JP3443573B2 - ヒ素除去用濾材及びヒ素を含有する水の精製方法 - Google Patents

ヒ素除去用濾材及びヒ素を含有する水の精製方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は地下水からヒ素を除
去するための濾材に関する。特に、本発明は、再生が可
能で(renewable)かつ通常の飲料水のpHで水を濾過す
るのに効率的に使用し得るヒ素除去用濾材に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒ素は地面及び地表水中に見出される天
然産の元素であり、世界の多数の地域に高濃度で存在す
る。また、採鉱作業、廃棄パイル(waste pile)の流出
及び農薬の製造のごとき工業的な活動からのヒ素により
地下水が汚染されている多数の地域が存在する。
【0003】ヒ素は高度に毒性の物質でありまた疑似発
癌物質(suspected carcinogen)であり、純粋な形では
致命的であり得ることが以前から知られている。天然に
産生する高濃度のヒ素を含有する水を長期間消費した場
合の影響は多数の研究の主題であった。いわゆる慢性ヒ
素中毒により皮膚の肥厚化及び変色、肝臓、腎臓及び皮
膚の癌及びブラックフート病(blackfoot disease)と
して知られる壊疽状状態を生じる手足の血液循環の損失
が生じることは知られている。
【0004】ヒ素は毒性及び発癌性を有するため、行政
機関によって飲料水中について許容され得るヒ素の最大
許容濃度が定められている。カナダにおいては、カナダ
保健福祉局(Health and Welfare Canada)により飲料
水中の最大許容濃度は25μg/Lと規定されている。世界
保健機構は最大許容濃度を10μg/Lと規定している。現
在、米国での制限値(USA limit)は50μg/Lであるが、
米国環境保護機関ではこの制限値を、おそらくは10μg/
Lという低い基準値まで低減させることを予定してい
る。多数の国が既に制限値を10μg/Lまで低減させてい
ることは知られている。
【0005】水からヒ素を除去するために、過去におい
て多数の方法が使用されている。石灰による軟水化及び
凝固/凝集/濾過のごとき慣用の処理系列を使用する表面
水処理装置においては、二次的効果としてのヒ素除去能
力が示されている。イオン交換処理、活性アルミナ処理
及び逆浸透のごとき膜処理プロセスのごとき進歩した技
術は、非常に少ない試験しか行われていないが、ある条
件下では良好な結果を示している。しかしながら、従来
の研究においては、背景となる水質母体がヒ素の除去に
大きく影響することが示されている。例えば塩基性は凝
固プロセスに影響する;硫酸塩はイオン交換及び膜処理
プロセスに影響する;活性アルミナの性能はpHとフッ化
物濃度が上昇するにつれて減少する;そして、鉄との共
沈は高い濃度の塩化物によって抑制される。
【0006】水中に阻害物質が存在する可能性があるこ
との他に、地下水からヒ素を除去することに伴う他の困
難性として、費用の高いこと、複雑であること及び使用
方法が挙げられる。例えば、石灰軟水化装置又は凝固/
凝集/濾過装置は高価でありかつその操作には比較的高
度の注意が要求される。また、これらの装置は大量の残
留物を生じ、これが廃棄問題を提供することも知られて
いる。活性アルミナ及びイオン交換用媒体はその製造に
費用を要する。膜濾過装置も構築するのに費用を要し、
操作が技術的に困難であり、そして、しばしば、供給水
の50%以上が浪費される。ある場合には、高純度の水は
装置に流入する水100リットル当り、しばしば、50リッ
トル以下しか生成されず、残部は廃棄されることが知ら
れている。
【0007】近年、鉄酸化物を被覆した砂を濾材として
使用することについて研究が行われている。鉄酸化物被
覆砂により地下水からヒ素が効果的に除去されることが
示されている。しかしながら、この濾材は、主として、
これを製造するのに砂の表面での鉄酸化物被覆の焼成を
含む複雑でかつ費用を要する調製操作を必要とするとい
う理由のため、大きな規模では発展していない。今日ま
で、この製造方法の使用は研究室での実験用に少量を生
産するのに限定されている。
【0008】鉄酸化物含浸多孔質支持体材料を濾材とし
て使用することに関して同様の研究が行われている。例
えば、カナダ特許第1,067,627号明細書にはヒ素を含有
する水を、水酸化第二鉄を含浸させた多孔質支持体材料
に通送することにより水からヒ素を除去する方法及び装
置が記載されている。上記カナダ特許には地下水からヒ
素を除去するための濾材の2つの例が示されている。第
1の例においては、濾材はFe(OH)として4.4%の第二
鉄イオンが含浸されており、第2の例においては、Fe(O
H)として0.97%の第二鉄イオンが含浸されている。試
験は、第1の場合にはpH4.7の水で行われており、第2
の場合にはpH3.9の水で行われている。上記カナダ特許
には、更に、ヒ素の除去は最大pH4.4の水で行うことが
好ましいことが記載されている。
【0009】上記カナダ特許には、更に、ある種の用途
においては、濾材を再生し得ることも記載されている。
しかしながら、上記カナダ特許には濾材を再生する方法
又は再生を行うのにFe(OH)の再含浸を行うのか否かに
ついては記載されていない。
【0010】上記したことから、井戸水が地下から流出
してきたときに、この井戸水に使用することができ、し
かも、濾過操作の前及び後にpHの調節をする必要のない
濾材が要求されていることは理解されるであろう。ま
た、ヒ素を脱着させ、洗い流すことができる濾材であっ
て、第二鉄イオンを再含浸させることなしに、その吸着
能力を効果的な水準まで回復させることができる濾材が
要求されている。
【0011】更に、比較的、安価であり、広範囲の水質
について効果がありかつ工業的、商業的及び都市的な設
備におけると同様に、住宅用の井戸にも効率的に使用し
得る濾材が要求されている。
【0012】
【解決すべき課題】本発明は、大きなヒ素吸着能力を有
し、飲料水のpH(6.5−8.0)で地下水からヒ素を除去す
るのに特に効率的でありそして容易にかつ安価に大量生
産し得るヒ素除去用濾材を提供する。より重要なこと
は、本発明の濾材はヒ素で飽和された後、再使用のため
に、数回、再生し得ることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】広い定義によれば、本発
明の第1の態様においては、焼成珪藻土粒子と、該焼成
珪藻土粒子に結合した第二鉄イオンとから本質的になる
ヒ素除去用濾材であって、焼成珪藻土粒子と塩化第二鉄
の混合物を調製し、この混合物を16時間、放置し、それ
によって、塩化第二鉄を珪藻土粒子に完全に含浸させ、
かく得られた混合物に、該混合物のpHが少なくとも9.0
の値に到達するまで水酸化ナトリウムを徐々に添加し
て、塩化第二鉄を徐々にかつ完全に水酸化第二鉄に転化
させる方法によって製造されたヒ素除去用濾材が提供さ
れる。
【0014】かく得られた濾材は第二鉄イオンと珪藻土
粒子との間に強固でかつ耐久性の結合を有する。本発明
の第1の態様による濾材は数回、再生可能であり、しか
もその際における濾材のヒ素吸着能力の減少は最小であ
る。試験結果から、濾材のヒ素吸着能力の減少は、濾材
を再生した各々の回において、10%以下であることが示
されている。
【0015】本発明による濾材の他の特徴は、ヒ素が確
実に濾材に結合しており、ヒ素で飽和された濾材を含有
するフィルターの下流でのヒ素の浸出が防止されること
である。
【0016】上記したごとき利点は、主として、濾材を
調製する際に形成される第二鉄イオンと珪藻土粒子との
間の強固でかつ耐久性の結合により得られると考えられ
る。
【0017】また、前記方法によって、第二鉄イオンが
珪藻土支持体上に特に高い割合で担持されるが、このこ
とは、濾材の性能にある程度寄与する他の要因であると
考えられる。
【0018】本発明の他の態様によれば、前記した方法
において珪藻土粒子と塩化第二鉄との混合物を形成させ
る工程は、粒度が30メッシュ〜約60メッシュの粒子を有
する焼成珪藻土1g当り、4mlの2.1M FeCl・6HO溶
液を添加し、ついで、水酸化ナトリウムを徐々に添加す
る工程で使用される水酸化ナトリウムを混合物が10Nの
濃度を有するまで添加する工程からなる。本発明の濾材
を製造する方法に対するこれらの追加的な限定は、珪藻
土粒子1g当り、1.36gという大きな割合で水酸化第二鉄
を珪藻土粒子に結合させた濾材を提供するのに有利であ
る。即ち、この方法は、第二鉄イオンを30重量%という
大きな割合で含有する濾材を提供するのに有利である。
【0019】本発明のこの態様による濾材は、約1200μ
g/gのヒ素吸着能力を有しており、飲料水pHの水を効率
的に利用することができそして再生を数回、反復できる
ということにおいて、特に、有利である。また、本発明
の濾材は濾過すべき水中にヒ素と共に存在する他の金属
を除去するのに効果があることも認められた。試験にお
いては、本発明の濾材により銅が99%以上、鉛が98%、
ウランが98%以上、除去された。本発明の濾材は水から
鉄を除去する能力を有することも多くの場合に認められ
た。更に、本発明のこの態様による濾材は250mg/Lまで
の塩化物又は硫酸塩を含有する水について、ヒ素濾過効
率の減少を示さなかった。
【0020】珪藻土材料による第二鉄イオンのかかる高
い担持量は大部分のヒ素濾過装置において好ましいが、
それにも拘わらず、より低い担持量の第二鉄イオンも有
利な結果を示し、例えば、損傷のより少ない用途におい
て使用するのに好ましいものであり得る。従って、本発
明の更に別の態様によれば、30メッシュ〜60メッシュの
粒度の焼成珪藻土粒子と該焼成珪藻土粒子に結合した5
〜30重量%の第二鉄イオンとから本質的になるヒ素除去
用濾材が提供される。本発明のこの態様によるヒ素除去
用濾材は飲料水pHの水を濾過するのに使用することがで
き、その再生を数回反復し得る。
【0021】本発明の他の要旨によれば、焼成珪藻土粒
子と該焼成珪藻土粒子に結合した第二鉄イオンとを含有
するヒ素除去用濾材を、ヒ素で飽和された後、再生する
方法が提供される。この再生方法は0.5N〜2.0Nの濃度の
水酸化ナトリウムをヒ素除去用濾材に下方にゆっくり通
送することからなる。これによって、ヒ素除去用濾材の
磨耗が減少し、その性能が実質的に保持される。この方
法はヒ素除去用濾材から少なくとも約82%のヒ素を脱着
させるのに有効であり、しかも、ヒ素除去用濾材のヒ素
吸着能力の約90%が保持されることが認められた。この
濾材の再生方法は、例えば濾材からヒ素を脱着させつい
で支持体材料に第二鉄イオンを再含浸させることからな
る濾材の化学的再生を必要としないという利点を有する
ことが認められた。
【0022】本発明の他の特徴は、使用される材料、装
置及び操作に関しての製造コストが低く、従って、工業
界への販売価格が低く、このことが、かかる濾材を公衆
が経済的に利用し得るものにせしめていることである。
【0023】非常に重要なことであるが、本発明の濾材
は飲料水の用途に使用するために、米国国立公衆衛生協
会(National Sanitation Foundation)(NSF Internatio
nal)によって、Drinking Water System Components−H
ealth Effectsという表題のANSI/NSF規格61の下で認証
されている。
【0024】本発明の他の利点及び新規な特徴は、以下
の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0025】
【発明の実施の形態】以下においては、本発明の好まし
い態様を、図面を参照しながら説明する。
【0026】本発明者は幾つかの従来の濾材を含む多数
の濾材を作成し、試験した。しかしながら、本明細書に
おいては、その記載を明確にするために、好ましい態様
に従って作成した濾材についての試験結果だけを示し
た。この試験結果を、現在使用されている最も一般的な
ヒ素吸着媒体と考えられる活性アルミナを使用した試験
結果と比較した。また、明確にするために、好ましい態
様に従って作成した濾材を濾材G2又は濾材G2TMと称す
る。
【0027】濾材G2という用語は、好ましい態様に従
って製造した濾材及びこの濾材の内容と構造について本
発明の範囲に包含される変更を行って製造した濾材を示
す。
【0028】活性アルミナの調製 参照のため、以下に述べる試験で使用した活性アルミナ
濾材を標準14メッシュ材料から調製し、水道水で洗浄し
た。
【0029】濾材G2の調製 濾材G2の調製に好ましい支持体材料は、約30メッシュ
(0.85mm)から約60メッシュ(0.42mm)の粒度の粒子か
らなる焼成珪藻土である。この支持体材料はMP79の名称
でEagle−Picher Minerals社(米国、ネバダ州、レノ所
在)から入手し得る。
【0030】焼成珪藻土に、該珪藻土1g当り、4mLの2.1
M FeCl・6HO溶液を被覆した。60rpmで作動する転
倒型撹拌装置を使用して、溶液を珪藻土に混入させた。
ついで、得られたスラリーを16時間放置して、塩化第二
鉄を珪藻土粒子中に浸透させた。浸透後、過剰の溶液を
濾材から流出させついで濾材の全部を水没させるのに十
分な水道水を添加した。ついで、10N NaOHを10〜15分で
ゆっくり添加して、スラリーのpHを約1から約9の最終
値までゆっくり上昇させた。最後に、濾材を水道水で洗
浄して濾材粒子に結合しなかった過剰の水酸化第二鉄を
除去した。流出する洗浄水のFeの濃度が0.1mg/L以下に
なったとき、洗浄を中止した。
【0031】濾材G2は、各濾材が焼成珪藻土を約75g含
有するバッチとして調製した。従って、上記した混合、
放置及び反応時間は、他のバッチに応じて調節し得る。
【0032】この方法は濾材に可能な限り多くの第二鉄
イオンを担持させるのに特に有効であることが認められ
た。得られた濾材G2は、焼成珪藻土に吸着されたかつ
イオン結合により結合された水酸化第二鉄を、焼成珪藻
土1g当り、1.36gという大きな量で含有している。換言
すれば、濾材G2は、焼成珪藻土1g当り、0.71gという大
きな量の第二鉄イオン、即ち、30重量%の第二鉄イオン
を含有している。
【0033】焼成珪藻土による第二鉄イオンの特に高い
担持量は、前記したごとき濾材G2についての結果と有
利な特徴を得るための重要な寄与要因であると考えられ
る。濾材粒子による第二鉄イオンのこの特に高い担持量
は、飲料水pH(6.5−8.0)において有効なかつ数回再生
できる、大きな吸着能力を有するヒ素除去用濾材を得る
ための寄与要因であると考えられるが、かかる第二鉄イ
オンの高い担持量は前記したごとき特徴の少なくとも幾
つかを、ある程度得るのに好ましいが、絶対に必要では
ないと考えられる。
【0034】以下に記載する試験方法に従って、更に、
試験を行った結果、濾材G2の調製中に、第二鉄イオン
と珪藻土との間に、強固でかつ耐久性の結合が生じかつ
これに伴う再生特性は第二鉄イオンを5重量%という低
さで含有するある種のG2においても見出されることが
示された。飲料水pHでの効果的な使用が第二鉄イオンを
約5重量%含有するある種のG2においても見出され
た。従って、上記した方法に従って濾材G2を調製する
際に第二鉄イオンと珪藻土支持体との間に形成される結
合の性質は、数回再生可能なかつ飲料水pHで有効なヒ素
除去用濾材を得るのに、珪藻土支持体中の第二鉄イオン
の濃度と同様に重要であると考えられる。
【0035】
【実施例】実施例1:ベンチスケールカラム試験(colu
mn test) 各々のカラム試験は、直列に連結された、直径15mm、長
さ150mmの2個のプラスチックカラムからなるフィルター
を使用して行った。25ml(20g)の公称容量の濾材G2を
各々のカラムに装入した;従って、フィルター1基当り
の濾材の量は合計で50mlである。200μg/Lのヒ素を含有
する水道水を各々のカラムに軽量ポンプを使用して5mL
/分の流率で供給した。従って、空床接触時間(empty b
ed contact time)は第1のカラムの通過に要する5分
及び2個のカラム通過に要する10分であった。第1及び
第2のカラムの後方に設けられたサンプル採取地点から
一定の時間間隔を置いてサンプルを採取した。
【0036】これらの試験の結果は図1及び図2に示さ
れている。これらの図から理解されるごとく、出口濃度
(outlet concentration)が25μg/Lを越える以前、500
0の床容積(bed volume)に亘って処理することによ
り、濾材G2により顕著な結果が提供される。濾材G2は
4000の床容積になるまで、依然として、2μg/Lのヒ素
含量を生じる。この性能は活性アルミナの活性に類似し
ており、両者により1200μg/g以上のヒ素吸着能力が提
供される。
【0037】上記したカラム試験からの処理水のサンプ
ルを包括的金属検知(comprehensivemetal scan)と一
般的な化学分析にかけた。典型的な結果は下記の表1及
び2に示されている。これらの表から理解されるごと
く、濾材G2は水質を不良なものに変化させることはな
かった。ヒ素を除去することの他に、濾材G2により80
〜90%の銅と98〜99%の鉛も除去される。これと比較し
て、活性アルミナにより62%の銅と70%の鉛が除去され
る。以下に記載する他の研究により、濾材G2の銅と鉛
を除去する能力を確認した。
【0038】
【0039】
【0040】実施例2:パイロットスケール試験 公称容量18.2リットル(10kg)の濾材G2をパイロット
フィルターに装入し、このフィルターを、pH7の水を1.
82L/分の流率で連続的に供給することにより作動させ
た。このフィルターを使用した場合の結果は図3に示さ
れている。操作1と表示された曲線によって示されるご
とく、約1500の床容積の後に漏出(breakthrough)が発
生した。漏出はフィルター出口でのヒ素濃度が25μg/L
を越える時点と定義される。この試験の結果は実施例1
で記載したベンチスケール試験で得られた結果より不良
であることが理解される。この相違はベンチスケール試
験では5.8であるのに対し、パイロットスケール試験で
は7.0である水のpHによるものと考えられる。
【0041】漏出が生じた後、後に説明するごとく、濾
材G2に少量の2N NaOHを通送することにより濾材を再
生させた。このフィルターを操作ラインに戻した場合、
ヒ素濃度が2μg/L以下の水が直ちに生成された。興味
のあることに、図3の操作2に示されるごとく、再生後
の濾材G2の性能は、同一の7.0のpHの水について行なわ
れた最初の操作における性能より良好である。この性能
の増大は、再生工程で使用された水酸化ナトリウムによ
り、最初の濾材調製工程中に酸化されなかった濾材上の
若干の第二鉄イオンが効果的に酸化されたことによるも
の考えられる。この第2回の試験操作2中に、2800以上
の床容量の水がフィルターを通過したが、出口水の流出
ヒ素濃度は2μg/Lに止まっていた。
【0042】ヒ素についての毎日の(daily)試験の他
に、パイロットフィルターの入口及び出口での水につい
て完全な金属の分析と一般的な化学分析を行なった。そ
の結果は表3及び表4に示されている。これらの表に示
される結果からベンチスケールカラム試験フィルターに
おけると同様、水の品質は濾材G2によっては全く悪影
響を受けないこと及び、それぞれ、94%及び84%の多量
の銅及び鉛が除去されることが認められる。
【0043】
【0044】
【0045】実施例3:商業的装置での試験 濾材G2を含有するフィルターを使用して、米国、ミシ
ガン州、ホーリー(Holly)のローズヒルセンター(Rose
Hill Centre)における商業的装置への供給水からヒ素
を除去した。フィルターの入口及びフィルターの出口で
のヒ素濃度を米国環境保護協会(Environment Protecti
on Agency)(EPA)及びミシガン大学(UM)の所員によっ
て監視した。フィルターサイズは、60ガロン/分の連続
的な水の流率で2年間の期待される操作期間と、1200μ
g/gのヒ素吸着能力に従って決定した。試験結果は設定
した流率で、殆ど、6ヶ月の間に入手することができ
た;その間に、濾材G2は飽和の兆候も、再生の必要性
も示さなかった。この商業的装置での試験結果は図4に
示されている。
【0046】実施例4:pHの影響 6.0〜8.0の範囲のpHの水についてのヒ素吸着能力を測定
するために、濾材G2と活性アルミナを試験した。結果
は下記の表5に示されている。
【0047】
【0048】表5に示す結果から理解される通り、pHが
増大するにつれて両者の濾材の性能が著しく低下する。
しかしながら、濾材G2の性能はpH範囲の全体に亘って
より安定している。濾材G2のヒ素吸着能力は水のpHが
6.0から8.0に増大したとき、34%しか低下しないのに対
し、活性アルミナのヒ素吸着能力は同じpH範囲で58%ま
で低下している。
【0049】実施例5:硫酸塩及び塩化物の影響 200μg/Lのヒ素を含有し、更に、下記の割合の下記の元
素、即ち、(a) 500mg/Lの硫酸塩、(b) 500mg/Lの塩化
物、(c) 250mg/Lの塩化物又は(d) 250mg/Lの硫酸塩を含
有する供給水を使用して、430床容量に相当する3日
間、濾材G2を含有する2個のフィルターを作動させ
た。この期間の終了時における出口ヒ素濃度が表6に示
されている。
【0050】
【0051】500mg/Lの濃度においては、硫酸塩と塩化
物の両者が顕著な影響を示すが、出口ヒ素濃度は、430
床容積に相当する期間後においても、依然として10〜11
μg/Lに過ぎない。250mg/Lの濃度においては、塩化物と
硫酸塩の両者とも、影響を示さなかった。次いで、250m
g/Lでの試験を更に6日間、即ち、全体の床容積が 115
0となる期間継続したが、やはり影響は無かった。
【0052】実施例6:銅の除去 供給水pHを5.6とし、入口銅濃度を3580μg/Lとして、濾
材G2の試験を行った。操作1日後における銅の除去率
は80%であったが、急速に50%以下に低下した。フィル
ター入口でのpHを8.0に増大させ、入口銅濃度を5520μg
/Lとした場合、出口濃度は600床容積の操作期間に亘っ
て、10μg/Lを越えなかった。このことは除去効率が99.
8%であることを示している。この結果は図5に示され
ている。
【0053】実施例7:鉛の除去 供給水pHを5.6とし、入口鉛濃度を100μg/Lとして、鉛
の除去試験を行った。除去効率は、図6に示すごとく、
フィルター出口濃度が3μg/Lを越えないようなもので
あった。除去効率はpH 8.0では明らかに低下し、750床
容量の水を通送した後には50%という低いものであっ
た。
【0054】従って、銅を除去するのに濾材G2を使用
した場合には、フィルター入口での水pHは8.0に調整す
べきであり、鉛を含有する水のpHは5.6に調整すべきで
ある。処理すべき水中に両者の金属が存在する場合の好
ましい方法は、濾材G2上に pH5.6の水を通送して、最
初に鉛を除去しついでpHを飲料水の水準に調整し、つい
で、最初のものと同じ濾材又は最初のものと直列に配置
されている濾材G2の第2の床上に2回目の水を通送し
て銅を除去する工程からなるであろう。
【0055】実施例8:ウランの除去 水からウランを除去するための試験を更に行った。供給
水pHは6.5に調整し、ウランのフィルター入口濃度は120
μg/Lとした。除去試験の結果、出口濃度は4μg/Lを越
えなかった。
【0056】濾材G2の復元 本明細書で使用されている再生可能、再生可能性又は再
生(renewable、renewability又はrestoration)という
用語は、濾材からのヒ素の脱着と洗い流し及び濾材が新
しい状態に到達する水準までの濾材の濾過効率の復元又
は回復を説明するのに使用される。
【0057】濾材G2の再生は、該濾材にNaOHを下方に
向けてゆっくり通送することにより、その場で行うこと
が好ましい。現場での再生はヒ素で飽和された濾材の取
扱いに伴なう安全性の配慮とその手段を回避するため
に、また、自動脱着及び洗浄システムを実施するのによ
り適当であることのために好ましい。0.5N、1.0N及び2.
0N NaOHを使用して、ヒ素で飽和された濾材G2の再生を
行い、各々の場合について、回収されたヒ素の%を測定
した。結果は表7に示されている。
【0058】
【0059】表7に示す結果から、3つのNaOH濃度の全
てが濾材サンプルからのヒ素の脱着に関して、同様に非
常に好ましいことが理解される。
【0060】濾材G2を数回、再生させることについて
試験した。濾材G2の再生を数回行う試験とそのパイロ
ットフィルターにおける使用の結果は表8に示されてい
る。この表においては濾材G2の復元と活性アルミナの
復元が比較されている。
【0061】第1回目と第5回目の再生サイクルの間に
濾材G2の吸着能力が33%だけ減少するが、活性アルミ
ナの性能は極めて著しく減少すること、即ち、54%まで
減少することが認められた。このことは、性能の減少率
が濾材G2については一サイクル当り、10%以下である
のに対し、活性アルミナについては一サイクル当り、18
%であることを意味している。
【0062】
【0063】従って、濾材G2の濾過効率の復元は、NaO
Hを少なくとも0.5Nという低い濃度から、少なくとも2.0
Nという高い濃度で使用することにより達成される。水
酸化ナトリウムの循環と水による洗浄を行うことにより
再生をその場で行い、水酸化ナトリウムを濾材中に下方
に向けてゆっくり通送した場合には、性能が次第に低下
することが認められた。
【0064】濾材G2の工業的な適用 濾材G2は調製が簡単であり、水からヒ素を除去するの
に非常に有効である。同一の条件下での並列試験におい
ては、濾材G2により活性アルミナと同様のヒ素除去能
力が提供される。200μg/Lのヒ素を含有する、全体で50
00床容量の水をフィルターの出口濃度が25μg/Lを越え
るまで処理した。これは濾材1g当り、1200μg以上のヒ
素吸着能力に相当する。10分の空床接触時間について
は、これは、830時間又は35日の連続的操作の後に洗浄
と再生が必要になることを意味する。
【0065】例えば、約10Kgの濾材を含有するフィルタ
ーの洗浄と再生には約2時間を必要するが、これは停止
時間(down time)が僅か0.2%であり、廃液生成容量が
処理した水の容量の約1.0%であることを意味する。
【0066】上記した試験では200μg/Lという非常に高
いヒ素濃度の原料水を使用しているが、北米での供給水
の95%はヒ素を50μg/L以下の濃度で含有していること
が知られている。従って、洗浄と再生とを行う間の操業
時間は、理論的には、かかる水についての操業時間より
4倍長いであろう。
【0067】住宅用の用途においては、濾材G2を収容
した従来公知の濾過カートリッジを水供給系に装着し
て、水流をフィルターを経て落下させることが好まし
い。濾過カートリッジの容積は濾材G2を経ての滞留時
間が少なくとも約10分になるように選択することが好ま
しい。濾材G2の脱着、洗浄及び再生は、例えば、水の
軟化剤の分野における当業者に既知の配管系、ポンプ及
びタイマーを使用して、その場で行うことが好ましい。
【0068】大規模な用途については、濾材G2を当業
者に既知のフィルターベッド又は大きなフィルターリザ
ーバーに装着することが好ましい。同様に、濾材G2の
量及びベッド又はタンクの寸法は濾材G2を経ての滞留
時間が少なくとも約10分になるように選択することが好
ましい。
【0069】本発明の濾材の製造、設置及び用途につい
てのその他の詳細は上記したことから明らかであり、従
って、濾材G2の製造、使用及び再生についての更なる
説明は不要であり、省略する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 活性アルミナを含有するベンチスケール濾過
カラムの入口流及び出口流のヒ素濃度を示す。
【図2】 本発明の濾材を含有するベンチスケールカラ
ムフィルターの入口流及び出口流のヒ素濃度を示す。
【図3】 本発明の濾材を含有するパイロットフィルタ
ーの入口流及び出口流のヒ素濃度を示す。
【図4】 本発明の濾材を含有する市販の濾過装置の入
口流及び出口流のヒ素濃度を示す。
【図5】 本発明の濾材をパイロットフィルター装置中
で使用した場合の、pH8.0の水からの銅の除去を示す。
【図6】 本発明の濾材をパイロットフィルター装置中
で使用した場合の、pH5.6の水からの鉛の除去を示す。
フロントページの続き (72)発明者 エリツク エル.ウインチエスター カナダ国 イー3ビイ 6ワイ5,ニュ ー ブランスウイック,フレッドリクト ン,ストネイブルック クレセント 97 (72)発明者 マイケル ジエイ.マクミラン カナダ国 イー3ビイ 1シイ2 ニュ ー ブランスウイック,ニュー メリー ランド,バークレー ドライブ 183 (72)発明者 ロナルド シイ.ベリー アメリカ合衆国 95616 カリフオルニ ア,デービス,キヤボット ストリート 1135 (56)参考文献 特開 平6−304472(JP,A) 特開 平7−246390(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 20/00 - 20/34 B01D 39/00 - 39/20 C02F 1/28

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼成珪藻土と、該焼成珪藻土に結合した
    5重量%〜30重量%の第二鉄イオンとから本質的にな
    る、溶解ヒ素を水から除去するためのヒ素除去用濾材で
    あって、ヒ素で飽和された後の濾材の再生を、数回、反
    復することのできるものであるヒ素除去用濾材。
  2. 【請求項2】 焼成珪藻土と、該焼成珪藻土に結合した
    5重量%〜30重量%の第二鉄イオンとから本質的になる
    濾材に、溶解ヒ素を含有する水を通送することからな
    る、溶解ヒ素を含有する水の精製方法であって、上記濾
    材によるヒ素の吸着は飲料水のpHで効果的に行われかつ
    ヒ素で飽和された後の濾材の再生を、数回反復すること
    のできることを特徴とする、溶解ヒ素を含有する水の精
    製方法。
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