JP3465196B2 - 坑道の封止構造及び封止工法 - Google Patents

坑道の封止構造及び封止工法

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JP3465196B2
JP3465196B2 JP19148893A JP19148893A JP3465196B2 JP 3465196 B2 JP3465196 B2 JP 3465196B2 JP 19148893 A JP19148893 A JP 19148893A JP 19148893 A JP19148893 A JP 19148893A JP 3465196 B2 JP3465196 B2 JP 3465196B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地盤内に形成された坑
道(坑道に類する空洞部をも含む。以下同様)を閉塞す
る坑道の封止構造及び封止工法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、坑道を閉塞する封止構造としては
図22に示すようなものがある。このものは、そろばん
玉状のコンクリート製のプラグ1をその周縁部1aが坑
道2の周辺の地盤3内に食い込むように設置したもので
ある。このようにして、プラグ1により仕切られた一方
の坑道2aに発生する圧力に破損することなく耐える耐
圧性能を確保するとともに、前記一方の坑道2aに封じ
込められている液体や地下水がプラグ1を迂回して他方
の坑道2b側に流れ込むことを防止する遮水性能を確保
するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
坑道の封止構造では、そろばん玉状のプラグ1を地盤3
内に食い込ませるように配置しているので、高い耐圧性
能を具備させることができるが、プラグ1と地盤3との
境界部付近からの漏水を完全に阻止することができない
ために遮水性能が低いといった問題がある。
【0004】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、高い耐圧性能を具備させることができるとともに、
高い遮水性能を具備させることができる坑道の封止構造
及び封止工法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
坑道の封止構造は、地盤に形成された坑道に膨張性材料
を固化してなるプラグが前記坑道を内面から押圧した状
態で配置されているとともに、前記プラグの軸線に沿っ
て膨張性でない材料からなる柱状部材が埋設されている
ことを特徴としている。
【0006】
【0007】本発明の請求項記載の坑道の封止構造
は、請求項記載の坑道の封止構造において、前記柱状
部材が、中空材から構成され、かつ、前記プラグの両端
部を貫通して露出していることを特徴とする。
【0008】本発明の請求項記載の坑道の封止構造
は、請求項1又は2記載の坑道の封止構造において、前
記柱状部材が前記プラグ中に脚部材により支持されてい
ることを特徴とする。
【0009】本発明の請求項記載の坑道の封止構造
は、請求項1〜3のいずれかに記載の坑道の封止構造に
おいて、前記柱状部材の外周の一部が前記坑道の内面に
接触し、前記坑道に接触していない柱状部材の外周と前
記坑道との間に膨張性材料を固化してなるプラグが配置
されていることを特徴とする。
【0010】
【0011】本発明の請求項記載の坑道の封止構造
は、地盤に形成された坑道内の一部に、坑道の軸線に沿
って膨張性でない材料からなる柱状部材を配置し、この
柱状部材の外周面と坑道との間に膨張性材料からなる封
止材料を封入し、この封止材料を固化させることにより
前記坑道を内面から押圧した状態で封止材料を配置する
ことを特徴とする。
【0012】
【0013】本発明の請求項記載の坑道の封止工法
は、請求項記載の坑道の封止工法において、前記柱状
部材が中空材から構成され、この柱状部材の両端部を露
出させて前記柱状部材の外周面と前記坑道との間に前記
封止材料を封入したことを特徴とする。
【0014】本発明の請求項記載の坑道の封止工法
は、請求項5又は6記載の坑道の封止工法において、前
記柱状部材を脚部材により支持して配置し、この柱状部
材の外周面と坑道との間に前記封止材料を封入すること
を特徴とする。
【0015】本発明の請求項記載の坑道の封止工法
は、請求項5〜7のいずれかに記載の坑道の封止工法に
おいて、前記柱状部材の外周の一部を前記坑道の内面に
接触して配置し、次に、前記坑道に接触していない柱状
部材の外周と前記坑道との間に前記封止材料を封入する
ことを特徴とする。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【作用】本発明の請求項1記載の坑道の封止構造によれ
ば、膨張性材料を固化してなるプラグが坑道を内面から
押圧した状態で配置されているので、この押圧によりプ
ラグと地盤との境界部におけるせん断抵抗が増大し、大
きな耐圧性能を得ることができるとともに、押圧により
プラグ周辺の地盤が圧力が作用して、地盤の透水性が向
上し、プラグ周辺を迂回して反対側に達する流体量が少
なくなり、すなわち、大きな遮水性能を得ることができ
る。
【0021】また、プラグの軸線に沿って膨張性でない
材料からなる柱状部材が埋設されているので、プラグ断
面の断面積が、坑道の断面積から柱状部材の断面積が差
し引かれた面積と小さくなり、プラグの長さを、柱状部
材を埋設しない場合に比べて、小さくすることができ、
この結果、柱状部材が坑道内に配置されていることとあ
いまって、プラグを構築する封止材料を大幅に節減する
ことができる。
【0022】本発明の請求項記載の坑道の封止構造に
よれば、前記柱状部材が、中空材から構成され、かつ、
前記プラグの両端部を貫通して露出しているので、中空
材の内部を通して人間や物資等を運搬することができ
る。
【0023】本発明の請求項記載の坑道の封止構造に
よれば、前記柱状部材が前記プラグ中に脚部材により支
持されているので、柱状部材の周りに容易にかつ安定し
てプラグを配置することができ、しかも、構造的に安定
なものとすることができる。
【0024】本発明の請求項記載の坑道の封止構造に
よれば、プラグ断面の断面積が、坑道の断面積から柱状
部材の断面積が差し引かれた面積と小さくなり、プラグ
の長さを、請求項1に記載した坑道の封止構造に比べ
て、小さくすることができ、この結果、柱状部材が坑道
内に配置されていることとあいまって、プラグを構築す
る封止材料を大幅に節減することができる。
【0025】
【0026】本発明の請求項記載の坑道の封止工法に
よれば、地盤に形成された坑道内の一部に膨張性材料か
らなる封止材料を封入し、この封止材料を固化させるこ
とにより前記坑道を内面から押圧した状態で封止材料を
配置する。したがって、この押圧によりプラグと地盤と
の境界部におけるせん断抵抗が増大し、大きな耐圧性能
を得ることができるとともに、押圧によりプラグ周辺の
地盤が圧力が作用して、地盤の透水性が向上し、プラグ
周辺を迂回して反対側に達する流体量が少なくなり、す
なわち、大きな遮水性能を得ることができる。
【0027】また、坑道の軸線に沿って膨張性でない材
料からなる柱状部材を配置し、この柱状部材の外周面と
坑道との間に封止材料を封入する。したがって、封止材
料の断面の断面積が、坑道の断面積から柱状部材の断面
積が差し引かれた面積と小さくなり、プラグの長さを小
さくすることができ、この結果、柱状部材が坑道内に配
置されていることとあいまって、封止材料を大幅に節減
することができる。
【0028】本発明の請求項記載の坑道の封止工法に
よれば、柱状部材が中空材から構成され、この柱状部材
の両端部を露出させて前記柱状部材の外周面と前記坑道
との間に前記封止材料を封入する。したがって、中空材
の内部を通して人間や物資等を運搬することができる。
【0029】本発明の請求項記載の坑道の封止工法に
よれば、柱状部材を脚部材により支持して配置し、この
柱状部材の外周面と坑道との間に前記封止材料を封入す
る。したがって、柱状部材の周りに容易にかつ安定して
プラグを配置することができ、しかも、構造的に安定な
ものとすることができる。
【0030】本発明の請求項記載の坑道の封止工法に
よれば、前記柱状部材の外周の一部を前記坑道の内面に
接触して配置し、次に、前記坑道に接触していない柱状
部材の外周と前記坑道との間に前記封止材料を封入す
る。したがって、坑道の断面形状が複雑であっても、容
易にかつ確実に封止材料を封入することができ、さら
に、封止材料の断面の断面積が、坑道の断面積から柱状
部材の断面積が差し引かれた面積と小さくなり、プラグ
の長さを小さくすることができ、この結果、柱状部材が
坑道内に配置されていることとあいまって、封止材料を
大幅に節減することができる。
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【実施例】以下に、図面を参照して、本発明の一実施例
の坑道の封止工法について説明する。ここでいう坑道と
しては、放射性廃棄物の貯蔵施設の貯蔵用坑道や、ダム
の仮排水トンネルや鉱山の坑道などが含まれる。
【0036】図1に示すように、本実施例の坑道の封止
工法は、地盤3に形成された坑道2内の一部に膨張性材
料からなる封止材料(例えば、膨張性混和剤を混合させ
たセメントに水と砂とを混合して撹拌したもの、以下同
様)10を封入し、この封止材料10を固化させること
により坑道2を内面から押圧した状態でプラグ11を配
置するようにしたものである。
【0037】本実施例によれば、封止材料10が固化す
る際に膨張性混和剤の作用により、膨張して坑道2の周
辺の地盤が押圧され、この押圧によりプラグ11と地盤
2との境界部におけるせん断抵抗が増大し、大きな耐圧
性能を得ることができる。さらに、押圧によりプラグ1
1の周辺の地盤2に圧力が作用して、地盤2の透水性が
向上し、プラグ11の周辺を迂回して反対側に達する流
体量が少なくなり、すなわち、大きな遮水性能を得るこ
とができる。
【0038】図2に本発明の他の実施例の封止工法を示
す。封止材料10を、坑道2の長さ方向の長さ寸法Lが
坑道断面の等面積円に換算した場合の直径Dの少なくと
も3倍以上となるように封入したものである。
【0039】封止材料10の両端面に、坑道2の長さ方
向に移動可能な円板状の型枠(無拘束型枠)を用いて封
止材料10を封入した場合には、前記長さ寸法Lが小さ
いと封止部材10の膨張力が封止材料10(プラグ1
1)の両端面付近で解放されて有効に地盤3に作用しな
いが、前記のようにL>3Dとした場合には、無拘束型
枠を用いることによりプラグ11の自由面付近で押圧力
(膨張力)が開放された場合でも、プラグ11による充
分な押圧力を地盤に作用させることができ、耐圧性能及
び遮水性能を確保することができる。
【0040】図3に、本発明の更に他の坑道の封止工法
を示す。このものは、まず、坑道2内に坑道2の軸線に
沿って膨張性でない材料(例えば、普通のコンクリート
材料)からなる円柱状の柱状部材12を脚部材13で両
持ち状態で支持して配置し、次いで、この柱状部材12
の外周面と坑道2との間に前記したものと同様な封止材
料11を封入し、固化させる。
【0041】このものでは、封止材料10の断面積が、
坑道の断面積から柱状部材の断面積が差し引かれた面積
と小さくなり、封止材料断面の等面積円が著しく小さく
なり、封止材料10の長さを、前記各坑道の封止構造に
比べて、小さくすることができる。この結果、柱状部材
12が坑道2内に配置されていることとあいまって、プ
ラグを構築する封止材料10の量を大幅に節減すること
ができる。
【0042】また、前記実施例では、柱状部材12を脚
部材13により支持しているので、柱状部材12の周り
に容易にかつ安定して封止材料10を配置することがで
き、しかも、構造的に安定なものとすることができる。
【0043】図4及び図5に、本発明の更に他の坑道の
封止工法を示す。このものは、前記実施例で示した柱状
部材12の代わりに、中空材からなる柱状部材14を、
その両端部14aを露出させて柱状部材14の外周面と
坑道2との間に封止材料10を封入したものである。
【0044】このものでは、施工後はもとより施工中で
あっても、中空材の柱状部材14の内部を通して人間や
物資等を運搬することができる。
【0045】図6〜図9に、本発明の更に他の坑道の封
止工法を示す。
【0046】このものは、矩形断面(図6参照)、馬蹄
形断面(図7参照)あるいは円形断面(図8又は図9参
照)の坑道2の中に、柱状部材15,16,17,18
の外周の一部15a,16a,17a,18aを坑道2
の内面に接触して配置し、次に、坑道2に接触していな
い柱状部材の外周15b,16b,17b,18bと坑
道2との間に封止材料10を封入する。
【0047】このものでは、坑道2の断面形状が複雑で
あっても、容易にかつ確実に封止材料10を封入するこ
とができ、さらに、前記実施例と同様に、封止部材10
の長さを小さくすることができ、この結果、柱状部材1
5,16,17,18が坑道2内に配置されていること
とあいまって、プラグを構築する封止材料10を大幅に
節減することができる。
【0048】図10〜図12に、本発明の更に他の坑道
の封止工法を示す。このものは、坑道2の長さ方向に所
定距離離間して一対の隔壁20,21を設置し、これら
の隔壁20,21をこれらが坑道2の長さ方向に相対変
位しないようにタイロッド22により拘束し、次いで、
各隔壁20,21により囲まれた部分に封止材料10を
封入する。前記隔壁20,21は、板状部材23を同心
状に近接して配置し、これらの板状部材23をこれらの
間に配置された補強材24により連結してある。なお、
図13に示すように、隔壁25は前記した柱状部材1
2,14が挿通される穴26が形成されていてもよい。
また、図14に示すように、坑道2内に柱状部材18
(他の柱状部材であってもよい。)が配置したもので
は、この柱状部材18を挟むように配置して、封止部材
10を空間に封入するようにする。
【0049】このものでは、封止材料10の膨張力が坑
道2の長さ方向に逃げることがなく、坑道2の内面に効
果的に作用して坑道2の内面が強く押圧され、これによ
り、大きな耐圧性能と遮水性能とを得ることができる。
しかも、長さ方向の膨張力の逃げがなくなるので、封止
材料10の長さを前記実施例のものに比べて、さらに小
さくすることができる。
【0050】前記した坑道2内に柱状部材12,14,
15,16,17,18を設置するようにした坑道の封
止工法においては、封止材料10の坑道2の長さ方向の
長さ寸法が封止材料10を封入した部分の断面の等面積
円に換算した場合の直径の少なくとも3倍以上となるよ
うに封止材料を封入することが、封止材料10の膨張に
よる押圧力を効果的に作用させる上で好ましい。
【0051】
【実験例】前述のように坑道を封止するプラグ材に膨張
性のセメント等を用いれば、プラグの遮水性能を大幅に
向上させることが期待できる。そこで、円筒の中央にプ
ラグを持つ厚肉円筒供試体を、プラグを有するトンネル
(坑道)の模型とみなして、プラグの特性が遮水性能に
及ぼす効果を実験的に調べた。
【0052】(1)模型供試体 模型の形状を図15及び図16に示す。模型岩盤として
は、北海道美唄市の露天堀り炭鉱で採取した古第三紀の
美唄層に属する砂岩を用いた。当該箇所の地層は累層構
造をしており傾斜約13゜、傾斜方位NW−SEであ
る。表1示す寸法を持つ円柱形または円筒形供試体で以
下に示す4種類を作成した。
【0053】
【表1】
【0054】(a)円柱形供試体 (b)岩石プラグを有する厚肉円筒供試体 (c)モルタルプラグを有する厚肉円筒供試体 (d)膨張セメントのプラグを有する厚肉円筒供試体
【0055】なお、(b)の供試体は円柱形供試体の上
下から作孔し、中央部を残すことにより製作した。各供
試体は両端面の平衡度が±1/100mm以下となるよ
うにした。円筒はダイヤモンド・ビットを用いて円柱形
供試体の中央に作孔し設けた。
【0056】モルタルの作成には十分に乾燥させた7号
硅砂を使用し、配合比は重量比で水、セメント、砂を
1:2:3とした。水、セメント、砂を1:2:4とす
る標準的な配合比を用いた場合、硅砂の吸水量が予想以
上に多く、厚肉円筒内に打設するのが困難なほどモルタ
ルの流動性が小さいために上記のような配合比を採用し
た。また、膨張セメントの配合においては、セメント、
膨張性混和剤を重量比で12:1としたものを通常のセ
メントとみなし、モルタルと同様に打設した。
【0057】厚肉円筒供試体内へのモルタルの打設は次
のようにした。軸が鉛直になるように置いた供試体の円
筒内に径が内径よりわずかに小さい鉄の棒を入れ、そこ
に十分に混合撹拌したモルタルを小量ずつ投入した。投
入毎に供試体の上端から入れた鉄棒を介してハンマーで
モルタルを打ちつけ、モルタルが所定のところで隙間が
無く密に詰まるようにした。この方法により、気泡がな
く、孔壁との接触が完全なプラグが作られるものと考え
られる。モルタル打設後、24時間は散水養生、その後
5日間は水中養生を行った。7日目に供試体を水槽から
取り出し、厚肉円筒内を散水養生しつつ、外壁を自然乾
燥させた。
【0058】透水試験に先立ち、図17に示すように、
供試体に被覆を施した。すなわち、まず、供試体30の
上下にエンドピース31,32を置き、両端の隙間をエ
ポキシ樹脂で充填した後、接着部を熱収縮性チューブ3
3で被覆した。その後、供試体30の側面にシリコンゴ
ム34を数回に分けて塗布した。また、通常の透水試験
は供試体30とエンドピース31,32との間に、間隙
水の分散を促すスペーサを挟むが、模型試験においては
供試体30の寸法が大きいために設置が困難であり、エ
ンドピース31,32をスペーサ兼用として用いた。な
お、図17中の37は入口配管であり、38は出口配管
である。
【0059】(2)実験方法 透水試験はトランジェントパルス法により次の要領で行
った。試験に際しては、間隙流体としてイオン交換樹脂
を通過させ十分に脱気した純水を用いた。
【0060】(a)ベッセル35内に供試体30を設置
した後、供試体30の含水飽和を図るために、約10時
間ほど真空ポンプを運転し真空引きを行った。その後、
供試体30に約80kgf/cm2の封圧を設定した
後、50kgf/cm2の水圧を作用させた。これによ
り、供試体30には間隙水圧が発生するが、一様な間隙
水圧の状態が実現するまで約8時間静置した。
【0061】(b)間隙水圧が完全に安定した後、封圧
を150kgf/cm2に設定し直した。このとき、封
圧の増加により供試体30内の間隙が減少するので間隙
水圧が一時的に約10kgf/cm2程度上昇するが、
再び設定値に戻るまで24時間以上かけて調整した。
【0062】(c)間隙水圧が安定した後、セパレート
・バルブ(図示せず)を閉じ、供試体30の上端面およ
び下端面に接続されている力回路を遮断した。そして、
再び差圧が安定するまで約6時間程静置した。上述した
作業手順を経た後、供試体30の下端面に1kgf/c
2のパルス圧を与え、高圧・低圧側のタンク(図示せ
ず)の圧力差、つまり差圧の変化を5sec毎に計測し
た。
【0063】(d)封圧150kgf/cm2で測定し
た後、封圧を200kgf/cm2と250kgf/c
2とに設定し直し、それぞれについて前述と同様に測
定を行った。
【0064】(3)プラグ材料の透水特性 (a)供試体の準備 模型試験で用いた砂岩、モルタル、膨張セメントの透水
特性を調べるために、直径30mm、長さ60mmの寸
法を持つ円柱形供試体を用いて透水試験を実施した。図
18に供試体の形状を示し、表2に供試体の寸法を示
す。なお、供試体の整形にあたっては端面精度が±1/
100mm以下となるようにした。
【0065】
【表2】
【0066】モルタル供試体の作成は次のようにした。
内径80mm、深さ160mmの鋼鉄製の円筒形整形枠
の中に、十分に混合撹拌したモルタルを小量づつ投入し
た。投入毎に円筒上端から入れた鉄棒を介してハンマー
でモルタルを打ちつけた。この方法により、気泡が除去
され空隙率が小さいモルタルが得られるものと考えられ
る。モルタル打設後、24時間は散水養生し、その後枠
から取り出し水中養生を5日間行った。7日目にモルタ
ルを水槽から取り出し、ダイヤモンド・ビットを用いて
モルタルの中央部よりコアを採取した。採取したコアは
ダイヤモンド・カッタを用いて所定の長さに切り、その
後平面研削盤を用いて端面を整形した。
【0067】膨張セメント供試体の作成においては、膨
張圧の発生が透水性に及ぼす影響を調べるため、次のよ
うにした。外径30mm、内径28mm、長さ60mm
の鉄製の薄肉円筒内に膨張セメントを打設した。打設方
法および養生期間においてはモルタル供試体と同様に行
った。打設位置に関しては、薄肉円筒の長さより両端が
約5mm短くなるようにした。また、円筒内壁面と膨張
セメントとの隙間を間隙流体が流れるのを防ぐために、
両端面の周囲にシリコンゴム36を薄く塗布した(図1
8参照)。
【0068】さらに、膨張セメント供試体については、
打設後24時間で形枠より取り出し、拘束圧をなくした
状態で養生したもの(膨張圧開放試料と呼ぶ)も作成し
た。
【0069】(b)実験方法 透水試験は、トランジェントパルス法により模型試験に
準じて行った。なお、ベッセル41内への供試体40の
設置については模型試験と異なるため図19に概略図を
示す。図中の40は供試体、42はシリコンゴム製の被
覆、43はディストリビュータ、44,45はエンドピ
ース、46はピストン、47は入口配管、48は出口配
管である。
【0070】 (4)プラグの遮水性能(見かけの透水係数K)の評価 供試体30を円柱形と見なして下記に示す通常の方法に
よって透水係数Kを評価した。Kは、測定によって得ら
れた差圧の常用対数を縦軸に、時間を横軸にプロットし
て得られる差圧−時間線図を直線で近似し、その傾きか
ら次式によって算出する。
【0071】K=1.152λμcL/A
【0072】ここで、λは直線近似した線図の傾き、μ
は流体の粘性係数、cは流体の圧縮率、Lは供試体の長
さ、Aは供試体の断面積である。なお、定数μ,cは、
μ=1.43×10-2dyne・sec/cm2、c=
0.42×10-10cm2/dyneを用いた。
【0073】供試体30にプラグがある場合、この値が
小さいほどプラグの遮水性能があると判断され、Kを見
かけの透水係数と呼ぶことにする。
【0074】(5)実験結果 (a)模型試験 本実験で用いた供試体は直径が60mm、長さが120
mmあり、寸法が大きいため、供試体を含水飽和させる
のに多大の時間を要した。また、封圧150kgf/c
2の実験の後に、封圧200kgf/cm2に設定し直
したが、この設定条件の変更の際、供試体内部の間隙水
圧が一様になるまでに48時間以上の調整時間を要し
た。図20には縦軸に差圧の対数、横軸に時間をとって
代表的な実験結果の一例を示した。また、図中の数式は
差圧−時間線図の直線近似式である。
【0075】(b)プラグ材料の透水特性 図21には縦軸に差圧の対数、横軸に時間をとってプラ
グ材料の実験結果例を示した。また、図中の数式は差圧
−時間線図の直線近似式である。
【0076】各々の封圧において、岩石供試体では立ち
上がりをのぞく線図が直線となった。しかし、モルタル
および膨張セメントの場合は、試験期間中、有意な差圧
が発生せず、透水係数は0と評価される。
【0077】この結果より得られた各々の供試体の見か
けの透水係数Kを表3に示す。
【0078】
【表3】
【0079】(8)考察とまとめ プラグの模型試験の透水試験結果とプラグ材料の透水試
験結果との比較から、以下の諸点が導かれる。
【0080】(a)各供試体とも封圧の増加にともな
い、見かけの透水係数が減少している。
【0081】(b)膨張セメント供試体に関しては、拘
束圧を早く解放したものは、そうでないものと比べ、封
圧150kgf/cm2における透水係数の値が約16
倍大きい。この原因として、前者は内部で発生する膨張
圧のために自壊して透水性が大きくなったためと考えら
れる。
【0082】(c)見かけの透水係数Kに関して、モル
タルプラグを有する供試体は岩石プラグを有する供試体
とほぼ同じ大きさを示した。一方、モルタルの透水係数
は実質的に0であることがわかった。これより、モルタ
ルを用いた模型実験で認められた透水性は、間隙流体が
砂岩とプラグとの隙間を流れたことによって引き起こさ
れたものと考えられる。
【0083】(d)同じ寸法の円柱供試体で得られた透
水係数に関しては、美唄砂岩の方がモルタルセメント供
試体よりも2倍以上大きい値を示している。これによ
り、模型供試体内の間隙流体の流れに関して、プラグ自
体を通る流れの割合が小さく、プラグを挟む孔壁面間の
流れの割合が大きいと推定される。この推定の妥当性
は、浸透流解析によって確認されている。
【0084】(e)膨張セメントを用いた供試体におい
ては、模型試験の場合、見かけの透水係数Kがモルタル
プラグを用いたものに比べてかなり小さなものとなっ
た。これは、膨張圧がプラグ周囲の岩盤の透水性を低下
させ、その結果、孔壁面間の流量が減少したためと考え
られ、膨張セメントの膨張圧の発生がプラグの遮水性能
にかなりの効果が期待されるものと考えられる。
【0085】(f)美唄砂岩は供試体の寸法が小さくな
ると透水性も小さくなり、寸法効果の存在が示唆され
た。
【0086】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
記載の坑道の封止構造によれば、地盤に形成された坑道
に膨張性材料を固化してなるプラグが前記坑道を内面か
ら押圧した状態で配置されているので、この押圧により
プラグと地盤との境界部におけるせん断抵抗が増大し、
大きな耐圧性能を得ることができるとともに、押圧によ
りプラグ周辺の地盤が圧力が作用して、地盤の透水性が
向上し、プラグ周辺を迂回して反対側に達する流体量が
少なくなり、すなわち、大きな遮水性能を得ることがで
きる。
【0087】また、前記プラグの軸線に沿って膨張性で
ない材料からなる柱状部材が埋設されているので、プラ
グ断面の断面積が、坑道の断面積から柱状部材の断面積
が差し引かれた面積と小さくなり、プラグの長さを小さ
くすることができ、この結果、柱状部材が坑道内に配置
されていることとあいまって、プラグを構築する封止材
料を大幅に節減することができる。
【0088】本発明の請求項記載の坑道の封止構造に
よれば、請求項記載の坑道の封止構造において、前記
柱状部材が、中空材から構成され、かつ、前記プラグの
両端部を貫通して露出しているので、中空材の内部を通
して人間や物資等を運搬することができる。
【0089】本発明の請求項記載の坑道の封止構造
は、請求項又は記載の坑道の封止構造において、前
記柱状部材が前記プラグ中に脚部材により支持されて配
置されているので、柱状部材の周りに容易にかつ安定し
てプラグを配置することができ、しかも、構造的に安定
なものとすることができる。
【0090】本発明の請求項記載の坑道の封止構造に
よれば、請求項のいずれかに記載の坑道の封止構
造において、前記柱状部材の外周の一部が前記坑道の内
面に接触し、前記坑道に接触していない柱状部材の外周
と前記坑道との間に膨張性材料を固化してなるプラグが
配置されているので、プラグ断面の断面積が、坑道の断
面積から柱状部材の断面積が差し引かれた面積と小さく
なり、プラグの長さを小さくすることができ、この結
果、柱状部材が坑道内に配置されていることとあいまっ
て、プラグを構築する封止材料を大幅に節減することが
できる。
【0091】
【0092】本発明の請求項記載の坑道の封止工法に
よれば、地盤に形成された坑道内の一部に、この柱状部
材の外周面と坑道との間に膨張性材料からなる封止材料
を封入し、この封止材料を固化させることにより前記坑
道を内面から押圧した状態で封止材料を配置するので、
この押圧によりプラグと地盤との境界部におけるせん断
抵抗が増大し、大きな耐圧性能を得ることができるとと
もに、押圧によりプラグ周辺の地盤が圧力が作用して、
地盤の透水性が向上し、プラグ周辺を迂回して反対側に
達する流体量が少なくなり、すなわち、大きな遮水性能
を得ることができる。
【0093】また、前記坑道内に坑道の軸線に沿って膨
張性でない材料からなる柱状部材を配置し、この柱状部
材の外周面と坑道との間に前記封止材料を封入するよう
にしたので、封止材料の断面の断面積が、坑道の断面積
から柱状部材の断面積が差し引かれた面積と小さくな
り、プラグの長さを小さくすることができ、この結果、
柱状部材が坑道内に配置されていることとあいまって、
封止材料を大幅に節減することができる。
【0094】本発明の請求項記載の坑道の封止工法に
よれば、請求項記載の坑道の封止工法において、前記
柱状部材が中空材から構成され、この柱状部材の両端部
を露出させて前記柱状部材の外周面と前記坑道との間に
前記封止材料を封入したので、中空材の内部を通して人
間や物資等を運搬することができる。
【0095】本発明の請求項記載の坑道の封止工法に
よれば、請求項又は記載の坑道の封止工法におい
て、前記柱状部材を脚部材により支持して配置し、この
柱状部材の外周面と坑道との間に前記封止材料を封入す
るので、柱状部材の周りに容易にかつ安定してプラグを
配置することができ、しかも、構造的に安定なものとす
ることができる。
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】本発明の請求項8記載の坑道の封止工法に
よれば、請求項5〜7のいずれかに記載の坑道の封止工
法において、前記柱状部材の外周の一部を前記坑道の内
面に接触して配置し、次に、前記坑道に接触していない
柱状部材の外周と前記坑道との間に前記封止材料を封入
するので、坑道の断面形状が複雑であっても、容易にか
つ確実に封止材料を封入することができ、さらに、封止
材料の断面の断面積が、坑道の断面積から柱状部材の断
面積が差し引かれた面積と小さくなり、プラグの長さを
小さくすることができ、この結果、柱状部材が坑道内に
配置されていることとあいまって、封止材料を大幅に節
減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の坑道の封止工法及び封止構
造を示す図である。
【図2】本発明の他の実施例の坑道の封止工法及び封止
構造を示す図である。
【図3】本発明の更に他の実施例の坑道の封止工法及び
封止構造を示す図である。
【図4】本発明の更に他の実施例の坑道の封止工法及び
封止構造を示す断面図である。
【図5】図4の坑道の封止工法及び封止構造を示す斜視
図である。
【図6】本発明の更に他の実施例の坑道の封止工法及び
封止構造を示す断面図である。
【図7】本発明の更に他の実施例の坑道の封止工法及び
封止構造を示す断面図である。
【図8】本発明の更に他の実施例の坑道の封止工法及び
封止構造を示す断面図である。
【図9】本発明の更に他の実施例の坑道の封止工法及び
封止構造を示す断面図である。
【図10】本発明の更に他の実施例の坑道の封止工法に
使用される型枠を示す側面図である。
【図11】図10中のイ矢視図である。
【図12】本発明の更に他の実施例の坑道の封止工法を
示す斜視図である。
【図13】本発明の更に他の実施例の坑道の封止工法に
使用される他の実施例にかかる型枠を示す図である。
【図14】図10及び図11に示した型枠の使用例を示
す図である。
【図15】模型試験に使用した供試体の形状を示す概略
図である。
【図16】表1に対応する供試体の寸法を示す図であ
る。
【図17】模型試験を行った装置の概要を示す図であ
る。
【図18】プラグ材料の透水特性を調査するための供試
体の寸法を示す図である。
【図19】プラグ材料の透水試験を行った装置の概要を
示す図である。
【図20】模型試験における実験結果の一例を示すグラ
フである。
【図21】プラグ材料の透水試験における実験結果の一
例を示すグラフである。
【図22】従来の坑道の封止構造を示す図である。
【符号の説明】
2 坑道 3 地盤 10 封止材料 11 プラグ 12 柱状部材 13 脚部材 14 柱状部材(中空材) 15,16,17,18 柱状部材 20,21 隔壁 22 タイロッド 23 板状部材 24 補強部材 25 隔壁 26 孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E21F 15/00 - 15/10 F16L 1/024

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地盤に形成された坑道に膨張性材料を固
    化してなるプラグが前記坑道を内面から押圧した状態で
    配置されているとともに、 前記プラグの軸線に沿って膨張性でない材料からなる柱
    状部材が埋設されている ことを特徴とする坑道の封止構
    造。
  2. 【請求項2】 前記柱状部材が、中空材から構成され、
    かつ、前記プラグの両端部を貫通して露出していること
    を特徴とする請求項1記載の坑道の封止構造。
  3. 【請求項3】 前記柱状部材が前記プラグ中に脚部材に
    より支持されて配置されていることを特徴とする請求項
    1又は2記載の坑道の封止構造。
  4. 【請求項4】 前記柱状部材の外周の一部が前記坑道の
    内面に接触し、前記坑道に接触していない柱状部材の外
    周と前記坑道との間に膨張性材料を固化してなるプラグ
    が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載の坑道の封止構造。
  5. 【請求項5】 地盤に形成された坑道内の一部に、坑道
    の軸線に沿って膨張性でない材料からなる柱状部材を配
    置し、この柱状部材の外周面と坑道との間に膨張性材料
    からなる封止材料を封入し、この封止材料を固化させる
    ことにより前記坑道を内面から押圧した状態で封止材料
    を配置することを特徴とする坑道の封止工法。
  6. 【請求項6】 前記柱状部材が中空材から構成され、こ
    の柱状部材の両端部を露出させて前記柱状部材の外周面
    と前記坑道との間に前記封止材料を封入したことを特徴
    とする請求項5記載の坑道の封止工法。
  7. 【請求項7】 前記柱状部材を脚部材により支持して配
    置し、この柱状部材の外周面と坑道との間に前記封止材
    料を封入することを特徴とする請求項5又は6記載の坑
    道の封止工法。
  8. 【請求項8】 前記柱状部材の外周の一部を前記坑道の
    内面に接触して配置し、次に、前記坑道に接触していな
    い柱状部材の外周と前記坑道との間に前記封止材料を封
    入することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載
    の坑道の封止工法。
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