JP3309784B2 - 沸騰水型原子力発電プラントの水質制御方法 - Google Patents

沸騰水型原子力発電プラントの水質制御方法

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reactor water
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原子力プラントの水
質制御方法に係り、特に、沸騰水型原子力発電プラント
(以下、BWRプラントと呼ぶ)に用いるのに好適な水
質制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】BWRプラントの水質制御方法に関する
第1の従来例としては、特開昭60−183595号公報に、炉
水のpHが7.0〜8.5の範囲となるようにアルカリを
注入し、燃料棒表面に付着した放射性腐食生成物の炉水
への溶出を抑制する方法が記載されている。
【0003】また、第2の従来例としては、特開平2−2
43999 号公報に、炉水中に窒素酸化物を注入すると共
に、炉水のpHが7.0〜8.5の範囲となるようにアル
カリ物質を注入して、プラントの線量率と炉内の腐食環
境に悪影響を与えずに、タービン系の線量上昇を抑制す
る方法が記載されている。第2の従来例には、アルカリ
物質の注入量を制御するための指標として、pH以外
に、導電率,材料腐食電位,炉水サンプリング系の硝酸
イオン濃度なども用いることができることが記載されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例の場合、ア
ルカリを注入する時期までは考慮されておらず、後述す
るように、注入時期が適切でないと一次冷却水系構造材
の腐食生成物の発生量を余り減らせず、結果的に炉水中
の放射性核種濃度を確実には低減できないという問題が
ある。
【0005】本発明の目的は、BWRプラントの一次冷
却水系構造材の腐食生成物の発生量を十分に減らし、炉
水の放射性核種濃度を確実に低減できる沸騰水型原子力
発電プラントの水質制御方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、沸騰水型原子炉の100%出力段階試験
終了後の出力運転開始から400〜600時間経過後
に、炉水のpHをアルカリ側にする物質を炉水中に注入
する。
【0007】好ましくは、炉水中に前記物質を注入する
ことにより、炉水のpHを7.0 〜8.5の範囲内で増
大させる。
【0008】また、好ましくは、出力運転開始から約5
00時間経過後に、炉水中に前記物質を注入する。
【0009】以下、本発明による作用を説明する。初め
に、燃料棒表面における炉水中の金属不純物の付着溶出
挙動を説明する。燃料棒表面での金属不純物の付着溶出
挙動の模式図を図3に示す。燃料棒表面では沸騰に伴っ
て炉水中に僅かに存在している固形の金属酸化物や金属
イオンが析出する。金属イオンが析出する際、化1のよ
うな反応により一度水酸化物として析出し、次に化2の
ような脱水反応によりモノオキサイドとなり、更にFe2
3 と化3のような反応をしてフェライトが生じる。
【0010】
【化1】Ni2++2OH- → Ni(OH)2
【0011】
【化2】Ni(OH)2 → NiO+H2
【0012】
【化3】NiO+Fe23 → NiFe24コバルトも
化1〜化3と同様の反応が起こり、燃料棒表面にクラッ
ドとして取り込まれる。燃料棒表面に付着したコバルト
とニッケルは、中性子の照射を受けてそれぞれコバルト
60とコバルト58を生じる。実際の燃料棒付着物はこ
れら炉水中の不純物である金属元素の酸化物や水酸化物
の混合物として存在しているが、高温水に接しているた
め付着物を構成している化合物の溶解度に応じて溶解も
起こっている。このため、放射化した元素も炉水中に溶
解する。このうち最も溶解し易い形態は水酸化物である
ので、これを燃料棒表面に安定化させることによって燃
料棒付着物からの放射性核種の溶出を抑制することがで
きる。
【0013】図4及び図5に、ニッケル及びコバルトの
水酸化物の溶解度のpH依存性を示す。これらの図か
ら、pH7.0 以上でニッケル及びコバルトの溶解度が
極めて小さくなることが判る。一方、pHが高くなり過
ぎると、構造材のアルカリ腐食が問題となるため、BW
Rでは炉水pHの運転範囲の上限値を8.6 としてい
る。
【0014】新規の沸騰水型原子炉では、営業運転開始
前に、現在のところ約10ヶ月に及ぶ起動試験(100
%出力段階試験を含む)が行われている。この間、原子
炉は起動と停止を繰り返すため、一次冷却水系の構造材
表面に形成される酸化皮膜は熱変動の繰り返しを受けて
微細な亀裂を生じ、この部分では酸化皮膜の保護性能が
低下してしまう。このため、起動試験中の炉水中の不純
物金属イオン濃度は高い値で大きく変動している。
【0015】図6に、高温水中で形成される酸化皮膜の
ないステンレス鋼の腐食量の経時変化を示す。図6で
は、ステンレス鋼が接する水として、pH7の場合とp
H8の場合を比較している。ステンレス鋼は、BWRプ
ラントの一次冷却水系の主な構造物や、原子炉圧力容器
の内面肉盛り材として用いられているものである。
【0016】図6から、約500時間まではpH8より
もpH7の方が腐食量が少ないが、約500時間以降は
pH7よりもpH8の方が腐食量が少なくなる。即ち、
約500時間を境にして水のpHを7から弱アルカリ側
にすることにより、ステンレス鋼の腐食量を効果的に低
減できることが判る。これは、初期の段階ではステンレ
ス鋼表面の酸化皮膜の保護性能が十分でないが、時間の
経過に伴い酸化皮膜の保護性能が十分得られるようにな
るためと考えられる。
【0017】従って、微細亀裂の発生によって酸化皮膜
の保護性能が低下している起動試験中に炉水のpHを弱
アルカリ側にすることは、一次冷却水系構造材の腐食生
成物の発生量を増やすことになる。
【0018】次に、図7を用いて、燃料棒表面への金属
イオンの吸着特性を説明する。図7は、鉄イオン及びニ
ッケルイオンが共存する水中における燃料棒表面のクラ
ッド密度と58Co吸着量の関係を示す。図7から、クラ
ッドが付着していない状態では58Coは非常に吸着し易
く、クラッドがある程度付着すると58Coは吸着し難く
なり、更にクラッドの付着量が増えると58Co吸着量も
増える傾向があることが判る。
【0019】装荷直後の燃料棒表面は酸化皮膜やクラッ
ドが付着していないため、58Co等の金属イオンが非常
に吸着し易いことになる。起動試験の段階で燃料棒表面
への不純物金属イオンの吸着量が増えると、それだけ放
射性核種の燃料棒での保持量(インベントリー)が増え
ることになるため、炉水中の放射性核種濃度を高くする
要因となる。従って、起動試験中に炉水のpHを弱アル
カリ側にすると、一次冷却水系構造材の腐食生成物の発
生量を増やすばかりでなく、炉水中の放射性核種濃度を
高くすることにもなる。
【0020】本発明によれば、100%出力段階試験
(起動試験)中は炉水のpHを弱アルカリ側にしないこ
とにより、一次冷却水系構造材の腐食生成物の発生量を
減らし、その分放射性核種の燃料棒での保持量を低減で
きるので、炉水中の放射性核種濃度を低減できる。
【0021】また、出力運転開始から400〜600時
間経過後に、炉水のpHをアルカリ側にすることによ
り、酸化皮膜の保護性能が十分でない初期の時間帯は炉
水のpHを純水に近い約7.0 に維持でき、酸化皮膜の
保護性能が十分得られた以降の時間帯は炉水のpHを弱
アルカリ側にできるので、ここでも一次冷却水系構造材
の腐食生成物の発生量を減らすことができる。従って、
一次冷却水系構造材の腐食生成物の発生量を十分に減ら
し、炉水中の放射性核種濃度を確実に低減することがで
きる。
【0022】尚、炉水のpHを弱アルカリ側にする時期
は、図5から約500時間が最も好ましいが、400〜
600時間の間であれば、pH7とpH8の腐食量の差
はごく僅かであるため、腐食生成物の発生量の低減効果
は十分に得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明をBWRプラントの
水質制御方法に適用した第1実施例を図1及び図2を用
いて説明する。図1は本発明の水質制御方法を適用した
BWRプラントの運転方法を示す図で、図2は本発明の
水質制御方法を行うためのBWRプラントの第1実施例
を示す概略系統図である。より詳細には、図1は100
%出力段階試験(起動試験)以降の原子炉圧力の経時変
化と、炉心の運転状況及びアルカリ注入時期を示してい
る。
【0024】本実施例では、炉水中へのアルカリ物質の
注入を、原子炉炉心の100%出力段階試験終了後の総
点検を行うための計画停止(約30〜40日)の後に実
施される営業運転開始に向けた出力運転開始から約50
0時間後に行う。
【0025】一次冷却水系の構造材表面に形成される酸
化皮膜は、100%出力段階試験終了までは、原子炉が
起動と停止を頻繁に繰り返すことにより熱変動の繰り返
しを受けるので、微細な亀裂を生じて酸化皮膜の保護性
能が低下してしまう。この状態でアルカリ注入を行う
と、図で説明したように保護性能の低い部分からの腐
食量が増大する。このため、図で説明したように付着
クラッドの少ない新しい燃料棒表面への腐食生成物の吸
着量が増え、燃料棒表面の放射性核種のインベントリー
を増大させる。
【0026】これを避けるために、本実施例では、起動
と停止を頻繁に繰り返すことがなく、安定して酸化皮膜
が形成されるようになる営業運転開始に向けた出力運転
開始後にアルカリ注入を開始する。具体的には、出力運
転開始後約500時間から炉水中へのアルカリ注入を開
始し、炉水のpHを約7.0から約7.5にするように、
アルカリ注入量を制御する。
【0027】図に示したように、出力運転開始後約5
00時間まではpH8よりもpH7の方が腐食量が少な
く、出力運転開始後約500時間以降はpH7よりもp
H8の方が腐食量が少なくなる傾向がある。従って、本
実施例のようなアルカリ注入を行い炉水のpHを弱アル
カリ側に制御することにより、一次冷却水系の構造材か
らの腐食生成物発生量を低減し、燃料棒表面の放射性核
種のインベントリーを減らすことができる。また、アル
カリ注入開始以降は、放射性核種を燃料棒表面に安定化
させて炉水の放射能濃度を低減できる。
【0028】尚、上述した酸化皮膜の保護性能が低い状
態は、新規の運転開始プラントのみでなく、経年プラン
トでも除染や配管取り替えを実施したプラントにも存在
する。従って、これらのプラントに対しても、定期検査
後の運転再開から約500時間後にアルカリ注入を開始
することにより、同様の効果が得られる。
【0029】また、前述したように、アルカリ注入開始
時期としては、出力運転開始後約500時間に限る必要
はなく、出力運転開始後400〜600時間の間であれ
ば、本実施例と同様な効果を得ることができる。更に、
炉水のpHの目標値も、7.0〜8.5の範囲であれば良
い。
【0030】次に、図2を用いて、第1実施例のBWR
プラント構成で、どのようにアルカリ注入量を制御する
のかを説明する。本BWRプラントは、原子炉圧力容器
2,主蒸気系19,タービン4,復水器11,給水系
1,再循環系5,炉水浄化系6などから構成される。
【0031】原子炉圧力容器2内の炉水は、炉心3に装
荷された核燃料の核分裂反応で発生した熱により加熱さ
れ、蒸気となって主蒸気系19を介してタービン4へ送
られ発電を行う。発電を行った後の蒸気は復水器11で
水に戻され、復水浄化系12で不純物が除去されて、給
水として給水系1から原子炉圧力容器2に戻される。発
生した蒸気の一部は、高圧給水ヒータ9や低圧給水ヒー
タ10で給水の加熱に使用される。炉水は、核燃料から
効率的に熱を取るため再循環系5により強制循環され
る。また、炉水の一部は炉水浄化系6へ導入され熱交換
器7で冷却された後、濾過脱塩装置8により不純物を除
去され、給水系1に戻される。
【0032】炉水の水質に関しては、炉水浄化系6の熱
交換器7の下流側に接続されたサンプリングライン13
から水をサンプリングし、水質分析装置14を用いてp
Hの測定及び不純物イオン濃度の測定を行う。不純物イ
オン濃度の測定には、ICP−MSやイオンクロマトグ
ラフなどを用いることができる。アルカリ注入量推定装
置15は、水質分析装置14で求められた測定値と、検
出されたイオンが構成する酸解離平衡の関係式とを用い
て、炉水のpHを7.0〜8.5の範囲内の目標値にする
ために必要なアルカリ物質の注入量を推定する。
【0033】アルカリ注入量推定装置15による推定方
法を次に説明する。仮に、実機炉水中で見られる硫酸イ
オンとクロム酸イオンをそれぞれ5μg/kg含むpHが
中性の炉水について考えてみる。pHデータのみからこ
の炉水をpH7.5 にするために必要な水酸化ナトリウ
ムの濃度を計算すると316nmol/lとなる。
【0034】一方、不純物イオンについて考慮すると、
中性付近で硫酸はほぼ完全解離しているので注入したア
ルカリが硫酸の解離で消費されることはない。しかし、
クロム酸は中性付近でも化4に示す酸解離平衡を取るの
で、注入したアルカリのうち一部はクロム酸の解離で消
費され、pHの上昇には使われない。結果的に、pHは
7.39程度にしかならない。
【0035】
【化4】H2CrO4 =H++HCrO4 - HCrO4 - =H++CrO4 2- 従って、pHを7.5 にするための水酸化ナトリウムの
必要量を推定するためには、化4の酸解離平衡式である
数1及び数2を考慮する必要がある。
【0036】
【数1】
【0037】
【数2】
【0038】数1及び数2と、いま考えている水溶液系
の質量均衡式である数3の3つの式から、未知数である
[H2CrO4],[HCrO4 -],[CrO4 2-]を、既
知の[CrO4T (5μg/kg=4.39nmol/l),
Ka1,Ka2で記述することができる。
【0039】
【数3】 [CrO4T=[H2CrO4]+[HCrO4 -]+[CrO4 2-]…(数3) これらの関係式と、水のイオン積[H+][OH-]=1
-14及び[SO4 2-]=52.08×10-8nmol/lを、
電荷均衡式である数4に代入すると数5が得られる。数
5から、pHを7.5 にするために必要な水酸化ナトリ
ウムの濃度は397nmol/1となる。
【0040】
【数4】 [H+]+[Na+]=[OH-]+[HCrO4 -]+2[CrO4 2-] +2[SO4 2-] …(数4)
【0041】
【数5】
【0042】アルカリ注入量推定装置15には、通常の
炉水中に存在して中性付近で酸解離平衡を持つクロム酸
イオンの酸解離平衡式である数1及び数2,質量均衡式
である数3,中性付近では酸解離平衡を考慮しなくても
良い硫酸イオンや塩素イオン,ナトリウムイオンなども
含む炉水中不純物イオンに関する電荷均衡式である数6
などが、予めインプットされている。
【0043】
【数6】 [H+]+[Na+]+2[Fe2+]+2[Ni2+] =[OH-]+[HCrO4 -]+2[CrO4 2-]+2[SO4 2-] +[Cl-] …(数6) アルカリ注入量推定装置15は、水質分析装置14から
測定データを入力し、上記の予めインプットされている
数式を用いて、目標とするpHを達成するために必要な
アルカリ注入量を推定する。数6において、鉄イオンや
ニッケルイオンの濃度は通常の炉水中では他の不純物イ
オンに比べて2桁以上も低いため、アルカリ注入量の推
定値に余り影響を与えないので、無視しても良い。注入
制御装置17は、アルカリ注入量推定装置15で求めた
推定値に基づいて、NaOHタンク16から必要量のN
aOHを注入するようにNaOH注入ポンプ18を制御
する。
【0044】給水系1から原子炉圧力容器2内に持ち込
まれる水酸化ナトリウムの持ち込み速度をu(mol/
s),炉水浄化系6によって除去される水酸化ナトリウ
ムの除去速度をw(mol/s),炉水量をV(l),炉水中
の水酸化ナトリウム濃度をCとすると、Cについて数7
の関係が成立する。数7を水酸化ナトリウムの初期濃度
がC0 の条件で解くと数8となる。
【0045】
【数7】
【0046】
【数8】
【0047】ここで、w及びVはプラント固有の値であ
り、CはpHの目標値から前述したように求めることが
できる(pH7.5の場合、C=397nmol/l)の
で、これらの値から数8が成立するように、水酸化ナト
リウムの注入速度uと注入時間tを決めることができ
る。
【0048】注入速度uはNaOH注入ポンプ18のス
トロークを調整することにより変更可能である。ここで
は、目標とするpHへ早期に到達させるために、注入速
度uはポンプ性能の最大値とする。この最大の注入速度
uと、アルカリ注入量推定装置15で求めた水酸化ナト
リウム濃度を数8に適用して、必要な注入時間tを求め
る。このようにして求めた注入時間だけNaOH注入ポ
ンプ18を運転するように、注入制御装置17が制御を
行う。このような制御を行うことにより、アルカリ物質
の注入量に対するpHの変化を常に測定することなく、
炉水のpHを7.0から目標とする7.5に制御すること
ができる。
【0049】次に、本発明の水質制御方法を行うための
BWRプラントの第2実施例を図8を用いて説明する。
図8は、第2実施例の概略系統図である。本実施例が図
2の第1実施例と異なる点は、炉水浄化系6に設ける濾
過脱塩装置の構成、及び水質分析装置14に接続される
アルカリ注入量の制御装置の構成である。その他の構成
は第1実施例と同じである。
【0050】本実施例の炉水浄化系6の濾過脱塩装置
は、水中のカチオンを吸着してプロトンを放出するH型
カチオン交換樹脂とアニオンを吸着してOH- を放出す
るアニオン交換樹脂の両方を含むイオン交換樹脂塔21
と、アニオン交換樹脂と水中のカチオンを吸着してNa
+ を放出するNa型カチオン交換樹脂の両方を含むイオ
ン交換樹脂塔22とから構成される。
【0051】本実施例で、炉水のpHを7.0から7.5
に制御する方法を以下に説明する。サンプリングライン
13から水をサンプリングし、水質分析装置14を用い
てpH(7.0)の測定及び不純物イオン濃度の測定を行
う。アルカリ注入量推定装置15は、水質分析装置14
から測定データを入力し、予めインプットされている数
1〜数4及び数6を用いて、pHを7.5 にするのに必
要なナトリウム注入量を推定する。
【0052】注入制御装置20は、H型カチオン交換樹
脂を含むイオン交換樹脂塔21側のバルブ23を締め、
Na型カチオン交換樹脂を含むイオン交換樹脂塔22側
のバルブ24を開けて、各イオン交換樹脂塔への水の流
入量を制御することにより、アルカリ注入量推定装置1
5で求めた推定値に対応する量のアルカリを、給水系1
から炉水中に注入する。
【0053】各イオン交換樹脂塔のアニオン交換樹脂で
は、SO4 2- やCrO4 2- 等が樹脂にトラップされOH
- が放出される。イオン交換樹脂塔21のH型カチオン
交換樹脂では、Ni2+等のカチオンがトラップされH+
が放出されるため、アニオン交換樹脂から放出されるO
- が相殺されるので、pHはほとんど変化しない。一
方、イオン交換樹脂塔22のNa型カチオン交換樹脂で
は、H+ の代わりにNa+ が放出されるため、アニオン
交換樹脂から放出されるOH- がpHを増加させる。
【0054】イオン交換樹脂塔22への炉水流入量をX
(l/s)、そのカチオン濃度CM に対するNa+ への交
換割合をαとし、イオン交換樹脂塔21への炉水流入量
をY(l/s)、そのNa+ 除去割合をβとし、炉水量を
V(1),Na+ 濃度をCNaとすると、次式が成り立つ。
【0055】
【数9】
【0056】給水系1からアルカリを注入する際は、ナ
トリウム除去に作用するイオン交換樹脂塔21への炉水
流入量Yをゼロとし、ナトリウム注入に作用するイオン
交換樹脂塔22に炉水浄化系6の全流量W(l/s)が流
入するように、注入制御装置20がバルブ23及び24
の開閉を制御する。この条件下で数9を解くと数10の
ようになり、炉水中の必要なNa+ 濃度CNaを達成する
ための時間が求められる。数10で、CNa0 は炉水中の
初期のNa+ 濃度である。
【0057】
【数10】
【0058】注入制御装置20は、数9及び数10が予
めインプットされており、アルカリ注入量推定装置15
で求めた推定値に基づいて、必要なバルブ23及び24
の開閉時間を割り出して、その開閉を制御する。
【0059】本実施例で、イオン交換樹脂塔22のアニ
オン交換樹脂の割合を増やせば、より少量のアルカリ注
入量でpHの制御が可能となる。これは、アニオン交換
樹脂の割合を増やすことにより、炉水中の酸性物質であ
る硫酸イオンやクロム酸イオンの除去量が増大しこれら
の濃度が下がるため、少量のアルカリ注入量でもpHを
7.5 に制御できるようになる。
【0060】例えば、前述した硫酸イオン及びクロム酸
イオンの濃度がそれぞれ5μg/kgの炉水に対して、ア
ニオン交換樹脂の割合を増やしたイオン交換樹脂塔22
を適用することにより各イオン濃度が1μg/kgとなっ
た場合を想定する。この場合、数1〜数4を用いて、p
Hを7.0から7.5に調整するために必要な水酸化ナト
リウムの濃度を求めると307nmol/l となり、必要
なナトリウムイオン濃度を低減できることが判る。
【0061】次に、本発明の水質制御方法を行うBWR
プラントの第3実施例を説明する。本実施例は、給水系
1に注入する薬剤として、弱酸塩基塩であるリン酸二水
素ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合液を用いる例で
ある。本実施例でも、前述した硫酸イオン及びクロム酸
イオンの濃度がそれぞれ5μg/kgの炉水のpHを7.
0から7.5に調整する場合について考えてみる。
【0062】このような炉水のpHを7.0から7.5に
調整するために必要な水酸化ナトリウムの量は、数1〜
数4を用いて求めると、397nmol/l となる。そこ
へ同量のリン酸二水素ナトリウムを加えると、数11〜
数13に示すリン酸の酸解離平衡が系内に存在するよう
になり、数14及び数15に示す質量均衡及び電荷均衡
が新たに生じる。
【0063】
【数11】
【0064】
【数12】
【0065】
【数13】
【0066】
【数14】 [PO4T=[H3PO4]+[H2PO4 -]+[HPO4 2-]+[PO4 3-] …(数14)
【0067】
【数15】 [H+]+[Na+]=[OH-]+[HCrO4 -]+2[CrO4 2-] +2[SO4 2-]+[H2PO4 -]+2[HPO4 2-] +3[PO4 3-] …(数15) この結果、pHは7.6 と少し高くなるが、その他にも
酸濃度の変化に対する緩衝能が増加するという利点があ
る。例えば、炉水浄化系6のイオン交換樹脂塔を切り替
えた直後には硫酸イオン濃度が上昇する。この原因で炉
水中の硫酸イオン濃度が20μg/kgまで増加したとき
のpHの変化を、数13及び数14を用いて評価してみ
る。リン酸イオンがない場合、炉水のpHは7.6から
6.9に0.7低下する。これに対してリン酸イオンを共
存させると、炉水のpHは7.6から7.3へと0.3し
か低下しない。
【0068】このように、弱酸塩基を共存させることに
より炉水中の不純物イオンの変動に対してpHを大きく
変化させない機能(緩衝能)を持たせることができる。
従って、純水のようにpHの変化し易い炉水のpHを安
定化できる。弱酸塩基の濃度を余り高くすると緩衝能は
上がるものの、炉水の導電率の上昇や注入した物質の放
射化が問題となる。しかし、上記したように、硫酸イオ
ンやクロム酸イオンなどの酸性イオンと同程度の量の弱
酸塩基を共存させれば、十分な緩衝効果が得られ、上記
問題点も余り問題とはならない。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、BWRプラントの一次
冷却水系構造材の腐食生成物の発生量を十分に減らし
て、炉水中の放射性核種濃度を確実に低減することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水質制御方法を適用したBWRプラン
トの運転方法を示す図。
【図2】本発明の水質制御方法を行うためのBWRプラ
ントの第1実施例を示す概略系統図。
【図3】燃料棒表面での炉水中金属不純物の付着溶出挙
動の説明図。
【図4】Ni(OH)2 の溶解度のpH依存性を示す図。
【図5】Co(OH)2 の溶解度のpH依存性を示す図。
【図6】ステンレス鋼の腐食量の経時変化を示す図。
【図7】燃料棒表面のクラッド密度と58Co吸着量の関
係図。
【図8】本発明の水質制御方法を行うためのBWRプラ
ントの第2実施例を示す概略系統図。
【符号の説明】
1…給水系、2…原子炉圧力容器、3…炉心、4…ター
ビン、5…再循環系、6…炉水浄化系、7…熱交換器、
8…濾過脱塩装置、9…高圧給水ヒータ、10…低圧給
水ヒータ、11…復水器、12…復水浄化系、13…サ
ンプリングライン、14…水質分析装置、15…アルカ
リ注入量推定装置、16…NaOHタンク、17,20
…注入制御装置、18…NaOH注入ポンプ、19…主
蒸気系、21,22…イオン交換樹脂塔。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−166694(JP,A) 特開 平9−159795(JP,A) 特開 平7−20277(JP,A) 特開 昭54−116595(JP,A) 特許3149738(JP,B2) 特公 平6−8914(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21D 1/00 G21D 3/08 G21C 19/307

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】新規の沸騰水型原子力発電プラント又は除
    染や配管取り替えを実施した沸騰水型原子力発電プラン
    トにおいて、 前記プラントが有する原子炉の100%出力段階試験終
    了後の出力運転開始以降は前記原子炉の炉水のpHを中
    性にし、 出力運転開始から400〜600時間の間に、炉水のp
    Hをアルカリ側にする物質を炉水中に注入して炉水のp
    Hを7.0〜8.5の範囲内に制御することを特徴とする
    沸騰水型原子力発電プラントの水質制御方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、炉水のpHをアルカリ
    側にする時期は、出力運転開始から約500時間後であ
    ることを特徴とする沸騰水型原子力発電プラントの水質
    制御方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は請求項2において、前記物質
    として、アルカリ金属,弱酸塩基,弱塩基酸化合物のう
    ちの何れかを用いることを特徴とする沸騰水型原子力発
    電プラントの水質制御方法。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3の何れかにおいて、炉水中
    のイオン濃度を測定し、このイオンが形成する酸解離平
    衡を考慮して、目標とするpHとするために必要なイオ
    ン濃度の目標値を求め、炉水中のイオン濃度を前記目標
    値とするように、炉水中に前記物質を注入することを特
    徴とする沸騰水型原子力発電プラントの水質制御方法。
  5. 【請求項5】請求項4において、前記イオンは、クロム
    酸イオン,硫酸イオン,ナトリウムイオンのうちの何れ
    かであることを特徴とする沸騰水型原子力発電プラント
    の水質制御方法。
  6. 【請求項6】新規の沸騰水型原子力発電プラント又は除
    染や配管取り替えを実施した沸騰水 型原子力発電プラン
    トにおいて、 前記プラントが有する原子炉の100%出力段階試験終
    了後の出力運転開始以降は前記原子炉の炉水のpHを中
    性にし、 出力運転開始から約500時間後に、炉水のpHをアル
    カリ側にする物質を炉水中に注入して炉水のpHを7.
    0〜8.5の範囲内に制御することを特徴とする沸騰水
    型原子力発電プラントの水質制御方法。
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