖房器具,電熱用材料等として広く使用
されている。最近では、自動車用排ガス浄化装置の触媒
コンバータ用基材としても使用されている。触媒コンバ
ータには、セラミックスを基材としたものが従来から使
用されているが、熱衝撃に弱く、熱容量が大きいことか
ら触媒反応温度域まで昇温するのに時間がかかる。これ
に対し、ステンレス鋼等でできたメタリックコンバータ
は、セラミック基質の欠点がない。メタリックコンバー
タの基材として板厚50μm程度の箔材料が使用されて
いるが、箔材料は異常酸化が発生し易く、過酷な酸化条
件である排ガス雰囲気中で使用されることから、非常に
優れた耐高温酸化特性が要求される。このような要求特
性を満足する材料として、高Cr含有フェライト系ステ
ンレス鋼が注目されており、たとえば20Cr−5Al
をベースとして希土類元素(REM),Y等を添加した
フェライト系ステンレス鋼が使用されている。
【0003】最近の傾向としては、地球温暖化防止,公
害防止等の観点から自動車排ガス規制に対する要求が苛
酷になってきている。そのため、エンジン始動から触媒
作用温度域まで迅速に昇温させるため、排ガス温度の上
昇,エンジンに近いマニホルド直下でのコンバータ装着
等の対策が進められている。排ガス温度は、エンジンの
高出力化に伴っても高くなっている。その結果、コンバ
ータ基材の使用環境は、ますます苛酷になってきてい
る。従来のメタリックコンバータ用鋼は、このような過
酷な使用環境では十分な耐高温酸化特性を示さず、マニ
ホルドコンバータを開発する上でネックになっている。
そこで、従来よりも更に耐高温酸化特性に優れた材料が
要望されている。
【0004】従来では、たとえば、板厚50μmの材料
について1150℃で96時間の酸化試験を行い、異常
酸化を起こさない鋼材が使用されていた。しかし、使用
環境が苛酷になるに伴って、1150℃で500時間以
上保持した場合でも異常酸化を起こさない非常に優れた
耐高温酸化特性がメタリックコンバータ用箔に要求され
る。高Al含有フェライト系ステンレス鋼は、Cr,A
l,REM,Y等の添加量増加に応じて耐高温酸化特性
が向上する。たとえば、特開平4−128344号公報
には、0.01〜0.5重量%のYを添加することによ
り耐高温酸化特性を高めた高Al含有フェライト系ステ
ンレス鋼が紹介されている。また、特開平4−1283
45号公報には、成分コストを可能な限り低く抑えた条
件下で耐酸化性を改善するため、0.06〜0.15重
量%のランタニド族元素Lnを添加し、且つLnとの関
係で特定された量のPを含有させることにより、熱間加
工性を改善した高Al含有フェライト系ステンレス鋼が
紹介されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】REM,Y等の合金元
素は、高Al含有フェライト系ステンレス鋼の耐高温酸
化特性を改善する上で有効であるが、多量添加したとき
却って耐高温酸化特性に弊害を及ぼすこともある。ま
た、高Al含有フェライト系ステンレス鋼は、一般にス
ラブ及び熱延板の靭性が低く、製造性に劣る。そのた
め、耐高温酸化特性を向上させるためにCr及びAl含
有量を多くすると、原料コストの上昇は勿論、靭性劣化
に起因して製造性が悪くなり、製造不可能又は歩留りの
低下による著しいコストの上昇を招く。メタリックコン
バータ用基材として使用されるフェライト系ステンレス
鋼は、板厚50μm程度の箔に加工される。この箔が高
温排ガスによる繰返し加熱及び冷却のヒートサイクルに
曝されるため、加熱・変形に起因した変形が問題とな
る。この点、メタリックコンバータ用基材としての材料
には、高温強度に優れていることも要求される。特に過
酷な使用雰囲気に曝されるマニホルドコンバータにあっ
ては、要求される特性が一段と厳しくなる。本発明は、
このような問題を解消すべく案出されたもので、コンバ
ータ基材として使用される鋼の表面に形成される酸化物
層を制御することにより、従来のメタリックコンバータ
よりも著しく優れた耐高温酸化特性を示すマニホルドコ
ンバータを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のマニホルドコン
バータは、その目的を達成するため、Cr:15〜28
重量%及びAl:3〜8重量%を含むフェライト系ステ
ンレス鋼の表面にCr系酸化物層及びAl系酸化物層が
順次形成されており、Cr系酸化物層/Al系酸化物層
の最大厚み比が1以下,好ましくは0.3以下である高
Al含有フェライト系ステンレス鋼を基材とする。基材
となるフェライト系ステンレス鋼は、具体的にはC:
0.03重量%以下,Si:0.25重量%以下,M
n:0.3重量%以下,P:0.04重量%以下,S:
0.003重量%以下,N:0.03重量%以下,C
r:15〜28重量%,Al:3〜8重量%,Mo:
0.5〜3重量%,希土類元素(REM)及びYの1種
又は2種以上:合計で0.01〜0.15重量%を含
み、REM+Y+Mo/10=0.35〜0.1(好ま
しくは、0.35〜0.22)を満足する。このステン
レス鋼は、更にTi及び/又はVを合計で0.01〜
0.5重量%含むことができる。
【0007】
【作用】高Al含有フェライト系ステンレス鋼の耐高温
酸化特性は、鋼材表面に形成されるAl系酸化物によっ
て付与される。このステンレス鋼にY又はREMを添加
するとき、酸化皮膜の密着性が改善されると共に、異常
酸化が抑制される。本発明者等は、非常に厳しい酸化条
件に耐える鋼材を開発するため、酸化雰囲気で1150
℃に500時間加熱したとき箔表面に形成される酸化皮
膜について調査した。Fe−Cr−Al系合金箔を高温
に加熱すると、箔表面にAl系酸化物層が形成される。
薄い板厚の合金箔では、鋼材の単位表面積当りに供給さ
れるAl量が少なく、短時間で鋼中のAlが全て表層酸
化物として消費され、鋼中のAlが無くなる。たとえ
ば、板厚50μmの箔を1150℃に加熱したとき、1
00時間以内で鋼中のAlが全て酸化された。鋼中のA
lが消費された後で更に酸化が進行すると、Al系酸化
物層と下地鋼との間にCr系酸化物層が形成される。こ
のCr系酸化物層が酸化に対し安定でない場合、局部的
に厚い塊状の酸化物が形成され、塊状酸化物を起点とし
て酸化が進行する。その結果、下地鋼のFeが酸化さ
れ、板厚方向に貫通した酸化状態に達する。
【0008】この点、従来の材料は、異常酸化の抑制を
目的として、REM,Y等の添加によってAl系酸化物
の密着性及び安定性を改善していた。しかし、更に耐高
温酸化性を改善するためには、Al系酸化物の改質だけ
ではなく、Cr系酸化物の改質が必要である。本発明者
等は、このような前提に基づき調査・研究を進めた結
果、Cr系酸化物が塊状に成長していないとき、耐高温
酸化特性が向上することを見い出した。Cr系酸化物の
塊状成長は、Al系酸化物層に対するCr系酸化物層の
最大厚み比で定量的に表すことができる。最大厚み比が
1以下のとき、実質的なCr系酸化物の塊状成長がな
く、優れた耐高温酸化特性が得られる。最大厚み比が1
を超えるようになると、下地鋼とAl系酸化物層との間
にできたCr系酸化物層の随所に大きな塊状に成長した
部分がみられる。このような塊状のCr系酸化物層をも
つものでは、耐高温酸化特性が低下している。
【0009】Cr系酸化物層の塊状成長は、REM,Y
とMoとの複合添加によって抑制できる。更に、Ti,
Vを添加するとき、局部的な酸化の進行が抑制される。
その結果、優れた耐高温酸化特性を示す箔が得られる。
表1に示した鋼A及びBから製造された板厚50μmの
箔を、1150℃で200時間酸化させた。鋼Aは、メ
タリックコンバータ用に使用されている従来鋼である。
鋼Bは、2重量%のMo及び微量のREMを添加した鋼
である。生成した酸化皮膜が欠落しないようにNiめっ
きを施した後、表層の断面組織を観察した。鋼Aの箔
は、図1に示すようにAl系酸化物層の下でCr系酸化
物が局部的に著しく成長していた。鋼Bの箔は、図2に
示すように薄く均一な厚みを持つCr系酸化物層がAl
系酸化物層の下に形成されており、塊状酸化物が検出さ
れなかった。
【0010】
【表1】
【0011】鋼A及びBを改めて1150℃で酸化試験
したところ、1000時間以上の加熱後も鋼Bに異常酸
化は検出されなかった。加熱後の鋼断面を観察したとこ
ろ、Cr系酸化物層の成長がほとんどみられず、初期酸
化皮膜形成後の酸化増量の変化も極めて少なかった。他
方、鋼Aでは、加熱が230時間継続した時点で部分的
な異常酸化が始まり、その後の加熱で試験片全体にわた
って異常酸化が進行した。加熱された鋼の断面を観察し
たところ、Cr系酸化物層が塊状に板厚方向に沿って成
長した部分を起点として異常酸化が発生していた。鋼A
及びBの酸化試験結果から、異常酸化の発生原因は、A
l系酸化物層の下に形成されるCr系酸化物の塊状化に
あるといえる。また、Cr系酸化物の塊状化は、Moと
共にREM及び/又はYを複合添加することにより抑制
される。その結果、耐高温酸化特性が著しく改善された
鋼材が得られる。
【0012】そこで、20Cr−5Al−REM,Yを
基本組成とする種々の鋼箔を1150℃に200時間保
持した後、表層の断面組織を観察し、Al系酸化物層及
びCr系酸化物層の厚みを調査した。調査結果は、Al
系酸化物層に対するCr系酸化物層の最大厚み比が1以
下のとき、Cr系酸化物層が塊状化していないことを示
した。Al系酸化物層に対するCr系酸化物層の最大厚
み比は、REM+Y+Mo/10に影響され、図3に示
すようにREM+Y+Mo/10≧0.1のとき最大厚
み比が1以下になることが判った。この知見に基づき、
表2に示す鋼から板厚50μmの箔材料を作成し、11
50℃の酸化試験に供した。表2に掲げた鋼は、何れも
REM+Y+Mo/10≧0.1を満足しており、11
50℃に500時間以上加熱しても異常酸化を起こさな
かった。特に、REM+Y+Mo/10≧0.22の鋼
E及びFは、1000時間を超える加熱でも異常酸化を
発生しなかった。しかし、REM+Y+Mo/10の値
が大きくなるに従って鋼材の靭性が低下し、製造が困難
になることから、REM+Y+Mo/10の上限を0.
35とすることが好ましい。
【0013】
【表2】
【0014】REM及び/又はYと共にMoを、更にT
i,Vを複合添加することによって異常酸化が抑制され
る理由は明確でない。しかし、Cr系酸化物中に固溶し
たMo等によって酸素の内方拡散が抑制され、酸化がほ
とんど進行しないことによるものと推察される。実際、
REM,Y,Mo等を複合添加した鋼を高温に保持した
とき、初期の酸化皮膜が形成した後では酸化増量の経時
変化が著しく小さくなっている。このことは、酸化皮膜
中の酸素が内方に拡散する速度が非常に小さいことを示
す。
【0015】以下、基材として使用するフェライト系ス
テンレス鋼に含まれる合金成分,含有量等を説明する。 C:0.03重量%以下 C含有量の増加に従って、異常酸化が発生し易くなり、
耐高温酸化特性が劣化する。また、高Al含有フェライ
ト系ステンレス鋼においては、C含有量の増加によりス
ラブ又はホットコイルの靭性が劣化する。したがって、
本発明においては、C含有量の上限を0.03重量%に
規定した。 Si:0.25重量%以下 通常のステンレス鋼では、耐高温酸化特性を改善するた
めに有効な元素として扱われており、耐高温酸化用ステ
ンレス鋼に積極的に添加されていた。しかし、高Al含
有フェライト系ステンレス鋼では、Si含有量が少ない
ほど耐高温酸化特性が良くなり、異常酸化が発生しにく
くなる。したがって、本発明においては、Si含有量の
上限を0.25重量%に規定した。
【0016】Mn:0.3重量%以下 熱間加工性を改善する元素であるが、耐高温酸化特性に
悪影響を及ぼす。Mn含有量の低減により、耐高温酸化
特性が改善され、異常酸化が発生しにくくなる。靭性
も、Mn含有量が低いほど改善される。しかし、Mn
は、原料スクラップから混入するため、低くコントロー
ルすることが困難である。したがって、本発明では、M
n含有量の上限を0.3重量%とした。 P:0.04重量%以下 耐高温酸化特性に悪影響を及ぼすため、低い含有量ほど
好ましい。また、熱延板の靭性に悪影響を及ぼすことか
ら、P含有量の上限を0.04重量%に規定した。 S:0.003重量%以下 REM,Y等と結合し、介在物となって鋼の表面性状を
劣化させるばかりでなく、耐高温酸化特性に効果がある
REM,Y等の有効量を減少させる。この弊害は、S含
有量が0.003重量%を超えるとき顕著になる。した
がって、本発明においては、S含有量を0.03重量%
以下,好ましくは0.002重量%以下にした。
【0017】N:0.03重量%以下 靭性を低下させ、異常酸化の起点となるAlNを形成す
る有害元素である。したがって、N含有量は、上限を
0.03重量%とした。 Cr:15〜28重量% 耐高温酸化特性を改善するために必要な基本元素であ
り、その効果を発揮させる上でCr含有量を15重量%
以上にすることが必要である。しかし、28重量%を超
えて多量のCrが含まれると、スラブ及びホットコイル
の靭性が劣化し、製造性が悪くなる。 Al:3〜8重量% Crと同様に、鋼の耐高温酸化特性を維持するために不
可欠な合金元素である。Alの含有により、鋼表面にA
l系酸化物層が形成され、優れた耐高温酸化特性が付与
される。特に、板厚が100μm以下のような箔材料で
は、異常酸化が発生し易い。十分なAl系酸化物を成長
させるためには、3重量%以上のAl含有量が必要であ
る。しかし、Al含有量が8重量%を超えると、スラブ
及びホットコイルの靭性が低下し、量産が困難になる。
【0018】Mo:0.5〜3重量% Moは、揮発性の高い酸化物を形成し易いことから、鋼
の耐高温酸化特性を劣化させる有害元素として扱われて
きた。しかし、本発明で使用する鋼においては、Mo添
加によってCr系酸化物の安定性が向上し、塊状酸化物
の生成が抑制される。その結果、耐高温酸化特性が著し
く改善される。Mo添加は、高温強度の改善にも有効で
ある。このような効果は、0.5重量%以上のMo含有
量で顕著になる。しかし、3重量%を超える多量のMo
が含有されると、鋼の靭性が劣化し、製造性が悪くな
る。 REM及びYの1種又は2種以上:合計で0.01〜
0.15重量% Fe−Cr−Al系合金の耐高温酸化特性を改善する上
で、重要な合金元素である。La,Ce,Nd等のRE
M及びYは、高Alフェライト系ステンレス鋼の表面に
形成される酸化皮膜の安定性を著しく改善し、箔材料に
発生し易い異常酸化を抑制する。REM及びYは、酸化
皮膜の密着性を良好にする作用も呈する。このような効
果を得るためには、REM及びYの1種又は2種以上を
合計で0.01重量%以上を含ませることが必要であ
る。逆に、0.15重量%を超える多量のREM及び/
又はYを添加すると、熱間加工性及び靭性が著しく劣化
し、製造が困難になる。多量に添加されたREM,Y
は、異常酸化の起点となる介在物を生成し、却って耐高
温酸化特性を劣化させる。
【0019】 REM+Y+Mo/10:0.35〜0.1重量% Al系酸化物層に対するCr系酸化物層の最大厚み比に
影響を与えるファクターである。本発明者等の調査・研
究によるとき、REM+Y+Mo/10が0.1重量%
以上,好ましくは0.22重量%以上であれば、Cr系
酸化物層/Al系酸化物層の最大厚み比が1以下にな
り、Cr系酸化物層の塊状化が防止される。しかし、R
EM+Y+Mo/10が0.35重量%を超えるように
なると、靭性の低下に起因して製造性が悪くなる。 Ti及び/又はV:合計で0.01〜0.5重量% マニホルドコンバータとして使用される箔材料は、酸化
性雰囲気下で冷熱サイクルを繰返し受ける。すなわち、
箔表面に生成した酸化皮膜が剥離し易い環境で使用され
る。酸化皮膜の密着性はREM,Y等の添加によって改
善されるものの、多量添加は原料コストの上昇を招く。
この点、Ti及び/又はVを添加するとき、REM,Y
等を多量に添加しなくても非常に優れた密着性を持つ酸
化皮膜が得られ、異常酸化が発生しなくなる。このよう
な効果を得るためには、合計で0.01重量%以上のT
i及び/又はVを含有させる。Ti及び/又はVを添加
する場合、その含有量の上昇に従って鋼材が硬質化する
ことから、含有量の上限を0.5重量%に規制する。
【0020】
【実施例】表3及び表4に示す各種鋼を真空溶解し、鍛
造,切削及び熱延した後、焼鈍及び冷間圧延を繰返し、
板厚50μmの箔材を製造した。この箔材料から切り出
された試験片を1150℃の酸化試験に供し、異常酸化
が発生した時間を測定した。試験結果を、表3及び表4
に併せ示す。
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】表3から明らかなように、本発明鋼では、
何れも異常酸化が起きるのは500時間以上経過した後
であり、非常に優れた耐高温酸化特性を示した。したが
って、1150℃で500時間以上保持しても異常酸化
を起こさないというマニホルドコンバータ用材料として
要求される目標特性を満足している。特に、REM+Y
+Mo/10≧0.22でCr酸化物層/Al酸化物層
の最大厚み比が0.3以下のNo.3,5〜11は、1
150℃で1000時間を超える長時間保持した場合で
も、異常酸化が発生しない極めて優れた特性を示した。
これに対し、比較鋼は、表4に示すように何れも500
時間以内に異常酸化が発生しており、目標特性を満足し
なかった。たとえば、Moを含んでいないNo.12〜
14は、短時間で異常酸化が発生した。Mo,V及びR
EMを含むもののREM+Y+Mo/10が0.1%未
満であるNo.15,Al含有量が少ないNo.16及
びY,REMが添加されていないNo.17は、本発明
鋼と比較して耐高温酸化特性が劣っている。それぞれの
鋼を1150℃で200時間加熱酸化したときに生成し
た酸化皮膜を構造解析し、Cr系酸化物層/Al系酸化
物層の最大厚み比を求めた。本発明鋼では、表3に示さ
れているように何れも最大厚み比が1以下で、均一な薄
いCr系酸化物層が形成されていた。比較鋼は、表4に
示すように最大厚み比が1以上になっており、Cr系酸
化物層に局部的な塊状成長が検出された。また、200
時間以内に異常酸化が発生したNo.12,13及び1
7の鋼箔では、板厚を貫通する酸化が生じていたため、
最大厚み比の測定ができなかった。
【0024】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のマニホ
ルドコンバータは、Cr系酸化物層/Al系酸化物層の
最大厚み比が1以下となる高Al,Mo含有フェライト
系ステンレス鋼を基材とすることにより、1150℃で
500時間以上の加熱に曝されても異常酸化が発生する
ことがない優れた耐高温酸化特性を呈する。そのため、
極めて過酷な酸化条件下でも、長期間にわたって安定し
た性能を呈するコンバータとして使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一部が塊状に成長したCr系酸化物層をもつ
鋼材の表層断面
【図2】 本発明に従ってCr系酸化物層の塊状成長を
押さえた鋼材の表層断面
【図3】 Cr系酸化物層/Al系酸化物層の最大厚み
比に与えるREM+Y+Mo/10の影響
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 28/04 C22C 38/00 302 C22C 38/22

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cr:15〜28重量%及びAl:3〜
    8重量%を含むフェライト系ステンレス鋼の表面にCr
    系酸化物層及びAl系酸化物層が順次形成されており、
    Cr系酸化物層/Al系酸化物層の最大厚み比が1以下
    である高Al含有フェライト系ステンレス鋼を基材とす
    るマニホルドコンバータ。
  2. 【請求項2】 C:0.03重量%以下,Si:0.2
    5重量%以下,Mn:0.3重量%以下,P:0.04
    重量%以下,S:0.003重量%以下,N:0.03
    重量%以下,Cr:15〜28重量%,Al:3〜8重
    量%,Mo:0.5〜3重量%,希土類元素(REM)
    及びYの1種又は2種以上:合計で0.01〜0.15
    重量%を含み、REM+Y+Mo/10=0.35〜
    0.1を満足するフェライト系ステンレス鋼を基材とす
    る請求項1記載のマニホルドコンバータ。
  3. 【請求項3】 更にTi及び/又はVを合計で0.01
    〜0.5重量%含む請求項2記載のフェライト系ステン
    レス鋼を基材とするマニホルドコンバータ。
  4. 【請求項4】 REM+Y+Mo/10=0.35〜
    0.22で、Cr系酸化物層/Al系酸化物層の最大厚
    み比が0.3以下である請求項1〜3の何れかに記載の
    高Al含有フェライト系ステンレス鋼を基材とするマニ
    ホルドコンバータ。
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