JP3428768B2 - 多結晶Si薄膜の堆積法 - Google Patents

多結晶Si薄膜の堆積法

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JP3428768B2
JP3428768B2 JP05105795A JP5105795A JP3428768B2 JP 3428768 B2 JP3428768 B2 JP 3428768B2 JP 05105795 A JP05105795 A JP 05105795A JP 5105795 A JP5105795 A JP 5105795A JP 3428768 B2 JP3428768 B2 JP 3428768B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多結晶Si薄膜の堆積
法に係る。より詳細には、結晶性が良く、かつ、導電率
の高い多結晶Si薄膜の堆積法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、多結晶Si薄膜の堆積法として
は、次に示す(a)と(b)の2つの方法があった。 (a)SiH4等のガスを高温に加熱した基板上に吹き
出し、ガスを分解することによって、堆積種を生成し、
基板上に多結晶Si薄膜を形成する熱CVD法。 (b)CVD法又はグロー放電プラズマ分解法により、
基板上に作製した非晶質Si膜又は粒径の小さな多結晶
Si膜を、レーザー光照射、赤外光照射、又は、電気炉
等で加熱溶融した後、冷却処理することにより、基板上
に多結晶Si薄膜を形成するCVD法とアニール処理を
組み合わせた方法。
【0003】しかしながら、上記(a)と(b)の方法
は、多結晶Si薄膜を作製する際、1000℃程度ある
いはそれ以上の熱処理が必要である。そのため、多結晶
Si薄膜を作製する基板としては、通常のガラス又は金
属等が使えないという問題があった。したがって、50
0℃以下の低温プロセスで多結晶Si薄膜を堆積する方
法が望まれていた。
【0004】上記低温プロセスを実現する方法として
は、例えば、熱の代わりに放電又は光を用いて、ガスの
分解を行う方法(c)が考案されている。
【0005】その代表的なガスの分解方法としては、プ
ラズマCVD法及び光CVD法が挙げられる。プラズマ
CVD法は、膜の堆積速度が速い点で光CVD法より秀
れている。通常、これらの方法では、SiH4ガス,S
iF4ガス,Si26ガス等の原料ガスをH2ガスで大希
釈し、放電電力を大きくした場合、300〜450℃の
低温にある基板上においても多結晶Si薄膜が作製でき
る。
【0006】しかしながら、上記(c)の方法で作製し
た多結晶Si薄膜には、多量の非晶質Si部分も含まれ
ている。そのため、光電変換特性が悪く、結晶粒径も5
0以下となる問題があった。その理由は、グロー放電プ
ラズマという非平衡反応で形成された堆積種が基板上に
降りそそぎ、膜中に取り込まれるため、形成された薄膜
の構造緩和が十分に行われないためと考えられている。
したがって、低温プロセスを維持した状態で、かつ、上
記の構造緩和も十分に行うことが可能な多結晶Si薄膜
の堆積法が望まれていた。
【0007】上記の低温プロセスと構造緩和とを同時に
実現する方法としては、例えば、成膜を行っている際
に、途中で原料ガスの供給を停止するか、又は、原料ガ
スが供給されていない別のプラズマ空間に基板を移動さ
せることにより、薄膜の堆積を周期的に停止し、成膜途
中にある薄膜の表面をH2プラズマに曝すことによっ
て、原子状水素の化学的アニーリング作用で構造緩和を
行い、薄膜の結晶性を向上させる方法(d)が提案され
ている。
【0008】しかしながら、上記(d)の方法で作製し
た多結晶Si薄膜では、原料ガスにPH3,B26,又
はBF3等のドーピングガスを混入させ、n型又はp型
の多結晶Si薄膜を作製する場合、その薄膜の結晶化率
が著しく低下し、良好なn型又はp型の多結晶Si薄膜
を得るのは困難であるという問題があった。但し、ドー
ピングガスを混入させず、原料ガスのみ用いて多結晶S
i薄膜を作製する場合には、結晶性の良好な膜が得られ
た。
【0009】したがって、原料ガスにドーピングガスを
混入させ、n型又はp型の多結晶Si薄膜を作製する場
合にも、結晶性の良好な多結晶Si薄膜の堆積法が望ま
れていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低温プロセ
スを維持した状態で、薄膜の構造緩和も十分に行うこと
ができ、かつ、原料ガスにドーピングガスを混入させ、
n型又はp型の多結晶Si薄膜を作製する場合にも、結
晶性の良好な多結晶Si薄膜が得られる堆積法を提供す
ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の多結晶Si薄膜
の堆積法は、成膜空間に隣接されたそれぞれ別の空間で
生成したSiFn(n=1〜3)ラジカル、ドーパント
ラジカル、及び、Hラジカルを、前記成膜空間に導入
し、SiFnラジカルとHラジカルとを気相中で衝突、
反応させることにより、膜生成用ラジカルSiFl
m(l+m≦3)を生成させ、前記成膜空間にある基板
の表面上に多結晶Si薄膜を形成する堆積法において、
前記Hラジカルが常に流された状態の前記成膜空間に、
前記SiFnラジカルと前記ドーパントラジカルを時間
的に分割して導入し、前記SiFnラジカルと前記H
ラジカルが流れている時間(t1)、前記ドーパント
ラジカルと前記Hラジカルが流れている時間(t2)、
及び、前記Hラジカルのみが流れている時間(t3
からなる3種類の時間を繰り返しながら成膜することを
特徴とする。
【0012】また、本発明の多結晶Si薄膜の堆積法で
は、前記t3は、5秒以上50秒以下であることが好ま
しい。
【0013】
【作用】
(請求項1)請求項1に係る発明では、前記Hラジカル
が常に流された状態の前記成膜空間に、前記SiFn
ジカルと前記ドーパントラジカルが、断続的に、かつ、
時間的にずらして導入された。
【0014】その結果、SiFnラジカルとHラジカル
が流れている時間(t1)は成膜を、ドーパントラジカ
ルとHラジカルが流れている時間(t2)は不純物拡散
を、かつ、Hラジカルのみが流れている時間(t3)は
膜表面に対して水素プラズマ処理を行うことが可能とな
った。
【0015】ゆえに、このラジカルを流す時分割処理に
よって、低温プロセスを維持した状態で、薄膜の構造緩
和も十分に行うことができ、かつ、SiFnラジカルと
ドーパントラジカルを用いて、n型又はp型の多結晶S
i薄膜を作製する場合にも、結晶性の良好な多結晶Si
薄膜が形成できる堆積法が得られた。
【0016】(請求項2)請求項2に係る発明では、前
記t3が5秒以上50秒以下であるため、結晶性が良好
で、かつ、導電率が高い多結晶Si薄膜が形成できる堆
積法が得られた。
【0017】
【実施態様例】
(多結晶Si薄膜を形成する堆積法)本発明における多
結晶Si薄膜を形成する堆積法としては、例えば、図1
及び図2に示すものが挙げられる。図1は本堆積法のタ
イムチャートであり、図2は本堆積法で用いた成膜装置
の概略図である。
【0018】以下では、図1を参照して、3種類のラジ
カルを導入するタイミングに関して説明する。
【0019】薄膜形成をする成膜空間に隣接されたそれ
ぞれ別の空間内には、Hラジカル、SiFnラジカル、
及びドーパントラジカルが生起されており、かつ、前記
成膜空間にはHラジカルのみ常に流された状態にある。
この状態において、SiFnラジカルを断続的に流す。
SiFnラジカルを流している間は成膜がなされ、Si
nラジカルの導入が停止されている間は水素プラズマ
処理がなされ、膜の構造緩和が行われる。
【0020】一方、ドーパントラジカルをSiFnラジ
カルと共に流すと、ドーパントラジカルとHラジカルと
の反応生成物とSiFnラジカルとHラジカルとの反応
生成物との気相反応が起こるためか、ドーパントラジカ
ルを流さない時に比べ、膜の結晶性が著しく低下する。
この場合、1サイクル当たりの水素プラズマ処理の時間
を十分に長くしても、結晶性の向上は難しい。
【0021】そこで、本発明では図1に示すとおり、S
iFnラジカルとドーパントラジカルとの導入を時間的
にずらした。その結果、気相中でのドーパントラジカル
の分解生成物とSiFnラジカルの分解生成物との反応
を抑えることができ、ドーパントラジカルを導入するこ
とによる、結晶性の著しい低下を防止することができ
た。
【0022】以下では、図2を参照して、成膜装置の詳
細に関して説明する。1は成膜用の真空チャンバーであ
る。2は真空チャンバー1の排気管で、ガスの流れを均
一にするため2本の管よりなっており、最終的に1本に
連結され真空排気装置4に接続されている。排気管2の
途中には、圧力調整用の電動バタフライバルブ3が接続
されており、圧力計5の信号をもとに圧力調整器6によ
り所望の圧力になるように開閉度が調整される。
【0023】7は基板支持台で、その表面に成膜用の基
板8が置かれている。基板支持台7にはヒーター10を
うめこんだヒーターブロック9が設置されており、基板
8を所望の温度に加熱するため使用される。11はヒー
ターブロック9の上にとりつけられた熱電対で、ヒータ
ーブロック9の温度を測定している。基板8の表面温度
を所望の温度にするため、温度コントローラー12が、
ヒーターブロック9の温度をあらかじめ校正された所定
値になるように制御している。
【0024】13はベロース管で、基板支持台7の位置
が図2の上下方向に動けるように取り付けてある。基板
支持台7は電気的に真空チャンバー1に接続されてい
る。
【0025】15はマイクロ波空洞であり、ガス導入管
16から導入されるH2ガスを、アルミナ製のマイクロ
波導入窓14を通して導入し、マイクロ波電力により励
起し、プラズマグロー放電を生起することで、Hラジカ
ルを生成する。
【0026】17は水素ガス流量を制御するための流量
制御器であり、バルブ18を介してガス管19により水
素ガス用の圧力調整器(不図示)及び水素ガスボンベ
(不図示)に接続されている。
【0027】生成されたHラジカルは、SiFnラジカ
ル導入管20より導入されるSiFnラジカルと衝突、
反応することにより、膜の堆積能を有するSiHlm
ジカルを生成する。
【0028】21はSiFnラジカルを生成するための
マイクロ波空間であり、SiFnラジカル導入管20に
連続しているSiFnラジカルを生成するための反応管
内を流れるフッ化硅素ガスをマイクロ波プラズマ励起
し、該フッ化硅素ガスを分離することによりSiFn
ジカルを生成している。22はフッ化硅素ガスの流量制
御器であり、バルブ23を介してガス管24により、フ
ッ化硅素ガス用の圧力調整器(不図示)及びボンベ(不
図示)に接続されている。
【0029】25はドーパントラジカル導入管であり、
ドーピングガスを分解することにより生成されたラジカ
ルが導入される。導入されたドーパントラジカルは、そ
の反応性が高い場合にはそのままの状態で、その反応性
が低い場合にはHラジカルと衝突することにより還元さ
れ、反応性が高められた状態で、多結晶Si薄膜の格子
に注入される。26はドーパントガスを分解するための
マイクロ波空間である。27はドーパントガスの流量制
御器、28はバルブ26である。29はドーパントガス
の導入用のガス管であり、ドーパントガス用の圧力計
(不図示)及びボンベ(不図示)に接続されている。
【0030】30は、入射波電力及び反射波電力をモニ
ターするための導波管である。31は入射波電力検出器
であり、メーター32により入射波電力がモニターされ
る。33は反射波電力検出器であり、メーター34より
反射波電力がモニターされる。36は導波管であり、3
7は、反射波電力がマイクロ波電源38に入るのを防止
するためのアイソレータである。38は、Hラジカル生
成のために用いるマイクロ波電源である。
【0031】なお、SiFnラジカル導入管20及びド
ーパントラジカル導入管25は、ラジカルの導入を基板
表面に均一にするため、すなわち、膜厚を均一にするた
め、左右対称の位置に設置してある。しかし、状況に応
じては各一本の導入管で行っても良い。その場合には、
膜厚の均一化のために他の手段を行う必要がある。
【0032】また、本装置では、SiFnラジカル導入
管20とドーパントラジカル導入管とを別々に設置した
が、SiFn等の原料ガスとドーパントガスの導入が時
間的に分離されているので同一の管を用いても構わな
い。
【0033】39はテーパ状の導波管で、マイクロ波導
入窓14と通常の角型導波管との接続のために用いてい
る。35はマイクロ波電源系と負荷との整合をとるため
の整合器で、3本のスタブより構成されている。
【0034】(SiFnラジカル)本発明におけるSi
nラジカルとは、4本の結合手を持ったSi原子の一
部にF原子が結合したものである。F原子の電気陰性度
は極めて高いため、Si原子の未結合の電子を引きつ
け、ラジカルの反応性を極めて弱くしている。SiF n
ラジカルを生成するための原料ガスとしては、例えば、
SiF4ガス、Si26ガスが挙げられる。
【0035】SiFnラジカルにHラジカルが衝突する
と、Hラジカルの反応性は高く、しかも電子を相手の原
子に与える形で反応するため、F原子と極めて強く反応
する。
【0036】また、HF分子の反応で生成されるエネル
ギーも高く、HFという形でぬけることにより、高いエ
ネルギー状態にSiFnラジカルが励起される。さら
に、Hラジカルが再び衝突することにより、SiFn
ジカルに反応性が付与される。その結果、SiFlm
ジカル(l+m≦3)が生成され、膜の堆積に寄与でき
るラジカルに変換される。基板上に付着したSiFlm
ラジカルにより、FとHとが結合手に結合したSiによ
って膜表面が形成されるため、膜の表面にはFとHとが
表面に出ている。この上に新たなSiFlmラジカルが
到着すると、H原子上にはFの原子が、F原子上にはH
の原子が結合するように反応し、生成熱をSi格子上に
残し、HFという形で脱離するため緻密な構造のSiの
格子が形成される。
【0037】また、新たなSiFlmラジカルが付着す
るときに、表面にダングリングボンドを必要としないた
め、SiFlmラジカルの付着前に膜表面からのH原子
あるいはF原子の脱離を必要としないで膜堆積ができ
る。したがって、ダングリングボンドによる欠陥の生
成が伴わない、H原子又はF原子を脱離させるための
エネルギーを必要としない、HF生成による生成熱が
発生する、という3つの理由から、良質な多結晶Si薄
膜が低温で作製可能となる。
【0038】(ドーパントラジカル)本発明におけるド
ーパントラジカルを生成するためのドーピングガスとし
ては、以下の2種類のものがある。 (1)p型の多結晶Si薄膜を作製する場合は、周期律
表のIII族の元素を含んだガスが用いられる。このよ
うなガスとしては、例えば、B26,BF3,BCl3
BBr3,B(CH33,B(C253,BC411
Al(CH33,Al(C253等が挙げられる。 (2)n型の多結晶Si薄膜を作製する場合は、周期律
表のV族の元素を含んだガスが用いられる。このような
ガスとしては、例えば、PH3,PF3,PF5,PC
3,PCl5,P(CH35,P(C255,PC4
11,AsH3,AsF3,AsF5,AsCl3,AsCl
5,As(CH35,As(C255,AsC411
が挙げられる。
【0039】上記(1)又は(2)に示したガスから生
成したドーパントラジカルと上述したSiFnラジカル
とを、薄膜形成をする成膜空間へ同時に導入した場合、
ドーパントラジカルとHラジカルとの反応、SiF
nラジカルとHラジカルとの反応、上記及びの反
応生成ラジカル同士の反応、が気相中で同時の起こるた
め、Siの緻密な構造が形成されにくくなり、結晶性が
著しく悪い多結晶Si薄膜しか得られない。
【0040】しかしながら、薄膜形成をする成膜空間
へ、SiFnラジカルとドーパントラジカルとを、時間
的に分離して導入することにより、気相中でのSiFn
ラジカルとドーパントラジカルとの反応が防止でき、緻
密な構造のSi格子上にドーパントラジカルが付着する
ことが可能となる。その結果、四配位のSiの主構造に
影響されることなく、ドーパント原子が多結晶Si薄膜
の中に注入される。
【0041】(水素(H)ラジカル)本発明におけるH
ラジカルには、SiFnラジカルの活性化、ドーパ
ントラジカルの活性化、及び成膜中の薄膜表面格子に
対するアニーリング及び構造緩和、という3つの役割が
ある。
【0042】との役割は、上述した通りである。以
下では、の役割について説明する。SiFnラジカル
とHラジカルとを用いた成膜、又はドーパントラジカル
とHラジカルとを用いた不純物拡散の後処理として、H
ラジカルによる表面処理をすることにより、成膜中の薄
膜における不完全な結晶部分及び非晶質部分の、エッチ
ング及び完全な結晶構造に構造変化させることができ
る。
【0043】なお、構造変化をさせることができるSi
層の厚さは、Hラジカルの進入距離によって決まり、通
常5nm〜50nmの間である。Hラジカル処理が、こ
の構造変化を誘起するためには、一定の時間すなわち通
常5秒以上が必要である。しかし、このHラジカル処理
の時間が長すぎると、膜表面が荒れ、結晶性が悪くなる
傾向があるため、Hラジカル処理の時間は、適宜決める
必要がある。
【0044】(結晶性の評価)本発明における結晶性の
評価としては、例えば、X線回折法とラマン分光法を用
いた。
【0045】X線回折法では、Siの(220)面、
(111)面、及び(311)面に起因する各回折強度
を調べた。
【0046】ラマン分光法では、光源がAr+レーザか
らなる装置を用いた。X線回折法と併用してラマン分光
法を行った理由は、X線回折法の測定結果が、実際の結
晶構造と、どのように関連しているかを調べるためであ
る。ラマン分光法の測定結果、すなわち、結晶Siに起
因する520cm-1付近の鋭いピークと、アモルファス
Siに起因する480cm-1付近のブロードなピークと
の積分強度比から、結晶化している割合を推定した。
【0047】上記520cm-1付近の鋭いピークが結晶
Siに起因するものであることは、結晶Siウェハの測
定により同定した。同様に、上記480cm-1付近のブ
ロードなピークがアモルファスSiに起因するものであ
ることは、通常のSiH4ガスを用いたグロー放電プラ
ズマで作製したアモルファスSi膜の測定により同定し
た。また、上記結晶Siウェハ及びアモルファスSi膜
の構造は、電子線回折像でも確認した。
【0048】本発明の堆積法を用いて作製した試料で
は、上記ラマン分光法の測定において、結晶化している
割合が増加するにしたがい、X線回折法の測定における
Siの(220)面からの回折強度が大きくなる結果が
得られた。また、試料の膜厚が、700nm〜900n
mの範囲にある場合は、Siの(220)面からの回折
強度が300カウント/秒(以下cpsと略す)を越え
ると、上記ラマン分光法の測定において、アモルファス
Siに起因する480cm-1付近のピークは検出されな
くなった。この結果から、300cps以上のX線回折
強度が得られた試料においては、ほぼ100%結晶化し
ていると判断した。
【0049】したがって、結晶化の割合から考えて望ま
しい多結晶Si薄膜は、膜厚が700nm〜900nm
の範囲にある場合、Siの(220)面からの回折強度
が300cps以上の試料である。
【0050】(導電率の評価)本発明における導電率の
評価としては、四端子法を用いた。本発明の実施例1〜
4の各成膜条件下で、実際にSi膜中に取り込まれたP
(リン)又はB(ホウ素)の量は、二次イオン質量分析
計(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometer)を
用いた測定では同じ値、すなわち1〜2×1019cm-3
であったが、各試料の導電率は大きく異なっていた。
【0051】一方、通常のSiH4ガスを用いたグロー
放電プラズマで作製したアモルファスSi膜の導電率の
最高値は、P(リン)をドーピングしたN型の試料では
2S/cmであり、B(ホウ素)ドーピングしたP型の
試料では2×10-3S/cmであった。
【0052】したがって、本発明では、P(リン)をド
ーピングしたN型の試料では、導電率が2S/cmより
大きな多結晶Si薄膜の堆積法が得られる条件を検討し
た。また、同様に、B(ホウ素)ドーピングしたP型の
試料では、導電率が2×10 -3S/cmより大きな多結
晶Si薄膜の堆積法が得られる条件を検討した。
【0053】
【実施例】
(実施例1)本例では、図1に示したとおりSiFn
ジカルとドーパントラジカルを時間的に分割して成膜空
間に導入する効果に関して検討する。図2の成膜装置を
用いて、ガラス基板上に、P(リン)をドーピングした
多結晶Si薄膜を堆積した。
【0054】以下では、多結晶Si薄膜の作製方法を手
順にしたがって説明する。 (1)無Na(ナトリウム)ガラスを有機溶剤(アセト
ン及びイソプロピルアルコール)で洗浄した後、基板支
持台7に取り付け、真空排気装置でチャンバー1の室内
を3×10-6Torr以下の圧力まで引いた。また、基
板8の表面温度が350℃になるようにヒーターで加熱
した。 (2)H2ガスをガス導入管16より、流量制御装置1
7を介して15sccm流した。圧力コントローラー
(不図示)を用いて、チャンバー1の内圧を400mT
orrに設定した。 (3)チャンバー1の内圧が400mTorrに安定し
たところでマイクロ波電力を400W印加し、水素ガス
によるグロー放電プラズマをマイクロ波空洞15内に生
起した。放電が安定したところで、次の成膜工程に移っ
た。 (4)成膜工程は、次の〜の3つのプロセスからな
り、これらを→→→の順に60回繰り返し、P
(リン)をドーピングした多結晶Si薄膜を堆積した。 原料ガスとして、SiF4ガス(流量100scc
m)を、SiFnラジカル導入管20内に導入し、マイ
クロ波電力100Wを印加し、チャンバー1の室内にS
iFnラジカルを10秒間導入し、多結晶Si薄膜を堆
積する。 ドーピングガスとして、Heガスで2%に希釈した
PF5ガス(流量1sccm)を、ドーパントラジカル
導入管25内に導入し、マイクロ波電力100Wを印加
し、チャンバー1の室内にHラジカルと共にドーパント
ラジカルを10秒間導入し、堆積膜にP(リン)をドー
ピングする。 ドーパントラジカルのチャンバー1の室内への導入
を停止し、チャンバー1の室内にHラジカルのみを10
秒間導入し、Hラジカルにより堆積膜の表面処理を行
う。
【0055】水素ガスの導入量、マイクロ波の印加電力
は,,の各プロセスにおいて、特に変えなかっ
た。また、SiF4ガス、ドーピングガスを流さないと
きは、それぞれのガスを分解するマイクロ波電力の印加
は中止した。 (5)上記(1)〜(4)の工程により作製した試料
は、成膜終了後、基板温度を室温まで下げ、チャンバー
1の室外へ取り出した。
【0056】(比較例1)本例では、成膜工程における
プロセスを省略して、→→の順に90回繰り返
し、P(リン)をドーピングしない多結晶Si薄膜を堆
積した点が実施例1と異なる。他の点は、実施例1と同
様とした。
【0057】(比較例2)本例では、成膜工程における
プロセスとの代わりに、以下のプロセスを行った
点が実施例1と異なる。すなわち、実施例1では、Si
nラジカルとドーパントラジカルを時間的に分割して
成膜空間に導入したが、本例では、SiF nラジカルと
ドーパントラジカルを同時に用いた。したがって、本例
では、→→の順に60回繰り返し、P(リン)を
ドーピングした多結晶Si薄膜を堆積した。 SiF4ガス(流量100sccm)を、SiFn
ジカル導入管20内に導入し、マイクロ波電力100W
を印加し、チャンバー1の室内にSiFnラジカルを1
0秒間導入した。また同時に、Heガスで2%に希釈し
たPF5ガス(流量1sccm)を、ドーパントラジカ
ル導入管25内に導入し、マイクロ波電力100Wを印
加し、チャンバー1の室内にドーパントラジカルも10
秒間導入した。他の点は、実施例1と同様とした。
【0058】以下では、実施例1、比較例1、及び比較
例2で作製した各試料に対して行った2つの評価、すな
わち、X線回折法による結晶性の評価と、四端子法によ
る導電率の評価に関する結果を述べる。但し、各試料の
膜厚は、800nm〜900nmの範囲にあるものを用
いた。
【0059】(1)X線回折法による結晶性の評価結果 表1は、各試料の測定結果である。実施例1と比較例1
の試料では、(220)にきわめて大きなピーク、(1
11),(311)に小さなピークが観測された。これ
に対して、比較例2の試料では、(220)に小さなピ
ーク、すなわち、ほとんどバックグランドに隠れる程度
のピークのみが確認された。
【0060】これらの結果から、ドーパントラジカルを
混入しない場合(比較例1)には、極めて良好な多結晶
Si薄膜が作製できることが分かった。
【0061】しかしながら、SiFnラジカルとドーパ
ントラジカルとを同時に成膜空間に導入して成膜した場
合(比較例2)は、結晶性が極端に落ちることがわか
る。
【0062】ところが、SiFnラジカルとドーパント
ラジカルの導入を時間的に分離し、その後Hラジカル処
理を行う工程を繰り返すことにより成膜した場合(実施
例1)は、ドーパントラジカルを導入しない場合(比較
例1)で得られた薄膜の結晶性が維持できることが分か
った。
【0063】
【表1】
【0064】(2)四端子法による導電率の評価結果 表2は、各試料の測定結果である。表2から、比較例1
及び比較例2に比べて、結晶性の高い実施例1の試料
は、優れた導電率も有することが分かった。
【0065】
【表2】
【0066】(実施例2)本例では、1回のHラジカル
処理の時間を変化させた点が実施例1と異なる。1回の
Hラジカル処理の時間としては、0秒,2秒,5秒,1
0秒,20秒,30秒,50秒,60秒の8条件を検討
した。但し、各試料の膜厚は、800nm〜900nm
の範囲にあるものを用いた。他の点は、実施例1と同様
とした。
【0067】図3に、X線回折法による結晶性の評価
と、四端子法による伝導率の評価に関する結果を示し
た。図3から、導電率が2S/cmより大きな多結晶S
i薄膜の堆積法が得られる1回のHラジカル処理の時間
は、5秒以上50秒以下であることが分かった。
【0068】(実施例3)本例では、ドーピングガスと
して、Heで2%に希釈したBF3を用い、流量を15
sccmとした点が実施例1と異なる。他の点は、実施
例1と同様とした。
【0069】(比較例3)本例では、ドーピングガスと
して、Heで2%に希釈したBF3を用い、流量を15
sccmとした点が比較例2と異なる。他の点は、比較
例2と同様とした。
【0070】以下では、実施例3及び比較例3で作製し
た各試料に対して行った2つの評価、すなわち、X線回
折法による結晶性の評価と、四端子法による導電率の評
価に関する結果を述べる。但し、実施例3の試料膜厚は
840nm、比較例3の試料膜厚は860nmであっ
た。
【0071】上記結晶性の評価結果から、実施例3の試
料は(220)に大きなピーク(1100cps)が観
測され良好な多結晶Si薄膜であることが確認された。
一方、比較例3の試料はピークが観察されなかった。
【0072】また、上記導電率の評価において、実施例
3の試料は導電率が2.3S/cmであった。一方、比
較例3の試料は7×10-5S/cmであった。
【0073】
【発明の効果】
(請求項1)以上説明したように、請求項1に係る発明
では、SiFnラジカルとドーパントラジカルを成膜空
間に導入する時分割処理によって、低温プロセスを維持
した状態で、薄膜の構造緩和も十分に行うことができ、
かつn型又はp型の多結晶Si薄膜を作製する場合に
も、結晶性の良好な多結晶Si薄膜が形成できる堆積法
が得られる。
【0074】(請求項2)請求項2に係る発明では、通
常の水素ガスで多量に希釈したSiH4ガスを用いたグ
ロー放電プラズマで作製した多結晶Si膜よりも、結晶
性が良好で、かつ導電率が高い多結晶Si薄膜が形成で
きる堆積法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る堆積法のタイムチャートを示すグ
ラフである。
【図2】本発明に係る成膜装置の概略図である。
【図3】実施例2に係るX線回折法による結晶性の評価
結果と、四端子法による伝導率の評価結果を示すグラフ
である。
【符号の説明】
1 1回のプロセスのSiFnラジカルの導入時間、 t2 1回のプロセスのドーパントラジカルの導入時
間、 t3 1回のプロセスのHラジカル処理の時間、 1 真空チャンバー、 2 排気管、 3 電動バタフライバルブ、 4 真空排気装置、 5 圧力計、 6 圧力調整器、 7 基板支持台、 8 基板、 9 ヒーターブロック、 10 ヒーター、 11 熱電対、 12 温度コントローラー、 13 ベロース管、 14 マイクロ波導入窓、 15 マイクロ波空洞、 16 ガス導入管、 17 水素ガス流量を制御するための流量制御器、 18 バルブ、 19 水素ガス導入用のガス管、 20 SiFnラジカル導入管、 21 SiFnラジカルを生成するためのマイクロ波空
間、 22 フッ化硅素ガスの流量制御器、 23 バルブ、 24 フッ化硅素ガス導入用のガス管、 25 ドーパントラジカル導入管、 26 ドーパントガスを分解するためのマイクロ波空
間、 27 ドーパントガスの流量制御器、 28 バルブ、 29 ドーパントガス導入用のガス管 30 入射波電力及び反射波電力をモニターするための
導波管、 31 入射波電力検出器、 32 入射波電力モニター用のメーター、 33 反射波電力検出器、 34 反射波電力モニター用のメーター、 35 3本のスタブより構成された、マイクロ波電源系
と負荷との整合をとるための整合器、 36 導波管、 37 アイソレータ、 38 マイクロ波電源、 39 テーパ状の導波管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/205

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成膜空間に隣接されたそれぞれ別の空間
    で生成したSiFn(n=1〜3)ラジカル、ドーパン
    トラジカル、及び、Hラジカルを、前記成膜空間に導入
    し、SiFnラジカルとHラジカルとを気相中で衝突、
    反応させることにより、膜生成用ラジカルSiFl
    m(l+m≦3)を生成させ、前記成膜空間にある基板
    の表面上に多結晶Si薄膜を形成する堆積法において、
    前記Hラジカルが常に流された状態の前記成膜空間に、
    前記SiFnラジカルと前記ドーパントラジカルを時間
    的に分割して導入し、 前記SiFnラジカルと前記Hラジカルが流れている
    時間(t1)、 前記ドーパントラジカルと前記Hラジカルが流れてい
    る時間(t2)、及び、 前記Hラジカルのみが流れている時間(t3) からなる3種類の時間を繰り返しながら成膜することを
    特徴とする多結晶Si薄膜の堆積法。
  2. 【請求項2】 前記t3が、5秒以上50秒以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の多結晶Si薄膜の堆
    積法。
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