JP3491971B2 - セメント添加材及びセメント組成物 - Google Patents

セメント添加材及びセメント組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セメント添加材及びセ
メント組成物、特にセメントのブリーディングや材料分
離を防止するセメント添加材及びセメント組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術とその課題】モルタルやコンクリートを打
設した際に、特に、水セメント比が大きい場合、低温等
で水和反応が遅れる場合、並びに、細骨材中の微粉分が
少ない場合等に、モルタルやコンクリートの混練り水が
セメント粒子や骨材の沈降により上方に集まる、いわゆ
る、ブリーディングが発生することがある。
【0003】このブリーディングは、材料分離の一種で
あり、粗骨材の下面や水平鉄筋の下側に水膜をつくり、
鉄筋とコンクリートとの付着を弱め、水脈によって生じ
た空隙はコンクリートの水密性や耐久性を悪くし、ブリ
ーディング水とともに浮上した微粒子がモルタルやコン
クリート上面に堆積し、レイタンスを生じ充填や打ち継
ぎ時の打ち継ぎ面の付着を弱くするものであり、セメン
トが凝結を始め、セメント、細骨材、及び粗骨材等の固
体粒子相互の接触が安定するまで生じるものである。
【0004】従来より、ブリーディングや材料分離を防
止するために、使用水量の少なくしたモルタルやコンク
リートが用いられている。
【0005】モルタルやコンクリートの使用水量を少な
くするために化学混和剤であるAE減水剤、高性能減水
剤、及び高性能AE減水剤等が使用されている。
【0006】AE減水剤で使用水量を多量に減らすこと
は、遅延性が増加したり、連行空気量が過剰に多くなる
ことから困難である等の課題があった。
【0007】また、高性能減水剤や高性能AE減水剤を
使用すると、そのような課題が少なく、使用水量を多量
に減らすことが可能であるが、コストが高くなるばかり
でなく、少量の水量変動により流動性の変化が大きくな
る等の課題があった。
【0008】また、ブリーディングや材料分離を防止す
るためには、この他、骨材は適度の粒度分布を持った
ものを使用し、細骨材の0.15〜1.2mmのものが少なくな
らないように調整すること、良質なフライアッシュや
シリカフュームなどの微粒子を補充すること、細骨材
率を大きくすること、及び単位セメント量を増やし粘
性を付与すること等があるが、新設備の設置が必要にな
る場合があることや、材料の入手難や取り扱いが容易で
ない場合があるなど、ブリーディングや材料分離を完全
に防止することは難しいという課題があった。
【0009】最近は河川からの骨材採取の規制、骨材の
需要の増大等により玉砂利や川砂ではなく砕石や砕砂を
使用することが多く、使用水量が増加する傾向にあり使
用水量を希望どおり減少させることは難しくなってい
る。
【0010】一方、高分子増粘剤や分離低減剤をモルタ
ルやコンクリートに混入して、凝結までの粘性を付与す
ることによって、ブリーディングや材料分離を防ぐ方法
が知られている。
【0011】高分子増粘剤や分離低減剤として、カル
ボキシメチルセルロース、メチルセルロース、及びヒド
ロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系、
ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキサイド、
ポリアクリルアミド、及びポリビニルアルコール等の合
成品系、ヒドロキシエチル澱粉、カルボキシメチル澱
粉、及びジアルデヒド澱粉等の澱粉系、カードラン、
ブルラン、デキストラン、及びキサンタン等のバイオポ
リマー系等が挙げられる(特開平5−139806号公報や特開
平5−186637号公報)。
【0012】しかしながら、ブリーディングや材料分離
を有効に防止するために、必要量の高分子増粘剤等を添
加すると、粘度の増加に伴い流動性が低下する等の課題
があった。また、夏季と冬季などの温度による粘性の相
違や、AE減水剤、高性能減水剤、及び高性能AE減水
剤等と併用すると、特に、低温時の凝結時間が長くな
る、連行空気量が増えるなどの課題があった。
【0013】また、無機質微細繊維を混入し分離の無い
高流動コンクリートも提案されているが、添加率に比例
して流動性が低下する等の課題があった(特開平5−1170
04号公報)。
【0014】本発明者は、前記課題を解決すべく、種々
検討を重ねた結果、特定のセメント添加材を使用するこ
とによって、前記課題が解決でき、流動性の低下がな
く、凝結時間の遅延がない、さらには、連行空気量が増
加する等の課題のないセメント組成物が得られるという
知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0015】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、エーテ
ル結合を有し、水酸化カルシウム飽和溶液中での膨潤度
が2〜8重量%の架橋澱粉を含有してなるセメント添加
材であり、セメントと該セメント添加材を含有してなる
セメント組成物である。
【0016】以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】本発明で使用する架橋澱粉は、2箇所以上
の水酸基に多官能基を結合させた澱粉誘導体で、わずか
の架橋量で澱粉の性質が大きく変化するものである。澱
粉の架橋剤としては多数あり、オキシ塩化燐やトリメタ
燐酸ナトリウムなどがあるが、これを使用した燐酸架橋
澱粉は、強アルカリで加水分解し溶解するので好ましく
ない。本発明では、エーテル結合を有する架橋澱粉の使
用が好ましい。具体的には、アクロレインやエピクロー
ルヒドリンなどの架橋剤を使用したメチロール架橋澱粉
やヒドロキシアルキル架橋澱粉などであり、架橋度に比
例し膨潤度や溶解度は減少する。ここで、膨潤度とは、
1gの澱粉が吸水した水の重量を示す。また、架橋澱粉
は、セメント中と同様である水酸化カルシウム飽和溶液
中でほとんど溶解せず、徐々に膨潤し、その膨潤度は2
〜8重量%である。2重量%未満では充分な効果が得ら
れず、8重量%を越えると初期の流動性が得られず経時
変化が大きくなる傾向がある。膨潤度は、トウモロコ
シ、小麦、馬鈴薯、タピオカ、及び甘藷等の澱粉原料に
より異なり、エーテル架橋剤の種類、エーテル化度、及
び架橋度等により変化する。エーテル結合を有する架橋
澱粉が水酸化カルシウム飽和溶液の高アルカリ中の高温
での機械的な撹拌にも加水分解や糊化溶解せず安定であ
る。架橋澱粉の粒度は、200メッシュの篩を90%以上通
過する粒子径が好ましい。この範囲外では、本発明のセ
メント添加材が、セメントと骨材間に分散し、溶解しな
いために、凝結が始まるまでの間のブリーディングや材
料分離を防止することができない傾向がある。架橋澱粉
の使用量は、セメント100重量部に対して、0.1〜6重量
部が好ましく、0.2〜3重量部がより好ましい。0.1重量
部未満では充分な効果が得られず、6重量部を越えると
初期の流動性が得られず、使用量に見合った効果が得ら
れにくい傾向がある。
【0018】本発明で使用するセメントとしては、普
通ポルトランドセメントや早強ポルトランドセメントな
どの各種ポルトランドセメント、高炉セメント、シリ
カセメント、及びフライアッシュセメントの各種混合セ
メント、アルミナセメント、並びに、超速硬セメン
ト等が挙げられる。
【0019】本発明のセメント添加材は粉体で使用して
も良く、水溶液に分散させても使用可能である。
【0020】本発明では、水溶液に分散させる際に、分
散剤として高性能減水剤等を、また、ブリーディングや
材料分離の防止材として高分子増粘剤等を併用すること
が、貯蔵安定性やセメントへの分散性を容易にする面か
ら好ましい。
【0021】本発明のセメント組成物に、さらに、高分
子増粘剤、分離低減剤、AE減水剤、高性能減水剤、高
性能AE減水剤、流動化剤、及び消泡剤等の混和剤、膨
張材、並びに、急硬材等を併用することも可能である。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに説明
する。
【0023】実施例1 セメント100重量部、高性能減水剤1重量部、及び表1
に示す各種架橋澱粉を粉状で0.6重量部混合し、その
後、細骨材200重量部を配合し、水/(セメント+澱粉)
比を48%とし、モルタルミキサを使用し90秒間、20℃で
練り混ぜ、練り混ぜ途中で20秒間のかきおとしを行い、
モルタルを調製した。調製したモルタルの流動性、ブリ
ーディング率、分離性、及び強度を測定した。結果を表
1に併記する。
【0024】<使用材料> セメント :普通ポルトランドセメント、電気化学工業
社、小野田社、及び住友社3銘柄等量混合品 細骨材 :新潟県姫川産川砂、FM2.82、比重2.61、
5mm下 減水剤 :メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、粉
体
【0025】<測定方法> フロー値 :流動性を評価するため測定、練り上がり
後、所定の時間のフローコーンを抜いただけのモルタル
の広がり ブリーディング率:JIS A 1104に準じ、内径14×内高13
cmの容器を使用し、(ブリーディング水量/試料中の水
量)×100で算出 分離性 :φ5×10cmの型枠にモルタルを充填して成
形し、その成形体の上部に材料分離で骨材がない状態で
硬化した細かい粒子を取り除き、取り除いた後の成形体
の高さを4カ所測定し、その平均 強度 :分離性を測定後、成形体をキャッピングし
供試体とし、JIS A 1108に準じて、材令24時間の圧縮強
度を測定
【0026】
【表1】
【0027】実施例2 膨潤度4重量%の架橋澱粉と市販増粘剤とを使用して表
2に示すように、セメント100重量部に対する使用量を
変えたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表2
に併記する。
【0028】<使用材料> 市販増粘剤:バイオポリサッカライト、山宗化学社製商
品名「ビスコン100」
【0029】
【表2】
【0030】実施例3 混練温度を30℃とし、表3に示すように膨潤度の異なっ
た架橋澱粉をセメント100重量部に対して、0.5重量部配
合し、流動性と強度を測定したこと以外は実施例1と同
様に行った。結果を表3に併記する。
【0031】
【表3】
【0032】実施例4 混練温度を5℃とし、表4に示すように膨潤度4重量%
の澱粉、並びに、澱粉の代わりに各種混和剤を配合した
こと以外は実施例1と同様に行った。結果を表4に併記
する。
【0033】<使用材料> 混和剤A :ヒドロキシプロピルメチルセルロース、信
越化学工業社製商品名「メトローズ65SH」 混和剤B :高吸水性樹脂、三洋化成社製商品名「B-13
0」、数100ミクロンの微粉 混和剤C :ダイセル化学工業社製商品名「セリッシュK
Y-100S」、微小繊維
【0034】
【表4】
【0035】実施例5 単位セメント量460kg/m3のセメントと、膨潤度4重量%
の架橋澱粉を表5に示すように混合し、さらに、単位量
867kg/m3の細骨材を配合し、20℃恒温室で、パン型ミキ
サを使用してモルタルを空練りした。その後、粗骨材79
0kg/m3と、高性能AE減水剤をセメント100重量部に対
して、1.6重量部を溶解した水を160kg/m3投入し、水セ
メント比35%、細骨材率53%の超流動性のコンクリート
を調製し、テーブルフロー、空気量、ブリーディング
率、及び所定材令の圧縮強度を測定した。なお、比較の
ため、架橋澱粉を配合しない例も同様に行った。結果を
表5に示す。
【0036】<使用材料> 粗骨材 :新潟県姫川産川砂利、比重2.67、Gmax 25m
m 減水剤 :高性能AE減水剤、デンカグレース社製商
品名「ダーレックススーパー100PHX」、主成分ポリカルボ
ン酸系
【0037】<測定方法> スランプフロー:JIS A 1191「コンクリートのスランプ
試験方法」に準じ、コンクリートの広がりの直径を、最
大と認められ方向とそれに直角の方向との2方向を0.5c
mまで測定しその平均 圧縮強度 :JIS A 1108 「コンクリートの圧縮強度試
験方法」に準じ測定
【0038】
【表5】
【0039】
【発明の効果】本発明のセメント添加材は、流動性を低
下させること無く、また、低温時の凝結時間の遅れが無
く、さらには、連行空気を増加させること無く、ブリー
ディングや材料分離防止することができる等の効果を奏
する。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エーテル結合を有し、水酸化カルシウム
    飽和溶液中での膨潤度が2〜8重量%の架橋澱粉を含有
    してなるセメント添加材。
  2. 【請求項2】 セメントと請求項1記載のセメント添加
    材を含有してなるセメント組成物。
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