JP3376514B2 - 低水膨潤性超微小粒状再生キトサンの製造方法 - Google Patents

低水膨潤性超微小粒状再生キトサンの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、超微小粒状再生キ
トサンが具備する特性を発揮し、特に水に対する過度の
膨潤性が障害となる香粧品分野,クロマトグラフィー分
野等に供される低水膨潤性超微小粒状再生キトサンの製
造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】キトサンは、分子中にアミノ基を有して
いることから、抗菌性,消臭性,貴金属イオンの吸着性
といった性質を持つ上、生分解性と安全性の高い物質で
あることから、衣料品加工分野,香粧品分野,医療品分
野,クロマトグラフィー分野等への利用研究が盛んに行
われている。しかし、単にキチンを脱アセチル化して得
たキトサンは、その形状が不定形であるため、取り扱い
の面に欠点がある。そこで従来より、キトサンを粒状に
再生する技術が多く提案されており、更に表面積を大き
くし、利用価値を高めるために、超微小粒状再生キトサ
ンを製造する方法が特公昭59−30722号、特公平
2−12961号、特公平4−55610号、特公平6
−23201号、特開平7−330807号公報等に開
示されている。 【0003】しかし、これらの方法により得られる超微
小粒状再生キトサンは、水に対する膨潤度が約250%
を越えるような体積膨潤を起こし、化粧品に配合した
際、使用時のべたつき感やぬめり感を与えたり、高速液
体クロマトグラフィーの充填剤とした際、使用時に圧力
損失の上昇を招くなど、取り扱い上致命的な問題を生ず
る欠点があった。 【0004】水に対する膨潤性を抑える方法として、無
機系材料等の微小粒状体の粒体表面に、再生キトサンの
皮膜を形成させることが特開平7−188302号公報
に開示されているが、再生キトサンの皮膜が微小粒状体
から剥離しやすいという欠点があり、また、超微小粒状
再生キトサンを有機ジイソシアネート化合物,エポキシ
系多官能試薬等で架橋処理する方法も特公昭63−54
285号、特公平5−11492号公報等に開示されて
いるが、生分解性が発揮できなくなる上、キトサンのア
ミノ基がブロッキングされてしまうため、キトサン本来
のアミノ基に由来する機能性が発揮しにくくなるという
欠点がある。 【0005】かかる状況下において、キトサン本来の性
能を発揮し、香粧品分野やクロマトグラフィー分野に使
用するに適した低水膨潤性の超微小粒状再生キトサンの
開発が望まれている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、キトサンが
本来具備している性能を損なうことなく、水に対する膨
潤度が200%以下に抑えられる、低水膨潤性超微小粒
状再生キトサンの製造方法を提供することを目的とす
る。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、超微小粒状再
生キトサンを不活性の溶媒中で120〜220℃,30
分〜5時間加熱処理する、低水膨潤性超微小粒状再生キ
トサンの製造方法である。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明に用いる超微小粒状再生キ
トサンは、既述の製造方法のいかなる方法で得ても良
く、例えば本出願人が先に開示した特公平4−5561
0号公報で開示した方法等によって得られる、平均粒子
径50μm以下の超微小粒状再生キトサンが用いられ
る。 【0009】特公平4−55610号公報で開示した方
法は、キトサンを酸性水溶液に溶解し、塩基性水溶液中
に滴下して中和再生させた後、中性になるまで充分水洗
して再生キトサンとし、これを水中で微粉砕し分解せし
めて再生キトサンの懸濁液とし、気体と共に高温雰囲気
中に吐出し乾燥して超微小粒状再生キトサンを得るもの
であり、または、キトサンを酸性水溶液に溶解し、これ
を気体と共に高温雰囲気中に吐出乾燥後、塩基性水溶液
中に添加して、中和再生して超微小粒状再生キトサンを
得るものである。 【0010】この時用いられるキトサンは、甲殻類や昆
虫類、糸状菌類に存在するキチンを、脱アセチル化処理
したものであれば特に限定されるものではなく、その形
状についてもフレーク状や粉末状等、如何なるものであ
っても良いが、酸性水溶液への溶解性の面を考慮すれ
ば、平均分子量230,000以下、脱アセチル化度が
70%以上であることが望ましい。 【0011】また、この時使用される酸性水溶液として
は、ギ酸,塩酸,酢酸,ジクロル酢酸,プロピオン酸,
乳酸,酪酸等の単独または混合物の1〜20重量%水溶
液が挙げられ、塩基性水溶液としては水酸化ナトリウ
ム,水酸化カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,
エチレンジアミン,アンモニア等の単独若しくは混合物
の1〜30重量%水溶液または該水溶液にメタノール,
エタノール,ジメチルホルムアミド等の極性を有する溶
媒を加えた1〜30重量%の極性溶媒混合塩基性水溶液
が挙げられる。 【0012】尚、高温雰囲気中に吐出し乾燥するには、
通常、スプレードライヤー等を用いて100〜200℃
の高温雰囲気中に気体と共に吐出し乾燥させればよく、
この際の高温雰囲気の温度,気体の吐出圧,キトサン懸
濁液またはキトサン酸性水溶液中のキトサン含有量とそ
の吐出量、ノズルの孔径や形状を適宜調節,選択するこ
とによって、得られる超微小粒状再生キトサンの平均粒
径を1〜50μmの範囲で自由に設定出来る。 【0013】本発明では、上述の如くして得られた超微
小粒状再生キトサンを、水に対する膨潤度を抑制するた
め、不活性の溶媒中にて120〜220℃、30分〜5
時間加熱処理をするが、本発明で用いられる不活性の溶
媒としては水,ジメチルホルムアミド,ジメチルアセト
アミド,ジメチルスルフォキシド,エチレングリコー
ル,ジオキサン,デカリン等が挙げられるが、ジメチル
ホルムアミド,ジメチルアセトアミド,エチレングリコ
ールを用いるのが好ましい。これらの不活性の溶媒に対
して、超微小粒状再生キトサンを0.01〜2重量部加
え、120〜220℃、30分〜5時間熱処理するが、
120℃未満または30分未満の処理では水に対する膨
潤度の抑制効果がなく、220℃を越える温度または5
時間を越える時間加熱処理すると、超微小粒状再生キト
サンが分解し、変性するので好ましくない。該処理を行
うに当って、処理温度が不活性の溶媒の沸点以上になる
場合は、耐圧性の密閉容器を用いて処理する。また、超
微小粒状再生キトサンの酸化を抑えるために、窒素ガス
等で処理容器中の空気を置換して行っても良く、加熱処
理後、必要に応じて溶媒置換して、乾燥処理を行っても
良い。不活性の溶媒による加熱処理は、決して超微小粒
状再生キトサンの化学反応を生じさせるものではなく、
結晶構造の強化のために処理するものである。 【0014】上記のようにして得た本発明の低水膨潤性
超微小粒状再生キトサンは、強固な結晶構造を具備する
ようになるため、水に対する膨潤性が200%以下に抑
えられ、しかもキトサン自体の有するアミノ基が残存し
ているため、キトサン本来の性能を充分発揮できるもの
である。尚、水に対する膨潤度が200%を越えた超微
小粒状再生キトサンを化粧品に配合した場合には、使用
時にべたつき感やぬめり感を与え好ましくなく、また、
高速液体クロマトグラフィーの充填剤とした際には、使
用時の圧力損失の上昇が実用上耐えうる範囲に抑えるこ
とが不可能となる。従って、水に対する膨潤度を200
%以下に抑えることが重要である。 【0015】 【実施例】以下、本発明について、実施例により具体的
に説明するが、本発明はこの範囲に限定されるものでは
ない。なお、水に対する膨潤度は以下に示す測定方法に
基づいて行った。 【0016】〔水に対する膨潤度の測定方法〕試料を1
00ccのメスシリンダーにて10mlとなるように入れ、
これに常温の水を50ml加え、室温で1時間後の試料の
容積変化を測定し、次式より膨潤度を算出した。 膨潤度(%)=((膨潤後の容積−元の容積)÷元の容
積)×100 【0017】〔実施例1〕脱アセチル化度82%、平均
分子量45,000のキトサン9.75kgを、酢酸
4.875kgを含む水140.25kgに加えて溶解
し、キトサン酢酸水溶液を得た。この溶液の20℃に於
ける粘度を回転粘度計で測定したところ3,600cp
sであった。このキトサン酸性水溶液を、5%水酸化ナ
トリウム水溶液中に落下させて、粒状に凝固再生させ
た。この凝固物を中性になるまで十分水で洗浄した後、
予め最終固形分濃度が3.0〜3.5%になるよう水を
加えて分散液とし、粉砕分散機(商品名:キャビトロ
ン、日鉄鉱業(株)製)により10,000rpmの回
転数で800L/hの流量で供給し、これを7回繰り返
して粉砕分散させ乳状の懸濁液とした。これを攪拌機で
攪拌しながら、5.0kg/cm2 の加圧空気と共に毎
時20Lの流量で、230〜250℃の高温雰囲気中に
吐出して乾燥し、乾燥物をサイクロンコレクターに捕集
した。該乾燥物を風力分級機(商品名:スペディック2
50、(株)セイシン企業製)を用いて、分級して平均
粒子径6.9μmの超微小粒状再生キトサン5.85k
gを得た。 【0018】得られた超微小粒状再生キトサン1kgを
5等分し、夫々をエチレングリコールが800g入った
ガラス容器中に加え、これを加熱して夫々が表1に示す
設定温度に達してから、設定温度±3℃に管理しながら
2時間処理した。これらを、50℃にて3時間熱風乾燥
処理して、各約200gの試料No.1〜5を得た。 【0019】同様にして得られた超微小粒状再生キトサ
ン1kgを5等分し、夫々をエチレングリコールが80
0g入ったガラス容器中に加え、これを加熱して140
℃に達してから、夫々を表1に示す処理時間で140±
3℃に管理しながら処理した。これらを、50℃にて3
時間熱風乾燥処理して、各約200gの試料No.6〜
10を得た。 【0020】得られた試料No.1〜10と、未処理の
超微小粒状再生キトサン(比較例)の水に対する膨潤度
を測定し、その結果を表1に示した。 【0021】 【表1】 【0022】表1から明らかな如く、加熱処理を施して
いない超微小粒状再生キトサン及び試料No.1の水に
対する膨潤度は200%を越えて居り、試料No.5は
黄変してしまい好ましくないが、本発明の方法で得た試
料No.2〜4は水に対する膨潤度が200%以下に抑
えられており、低水膨潤性を具備していることが分か
る。 【0023】また、処理時間が10分の試料No.6の
水に対する膨潤度は200%を越えて居り、試料No.
10は黄変してしまい好ましくないが、本発明の方法で
得た試料No.7〜9は水に対する膨潤度が200%以
下に抑えられており、低水膨潤性を具備していることが
分かる。 【0024】〔実施例2〕脱アセチル化度85%、平均
分子量42,000のキトサン9.75kgを、酢酸
4.875kgを含む水140.25kgに加えて溶解
し、キトサン酢酸水溶液を得た。この溶液の20℃に於
ける粘度は、回転粘度計で測定したところ3,600c
psであった。このキトサン酸性水溶液を攪拌機で攪拌
しながら、5.0kg/cm2 の加圧空気と共に毎時2
0Lの流量で、230〜250℃の高温雰囲気中に吐出
して乾燥し、乾燥物をサイクロンコレクターに捕集し
た。ここで捕集した乾燥物を5%水酸化ナトリウム水溶
液中に添加して中和し、十分水で洗浄した後、50℃に
て3時間熱風乾燥処理し、風力分級機(商品名:スペデ
ィック250、(株)セイシン企業製)を用いて分級し
て、平均粒子径7.8μmの超微小粒状再生キトサン
5.57kgを得た。 【0025】得られた超微小粒状再生キトサン1kgを
5等分し、夫々をエチレングリコールが600g入った
ガラス容器中に加え、これを加熱して夫々が表2に示す
設定温度に達してから、設定温度±3℃に管理しながら
2時間処理した。これらを、50℃にて3時間熱風乾燥
処理して、各約200gの試料No.11〜15を得
た。 【0026】同様にして得られた超微小粒状再生キトサ
ン1kgを5等分し、夫々をエチレングリコールが60
0g入ったガラス容器中に加え、これらを加熱して14
0℃に達してから、夫々を表2に示す処理時間で140
±3℃に管理しながら処理した。これらを、50℃にて
3時間熱風乾燥処理して、各約200gの試料No.1
6〜20を得た。 【0027】得られた試料No.11〜20と未処理の
超微小粒状再生キトサン(比較例)の水に対する膨潤度
を測定し、その結果を表2に示した。 【0028】 【表2】 【0029】表2から明らかな如く、加熱処理を施して
いない超微小粒状再生キトサン及び試料No.11の水
に対する膨潤度は200%を越えて居り、試料No.1
5は黄変してしまい好ましくないが、本発明の方法で得
た試料No.12〜14は水に対する膨潤度が200%
以下に抑えられており、低水膨潤性を具備していること
が分かる。 【0030】また、処理時間が10分の試料No.16
の水に対する膨潤度は200%を越えて居り、試料N
o.20は黄変してしまい好ましくないが、本発明の方
法で得た試料No.17〜19は水に対する膨潤度が2
00%以下に抑えられており、低水膨潤性を具備してい
ることが分かる。 【0031】〔実施例3〕脱アセチル化度90%、平均
分子量56,000のキトサンを用いた以外は実施例1
と同様の方法により平均粒子径12.2μmの超微小粒
状再生キトサン5.78kgを得た。 【0032】得られた超微小粒状再生キトサン1kgを
5等分し、夫々をジメチルホルムアミドが1,000g
入ったガラス容器中に加え、これらを加熱して夫々が表
3に示す設定温度に達してから、設定温度±3℃に管理
しながら2時間処理した。これらを、50℃にて3時間
熱風乾燥処理して、各約200gの試料No.21〜2
5を得た。 【0033】同様にして得られた超微小粒状再生キトサ
ン1kgを5等分し、夫々をジメチルホルムアミドが
1,000g入ったガラス容器中に加え、これらを加熱
して120℃に達してから、夫々を表3に示す処理時間
で120±3℃に管理しながら処理した。これらを、5
0℃にて3時間熱風乾燥処理して、各約200gの試料
No.26〜30を得た。 【0034】得られた試料No.21〜30と未処理の
超微小粒状再生キトサンの水に対する膨潤度を測定し、
その結果を表3に示した。 【0035】 【表3】 【0036】表3から明らかな如く、加熱処理を施して
いない超微小粒状再生キトサン及び試料No.21の水
に対する膨潤度は200%を超えて居り、試料No.2
5は黄変してしまい好ましくないが、本発明の方法で得
た試料No.22〜24は水に対する膨潤度が200%
以下に抑えられており、低水膨潤性を具備していること
が分かる。 【0037】また、処理時間が10分の試料No.26
の水に対する膨潤度は200%を超えて居り、試料N
o.30は黄変してしまい好ましくないが、本発明の方
法で得た試料No.27〜29は、水に対する膨潤度が
200%以下に抑えられており、低水膨潤性を具備して
いることが分かる。 【0038】〔実施例4〕脱アセチル化度77%、平均
分子量41,000のキトサンを用いた以外は実施例2
と同様の方法により平均粒子径9.2μmの超微小粒状
再生キトサン5.49kgを得た。 【0039】得られた超微小粒状再生キトサン1kgを
5等分し、夫々をジメチルホルムアミドが800g入っ
たガラス容器中に加え、これらを加熱して夫々が表4に
示す設定温度に達してから、設定温度±3℃に管理しな
がら2時間処理した。これらを、50℃にて3時間熱風
乾燥処理して、各約200gの試料No.31〜35を
得た。 【0040】同様にして得た超微小粒状再生キトサン1
kgを5等分し、夫々をエチレングリコ―ルが800g
入ったガラス容器中に加え、これらを加熱して120℃
に達してから、夫々を表4に示す処理時間で120±3
℃に管理しながら処理した。これらを、50℃にて3時
間熱風乾燥処理して、各約200gの試料No.36〜
40を得た。 【0041】得られた試料No.31〜40と未処理の
超微小粒状再生キトサンの水に対する膨潤度を測定し、
その結果を表4に示した。 【0042】 【表4】【0043】表4から明らかな如く、加熱処理を施して
いない超微小粒状再生キトサン及び試料No.31の水
に対する膨潤度は200%を超えて居り、試料No.3
5は黄変してしまい好ましくないが、本発明の方法で得
た試料No.32〜34は、水に対する膨潤度が200
%以下に抑えられており、低水膨潤性を具備しているこ
とが分かる。 【0044】また、処理時間が10分の試料No.36
の水に対する膨潤度は200%を超えて居り、試料N
o.40は黄変してしまい好ましくないが、本発明の方
法で得た試料No.37〜39は、水に対する膨潤度が
200%以下に抑えられており、低水膨潤性を具備して
いることが分かる。 【0045】 【発明の効果】本発明は、超微小粒状再生キトサンを不
活性の溶媒中で120〜220℃、30分〜5時間加熱
処理することにより、水に対する膨潤性が200%以下
に抑制された低水膨潤性超微小粒状再生キトサンが得ら
れるので、キトサン本来の具備している性能を損なうこ
となく、水に対する過度の膨潤性が危惧される用途に広
く利用出来るという効果がある。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 超微小粒状再生キトサンを不活性の溶媒
    中で120〜220℃、30分〜5時間加熱処理するこ
    とを特徴とする低水膨潤性超微小粒状再生キトサンの製
    造方法。
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