JP3388264B2 - アミノペプチダーゼおよびその製造法 - Google Patents

アミノペプチダーゼおよびその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アミノペプチダー
ゼおよびその製造法に関する。アミノペプチダーゼは、
タンパク質やペプチドのN末端側に作用し、アミノ酸単
位で加水分解する酵素であり、ペプチドやアミノ酸を主
成分とする調味液の製造等に活用されている。また、一
部のものは、ペプチド性の苦味を除去・低減する作用を
有している。本発明は、このアミノペプチダーゼおよび
その効率的な製造法を提供するものであり、本酵素は食
品分野での活用が期待される。
【0002】
【従来の技術】近年、調味液やカルシウム吸収促進作用
を持つカゼイン分解物等、タンパク質の加水分解物を含
む素材が開発され、各種食品分野で利用されている。し
かし、これらのタンパク質加水分解物を含む素材には、
タンパク質が酵素等により分解された際に生じる疎水性
アミノ酸に富む苦味ペプチドに起因して、苦味を呈する
ものがある。そのため、該素材の商品化を困難にしてい
る。
【0003】この苦味ペプチドをタンパク質分解酵素等
で分解することができれば、苦味を低減あるいは消滅さ
せることが可能である。しかし、タンパク質分解酵素の
うち、N末端からアミノ酸を分解するアミノペプチダー
ゼについては、市販されているものが少なく、実用化も
限られている。
【0004】ところで、食用きのこの一種であるマイタ
ケ(Grifola frondosa) は、アミノペプチダーゼ活性を
有することは従来より知られていたが、不安定で失活し
やすいことから、分離精製は行われていなかった。その
ため、マイタケ由来酵素の遺伝的情報は勿論のこと、本
酵素の特性も明らかにされていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、該マイタケ
由来のアミノペプチダーゼについて、その酵素的性質、
遺伝的情報を提供するとともに、該酵素を効率よく製造
する方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討した結果、原料であるマイタケか
ら得た抽出液を、疎水クロマトグラフィーで精製するこ
とにより、目的とする酵素を効率よく分離精製すること
ができること、次いで種々の精製手段を適用すれば、さ
らに純度の高いアミノペプチダーゼが得られることを見
出し、本発明に到達した。
【0007】すなわち、請求項1記載の本発明は、マイ
タケに由来し、下記の性質を有するアミノペプチダーゼ
である。 (a)至適pHおよび安定pH範囲:本酵素の至適pH
は8.5であり、pH6.0〜10.5(45℃、1時
間)の範囲で安定である。 (b)至適温度:本酵素の至適温度は65℃である。 (c)熱安定性:本酵素は55℃以下で安定である。 (d)基質特異性:本酵素はロイシンおよびフェニルア
ラニンに作用する。 (e)分子量:本酵素の分子量は30kDa(SDS−
ポリアクリルアミドゲル電気泳動による)である。 (f)阻害剤の影響:本酵素はEDTAおよびフェナン
トロリンにより失活し、ベスタチンにより阻害される。 (g)金属イオンの影響:EDTAで失活した酵素は、
Mn2+、Zn2+、Cu 2+およびCo2+の添加により活性
化する。 (h)N末端アミノ酸配列:配列表の配列番号1記載の
配列を有する。
【0008】請求項2記載の本発明は、マイタケ子実体
から水または緩衝液で抽出して得た抽出液を、疎水性の
官能基を有する樹脂を担体とする疎水クロマトグラフィ
ーに供試して分画し、活性画分を採取することを特徴と
する請求項1記載のアミノペプチダーゼの製造法であ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のアミノペプチダーゼは、マイタケに由来
するものであり、以下のようにして本酵素を取得するこ
とに成功した。
【0010】まず、マイタケ子実体を水または緩衝液に
懸濁して抽出液を得る。ここで、マイタケ子実体は、マ
イタケから取り出した子実体の他、その凍結乾燥粉末等
の加工品も用いることができる。酵素の抽出は、水や緩
衝液を用い、マイタケ子実体を懸濁することによって行
う。緩衝液としては、様々なものが使用でき、特に限定
されない。好適な緩衝液として、例えばTris−HC
l緩衝液(pH7.5)を挙げることができる。
【0011】マイタケ子実体を水または緩衝液に懸濁し
た後、吸引濾過などの適当な操作により抽出液(濾液)
を得る。これが粗酵素液である。次いで、この抽出液に
ついて硫安沈澱、遠心分離等の操作を繰り返して行うこ
とによって、不溶物を除いて上清を得る。なお、上記抽
出の代わりにホモゲナイザー等を用いてマイタケ子実体
をすりつぶしながら酵素を抽出することも可能である。
【0012】このようにして不溶物を除去した抽出液を
得、この抽出液から酵素を分離、精製するため、これを
疎水性の官能基を有する樹脂を担体とする疎水クロマト
グラフィーに供試して分画を行う。担体となる疎水性の
官能基を有する樹脂としては、例えばフェニル基、ブチ
ル基、オクチル基、エチル基等の疎水性を示す官能基を
有する樹脂が使用できる。これらの中では、例えばフェ
ニル基を有するPhenyl−TOYOPEARL65
0M(東ソー社製)などが好適である。分画操作は、緩
衝液で平衡化させた樹脂を充填したカラムに抽出液を加
え、非吸着性のタンパク質を除去した後、該緩衝液中の
硫安濃度を調整すること等により、塩濃度を徐々に下げ
て樹脂に吸着したタンパク質を溶出させることにより行
うことができる。
【0013】本発明のアミノペプチダーゼは、疎水性の
官能基を有する樹脂との親和性が特に強いことから、塩
濃度を0Mにすると溶出する。この疎水クロマトグラフ
ィーの結果得られるアミノペプチダーゼの比活性は、粗
酵素と比較して約20倍も上昇し(第1表参照)、精製
が進んでいることが分かる。このことから、本発明者ら
は、マイタケ子実体から水または緩衝液で抽出して得た
抽出液を、疎水性の官能基を有する樹脂を担体とする疎
水クロマトグラフィーに供試して分画し、活性画分を採
取することによりアミノペプチダーゼを製造可能である
と判断した。
【0014】疎水クロマトグラフィーの操作を終了した
段階で、前記したように、酵素は十分に精製され、高い
比活性を有するアミノペプチダーゼが得られる。この
後、通常の精製手段、例えばゲル濾過クロマトグラフィ
ー、陰イオン交換クロマトグラフィー等を行うことによ
り、さらに精製された酵素を得ることも可能である。
【0015】ゲル濾過クロマトグラフィーは常法により
行うことができる。カラムに充填する樹脂に制限はな
く、ゲル濾過用樹脂であれば任意に使用することがで
き、例えばSephadex G25等の市販品は好適
なものである。また、溶出用の溶媒についても特に制限
はなく、例えば緩衝剤である3−(N−モルホリノ)プ
ロパンスルホン酸(MOPS、pH7.5)等は好適に
用いることができる。ゲル濾過クロマトグラフィーは、
アミノペプチダーゼの精製に有効な手段である。すなわ
ち、前記疎水クロマトグラフィーで得られる画分には、
夾雑タンパク質が存在するが、このものはゲル濾過用樹
脂に対して親和性を示すため、ゲル濾過クロマトグラフ
ィーを実施すると、目的とする酵素がはじめに溶出し、
一部の夾雑タンパク質や塩などが後から溶出するため、
酵素の精製が行われる。
【0016】次に、陰イオン交換クロマトグラフィーに
ついて説明すると、この精製操作には通常の陰イオン交
換樹脂が固定相に用いられ、Mono−Q等は好適な樹
脂である。樹脂を充填したカラムは、あらかじめ緩衝液
(例えば、前記MOPSなど)で平衡化し、この緩衝液
中の塩化ナトリウム濃度を直線濃度勾配で増加させるこ
とにより、吸着タンパク質を溶出し、溶出液を分画す
る。この操作によって、目的とする酵素を一層精製する
ことができ、比活性が格段に向上する。
【0017】上記した一連のクロマトグラフ法を経て高
度に精製されたアミノペプチダーゼが得られる。次い
で、常法により本酵素のN末端アミノ酸配列を決定する
ことができる。本発明により得られるマイタケ由来のア
ミノペプチダーゼは、以下に示す性質を有している。
【0018】(a)至適pHおよび安定pH範囲:本酵
素の至適pHは8.5であり、pH6.0〜10.5
(45℃、1時間)の範囲で安定である。 (b)至適温度:本酵素の至適温度は65℃である。 (c)熱安定性:本酵素は55℃以下で安定である。 (d)基質特異性:本酵素はロイシンおよびフェニルア
ラニンに作用する。 (e)分子量:本酵素の分子量は30kDa(SDS−
ポリアクリルアミドゲル電気泳動による)である。
【0019】(f)阻害剤の影響:本酵素はEDTAお
よびフェナントロリンにより失活し、ベスタチンにより
阻害される。 (g)金属イオンの影響:EDTAで失活した酵素は、
Mn2+、Zn2+、Cu 2+およびCo2+の添加により活性
化する。 (h)N末端アミノ酸配列:プロテインシーケンサーH
P G1005A型(ヒューレットパッカード社製)に
より決定したN末端アミノ酸配列は、配列表の配列番号
1記載した通りである。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳しく説明する
が、本発明はこれらによって制限されるものではない。 実施例1(アミノペプチダーゼの分離精製) 氷水中でマイタケ子実体の凍結乾燥粉末400gを10
mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)16Lに
懸濁し、直ちに吸引濾過した。得られた濾液を粗酵素液
とした。
【0021】次に、この濾液に70%飽和になるように
硫安を加え、氷水中に3時間放置した。生じた沈殿物を
遠心分離(6800rpm、4℃、30分)により採取
し、該沈澱の重量の5倍量の0.6M 硫安を含む25
mM MOPS緩衝液(pH7.5)(以下、緩衝液A
と略記する。)に溶解した。この溶液に対して遠心分離
(18000rpm、4℃、30分)を2回繰り返して
不溶物を除き、上清を得た。
【0022】実施例2(アミノペプチダーゼのクロマト
精製) (1)疎水クロマトグラフィー 上記実施例1で得られた上清を、あらかじめ緩衝液Aで
平衡化しておいたPhenyl−TOYOPEARL
650M(東ソー社製)を担体とする疎水クロマトグラ
フィーに供試し、分画精製した。すなわち、カラム直径
2.5cm、カラム長10cmのPhenyl−TOY
OPEARL充填カラムに、実施例1で得た上清425
mLを添加し、流速3mL/minで非吸着タンパク質
を除去した後、同緩衝液中の硫安濃度を0.6Mから0
Mへの直線濃度勾配で減じることにより、吸着タンパク
質を溶出し、溶出液を9mLずつ分画した。次いで、分
画した各画分のアミノペプチダーゼ活性を測定し、活性
画分を収集した。なお、アミノペプチダーゼの活性は、
50mM MOPS(pH7.5)に溶解した2mMロ
イシン−p−ニトロアニリドに各画分50μLを加え、
45℃で5分間反応させた後、1.7M 酢酸で反応を
停止し、反応液の405nmの吸光度を検出して測定し
たものである。
【0023】(2)ゲル濾過クロマトグラフィー 上記クロマトグラフィーで得られる活性画分をゲル濾過
クロマトグラフィーに供試した。すなわち、カラム直径
2.5cm、カラム長6.1cmのSephadexG
25充填カラムを25mM MOPS緩衝液(pH7.
5)(以下、緩衝液Bと略記する。)を用いて流速1m
L/minで溶出した。溶出液は1mLずつ分画した。
分画した各画分のアミノペプチダーゼ活性を測定し、硫
安を含まない活性画分を収集した。
【0024】(3)陰イオン交換クロマトグラフィー 上記クロマトグラフィーで得られた画分を陰イオン交換
クロマトグラフィー(FPLC;Mono−Q HR5
/5カラム、ファルマシア社製)に供試した。すなわ
ち、カラム直径5mm、カラム長5cmのMono−Q
充填カラムに、上記ゲル濾過クロマトグラフィーで収集
した酵素液を添加した。なお、カラムはあらかじめ緩衝
液Bで平衡化し、同緩衝液中の塩化ナトリウム濃度を0
mMから100mMまでの直線濃度勾配で増加させるこ
とにより、吸着タンパク質を溶出し、溶出液を1mLず
つ分画した。分画した各画分のアミノペプチダーゼ活性
を測定し、活性画分を収集した。
【0025】上記(1)〜(3)の各精製工程における
酵素液量、全タンパク質量、全活性、タンパク質当たり
の比活性、収率および精製度を第1表に示す。
【0026】
【表1】第1表(マイタケからのアミノペプチダーゼの
精製)
【0027】第1表に示す結果より、以下のことが分か
る。疎水クロマトグラフィーにより得られる画分中のア
ミノペプチダーゼ活性は、粗酵素(硫安沈殿後のもの)
と比較して20倍近くまで精製が進んでいる。
【0028】また、ゲル濾過クロマトグラフィーによ
り、アミノペプチダーゼをさらに精製することができる
ことが明らかである。なお、ゲル濾過クロマトグラフィ
ーに使用したカラム担体は、アミノペプチダーゼに対す
る親和性がないが、夾雑物には親和性を示すため、該ク
ロマトグラフィーにより脱塩のみならず、十分な精製効
果も得られる。
【0029】さらに、陰イオン交換クロマトグラフィー
を行うことにより、ゲル濾過クロマトグラフィー後の
3.5倍程度まで高度に精製するとができる。このよう
に、各クロマトグラフ法による操作を経ることにより、
酵素の精製が進むと共に、比活性が増大することが明ら
かである。
【0030】実施例3(アミノペプチダーゼの至適pH
および安定pH範囲) (1)至適pH pH4.0から11.0まで0.5間隔で調整した(p
H4.0〜5.5 酢酸緩衝液;pH5.0〜7.0
MES緩衝液;pH6.5〜8.0 MOPS緩衝液;
pH7.5〜9.0 TAPS緩衝液;pH8.5〜1
0.0 CHES緩衝液;pH9.5〜11.0 CA
PS緩衝液をそれぞれ使用)2mMロイシン−p−ニト
ロアニリド(Leu−pNA)を用いて、実施例2
(3)で得られた精製アミノペプチダーゼの活性を10
分間反応させて測定した。結果を図1に示す。図中の横
軸は反応pHを示し、縦軸は最大活性値を100とした
場合の相対活性(%)を示す。また、▽は酢酸緩衝液
を、●はMES緩衝液を、▲はMOPS緩衝液、◆はT
APS緩衝液を、□はCHES緩衝液を、○はCAPS
緩衝液をそれぞれ示す。図1より、本アミノペプチダー
ゼの至適pHは8.5であることが明らかである。
【0031】(2)安定pH範囲 上記実施例2(3)で得られた精製アミノペプチダーゼ
溶液を、pH4.0から13.0まで0.5間隔で調整
し(pH4.0〜5.5 酢酸緩衝液;pH5.0〜
7.0 MES緩衝液;pH6.5〜7.5 MOPS
緩衝液;pH7.5〜8.5 TAPS緩衝液;pH
8.5〜10.0 CHES緩衝液;pH9.5〜1
1.0 CAPS緩衝液;pH11.0〜13.0 ピ
ペリジン緩衝液をそれぞれ使用)、45℃で1時間イン
キュベートした後、氷水中に数分放置した。次いで、各
pH処理液のアミノペプチダーゼ活性を測定した。結果
を図2に示す。図中の横軸は処理pHを示し、縦軸はp
H8.5(MOPS緩衝液)における活性を100とし
た場合の相対活性(%)を示す。なお、▽は酢酸緩衝液
を、●はMES緩衝液を、▲はMOPS緩衝液、◆はT
APS緩衝液を、□はCHES緩衝液を、○はCAPS
緩衝液を、△はピペリジン緩衝液をそれぞれ示す。本ア
ミノペプチダーゼの安定pHの範囲は、約6.0〜1
0.5であることが明らかである。
【0032】実施例4(アミノペプチダーゼの至適温度
と熱安定性) (1)至適温度 上記実施例2(3)で得られた精製アミノペプチダーゼ
活性を種々の温度条件(0,20,30,40,50,
55,60,65,70,75,80,90,100
℃)下で10分間反応させて測定した。結果を図3に示
す。図中の横軸は反応温度(℃)を示し、縦軸は最大活
性値を100とした場合の相対活性(%)を示す。図3
より、本アミノペプチダーゼの至適温度は65℃である
ことが明らかである。
【0033】(2)熱安定性 上記実施例2(3)で得られた精製アミノペプチダーゼ
活性を種々の温度条件(0,20,30,40,50,
55,60,65,70,75,80,90,100
℃)下で30分間インキュベートした後、氷水中に数分
放置した。次いで、各温度処理液のアミノペプチダーゼ
活性を測定した。結果を図4に示す。図中の横軸は処理
温度(℃)を示し、縦軸は最大活性値を100とした場
合の相対活性(%)を示す。図4から明らかなように、
本アミノペプチダーゼは55℃まで安定である。
【0034】実施例5(アミノペプチダーゼの基質特異
性) 種々のアミノ酸のp−ニトロアニリド誘導体(Leu−
pNA、Phe−pNA、Val−pNA、Ala−p
NA、Lys−pNAおよびPro−pNA)を基質と
して供試し、上記実施例2(3)で得られた精製された
アミノペプチダーゼの活性を測定して、本アミノペプチ
ダーゼの基質特異性を調べた結果を第2表に示す。
【0035】
【表2】第2表(N−末端アミノ酸に対するアミノペプ
チダーゼの基質特異性)
【0036】第2表より、本アミノペプチダーゼは、ロ
イシン(Leu)およびフェニルアラニン(Phe)に
高い反応性を示すことが明らかである。
【0037】実施例6(アミノペプチダーゼのSDS−
ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分子量測定) SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−P
AGE)法(Laemmli,U. K., Nature, 227, 680 (197
0))でアミノペプチダーゼの分子量を測定した。すなわ
ち、前記実施例2(3)で得られた精製アミノペプチダ
ーゼと等量の5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、
5%メルカプトエタノールおよび50%グリセリンを含
む試料処理液を混合し、100℃で2分間インキュベー
トした。次に、スラブ電気泳動装置(ATTO社製)上
のSDS−ポリアクリルアミドゲル(分離ゲル12.5
%、濃縮ゲル3%)に、この溶液を30μL載せ、20
mAで泳動した。分子量マーカーとして10kDa P
rotein Ladder(Gibco BRL L
ife Technologies社製)を使用し、同
時に泳動した。
【0038】泳動終了後、クマシーブリリアントブルー
で染色し、本アミノペプチダーゼと分子量マーカーとの
相対泳動距離より、本アミノペプチダーゼの分子量を測
定した。結果を図5に示す。左レーンは分子量マーカ
ー、右レーンは本アミノペプチダーゼである。図5から
明らかなように、本アミノペプチダーゼは単一バンドを
示し、分子量は約30kDaであった。
【0039】実施例7(阻害剤の影響) 本アミノペプチダーゼを種々の阻害剤で処理し、その影
響を調べた。すなわち、EDTA(1mMおよび10m
M)、フェナントロリン(0.1mMおよび10m
M)、ベスタチン(0.05mMおよび0.5mM)の
各阻害剤で前記実施例2(3)で得られた精製されたア
ミノペプチダーゼを処理(4℃、30分)し、その処理
液の2mM ロイシン−p−ニトロアニリドを含む50
mM TAPS緩衝液(pH8.5)中におけるアミノ
ペプチダーゼ活性を測定した。結果を第3表に示す。
【0040】
【表3】第3表(阻害剤の影響)
【0041】第3表から明らかなように、本アミノペプ
チダーゼは、キレート剤であるEDTAおよびフェナン
トロリンにより失活し、ベスタチンにより阻害される。
【0042】実施例8(金属イオンの影響) EDTAにより失活させた本アミノペプチダーゼに金属
塩を添加したときの活性を測定した。すなわち、前記実
施例2(3)で得られた精製アミノペプチダーゼ50μ
Lに0.5M TAPS緩衝液(pH8.5)50μL
および0.1mM EDTA50μLを添加して、氷水
中に1時間放置した。次いで、0.1mMの金属塩(M
gCl2、MnCl2、ZnCl2、CuCl2、CaCl
2、BaCl2、CoCl2、FeCl2)を添加し、氷水
中に1時間放置した。この溶液に、1mMのロイシン−
p−ニトロアニリドを200μL添加し(終濃度2m
M)、アミノペプチダーゼ活性を測定した。結果を第4
表に示す。
【0043】
【表4】第4表(金属イオンの影響)
【0044】第4表の結果から、EDTAにより失活さ
せたアミノペプチダーゼの活性は、MnCl2、ZnC
2、CuCl2およびCoCl2の添加により活性化す
ることが明らかである。
【0045】実施例9(N末端アミノ酸配列の決定) 実施例2(3)で得られた精製されたアミノペプチダー
ゼのN末端アミノ酸配列を、プロテインシーケンサーH
P G1005A型(ヒューレットパッカード社製)を
用いて決定した。決定されたN末端アミノ酸配列は、配
列表の配列番号1に示すとおりであり、N末端より65
残基のアミノ酸配列が解読できた。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、精製されたマイタケ由
来のアミノペプチダーゼおよびその製造法が提供され
る。本発明に係るアミノペプチダーゼは、ペプチド性の
苦味を除去・低減させる作用を有しており、しかも従来
より食用とされているマイタケに由来するものであるこ
とから、安全性が高い。そのため、本酵素は調味料、そ
の他の食品分野における広範な活用が期待される。
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Director of National Food Research Institute, Ministry of Agricult ure, Forestry and Fisheries <120> アミノペプチダーゼおよびその製造法 <130> P111081K <160> 1 <210> 1 <211> 65 <212> PRL <213> Grifola frondosa <400> 1 Arg Thr Gln Asp Asn Ala Pro Trp Gly Leu Asn Arg Ile Ser Gln Gly 1 5 10 15 Pro Pro Leu Ala Asn Gln Asn Pro Phe Ala Thr Asn Phe Val Tyr Thr 20 25 30 Tyr Asn Asn Asn Pro Gly Tyr Gly Val Asp Ile Tyr Val Met Asp Thr 35 40 45 Gly Val Leu Thr Ser His Thr Glu Phe Phe Gly Arg Ala Thr Asp Gly 50 55 60 Tyr 65
【図面の簡単な説明】
【図1】 各pHでのアミノペプチダーゼ活性の相対活
性を示すグラフである。
【図2】 アミノペプチダーゼを各pH条件下、45℃
で1時間インキュベートした後に測定した該酵素活性の
相対活性を示すグラフである。
【図3】 各温度でのアミノペプチダーゼ活性の相対活
性を示すグラフである。
【図4】 アミノペプチダーゼを各温度で30分間イン
キュベートした後に測定した該酵素活性の相対活性を示
すグラフである。
【図5】 アミノペプチダーゼの電気泳動写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12N 9/48 C12R 1:645) (C12N 15/09 ZNA C12R 1:645) (72)発明者 北岡 本光 茨城県つくば市観音台1−34−16 ルミ ナス観音台壱番館403 (72)発明者 吉水 聡 新潟県加茂市後須田1584 (72)発明者 古田 道夫 新潟県中蒲原郡亀田町五月町2−3−41 (56)参考文献 特開 昭59−34885(JP,A) J.Biol.Chem.,米国, 1997年11月28日,Vol.272,No. 48,p.30032−30039 J.Biochem.,日本,1998年 7月 1日,Vol.124,p.157− 162 J.Biochem.,日本,1995年 11月 1日,Vol.118,p.1014− 1020 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/09 ZNA C12N 9/48 - 9/86 BIOSIS(DIALOG) JICSTファイル(JOIS) WPI(DIALOG) PubMed SwissProt/PIR/GeneS eq GenBank/EMBL/DDBJ/G eneSeq

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マイタケに由来し、下記の性質を有する
    アミノペプチダーゼ。 (a)至適pHおよび安定pH範囲:本酵素の至適pH
    は8.5であり、pH6.0〜10.5(45℃、1時
    間)の範囲で安定である。 (b)至適温度:本酵素の至適温度は65℃である。 (c)熱安定性:本酵素は55℃以下で安定である。 (d)基質特異性:本酵素はロイシンおよびフェニルア
    ラニンに作用する。 (e)分子量:本酵素の分子量は30kDa(SDS−
    ポリアクリルアミドゲル電気泳動による)である。 (f)阻害剤の影響:本酵素はEDTAおよびフェナン
    トロリンにより失活し、ベスタチンにより阻害される。 (g)金属イオンの影響:EDTAで失活した酵素は、
    Mn2+、Zn2+、Cu 2+およびCo2+の添加により活性
    化する。 (h)N末端アミノ酸配列:配列表の配列番号1記載の
    配列を有する。
  2. 【請求項2】 マイタケ子実体から水または緩衝液で抽
    出して得た抽出液を、疎水性の官能基を有する樹脂を担
    体とする疎水クロマトグラフィーに供試して分画し、活
    性画分を採取することを特徴とする請求項1記載のアミ
    ノペプチダーゼの製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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J.Biochem.,日本,1995年11月 1日,Vol.118,p.1014−1020
J.Biochem.,日本,1998年 7月 1日,Vol.124,p.157−162
J.Biol.Chem.,米国,1997年11月28日,Vol.272,No.48,p.30032−30039

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