JP3376532B2 - 即席麺の製造方法 - Google Patents

即席麺の製造方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は即席麺の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】即席麺の品質を改良する方法や、湯戻し
時間の短縮方法については、各種澱粉類の添加、形状の
工夫、副資材の添加等いくつかの方法が提案されてい
た。製麺時に原料粉に添加物を添加することによって麺
類の湯戻しを改良する試みとしては、例えば、原料粉に
α化澱粉を添加することにより熱湯復元性が優れ、滑ら
かで良好な食感を有する麺類を製造する方法(特開昭5
9−74961号)、膨張剤等を添加しその気泡によっ
て多孔質化して復元性を改善する麺類の製造方法(特開
昭62−25946号)、食用油脂類を添加することに
よって麺の食味を低下することなく復元を早くする麺類
の製造方法(特開昭59−63152号)、α化度80
%、膨潤力10以上のα化小麦澱粉に食塩を含む水溶液
を水分30〜50重量%になるように加え製麺し乾燥す
ることにより、水で復元することが可能な即席麺の製造
方法(特開昭61−5754号)等を挙げることができ
る。上記特開昭61−5754号で使用されているα化
小麦澱粉は全粒子の80%以上が実質的に非複屈折性の
澱粉粉末であり、吸水力がやや増加するものの、澱粉粒
の外殻薄膜構造が破壊されているために、吸水したとき
に表面がべとついてしまう。このため、35%以上の加
水をする場合には、通常の機械製麺装置を使用した工業
的生産は不可能とされていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、湯戻りが早
く、復元後の食感が改良された即席麺であって、かつ機
械製麺に適した即席麺の製造方法を提供するものであ
る。前記のように、即席麺に関して湯戻しを早くする方
法については従来から種々の提案がなされてきたが、未
だ問題が解決されたとは云えない。湯戻しを早くするた
めに加工澱粉を配合する提案についても、小麦由来以外
の異質加工澱粉を添加した麺では、これら異質澱粉の特
徴が強く反映するために、小麦粉を主体とする本来の麺
とは異質の性状・食感のものとなり、麺の品質上大きな
問題となっていた。また、小麦粉および/またはそば粉
を多加水麺とした場合、あるいは小麦粉および/または
そば粉に加工澱粉(小麦粉由来または異質澱粉のいずれ
でも)を配合したものを多加水麺とした場合は、一般の
機械製麺装置を利用した製麺では加水量35%(対穀
類、以下同様)程度が限度であり、これ以上の多加水化
をするとミキシング中に生地がダンゴ状となってミキシ
ングが困難となり、あるいは麺帯や麺線がお互いに粘着
する等により作業性が極端に低下し、工業的な生産は不
可能であった。従来、多加水麺の製造には、多加水専用
に製造された装置が必要であった。しかし、多加水用製
麺機は高価であり、一般の麺製造業者には充分普及でき
ないのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】発明者らは、改善された
品質を有し、かつ湯戻りが早いとともに機械製麺に適し
た即席麺を製造する方法について鋭意研究を続けてき
た。その結果、小麦粉および/またはそば粉に小麦改質
澱粉を配合し、必要により適量の食塩、かん粉、色素、
植物蛋白質等の副資材を添加し、製麺時に原料穀粉の3
5%あるいはそれ以上加水する、いわゆる多加水にして
製麺し、蒸熱後、油揚げあるいは熱風乾燥することによ
り、上記問題点を解決し、機械製麺にも適することによ
って、目的を達成できることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0005】本発明は、小麦粉および/またはそば粉5
0〜97重量部に小麦改質澱粉3〜50重量部を配合
し、小麦粉および/またはそば粉と小麦改質澱粉の合計
100重量部に対し35〜70重量部の加水を行って製
麺し、蒸熱後、油揚げあるいは熱風乾燥することを特徴
とする即席麺の製造方法の発明である。
【0006】本発明における小麦改質澱粉とは、下記の
性状を有するように物性を改良された小麦澱粉である。 記 (1)小麦生澱粉粒の外殻薄膜構造を実質的に温存す
る、(2)全粒子の20〜80%が実質的に非複屈折性
を有する、(3)澱粉粉末が実質的に目開き250μm
以上の留分を有しない、(4)見掛け密度:0.35〜
0.80g/ml、(5)冷水可溶分:4重量%以下、
(6)膨潤容積:2〜9ml/g、(7)保水力:2〜
6。 このように本発明の小麦改質澱粉は、全粒子の20〜8
0%が実質的に非複屈折性の澱粉粉末であるために大幅
に吸水力が増加するとともに、他方で澱粉粒の外殻薄膜
構造が実質的に維持されているので、吸水してもべとつ
くことがない。このため、通常の機械製麺装置を使用し
ても多加水で麺を製造できることなったのである。
【0007】上記のような改良された物性を有する小麦
改質澱粉は、種々の方法で加工して得ることができる
が、その1例を参考例1に示してある。
【0008】上記小麦粉および/またはそば粉及び小麦
改質澱粉の使用量は、上記小麦粉および/またはそば粉
50〜97部と小麦澱粉3〜50部の範囲であり、より
好ましくは小麦粉および/またはそば粉80〜95部と
小麦改質澱粉5〜20部が適当である。上記の範囲であ
る限り多加水にしても作業性、湯戻り時間、麺の品質が
損なわれることがない。
【0009】上記小麦粉および/またはそば粉及び小麦
改質澱粉には、必要により適量の食塩、かん粉、色素、
植物蛋白質等の副資材を添加し、加水を行い、ミキシン
グする。ミキシング時の加水は、小麦粉および/または
そば粉及び小麦改質澱粉の合計量100部に対し、35
〜70部、より好ましくは40〜50部である。これよ
りも加水量が少ないと油揚げおよび熱風乾燥後の麺が粉
っぽいものとなるばかりでなく、湯戻りもおそくなる。
逆に加水量が上記範囲を超える場合は、生地や麺線の粘
着性が増し、機械生産での作業性が著しく低下するとと
もに、油揚げおよび熱風乾燥した後の麺の食感が弱くな
ってしまう。
【0010】本発明にいう即席麺とは、小麦粉および/
またはそば粉を主原料とし、これに水、食塩または麺質
改良剤(かんすいその他麺の弾力性、粘性等を高めるも
のを云う)を加えて製麺し、油処理その他の方法により
乾燥したもの(かんすいを用いて製麺したもの以外のも
のにあっては、成分澱粉がα化されているものに限る)
であって、簡便な調理操作により食用に供するものを云
い、日本農林規格に定義されるものである。ただし、本
発明の性質上、調味料添付の有無、調味料味付けの有無
は問わないので、この点は日本農林規格定義のものと異
なる。本発明の即席麺には、即席中華麺、即席和風麺、
即席欧風麺、スナック麺等が含まれる。
【0011】本発明では小麦改質澱粉を特徴的に使用す
るのであるが、この理由は麺の風味、食感の良し悪しが
小麦澱粉独特の形状と深く関係していることを本発明者
らが見い出したことにもとづく。すなわち、小麦澱粉の
形状は凸レンズ形であり、大粒子、小粒子が含まれてい
るので、原料穀粉の5%を超えて小麦澱粉を配合しても
小麦粉本来の風味・食感を損なうことはない。これに反
し、コーンスターチは多角形、タピオカ澱粉は米粒状、
馬鈴薯澱粉は卵形、甘藷澱粉は紡錘形を有しているため
に、小麦粉を主体とする麺のなかで異物感を生じさせ、
麺の風味、食感を害することが見い出されたのである。
したがって、風味、食感のよい麺を製造するためには、
小麦澱粉であることが必須であり、この小麦澱粉の形状
を維持したまま物性を改質した本発明の小麦改質澱粉を
使用することによってのみ、原料穀類全体の3〜50部
もの多量配合を行っても小麦粉の特性をそのまま活かし
て風味・食感のよい麺を製造することができるのであ
る。
【0012】即席麺の調製には常法を用いることができ
る。すなわち、ミキシングを行った麺生地は、ロールに
よる重ね、圧延を行い、必要により熟成工程を経たう
え、適宜の切り刃を用いて麺線に切り出し生麺を得る。
得られた生麺は、蒸し機でα化した後、油揚げあるいは
熱風乾燥により即席麺を得る。
【0013】
【作用】本発明の製造方法によれば、通常の機械製麺装
置を使用しても多加水麺を製造することができ、湯戻り
の早い、品質の改善された即席麺を製造することができ
る。
【0014】本発明の方法で製造した即席麺は、湯戻り
が早く、かつ粘弾性に富み優れた食感を有する。すなわ
ち、小麦改質澱粉を使用せずに製造した即席麺に比し
て、湯戻し時間は5割程度の大幅な短縮が達せられる。
例えば麺帯を12番の切り刃で0.8mm厚に切り出し
た後、蒸熱し、油揚げした同一形状の即席うどんについ
て比較するならば、通常の小麦粉のみで調製したもので
は湯戻しに5分を要するのに対し、小麦粉の20%を小
麦改質澱粉で置き換えた本発明品では1.8分で済み
(表4)、湯戻し時間の短縮により、即席麺の利用価値
は更に拡大することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を述べるが、もとより
本発明の範囲が実施例に限定されるものではない。
【0016】まず、本発明で使用する「小麦改質澱粉」
を参考例に示すように調製した。 参考例 市販の小麦澱粉を15重量%の固形分濃度で水に分散さ
せ、56.5℃で10分加温した。これを二流体ノズル
を有する実験室規模の噴霧乾燥機を用いて、入口温度1
80℃、出口温度90℃の雰囲気中に5リットル/時の
スラリー供給速度で噴霧乾燥して、小麦改質澱粉の試料
を調製した。得られた小麦改質澱粉の物性を表1に示
す。なお、各物性の測定方法は、以下のとおりである。 (1)冷水可溶分 試料3g(無水換算)を精秤し、20℃の純水300g
を加え、1500rpmで2分間高速攪拌する。つい
で、No.5C瀘紙を用いて分散液の全量を瀘過する。
秤量瓶に瀘液約40mlをとり、精秤したのち、105
℃で蒸発乾固し、固形分重量を求め、次式により冷水可
溶分を求める。但し、Wは固形分重量(g)、Wは採
取した瀘液の重量(g)である。 冷水可溶分重量(%)=W×W+10 (2)膨潤容積 試料2gを共栓付き100ml容メスシリンダーに採
り、25℃の純水80mlを加え、軽く振盪して脱泡さ
せた後、全量を純水で100mlとする。密栓し24時
間静置し、吸水膨潤した試料の容積を読み、それを5で
除いて膨潤容積とする。 (3)保水力 膨潤容積の測定法に準じて作成し、得られた分散液を遠
心沈降管に移し、200Gで10分間遠心分離する。上
澄み液を捨て、湿潤沈降物の重量に策定し、次いで該沈
降物の絶乾秤量し、次式により保水力を算出する。但
し、Wは湿潤沈降物の重量(g)、Wは絶乾物の重量
(g)である。 保水力=W/W (4)複屈折性粒子と非複屈折性粒子の観察 試料に0.5重量(%)の濃度になるよう純水を添加
し、TKホモミキサー(特殊化工機(株)製)内で10
000rpm、5分間分散する。この試料を顕微鏡の視
野の中で、自然光で観察される全粒子のうち、偏光で粒
子の一部でも光る粒子を複屈折性粒子、光らない粒子を
非複屈折性粒子と定義する。
【0017】
【表1】
【0018】実施例1 表2に示す配合原料100重量部に対し、食塩2重量部
を加え混合し、水を44重量部加え、パドル型ミキサー
で15分間ミキシングを行った。混練生地を常法により
製麺ロールで複合及び圧延を行い、最終麺厚0.8m
m、切り刃12番で切り出した後、蒸熱後、140℃、
1分30秒油揚げ乾燥し、即席うどんとした(実施例
1、比較例1〜4.対照)。
【0019】
【表2】
【0020】製麺時の機械製麺適性の評価を表3に示し
た。その結果、一般の機械製麺ラインで加水44重量部
と多加水で製麺した場合、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、α化
タピオカ澱粉を配合したものは大きな団子状態となり、
ミキシングが途中で困難となってしまった。また、複
合、圧延すると生地が軟かいためにロール間で生地が垂
れ下ってしまう。切り出した麺は軟かいために麺同士が
付着してしまい作業性が著しく劣悪となり、商品価値の
ある麺の製造は不可能であった。馬鈴薯改質澱粉を配合
したものは作業性の改良は若干みられたが不完全であ
り、小麦澱粉を配合した場合と同様の傾向がみられた。
これに対し、本発明による小麦改質澱粉を配合した場合
だけは、従来では考えられなかったような秀れた作業性
の改善効果が得られ、一般の機械製麺ラインで多加水麺
の製造が可能となった(表3)。
【0021】
【表3】
【0022】実施例2 表4に示す配合原料100重量部に対し、食塩2重量部
を加え混合し、生地が適性なそぼろ状となる様に加水
し、パドル型ミキサーで15分間ミキシングを行った。
混練生地を常法により製麺ロールで複合及び圧延を行
い、最終麺厚0.8mmの切り刃12番で切り出した
後、蒸熱後140℃、1分30秒油揚げ乾燥し、即席う
どんとした(実施例2−1、2−2.比較例5〜6.対
照)。
【0023】
【表4】
【0024】表5から明らかなように、特許請求の範囲
外である小麦改質澱粉2部の場合(比較例6)には加水
量が増えず、湯戻り時間もわずかしか短縮されない。ま
た小麦改質澱粉70部の場合(比較例5)では加水量は
大幅に増加するものの作業性が悪く、生地がつながら
ず、製造が大変困難であった。これに対し、本発明の特
許請求の範囲に含まれる小麦改質澱粉20部の場合(実
施例2−1)では加水量が増加し、茹時間も短縮され、
作業性も損われず、食感も良好であった。特許請求の範
囲に含まれる最大量である小麦改質澱粉50部の場合
(実施例2−2)では加水量が大幅に増加し、茹時間も
大幅に短縮されるが、作業性から考えると限界にあると
考えられる。これらの結果、上記小麦粉および小麦改質
澱粉の使用量は、小麦粉50〜97部と小麦改質澱粉3
〜50部、より好ましくは小麦粉80〜95部と小麦改
質澱粉5〜20部が適当であり、本発明の特許請求の範
囲記載の範囲内にある限り、作業性、湯戻り時間、麺の
品質とも良好であることが明らかとなった。
【0025】
【表5】
【0026】実施例3 表6に示す配合原料100重量部に対し、食塩2重量部
を加え混合し、生地が適当なそぼろ状になる様に加水を
行い(以下、このときの加水量を適性加水量という)パ
ドル型ミキサーで15分間ミキシングを行った。混練生
地を常法により製麺ロールで複合及び圧延を行い、最終
麺厚0.8mm、切り刃12番で切り出した後、蒸熱後
140℃、1分30秒油揚げ乾燥し、即席うどんとした
(実施例3.比較例7〜10.対照)
【0027】
【表6】
【0028】製麺時の適性加水量、2分湯戻し後の官能
評価を表7に示した。表7から明らかなように、本発明
により小麦改質澱粉を配合して製造した即席麺は、作業
性を全く損うことなく製麺時に多加水とすることがで
き、湯戻し時間を2分間としても芯は残らず、食感もな
めらかで、粘弾性に富むものとなった。馬鈴薯改質澱粉
を使用した場合は作業性改良効果は若干みられたが、湯
戻し時間2分間ではわずかに芯が残った状態であり、麺
の品質も馬鈴薯澱粉特有の硬い食感に強く影響されたも
のとなり、粘弾性や滑らかさに欠け、小麦粉を主体とす
る麺の食感とは異質のものとなってしまった。α化タピ
オカ澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉を配合したものは、通
常の製麺機械装置では多加水麺が製造できず、水が入ら
ないため、2分の湯戻し時間では全く湯戻りせず、芯が
残ったままであって、小麦改質澱粉を配合したような効
果は得られなかった。
【0029】
【表7】
【0030】
【発明の効果】本発明の方法によれば、効率的に工業生
産することができ、また湯戻し時間が短縮され、かつ粘
弾性に富み優れた食感を有する即席麺を得ることができ
る。すなわち、多加水量であっても、多加水用の特殊な
ミキサーを用いることなく、パドル型等の通常の機械製
麺用のミキサーをそのまま使用し、効率的に工業生産す
ることができる。本発明の方法で製造した即席麺は、小
麦改質澱粉を使用しない即席麺に比して、湯戻し時間は
5割程度の大幅な短縮が達せられる。また粘弾性、滑ら
かさ等の食感も極めて優れている。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】小麦粉および/またはそば粉50〜97重
    量部に、下記物性を有する小麦改質澱粉3〜50重量部
    を配合し、小麦粉および/またはそば粉と小麦改質澱粉
    の合計100重量部に対し35〜70重量部の加水を行
    う多加水麺を製造することを特徴とする即席麺の製造方
    法 記 (1)小麦生澱粉粒の外殻薄膜構造を実質的に温存す
    る、 (2)全粒子の20〜80%が実質的に非複屈折性を有
    する、 (3)澱粉粉末が実質的に目開き250μm以上の留分
    を有しない、 (4)見掛け密度:0.35〜0.80g/ml、 (5)冷水可溶分:4重量%以下、 (6)膨潤容積:2〜9ml/g、 (7)保水力:2〜6、
  2. 【請求項2】製麺後蒸熱し、油揚げまたは熱風乾燥を行
    う請求項1記載の即席麺の製造方法
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