JP3530497B2 - 指向性パターン計測システム及び方法 - Google Patents

指向性パターン計測システム及び方法

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JP3530497B2
JP3530497B2 JP2001062204A JP2001062204A JP3530497B2 JP 3530497 B2 JP3530497 B2 JP 3530497B2 JP 2001062204 A JP2001062204 A JP 2001062204A JP 2001062204 A JP2001062204 A JP 2001062204A JP 3530497 B2 JP3530497 B2 JP 3530497B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、指向性パターン計
測システム及び方法に係り、特に、低高度軌道(高度数
100km〜数1000km)又は中高度軌道(高度1
万km程度)の地球周回軌道を回る衛星から放射される
電波を用いて、アンテナの指向性パターン及び鏡面形状
の計測を、簡便、かつ短時間で行う指向性パターン測定
示システム及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、大口径(大型)のパラボラアン
テナ(特に、電波天文学で用いられる大口径電波望遠
鏡)では、鏡面およびその支持機構に対して自重による
構造変形を許容した柔構造が採用されている。このよう
な柔構造を採るアンテナは、アンテナの仰角により鏡面
が重力変形することになるが、変形後も焦点距離が変化
するのみで、鏡面の形状自体は双曲線形状を保持するよ
うな、いわゆるホモロガス変形法による設計に基づいて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際に
製作される望遠鏡では、焦点位置の決定精度や鏡面、支
持構造の経年変化などさまざまな要因により、必ずしも
指向性パターンおよび主鏡面形状が理想的な形状を維持
しているとは言い難い。このため、アンテナの仰角ごと
の指向性パターンおよび鏡面形状の計測が重要となる。
【0004】アンテナの指向性パターンの計測では、通
常、計測の対象となるアンテナから十分遠方と考えられ
る地点に作られた計測用タワーや遠くの高い山の上など
に設置された参照電波源に対して、アンテナの方向を変
化させ、受信信号の強度(電波強度)を記録する。但
し、参照電波源を計測用タワーや山の上に設置した場
合、アンテナからみた参照電波源に対する仰角はあまり
大きく設定できない。このため、高い仰角に対する計測
を行う場合、例えば、静止衛星のビーコン電波(ビーコ
ン信号)を用いることもある。
【0005】しかしながら、上述の方法では、電波源の
位置が固定されているため、測定できる仰角を任意の値
に設定することができない。一方、仰角を任意の値に設
定可能な方法としては、例えば、電波強度の非常に強い
天体を利用した計測などが試みられている。ただし、こ
の方法では、電波源である天体に対してアンテナを走査
中にも天体の高度が時々刻々変化してしまうために、指
向性パターンの計測を正確に行うことが困難であること
が想定される。そこで、任意の仰角で指向性パターンを
計測するために、非静止型の衛星を利用した方法が試み
られている。しかしながら、この方法は、1機の衛星の
みを利用した計測であるためビーム形状を精密に計測す
るには長い時間を要すると共に、アンテナ周囲の環境変
化(例えば、大気中にムラを作って分布している水蒸
気、水滴等)などにより厳密な計測は困難であった。
【0006】ここで、本発明に関連する技術について説
明する。本発明者らは、アンテナの指向性パターンを計
測する場合に必要となる参照電波源としては、さまざま
な仰角の位置に設定できることが理想であるという前提
のもとに、近年普及してきた移動体通信およびグローバ
ルネットワークにおける、低高度軌道(高度数100k
m〜数1000km)又は中高度軌道(高度1万km程
度)の地球周回軌道を回る複数の小型衛星(例えば、非
静止型通信衛星)を配置した通信システムに着目した。
さらに、本発明者らは、このような複数の非静止型通信
衛星が放射する複数のビーコン電波を用いることによ
り、天球上に参照電源を常時確保できることに着目し
た。
【0007】本発明は、以上の点に鑑み、計測対象アン
テナの仰角を固定して、複数の非静止型衛星からのビー
コン信号を利用することで、ある仰角に対する計測対象
アンテナの正確な二次元指向性パターン(例えば、仰角
ごとの電波強度、感度パターン)を計測することを目的
とする。また、本発明は、大型アンテナの性能評価を短
時間で正確かつ安価に行うことを目的とする。
【0008】また、本発明は、アンテナの鏡面の重力変
形に影響する、仰角方向の動きを原理的に伴わない厳密
な指向性パターンの計測を行うことを目的とする。ま
た、本発明は、計測対象アンテナ(大型アンテナ)にお
いて、仰角が変わったことによる鏡面形状の変形に伴っ
た、二次元指向性パターンの変形を計測することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の解決手段
によると、仰角が所定角度に設定され、複数の衛星から
放射される電波を受信するための第1アンテナと、前記
第1アンテナにより受信した電波強度を第1データに変
換し、時刻毎にその時刻を基準として複数サンプリング
した複数の該第1データを含む第1データ列を第1ファ
イルに記憶する第1受信機と、前記第1アンテナの近傍
に配置され、該電波を受信するための第2アンテナと、
前記第2アンテナにより受信した電波強度を第2データ
に変換し、時刻毎にその時刻を基準として複数サンプリ
ングした複数の該第2データを含む第2データ列を第2
ファイルに記憶する第2受信機と、前記衛星の各時刻ご
との位置を示す衛星の仰角及び方位角を記憶した衛星位
置データファイルと、前記第1及び2ファイルからある
時刻の該第1及び2データを読み出し、該第1データと
第2データとの強度比を求め、前記第1アンテナによる
校正電波強度を算出し、さらに、前記衛星位置データフ
ァイルから該衛星の仰角及び方位角を読み出して、前記
第1アンテナの仰角及び方位角に対応づけることによ
り、該校正電波強度、前記第1アンテナの仰角及び方位
角を含む複数の校正結果ファイルを作成する校正用計算
機と、前記複数の校正結果ファイルから前記第1アンテ
ナの仰角及び方位角、校正電波強度を読み出し、前記第
1アンテナの二次元指向性パターンを算出し、前記第1
アンテナの所定角度の仰角における二次元指向性パター
ンを含む指向性パターンファイルを作成するデータ処理
装置とを備えた指向性パターン計測システムを提供す
る。
【0010】本発明の第2の解決手段によると、仰角が
所定角度に設定され、複数の衛星から放射される電波を
受信するための第1アンテナにより受信した電波強度を
第1データに変換し、時刻毎にその時刻を基準として複
数サンプリングした複数の該第1データを含む第1デー
タ列を第1ファイルに記憶するステップと、前記第1ア
ンテナの近傍に配置され、該電波を受信するための第2
アンテナにより受信した電波強度を第2データに変換
し、時刻毎にその時刻を基準として複数サンプリングし
た複数の該第2データを含む第2データ列を第2ファイ
ルに記憶するステップと、前記第1及び2ファイルから
ある時刻の該第1及び2データを読み出し、該第1デー
タと第2データとの強度比を求め、前記第1アンテナに
よる校正電波強度を算出し、さらに、前記衛星の各時刻
ごとの位置を示す衛星の仰角及び方位角を記憶した前記
衛星位置データファイルから該衛星の仰角及び方位角を
読み出して、前記第1アンテナの仰角及び方位角に対応
づけることにより、該校正電波強度、前記第1アンテナ
の仰角及び方位角を含む複数の校正結果ファイルを作成
するステップと、前記複数の校正結果ファイルから前記
第1アンテナの仰角及び方位角、校正電波強度を読み出
し、前記第1アンテナの二次元指向性パターンを算出
し、前記第1アンテナの所定角度の仰角における二次元
指向性パターンを含む指向性パターンファイルを作成す
るステップとを含む指向性パターン計測方法を提供す
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態を詳細に説明する。 A.指向性パターン計測システムの構成 図1は、本発明に関する指向性パターン計測システム1
00の概略構成図である。指向性パターン計測システム
100は、例えば、計測対象アンテナ10と、第1受信
機15と、参照用アンテナ20と、第2受信機25と、
軌道予測計算機30と、校正用計算機40と、データ処
理装置50と、衛星60と、記憶装置70とを含む。ま
た、記憶装置70は、例えば、計測アンテナファイル7
1、参照アンテナファイル72、衛星位置データファイ
ル73、校正結果ファイル74及び指向性パターンファ
イル75を含む。なお、衛星60は、例えば、地球の周
回軌道を低高度(高度数100km〜数1000km)
又は中高度(高度1万km程度)で回る非静止型衛星で
あって、ビーコン信号を放射している。
【0012】ここで、本発明に関する指向性パターン計
測システム100に関連する事項について概説する。指
向性パターン計測システム100は、大口径アンテナで
ある計測対象アンテナ10の仰角を固定した状態で、複
数の衛星60からの電波(無変調電波、例えば、ビーコ
ン信号)を受信することで、ある仰角に対する計測対象
アンテナ10の正確な二次元指向性パターン(「指向性
パターン」とは、ある仰角に対する、受信及び/又は送
信の電波強度を意味する。)を計測するためのシステム
である。
【0013】一般に、大口径アンテナは、重力の方向と
平行な方向(鉛直方向)の駆動軸(ここでは、方位軸)
と、鉛直方向に垂直な方向の駆動軸(ここでは、仰角
軸)とを備える。ここで、大口径アンテナの重力変形
は、原理的には、主に、仰角軸まわりに回転させたとき
にのみ発生するので、アンテナの形状変形は、仰角軸方
向にアンテナを動かしたときのみ起こると仮定し、衛星
60の捕捉のために方位軸方向にアンテナを動かして
も、アンテナの形状変形が発生しない(又は変形しても
影響が少ない)ものとする。
【0014】計測対象アンテナ10は、衛星60の通過
軌道(図中、矢印)を予測して衛星60を待ち受けてい
る大型(大口径)アンテナであって、衛星60からのビ
ーコン信号を受信するための略双曲線形状等の鏡面を備
える。第1受信機15は、例えば、衛星60が放射する
ビーコン電波など無変調電波を、計測対象アンテナ10
が受信することで得られる電圧値(受信電波強度に比例
した情報)を入力データとして増幅し、内部のA−D変
換器で取り込める周波数に変換した後、このA−D変換
器によりサンプリングし、時系列ディジタルデータとし
て、記憶装置70内の計測アンテナファイル71に記憶
する。また、サンプリング速度は、衛星60の移動に伴
うドップラー効果による受信信号の周波数変動幅に依存
するが、例えば、1MHz程度とすることができる。
【0015】参照用アンテナ20は、例えば、衛星60
を常時追跡するための小型アンテナであって、計測対象
アンテナ10の近傍に配置され、第1受信機15で受け
たビーコン電波の大気吸収による変動や衛星60ごとの
放射強度の違いを校正するためのものである。第2受信
機25は、例えば、衛星60が放射するビーコン電波な
ど無変調電波を、参照用アンテナ20が受信することで
得られる電圧値(受信電波強度に比例した情報)を、入
力データとして増幅し、内部のA−D変換器で取り込め
る周波数に変換した後、このA−D変換器によりサンプ
リングし、時系列ディジタルデータとして、記憶装置7
0内の参照アンテナファイル72に記憶する。なお、サ
ンプリング速度は、第1受信機15と同様に、1MHz
程度とすることができる。
【0016】また、軌道予測計算機30は、衛星60の
軌道を予測し、計測対象アンテナ10及び参照用アンテ
ナ20をその方向に向ける制御を行わせるための処理を
行うものである。また、記憶装置70内の衛星位置デー
タファイル73は、例えば、衛星60の各時刻ごとの位
置データ(ここで、衛星の位置データとしては、汎用性
のある「衛星の方位角」、「衛星の仰角」が記憶されて
いるが、この衛星の位置データと、計測対象アンテナ1
0及び参照用アンテナ20の2つの駆動軸の「方位角」
「仰角」との相対関係についての情報も記憶されてもよ
い。)を記憶する。この軌道予測計算機30は、衛星位
置データファイル73内に記憶された所望の時刻の衛星
60の位置データに基づき、計測対象アンテナ10及び
参照用アンテナ20の方向を制御する。これにより、計
測対象アンテナ10は、衛星60の通過点(図中、矢
印)を予測して衛星60を待受けることができる。な
お、参照用アンテナ20も、衛星60の位置データに応
じて図示しない駆動軸を駆動させ、衛星60を常時追跡
することができる。
【0017】校正用計算機40は、第1受信機15によ
り作成された記憶装置70内の計測アンテナファイル7
1と、第2受信機25により作成された記憶装置70内
の参照アンテナファイル72と、これらのファイルが作
成された際の衛星60の位置データ(衛星の方位角、仰
角)を記憶した記憶装置70内の衛星位置データファイ
ル73とから各データを読み出し、第1受信機15で受
けたビーコン電波の大気吸収による変動や衛星60ごと
の放射強度の違いを校正することにより、衛星の方位
角、仰角に対応した校正結果を含むデータを、記憶装置
記70内の校正結果ファイル74に記憶する。
【0018】データ処理装置50は、校正用計算機40
により作成された軌道の異なる複数の衛星60ごとの複
数のデータを記憶した校正結果ファイル74に基づい
て、ある仰角の二次元指向性パターン(電波強度)を作
成し、さらに、仰角を変えて計算処理することで、仰角
ごとの電波強度を算出し、このデータを、記憶装置記7
0内の指向性パターンファイル75に記憶する。
【0019】B.指向性パターン計測の動作 B−1.動作概要 図2は、本発明に関する指向性パターン計測システム1
00のフローチャートである。なお、説明の便宜上、こ
こでのフローチャートの説明は、概略的なものとし、具
体的な説明は後述する。まず、ステップS101では、
軌道予測計算機30は、予め軌道予測計算機30が記憶
装置70より読み出した衛星位置データファイル73に
基づいて、計測対象アンテナ10の上空を通過する衛星
60の軌道を計算する。
【0020】ここで、図3は、衛星位置データファイル
73の説明図である。衛星位置データファイル73は、
ある衛星60の位置を示すための汎用性のある位置デー
タ「衛星の方位角」「衛星の仰角」を含む。計測対象ア
ンテナ10は、軌道予測計算機30による制御に従っ
て、仰角を一定としたまま、算出された衛星60の軌道
に応じて、方位角軸方向に回転させて、衛星60が計測
対象アンテナ10のビーム内(電波を受信することが可
能な範囲)を通過するのを待ち受け、衛星60からのビ
ーコン信号等の無変調電波を受信する(S101)。な
お、計測対象アンテナ10の近傍に配置した参照用アン
テナ20は、同じく、軌道予測計算機30による制御に
従って、算出された衛星60の軌道に応じて駆動軸を駆
動させ、衛星60を追跡してビーコン信号の強度を常時
計測する。
【0021】つぎに、ステップS103では、第1受信
機15は、計測対象アンテナ10により受信したビーコ
ン信号に基づいて、求められた電波強度を時刻に対応し
て記憶装置70内の計測アンテナファイル71に記憶す
る。また、第2受信機25は、参照用アンテナ20によ
り受信したビーコン信号に基づいて、求められた電波強
度を時刻に対応して記憶装置70内の参照アンテナファ
イル72に記憶する。
【0022】ここで、図4に、記憶装置70に記憶され
た各ファイルについての説明図を示す。図4は、計測ア
ンテナファイル71及び参照アンテナファイル72の説
明図を示している。第1受信機15によるサンプリング
後のデータ形式は、例えば、ヘッダ無し、1データは2
Byte(1Word)に相当しており、1pps同期
信号(1ビット:図中、「A」)と、予備外部入力1
(1ビット:図中、「B」)と、予備外部入力2(1ビ
ット:図中、「C」)と、予備外部入力3(1ビット:
図中、「D」)と、A−D変換された電波強度に関する
データ(12ビット)とを含む。
【0023】記録形式は、例えば、日を表すデータ(8
ビット:図中、「日」)と、時を表すデータ(8ビッ
ト:図中、「時」)と、分を表すデータ(8ビット:図
中、「分」)と、秒を表すデータ(8ビット:図中、
「秒」)と、この時刻を基準とする所定期間に複数のサ
ンプリングされたデータ列(16ビット:図中、データ
1、2、3...)とを含む。
【0024】つぎに、ステップS105では、校正用計
算機40は、ステップS103でそれぞれ記憶された計
測アンテナファイル71及び参照アンテナファイル72
を参照し、そのデータに基づいて、計測対象アンテナ1
0で受信された電波の強度と、参照用アンテナ20で受
信された電波の強度との強度比を求めることにより、ビ
ーコン電波の大気吸収による変動や衛星60ごとの放射
強度の違いを校正した校正結果を求める。また、1つの
衛星60における校正後の電波強度の時間変化は、1つ
の衛星60の軌道(通過経路方向)に沿った計測対象ア
ンテナ10の一次元指向性パターン(ここで、「一次
元」とは、1つの衛星60からのビーコン信号だけに基
づいて算出されたデータであることを意味する)を示
す。
【0025】また、校正用計算機40は、上述の記憶装
置70より衛星位置データファイル71に含まれる衛星
60の位置データ(「衛星の方位角」、「衛星の仰
角」)を、計測対象アンテナ10の駆動軸における「方
位角」「仰角」として対応づけて、計測対象アンテナ1
0の方位角及び仰角に対する校正結果を校正結果ファイ
ル74に記憶する。さらに、校正用計算機40は、多数
の非静止衛星軌道に対して校正結果ファイル74を求め
る処理を繰り返し、それぞれの軌道に対する複数の衛星
60についての複数の校正結果ファイル74−k(k=
1〜n)を作成する。
【0026】ここで、図5に、校正結果ファイル74−
kの説明図を示す。校正結果ファイル74−k(k=
1、2...n)の各サンプリングにおけるデータのデ
ータ形式としては、例えば、浮動小数点データとして表
現された「計測対象アンテナ10の方位角」と、「計測
対象アンテナ10の仰角」と、「校正結果」とを含む。
また、校正結果ファイル74の記録形式としては、例え
ば、日を表すデータ(8ビット:図中、「日」)と、時
を表すデータ(8ビット:図中、「時」)と、分を表す
データ(8ビット:図中、「分」)と、秒を表すデータ
(8ビット:図中、「秒」)と、この時刻を基準とする
所定期間内にサンプリングされたデータ列(16ビッ
ト:図中、データ1、2、3...)とを含む。
【0027】つぎに、ステップS107では、データ処
理装置50は、通過する軌道の異なる複数の衛星60に
よる複数のビーコン信号ごとに、上述のステップS10
1〜S105を繰り返すことで求められた複数の校正結
果ファイル74−k(k=1、2...n)を読み取
り、計測対象アンテナ10の二次元指向性パターンを取
得する。さらに、データ処理装置50は、得られた二次
元指向性パターンを、仰角に対応して指向性パターンフ
ァイル75に記憶する。
【0028】図6は、仰角ごとの二次元指向性パターン
ファイル75の説明図である。指向性パターンファイル
75は、例えば、計測対象アンテナ10の仰角と、この
仰角に対応した受信又は送信電波強度(感度)について
の二次元指向性パターンを記憶したものである。ここで
の仰角ごとの指向性パターンファイル75は、例えば、
仰角が30°、40°、50°であれば、二次元指向性
パターンがそれぞれA、B、Cとなる。なお、ステップ
S101及びS103は、衛星60からのビーコン信号
を受信した時刻情報が必要であるため実時間処理とし、
一方、ステップS105及びS107は、オフライン処
理とすることもでき、また、全ステップを実時間処理す
ることもできる。 B−2.校正用計算機40の詳細処理(S105につい
て)
【0029】ここで、主に、校正用計算機40での校正
処理について詳細に説明する。図7は、校正用計算機4
0の校正処理を示す説明図である。まず、校正用計算機
40は、記憶装置70内の計測アンテナファイル71及
び参照アンテナファイル72から所定時刻を基準とする
所定期間にサンプルされた電波強度に関するデータ列を
それぞれ読み込む(S201、S203)。ここで、ス
テップS201、S203により読み込まれ、第1受信
機15及び第2受信機25で作成された計測アンテナフ
ァイル71及び参照アンテナファイル72の記録形式
(図4参照)に従う時系列ディジタルデータは、横軸を
時間、縦軸を周波数の振幅とした場合、グラフ42に示
すような状態を記憶したものである。
【0030】つぎに、校正用計算機40は、例えば、非
静止型通信衛星である衛星60が放射する無変調電波
(ビーコン信号)は、非常に狭い周波数だけに電波が集
中しているので、グラフ42で示される計測アンテナフ
ァイル71及び参照アンテナファイル72に記憶された
時系列ディジタルデータを、それぞれ例えば、高速フー
リエ変換により周波数スペクトルデータに変換する(S
205、S207)。ここで、ステップS205、S2
07で算出される周波数スペクトルデータは、横軸を周
波数、縦軸を受信電波の強度、さらに、時間軸を用いた
場合、グラフ44で示すような状態となる。
【0031】また、校正用計算機40は、グラフ44上
に現れる鋭いピークの値を受信電波の強度として捉え、
この値を用いて校正を行う。具体的には、計測アンテナ
ファイル10のデータから求めたスペクトルのピーク値
をVm、そのベース(ビーコン以外の周波数のところの
電波強度)をVbmとし、一方、参照アンテナファイル
20のデータから求めたピーク値をVr、そのベース
(ビーコン以外の周波数のところの電波強度)をVbr
として、これらの値(Vm、Vbm、Vr、Vbr)
を、グラフ44から検出する(S209、S211)。
【0032】つぎに、校正用計算機40は、ステップS
209、S211から検出したこれらの値を用いて、数
式(1)により校正後のデータである校正結果Vcを算
出する。 Vc=(Vm−Vbm)/(Vr−Vbr) (1) また、校正用計算機40は、衛星60の各時刻ごとの位
置データ(「衛星の方位角」「衛星の仰角」)を記録し
た衛星位置データ73ファイルを読み出すと共に、この
位置データを計測対象アンテナ10の駆動軸における
「計測対象アンテナ10の方位角」「計測対象アンテナ
10の仰角」と対応づける。校正用計算機40は、これ
らの算出された「計測対象アンテナ10の方位角」「計
測対象アンテナ10の仰角」に対応して「校正結果V
c」を校正結果ファイル74に記憶する(S213)。
なお、ステップS201〜211は、積分時間単位に相
当する回数だけ繰り返され、ステップS201〜213
は、計測時間中、繰り返される。
【0033】ここで、校正用計算機40のステップS1
05での校正処理における時刻同期方法について説明す
る。計測アンテナファイル71と参照アンテナファイル
72の先頭に書き込まれた時刻情報(1ビットの1pp
s同期信号ビット:図4における、「A」)は、±0.
5秒程度の誤差を含む場合がある。本発明に関する指向
性パターン計測システム100では、計測対象アンテナ
10で収集したデータと参照用アンテナ20で収集した
データの間で、時刻がミリ秒単位で一致していることが
必要である。このため、各データの最上位ビットに記録
された1pps同期信号を用いて時刻同期を行う。この
1pps同期信号は、例えば、1秒の開始に同期してO
N(=”1”)になり、さらに、25ミリ秒後にOFF
(=”0”)になる動作を繰り返すパルス信号である。
このため、2つのファイルのデータからこのパルス信号
がONになった瞬間を検出し、その直後のデータから処
理を実行することで、高い時刻の一致度を得る。また、
2つのファイル上で処理の開始位置を検出する場所は、
あらかじめ±0.5秒以内で一致している必要がある。
なお、1pps同期信号は、例えば、安価なGPS受信
機などから取得できる。
【0034】B−3.データ処理装置50の詳細処理
(ステップS107について) 図8は、データ処理装置50での二次元指向性パターン
計算を示すフローチャートである。データ処理装置50
は、まず、固定された仰角での計測対象アンテナ10に
おける複数のビーコン信号に基づいて作成された複数の
校正結果ファイル74−k(k=1〜n)を読み込む
(S301)。つぎに、データ処理装置50は、ステッ
プS301での複数の1〜nに基づいて、アンテナ内の
位置角(仰角、方位角)で表される二次元座標上への校
正電波強度についてデータ設定(プロット)を行う(S
303)。また、データ処理装置50は、ステップS3
01で得られたデータ設定について補間処理を行い(S
305)、さらに、二次元指向性パターンを表示すると
共に、仰角ごとに二次元指向性パターンを記憶した指向
性パターンファイル75に記憶する(S307)。さら
に、データ処理装置50は、計測対象アンテナ10の仰
角を変更して、ステップS301〜307を繰り返すこ
とにより、アンテナの感度又は指向性を示す二次元指向
性パターンを繰り返し測定すると共に、仰角ごとに二次
元指向性パターンを記憶した指向性パターンファイル7
5を作成する(S309)。これにより、指向性パター
ン計測システム100によれば、アンテナの指向性パタ
ーンの仰角依存性を計測することができる。
【0035】(ステップS301、S303について)
ここで、図9は、天球面座標系と視野座標系との関連を
示す説明図である。図9(a)は、天球面座標系を示し
ており、計測対象アンテナ10の位置から空を見上げた
ときの様子(これを、天球面座標系と称する)を表して
いる。ここでは、一番外側の円が地平線、円の真中が天
頂、円の上側が北、右方向が東となる。また、衛星の軌
道(ここでは、2種類)は、図中、南側の地平線から北
側の地平線をまたぐ矢印で示す。また、図中、網掛けで
示すドーナツ型の領域は、計測対象アンテナ10を仰角
を一定、かつ、方位角軸のまわりに回転させた場合での
計測対象アンテナ10の視野(視野の中心に対して感度
が半分になるまでの範囲)を示す領域である。
【0036】この計測対象アンテナ10の視野を示す領
域内の白抜きの小さな円は、さらに方位角を固定した場
合の計測対象アンテナ10の視野の広さを表している。
このため、衛星60の軌道上に計測対象アンテナ10の
視野が入るようにするためには、衛星60の軌道をあら
かじめ予測し、計測対象アンテナ10を仰角一定にして
方位角軸のまわりに回転させ、計測対象アンテナ10の
視野を、図中のドーナツ型の領域内で移動させる必要が
ある。
【0037】一方、図9(b)は、視野座標系を示して
おり、計測対象アンテナ10の視野は、仰角方向と平行
な軸(図中、地平線から天頂に向かう方向の軸)と、方
位角方向と平行な軸(図中、地平線を示す大きな円の円
周方向)との2つの座標軸(二次元座標系)で表現する
ことができる(これを、視野座標系:ビーム座標と呼す
る)。ここでは、一例として、図の中心は視野中心、内
側の円は視野中心に対して感度が半分となる位置、外側
の円は感度が1/10になる位置をそれぞれ示してい
る。また、図中の上方向が天頂方向、横方向が方位角に
平行な軸方向を示している。ここでの視野座標系は、具
体的には、計測対象アンテナ10の仰角を30度とした
場合での、計測対象アンテナ10の視野内を通過する複
数の衛星60の軌道を示している(ただし、一例とし
て、アンテナ口径10m、受信周波数6.8GHz、計
測時間1時間とする)。
【0038】ここで、計測対象アンテナ10の鏡面の形
状が重力により変形した場合、感度半分あるいは1/1
0となる位置を結んだ曲線が円にならず楕円になった
り、あるいはもっと凸凹した形となる(ここでは、この
曲線は円であって、計測対象アンテナ10の鏡面の形状
が変形していない場合を想定していることになる)。指
向性パターン計測システム100では、この凸凹の様子
を計測することにより、仰角に応じた計測対象アンテナ
10の鏡面形状の変形に伴った、二次元指向性パターン
の変形(すなわち、凸凹の様子)が算出される。
【0039】また、計測対象アンテナ10を仰角を一
定、かつ、方位各軸だけを回転させ、計測対象アンテナ
10の視野を衛星60の軌道上に向けたとき、視野座標
系上で衛星60がどのような動きになるかを表したもの
が、図中、小円をつないで描いてあるものである。これ
により、衛星60は、視野座標系上をさまざまな角度で
直線状に横切っていくことが示される。なお、衛星60
がどのような方向に横切っていくかは、衛星60の天球
面座標上での衛星60の動きと、計測対象アンテナ20
の仰角により決定される。さらに、複数の衛星60があ
る場合、それぞれの衛星60は、天球面座標上でいろい
ろな軌道をとり、結果的に、視野座標上でもいろいろな
角度で衛星が横切っていくことになる。
【0040】(ステップS303、S305、S307
について)まず、データ処理装置50は、視野座標系
(図9(b)参照)に基づいて、計測対象アンテナ10
の視野内を通過する衛星60のビーコン信号の強度変化
から二次元指向性パターンを求める。なお、この二次元
指向性パターンを求める手法は、例えば、医療診断で用
いられるCTスキャンの撮影と画像処理の手法と概ね同
様の手法を用いることができる。例えば、得られた複数
の校正結果ファイル74−kの校正結果データに基づ
き、補間した電波強度の等高線を計算することで、二次
元指向性パターンが求められる。
【0041】図10は、データ処理装置50による二次
元指向性パターンの算出についての説明図である。図1
0(a)には、計測対象アンテナ10の視野内を衛星6
0の軌道(ここでは、軌道61、62)が横切ってゆく
ときのビーコン信号の強度変化(ここでは、軌道61に
対応した変化曲線63と、軌道62に対応した変化曲線
64)が示されている。これらの変化曲線63、64
は、横軸を衛星60のビーコンが計測対象アンテナ10
により受信開始された時刻からの経過時間(この時間経
過は、衛星60のビーコン受信開始時刻からの衛星60
の移動角度に比例している)とし、さらに、縦軸を視野
中心を基準とした電波強度比としている。これにより、
受信電波強度の変化曲線63、64は、衛星60の軌跡
(軌道61、62)に沿った一次元指向性パターンとな
る。
【0042】また、データ処理装置50では、さらに別
の衛星60を用いると、視野内を異なった角度で横切っ
ていくので、上述の衛星60の軌跡に沿った一次元指向
性パターンの作成を繰り返すことにより、計測対象アン
テナ10の視野内に放射状の軌跡が多数描かれ、それぞ
れの異なる衛星60の軌跡に沿った一元指向性パターン
が多数算出される。また、データ処理装置50は、軌跡
が通らない部分に対して、軌跡が通っている場所のデー
タを用いた、いわゆる補間計算を行うことで、ある固定
された仰角における計測対象アンテナ10の二次元の指
向性パターンが算出される。
【0043】図10(b)は、ある仰角における計測対
象アンテナ10の二次元の指向性パターンを示す図であ
る。この指向性パターン65は、計測対象アンテナ10
の視野中心からの二次元の離角とその位置での電波強度
を3次元的に表したものである。すなわち、ここでは、
一例として、補間処理を用いて得られた二次元指向性パ
ターンについて、計測対象アンテナ10の中心又は中心
近傍における仰角に対する電波強度を表す。この指向性
パターン65は、例えば、ステップS301〜S307
により算出された、複数の衛星60の異なる軌跡に沿っ
た多数の一元指向性パターンを合成したものである。
【0044】(ステップS309について)データ処理
装置50は、ステップS301〜S307により作成さ
れる二次元指向性パターン65を、計測対象アンテナ1
0の仰角を変えながら繰り返すことで、仰角に対して二
次元指向性パターンがどのように変化するのかという、
二次元指向性パターンの仰角に対する変化状況を、記憶
装置70内の指向性パターンファイル75に記憶する。
【0045】C.校正についての詳細説明 つぎに、上述のステップS201〜213による「計測
対象アンテナ10で受信された電波の強度と、この計測
対象アンテナ10の近傍に配置された参照用アンテナ2
0で受信された電波の強度との比を求めることにより
(上述の数式(1)参照)、ビーコン電波の大気吸収に
よる変動や衛星ごとの放射強度の違いを校正する」こと
ができる点を具体的に説明する。まず、計測対象アンテ
ナ10で受信した電波の強度は、計測対象アンテナ10
の指向性パターンによる変化以外に、「大気による電波
の吸収」、「衛星60と計測対象アンテナ10間の距離
の変化」、「衛星60ごとの放射電波強度の違い」など
によっても変化する。このため、これらのアンテナの指
向性パターン以外での電波強度の変化を、参照用アンテ
ナ20で受信したデータで取り除く必要がある。
【0046】一般に、電波(ここでは、ビーコン信号)
は、地球の大気中を通過してアンテナに到達する。大気
は、電波に対して若干の吸収を引き起こすことが知られ
ており、特に、大気中の水蒸気や水滴(雨粒)は、計測
に用いられる電波(例えば、マイクロ波:周波数100
0〜3000MHz程度)に対して強い吸収を引き起
す。ここで、水蒸気や水滴は、大気中にムラを作って分
布している。このため、アンテナから衛星を見る場合、
衛星はこの分布のムラの向こう側を移動していくような
状態になり、アンテナに到達する電波強度が揺らぐこと
になる。この揺らぎは、測定したいアンテナ(計測対象
アンテナ10)の指向性パターンによる強度変化とは無
関係であるので、取り除く必要がある。
【0047】そこで、計測対象アンテナ10の近傍(具
体的には、大気のムラより小さい距離)に小型アンテナ
である参照用アンテナ20を配置して、計測対象アンテ
ナ10と同じ衛星60のビーコン信号を受信させる。こ
の際、参照用アンテナ20は衛星60を常に追跡してい
るので、参照用アンテナ20により記録された参照アン
テナファイル72のデータには指向性パターンによる強
度の変化は原理的に含まれておらず、2台のアンテナで
受けた電波の強度が相関を持って変動する場合には、計
測対象アンテナ10の指向性パターンによる変化ではな
く、大気吸収によるものと判断する(即ち、計測対象ア
ンテナ10と参照用アンテナ20との指向性パターン
は、アンテナの口径が異なるため、相関性があるとは考
えにくいため)。
【0048】ここで、大気吸収がある場合、小型アンテ
ナである参照用アンテナ20から出力されるデータ(ビ
ーコン信号の電波強度)は、大気による吸収量にしたが
って変化する点に注目すると、参照用アンテナ20と計
測対象アンテナ10とが接近して設置されているときに
は、参照用アンテナ20における大気吸収による変動分
と、計測対象アンテナ10における大気吸収による変動
分とは、比例関係を保持している。このため、参照用ア
ンテナ20の電波受信強度(Vr―Vbr)で計測対象
アンテナ10の電波受信強度(Vm−Vbm)を割るこ
とにより、大気吸収による変動分を取り除くことが可能
となり、「大気による電波の吸収」についての校正を行
うことができる。
【0049】また、「衛星60と計測対象アンテナ10
間の距離の変化」について説明すると、衛星60を常時
追跡するように制御される小型アンテナである参照用ア
ンテナ20から出力されるデータ(ビーコン信号の電波
強度)は、大気での吸収が無ければほぼ一定値をとるこ
とが想定されるが、実際は、吸収が無くても参照用アン
テナ20と衛星60の距離が時間とともに変化するの
で、衛星60が参照用アンテナ20に再接近した時間を
ピークとした緩やかな増減特性を示す。この増減特性の
校正についても、参照用アンテナ20の出力と、計測対
象アンテナ10の出力との間に比例関係が成り立ってい
るので、「大気による電波の吸収」と同様な処理により
「衛星60と計測対象アンテナ10間の距離の変化」に
ついても校正を行うことができる。
【0050】また、「衛星60ごとの放射電波強度の違
い」について説明すると、非静止型通信衛星は、天空上
を移動しているので、常時、地上との通信を確保するた
めには、多数の衛星を軌道上に配置し、少なくとも衛星
1台は地上から見えているようにしなければならない。
また、本発明に関する指向性パターン計測システム10
0では、例えば、次々にやってくる軌道の異なる複数の
衛星60からのビーコン信号を受信して、指向性パター
ンを算出する。ここで、電波の強度は、衛星60ごとに
異なっているが、二次元指向性パターンを算出する際、
全衛星があたかも同一の強度を持っているように校正す
る必要がある。ここでの校正についても、参照用アンテ
ナ20の出力と、計測対象アンテナ10の出力との間に
比例関係が成り立っているので、「大気による電波の吸
収」と同様な処理により「衛星60ごとの放射電波強度
の違い」についても校正を行うことができる。
【0051】ここで、上述の「大気による電波の吸収」
「衛星60と計測対象アンテナ10間の距離の変化」
「衛星60ごとの放射電波強度の違い」についての校正
は、参照用アンテナ20の電波受信強度(Vr―Vb
r)で計測対象アンテナ10の電波受信強度(Vm−V
bm)を割ることで可能であることを、簡単な数式で説
明する。参照用アンテナ20で受信したビーコン信号の
電波強度Ar(t)=(Vr―Vbr)、計測対象アンテ
ナ10で受信したビーコン信号の電波強度Am(t)=
(Vm−Vbm)とすると、2つのアンテナとも衛星60
を追跡していた場合、両者の出力には、 Am(t)=k・Ar(t) (2) という関係が成り立つ。ただし、kは比例定数とする。
【0052】また、大気吸収がある場合での吸収割合を
α(t)、吸収があるときの参照用アンテナ20のビー
コン信号の電波強度をAr’(t)、同じく、吸収があ
るときの計測対象アンテナ10で受信したビーコン信号
の電波強度をAm’(t)とすると、 Ar’(t)=α(t)・Ar(t)、Am’(t)=α(t)・Am(t) (3) が成り立つ。ここで、tは時間であり、αは衛星60の
移動に伴い変化するので、 Am=Am’(t)/α(t)=Am’(t)/{Ar’(t)/Ar(t) } (4) が成り立つ。これにより、もとの値Am(t)=(Vm
−Vbm)が復元できる。また、大気吸収がない場合に
おける参照用アンテナ20のビーコン信号の電波強度A
r(t)が特定されない場合であっても、本発明に関す
る指向性パターン計測システム100によれば、吸収量
の変化分を補正するだけでいいので、ある適当な大気吸
収があるときの参照用アンテナ20のビーコン信号の電
波強度Ar’(0)=α0・Arを基準として、 Am’(t)/{Ar’(t)/Ar’(0)}={Am’(t)/α(t) }/α0=一定値 (5) とすれば良い。さらに、指向性パターンを計測するとき
には、計測対象アンテナ10は衛星60を待ち受けてい
るので、アンテナの指向性パターンをP(t)とする
と、P(t)がAm(t)に掛かり、 Am’(t)=α(t)・P(t)・Am(t) (6) と表わすことができる。
【0053】以上により、大気吸収による変動分を取り
除くためには、 Am’(t)/{Ar’(t)/Ar’(0)}={Am’(t)/α(t) }・P(t)/α0 (7) とすれば良い。また、Am’(t)/α(t)およびA
r’(t)は時間変動しない量なので、 P(t)=Const.×[Am’(t)/Ar’(t)] (8) として指向性パターンP(t)が算出される。なお、こ
の算出方法では、指向性パターンの絶対値は確定しない
が、指向性パターンは、例えば、アンテナの視野の中心
を1として規格化した量であり、絶対値が確定しなくと
も実質的に不都合は生じない。
【0054】D.まとめ このように、本実施の形態の指向性パターン計測システ
ム100によれば、計測対象アンテナ(大型アンテナ)
の場合、仰角が変わったことによる鏡面形状の変形に伴
った、二次元指向性パターンの変形が算出される。な
お、大口径の高性能アンテナは、将来予想される、惑星
間データ伝送などの深宇宙通信の増加に伴って、需要が
高まると思われる。また、通信衛星を用いたデータ通
信、インターネットなどで非静止型通信衛星の需要は将
来増加すると見込まれると共に、ビーコン電波も高い周
波数に移行することが予想される。これにより、上述の
指向性パターン計測システム100は、さらに短時間、
高精度に実施可能となることが期待される。
【0055】なお、本発明の応用として、例えば、鏡面
形状の変形の様子(理想的な双曲線形状からのずれ)を
把握するために、鏡面形状の変形に対応した指向性パタ
ーンを予め算出したデータファイルを指向性パターン計
測システム100内の適宜のメモリ内に記憶させ、この
データファイルに含まれる指向性パターンと、実際に計
測された指向性パターンとを比較して、両者が一致する
際の鏡面形状の変形を、データファイルから読み出すよ
うにしてもよい。また、計測対象アンテナと小型アンテ
ナとを組み合わせて、電波干渉計を構築して、例えば、
いわゆる電波ホログラフィーの手法を用いて、鏡面形状
の変形の様子を把握することも期待できる。
【0056】
【発明の効果】本発明によると、以上説明した通り、計
測対象アンテナの仰角を固定して、複数の非静止型衛星
からのビーコン信号を利用することで、ある仰角に対す
る計測対象アンテナの正確な二次元指向性パターン(例
えば、仰角ごとの電波強度、感度パターン)を計測でき
る。また、本発明は、大型アンテナの性能評価を短時間
で正確かつ安価に行うことができる。
【0057】また、本発明は、アンテナの鏡面の重力変
形に影響する、仰角方向の動きを原理的に伴わない厳密
な指向性パターンの計測を行うことができる。また、本
発明は、計測対象アンテナ(大型アンテナ)において、
仰角が変わったことによる鏡面形状の変形に伴った、二
次元指向性パターンの変形を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関する指向性パターン計測システム1
00の概略構成図。
【図2】本発明に関する指向性パターン計測システム1
00のフローチャート。
【図3】衛星位置データファイル73の説明図。
【図4】計測アンテナファイル71及び参照アンテナフ
ァイル72の説明図。
【図5】校正結果ファイル74−kの説明図。
【図6】仰角ごとの二次元指向性パターンファイル75
の説明図。
【図7】校正用計算機40の校正処理を示す説明図。
【図8】データ処理装置50での二次元指向性パターン
計算を示すフローチャート。
【図9】天球面座標系と視野座標系との関連を示す説明
図。
【図10】データ処理装置50による二次元指向性パタ
ーンの算出についての説明図。
【符号の説明】
10 計測対象アンテナ 15 第1受信機 20 参照用アンテナ 25 第2受信機 30 軌道予測計算機 40 校正用計算機 50 データ処理装置 60 衛星 70 記憶装置 71 計測アンテナファイル 72 参照アンテナファイル 73 衛星位置データファイル 74 校正結果ファイル 75 指向性パターンファイル 100 指向性パターン計測システム

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】仰角が所定角度に設定され、複数の衛星か
    ら放射される電波を受信するための第1アンテナと、 前記第1アンテナにより受信した電波強度を第1データ
    に変換し、時刻毎にその時刻を基準として複数サンプリ
    ングした複数の該第1データを含む第1データ列を第1
    ファイルに記憶する第1受信機と、 前記第1アンテナの近傍に配置され、該電波を受信する
    ための第2アンテナと、 前記第2アンテナにより受信した電波強度を第2データ
    に変換し、時刻毎にその時刻を基準として複数サンプリ
    ングした複数の該第2データを含む第2データ列を第2
    ファイルに記憶する第2受信機と、 前記衛星の各時刻ごとの位置を示す衛星の仰角及び方位
    角を記憶した衛星位置データファイルと、 前記第1及び2ファイルからある時刻の該第1及び2デ
    ータを読み出し、該第1データと第2データとの強度比
    を求め、前記第1アンテナによる校正電波強度を算出
    し、さらに、前記衛星位置データファイルから該衛星の
    仰角及び方位角を読み出して、前記第1アンテナの仰角
    及び方位角に対応づけることにより、該校正電波強度、
    前記第1アンテナの仰角及び方位角を含む複数の校正結
    果ファイルを作成する校正用計算機と、 前記複数の校正結果ファイルから前記第1アンテナの仰
    角及び方位角、校正電波強度を読み出し、前記第1アン
    テナの二次元指向性パターンを算出し、前記第1アンテ
    ナの所定角度の仰角における二次元指向性パターンを含
    む指向性パターンファイルを作成するデータ処理装置と
    を備えた指向性パターン計測システム。
  2. 【請求項2】さらに、前記第1アンテナの仰角を他の角
    度に変更し、該他の角度に対応した電波強度についての
    二次元指向性パターンを含む指向性パターンファイルを
    作成するようにした請求項1に記載の指向性パターン計
    測システム。
  3. 【請求項3】前記校正用計算機は、 前記第1及び2データを、フーリエ変換により周波数ス
    ペクトルデータにそれぞれ変換し、該周波数スペクトル
    データのピーク値からベース値を減算した値を、前記第
    1及び2アンテナの電波強度とし、 前記第1アンテナの校正電波強度を、前記第1アンテナ
    の電波強度を前記第2アンテナの電波強度で除算するこ
    とで得るようにした請求項1又は2に記載の指向性パタ
    ーン計測システム。
  4. 【請求項4】前記データ処理装置は、前記複数の校正結
    果ファイルを読み出し、前記第1アンテナの仰角及び方
    位角についての二次元座標上へ該校正電波強度のデータ
    を設定し、該設定された二次元座標データについて前記
    衛星の軌跡が通らずにデータが得られない領域の補間処
    理を行い、等しい電波強度の位置を結んだ二次元指向性
    パターンを作成するようにした請求項1乃至3のいずれ
    かに記載の指向性パターン計測システム。
  5. 【請求項5】前記第1及び2ファイルに記憶された第1
    及び第2データは、衛星からの電波を受信した際の受信
    時刻情報と、該受信時刻情報に基づいて、各処理の開始
    タイミングを同期させるための同期信号情報とを含むよ
    うにした請求項1乃至4のいずれかに記載の指向性パタ
    ーン計測システム。
  6. 【請求項6】前記衛星は、地球の周回軌道を低高度又は
    中高度で回る非静止型衛星であり、 前記電波は、ビーコン信号であることを特徴とする請求
    項1乃至5のいずれかに記載の指向性パターン計測シス
    テム。
  7. 【請求項7】仰角が所定角度に設定され、複数の衛星か
    ら放射される電波を受信するための第1アンテナにより
    受信した電波強度を第1データに変換し、時刻毎にその
    時刻を基準として複数サンプリングした複数の該第1デ
    ータを含む第1データ列を第1ファイルに記憶するステ
    ップと、 前記第1アンテナの近傍に配置され、該電波を受信する
    ための第2アンテナにより受信した電波強度を第2デー
    タに変換し、時刻毎にその時刻を基準として複数サンプ
    リングした複数の該第2データを含む第2データ列を第
    2ファイルに記憶するステップと、 前記第1及び2ファイルからある時刻の該第1及び2デ
    ータを読み出し、該第1データと第2データとの強度比
    を求め、前記第1アンテナによる校正電波強度を算出
    し、さらに、前記衛星の各時刻ごとの位置を示す衛星の
    仰角及び方位角を記憶した前記衛星位置データファイル
    から該衛星の仰角及び方位角を読み出して、前記第1ア
    ンテナの仰角及び方位角に対応づけることにより、該校
    正電波強度、前記第1アンテナの仰角及び方位角を含む
    複数の校正結果ファイルを作成するステップと、 前記複数の校正結果ファイルから前記第1アンテナの仰
    角及び方位角、校正電波強度を読み出し、前記第1アン
    テナの二次元指向性パターンを算出し、前記第1アンテ
    ナの所定角度の仰角における二次元指向性パターンを含
    む指向性パターンファイルを作成するステップとを含む
    指向性パターン計測方法。
  8. 【請求項8】さらに、前記第1アンテナの仰角を他の角
    度に変更し、該他の角度に対応した電波強度についての
    二次元指向性パターンを含む指向性パターンファイルを
    作成するようにした請求項7に記載の指向性パターン計
    測方法。
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