JP3540366B2 - コンデンサ用セパレータ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、コンデンサ用として好適なセパレータ、例えば、充分な親電解液性を有するとともに、長期間安定した耐熱性を有し、コンデンサ作製工程のセパレータ巻き込み作業性に優れた電解コンデンサ用,電気二重層コンデンサ用セパレータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンデンサ用セパレータとして、クラフト紙,マニラ紙等の紙製基材や、親水性モノマーをグラフト重合する等の処理を行ったポリエチレン製またはポリプロピレン製多孔質膜が用いられている。また、フッ素樹脂をアルコール処理した多孔質膜(特開昭62−263624号公報)や、極性有機溶媒に親和性のある物質を被覆してなるフッ素樹脂多孔質膜(特開平2−241013号公報)等が提案されている。さらに、フッ素樹脂多孔質膜にフッ素系界面活性剤を含浸し、架橋固定させた親水化膜(特公平5−21009号公報,特公平5−21010号公報)等が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記クラフト紙やマニラ紙の場合、これらが電解液中で高温に曝されることにより劣化し、硫酸等の酸性電解液には脆化するため使用することができないという問題があった。また、上記ポリエチレン製またはポリプロピレン製多孔質膜の場合、耐熱性に劣るため、高温での長時間使用時や、コンデンサ製造工程中の200℃以上の短時間での加熱時に溶融して空孔が閉塞されるという問題があった。さらに、上記フッ素樹脂をアルコール処理した多孔質膜の場合、長時間使用の結果、膜が乾燥して吸収液量が低下するという問題があった。また、上記極性有機溶媒に親和性のある物質として特定のパーフルオロイオン交換ポリマーを被覆してなるフッ素樹脂多孔質膜の場合、このポリマーは疎水部である−CF3 末端が一個しかなく、膜への親和力が弱いため、上記ポリマーの選択によっては充分に親水化されず、得られるセパレータは満足できるものではなかった。そして、上記フッ素樹脂多孔質膜にフッ素系界面活性剤を含浸し、架橋固定させた親水化膜は、上記多孔質膜が軟質であるため、多孔質膜にフッ素系界面活性剤を含浸し、架橋固定させても、その膜は腰が弱く、コンデンサ製造工程中に、皺が形成され易く極めて作業性の悪いものであった。
【0004】
この発明は、このような事情に鑑みなされたもので、優れた耐熱性はもちろん、充分な親電解液性を有し、しかもコンデンサ製造工程の作業性に優れたコンデンサ用セパレータの提供をその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明のコンデンサ用セパレータは、下記の高分子膜(A)に紙製基材が積層、または抄紙された積層体からなるという構成をとる。
(A)フッ素系多孔質高分子膜に、の多孔を利用してフッ素系界面活性剤を含浸させてなる高分子膜。
【0006】
【作用】
すなわち、本発明者らは、耐熱性はもちろん、充分な親電解液性を有し、しかもコンデンサ製造工程中に皺の発生等の問題が生じず作業性にも優れたセパレータを得るために一連の研究を重ねた。その結果、フッ素系多孔質高分子膜に、その多孔を利用してフッ素系界面活性剤を含浸させてなる高分子膜(A)と、紙製基材とが積層、または抄紙された積層体を用いると、上記高分子膜(A)が耐熱性および親電解液性を備えており、しかも紙製基材または抄紙が補強作用を奏することから、このセパレータを用いたコンデンサでは、所望のコンデンサ特性が得られると同時にコンデンサの製造時に皺等が形成されず作業性の向上が図られることを見出しこの発明に到達した。
【0007】
つぎに、この発明を詳しく説明する。
【0008】
この発明のコンデンサ用セパレータは、紙製基材または抄紙と、特殊な高分子膜とを用いて得られる積層体からなる。
【0009】
上記紙製基材としては、特に限定するものではなく従来公知のものが用いられ、例えば天然セルロースからなる紙、すなわち、木材パルプやマニラ麻から製造される紙等があげられる。
【0010】
上記特殊な高分子膜は、フッ素系多孔質高分子膜に、の多孔を利用してフッ素系界面活性剤を含浸させてなる高分子膜(A)である。
【0011】
上記フッ素系多孔質高分子膜としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA),テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP),テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE),ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)等からなる疎水性の多孔質膜等があげられる。特に、耐薬品性,耐熱性等の観点から上記PTFEが好ましい。また、これら膜の孔径としては、0.01〜20μmが好ましく、特に0.05〜5μmの孔径を有する膜が好適に用いられる。
【0012】
上記フッ素系多孔質高分子膜の多孔を利用して、これに含浸させるフッ素系界面活性剤としては、下記に示す(a)アニオン性,(b)カチオン性,(c)ノニオン性のフッ素系界面活性剤があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、コンデンサ用セパレータとして用いられることから、金属を含有しないフッ素系界面活性剤を用いることが好ましい。
【0013】
(a)アニオン性フッ素系界面活性剤
パーフルオロアルキルカルボン酸塩,パーフルオロアルキルスルホン酸塩,パーフルオロアルキルリン酸塩等があげられる。そして、上記塩形成のための陽性成分としては、Na+ ,K+ ,Li+ ,NH4 + があげられ、パーフルオロアルキル基の炭素数は4〜20が好ましい。
【0014】
(b)カチオン性フッ素系界面活性剤
パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のパーフルオロアルキル第四級アンモニウム塩があげられる。そして、上記塩形成のための陰性成分としては、Cl- ,NO3 - があげられ、パーフルオロアルキル基の炭素数は4〜20が好ましい。
(c)ノニオン性フッ素系界面活性剤
下記の一般式▲1▼および▲2▼で表されるパーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物,パーフルオロアルキルアミンオキサイド付加物等があげられる。上記パーフルオロアルキルアミンオキサイド付加物のパーフルオロアルキル基の炭素数は4〜20が好ましい。
【0015】
【化1】
Figure 0003540366
【0016】
上記フッ素系多孔質高分子膜の多孔である微細孔にフッ素系界面活性剤を含浸させる方法としては、特に限定するものではないが、例えば、上記フッ素系界面活性剤を有機溶媒で1〜10重量%(以下「%」と略す)、好ましくは1〜5%に希釈した後、フッ素系多孔質高分子膜を上記フッ素系界面活性剤溶液に浸漬するか、またはその溶液を塗布して、膜を乾燥させる等の方法があげられる。上記希釈に用いられる有機溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、アセトン,エタノール,イソプロピルアルコール等が好適に用いられる。
【0017】
上記方法により、少なくともフッ素系多孔質高分子膜の微細孔表面に上記フッ素系界面活性剤からなる被覆層が形成され、親電解液化された多孔質膜が容易に得られる。ここで、上記微細孔表面とは、多孔を構成する繊維表面という意味であって、上記被覆層は少なくともこの微細孔表面、すなわち、高分子膜の厚み方向の内部に形成されていればよく、さらに上記多孔質高分子膜表面に被覆層が形成されていてもよい。
【0018】
上記フッ素系界面活性剤の含浸により形成される被覆層の形成の度合いは、フッ素系界面活性剤の濃度と浸漬時間や塗布量により適宜に制御することができるが、この発明のセパレータの構成要素として用いるには、被覆前後の重量比が、被覆層形成後/被覆層形成前=1.040/1〜1.070/1の範囲となるよう設定することが好ましく、特に好ましくは1.045/1〜1.060/1である。すなわち、被覆層形成後の重量が被覆前を基準として、1.040未満では、満足できる親電解液性が得られ難く、逆に1.070を超えると、被覆層形成後にこの被覆層が脱落する量が多くなり、コンデンサ特性(損失角の正接、インピーダンス)を低下させる傾向がみられるからである。
【0019】
この発明のコンデンサ用セパレータは、例えばつぎのようにして製造することができる。すなわち、まず、前記方法によりフッ素系多孔質高分子膜の微細孔表面に上記フッ素系界面活性剤からなる被覆層が形成された高分子膜(A)を作製する。ついで、紙製基材表面に接着剤層を形成し、この接着剤層面に上記高分子膜(A)を接着・積層して一体化することにより製造することができる。
【0020】
上記接着剤層形成材料としては、例えば導電性接着剤があげられ、これを塗工することにより接着剤層が形成される。このように、上記接着剤は、コンデンサ製造工程において高分子膜(A)と紙製基材を一体化させるために用いられる。そして、上記導電性接着剤の特性として、例えば、この発明のコンデンサ用セパレータを用いてのコンデンサ製造工程における電極箔とセパレータの巻き込みが完了した時点で、電解液注液後に電解液に溶解して接着機能が消失してもよい。さらに、上記導電性接着剤に要求される特性としては、このように導電性を有することがあげられ、具体的には、ポリビニルアルコール(PVA),澱粉,カルボキシメチルセルロース(CMC),ポリエチレンオキサイド(PEO),ポリビニルピロリドン(PNVP),ポリアクリル酸ソーダ(PAANa)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0021】
上記のようにして製造されるコンデンサ用セパレータは、高分子膜(A)と紙製基材の2層構造からなる積層体であるが、この発明においては、2層構造に限定するものではなく、上記高分子膜(A)および紙製基材を各々複数用いて、3層以上の多層構造に形成してもよい。この際、積層順序は特に限定するものではない。例えば、セパレータの腰をより強くするために、紙製基材を複数用いた積層体等があげられる。
【0022】
また、積層体の形成において、高分子膜(A)と紙製基材との積層に限るものではなく、高分子膜(A)にパルプ繊維等を抄き合わせ、上記高分子膜(A)と紙製基材との積層体と同様の効果を得ることができるようにすることができる。
【0023】
この発明のコンデンサ用セパレータを用いてのコンデンサとしては、セパレータに電解液を含浸させて、これを一対の電極間に配置した電解コンデンサや電気二重層コンデンサがあげられる。上記電解コンデンサにおける電解液としては、例えば、アジピン酸塩,フタル酸塩等の電解質を、エチレングリコール,γ−ブチロラクトン,ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶媒中に含有するもの等があげられる。そして、上記電極に、陽極箔と陰極箔を用いる。上記陽極箔としては、アルミニウム,タンタルのような被膜形成能を有する金属箔表面に、陽極酸化等により誘電体被膜を形成させたもの等があげられる。また、上記陰極箔としては、上記陽極箔と同様の金属箔が用いられる。これら金属箔としては、体積当たりの表面積拡大のため、エッチング処理されているものが好適に用いられる。
【0024】
また、上記電気二重層コンデンサにおける電解液としては、硫酸水溶液,水酸化カリウム水溶液等を用いる水溶液系や、アルキルアンモニウムの過塩素酸塩等の電解質を、γ−ブチロラクトン,ジメチルホルムアミド,ジメチルフルホキシド,プロピレンカーボネート等の有機溶媒に溶解した非水溶液系があげられる。さらに、電極としては、特に限定するものではないが、活性炭繊維布、あるいはその片面に導電性層が形成された活性炭繊維布等があげられる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、この発明のコンデンサ用セパレータは、前記特殊な高分子膜(A)に紙製基材が積層、または抄紙された積層体からなるものである。このため、上記高分子膜(A)に起因する優れた耐熱性および充分な親電解液性を備え、しかも紙製基材を積層、または抄紙することにより腰の弱さが改善され、コンデンサ製造工程での皺の形成等が生じず製造作業性が向上する。したがって、この発明のセパレータを用いることにより、コンデンサの品質および生産効率の向上が実現する。
【0026】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0027】
まず、実施例に先立って、下記の表1に示す3種類のフッ素系界面活性剤を準備した。
【0028】
【表1】
Figure 0003540366
【0029】
【実施例1】
厚み15μmのPTFE製多孔質膜(孔径3μm)を、アニオン性フッ素系界面活性剤a(上記表1中に記載)を溶解した重量濃度2%のイソプロピルアルコール溶液に10分間浸漬し、引き上げて40℃で30分間乾燥を行うことにより、微細孔に上記フッ素系界面活性剤が含浸された高分子膜を得た。一方、マニラ紙として厚み25μmの電解コンデンサ紙(日本高度紙工業社製,ME3.5)を準備し、このマニラ紙表面に、ポリビニルアルコールの3%水溶液を塗布し、この塗布面に半乾燥状態にて上記高分子膜を貼付して80℃で30分間乾燥を行うことにより目的とするコンデンサ用セパレータを得た。
【0030】
【実施例2〜8】
下記の表2に示すフッ素系多孔質高分子膜,フッ素系界面活性剤および導電性接着剤を用いた。それ以外は実施例1と同様にして目的とするコンデンサ用セパレータを得た。
【0031】
【表2】
Figure 0003540366
【0032】
【比較例1】
クラフト紙である電解コンデンサ紙(日本高度紙工業社製,PEDH60)を2枚準備し、これら2枚のクラフト紙をコンデンサ用セパレータとした。
【0033】
【比較例2】
マニラ紙である電解コンデンサ紙(日本高度紙工業社製,ME3.5)を2枚準備し、これら2枚のマニラ紙をコンデンサ用セパレータとした。
【0034】
このようにして得られた実施例および比較例のコンデンサ用セパレータを、陽極箔および陰極箔の両電極箔間に挟持した。そして、図1に示すように、筒状に巻き込み、陽極箔1および陰極箔2にそれぞれリード線3を接続しコンデンサ素子4を作製した。図において、5,6はセパレータ7を構成する材料である(実施例品は2層構造の単層品、比較例品は図示のように独立した2枚から構成される)。ついで、図2に示すように、アルミケース8内に上記コンデンサ素子4を装填して電解コンデンサを作製した。その結果、実施例1〜8および比較例のセパレータを用いた電解コンデンサの作製工程における問題は生じなかった。
【0035】
さらに、各電解コンデンサの損失角の正接およびインピーダンスを測定・評価した。これらの結果を下記の表3に示す。なお、コンデンサ特性(損失角の正接およびインピーダンス)の評価方法は下記に示す方法に従った。
【0036】
〔コンデンサ特性の評価方法〕
図1に示すように、製作した電解コンデンサの仕様は、陽極箔1に厚み70μmの高純度アルミニウム箔を用い、これにリード線3を接続した。一方、陰極箔2には厚み40μmのアルミニウム箔を用い、陽極箔1と同様にリード線3を接続した。セパレータ7には低比抵抗の低圧用電解液を含浸した後、アルミケース8に収納した(図2参照)。この電解コンデンサの外形は直径10mm×長さ20mmである。得られた電解コンデンサをエージング後、初期の損失角の正接(120Hz)を測定した。同様にインピーダンス(100kHz)を測定した。なお、いずれも20℃における実施例・比較例の特性を示す。
【0037】
【表3】
Figure 0003540366
【0038】
上記表3の結果から、実施例1〜8のセパレータを用いた電解コンデンサは、比較例のセパレータを用いた電解コンデンサよりも特性に優れていることがわかる。なお、実施例1で得られた高分子膜にパルプ繊維を抄き合わせてコンデンサ用セパレータを製造した。そして、上記と同様にして電解コンデンサを製作し、コンデンサ特性を評価した。その結果、上記実施例1〜8のセパレータを用いた電解コンデンサと同様の優れた効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】セパレータを挟持して作製したコンデンサ素子を示す斜視図である。
【図2】上記コンデンサ素子を組み込んだ電解コンデンサを示す断面図である。

Claims (1)

  1. 下記の高分子膜(A)に紙製基材が積層、または抄紙された積層体からなることを特徴とするコンデンサ用セパレータ。
    (A)フッ素系多孔質高分子膜に、の多孔を利用してフッ素系界面活性剤を含浸させてなる高分子膜。
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