JP3365902B2 - フイルム貼着缶体およびその製造方法 - Google Patents

フイルム貼着缶体およびその製造方法

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JP3365902B2 JP04830796A JP4830796A JP3365902B2 JP 3365902 B2 JP3365902 B2 JP 3365902B2 JP 04830796 A JP04830796 A JP 04830796A JP 4830796 A JP4830796 A JP 4830796A JP 3365902 B2 JP3365902 B2 JP 3365902B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、缶胴の外面に装
飾用フイルムをその両端部を互いに重ね合わせた状態で
貼着した金属製缶体およびその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】一体底付きシームレス金属缶であるブリ
キやアルミニウムを素材としたいわゆるツーピース缶
は、通常、絞りしごき成形によって缶胴をつくり、その
後に洗浄および表面処理を行い、さらに塗装や印刷を施
している。その印刷としては、ドライオフセット印刷機
による印刷が主流であるが、この種の印刷では、共通の
ブランケットから全ての色を塗布するから、色数は多く
ても5色程度に制限され、また画線が重ならないように
するために、ハーフトーンの印刷は殆ど不可能であっ
た。
【0003】これに対して最近では、顧客からの要求が
厳しくなるにつれて、ドライオフセット印刷であっても
製版に工夫を凝らしたり、印刷条件を厳しくしたりする
ことによって、ハーフトーン印刷がかなりのレベルにま
で向上してきている。しかしながら消費動向やニーズの
変化によって製品は多様化しており、要求される印刷品
質もなお一層高い外観の美麗なものが求められてきてい
る。
【0004】このような要求に応えるべく、金属缶胴に
直接印刷して得られる缶に替わるものとして、金属缶体
の缶胴の外面に、予め印刷されたポリエステルなどの熱
可塑性樹脂フイルムを貼着して作られる缶が種々提案さ
れている。その印刷フイルムを作る方法としては、オフ
セット印刷に加えてグラビヤ印刷、フレキソ印刷法など
の選択が可能であり、これらの印刷方法は、従来のドラ
イオフセット印刷法に比べて装飾的効果が高く、印刷品
質がかなり良く、しかも缶の替わりに連続した熱可塑性
樹脂フイルムに印刷するので高速印刷が期待できるな
ど、従来のドライオフセット印刷にない有利な点を備え
ている。
【0005】このように予め印刷された熱可塑性フイル
ムを熱接着して装飾効果の高い缶を製造する方法として
は、特開昭52−24790号公報、特開平3−230
940号公報、特開平4−57747号公報、および特
開平7−89552号公報などに記載された方法が知ら
れている。これらを簡単に説明すると、特開昭52−2
4790号公報に記載された方法は、ネックイン加工お
よびフランジ加工の終了した缶体の缶胴面に印刷済みの
フイルムを貼着し、そのフイルムをネックイン加工部の
輪郭に合わせるべく熱収縮させる方法である。
【0006】また特開平3−230940号公報に記載
された方法は、先ず、金属板に絞り加工あるいは絞りし
ごき加工を施して開口端部を有する缶体を造り、その缶
体の缶胴面に印刷済みのフイルムを貼着し、しかる後
に、開口端部にネックイン加工およびフランジ加工を施
す方法である。そしてこの公報に記載された方法では、
熱可塑性樹脂フイルムとして、印刷層の保護のためにオ
ーバーコート層を有するものが好ましいとされている。
【0007】さらに特開平4−57747号公報に記載
された方法は、印刷済みのフイルムの貼着の後にネック
イン加工やフランジ加工を行う方法であり、さらにこの
方法では、ネックイン加工やフランジ加工の際にフイル
ムの重ね合わせ部の両脇で金属缶体のシワを発生させな
いようにするために、フイルム重ね合わせ予定部(フイ
ルムの切断箇所に相当)のフイルムをシリンダなどで引
き延ばすことにより、印刷済みフイルムの熱可塑性樹脂
フイルムの重ね合わせ部の厚さを薄くしている。
【0008】そして特開平7−89552号公報に記載
された方法は、上記の特開平3−230940号公報や
特開平4−57747号公報に記載された方法と同様
に、印刷済みの熱可塑性樹脂フイルムを金属缶体に貼着
した後にネックン加工やフランジ加工を行う方法である
が、そのフイルムを貼着する際に、その両端部を互いに
重ね合わせ、あるいはフイルムの両端部を突き合わせ、
その状態でフイルムに設けた接着剤により、加熱昇温さ
れた金属缶体の缶胴外面に熱接着することとしている。
またその接着剤を硬化させるために、更に加熱し、ある
いは電子線を照射している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】印刷済みの熱可塑性樹
脂フイルムを金属缶体に貼着する場合、空気の巻き込み
やシワの発生などを防止し、またフイルムを確実に貼着
するために、加圧しつつフイルムを金属缶体に貼着する
必要がある。しかしながら上述した特開昭52−247
90号公報に記載された方法では、印刷済みの熱可塑性
樹脂フイルムの貼着に先立って金属缶体のネックイン加
工やフランジ加工を行うため、フイルムの貼着工程では
金属缶体の開口端が絞られていて、缶胴の内径とほぼ等
しい外径のマンドレルを金属缶体に挿入することが困難
である。そのためにこの方法では、フイルムの貼着のた
めの加圧力を高くすることができず、その結果、フイル
ムと金属缶体との間に空気を巻き込んで密着不良が生じ
易く、またフイルムがネックイン部の輪郭に沿って熱収
縮する際にネックイン部にシワが発生し易いなどの問題
があった。
【0010】これに対して特開平3−230940号公
報に記載された方法は、印刷された熱可塑性樹脂フイル
ムを金属缶体に貼着した後にネックイン加工およびフラ
ンジ加工を行うから、印刷層の保護のためにオーバーコ
ート層を設けることが好ましいとされており、むしろオ
ーバーコート層は必須と考えられる。しかしながらフイ
ルムの貼着にあたってその両端部を重ね合わせた場合、
オーバーコート層に含まれるシリコンやワックスなどの
滑り剤のために、フイルムの重ね合わせ部の密着性が阻
害され、その結果、フイルムの接着の後のネックイン加
工などの後成形時にフイルムの重ね合わせ部が剥離し易
くなる不都合がある。このような不都合を解消するため
にオーバーコートを施さないとすれば、缶体の外面の滑
り性が悪くなって缶の搬送性が低下してしまい、また印
刷層の強度が低下して傷が付き易くなるなどの問題が生
じる。
【0011】また特開平4−57747号公報に記載さ
れた方法では、印刷済みの熱可塑性樹脂フイルムの重ね
合わせ予定部を引き延ばして薄くするから、その引き延
ばしのためにフイルムの走行を一旦停止させなければな
らず、そのためにフイルムの貼着の高速化が阻害される
問題がある。
【0012】さらに特開平7−89552号公報に記載
された方法では、印刷済みの熱可塑性樹脂フイルムを金
属缶体に貼着する場合に、その両端部を互いに重ね合わ
せるとすれば、上述した特開平3−230940号公報
に記載された方法と同様に、オーバーコートによって重
ね合わせ部の密着性が阻害されてこの部分での剥離が生
じ易くなる問題がある。またこれに替えてフイルムの両
端部を突き合わせて貼着する場合には、貼着は加熱下で
行われてフイルムが縮み易いために、フイルムの突き合
わせ端部同士の間に隙間が生じ、この部分で金属下地が
剥き出しとなって錆が発生したり、あるいは殺菌工程で
フイルムの突き合わせ端部が浮き上がって剥離の原因と
なったりする不都合がある。さらにはフイルムの突き合
わせ端部同士の間隔は必ずしも常時一定にはならないの
で、外観が損なわれる不都合がある。
【0013】この発明は、上記の事情を背景としてなさ
れたものであり、印刷済み熱可塑性樹脂フイルムの貼着
後にネックイン加工やフランジ加工などの後成形を行う
際のシワの発生を防止し、また缶体外面の滑り性および
耐疵付強度を向上させ、さらにフイルム貼着前の金属缶
体にベースコートを施しておかなくても錆の発生を防止
でき、そしてまた殺菌処理時の水蒸気や水がフイルムの
下面側に侵入することを防いでフイルムの浮き上がりや
剥離を防止することのできるフイルム貼着缶およびその
製造方法を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1の発明は、金属製缶体の
外側缶胴面に、一方の面に印刷層および接着層が形成さ
れた装飾用熱可塑性樹脂フイルムが、その接着層を介し
てその両端部を重ね合わせた状態に貼着されているフイ
ルム貼着缶体において、貼着された前記装飾用熱可塑性
樹脂フイルムの外面側に、放射線で硬化されたオーバー
コート層が形成され、そのオーバーコート層が、フイル
ム重ね合わせ部上で、他の部分より薄い塗膜厚に形成さ
れ、フイルムの重ね合わせによるオーバーコート層の段
差が平準化され、かつフイルムの重ね合わせ部における
フイルム段差部を覆う前記オーバーコート層表面が、前
記缶胴面の円周方向に緩やかな斜面状に形成されている
ことを特徴とするものである。
【0015】したがって装飾用フイルム自体には、オー
バーコート層を設けていないから、フイルム重ね合わせ
部でフイルム同士が確実に貼り合わされ、この部分での
剥離などの不都合は生じない。また缶胴の外表面は、オ
ーバーコート層によって覆われることになるので、フイ
ルムの損傷や剥離などが防止されることはもちろんのこ
と、缶体の搬送性が良好になる。さらにフイルムの重ね
合わせによるオーバーコート層の段差が平準化され、か
つフイルム重ね合わせ部でのオーバーコート層が円周方
向に緩い斜面状に形成されているので、缶胴のネック部
に後工程でダイネック加工などでネックイン加工を施す
場合に、缶胴外表面とダイネック成形金型との隙間が可
及的に均一になり、その結果円周方向に作用する圧縮力
の応力集中を防止し、ネック部でのシワなどの発生が防
止される。そしてオーバーコート層を形成する塗料が放
射線硬化性の樹脂であるから、オーバーコートの硬化時
に缶体を加熱する必要がなく、そのため装飾用フイルム
の熱収縮を防止して外観に優れた缶体を得ることができ
る。
【0016】またこの発明では、請求項2に記載したよ
うに、前記フイルム重ね合わせ部での前記オーバーコー
ト層の外表面とフイルム重ね合わせ部以外の一般面との
前記金属缶体の半径方向での寸法差、すなわち前記オー
バーコート層の段差が、前記印刷層および接着層を含む
フイルム厚さの80%以下に設定される。
【0017】この程度までオーバーコート層のフイルム
重ね合わせ部での平準化を行えば、ネックイン加工時の
円周方向での圧縮力によるシワなどの発生を、より確実
に防止することができる。
【0018】またこの発明では、請求項3に記載したよ
うに、前記オーバーコート層および前記接着層を、電子
線硬化性樹脂からなる構成とすることができる。
【0019】このような構成であれば、オーバーコート
層の電子線照射による硬化過程で接着層を同時に硬化さ
せることができるので、接着層を単独で加熱硬化させる
いわゆる接着剤硬化工程を省略でき、工程の短縮化を図
ることができる。
【0020】また請求項4に記載した発明は、金属製の
缶体の外側缶胴面に、一方の面に印刷層および熱硬化性
樹脂からなる接着層が形成された装飾用熱可塑性樹脂フ
イルムを、その接着層を介して貼着した後、その缶体の
開口端部にネックイン加工およびフランジ加工を施すフ
イルム貼着缶体の製造方法において、前記缶体を加熱す
る加熱工程と、前記装飾用熱可塑性樹脂フイルムを、予
め前記缶胴の周長より長めに切断するフイルム切断工程
と、切断された前記装飾用熱可塑性樹脂フイルムを、前
記加熱された缶体の缶胴面に前記接着剤を介して、かつ
装飾用熱可塑性樹脂フイルムの両端部が互いに重なり合
うように熱接着するフイルム貼着工程と、貼着後の装飾
用熱可塑性樹脂フイルムの外面側に無溶剤で流動性のあ
る紫外線硬化性樹脂からなるオーバーコート塗料を塗布
するオーバーコート塗布工程と、前記缶体の外面側に紫
外線を照射して、前記オーバーコート塗料を硬化させ、
オーバーコート層を形成させる紫外線照射工程と、前記
接着剤を硬化させる接着剤硬化工程とを含むことを特徴
とする方法である。
【0021】したがってこの発明の方法では、装飾用熱
可塑性樹脂フイルムを缶体に貼着する場合に、フイルム
の両端部が互いに重なり合うが、フイルム自体にはオー
バーコート層が設けられていないので、重ね合わせ部分
においてもフイルム同士が確実に貼着される。またオー
バーコート塗料は、フイルムを貼着した後に塗布され、
かつ紫外線が照射されて硬化されるから、貼着したフイ
ルムの熱収縮が生じず、シワなどのない外観に優れたフ
イルム貼着缶体を得ることができる。
【0022】さらに請求項5に記載した発明は、金属製
の缶体の外側缶胴面に、一方の面に印刷層および電子線
硬化性樹脂からなる接着層が形成された装飾用熱可塑性
樹脂フイルムを、その接着層を介して貼着した後、その
缶体の開口端部にネックイン加工およびフランジ加工を
施すフイルム貼着缶の製造方法において、前記缶体を加
熱する加熱工程と、前記装飾用熱可塑性樹脂フイルム
を、予め前記缶胴の周長より長めに切断するフイルム切
断工程と、切断された前記装飾用熱可塑性樹脂フイルム
を、前記加熱された缶体の缶胴面に前記接着剤を介し
て、かつ装飾用フイルムの両端部が互いに重なり合うよ
うに熱接着するフイルム貼着工程と、貼着後の装飾用熱
可塑性樹脂フイルムの外面側に、無溶剤で流動性のある
電子線硬化性樹脂からなるオーバーコート塗料を塗布す
るオーバーコート塗布工程と、前記オーバーコート塗料
の外面側から電子線を照射して、前記オーバーコート塗
料を硬化させ、オーバーコート層を形成させると同時に
前記接着剤を硬化させる電子線照射工程とを含むことを
特徴とする方法である。
【0023】したがってこの請求項5の発明では、上述
した請求項4の発明に加えて、接着層がオーバーコート
層と同様に電子線を照射されて硬化する樹脂によって形
成されていることにより、オーバーコート層の硬化過程
で接着層を硬化させることができ、その結果、接着層を
硬化させるための単独の工程が省略され、工程の短縮化
を図ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明をより具体的に説
明する。この発明で対象とする缶体1は、金属製であ
り、その素材としての金属板には、アルミニウム板、テ
インフリースチールなどの表面処理鋼板、ブリキ、クロ
ムメッキ鋼板、アルミメッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼
板、その他の各種合金メッキ鋼板を用いることができ
る。またこの缶体1は、図1に示すように、絞り缶、絞
りしごき缶、インパクト缶などの缶底と缶胴とが一体に
成形された底付き缶体、すなわちツーピース缶とするこ
とができる。この缶胴の開口端部には、最終的にネック
イン加工およびフランジ加工が施されてネック部1aお
よびフランジ部1bが形成される。
【0025】この缶体1に貼着される装飾用フイルム2
としては、熱可塑性樹脂フイルムが用いられ、具体的に
は、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテ
レフタレート樹脂などのポリエステル系樹脂、ポリエチ
レンテレフタレートとイソフタル酸との共重合体などよ
りなる共重合ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオ
レフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン共
重合体などのうちから選ばれた透明な高分子樹脂単体、
あるいは上記樹脂の複合体からなる熱可塑性樹脂フイル
ム2aが用いられる。中でも貼着工程で60kgf /cmの
線圧力で缶体1の円周方向にフイルムがある程度展延
し、耐熱性があるポリエチレンテレフタレート樹脂を用
いることが好ましい。そのフイルム2aの厚さは適宜決
定することができ、一例として10〜30μm程度の厚
さのフイルムを使用することができる。
【0026】このフイルム2aの一方の面には、印刷層
2bと接着層2cとが順に形成されている。すなわち樹
脂フイルム2aの一方の面に装飾用の印刷が施され、そ
の印刷層2bの表面に接着層2cが設けられている。そ
の印刷には、熱硬化性のウレタン系樹脂からなるインキ
が使用され、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット
印刷などによる印刷が実施される。
【0027】また接着層2cには、加熱と加圧とにより
密着し易く、しかもインキとの密着性が良好な熱硬化性
接着剤が用いられる。特に、本接着工程での加圧力によ
って接着層がはみ出し易いガラス転移点(Tg )が−1
0℃〜+40℃の流動性の良い熱硬化性樹脂が好まし
く、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂およびアミノ樹脂
とを配合した接着剤が通常用いられる。また、接着層2
cは、印刷層2bの全面に設けることが好ましい。な
お、接着剤は90〜110mg/dm2 で厚盛りする。少
なくとも50mg/dm2 で全面塗布する。
【0028】電子線(放射線)硬化性接着剤の具体例と
しては、ポリエステル樹脂100重量部に対して不飽和
二重結合を有するポリエステル系オリゴマー2〜30重
量部配合した樹脂組成物に、応力緩和剤を0.5〜25
0PHR(樹脂100重量部に対する重量部)添加して
なる電子線硬化型接着剤が用いられる。
【0029】この発明においては、缶体の缶胴外面に貼
着された装飾用フイルム2の上にオーバーコート層3が
形成される。このオーバーコート層3は放射線(電子
線)によって硬化させたものであり、そのための塗料と
しては、エポキシアクリレート樹脂、ポリエステルアク
リレート樹脂、ポリウレタンアクリレート樹脂、ポリエ
ーテルアクリレート樹脂、ポリブタジエン系アクリレー
ト樹脂などが挙げられ、分子量としては比較的高い樹脂
状のものから、低いモノマー状のものを含み、放射線で
重合反応を示すものであればよい。なお、前記放射線硬
化性樹脂は単独でも二種類以上の混合物としてでも使用
できる。
【0030】前記フイルム2の両端部を重ね合わせたこ
とによる段差部4では、オーバーコート塗料が流動して
緩い傾斜面5を形成する。またフイルム重ね合わせ部6
でのオーバーコート層3の厚さOBDは、その部分の外
表面の他の部分に対する突出量、すなわちこのフイルム
重ね合わせ部でのオーバーコート層3の外表面と他の一
般面との半径方向での寸法差T2 が、印刷層2bおよび
接着層2cを含むフイルム2の厚さT1 の80%以下で
あることが好ましい。ネックイン加工の際のシワなどの
発生を防止するためである。
【0031】なお、各寸法の関係を図4を参照すれば以
下のとおりである。
【0032】 ・T2 =(2T1 +OBD)−(T1 +OBS) ・T2 ≦0.8T1 T1 =フイルム厚+印刷層厚+接着層厚 OBD=重ね合わせ部上のオーバーコート塗膜厚 OBS=フイルム1層上のオーバーコート塗膜厚 これらの樹脂は、そのままオーバーコート塗料として使
用することもできるが、粘度を低下させてその流動性を
高めるために、光重合性モノマーを反応性希釈剤として
使用することができる。その具体例を挙げれば、単官能
モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリレート、テトラ
ヒドロフルフリールアクリレートなど、二官能モノマ
ー;ジシクロベンテニルアクリレート、ジシクロベンテ
ニアルオキシエチルアクリレート、1,3−ブタンジオ
ールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジ
エチレングリコール、ネオベンチルグリコールジアクリ
レート、トリプロピエングリコールジアクリレートな
ど、三官能以上のモノマ−;トリメチロールプロパント
リアクリレート、ベンタエリスリトールトリアクリレー
ト、ジベンタエリスリトールヘキサアクリレートなどで
ある。
【0033】そしてその粘度は、200〜350cp
(フォードカップNo.4、25℃で60〜90秒)に
調整される。粘度が200cp未満では、粘性が低すぎ
てオーバーコート塗料を塗布するときに、塗布ロールと
缶体1との間で塗料の垂れを起こしやすく、塗布作業が
困難となる。また粘度が350cpを越えると、オーバ
ーコート塗料の流動による薄膜化や平準化を達成しにく
くなる。オーバーコート塗料の粘度をこのように調整す
ることにより、オーバーコート塗料は、塗布後に流動し
てフイルム重ね合わせ部6で緩い傾斜面5を形成し、ま
た所期の厚さになる。
【0034】オーバーコート塗料の硬化手段としては、
放射線照射を採用することができる。ここで放射線と
は、広義の放射線を意味しており、すべての電磁波およ
び粒子線を含む。したがってX線やガンマ線、ベータ線
などの電子線を照射してオーバーコート塗料を硬化させ
ることができる。これらの電子線の照射は、塗膜が厚い
場合に適している。簡易な設備で容易に硬化操作を行う
ためには、約200〜450nmの波長領域の紫外線(U
V放射線)照射が採用される。なお、紫外線照射は、塗
膜が薄い場合に適している。
【0035】放射線として紫外線を使用する場合には、
オーバーコート塗料組成物中に光重合開始剤を配合する
ことが好ましい。その光重合開始剤の具体例としては、
アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケント、ベ
ンジン、ベンゾイン、ベンゾイニソブチルエーテル、ベ
ンジンメチルケタール、テトラメチルチウラムスルフィ
ド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルバーオキ
サイド、ジーtert−ブチルハーオキサイド、1−ヒ
ドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキ
シ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、
1−(4−イソプロフィルフェニル)−2−ヒドロキシ
−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサ
ントン、メチルベンゾイルフォーメートなどが挙げられ
る。これらの光重合開始剤は単独でも、二種類以上を併
用してもよい。
【0036】硬化時間は、装飾用フイルム2の厚さ、放
射線源、光開始剤、反応性希釈剤および放射線源と硬化
されるべき塗膜面との間の距離によって異なるが、製造
効率を向上させるため0.1秒〜1.0秒が好適であ
る。
【0037】この発明の方法では、缶胴に前述した装飾
用フイルム2を貼着した後にその上にオーバーコート塗
料を塗布する。その塗装方法としては、ロールコータ
ー、グラビアコーター、スプレー塗布などの方法が採用
される。
【0038】この発明の方法では、一例として図5の工
程図に示すように、金属製缶体1の缶胴面に密着させら
れる面に印刷層2bおよび接着層2cを設けた装飾用熱
可塑性樹脂フイルム2を、缶胴の周長より長く切断して
おく。これを加熱昇温された金属缶体1の缶胴に貼着す
る。その場合、図6に示すように、前記フイルム2の両
端部が重なり合ってフイルム厚さに相当する段差が生
じ、その内側に段差空隙部7が生じることがある。この
段差空隙部7の内部には、フイルム2を貼着した缶胴面
を高い加圧力で押圧することにより、接着層2cがはみ
出し、その結果、接着層2c同士が融合する。したがっ
て段差空隙部7は接着剤で充満させられ、またフイルム
端部の缶胴面に対する貼着が確実になる。その後、装飾
用フイルム2の外周面に放射線硬化性樹脂からなるオー
バーコート塗料を塗布する。
【0039】オーバーコート塗料は、図3に示すよう
に、フイルム段差部4に流れ込み、この部分を平準化
し、これに要する所定時間の経過後に、放射線を照射し
て、フイルム外周面に塗布されたオーバーコート塗料を
硬化させ、缶胴全周面に均一なオーバーコート層3を形
成する。
【0040】したがって、前記オーバーコート層3が、
フイルム重ね合わせ部6上で薄い塗膜厚に形成され、か
つフイルム重ね合わせ部6のフイルム段差部4を覆う前
記オーバーコート層表面が、緩やかな斜面状に平準化さ
れ、外見上は段差がないように見える。すなわち、印刷
済み熱可塑性樹脂フイルム貼着缶のフイルム外面は、フ
イルム重ね合わせ部におけるオーバーコート層が平準化
されるため外見上は缶胴全周に亘り凹凸のない均一面に
見える。
【0041】また、フイルム両端部の重ね合わせ部の下
層フイルム上面(上層フイルムの接着剤層と接する面)
にシリコンやワックスなどの滑剤を含有させたオーバー
コート層がなく、フイルム2同士の接着性が良い。さら
に、フイルム貼着後の缶のフイルム全外周面に放射線硬
化性樹脂からなるオーバーコート層3が形成されるの
で、缶体表面の塗膜硬化が高くなるとともにオーバーコ
ート塗料が放射線硬化性樹脂からなるため、硬化時に加
熱する必要がなく、装飾用フイルムの熱収縮による変形
が防げる。
【0042】以上のようにして装飾用フイルム2を缶胴
に貼着した後に、その缶体1をつぎの工程に送ってフイ
ルム貼着缶の開口端部にネックイン加工(特にダイネッ
ク加工)を施す。その場合、缶胴の全周がオーバーコー
ト層3で覆われているうえに、フイルム重ね合わせ部で
のオーバーコート層が緩い斜面状に形成され平準化され
ているので、ネック部分に円周方向に作用する圧縮力の
応力集中を防ぐことができ、ネック部分のシワの発生や
フイルム端部の開きが防止される。さらに、殺菌工程で
発生しやすいフイルム付き合わせ部における錆やフイル
ム2の浮き上がりを防ぐことができ、上層側の段差部4
も綺麗に仕上がるため、外観品質を向上させることがで
きる。
【0043】また、フイルム貼着缶の缶胴面に電子線硬
化性のオーバーコートを施す場合、電子線硬化性の樹脂
を接着剤として使用してあれば、電子線照射でオーバー
コート塗料を硬化させると同時に接着剤の硬化を促進さ
せることができる。すなわち接着剤の加熱硬化工程を省
略して、電子線工程で一緒に接着剤の硬化を行うことが
できる。その場合の工程図を図7に示してある。
【0044】つぎにこの発明を実施するための装置につ
いて簡単に説明すると、図8は、その全体的な構造を示
す概略図であり、多数のマンドレル10が所定の回転半
径の円周上を互いに一定間隔を維持して旋回するように
配列されている。これらのマンドレル10は、対象とす
る金属缶体1の内径より若干小径の円柱状の部材であっ
て、それぞれ中心軸線を中心に自転できるように構成さ
れている。
【0045】一方、このマンドレル10の外周に嵌着さ
せられて保持される金属缶体1は、例えばアルミニウム
製円板を絞りしごき成形させて底付きの円筒体として構
成されたいわゆるツーピース缶1であり、ネックイン加
工やフランジ加工が施されていないものである。このツ
ーピース缶1を一列に並べて搬送する搬送手段(図示せ
ず)が、前記マンドレル10の旋回する円周の所定位置
に外周側に延びて配置されており、この搬送手段によっ
て搬送されたツーピース缶1は缶底を図示しない押込手
段に押されマンドレル10に嵌着して、マンドレル10
に対してツーピース缶1を1つづつ受け渡すようになっ
ている。
【0046】前記マンドレル10は図8の矢印方向に連
続的に旋回させられており、前記ツーピース缶1の供給
ステーション11からマンドレル10の旋回方向での前
方側でかつマンドレル10が旋回する円周の外側に、加
熱装置12が所定の範囲に亘って配置されている。この
加熱装置12は、マンドレル10によって保持されてい
るツーピース缶1を加熱昇温するためのものであって、
一例として高周波誘導加熱装置を採用することができ
る。なお、マンドレル10はこの加熱装置12が配置さ
れている範囲では自転する構成としてある。
【0047】この加熱装置12に対してマンドレル10
の旋回方向で前方側に隣接する箇所が仮接着ステーショ
ン13であって、加熱昇温されたツーピース缶1の缶胴
面にこの仮接着ステーション13において、一方の面に
印刷層2bおよび接着層2cを順に形成した熱可塑性樹
脂からなる装飾用フイルム2が貼り付けられる。仮接着
ステーション13においては、マンドレル10の旋回半
径より外側に貼着ロール14が配置されている。この貼
着ロール14は、ツーピース缶1の缶胴面の周長より長
めに切断された複数枚の前記装飾用フイルム2を、前記
接着層2cを外面側にしてその外周面に一定間隔をあけ
て吸着して保持し、マンドレル10の旋回と同期して回
転することにより、その外面に吸着している装飾用フイ
ルム2をツーピース缶1の缶胴面に貼着するよう構成さ
れている。その場合の接着圧力は、貼着ロール14とマ
ンドレル10との間隔を調整して適宜の圧力にすること
ができ、その一例として30kgf /cm程度の線圧力にす
ることができる。なお、装飾用フイルム2の吸着保持の
ための手段としては、従来知られている種々のものを採
用でき、例えば真空吸着するように構成してもよい。
【0048】上記の仮接着ステーション13に対して加
熱装置12とは反対側に、本接着ステーション15が設
けられている。この本接着ステーション15は、ツーピ
ース缶1の缶胴面に貼着された装飾用フイルム2を加圧
して、より強固に貼り付けるための加工を行う箇所であ
り、マンドレル10の旋回半径の外側に加圧ロール16
が配置されている。この加圧ロール16は、マンドレル
10に向けた押圧力を受けており、またマンドレル10
に嵌着させたツーピース缶1と同期して自転し、あるい
はツーピース缶1との間の摩擦力で自転するように構成
されている。この加圧ロール16は、ツーピース缶1が
放冷しない程度、すなわち装飾用フイルム2の接着層2
cが固化する程度に温度が低下しない範囲で前記仮接着
ステーション13に接近して配置されている。またその
加圧力は、前記仮接着ステーション13での加圧力の
1.5〜2.0倍であって、少なくとも線圧力で40kg
f /cmに設定されている。
【0049】つぎに、本接着ステーション15に対して
仮接着ステーション13とは反対側に、オーバーコート
ステーション17が設けられている。このオーバーコー
トステーション17は、前記本接着ステーション15で
装飾用フイルム2を缶胴面に強固に取り付けた後、その
装飾用フイルム2の外周面に放射線硬化性樹脂からなる
オーバーコート塗料を塗布する箇所であり、マンドレル
10の旋回半径の外側にオーバーコーター18が配置さ
れている。このオーバーコーター18は、アプリケータ
ーロール19と二本のメタリングロール20とから構成
されたロールコーターであり、アプリケーターロール1
9はマンドレル10の旋回と同期して回転することによ
り、二本のメタリングロール20の小さな隙間で計量さ
れた塗料をアプリケーターロール19に転移させて、そ
の表面上のオーバーコート塗料をツーピース缶1の外周
面全体、すなわち缶胴面に貼着した装飾用フイルム2の
外面に塗布するように構成されている。
【0050】なお、フイルム貼着済みの缶1の温度を低
下させる時間が確保できない場合には、図9のように、
フイルム貼着工程とオーバーコートステーション17と
の間に、ポケット24が円周上に互いに一定間隔を維持
して設けられたトランスファーユニット25を設け、エ
アーなどの空圧手段(図示せず)を使用してフイルム貼
着済み缶体1をマンドレル10から抜き取り、またオー
バーコートステーション17のマンドレル10に移し替
えて缶1の温度を低下させる時間を確保するようにして
も良い。
【0051】前記オーバーコートステーション17に対
してマンドレル10の旋回方向での前方側に排出ステー
ション21が設けられている。この排出ステーション2
1では、マンドレル10に嵌着された缶体2をマンドレ
ル10からエアーなどの排出手段を使って抜き取り、搬
送コンベア(図示せず)に移し替えるとともに、つぎの
放射線照射工程22へ搬送するようになっている。
【0052】なお、放射線照射工程22は、オーバーコ
ート塗料が塗布後にフイルム段差部4の窪みに流れ込む
ための時間(約10〜20秒)を確保できるようにオー
バーコートステーション17から離れた前方位置に設け
られている。
【0053】この放射線照射工程22では、回転ピンな
どによって缶体1を支持して搬送する搬送路の両側に所
定の範囲に亘って放射線ランプなどが配置されており、
ツーピース缶1を数回転させる間にツーピース缶1のフ
イルム外周面に塗布されたオーバーコート塗料を硬化さ
せて缶胴全周面に均一なオーバーコート層3を形成させ
るようになっている。ここで、放射線照射装置は、電子
線、例えばX線、ガンマ線、ベータ線や紫外線を照射す
るものが使われるが、経済的に容易に硬化する約200
〜450nmの波長域の紫外線を照射するものを用いる
ことが好ましい。
【0054】なお、この放射線照射工程22の前方側に
は、搬送手段に支持されたフイルム貼着ツーピース缶体
1をピンから抜き取るとともに、所定の搬送手段(図示
せず)によってツーピース缶体1を次の内面塗装及びネ
ックイン加工やフランジ加工を行う後工程に搬送するよ
うになっている。また、フイルム貼着工程の後、接着剤
の加熱硬化させる必要がある場合には、放射線照射工程
22と後工程との間に接着剤硬化工程23を設ける必要
があるが、通常は、後工程の内面塗装工程の塗料焼付工
程を利用して同時に加熱硬化される。
【0055】つぎに上記の装置を使用したこの発明の方
法を具体的に説明すると、マンドレル10の外周に嵌着
され保持される金属缶体1は、アルミニウム製円板を絞
りしごき成形させて底付き円筒体として構成されたツー
ピース缶1であり、ネックイン加工やフランジ加工が施
されていないものである。そのツーピース缶1を洗浄し
た後に乾燥処理する。ついでそのツーピース缶1を所定
の搬送手段で供給ステーション11に送り、ここでマン
ドレル10に受け渡す。すなわち、所定の半径の円周上
を旋回しているマンドレル10に、供給ステーション1
1においてツーピース缶1を嵌着させ、その状態でマン
ドレル10がツーピース缶1を保持する。そしてそのツ
ーピース缶1は、マンドレル10と一体となって所定の
半径の円周上を旋回するとともに自転させられ、供給ス
テーション11に隣接する加熱装置12の前面側を通過
する間に高周波誘導加熱され、缶胴の表面温度が約15
0℃に加熱昇温される。
【0056】一方、装飾用フイルム2は、熱可塑性樹脂
フイルム2aの一方の面にツーピース缶体1の缶胴面の
周長より若干長い範囲を一区画として印刷層2bが設け
られ、かつその印刷層2bの上側に接着層2cが設けら
れている。この装飾用フイルム2は、ツーピース缶体1
の缶胴面周長より若干長い区画ごとに切断されて仮接着
ステーション13における貼着ロール14に吸着されて
いる。なお、切断された各装飾用フイルム2は、前記マ
ンドレル10の間隔と同一の間隔で貼着ロール14の外
周面に吸着保持され、また接着層2cを外側にして保持
されている。さらに貼着ロール14は、マンドレル10
の旋回速度すなわちツーピース缶体1の旋回速度と同期
して自転している。一例として100m/分の高速で装
飾用フイルム2を供給するように回転する。
【0057】したがって加熱装置12で加熱昇温された
ツーピース缶体1が仮接着ステーション13に達する
と、その缶胴面に装飾用フイルム2が貼着ロール14に
よって押し付けられてその接着層2cにより貼り付けら
れる。その押圧力は線圧力で30kgf/cmである。またツ
ーピース缶体1は、マンドレル10と共に自転し、さら
に装飾用フイルム2は缶胴面の外周全体に空気を巻き込
むことなく貼り付けられ、またその両端部は重なり合っ
た状態となる。
【0058】このようにして装飾用フイルム2が仮接着
されたツーピース缶体1は、マンドレル10に保持され
て本接着ステーション15に送られる。この本接着ステ
ーション15は、前記仮接着ステーション13に接近し
て設けられているから、ツーピース缶体1は放冷するこ
となく本接着ステーション15に送られる。すなわちツ
ーピース缶体1の温度は、接着剤が固化しない温度に維
持される。この本接着ステーション15においてはツー
ピース缶体1の旋回速度および自転速度に合わせた周速
で回転する加圧ロール16がツーピース缶体1の外面に
押し付けられ、その加圧力は、一例として線圧力で60
kgf/cmである。
【0059】したがって装飾用フイルム2は、接着剤が
固化しない状態で再度加圧され、しかもその加圧力が大
きいから、接着層2cがフイルムの重なり合いにより生
じた段差空隙部7にはみ出し、互いに融合する。その状
況を図6に示してあり、仮接着されて互いに重なり合っ
ている装飾用フイルム2の端部の内側には、装飾用フイ
ルム2の厚さに応じた段差空隙部7が生じており、これ
を加圧ロール16によって更に加圧すると、接着層2c
がこの段差空隙部7にはみ出し、この隙間を埋める。
【0060】ツーピース缶体1は、加圧ロール16によ
って加圧された後、オーバーコートステーション17に
送られ、オーバーコーター18のアプリケーターロール
19と接触し、同一周速で自転しながら缶体外周面にオ
ーバーコート塗料が塗布される。
【0061】このようにして装飾用フイルム2上にオー
バーコートされたツーピース缶体1は、マンドレル10
と一体となって所定の半径円周上を排出ステーション2
1に旋回移動し、ここでマンドレル10から搬送コンベ
ヤに移行するとともに、搬送コンベアから例えばピンチ
ェーンに移行し、このピンチェーンによって放射線照射
装置内を通過しつつ放射線(紫外線)が照射されてオー
バーコート層3が硬化形成される。なお、オーバーコー
トされた塗料は、放射線照射装置にまで搬送される間
に、フイルム重ね合わせ部6の段差4を埋めるように流
れ、所定の傾斜面5を形成する。
【0062】このようにして装飾用熱可塑性樹脂フイル
ム2を貼着したツーピース缶体1は、接着剤の硬化工程
を経た後、ピンチェーンから抜き取られて後工程に搬送
され、図1のようにツーピース缶体1の内面には公知方
法で塗装が施され開口端部には公知の方法でネックイン
加工やフランジ加工が施されフイルム貼着ツーピース缶
体1′が製造される。
【0063】つぎにこの発明の実施例を比較例と共に示
す。
【0064】
【実施例1】絞りしごき成形したアルミニウム製ツーピ
ース缶体を使用してフイルム貼着缶を製造した。装飾用
フイルム2は、図2に模式的な断面図として示すよう
に、厚さ16μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フ
イルム2aの一方の面に、ウレタン系樹脂からなるイン
キでグラビア印刷した厚さ1μmの印刷層2bと、その
上にポリエステル系樹脂とイソシアネート系樹脂とアミ
ン系樹脂(配合比94:3:3)とからなる厚さ6μm
の熱硬化性接着層2cとを形成したものを使用した。
【0065】オーバーコート塗料は、紫外線硬化性樹脂
からなる塗料を使用し、プレポリマー30重量%として
エポキシアクリレート系樹脂を70重量%、光重合性モ
ノマーとしてトリアクリレートを30重量%、光重合開
始剤としてベンゾフェノンを5〜7重量%、滑剤として
シリコンを1〜2重量%を均一に混合してフォードカッ
プNo.4、25℃で60〜90秒(200〜350c
p)に、粘度調整した。 オーバーコートステーション
17において、オーバーコーター18によってオーバー
コート塗料を前記装飾用フイルムの外周全面に塗布し
た。塗布後、フイルム重ね合わせ部6上に塗布されたオ
ーバーコート塗料は、図3に示すように、ウエット状態
では、塗料の流動性により重ね合わせ部6より低いフイ
ルム先端部に形成されるフイルム段差部4に多く流れ込
み、段差部4を覆うオーバーコート塗膜の表面は、段差
部4の断面形状に沿うことなく緩やかな斜面5を形成し
た。ここで段差部4は、フイルム先端部を重ね合わせる
ことにより生じたフイルムの厚さ分の段差である。
【0066】放射線照射工程においては、波長200〜
450nmの紫外線を0.5秒間照射して、オーバーコ
ート塗料を硬化させた。硬化後のオーバーコート層3
は、無溶剤であることから塗料の硬化に伴う塗料の目減
りは極めて少なく、図4に示すように、ウエット状態の
緩やかな斜面5をほぼ維持した緩斜面5が形成された。
その重ね合わせ部上のオーバーコート塗膜厚OBDは2
μmで、一般面上のオーバーコート塗膜厚OBSは7μ
mであった。
【0067】そして、オーバーコート層3のフイルム重
ね合わせ部6における高低差T2 、すなわちフイルム重
ね合わせ部6上でのオーバーコート層の外表面とフイル
ム重ね合わせ部以外の一般面でのオーバーコート層表面
との段差は、フイルム2aの厚さと印刷層2bおよび接
着層2cとの合計厚さT1 に対して約78%であった。
【0068】なお、この実施例においては、放射線照射
工程22から送り出されたツーピース缶体1の内面およ
び底面に、周知のエポキシーフェノール系塗料をスプレ
ー塗装し、ついでその塗装の乾燥及び接着剤の加熱硬化
のため220℃で60秒間加熱した。その後にツーピー
ス缶体1の開口端に公知の方法でネックイン加工および
フランジ加工を施した。
【0069】このようにして得られたツーピース缶体1
を目視により検査したところ、ネックイン加工部、特に
三段以上にダイネック加工したネック加工部でのシワや
クラックの発生は全く認められず、また装飾用フイルム
2の剥離は皆無であった。さらに常法によりコーヒー液
を上記のツーピース缶体1に充填するとともに密封し、
125℃で30分間レトルト殺菌処理を行ったところ、
ブリスターやフイルム2の白化は全く発生せず、その外
観は印刷層が透明なフイルムとオーバーコート層に保護
され傷付きのない美麗なフイルム貼着缶を得ることがで
きた。
【0070】
【実施例2】電子線硬化性樹脂からなる接着剤として、
ポリエステル樹脂100重量部に対して不飽和二重結合
を有するポリエステル系オリゴマー2〜20重量部と応
力緩和剤を0.5〜250PHR(樹脂100重量部に
対する重量部)配合したものを使用した。また電子線硬
化性樹脂からなるオーバーコート塗料は、光重合性プレ
ポリマーとしてエポキシアクリレート樹脂70重量%、
光重合性モノマーとしてジアクリレート樹脂又は単官能
アクリレート樹脂を30重量%、滑性剤としてシリコン
・ワックス1〜2重量%配合したものを、フォードカッ
プNo.4、25℃で60〜90秒の粘度に調整した。
【0071】缶胴およびその外表面に貼着した装飾用フ
イルムは、上記実施例1と同様とした。熱可塑性樹脂フ
イルムを貼着した缶胴面に上記の通りに調整したオーバ
ーコート塗料を塗布した後、電子線照射装置内を通過時
3Mrad の電子線を照射し、接着層およびオーバーコー
ト層を硬化させた。ついでそのツーピース缶体の内面お
よび底面に公知のエポキシーフェノール系塗料をスプレ
ー塗装し、その塗料の乾燥のため220℃で60秒間加
熱した。その後にツーピース缶体の開口端に公知の方法
でネックイン加工およびフランジ加工を施した。
【0072】なお、この実施例におけるツーピース缶の
加熱や装飾用フイルムの仮接着ならびに本接着は、上述
した実施例1におけるのと同様にして行った。
【0073】この実施例においても、ネック加工部での
シワやクラックなどの発生は全く認められず、装飾用フ
イルムの剥離も皆無であった。さらに実施例1と同様な
条件でレトルト殺菌処理を行ったところ、ブリスターや
白化などが全く発生せず、美麗なフイルム貼着缶を得る
ことができた。
【0074】
【実施例3】缶体内面と缶底面にエポキシーフェノール
系塗料によるスプレー塗装を行い、220℃で60秒間
乾燥させる処理を、装飾用フイルム貼着前に行った(な
お、フイルム貼着後の加熱は省略)。他の条件は、上述
した実施例2による場合と同様にしてフイルム貼着缶を
製造したところ、実施例2と同様な結果が得られた。
【0075】
【比較例1】オーバーコート塗料の粘度条件が、この発
明の範囲を外れている例である。紫外線硬化性樹脂から
なるオーバーコート塗料が、光重合性モノマーとしてト
リアクリレートを20重量%含有している以外は実施例
1と同一条件で装飾用フイルム貼着缶を作成した。この
場合のオーバーコート塗料粘度は、フォードカップN
o.4、25℃で100秒以上であった。すなわち35
0cpを越える粘度を示した。このオーバーコート塗料
を缶体外面、すなわち装飾用フイルムをフイルム両端同
士を重ね合わせて貼着した缶体の外面に塗布し、紫外線
照射工程で紫外線を照射し、オーバーコート塗料を硬化
させたところ、塗料の流動性が劣っているために、紫外
線を照射するまでの間にフイルムの重ね合わせ部の塗膜
厚みがあまり薄くならず、オーバーコート層のフイルム
重ね合わせ部における高低差T2 とフイルムの厚さとの
比T2 /T1 の値は、0.9〜0.95であった。また
オーバーコート層の高低差T2 も約21μmと大きかっ
た。さらに段差部でのオーバーコート層が平準化されて
いず、応力集中の生じやすい急な傾斜面を形成してい
た。この缶体の開口端にネックイン加工を行ったとこ
ろ、ネック加工部にシワが30〜40%発生した。
【0076】
【比較例2】オーバーコート塗料に熱硬化性樹脂を使用
した例である。実施例1と同様にツーピース缶体に装飾
用フイルムを貼着した後、オーバーコート塗料として熱
硬化性樹脂を用い、その塗料を190℃で5秒間加熱し
て乾燥させたところ、接着剤が溶融したため、その上層
にある装飾用フイルムが熱収縮し、絵柄の寸法が変わり
装飾用フイルムのシワが発生した。なお、その接着剤の
組成は、実施例1で示したものと同一である。
【0077】そこで、オーバーコート塗料の加熱乾燥温
度を下げて、130℃で5秒間加熱して乾燥させたが、
125℃で30分間レトルト殺菌処理を行ったところオ
ーバーコート層の白化が発生した。また内面塗料を焼き
付けたところ、オーブン内で缶同士が接触した際にオー
バーコート層の硬化が不十分なため、塗膜が軟化して粘
着性が生じてブロッキングが発生した。
【0078】
【比較例3】予めオーバーコート層を形成したフイルム
を貼着した例である。エポキシ樹脂80%、メラミン樹
脂20%に滑り剤としてシリコンを約3%、ワックスを
0.5〜1%含有したオーバーコート塗料を予め表面
(印刷層とは反対の面)に塗布かつ乾燥させた装飾用フ
イルムを、実施例1で使用した缶体と同一の金属缶体の
外面に実施例1と同様な条件で貼着し、フイルム貼着缶
を製造した。しかしながらこのフイルム貼着缶では、ネ
ックイン加工時にフイルム重ね合わせ部の接着不良に起
因して上層フイルムが剥離した。
【0079】なお、この発明は、ツーピース缶以外の金
属缶を対象として実施することができ、さらに図8,9
に示す装置以外の装置を用いても同様に実施することが
できる。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、フイルム両端部の下層フイルム上面すなわち上層フ
イルムの接着剤層と接する面に、シリコンやワックスな
どの滑剤を含有させたオーバーコート層がないから、フ
イルム同士の接着性が良好になる。また、フイルム貼着
後の缶のフイルム全外周面に放射線硬化性樹脂からなる
オーバーコート層が形成されるので、缶体表面の塗膜硬
度が高く傷付きにくく光沢もあり、缶の搬送中および輸
送中の缶同士やガイドとの擦れに対してフイルムの傷付
きや剥離を防止することができる。
【0081】また、この発明によれば、オーバーコート
塗料が放射線硬化性樹脂からなるため、硬化時に加熱す
る必要がなく、装飾用フイルムの熱収縮による変形を防
止でき、外観に優れたフイルム貼着缶とすることができ
る。
【0082】さらに、この発明によれば、印刷済み熱可
塑性樹脂フイルム貼着缶のフイルム外面は、フイルム段
差部においてオーバーコート層の段差が平準化されるた
め、外見上は缶胴全周に亘り凹凸のない均一面に見え
る。またオーバーコート層に覆われているので、フイル
ム貼着缶の開口端部にネックイン加工など(特にダイネ
ック加工)を施す場合、ネック部分に円周方向に作用す
る圧縮力の応力集中を防止でき、ネック部分のシワの発
生やフイルム端部の開きが防止される。さらに、殺菌工
程で発生しやすいフイルム付き合わせ部における錆やフ
イルムの浮きを防ぐことができ、上層側の段差部も綺麗
に仕上がるため、外観品質を向上させることができる。
【0083】そして、電子線硬化性のオーバーコート塗
料をフイルム貼着缶の缶胴面に施す場合、接着剤として
電子線硬化性樹脂を使用することにより、接着剤の加熱
による硬化工程を省略し、オーバーコート塗料を硬化す
るための放射線(電子線)照射で同時に接着剤の硬化促
進させることができ、その結果、すなわち接着剤の硬化
を放射線照射工程で一緒に行うことが可能になる。
【0084】さらに、この発明によれば、オーバーコー
ト塗料の下層にインキが存在しないため、オーバーコー
ト層の膜厚が少なくて済み経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明で対象とする金属缶体の一例を示す図
である。
【図2】この発明で使用する装飾用フイルムの模式的な
断面図である。
【図3】この発明によるフイルム貼着缶におけるフイル
ム重ね合わせ部の模式的な断面図である。
【図4】そのフイルム重ね合わせ部での各寸法を表示し
た図である。
【図5】この発明の方法の一例を説明するための工程図
である。
【図6】フイルム重ね合わせ部の加圧前後の状態を示す
模式的な断面図である。
【図7】この発明の方法の他の例を説明するための工程
図である。
【図8】この発明で使用することのできる装飾用フイル
ム貼着装置を示す全体概要図である。
【図9】装飾用フイルム貼着装置のその他の例を示す全
体概要図である。
【符号の説明】
1…ツーピース缶(缶体)、 2…装飾用フイルム、
2a…フイルム、 2b…印刷層、 2c…接着層、
3…オーバーコート層、 5…傾斜面、 6…フイルム
重ね合わせ部、 7…段差部、 12…加熱装置、 1
3…仮接着ステーション、 15…本接着ステーショ
ン、 17…オーバーコートステーション、 22…放
射線照射工程。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 63/02 - 63/16 B65D 25/36

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板製缶体の外側缶胴面に、一方の面
    に印刷層および接着層が形成された装飾用熱可塑性樹脂
    フイルムが、その接着層を介して両端部を重ね合わせた
    状態に貼着されているフイルム貼着缶体において、 貼着された前記装飾用熱可塑性樹脂フイルムの外面側全
    周に、放射線で硬化されたオーバーコート層が形成さ
    れ、そのオーバーコート層が、フイルム重ね合わせ部上
    で他の部分より薄い塗膜厚に形成され、フイルムの重ね
    合わせによるオーバーコート層の段差が平準化され、か
    つフイルム段差部を覆う前記オーバーコート層表面が、
    前記缶胴面の円周方向に緩やかな斜面状に形成されてい
    ることを特徴とするフイルム貼着缶体。
  2. 【請求項2】 前記フイルム重ね合わせ部での前記オー
    バーコート層の外表面とフイルム重ね合わせ部以外の一
    般面でのオーバーコート層との外表面との高低差が、前
    記印刷層および接着層を含む前記装飾用熱可塑性樹脂フ
    イルム厚さの80%以下であることを特徴とする請求項
    1記載のフイルム貼着缶体。
  3. 【請求項3】 前記オーバーコート層および前記接着剤
    が、電子線硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項
    1または2記載のフイルム貼着缶体。
  4. 【請求項4】 金属製缶体の外側缶胴面に、一方の面に
    印刷層および熱硬化性樹脂からなる接着層が形成された
    装飾用熱可塑性樹脂フイルムを、その接着層を介して貼
    着した後、その缶体の開口端部にネックイン加工および
    フランジ加工を施すフイルム貼着缶体の製造方法におい
    て、 前記缶体を加熱する加熱工程と、 前記装飾用熱可塑性樹脂フイルムを、予め前記缶胴の周
    長より長めに切断するフイルム切断工程と、 切断された前記装飾用熱可塑性樹脂フイルムを、前記加
    熱された缶体の缶胴面に前記接着剤を介して、かつ装飾
    用熱可塑性樹脂フイルムの両端部が互いに重なり合うよ
    うに熱接着するフイルム貼着工程と、 貼着後の前記装飾用熱可塑性樹脂フイルムの外面側に無
    溶剤で流動性のある紫外線硬化性樹脂からなるオーバー
    コート塗料を塗布するオーバーコート塗布工程と、 前記缶体の外面側に紫外線を照射して、前記オーバーコ
    ート塗料を硬化させオーバーコート層を形成させる紫外
    線照射工程と、 前記接着剤を加熱硬化させる接着剤硬化工程とを含むこ
    とを特徴とするフイルム貼着缶体の製造方法。
  5. 【請求項5】 金属製缶体の外側缶胴面に、一方の面に
    印刷層と電子線硬化性樹脂からなる接着層とが形成され
    た装飾用熱可塑性樹脂フイルムを、その接着層を介して
    貼着した後、その缶体の開口端部にネックイン加工およ
    びフランジ加工を施すフイルム貼着缶の製造方法におい
    て、 前記缶体を加熱する加熱工程と、 前記装飾用熱可塑性樹脂フイルムを、予め前記缶胴の周
    長より長めに切断するフイルム切断工程と、 切断された前記装飾用熱可塑性樹脂フイルムを、前記加
    熱された缶体の缶胴面に前記接着剤を介して、かつ装飾
    用熱可塑性樹脂フイルムの両端部が互いに重なり合うよ
    うに熱接着するフイルム貼着工程と、 貼着後の装飾用熱可塑性樹脂フイルムの外面側に、無溶
    剤で流動性のある電子線硬化性樹脂からなるオーバーコ
    ート塗料を塗布するオーバーコート塗布工程と、 前記缶体の外面側から電子線を照射して、前記オーバー
    コート塗料を硬化させオーバーコート層を形成させると
    同時に前記接着剤を硬化させる電子線照射工程とを含む
    ことを特徴とするフイルム貼着缶体の製造方法。
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