JP3444638B2 - 制御量制御装置 - Google Patents

制御量制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、位置、速度、力等の制
御量を高精度かつ迅速に制御する装置に関するもので、
ロボット、精密加工機械、精密測定装置、ステッパ−等
の用途に広く利用される。
【0002】
【従来の技術】時代の要請である高性能化に答えるべ
く、メカトロニクス、特に制御の分野に於いては、位
置、速度、力等の制御量を高精度且つ迅速に制御する努
力がなされてきた。従来これらの制御量を制御する装置
としては、駆動系、駆動伝達系、作動部、および駆動系
を制御する制御器からなるセミクローズドループ制御
(ブロック線図を図1の(a)に示す)が一般的に使用
されてきたが、作動部の情報を駆動系にフィードバック
して制御量を制御する機構でないため、作動部の制御量
を再現良く高精度に制御することが困難であった。これ
を改良するため、作動部にセンサーを具備して作動部の
情報を駆動系にフィードバックし制御量を制御するクロ
ーズトループ制御(ブロック線図を図1の(b)に示
す)が取り入れられるようになった。しかしこの制御
は、伝達系および作動部には減速器のアソビ、使用機材
の剛性に基づくブレや歪み等の問題があり、より高精度
に制御するためフィードバックゲインを上げれば上げる
ほど、作動部の振動が大きくなり制御が困難になるとい
う欠点があった。これを改善するため、電気粘性流体の
粘性力を利用した制御手段が提案されてきた。
【0003】電気粘性流体とは電圧印加によりその粘性
が瞬間的に著しく大きく、かつ可逆的に変化する流体で
ある。このような電気粘性流体の粘性変化を制御に利用
すると、従来の摩擦力、圧力、電磁気力等の機械的ある
いは電気・機械的な力を利用した制御に比べて迅速で精
度の高い制御が可能となり、またシンプルでコンパクト
な機構となる。
【0004】特開昭64−78776号公報にはロボッ
トの関節部分に電気粘性流体を使用したダンパを設けて
ダンピング定数を切り替えて振動を迅速に制御する方法
が、特開平4−272529号公報には、支持部材と回
転する可動部材の間隙に介在させた電気粘性流体に電圧
を印加し減衰力を与え可動部材を所定の位置に停止させ
る方法が、特開平4−277335号公報には固定部材
と可動部材の間隙に電気粘性流体を介在させてなる位置
制御用ダンパの電圧印加のタイミングに関する使用方法
が記載されている。しかし、これらの提案はいずれも、
フィ−ドバック制御に電気粘性流体を利用するのではな
く、電気粘性流体の粘性の増大を機械的な抑制力として
(後2者では駆動系を停止した後の)振動を迅速に抑え
るための単なる振動ダンピングに使用するに過ぎない。
【0005】一方、特開平4−158414号公報は、
作動制御系にサ−ボ機構を備えたアクチュエ−タ−にお
いて、作動値(観測値)と目標値の偏差に応じて電気粘
性流体の流動抵抗に基づく減衰力を及ぼし位置や角度を
高精度に制御する方法が記載されている。この方法はク
ロ−ズループ制御(ブロック形図を図2に示す)に類す
るものであり、電気粘性流体を本発明に言う補助製造シ
ステムに用いたものである。。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】電気粘性流体を用いた
これらの制御方法は、電気粘性流体を用いない従来の方
法に比べてある程度の効果は得られるものの、クロ−ズ
ドループ制御をしない特開昭64−78776号公報や
特開平4−272529号公報等の方法では振動減衰を
速めることはできるものの絶対精度や再現精度のよい制
御を行うことは出来ない。またクロ−ズドループ制御を
行う特開平4−158414号公報の方法も制御精度を
上げるためには大きな問題点のあることが分かった。こ
の問題点を位置決め制御にこの方法を用いた場合を例に
以下に説明する。即ち、この方法は、静止させるべき目
標値と作動値(観測値)の偏差(この場合距離または角
度)に応じて電気粘性流体の粘性抵抗に基づく減衰力を
及ぼし、制御対象の位置を制御するものであり、この偏
差に応じた粘性抵抗を電気粘性流体に発現させるため
に、偏差を刻々測定してその偏差に対応する粘性抵抗を
発現するように電気粘性流体に印加する電圧を刻々調整
(明細書の説明では偏差が小さくなるに従って大きな電
圧を印加)することが述べられている。一般に制御対象
を目標位置に静止させる場合、目標値に近づくにつれて
制御対象の移動速度を減少させる必要があることから、
特にミクロン単位の高精度の位置決め制御を行う場合に
は、静止前後での移動速度は極めて小さなものとなる。
上記の方法による位置決め制御は、この微細な偏差を検
出するための極めて高精度の位置センサを必要とし、更
に、この微細な偏差に対応して電気粘性流体に印加する
電圧を調整する制御器を必要とする。しかし現実にはそ
のような高性能の位置センサは極めて高価であり、また
微細な偏差に合わせて刻々印加電圧を調整することは困
難である。
【0007】更に該公報では、電気粘性流体として粒子
分散タイプの流体を使用しているが、このタイプの流体
はビンガム流体的流動挙動を示すことから、剪断速度が
下がるにつれて、見かけ粘度が急激に上昇する特徴があ
る。従ってこのような制御方法では、制御対象が目標位
置に近づきその速度が下がるにつれて見かけ粘度が急激
に上昇し、たとえ一定電圧の印加(上記の偏差に対応し
て印加電圧を調整する方法ではますます粘度が増大)で
も減衰力が静止前に大きくなり過ぎて、いわゆるク−ロ
ン摩擦的な静止をともなうため、精密な位置決めは本質
的に難しい。
【0008】本発明の目的は、電気粘性流体を用いた新
しい制御安定化システムを備えたクロ−ズドフィ−ドバ
ック制御により、位置、力、速度等の制御量を高精度か
つ迅速に制御する装置を提供することにある。
【0009】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、上記の精
密位置決めの制御で、制御対象が静止あるいは微調整で
始動する前後で必要な減衰力は、目標値と観測値の偏差
に対応した力ではなく、制御対象の速度に比例した力で
あり、このような減衰力を発現する電気粘性流体を制御
に応用すれば、前記の課題を解決しうると考えた。そし
て、ある種の液晶性高分子が電圧印加時に剪断速度に比
例した剪断応力を発現する、いわゆるニュートン流体的
流動挙動を示す電気粘性流体となりうること、及びその
合成方法を見いだした。この電気粘性流体を用い、位
置、速度、力、速度等の制御量を制御する方法、装置に
ついて検討を重ねた結果、極めて良好な制御装置を実現
することが可能となり、本発明に到達することができ
た。
【0010】即ち、本発明は、駆動系、伝達系および作
動部からなる制御対象、制御器、作動部または伝達系に
具備されたセンサ、および制御安定化システムから構成
され、センサからの情報を制御器にフィ−ドバックして
制御量を制御する装置において、前記制御安定化システ
ムに電圧印加時にニュ−トン流動を示す電気粘性流体が
使用されており、制御器からの信号により、電気粘性流
体に所定の一定電圧を印加して制御対象を安定化するこ
とを特徴とする制御量制御装置である。本発明の装置の
代表例についてそのブロック線図を図3に示す。
【0011】本発明に言う駆動系とは、電磁力、空気
圧、油圧等のエネルギで回転あるいは直進運動を行い作
動部を駆動するモ−タ、ソレノイド、シリンダ等のシス
テムであり、本発明では、このもの自体がエンコ−ダや
リニアスケ−ル、タコジェネレ−タ、サ−ボバルブ等の
センサ機能を具備するものが好ましい。また伝達系と
は、駆動系のエネルギを作動部に伝達するシャフト、ロ
ッド、ア−ム、リニアガイド、減速器、クラッチ、ギ
ア、トルクコンバ−タ、トランスミッション、ジョイン
ト、フランジ、ベルト、ワイヤ、ボ−ルネジ、軸受け等
のいずれかの組み合わせからなるシステムである。
【0012】また作動部とは、本発明の装置での制御さ
れた位置、力、速度等の制御量が装置外部の物体に対し
て作用する部分であり、ロボットに於いては関節やア−
ムの先端や指、またその指に把持された物体部分を指
し、ステッパ−に於いては露光装置部分等を指す。本発
明に言う制御器とは、ハ−ド部分とコンピュ−タソフト
部分から構成され、伝達系または作動部に具備されたセ
ンサからの制御量の情報に基づき、制御安定化システム
の作動を制御するものをいう。具体的には電気粘性流体
に電圧を印加あるいは解除するタイミングや印加する電
圧の強さ(これらは制御器のコンピュ−タに予め記憶さ
せたデ−タに基づく)を設定するとともに、電圧の印加
や解除を行う。急激な電圧の印加や解除よる衝撃を避け
るためこれらは段階的に行ってもよい。また本制御器は
制御安定化システムの制御と同時に駆動系の制御も行う
ものである。
【0013】伝達系または作動部に具備されたセンサと
は、位置、力、速度等の制御量を検出し制御器にその情
報をフィ−ドバックするもので、光波長、歪、抵抗、圧
力、ネジレ、等の物理量の変化を観測し、距離、速度、
圧力、張力等を検出する。本発明に言う制御安定化シス
テムとは、伝達系あるいは作動部の移動や振動に対し
て、流動抵抗によるダンピング効果を及ぼし、制御量を
迅速かつ高精度に制御するためのシステムである。この
システムでは、伝達系あるいは作動部に連結してこれと
ともに回転、直進あるいは往復運動する可動部と、ほぼ
一定の間隙を介して可動部と隔離された固定部(場合に
よっては可動部と独立に運動させることもできる)から
なり、これら可動部と固定部の対向面にはそれぞれ電極
が形成され、間隙には電気粘性流体が封入されている。
この電気粘性流体に電圧を印加することにより可動部に
かかる粘性抵抗が増大し、可動部の動きが重たくなる。
これが駆動系および制御対象を安定化させ、よりゲイン
の高い制御器の使用を可能とする。本安定化システムは
制御器からの信号により(例えば制御量が所定の範囲に
達した際)に始動する。始動させる方法には、制御量が
所定の範囲に達するのに必要な時間を実験で予め求め、
この時間をもって始動させる方法等がある。制御安定化
システムの作動は、クロ−ズドル−プ制御の下で行われ
る。
【0014】また、本発明で言う制御量とは、位置(ま
たは角度)、速度(または角速度)、力(またはトル
ク)等である。本発明に言うニュ−トン流動を示す電気
粘性流体とは、電圧印加時に剪断速度に比例した剪断応
力を示す流体であり、電圧を印加した際の粘度が下式を
満足する流体である。
【0015】τ=η(D−D0n +C 式(1) ここで、τは剪断応力[Pa]、ηは見かけの粘性率
[Pa・sec]、Dは剪断速度[sec-1]、D0
遅延値[sec-1]、nは係数[正の実数]、また、C
は降伏応力[Pa]であり、好ましい範囲は、nは0.
8≦n≦1.5、より好ましくは、0.9≦n≦1.
2、Cは0≦C≦300、より好ましくは、0≦C≦1
00(3kv/mmの電圧を印加時の値)、D0 は0≦
0 ≦50である。見かけの粘性率ηはできるだけ大き
いことが望ましいが、小さくても電圧解除時の値(η
off)との比であるη/ηoff、が大きければ大きいほど
本発明にはより有効に用いることができる。降伏応力C
は従来の粒子分散系電気粘性流体、例えば、含水シリカ
粒子分散系では300〜1000、含水イオン交換樹脂
粒子分散系では1000〜5000であるのに対して、
本発明に使用されるニュ−トン流動を示す電気粘性流体
は300以下のものであり、零に近いもの程好ましい。
遅延値D0 は印加電圧が低いとやや大きくなる傾向があ
るが、低い方が好ましい。また、式(1)で剪断速度D
がD0より低い領域においてはD−D0 は零と見なす。
【0016】なお、位置決め制御を行う場合は、本発明
は静止に近づいた際の機械的抑制力を対象とするもので
あり、上記の式(1)は、剪断速度が0〜50[sec
-1]の領域で成立させるとよい。このような粘性挙動を
示す代表的な電気粘性流体として、例えばある種の化合
物からなるサ−モトロピック液晶が挙げられる。前記化
合物の例には、複数個の液晶性基をシリコ−ン等の屈曲
性分子鎖に結合した液晶性化合物が挙げられ、これらに
ついては特願平3−220064号公報に具体的に記載
されている。
【0017】複数個の液晶性基をシリコ−ン等の屈曲性
分子鎖に結合した液晶性化合物は、粒子を分散させたも
のでないことから、粒子沈降や粒子摩耗の問題もない均
一系の電気粘性流体であり特に好ましい。なお、これま
でに均一系の電気粘性流体としてニトロベンゼンなどの
極性液体(Japan.J.Appl.Phys.16
1775(1977))、コレステリック液晶混合物
(Communications 3865(196
5))やメトキシベンジリデンブチルアニリン(MBB
A)などの低分子液晶(Japan.J.Appl.P
hys.171525(1978)および、GB220
8515A)、強誘電性ポリマー溶液(第39回高分子
討論会予稿集,18U07、1990)等が報告されて
いるが、これらの電気粘性流体も使用することができ
る。
【0018】一般に 移動する物体に外力を加えて静止
させる際、静止に必要な力は物体の速度に比例する。こ
の速度に比例した力(減衰力)で制御対象を制御するこ
とによってスム−ズかつ安定に制御値を目標値に制御す
ることができる。本発明で用いられる電気粘性流体は、
ニュ−トン流動すなわち剪断応力が剪断速度に比例する
と言う特徴を持つことから、制御対象を所定の位置に静
止させるに必要な減衰力は、予め求められた印加電圧と
流体の粘性の関係を基に割り出された一定値の電圧を印
加するだけで、速度が刻々変化しても印加電圧をそれに
合わせて調整することなく、速度に比例した減衰力を自
動的に得ることができる。そのため本発明の制御装置は
高精度の位置決め制御に極めて好都合であるばかりか、
力(力の検出は基本的には位置あるいは位置の変化量で
ある)の制御にも好都合なものと言える。 更に、本発
明の制御装置は、速度、特に速度の安定化にも応用する
ことができる。例えば、回転体の回転速度を一定のプロ
グラムに従って高速域に上げていく際、ある回転速度で
共振現象を発生させるが、本発明の制御安定化システム
を働かせることによって、この共振を効果的に抑えるこ
とが可能になる。また、一般には極めて低い速度、例え
ば10mm/分を精度よく制御することは難しいが、本
発明の制御では可能である。
【0019】更にニュ−トン流体の特性から、例えば、
ある設定の速度(加速度)で運動している場合、速度が
設定値よりも速くなるとその分大きな抑制力が働き、ま
た、遅くなるとその分抑制力が小さくなり、速度(加速
度)を設定値に保持する、いわゆる自己調整機能、を発
現し速度制御にも好ましく使用できる。制御系の設計に
際し、数学モデルの誤差、不確かさを許容し、制御対象
の特性変動もある程度吸収して、性能が劣化しないロバ
ストな安定性が重要となる。ロバスト安定性やロバスト
制御性能を考慮した制御理論として、近年開発されたロ
バスト制御理論を本発明のニュ−トン流動を示す電気粘
性流体を用いた制御装置に組み合わせて用いることによ
り、制御の迅速性や精度の向上に極めて大きな相乗効果
が発現することを見出した。ロバスト制御理論と電気粘
性流体の組み合わせの考え方について以下に説明する。
【0020】制御を行うために得られた数学モデルを伝
達関数Po(s)で表すことにする。しかし、この数学
モデルと実際の制御対象の伝達関数P(s)との間に
は、必ずモデル誤差Δ(s)が存在する。即ち、 P(s)=Po(s)+Δ(s) 式(2) このモデル誤差Δが、次のように周波数重み関数W(j
ω)で抑えられるものとする。
【0021】 |Δ(jω)|<|W(jω)| 式(3) このとき、次に示す関係
【0022】
【数1】
【0023】を満足する補償器Cが得られれば、この系
はロバスト安定となる。即ち、式(3)を満たす範囲内
でモデルが変動しても閉ル−プ系の安定性は保証され
る。また、式(4)は不確かさの度合いの高い(Wのゲ
イン特性の大きい)周波数帯域では、制御器のゲイン特
性を小さくする必要があることを意味している。一般
に、機械システムでは各部に存在する弾性等のために、
周波数応答におけるゲイン特性にピ−クを有する場合が
多く、この共振ピ−クのためにその制御が非常に難しく
なってくる。ニュ−トン流動を示す電気粘性流体は、そ
の粘性特性によってこのピ−クを低く抑えることが可能
となる。これにより、モデル誤差Δを式(3)のように
抑え込むWのゲイン特性が小さくできる。結果として、
制御器のゲイン特性を十分に上げることができ、閉ル−
プ系の応答性能を高めることができる。なお本発明に言
うロバスト制御理論とは式(2)、(3)および(4)
を基本とする制御理論であり、この理論に基ずく応用も
本発明に含まれる。
【0024】なお、ロバスト制御理論の詳細について
は、Peter Dorato, ”Robust c
ontrol”IEEE Press(1987)に記
載されている。
【0025】
【実施例】本発明を具体的に説明するために、以下に実
施例を挙げて図面を参考にしながら述べる。
【0026】
【実施例1】図4は電気粘性流体を用いた速度および位
置決め制御機構(ロボットア−ムの関節部を始めとする
多くのメカトロニクス機器に適応が可能)を具備した装
置をモデル的に示す。ロボットア−ム4は減速器2の出
力側シャフト3に取り付け固定され、サ−ボモ−タ−1
によって駆動され円運動をする。シャフト3には更に上
端部に下部フランジ6と上部フランジ9の一対のフラン
ジからなる電気粘性流体を用いた制御機構が取り付けら
れている。シャフト3に取り付け固定された下部フラン
ジ6の上面には幅広いリング状の平らな溝が彫られてお
り、溝にはリング状の電極板5(絶縁材でフランジ6と
は電気的に絶縁されている)が取り付けられ(固定)て
いる。一方、ベアリング10を介してシャフト3に取り
付けられたフランジ9の下面にもリング状の電極板8
(絶縁材でフランジ9とは電気的に絶縁されている)が
取り付けられている。これら一対の電極板の平行でかつ
一定の間隙(1.0mm)には、電気粘性流体7が封入
され、電源14により電圧が印加されるようになってい
る。上部フランジ9は剛体フレ−ム11に固定されてい
る。
【0027】ラフな精度でのロボットアーム4の駆動制
御においては、サーボモーター1に取り付けられた制御
機構で制御され、電気粘性流体には電圧は印加されな
い。精度良く速度及び位置決めを制御する場合や、低速
で且つ高精度にロボットアーム4を制御する場合には、
位置(又は角度)センサー12からモーター1にフィー
ドバックされる信号に基づき電気粘性流体に電圧が印加
されて制御される。
【0028】図5はこの装置の制御系のブロック線図を
示す。Xは精密な位置決めを行いたい量、F(X’,Vi
n)は剪断速度X’と印加電圧Vinの関係から決まる推
進力を表す関数である。本発明に用いられるニュ−トン
流体的粘性挙動を示す電気粘性流体では関数Fが剪断速
度X’に対してほぼ線形であることから、制御系が安定
化し易く、高精度の位置決め制御が可能となる。なお、
印加電圧Vinは精密位置決めを行なう間際に印加され
る。
【0029】図6は電気粘性流体に、本発明のニュ−ト
ン流体的流動挙動をする側鎖型液晶性シリコ−ン化合物
を用いた場合(a)と、従来のビンガム流体的流動挙動
をする粒子分散系のものを用いた場合(b)の、ロボッ
トア−ムの目標停止位置の近傍に到達した後の静止状況
を比較したものである。評価はモ−タ−1でロボットア
−ム4を一定の速度で駆動し、所定の位置に静止させる
ようサ−ボモ−タ−の制御条件を設定し、静止予定約
0.3秒前に電気粘性流体に所定の電圧を印加して行っ
た。(b)では本来は停止過程の位置を検出しつつ、そ
の信号を制御装置にフィ−ドバックし速度情報に変換し
た後これに対応した電圧を刻々計算して電気粘性流体に
フィ−ドバックしなければならないが、本評価は
(a)、(b)ともにそれぞれ所定の一定電圧を印加し
て行った。
【0030】なお、使用した電気粘性流体は以下の組成
のものであり、(a)は60℃で、(b)は30℃で評
価を行なった。 側鎖型液晶性シリコ−ン:化学式1に示す構造の化合物
をジメチルシリコ−ン(100cst)50重量部で希
釈したもの
【0031】
【化1】
【0032】粒子分散系電気粘性流体:球状シリカ粒子
(粒径:約5μm、含水率:7wt%)30重量部をジ
メチルシリコ−ン(20cst)に分散させたもの
【0033】
【実施例2】図7は電気粘性流体を用いた速度および位
置決め制御機構を具備したエア−サ−ボシリンダ−のモ
デル図を示す。空気圧で駆動するサ−ボシリンダ−部分
と電気粘性流体を用いたダンパ−部分が一つのシャフト
1で連結した構造をなしている。シリンダ−部分には空
気の供給口2と排出口3にそれぞれサ−ボバルブ(図面
には記載されず)が取り付けられ、ピストン4の左右の
空気圧の差によりシャフト1の駆動が制御されている。
ダンパ−部分は二重円筒構造になっており内側円筒の外
面全体にはシリンダ−本体やシャフト1とは電気的に絶
縁された電極5が形成されている。また、内側円筒の両
端部には多くの穴6が空けられており、ピストン7の左
右の電気粘性流体8が二重円筒の間隙を通して移動でき
る構造になっている。ア−スされた外側円筒(金属製)
の内面はア−ス側の電極となり、電極5との間隙(2m
m)に存在する電気粘性流体に所定の電圧が電源9から
印加できるようになっている。シャフト1の動きは位置
センサ−10によって計測され、その信号が制御装置
(図面には記載されず)に送られている。
【0034】図8はシャフトを10mm/分の一定の速
度で動かした際のシャフトの動きの状態を示すものであ
る。(a)は本発明のニュ−トン流体的流動挙動を示す
側鎖型液晶性シリコ−ン化合物を電気粘性流体に用いた
場合を、(b)は従来のビンガム流体的流動挙動を示す
粒子分散系の電気粘性流体を用いた場合を、(c)は電
気粘性流体を全く用いない場合を、示す。電気粘性流体
へは常時、一定電圧を印加する方法を電圧値を変えて繰
り返し行い、それらの結果の最も良い例を示すものであ
る。なお、電気粘性流体は実施例1と同じものを用い
た。また、一定の速度(1m/秒)で駆動させたシャフ
トを、所定の位置に静止させるようにサ−ボバルブの制
御条件を設定し、静止予定約0.5秒前に電気粘性流体
に所定の電圧を印加し、目標静止位置到達後の静止状況
を調べたところ、実施例1と同様に(a)は極めて0.
5秒内に目標位置に約10μmの誤差伴って停止した
が、(b)は約2秒かかり約60μmの、また(c)は
3秒でも安定せず130μmの誤差を伴って停止した。
【0035】
【実施例3】ダイレクトドライブモ−タ−を用いた駆動
系(リニアタイプのものも含む)の位置決め制御に、電
気粘性流体を使用した図9のブロック線図に示す制御方
式を適応した装置で高精度の制御を迅速に行うことがで
きる。制御量Xが外乱等により目標値Xrから外れかけ
た時、モ−タ−の強力な力(トルク)で元の目標値Xr
に復元させる制御方式(高剛性制御と呼ばれる)を行う
には、モ−タ−の角速度X’を高ゲインでフィ−ドバッ
クし、次に角度Xを高ゲインでフィ−ドバックする必要
がある。従来のモ−タ−制御では、コストあるいは技術
的困難さから、角速度X’を直接測定せず、角度Xから
X’を近似的に得ることが多い。このような方法では低
回転速度時には質の高い角速度情報を得ることが困難で
あるため、高ゲインのフィ−ドバックが難しい。その結
果、角度Xの高ゲインフィ−ドバックの困難となり、高
剛性制御の実現が阻まれている。本実施例では、速度フ
ィ−ドバックの一部を電気粘性流体を用いて代替するこ
とにより、角度Xを高ゲインでフィ−ドバックすること
が可能となる。剪断応力が剪断速度にほぼ比例する電気
粘性流体を使用しているため印加電圧Vinの制御も容易
に行うことができる。
【0036】産業機械(ロボットや工作機械を含む)の
高速化のためには、モ−タ−の減速比をできるだけ下げ
ることが望ましく、その極限がダイレクトドライブモ−
タ−である。低減速比のシステムではサ−ボ剛性を上げ
ることが一つの課題であり、本実施例はこれを解決する
上で極めて有効である。
【0037】
【実施例4】実施例1のニュ−トン流動を示す電気粘性
流体を用いた実験に、ロバスト制御理論を組み合わせて
その制御性を検討した。ロバスト安定性を高めるための
実験条件、周波数重み関数W、補償器C等、の設定につ
いては、第11回日本ロボット学会講演会予稿集、N
o.11、2B22(1993)に記載されている。図
10にア−ムの停止過程の挙動を示す。(a)はロバス
ト制御理論を組み合わせた実施例の結果を、(b)は電
気粘性流体を用いずロバスト制御理論だけを適応して行
った比較例の結果を示す。これより(a)は(b)に比
べて遥かに短時間に目標位置に停止させ得ることが理解
できる。
【0038】
【発明の効果】本発明の装置は、一定電圧を印加するだ
けで速度に比例する減衰力を自然に及ぼすニュ−トン流
動を示す電気粘性流体を制御安定化システムに用いて制
御対象を安定化し、位置、速度、力等の制御量を制御す
ることができる。従って従来には達成が困難であった制
御を高精度かつ迅速に行なうことが可能となり、ロボッ
ト、精密加工機械、精密測定装置、ステッパ−等に広く
利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の装置制御系のブロック線図
【図2】従来の別の制御系のブロック線図
【図3】本発明の制御系の一例のブロック線図
【図4】実施例1のロボットア−ムの駆動装置のモデル
【図5】図4の装置の制御系のブロック線図
【図6】ア−ムの停止過程の挙動を示すグラフ
【図7】実施例2のサ−ボシリンダ−のモデル図
【図8】一定の低速度実験でシャフトを動かした際のシ
ャフトの動き状態図
【図9】ダイレクトドライブ系に適応した際の制御ブロ
ック線図
【図10】実施例4に於けるロバスト制御理論を組み合
わせた制御によるア−ムの停止過程の挙動を示すグラフ
【符号の説明】
1 サ−ボモ−タ− 2 減速器 3 シャフ 4 ロボットアーム 5 電極板 6 下部フランジ 7 電気粘性流体 8 電極 9 上部フランジ 10 ベアリング 11 剛体フレーム 12 位置(角度)センサー 13 電源 14 穴 15 供給口 16 排気口 17 ピストン 18 内側円筒電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−158414(JP,A) 特開 平4−194328(JP,A) 特開 平4−191511(JP,A) 特開 平2−300525(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G05D 3/00 - 3/20

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動系、伝達系および作動部からなる制
    御対象、制御器、作動部または伝達系に具備されたセン
    サ、および制御安定化システムから構成され、センサか
    らの情報を制御器にフィ−ドバックして制御量を制御す
    る装置において、前記制御安定化システムに電圧印加時
    にニュ−トン流動を示す電気粘性流体が使用されてお
    り、制御器からの信号により、電気粘性流体に所定の一
    定電圧を印加して制御対象を安定化することを特徴とす
    る制御量制御装置。
  2. 【請求項2】 制御量が位置である請求項1の制御量制
    御装置。
  3. 【請求項3】 制御量が力である請求項1の制御量制御
    装置。
  4. 【請求項4】 制御量が速度である請求項1の制御量制
    御装置。
  5. 【請求項5】 ニュ−トン流動を示す電気粘性流体が液
    晶性物質である請求項1の制御量制御装置。
  6. 【請求項6】 ロバスト制御理論を組み入れて制御量を
    制御する請求項1の制御量制御装置。
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