JP3407601B2 - 塩化メチルの製造方法 - Google Patents

塩化メチルの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化水素とメタノ
ールとの反応により塩化メチルを製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】塩化水
素とメタノールとの反応から塩化メチルを製造する方法
は、従来から数多く報告されており、気相又は液相で触
媒の存在下又は無触媒下で反応を行う方法が知られてい
る。この場合、既知方法の大部分は、反応を促進するた
め触媒を用いており、またメタノールに対し化学量論的
に過剰な塩化水素雰囲気にて反応を行っている。
【0003】しかしながら、この方法を含めて現在工業
化されている塩化メチル製造プロセスは、それぞれ下記
のような不利な点を有している。
【0004】まず、気相において触媒を用いて反応させ
る方法は、好ましい反応温度が300〜450℃と高い
ために、ジメチルエーテルやその他分解物の副生が他の
方法に比べて多く、触媒の交換又は再生が必要であり、
また原料として気体状の無水塩化水素又はそれに近い程
度に脱水された塩化水素及び気体状メタノールを必要と
する等の点で不利である。
【0005】また、液相において触媒を用いて反応させ
る方法は、液相無触媒法に比べ反応温度が高く、かつ触
媒を用いるためジメチルエーテルの副生が多くなり、し
かも触媒中に不純物が蓄積するため触媒の定期的更新が
必要であり、不利である。
【0006】更に、気相及び液相で触媒を用いて反応さ
せる方法は、シリコーン製造プラントで副生されるシリ
コーンを含んだ塩化水素や、他のプロセスで副生される
何らかの有機不純物を含んだ塩化水素を原料とした場
合、このシリコーンや他の有機不純物により触媒の活性
が失われるため、使用できる原料に制限があるといった
欠点がある。
【0007】液相において触媒を用いないで反応させる
方法は、反応速度が低い点で不利であり、またメタノー
ルに対して化学量論的に過剰の塩化水素で反応を行って
おり、この場合反応器内の塩化水素濃度が共沸濃度を超
え、生成した塩化メチルガスに同伴して多量の塩化水素
が反応器より留去してしまい、塩化水素収率の著しい悪
化を招く欠点がある。
【0008】具体的には、米国特許第3981938号
公報、米国特許第4220609号公報及び米国特許第
4922043号公報に記載の方法では、メタノールに
対し化学量論的に過剰か又は等しい量の塩化水素を用い
た反応により塩化メチルを生成させる方法が記載されて
いる。しかし、この方法では前述したように反応器内の
塩化水素の濃度が共沸濃度に近くなるため、生成した塩
化メチルに同伴して塩化水素が反応器より多量に蒸発
し、塩化水素収率の著しい低下を招くと共に、生成した
粗ガスから冷却分離された副生水、未反応塩化水素から
なる水溶液が腐食性液体であるため、処理が大変困難
で、多額の費用を要し、不利である。
【0009】また、米国特許第4935564号公報に
は、ハロゲン化水素と化学量論的に過剰なアルコール
(アルコール過剰度約20〜200モル%)を、触媒の
非存在下、栓流反応器に1回通すことによるハロゲン化
アルキルの製造方法が記載されているが、この方法で
は、アルコール量(ハロゲン化水素に対し化学量論的に
過剰な量)を多くすると、副生するジメチルエーテルが
増加し、またアルコール量を少なくすると塩化水素の転
化率が低くなり、最適な反応条件を得られず不利であ
る。即ち、副生物の生成を抑え、かつ塩化水素転化率を
上げるためには1段の栓流反応器では不十分であるとい
える。
【0010】更に、米国特許第520251号公報に
は、触媒存在下でC1〜C4アルカールをハロゲン化水素
と反応させてC1〜C4ハロゲノアルカンを製造する方法
が記載されているが、この方法では触媒を使用している
ことによる副生物の増加、触媒添加設備の追加、触媒濃
度管理の難しさ、原料塩化水素に含まれる不純物による
触媒失活及び失活物の処理方法等において不利がある。
【0011】本発明は、上記従来技術の不利を解消した
もので、塩化水素とメタノールの合成により塩化メチル
を製造するプロセスにおいて、副生物(ジメチルエーテ
ル)の生成を抑え、かつ高い塩化水素転化率で塩化メチ
ルを製造する方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結
果、塩化水素とメタノールの反応により、塩化メチルを
生成する反応を、液相にて、触媒非存在下、2段以上の
反応器を有する系で行うこと、この場合、 前段を化学量論的に過剰な塩化水素雰囲気として、反
応速度を上げると共にジメチルエーテルの副生を抑える
こと、 最終段を化学量論的に過剰なメタノール雰囲気とし
て、塩化水素濃度を共沸濃度以下とすると共に、塩化水
素転化率を向上させることにより、ジメチルエーテル生
成を抑制しながら、最終段反応器内の塩化水素濃度を共
沸濃度以下とすることで、塩化水素の蒸発を抑え、従来
法に比べ塩化水素収率を飛躍的に向上させることがで
き、また、触媒を使用しないので、触媒を失活させるよ
うな不純物を含んだ原料を使用することができ、工業的
有利に塩化メチルを製造し得ることを知見し、本発明を
なすに至った。
【0013】従って、本発明は、塩化水素とメタノール
とを無触媒下に液相反応させて塩化メチルを製造する方
法において、上記反応を2段以上に分けて行うと共に、
第1段から最終段前までの前段での液相反応を化学量論
的に過剰な塩化水素雰囲気に行い、かつ最終段での液相
反応を化学量論的に過剰なメタノール雰囲気にて行うこ
とを特徴とする塩化メチルの製造方法を提供する。
【0014】本発明に従えば、従来法と比較して次のよ
うな利点がある。 反応を2段以上に分割することにより、反応速度と塩
化水素転化率との両方を向上させることができ、1段で
行うよりも化学量論的に過剰なメタノール量を少なくで
き、ジメチルエーテルの副生量を抑えることができる。
即ち、最終段前の反応においては、反応速度を向上さ
せ、かつジメチルエーテルの副生を抑えることができ、
最終段の反応においては、副生水を選択的に系外に留去
させることができ、反応器からの塩化水素の蒸発を抑制
し、塩化水素転化率を飛躍的に向上させることができ
る。 触媒を使用しないので、触媒の添加設備、濃度管理が
不要である。 シリコーン製造プラントで副生されるシリコーンを含
んだ塩化水素や触媒を失活させるような不純物を含む塩
化水素も原料として使用できる。
【0015】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の塩化メチルの製造方法は、塩化メチルとメタノ
ールとを無触媒下に液相反応させるものであるが、この
場合、上記反応を2段以上で行うものである。反応段数
は2段以上であればよく、特に制限されるものではない
が、2〜4段、特に2〜3段であり、通常は2段で十分
である。
【0016】本発明においては、第1段から最終段前ま
での前段、特に最終段前の反応を塩化水素に対し化学量
論的に少ないメタノール量のもとで行うと共に、最終段
の反応をメタノールの追加供給により塩化水素に対し化
学量論的に過剰なメタノール量のもとで行い、反応器内
の塩化水素濃度を共沸濃度以下とすることが必要であ
る。この場合、一般的にトータルのメタノール/塩化水
素のモル比は1.0〜2.0程度が用いられているが、
本発明では、最終段前においては0.7〜0.95、特
に0.8〜0.95、更に最終段を含めたトータルでは
1.05〜1.4、特に1.05〜1.3が好ましく、
この範囲未満では塩化水素転化率が低下し、この範囲を
超えるとジメチルエーテルの副生量が増加する傾向にあ
る。また、このようなメタノール/塩化水素のモル比に
おいて、前段、特に最終段前における液相中の塩化水素
濃度は22〜30重量%、メタノール濃度は3〜8重量
%であることが好ましく、また最終段における液相中の
塩化水素濃度は8〜17重量%、メタノール濃度は1〜
5重量%であることが好ましい。このように濃度設定す
ることにより反応速度と塩化水素転化率との両方を向上
させることができ、更にジメチルエーテルの副生を抑制
することができる等の利点が得られる。
【0017】また、反応温度としては、前段、特に最終
段前が90〜130℃、特に100〜110℃、最終段
が100〜150℃、特に110〜130℃であること
が、反応速度の確保と共に副生物の生成を抑制できる点
において好適である。更に、反応時間は特に制限されな
いが、トータル反応時間は通常2〜8時間、特に3〜4
時間であり、また、最終段での反応時間は通常2〜8時
間、特に3〜4時間である。なお、その他の反応条件は
公知の方法を採用し得る。
【0018】本発明の塩化メチルの製造方法は、無触媒
で行われるので、使用原料は必ずしも高純度のものでな
くてもよく、触媒を使用した場合には触媒を疲弊させ或
いは被毒させるような不純物を含む原料を使用し得、例
えばシリコーン製造プラントで副生する、シラン及びシ
リコーンを含んでいるような塩化水素を原料として使用
することができる。また、未反応のメタノールをリサイ
クルして用いることができる。例えば、最終段反応器
で、生成塩化メチル、副生水及び過剰に供給された未反
応メタノールを全てガス状で反応器より留去し、この粗
ガスを塩化メチルガスとメタノール水溶液に分離し、更
にこのメタノール水溶液から水と分離されたメタノール
を再度原料として用いることができる。
【0019】本発明方法の実施に用いる装置としては、
これに限定されるものではないが、図1に示す装置が好
適であり、この装置を用いることによって、以下のよう
に有利に塩化メチルを製造することができる。
【0020】即ち、原料となる塩化水素を導管11、メ
タノールを導管12から第1段反応器(1−1)に導入
する。ここで、塩化水素に対し化学量論的に少ないメタ
ノールとし、塩化水素過剰雰囲気とする。
【0021】この第1段反応器内で塩化水素とメタノー
ルが反応し、塩化メチルが生成される。反応は完全では
なく、塩化メチルが主成分であるガス状の混合物が導管
22を通り、副生水及び未反応原料が主成分である液状
混合物が導管23を通り、それぞれ最終段反応器(1−
2)に導入される。
【0022】次に、最終段反応器において塩化水素に対
し化学量論的に過剰なメタノールとなるよう、メタノー
ルを導管21より追加供給する。
【0023】なお、反応器内の溶液はリボイラー(2)
によって加熱し、反応を助長させると共に、水を選択的
に反応器より留去させる。
【0024】この最終段反応器より生成された粗ガスを
コンデンサー(3)にて冷却・分離し、塩化メチルガス
を導管32より、また微量の未反応塩化水素を含んだメ
タノール水溶液を導管33より得る。
【0025】凝縮分離されたメタノール水溶液を蒸留塔
(4)によりメタノールと微量の未反応塩化水素を含ん
だ水に分離する。塔頂より得られたほぼ純粋なメタノー
ルは導管13により再び反応器に供給され、原料として
使用され、また塔底より微量の未反応塩化水素が含まれ
た副生水は導管41より排出される。
【0026】この製造装置において、それぞれの導管に
設置された流量計により監視しながら、自動又は手動に
て塩化水素供給量に対するメタノール供給量の調整が行
われる。また原料メタノールに対して塩化水素供給量を
調整する方法も採用できる。
【0027】更に、適時反応器内の液を採取し、塩化水
素及びメタノール濃度の分析を行い、管理し、分析結果
をもとに、塩化水素とメタノールの供給比率を調整する
ことも有効な方法である。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、副生物(ジメチルエー
テル)の生成を抑え、高い水素転化率で工業的有利に塩
化メチルを製造することができる。
【0029】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限される
ものではない。
【0030】〔実施例1〕本発明方法を図1に示す実験
装置で実施した。無水塩化水素を導管11より3500
g/H、メタノールを導管12より第1段反応器に24
60g/H(但し導管13よりリサイクルされたメタノ
ールを含む量)、更に追加メタノールを導管21より最
終段反応器に770g/Hの速度で供給し、第1段反応
器内温度を105℃、最終段反応器内温度を120℃に
保持した。定常状態に達した後、導管32より得られた
塩化メチル量は4760g/Hで、塩化水素転化率は9
8.2%であった。トータルのメタノール/塩化水素モ
ル比率は1.05で、生成塩化メチル中のジメチルエー
テルは0.3重量%であった。
【0031】〔実施例2〕実施例1と同じ実験装置に
て、前段及び最終段反応器に供給するメタノール量を変
えて反応させた。無水塩化水素を導管11より3500
g/H、メタノールを導管12より第1段反応器に27
70g/H(但し導管13よりリサイクルされたメタノ
ールを含む量)、更に追加メタノールを導管21より最
終段反応器に620g/Hの速度で供給し、第1段反応
器内温度を105℃、最終段反応器内温度を120℃に
保持した。定常状態に達した後、導管32より得られた
塩化メチル量は4810g/Hで、塩化水素転化率は9
9.2%であった。トータルのメタノール/塩化水素モ
ル比率は1.1で、生成塩化メチル中のジメチルエーテ
ルは0.3重量%であった。
【0032】〔比較例1〕実施例1と同じ実験装置を用
い、原料塩化水素に対し化学量論的に少ないメタノール
で反応させた。無水塩化水素を導管11より3500g
/H、メタノールを導管12より第1段反応器に246
0g/H(但し導管13よりリサイクルされたメタノー
ルを含む量)、更に追加メタノールを導管21より最終
段反応器に310g/Hの速度で供給し、第1段反応器
内温度を105℃、最終段反応器内温度を120℃に保
持した。定常状態に達した後、導管32より得られた塩
化メチル量は4040g/Hで、メタノール転化率は9
2.6%であった。トータルのメタノール/塩化水素モ
ル比率は0.9で、生成塩化メチル中のジメチルエーテ
ルは0.3重量%であった。
【0033】〔比較例2〕図2に1段の反応器による比
較例を示す。まず、原料となる塩化水素を導管11、メ
タノールを導管12から反応器(1)に導入した。反応
器内の溶液をリボイラー(2)によって加熱し、反応を
助長させると共に全量をガス化し、反応器より留去させ
た。
【0034】以下、実施例1と同様に生成粗ガスを冷却
し、塩化メチルガスとメタノール水溶液に分離し、この
メタノール水溶液を蒸留し、ほぼ純粋なメタノールを回
収し、再び反応器に供給し、再利用した。反応容積は実
施例1の第1の反応器と最終段反応器の容積の合計と同
一とした。
【0035】上記の運転形態の実験装置において、無水
塩化水素を導管11より3500g/H、メタノールを
導管12より3390g/H(但し導管13よりリサイ
クルされたメタノールを含む量)供給し、反応器内温度
を120℃に保持した。この時導管32より得られた塩
化メチル量は4250g/Hで、塩化水素転化率は8
7.7%であった。トータルのメタノール/塩化水素モ
ル比率は1.1で、生成塩化メチル中のジメチルエーテ
ルは1.0重量%であった。
【0036】以上の結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いる装置の一例を示す概略図
である。
【図2】比較例装置の概略図である。
【符号の説明】
1−1 第1段反応器 1−2 最終段反応器 11 塩化水素導入用導管 12 メタノール導入用導管 13 リサイクルメタノール輸送用導管 21 メタノール導入用導管 3 コンデンサー 4 蒸留塔
フロントページの続き (72)発明者 代田 美博 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越 化学工業株式会社 群馬事業所内 (56)参考文献 米国特許4922043(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 17/16 C07C 19/03

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化水素とメタノールとを無触媒下に液
    相反応させて塩化メチルを製造する方法において、上記
    反応を2段以上に分けて行うと共に、第1段から最終段
    前までの前段での液相反応を化学量論的に過剰な塩化水
    素雰囲気に行い、かつ最終段での液相反応を化学量論的
    に過剰なメタノール雰囲気にて行うことを特徴とする塩
    化メチルの製造方法。
  2. 【請求項2】 最終段前におけるメタノール/塩化水素
    のモル比が0.7〜0.95であり、最終段を含むトー
    タルのメタノール/塩化水素のモル比が1.05〜1.
    4である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 最終段前における液相中の塩化水素濃度
    が22〜30重量%、メタノール濃度が3〜8重量%で
    あり、最終段における液相中の塩化水素濃度が8〜17
    重量%、メタノール濃度が1〜5重量%である請求項2
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 最終段の反応で生成した塩化メチル、副
    生水及び過剰に供給された未反応メタノールをガス状に
    して最終段反応器より留去すると共に、この粗ガスを塩
    化メチルガスとメタノール水溶液とに分離し、このメタ
    ノール水溶液から水と分離されたメタノールを反応原料
    として使用する請求項1乃至3のいずれか1項記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 シリコーン製造プラントにて副生する塩
    化水素を原料として使用する請求項1乃至4のいずれか
    1項記載の方法。
  6. 【請求項6】 シラン及びシリコーンを含んでいる塩化
    水素を使用する請求項5記載の方法。
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