JP3456557B2 - 光学材料及びその製造方法 - Google Patents
光学材料及びその製造方法Info
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- JP3456557B2 JP3456557B2 JP13474395A JP13474395A JP3456557B2 JP 3456557 B2 JP3456557 B2 JP 3456557B2 JP 13474395 A JP13474395 A JP 13474395A JP 13474395 A JP13474395 A JP 13474395A JP 3456557 B2 JP3456557 B2 JP 3456557B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学材料とその製造方法
に係わり、特に発振波長の設計が可能な狭帯域レーザー
材料、狭帯域フィルター材料並びに、少ない製造工程で
任意の表示パターンの形成ができると共に表示パターン
の消去書き換えが可能な表示光学材料とこれら光学材料
の製造方法に関する。
に係わり、特に発振波長の設計が可能な狭帯域レーザー
材料、狭帯域フィルター材料並びに、少ない製造工程で
任意の表示パターンの形成ができると共に表示パターン
の消去書き換えが可能な表示光学材料とこれら光学材料
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】希土類元素あるいは遷移金属元素を活性
剤として含有する光学材料は、蛍光体材料、固体レーザ
ー材料、あるいは波長校正用光学フィルター材料として
従来より広く用いられている。これら、光学材料の光学
的特性は、活性剤イオンが持つ固有の電子準位間での遷
移、すなわち、希土類元素を活性剤として用いた場合に
は、希土類イオンの4f電子準位と5d電子準位間での
遷移(以後f−d遷移と記載)、あるいは4f電子準位
間での遷移(以後f−f遷移と記載)を利用し、遷移金
属元素を活性剤として用いた場合には、遷移金属元素イ
オンの3d電子準位間での遷移(以後d−d遷移と記
載)を利用している。
剤として含有する光学材料は、蛍光体材料、固体レーザ
ー材料、あるいは波長校正用光学フィルター材料として
従来より広く用いられている。これら、光学材料の光学
的特性は、活性剤イオンが持つ固有の電子準位間での遷
移、すなわち、希土類元素を活性剤として用いた場合に
は、希土類イオンの4f電子準位と5d電子準位間での
遷移(以後f−d遷移と記載)、あるいは4f電子準位
間での遷移(以後f−f遷移と記載)を利用し、遷移金
属元素を活性剤として用いた場合には、遷移金属元素イ
オンの3d電子準位間での遷移(以後d−d遷移と記
載)を利用している。
【0003】これらの遷移のうち、f−d遷移とd−d
遷移は母体材料に応じて波長が大きく変化し、ブロード
な吸収、発光特性を示すのに対し、f−f遷移は母体材
料による波長変動は小さく、複数本の線状の吸収、発光
特性を示すという特徴がある。したがって、波長可変レ
ーザーなど広帯域の発光特性が必要な光学材料として
は、f−d遷移とd−d遷移が用いられ、波長校正用フ
ィルターなど鋭い吸収線が必要とされる材料ではf−f
遷移を利用している。
遷移は母体材料に応じて波長が大きく変化し、ブロード
な吸収、発光特性を示すのに対し、f−f遷移は母体材
料による波長変動は小さく、複数本の線状の吸収、発光
特性を示すという特徴がある。したがって、波長可変レ
ーザーなど広帯域の発光特性が必要な光学材料として
は、f−d遷移とd−d遷移が用いられ、波長校正用フ
ィルターなど鋭い吸収線が必要とされる材料ではf−f
遷移を利用している。
【0004】d−d遷移を利用した光学材料としては、
チタンTiを添加したチタンサファイヤレーザー、Cr
を添加したCr:YAGレーザーなどの波長可変レーザ
ーがあり、特に後者は、光通信波長帯である1.3μm
〜1.5μmにかけての波長域で発振するレーザーとし
て有用である。また、f−f遷移を利用した光学材料と
しては、Hoを添加したホルミウムガラスフィルターな
どが分光器等の波長校正用フィルターとして広く用いら
れている。
チタンTiを添加したチタンサファイヤレーザー、Cr
を添加したCr:YAGレーザーなどの波長可変レーザ
ーがあり、特に後者は、光通信波長帯である1.3μm
〜1.5μmにかけての波長域で発振するレーザーとし
て有用である。また、f−f遷移を利用した光学材料と
しては、Hoを添加したホルミウムガラスフィルターな
どが分光器等の波長校正用フィルターとして広く用いら
れている。
【0005】前述したように、活性剤として添加された
希土類元素、遷移金属元素が示す光吸収特性、発光特性
は元素の種類、イオンの価数、加えて母体材料の種類に
応じて変化するが、これら3者が決まれば光吸収特性、
発光特性は一意的に決まるという特徴がある。このた
め、カラーブラウン管など青、緑、赤色と発光色が異な
る蛍光体が必要な場合には、それぞれ青色、緑色、赤色
に発光する3種類の蛍光体を空間的に分離して用いられ
ている。
希土類元素、遷移金属元素が示す光吸収特性、発光特性
は元素の種類、イオンの価数、加えて母体材料の種類に
応じて変化するが、これら3者が決まれば光吸収特性、
発光特性は一意的に決まるという特徴がある。このた
め、カラーブラウン管など青、緑、赤色と発光色が異な
る蛍光体が必要な場合には、それぞれ青色、緑色、赤色
に発光する3種類の蛍光体を空間的に分離して用いられ
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の広帯域レーザー
を用いてその発振波長帯域から必要な発振波長を選択し
発振させようとした場合、波長選択素子を共振器内に組
み込み発振させなければならないため、共振器構成が複
雑になるという欠点があると共に、周囲温度の変化によ
って共振器として用いた光学素子の位置変動が生じ発振
波長の変動が生じやすいという欠点があった。
を用いてその発振波長帯域から必要な発振波長を選択し
発振させようとした場合、波長選択素子を共振器内に組
み込み発振させなければならないため、共振器構成が複
雑になるという欠点があると共に、周囲温度の変化によ
って共振器として用いた光学素子の位置変動が生じ発振
波長の変動が生じやすいという欠点があった。
【0007】また、波長校正用フィルターにおいては、
希土類の固有の遷移による吸収線の波長が離散的なもの
であるために、吸収線の波長を任意に選択できないとい
う欠点があった。
希土類の固有の遷移による吸収線の波長が離散的なもの
であるために、吸収線の波長を任意に選択できないとい
う欠点があった。
【0008】また、カラーブラウン管などの表示素子に
おいては、異なる蛍光体を空間的に分離して配置するた
めに、蛍光体塗布工程とエッチング工程とを繰り返し行
う必要があり工程が多くなるという欠点を有すると共
に、エッチングにより空間的分離を行うために、蛍光体
配置の空間的分離能、すなわち解像度に限界があり高々
数μmほどの分離能しか得られないという欠点があっ
た。さらにこのようにして形成された蛍光体の配列パタ
ーンは固定的なものであり、表示素子製造後に配列パタ
ーンを変更することはできないという欠点も有してい
た。
おいては、異なる蛍光体を空間的に分離して配置するた
めに、蛍光体塗布工程とエッチング工程とを繰り返し行
う必要があり工程が多くなるという欠点を有すると共
に、エッチングにより空間的分離を行うために、蛍光体
配置の空間的分離能、すなわち解像度に限界があり高々
数μmほどの分離能しか得られないという欠点があっ
た。さらにこのようにして形成された蛍光体の配列パタ
ーンは固定的なものであり、表示素子製造後に配列パタ
ーンを変更することはできないという欠点も有してい
た。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の欠点に鑑
みなされたものであり、光学材料の合成工程、あるいは
合成後の熱処理工程の少なくとも一つの工程において、
活性剤イオンの光吸収波長帯域内の波長の光、あるいは
活性剤イオンの光吸収波長帯域の波長を含む光を照射
し、且つ、照射光の強度あるいは、照射時間を空間的に
変調して照射することにより、活性剤元素の価数状態が
空間的に変調された周期構造を有する光学材料とするこ
とにより上記課題を解決することができる。
みなされたものであり、光学材料の合成工程、あるいは
合成後の熱処理工程の少なくとも一つの工程において、
活性剤イオンの光吸収波長帯域内の波長の光、あるいは
活性剤イオンの光吸収波長帯域の波長を含む光を照射
し、且つ、照射光の強度あるいは、照射時間を空間的に
変調して照射することにより、活性剤元素の価数状態が
空間的に変調された周期構造を有する光学材料とするこ
とにより上記課題を解決することができる。
【0010】
【作用】本発明は、光学材料の合成工程、あるいは合成
後の熱処理工程の少なくとも一つの工程において、活性
剤イオンの光吸収波長帯域内の波長の光、あるいは活性
剤イオンの光吸収波長帯域の波長を含む光を照射する
と、活性剤の価数状態が変化する作用を利用するもので
ある。
後の熱処理工程の少なくとも一つの工程において、活性
剤イオンの光吸収波長帯域内の波長の光、あるいは活性
剤イオンの光吸収波長帯域の波長を含む光を照射する
と、活性剤の価数状態が変化する作用を利用するもので
ある。
【0011】作用をわかりやすく説明するために、Cr
添加YAG単結晶を例にとり説明を進める。通常Cr添
加YAG単結晶において、Crは3価イオンの状態で含
有されているが、熱処理工程で3価Crの光吸収波長に
相当する光を照射して熱処理を行うと、Crの価数状態
が3価から4価へと変化する。価数変化して生成される
4価Cr濃度は照射された光の強度と照射時間との積で
ある照射光エネルギーの総量に比例する。このため、照
射時間が一定であるならば、光強度に、光強度が一定で
あるならば照射時間に比例して4価Crの濃度が変化す
る。
添加YAG単結晶を例にとり説明を進める。通常Cr添
加YAG単結晶において、Crは3価イオンの状態で含
有されているが、熱処理工程で3価Crの光吸収波長に
相当する光を照射して熱処理を行うと、Crの価数状態
が3価から4価へと変化する。価数変化して生成される
4価Cr濃度は照射された光の強度と照射時間との積で
ある照射光エネルギーの総量に比例する。このため、照
射時間が一定であるならば、光強度に、光強度が一定で
あるならば照射時間に比例して4価Crの濃度が変化す
る。
【0012】したがって、照射光の強度を空間的に変調
して光照射を行った場合には、強度の強い光が照射され
た部分では4価Cr濃度が高く、強度の弱い光が照射さ
れた部分では4価Cr濃度が低くなるため、Crの価数
状態が空間的に変調された、すなわち3価Crと4価C
rの存在比率が部分的に異なるYAG単結晶が得られ
る。また、照射時間を変調した場合にも同様に、照射時
間の長い部分では4価Cr濃度が高く、照射時間の短い
部分では4価Cr濃度が低くなるため強度変調を行った
場合と同様に、Crの価数状態が空間的に変調されたY
AG単結晶が得られる。
して光照射を行った場合には、強度の強い光が照射され
た部分では4価Cr濃度が高く、強度の弱い光が照射さ
れた部分では4価Cr濃度が低くなるため、Crの価数
状態が空間的に変調された、すなわち3価Crと4価C
rの存在比率が部分的に異なるYAG単結晶が得られ
る。また、照射時間を変調した場合にも同様に、照射時
間の長い部分では4価Cr濃度が高く、照射時間の短い
部分では4価Cr濃度が低くなるため強度変調を行った
場合と同様に、Crの価数状態が空間的に変調されたY
AG単結晶が得られる。
【0013】
【実施例1】活性剤としてCrを含有したイットリウム
アルミニウムガーネット(YAG)(以後Cr:YAG
と記載)の単結晶において、3価Crの光吸収波長帯域
内にある光を照射して熱処理を行うことによりCrの価
数状態が空間的に変調されたYAGを製造した例につい
て述べる。
アルミニウムガーネット(YAG)(以後Cr:YAG
と記載)の単結晶において、3価Crの光吸収波長帯域
内にある光を照射して熱処理を行うことによりCrの価
数状態が空間的に変調されたYAGを製造した例につい
て述べる。
【0014】本実施例では、Crを6×1017個/cm
3添加したYAG単結晶を用い、照射光として波長51
4nmのArイオンレーザーを用いた。波長514nm
は、YAG中の3価Crの光吸収帯域内の波長である。
3添加したYAG単結晶を用い、照射光として波長51
4nmのArイオンレーザーを用いた。波長514nm
は、YAG中の3価Crの光吸収帯域内の波長である。
【0015】図1は本実施例で用いた装置の構成を示す
図である。Arイオンレーザー11からの光はビームエ
キスパンダー12によりビーム径が広げられ、ハーフミ
ラー13により光路が2分され一方は直進し、加熱機構
16上に設置されたCr:YAG(光学材料試料)15
に直接照射される。他方は、全反射ミラー14により反
射された後、Cr:YAG15に照射される。この2つ
のビームの干渉により空間的且つ周期的に強度が変調さ
れた干渉縞が生じるため、Cr:YAG15のうち、光
ビームの干渉領域内に設置された部分には空間的且つ周
期的に強度が変調された光が照射される。Cr:YAG
にレーザーを照射する際に、Cr:YAG全体にレーザ
ービームを照射するのではなく、Cr:YAGの長手方
向の両端面に当たらないようにして部分的に照射した。
これはCr:YAG内部に侵入した光が端面で反射して
不必要な干渉を起こすことを防ぐためである。
図である。Arイオンレーザー11からの光はビームエ
キスパンダー12によりビーム径が広げられ、ハーフミ
ラー13により光路が2分され一方は直進し、加熱機構
16上に設置されたCr:YAG(光学材料試料)15
に直接照射される。他方は、全反射ミラー14により反
射された後、Cr:YAG15に照射される。この2つ
のビームの干渉により空間的且つ周期的に強度が変調さ
れた干渉縞が生じるため、Cr:YAG15のうち、光
ビームの干渉領域内に設置された部分には空間的且つ周
期的に強度が変調された光が照射される。Cr:YAG
にレーザーを照射する際に、Cr:YAG全体にレーザ
ービームを照射するのではなく、Cr:YAGの長手方
向の両端面に当たらないようにして部分的に照射した。
これはCr:YAG内部に侵入した光が端面で反射して
不必要な干渉を起こすことを防ぐためである。
【0016】図2は、試料内にできた干渉縞の様子を表
す図である。結晶長手方向をY軸、それと垂直方向をX
軸としたとき、ミラー14によって反射されて間接的に
入射する間接入射光aとX軸とのなす角、直接入射光b
とX軸とのなす角のそれぞれが等しくなるように結晶を
設置する。このような配置で結晶を設置すると、結晶長
手方向に対して垂直方向に干渉縞ができる。この状態で
熱処理を行うと、光照射された部分の3価Crは4価C
rに価数変化し、変化量は光強度と共に増大するので、
干渉縞の周期、すなわち光強度の強弱の周期に応じて4
価Cr濃度が変調されたCr:YAG結晶が得られる。
このように、周期dで周期的に4価Cr濃度が変調され
た結晶内のY軸方向に進行する波長λの光は、λ=nd
(但しnは整数)を満たす波長の光が干渉効果により強
めあう。
す図である。結晶長手方向をY軸、それと垂直方向をX
軸としたとき、ミラー14によって反射されて間接的に
入射する間接入射光aとX軸とのなす角、直接入射光b
とX軸とのなす角のそれぞれが等しくなるように結晶を
設置する。このような配置で結晶を設置すると、結晶長
手方向に対して垂直方向に干渉縞ができる。この状態で
熱処理を行うと、光照射された部分の3価Crは4価C
rに価数変化し、変化量は光強度と共に増大するので、
干渉縞の周期、すなわち光強度の強弱の周期に応じて4
価Cr濃度が変調されたCr:YAG結晶が得られる。
このように、周期dで周期的に4価Cr濃度が変調され
た結晶内のY軸方向に進行する波長λの光は、λ=nd
(但しnは整数)を満たす波長の光が干渉効果により強
めあう。
【0017】干渉縞の周期dは入射光の波長をλ、入射
光aと入射光bとの交差角をαとすると、d=λ/2s
in(α/2)で与えられる。本実施例では入射光の波
長λは514nmであり、図1の装置構成において入射
光a、bの交差角αは0<α<180の範囲にあるか
ら、αを連続的に変えることにより、干渉縞の間隔dは
0<d<257nmの範囲で連続的に変えることができ
る。
光aと入射光bとの交差角をαとすると、d=λ/2s
in(α/2)で与えられる。本実施例では入射光の波
長λは514nmであり、図1の装置構成において入射
光a、bの交差角αは0<α<180の範囲にあるか
ら、αを連続的に変えることにより、干渉縞の間隔dは
0<d<257nmの範囲で連続的に変えることができ
る。
【0018】本試料を製造するにあたり、加熱機構16
を用いてCr:YAG15を加熱し1600℃まで昇温
した後、温度を一定に保持した状態で、光照射を行っ
た。このときの試料温度の変動は50℃以内であった。
レーザー光の強度は10mWであった。温度保持時間は
2時間とし、2時間経過後、毎時150℃の降温速度で
降温し試料温度が300度以下に低下した時点で光照射
を停止した。この製造工程は、交差角αを変えて15回
行い、干渉縞間隔dがそれぞれ異なる15種類の結晶を
製造した。交差角αは、全反射ミラー14と試料15と
の配置、加えて全反射ミラー14の角度を変えることに
よって変化させた。それぞれの結晶を製造する際の交差
角αは、干渉縞間隔dの6倍が、それぞれ、1.37μ
mから1.51μmまでの範囲で0.01μmずつ異な
る離散的な値となるように決定した。これは、Y軸方向
に結晶内を進行する光は、周期的に4価Cr濃度が変調
し且つその周期がdである場合、レーザー発振波長をλ
としたとき、λ=nd(但しnは整数)を満たす波長の
光が干渉効果により強めあうためである。
を用いてCr:YAG15を加熱し1600℃まで昇温
した後、温度を一定に保持した状態で、光照射を行っ
た。このときの試料温度の変動は50℃以内であった。
レーザー光の強度は10mWであった。温度保持時間は
2時間とし、2時間経過後、毎時150℃の降温速度で
降温し試料温度が300度以下に低下した時点で光照射
を停止した。この製造工程は、交差角αを変えて15回
行い、干渉縞間隔dがそれぞれ異なる15種類の結晶を
製造した。交差角αは、全反射ミラー14と試料15と
の配置、加えて全反射ミラー14の角度を変えることに
よって変化させた。それぞれの結晶を製造する際の交差
角αは、干渉縞間隔dの6倍が、それぞれ、1.37μ
mから1.51μmまでの範囲で0.01μmずつ異な
る離散的な値となるように決定した。これは、Y軸方向
に結晶内を進行する光は、周期的に4価Cr濃度が変調
し且つその周期がdである場合、レーザー発振波長をλ
としたとき、λ=nd(但しnは整数)を満たす波長の
光が干渉効果により強めあうためである。
【0019】このようにして製造した15種類のCr:
YAG結晶は、両端面をカットした後、鏡面研磨しレー
ザー用結晶とした。これらレーザー結晶を用いてレーザ
ー発振させたところ、それぞれ単一波長で発振し、それ
ぞれの発振波長は1.37μmから1.51μmまで
0.01μm間隔で離散的に異なるものであった。これ
は、Crの価数状態が周期的に変調され、4価Cr濃度
が周期的に増減しているために、干渉効果が生じ単一波
長の発振をするようになったものである。
YAG結晶は、両端面をカットした後、鏡面研磨しレー
ザー用結晶とした。これらレーザー結晶を用いてレーザ
ー発振させたところ、それぞれ単一波長で発振し、それ
ぞれの発振波長は1.37μmから1.51μmまで
0.01μm間隔で離散的に異なるものであった。これ
は、Crの価数状態が周期的に変調され、4価Cr濃度
が周期的に増減しているために、干渉効果が生じ単一波
長の発振をするようになったものである。
【0020】従来の方法で製造した4価Crを含有する
YAGレーザーにおいて、単一波長で発振させる場合、
レーザー共振器に波長選択用素子を組み入れて波長選択
を行う必要があったが本発明のCr:YAG結晶を用い
ることにより波長選択素子を用いることなく、単一波長
で発振するレーザー素子が提供できた。また、従来のC
r:YAG結晶を用いたレーザー素子は、動作中の温度
変化による共振器長の変動によって発振波長が変動した
が、本発明のCr:YAG結晶は結晶自身が波長選択機
能を有するため、発振波長の変動は生じていない。さら
に、本発明のCr:YAG結晶は照射光の干渉縞の間隔
を制御することにより、4価Cr添加YAGの発振可能
波長域内で所望の発振波長を持つ狭帯域レーザーを提供
できるという長所を有している。
YAGレーザーにおいて、単一波長で発振させる場合、
レーザー共振器に波長選択用素子を組み入れて波長選択
を行う必要があったが本発明のCr:YAG結晶を用い
ることにより波長選択素子を用いることなく、単一波長
で発振するレーザー素子が提供できた。また、従来のC
r:YAG結晶を用いたレーザー素子は、動作中の温度
変化による共振器長の変動によって発振波長が変動した
が、本発明のCr:YAG結晶は結晶自身が波長選択機
能を有するため、発振波長の変動は生じていない。さら
に、本発明のCr:YAG結晶は照射光の干渉縞の間隔
を制御することにより、4価Cr添加YAGの発振可能
波長域内で所望の発振波長を持つ狭帯域レーザーを提供
できるという長所を有している。
【0021】
【実施例2】活性剤としてCr、電荷補償剤としてCa
が添加されたCr、Ca:YAGの単結晶において、4
価Crの光吸収波長帯域内にある光を照射して熱処理を
行うことによりCrの価数状態が空間的に変調されたY
AGを製造した例について述べる。
が添加されたCr、Ca:YAGの単結晶において、4
価Crの光吸収波長帯域内にある光を照射して熱処理を
行うことによりCrの価数状態が空間的に変調されたY
AGを製造した例について述べる。
【0022】本実施例では、4価Crが6×1017個/
cm3添加したYAG単結晶を用い、照射光として波長
1.064μmのNd:YAGレーザーを用いた。波長
1.064μmは、YAG中の4価Crの光吸収帯域内
の波長である。装置構成は図1と同じ装置構成とし、A
rイオンレーザーの変わりにNd:YAGレーザーを用
いた。この装置構成で熱処理を行うと、光照射された部
分の4価Crは3価Crに価数変化し、変化量は光強度
と共に増大するので、干渉縞の周期、すなわち光強度の
強弱の周期に応じて4価Cr濃度が変調されたCr:Y
AG結晶が得られる。このように、周期dで周期的に4
価Cr濃度が変調された結晶内のY軸方向に進行する波
長λの光は、λ=nd(但しnは整数)を満たす波長の
光が干渉効果により強めあう。
cm3添加したYAG単結晶を用い、照射光として波長
1.064μmのNd:YAGレーザーを用いた。波長
1.064μmは、YAG中の4価Crの光吸収帯域内
の波長である。装置構成は図1と同じ装置構成とし、A
rイオンレーザーの変わりにNd:YAGレーザーを用
いた。この装置構成で熱処理を行うと、光照射された部
分の4価Crは3価Crに価数変化し、変化量は光強度
と共に増大するので、干渉縞の周期、すなわち光強度の
強弱の周期に応じて4価Cr濃度が変調されたCr:Y
AG結晶が得られる。このように、周期dで周期的に4
価Cr濃度が変調された結晶内のY軸方向に進行する波
長λの光は、λ=nd(但しnは整数)を満たす波長の
光が干渉効果により強めあう。
【0023】干渉縞の周期dは入射光の波長をλ、入射
光aと入射光bとの交差角をαとすると、d=λ/2s
in(α/2)で与えられる。本実施例では入射光の波
長λは1.064μmであり、図1の装置構成において
入射光a、bの交差角αは0<α<180の範囲にある
から、αを連続的に変えることにより、干渉縞の間隔d
は0<d<532nmの範囲で連続的に変えることがで
きる。
光aと入射光bとの交差角をαとすると、d=λ/2s
in(α/2)で与えられる。本実施例では入射光の波
長λは1.064μmであり、図1の装置構成において
入射光a、bの交差角αは0<α<180の範囲にある
から、αを連続的に変えることにより、干渉縞の間隔d
は0<d<532nmの範囲で連続的に変えることがで
きる。
【0024】本試料を製造するにあたり、加熱機構16
を用いてCr:YAG15を加熱し1600℃まで昇温
した後、温度を一定に保持した状態で、光照射を行っ
た。このときの試料温度の変動は50℃以内であった。
レーザー光の強度は50mWであった。温度保持時間は
2時間とし、2時間経過後、毎時150℃の降温速度で
降温し試料温度が300度以下に低下した時点で光照射
を停止した。この製造工程は、交差角αを変えて15回
行い、干渉縞間隔dがそれぞれ異なる15種類の結晶を
製造した。交差角αは、全反射ミラー14と試料15と
の配置、加えて全反射ミラー14の角度を変えることに
よって変化させた。それぞれの結晶を製造する際の交差
角αは、干渉縞間隔dの3倍が、それぞれ、1.37μ
mから1.51μmまでの範囲で0.01μmずつ異な
る離散的な値となるように決定した。これは、Y軸方向
に結晶内を進行する光は、周期的に4価Cr濃度が変調
し且つその周期がdである場合、レーザー発振波長をλ
としたとき、λ=nd(但しnは整数)を満たす波長の
光が干渉効果により強めあうためである。
を用いてCr:YAG15を加熱し1600℃まで昇温
した後、温度を一定に保持した状態で、光照射を行っ
た。このときの試料温度の変動は50℃以内であった。
レーザー光の強度は50mWであった。温度保持時間は
2時間とし、2時間経過後、毎時150℃の降温速度で
降温し試料温度が300度以下に低下した時点で光照射
を停止した。この製造工程は、交差角αを変えて15回
行い、干渉縞間隔dがそれぞれ異なる15種類の結晶を
製造した。交差角αは、全反射ミラー14と試料15と
の配置、加えて全反射ミラー14の角度を変えることに
よって変化させた。それぞれの結晶を製造する際の交差
角αは、干渉縞間隔dの3倍が、それぞれ、1.37μ
mから1.51μmまでの範囲で0.01μmずつ異な
る離散的な値となるように決定した。これは、Y軸方向
に結晶内を進行する光は、周期的に4価Cr濃度が変調
し且つその周期がdである場合、レーザー発振波長をλ
としたとき、λ=nd(但しnは整数)を満たす波長の
光が干渉効果により強めあうためである。
【0025】このようにして製造した15種類のCr:
YAG結晶は、両端面をカットした後、鏡面研磨しレー
ザー用結晶とした。これらレーザー結晶を用いてレーザ
ー発振をさせたところ、それぞれ単一波長で発振し、そ
れぞれの発振波長は1.37μmから1.51μmまで
0.01μm間隔で離散的に異なるものであった。これ
は、Crの価数状態が周期的に変調され、4価Cr濃度
が周期的に増減しているために、干渉効果が生じ単一波
長の発振をするようになったものである。
YAG結晶は、両端面をカットした後、鏡面研磨しレー
ザー用結晶とした。これらレーザー結晶を用いてレーザ
ー発振をさせたところ、それぞれ単一波長で発振し、そ
れぞれの発振波長は1.37μmから1.51μmまで
0.01μm間隔で離散的に異なるものであった。これ
は、Crの価数状態が周期的に変調され、4価Cr濃度
が周期的に増減しているために、干渉効果が生じ単一波
長の発振をするようになったものである。
【0026】従来の方法で製造した4価Crを含有する
YAGレーザーにおいて、単一波長で発振させる場合、
レーザー共振器に波長選択用素子を組み入れて波長選択
を行う必要があったが本発明のCr:YAG結晶を用い
ることにより波長選択素子を用いることなく、単一波長
で発振するレーザー素子が提供できた。また、従来のC
r:YAG結晶を用いたレーザー素子は、動作中の温度
変化による共振器長の変動によって発振波長が変動した
が、本発明のCr:YAG結晶は結晶自身が波長選択機
能を有するため、発振波長の変動は生じていない。さら
に、本発明のCr:YAG結晶は照射光の干渉縞の間隔
を制御することにより、4価Cr添加YAGの発振可能
波長域内で所望の発振波長を持つ狭帯域レーザーを提供
できるという長所を有している。
YAGレーザーにおいて、単一波長で発振させる場合、
レーザー共振器に波長選択用素子を組み入れて波長選択
を行う必要があったが本発明のCr:YAG結晶を用い
ることにより波長選択素子を用いることなく、単一波長
で発振するレーザー素子が提供できた。また、従来のC
r:YAG結晶を用いたレーザー素子は、動作中の温度
変化による共振器長の変動によって発振波長が変動した
が、本発明のCr:YAG結晶は結晶自身が波長選択機
能を有するため、発振波長の変動は生じていない。さら
に、本発明のCr:YAG結晶は照射光の干渉縞の間隔
を制御することにより、4価Cr添加YAGの発振可能
波長域内で所望の発振波長を持つ狭帯域レーザーを提供
できるという長所を有している。
【0027】
【実施例3】合成工程で、電子ビーム蒸着法による薄膜
合成法を用い、薄膜合成過程で光強度を変調して光を膜
厚方向に価数状態が変調されたCr:YAGを製造した
例について述べる。
合成法を用い、薄膜合成過程で光強度を変調して光を膜
厚方向に価数状態が変調されたCr:YAGを製造した
例について述べる。
【0028】基板として単結晶YAG基板を用い、Y2
O3、Al2O3、Cr2O3を混合し燒結したセラミ
クスを蒸発源とし、このセラミクスを電子ビームにより
加熱蒸発させ基板上に薄膜形成を行った。
O3、Al2O3、Cr2O3を混合し燒結したセラミ
クスを蒸発源とし、このセラミクスを電子ビームにより
加熱蒸発させ基板上に薄膜形成を行った。
【0029】薄膜形成中はチャンバー内に設置したハロ
ゲンランプからの光を基板上、薄膜成長面から照射し
た。ハロゲンランプ前面には500〜700nmの波長
の光を透過する帯域フィルターを設置し、薄膜成長面に
はハロゲンランプからの光のうち、500〜700nm
の波長の光が照射されるようにした。この波長の光は3
価Crイオンのd−d遷移による光吸収帯を含んでい
る。このように波長カットフィルターを用いた方が、レ
ーザーを用いる場合よりも簡便に光源を構成できるとい
う長所がある。薄膜成長速度は10nm毎分とし、10
分周期でハロゲンランプの点灯、消灯を繰り返した。
ゲンランプからの光を基板上、薄膜成長面から照射し
た。ハロゲンランプ前面には500〜700nmの波長
の光を透過する帯域フィルターを設置し、薄膜成長面に
はハロゲンランプからの光のうち、500〜700nm
の波長の光が照射されるようにした。この波長の光は3
価Crイオンのd−d遷移による光吸収帯を含んでい
る。このように波長カットフィルターを用いた方が、レ
ーザーを用いる場合よりも簡便に光源を構成できるとい
う長所がある。薄膜成長速度は10nm毎分とし、10
分周期でハロゲンランプの点灯、消灯を繰り返した。
【0030】ハロゲンランプ点灯中は3価Crが光吸収
により励起されて価数変化を起こして4価Crに変化し
やすい。したがって、ハロゲンランプ点灯中に形成され
た層は4価Cr濃度の高い層となる。一方、YAG中で
は元来、Crは3価の状態が安定であるので、消灯中
は、3価Crのみが含まれる層となる。このため、上述
の周期でハロゲンランプの点灯、消灯を繰り返すことに
よって、膜厚方向100nm毎に4価Cr濃度が高い領
域と低い領域が交互に繰り返され、繰り返し周期が20
0nmとなるようにCrの価数状態が変調された光学材
料が形成される。4価Crは0.8μm〜1.1μmに
わたり幅広い波長域で光吸収を示すため、この波長域の
光を、本素子の膜面垂直方向から入射した場合、入射光
は200nmの周期で吸収領域と透過領域を交互に通過
しながら進行することになる。この周期的光吸収によっ
て、入射光の内、吸収の周期の整数倍、すなわち波長が
200nmの整数倍である光は、特に強く吸収される。
により励起されて価数変化を起こして4価Crに変化し
やすい。したがって、ハロゲンランプ点灯中に形成され
た層は4価Cr濃度の高い層となる。一方、YAG中で
は元来、Crは3価の状態が安定であるので、消灯中
は、3価Crのみが含まれる層となる。このため、上述
の周期でハロゲンランプの点灯、消灯を繰り返すことに
よって、膜厚方向100nm毎に4価Cr濃度が高い領
域と低い領域が交互に繰り返され、繰り返し周期が20
0nmとなるようにCrの価数状態が変調された光学材
料が形成される。4価Crは0.8μm〜1.1μmに
わたり幅広い波長域で光吸収を示すため、この波長域の
光を、本素子の膜面垂直方向から入射した場合、入射光
は200nmの周期で吸収領域と透過領域を交互に通過
しながら進行することになる。この周期的光吸収によっ
て、入射光の内、吸収の周期の整数倍、すなわち波長が
200nmの整数倍である光は、特に強く吸収される。
【0031】上述の方法で製造した試料の光透過特性の
波長分散を検査した結果、4価Crの吸収波長帯域であ
る0.8μm〜1.1μmの領域において波長1.00
μmに鋭い吸収が確認された。これは、Cr:YAG内
で4価Crが200nm間隔で変調した周期構造ができ
ていることを意味する。このように、本発明の構造であ
る活性剤の価数状態が周期的に変化する構造の素子とす
ることにより狭帯域のフィルターを提供することができ
た。さらに、本実施例においてハロゲンランプの点灯、
消灯の周期を変えて製造すれば波長を任意に設計できる
ので、所望の波長における狭帯域フィルターを提供する
ことができる。
波長分散を検査した結果、4価Crの吸収波長帯域であ
る0.8μm〜1.1μmの領域において波長1.00
μmに鋭い吸収が確認された。これは、Cr:YAG内
で4価Crが200nm間隔で変調した周期構造ができ
ていることを意味する。このように、本発明の構造であ
る活性剤の価数状態が周期的に変化する構造の素子とす
ることにより狭帯域のフィルターを提供することができ
た。さらに、本実施例においてハロゲンランプの点灯、
消灯の周期を変えて製造すれば波長を任意に設計できる
ので、所望の波長における狭帯域フィルターを提供する
ことができる。
【0032】
【実施例4】ユーロピウム(Eu)を添加した弗化カル
シウム(CaF2)(以後CaF2:Euと記載)を用い
て表示素子を製造した例について述べる。
シウム(CaF2)(以後CaF2:Euと記載)を用い
て表示素子を製造した例について述べる。
【0033】弗化カルシウム中では、ユーロピウムは2
価イオンの状態が熱力学的に最も安定であるので、従来
の製法で製造したCaF2:Euは、Euを2価イオン
として含有する。このCaF2:Euを紫外線で励起し
て発光させると420nm近傍にピークを持つブロード
な発光スペクトルを示し、濃青色の発光が得られる。本
実施例ではEuを0.3mol%添加した板状Ca
F2:Euを用い表示素子を製造した。
価イオンの状態が熱力学的に最も安定であるので、従来
の製法で製造したCaF2:Euは、Euを2価イオン
として含有する。このCaF2:Euを紫外線で励起し
て発光させると420nm近傍にピークを持つブロード
な発光スペクトルを示し、濃青色の発光が得られる。本
実施例ではEuを0.3mol%添加した板状Ca
F2:Euを用い表示素子を製造した。
【0034】図3は本実施例で用いた装置構成を示す図
である。板状CaF2:Eu31(光学材料試料)は、
試料加熱機構32上に設置され、光源33としてHe−
Cdレーザーを用い、He−Cdレーザー(光源)33
からの光はビームエキスパンダー34によりビーム径が
広げられ、ミラー35により反射されマスクパターン3
6を通して板状CaF2:Eu31に照射される。マス
クパターン36にはあらかじめ、所望の表示パターンに
応じて透過光強度が変調されるようにパターニングが施
されている。
である。板状CaF2:Eu31(光学材料試料)は、
試料加熱機構32上に設置され、光源33としてHe−
Cdレーザーを用い、He−Cdレーザー(光源)33
からの光はビームエキスパンダー34によりビーム径が
広げられ、ミラー35により反射されマスクパターン3
6を通して板状CaF2:Eu31に照射される。マス
クパターン36にはあらかじめ、所望の表示パターンに
応じて透過光強度が変調されるようにパターニングが施
されている。
【0035】本素子を作製するに当たり、まず板状Ca
F2:Eu31を試料加熱機構32により1000℃に
加熱し、温度が1000℃に達した時点でHe−Cdレ
ーザーの照射を開始した。He−Cdレーザーからの波
長325nmの光は2価Euの光吸収波長帯域内にある
ため、この光が照射された部分は2価Euが光吸収によ
り励起されエネルギーが上昇し、3価Euの方が2価E
uよりも熱力学的に安定な状態となる。この状態で1時
間保持して熱処理を行うと、熱エネルギーによって3価
Euがさらに安定に含有できるようにCaF2中の原子
空孔や原子が再配列するため、3価Euが安定に含有さ
れる状態となる。温度を1000℃一定に保った状態で
1時間保持して熱処理を行い、熱処理終了後温度を徐々
に低下させて冷却し温度が室温に低下してから光照射を
停止した。
F2:Eu31を試料加熱機構32により1000℃に
加熱し、温度が1000℃に達した時点でHe−Cdレ
ーザーの照射を開始した。He−Cdレーザーからの波
長325nmの光は2価Euの光吸収波長帯域内にある
ため、この光が照射された部分は2価Euが光吸収によ
り励起されエネルギーが上昇し、3価Euの方が2価E
uよりも熱力学的に安定な状態となる。この状態で1時
間保持して熱処理を行うと、熱エネルギーによって3価
Euがさらに安定に含有できるようにCaF2中の原子
空孔や原子が再配列するため、3価Euが安定に含有さ
れる状態となる。温度を1000℃一定に保った状態で
1時間保持して熱処理を行い、熱処理終了後温度を徐々
に低下させて冷却し温度が室温に低下してから光照射を
停止した。
【0036】得られたCaF2:EuをPL法を用いて
検査した結果、光照射部は3価が2価Euに対して1桁
以上高濃度に含有され、一方、光未照射部は2価Euの
みが含有されていることが確認された。本方法により、
空間的に価数状態が変調された表示素子が実現されてい
ることが確認された。この素子に紫外線を照射して発光
させたところ、光照射部分は3価Euの発光色である橙
色に、光未照射部分は2価Euの発光色である濃青色に
発光し2色発光の発光素子が実現できた。
検査した結果、光照射部は3価が2価Euに対して1桁
以上高濃度に含有され、一方、光未照射部は2価Euの
みが含有されていることが確認された。本方法により、
空間的に価数状態が変調された表示素子が実現されてい
ることが確認された。この素子に紫外線を照射して発光
させたところ、光照射部分は3価Euの発光色である橙
色に、光未照射部分は2価Euの発光色である濃青色に
発光し2色発光の発光素子が実現できた。
【0037】さらに、このようにして製造した表示素子
を再び1000℃に加熱し光照射を行わずに一時間熱処
理を行うと、本来、2価Euの方が3価Euよりも熱力
学的に安定な材料であるので、熱処理による原子空孔や
原子の再配列により、3価Euは2価Euに価数変化し
素子全体が2価Euのみを含む状態となる。熱処理後、
紫外線照射により検査したところ素子全体は濃青色に発
光し先ほど書き込んだパターンが消去されていることが
確認された。この後、前回と異なるパターニングが施さ
れたマスクパターンを用いて再び光照射を行ってEuの
価数状態が空間的に変調された表示素子を作製したとこ
ろ、マスクパターンのパターニングにしたがって価数状
態が空間的に変調された表示素子を製造することがで
き、本方法によれば繰り返しパターニングが行えること
が確認できた。
を再び1000℃に加熱し光照射を行わずに一時間熱処
理を行うと、本来、2価Euの方が3価Euよりも熱力
学的に安定な材料であるので、熱処理による原子空孔や
原子の再配列により、3価Euは2価Euに価数変化し
素子全体が2価Euのみを含む状態となる。熱処理後、
紫外線照射により検査したところ素子全体は濃青色に発
光し先ほど書き込んだパターンが消去されていることが
確認された。この後、前回と異なるパターニングが施さ
れたマスクパターンを用いて再び光照射を行ってEuの
価数状態が空間的に変調された表示素子を作製したとこ
ろ、マスクパターンのパターニングにしたがって価数状
態が空間的に変調された表示素子を製造することがで
き、本方法によれば繰り返しパターニングが行えること
が確認できた。
【0038】従来の方法では、多色発光の発光素子を実
現する場合、2種類以上の発光材料を用いる必要があっ
たが、本発明の方法では1種類の発光材料に光照射を行
うのみで2色発光の発光素子が実現でき、少ない製造工
程で2色発光の表示素子が実現できると共に、表示パタ
ーンを消去し異なる表示パターンを書き込むことが可能
な発光素子を提供することができた。
現する場合、2種類以上の発光材料を用いる必要があっ
たが、本発明の方法では1種類の発光材料に光照射を行
うのみで2色発光の発光素子が実現でき、少ない製造工
程で2色発光の表示素子が実現できると共に、表示パタ
ーンを消去し異なる表示パターンを書き込むことが可能
な発光素子を提供することができた。
【0039】
【実施例5】セリウム(Ce)あるいはテルビウム(T
b)を添加したイットリウムアルミニウムガーネット
(YAG)(以後それぞれをCe:YAG、Tb:YA
Gと記載)を用いて光学素子を製造した例について述べ
る。
b)を添加したイットリウムアルミニウムガーネット
(YAG)(以後それぞれをCe:YAG、Tb:YA
Gと記載)を用いて光学素子を製造した例について述べ
る。
【0040】YAG中では、セリウムとテルビウムは共
に3価イオンの状態が熱力学的に最も安定であるので、
従来の製法で製造したCe:YAG、Tb:YAGは、
CeまたはTbを3価イオンとして含有する。このC
e:YAG、Tb:YAGを紫外線で励起して発光させ
ると両者ともに緑色に発光する。一方、3価Ce、Tb
を価数変化させ4価のCe、Tbとすると、電子準位構
造が変化し両者ともに可視領域に発光遷移を持たなくな
るため、紫外線を当てても可視域の発光が生じない。
に3価イオンの状態が熱力学的に最も安定であるので、
従来の製法で製造したCe:YAG、Tb:YAGは、
CeまたはTbを3価イオンとして含有する。このC
e:YAG、Tb:YAGを紫外線で励起して発光させ
ると両者ともに緑色に発光する。一方、3価Ce、Tb
を価数変化させ4価のCe、Tbとすると、電子準位構
造が変化し両者ともに可視領域に発光遷移を持たなくな
るため、紫外線を当てても可視域の発光が生じない。
【0041】本実施例ではCeまたはTbを0.3mo
l%添加した板状Ce:YAGと板状Tb:YAGを用
い表示素子を製造した。本実施例で用いた装置構成を図
4に示す。板状Ce:YAGまたは板状Tb:YAGか
らなる板状光学素子(光学材料試料)41は、試料加熱
機構42上に設置され、He−Cdレーザー43からの
光はレーザービームスキャナーによってビーム進行方向
が制御され、板状光学素子41に照射される。本素子を
作製するにあたり、まず板状光学素子41を試料加熱機
構42により1500℃に加熱し、温度が1500℃に
達した時点でHe−Cdレーザーの照射を開始した。
l%添加した板状Ce:YAGと板状Tb:YAGを用
い表示素子を製造した。本実施例で用いた装置構成を図
4に示す。板状Ce:YAGまたは板状Tb:YAGか
らなる板状光学素子(光学材料試料)41は、試料加熱
機構42上に設置され、He−Cdレーザー43からの
光はレーザービームスキャナーによってビーム進行方向
が制御され、板状光学素子41に照射される。本素子を
作製するにあたり、まず板状光学素子41を試料加熱機
構42により1500℃に加熱し、温度が1500℃に
達した時点でHe−Cdレーザーの照射を開始した。
【0042】He−Cdレーザーからの波長325nm
の光は図5に示す3価Ce、Tb両者の光吸収波長帯域
内にあるため、この光が照射された部分は3価Ceまた
はTbの価数が変化し4価CeまたはTbとなる。温度
を1500℃一定に保った状態でレーザービームスキャ
ナー44によりビーム進行方向をX−Y軸方向に制御
し、X座標を変えるごとに、Y軸方向のビームスキャン
を一回ずつ増加させ板状光学素子41面状をレーザービ
ームを繰り返し走査させX座標の増加と共に光照射時間
が増大するようにした。この状態で試料温度を1時間保
持して熱処理を行い、熱処理終了後、温度を徐々に低下
させて冷却し温度が室温に低下してから光照射を停止し
た。
の光は図5に示す3価Ce、Tb両者の光吸収波長帯域
内にあるため、この光が照射された部分は3価Ceまた
はTbの価数が変化し4価CeまたはTbとなる。温度
を1500℃一定に保った状態でレーザービームスキャ
ナー44によりビーム進行方向をX−Y軸方向に制御
し、X座標を変えるごとに、Y軸方向のビームスキャン
を一回ずつ増加させ板状光学素子41面状をレーザービ
ームを繰り返し走査させX座標の増加と共に光照射時間
が増大するようにした。この状態で試料温度を1時間保
持して熱処理を行い、熱処理終了後、温度を徐々に低下
させて冷却し温度が室温に低下してから光照射を停止し
た。
【0043】得られたCe:YAG、Tb:YAGをP
L法を用いて検査した結果、光照射時間に応じて3価C
eまたはTbが減少していることが確認された。本方法
により、空間的に価数状態が変調された表示素子が実現
されていることが確認された。この素子に紫外線を照射
して発光させたところ、X座標の増大と共に緑色発光強
度が低下する発光素子が実現できた。
L法を用いて検査した結果、光照射時間に応じて3価C
eまたはTbが減少していることが確認された。本方法
により、空間的に価数状態が変調された表示素子が実現
されていることが確認された。この素子に紫外線を照射
して発光させたところ、X座標の増大と共に緑色発光強
度が低下する発光素子が実現できた。
【0044】またCe:YAG、Tb:YAGの光透過
率を検査した結果、図5に示す波長領域の光の透過率が
X座標の増大と共に増大する帯域フィルターが実現でき
た。
率を検査した結果、図5に示す波長領域の光の透過率が
X座標の増大と共に増大する帯域フィルターが実現でき
た。
【0045】従来の方法では、同一光学素子内で一軸方
向に発光強度または光透過率が連続的に変化する光学素
子が実現された例がなく、本方法による光学素子は従来
にない機能を有する光学素子を提供するものであること
が示された。
向に発光強度または光透過率が連続的に変化する光学素
子が実現された例がなく、本方法による光学素子は従来
にない機能を有する光学素子を提供するものであること
が示された。
【0046】
【発明の効果】以上述べてきたように希土類元素あるい
は遷移金属元素から選択される少なくとも1種の元素を
活性剤として含有する光学材料を、本発明の製造方法に
より本発明の光学材料、すなわち活性剤元素のうち少な
くとも1種の元素の価数状態が空間的に変調された周期
構造を有することを特徴とする光学材料とすることによ
り、発振波長の設計が可能な狭帯域レーザー、狭帯域フ
ィルターが提供できると共に、少ない製造工程で任意の
表示パターンの形成ができ、さらに消去が可能な表示素
子を提供できた。
は遷移金属元素から選択される少なくとも1種の元素を
活性剤として含有する光学材料を、本発明の製造方法に
より本発明の光学材料、すなわち活性剤元素のうち少な
くとも1種の元素の価数状態が空間的に変調された周期
構造を有することを特徴とする光学材料とすることによ
り、発振波長の設計が可能な狭帯域レーザー、狭帯域フ
ィルターが提供できると共に、少ない製造工程で任意の
表示パターンの形成ができ、さらに消去が可能な表示素
子を提供できた。
【図1】実施例1、実施例2で用いた装置の構成を示す
図。
図。
【図2】実施例1、実施例2で用いた装置構成において
試料内にできた干渉縞の様子を表す図。
試料内にできた干渉縞の様子を表す図。
【図3】実施例4で用いた装置構成を示す図。
【図4】実施例5で用いた装置構成を示す図。
【図5】YAG中のCe3+、Tb3+それぞれのf−d遷
移に起因する吸収帯を示す図。
移に起因する吸収帯を示す図。
11 Arイオンレーザー
12 ビームエキスパンダー
13 ハーフミラー
14 全反射ミラー
15 光学材料試料
16 加熱機構
31 光学材料試料
32 加熱機構
33 He−Cdレーザー
34 ビームエキスパンダー
35 ミラー
36 マククパターン
41 板状光学素子(光学材料試料)
42 加熱機構
43 He−Cdレーザー
44 ビームスキャナー
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平7−291799(JP,A)
特開 平2−33986(JP,A)
特開 平5−335678(JP,A)
特開 平6−92647(JP,A)
特開 平6−226084(JP,A)
特開 平6−260322(JP,A)
特開 平7−215798(JP,A)
特開 平8−288582(JP,A)
国際公開99/36171(WO,A1)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C30B 1/00 - 35/00
H01S 3/14
G02F 1/03
JICSTファイル(JOIS)
Claims (2)
- 【請求項1】希土類元素あるいは遷移金属元素から選択
される少なくとも1種の元素を活性剤として含有する光
学材料であり、且つ、活性剤元素のうち少なくとも1種
の価数状態が空間的に変調された周期構造を有すること
を特徴とする光学材料。 - 【請求項2】希土類元素あるいは遷移金属元素から選択
される少なくとも1種の元素を活性剤として含有する光
学材料の製造方法であり、該光学材料の合成工程、ある
いは合成後の熱処理工程の少なくとも一つの工程におい
て、活性剤イオンの光吸収波長帯域内の光、あるいは活
性剤イオンの光吸収波長帯域の波長を含む光を照射し、
且つ、照射光量を空間的に変調することを特徴とする光
学材料の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
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