JP3547986B2 - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二軸配向ポリエステルフィルムに関し、さらに詳細には、磁気記録媒体用、特にデジタルデータストレージ用に有用な二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルフィルムは、優れた熱的、機械的特性を有することから、磁気記録媒体用、電気絶縁用などの広い分野で用いられている。なかでも、磁気記録媒体用、特にデータストレージ用途においては、テープの高容量化、高密度化がかなり進みつつあり、それに伴ってベースフィルムへの要求も厳しいものとなっている。QIC、DLTなど、リニアトラック方式を採用するデータストレージ用途では、テープの高容量化を実現するために、トラックピッチを非常に狭くしており、そのため特にテープ幅方向および長手方向での寸法変化によってトラックずれを引き起こし、エラーとなってしまうという問題を抱えている。これらの寸法変化は、テープ使用下での温度・湿度変化によるものと、最近のドライブの小型化によって生じているテープの走行テンションの変動によって生じるテープ幅および長手方向の変動から生じていると推定される。しかしながら、これらの寸法変化は、個々のファクターがどの程度影響するか、いまだに解明されておらず、テープの高容量化の問題となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、長手方向および幅方向の寸法変化の問題を解決し、特にリニアトラック方式のデジタルデータストレージ用途において、トラックずれによるエラーレートが発生し難く、出力特性を向上させることが可能な二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、全厚みが7μm未満の二軸配向ポリエステルフィルムからなり、ポリエステルがポリエチレン−2,6−ナフタレートまたはポリエチレンテレフタレートであり、フィルムの熱膨張係数αt (×10-6/℃)、湿度膨張係数αh (×10-6/%RH)、65℃で9日間保持したときの熱収縮率S(%)が下記式 II の範囲にあることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムである。
【0005】
【数4】
Figure 0003547986
【0006】
ここで、
α(MD);フィルム長手方向の熱膨張係数
α(TD);フィルム幅方向の熱膨張係数
α(MD);フィルム長手方向の湿度膨張係数
α(TD);フィルム幅方向の湿度膨張係数
S(MD);フィルム長手方向の熱収縮率
S(TD);フィルム幅方向の熱収縮率
である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリエチレン−α,β−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボキシレートなどが挙げられるが、これらのポリエステルのなかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリエチレン−α,β−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボキシレートが好ましく、特にポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。また、本発明に用いられるポリエステルは、上記ポリエステルの1種類の単独でも、2種以上のポリエステルの共重合体や、2種以上のポリエステルの混合物であってもよい。さらに、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、各種添加剤が添加されていても構わない。
【0008】
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、公知の方法に準じて製造することができる。例えば、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを溶融押し出しし、好ましくは融点(Tm;℃)ないし(Tm+70)℃の温度で溶融押し出しし、急冷却固化して未延伸フィルムとし、さらにこの未延伸フィルムを一軸方向(縦方向または横方向)に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(ただし、Tg;ポリエチレン−2,6−ナフタレートのガラス転移温度)で所定の倍率に延伸し、次いで上記延伸方向と直角方向(一段目が縦方向の場合には二段目は横方向となる)にTg〜(Tg+70)℃の温度で所定の倍率に延伸し、さらに熱処理する方法を用いて製造することができる。その際、延伸倍率、延伸温度、熱処理条件などは、上記フィルムの特性から選択、決定される。延伸面積倍率は、好ましくは9〜26倍、さらに好ましくは12〜26倍である。熱固定温度は190〜250℃、熱処理時間は1〜60秒の範囲である。
【0009】
以上の逐次二軸延伸法のほか、同時二軸延伸法を用いることができる。また、逐次二軸延伸法において、縦方向、横方向の延伸回数は1回に限られるものではなく、縦−横延伸を数回の延伸処理により行うことができ、その回数に限定されるものではない。例えば、さらに機械的特性を上げたい場合には、熱固定処理前の上記二軸延伸フィルムについて、(Tg+20)〜(Tg+70)℃の温度で熱処理し、さらにこの熱処理温度より10〜40℃高い温度で縦方向または横方向に延伸し、次いでさらに、この延伸温度より20〜50℃高い温度で横方向または縦方向に延伸し、縦方向の場合、総合延伸倍率を3.0〜6.0倍、横方向の場合、総合延伸倍率を3.0〜5.5倍とするのが好ましい。
【0010】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの長手方向の熱膨張係数αt (MD)(×10-6/℃)、幅方向の熱膨張係数αt (TD)(×10-6/℃)、長手方向の湿度膨張係数αh (MD)(×10-6/%RH)、幅方向の湿度膨張係数αh (TD)(×10-6/%RH)、65℃で9日間保持したときの熱収縮率S(MD)(%)、同幅方向の熱収縮率S(TD)(%)が、下記式 II の範囲にある必要があり、
【0013】
【数6】
Figure 0003547986
【0014】
の範囲である。上記の値が、0.05未満では、テープの幅方向の寸法変化が悪くなり、一方、1.0を超えると、テープの長手方向の寸法変化が悪くなり、エラーが発生し易くなるので好ましくない。
【0015】
ポリエステルとして、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを用いると、本発明の骨子である温度膨張係数、湿度膨張係数、65℃で9日間保持したときの熱収縮率の関係を特定範囲にし易いという面から、本発明の効果がより一層顕著となるので好ましい。
【0016】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいては、フィルムの長手方向のヤング率Y(MD)とフィルム幅方向のヤング率Y(TD)の比、Y(MD)/Y(TD)が好ましくは1.4〜2.0、さらに好ましくは1.4〜1.9である。Y(MD)/Y(TD)の値が1.4未満では、テープの長手方向の強度が不足するためテープが伸びたりして好ましくなく、一方、2.0を超えると、一方向にかなり延伸されるため製膜性が悪く、生産性が低下し好ましくない。なお、ヤング率は、長手方向のヤング率と幅方向のヤング率の和が1,200kg/mm以上が好ましく、さらに好ましくは1,400kg/mm以上である。ヤング率の和が1,200kg/mm以上であると、出力特性が向上し、ヘッドとの当たりが良くなるので好ましい。
【0017】
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、A層およびB層の2層からなり、A層厚みtとA層中に含有される粒子の平均粒径dとの比t/dが次式の範囲にあることが好ましい。
【0018】
【数7】
10<t/d≦30
【0019】
t/dの値が10以下の場合、A層中の粒子がB層表面を粗し、出力特性が低下し、一方、30を超えると、A層表面の粗さが著しく低下し、巻き取り性が悪化し、または粒子がフィルムから脱落しやすくなり、加工工程で削られるので好ましくない。
【0020】
さらに、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、磁気記録媒体用であって、磁性層を塗布する層の表面粗さWRaが好ましくは0.5〜7nm、さらに好ましくは1.0〜5.0nmである。この表面粗さWRaが0.5nm未満では、フィルム−フィルム間の滑り性が悪化し、フィルムの巻き取り性が悪化するので好ましくなく、一方、7nmを超えると、テープとしたときに、磁性面が粗化し、出力特性が低下するので好ましくない。
【0021】
この表面粗さWRaは、フィルム中の不活性微粒子、例えば周期律表第IIA,第IIB、第IVA、第IVBの元素を含有する無機微粒子(例えば、カオリン、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素など)、シリコン樹脂、架橋ポリスチレンなどの耐熱性の高い高分子よりなる微粒子などを含有させることで、あるいは、微細凹凸を形成する表面処理剤、例えば易滑塗剤のコーティング処理によって調整することができる。不活性微粒子を含有させる場合、微粒子の平均粒径は、0.05〜0.8μm、さらには0.08〜0.7μmであることが好ましく、またこの量は、0.05〜1.0重量%(対ポリマー)、さらには0.2〜0.6重量%(対ポリマー)であることが好ましい。
【0022】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、全厚みが7μm未満、好ましくは3.0〜6.0μmである必要がある。フィルムの全厚みが7μm以上となると、テープの長時間化およびカセットサイズのコンパクト化ができなくなるので好ましくない。
【0023】
以上のような本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、特にデジタル記録型磁気媒体用ベースフィルムや、デジタル記録型データストレージ用途として好適である。
【0024】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらに実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の各特性値は、下記の方法で測定した。
【0025】
1.ヤング率
フィルムを試料幅10mm、長さ15cmに切り、チャック間100mmにして引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分でインストロンタイプの万能引張試験装置で引っ張り、得られた荷重−伸び曲線の立ち上がり部の接線より、ヤング率を計算した。
【0026】
2.フィルム表面粗さ(WRa)
WYKO社製、非接触三次元粗さ計(TOPO−3D)を用いて、測定倍率40倍、測定面積242μm×239μm(0.058mm)の条件にて測定を行い、同粗さ計の内蔵ソフトによる表面解析により、WRaは以下の式により計算されたアウトプットされた値を用いた。
【0027】
【数8】
Figure 0003547986
【0028】
ここで、Zjkは、測定方向(242μm)、それと直交する方向(239μm)をそれぞれM分割、N分割したときのj番目、k番目の位置における2次元粗さチャート上の高さである。
【0029】
3.粒子の平均粒径
フィルム断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、10万倍以上の倍率で観察した。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所を変えて100視野以上測定した。粒子の平均粒径は、重量平均径(等価円相当径)から求めた。
【0030】
4.熱膨張係数(α
フィルムのサンプルをフィルム横方向長さ15mmに切り出し、真空理工(株)製、TM−3000にセットし、窒素雰囲気下、60℃で30分間、前処理し、その後、室温まで降温させ、その後、25℃から70℃まで2℃/分で昇温し、各温度でのサンプル長を測定し、次式より熱膨張係数(α)を算出した。
【0031】
【数9】
α={〔(L−L)×10〕/(L×△T)}
ここで、
;45℃時のサンプル長(mm)
;55℃時のサンプル長(mm)
△T;10(=55−45℃)
である。
【0032】
5.湿度膨張係数(α
フィルムのサンプルをフィルム横方向に、長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工(株)製、TM−3000にセットし、窒素雰囲気下から、湿度20%RH、および湿度80%RH一定に保ち、そのときのサンプルの長さを測定し、次式より湿度膨張係数(α)を算出した。
【0033】
【数10】
α={〔(L−L)×10〕/(L×△H)}
ここで、
;湿度20%RH時のサンプル長(mm)
;湿度80%RH時のサンプル長(mm)
△H;60(=80−20%RH)
である。
【0034】
6.フィルムの熱収縮率
65℃に設定されたオーブン中の中に、あらかじめ正確な長さを測定した長さ約30cm、幅1cmのフィルムを無荷重で入れ、9日間熱処理し、その後、オーブンよりサンプルを取り出し、室温に戻してからその寸法の変化を読み取った。熱処理前の長さ(L)と熱処理による寸法変化量(ΔL)より、次式で熱収縮率(%)を求めた。
【0035】
【数11】
熱収縮率=(ΔL/L)×100
【0036】
7.フィルム積層厚み
2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層から深さ3,000nmの範囲のフィルム中の粒子のうち、最も高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元素の濃度比(M/C)を粒子濃度とし、表面から深さ3,000nmまで厚さ方向の分析を行う。表層では表面という界面のために粒子濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。本発明のフィルムの場合は、いったん極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。この濃度分布曲線をもとに、表面粒子濃度の極大値の1/2となる深さ(この深さは、極大値となる深さよりも深い)を求め、これを積層厚さとした。条件は、次のとおり。
【0037】
▲1▼測定装置
2次イオン質量分析装置(SIMS)
ドイツ、ATOMIKA社製、A−DIDA3000
▲2▼測定条件
1次イオン種;O
1次イオン加速電圧;12KV
1次イオン電流;200nA
ラスター領域;400μm□
分析領域;ゲート30%
測定真空度;5.0×10−9 Torr
E−GUN;0.5KV−3.0A
【0038】
なお、表層から深さ3,000nmの範囲に最も多く含有する粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定が難しいので、表面からエッチングしながらXPS(X線光電子分光法)、IR(赤外分光法)などで、上記と同様のデプスプロファイルを測定し、積層厚さを求めてもよいし、電子顕微鏡などによる断面観察で、粒子濃度の変化状態やポリマーの違いによるコントラストの差から界面を認識し、積層厚さを求めることもできる。さらには、積層ポリマーを剥離後、薄膜段差測定機を用いて、積層厚さを求めることもできる。
【0039】
8.エラーレート
メディアロジック社製、ML4500B、QIC用システムを用いて、下記条件でエラーレートを測定した。
Current;15.42mA
Frequency;0.25mHz
Location;0
Threshold;40.0
Bad/Good/Max=1:1:1
Tracks;28
なお、エラーレート数は、測定したトラック数(=28)の平均値で表した。
9.電磁変換特性
メディアロジック社製、ML4500B、QIC用システムを用いて測定した。
【0040】
10.削れ性(走行耐久性)
ソニー(株)製、EV−S700を用い、走行開始、停止を繰り返しながら100時間走行させ、走行状態を調べるとともに、出力測定を行った。このときの磁気テープの走行耐久性を下記のように判定した。
<3段階測定>
○;テープの端が折れたり、ワカメ状にならない。また、削れがなく白粉付着がない。
△;若干、テープの端の折れやワカメが発生したり、少量の白粉付着が見られる。
×;テープの折れやワカメの発生が著しい。また、テープ削れが著しく白粉が多量に発生する。
【0041】
11.巻き取り性(巻き上がり良品率)
フィルムを500mm幅で4,000m、ロール状に100本巻き取ったときに得られる良品数を百分率で示した。このときの良品とは、▲1▼フィルムが円筒状に巻き上げられており、角張ったり、垂れ下がったりしておらず、▲2▼フィルムロールにしわの発生がないものをいう。
【0042】
〔実施例1〕
平均粒径0.1μmの単分散シリカ粒子を0.25重量%および平均粒径0.6μmの炭酸カルシウム粒子を0.016重量%含有する固有粘度0.63dl/g(o−クロロフェノールを溶媒として用い、25℃で測定した値)のポリエチレン−2,6−ナフタレートを180℃で5時間乾燥したのち、300℃で溶融押し出しし、60℃に保持したキャスティングドラム上で急冷固化させて、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを速度差を持った2つのロール間で長手方向に120℃の温度で5.2倍延伸し、さらにテンターによって横方向に4.0倍延伸し、その後、220℃で15秒間熱処理をした。このようにして、厚さ6μmのフィルムを得て、巻き取った。
【0043】
一方、下記に示す組成物をボールミルに入れ、16時間混練り、分散したのち、イソシアナート化合物(バイエル社製のデスモジュールL)5重量部を加え、1時間高速剪断分散して磁性塗料とした。
Figure 0003547986
【0044】
この磁性塗料を、上述のポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムの片面に塗布厚2μmになるように塗布し、次いで2,500ガウスの直流磁場で配向処理を行い、100℃で加熱乾燥後、スーパーカレンダー処理(線圧;200kg/cm、温度;80℃)を行い、巻き取った。この巻き取ったロールを55℃のオーブン中に3日間放置した。さらに、下記組成のバックコート層塗料を厚さ1μmに塗布し、乾燥させ、さらに6.35mm(=1/4インチ)に裁断し、磁気テープを得た。
Figure 0003547986
得られたフィルムおよびテープの特性を、表1に示す。表1から明らかなように、エラーレートがなく、出力特性も良好であった。
【0045】
〔実施例2〕
平均粒径0.3μmのシリカ粒子を0.01重量%および平均粒径0.09μmのシリカ粒子を0.30重量%含有する固有粘度0.62dl/g(o−クロロフェノールを溶媒として用い、25℃で測定した値)のポリエチレン−2,6−ナフタレートをA層とし、平均粒径0.09μmのシリカ粒子を0.01重量%含有する固有粘度0.63dl/g(o−クロロフェノールを溶媒として用い、25℃で測定した値)のポリエチレン−2,6−ナフタレートをB層として、共押し出し法により、未延伸積層フィルムを得た。得られた未延伸積層フィルムを、低速・高速のロール間で長手方向に120℃の温度で5.2倍延伸し、さらにテンターによって125℃で横方向に4.0倍延伸し、さらにステンターに供給して、220℃で15秒間熱処理をし、厚さ4.5μm(A層厚み1.1μm)のフィルムを得た。このフィルムに、実施例1と同様にして、B層表面に磁性塗料を、A層側にバックコート層塗料を施し、裁断して、磁気テープを得た。得られたテープの特性を表1に示す。実施例1と同様に、良好な結果が得られた。
【0046】
〔実施例3〕
平均粒径0.5μmの架橋シリコン樹脂粒子を0.02重量%および平均粒径0.09μmのアルミナ粒子を0.3重量%含有する固有粘度0.62dl/g(o−クロロフェノールを溶媒として用い、25℃で測定した値)のポリエチレンテレフタレートを、170℃で3時間乾燥したのち、300℃で溶融押し出しし、25℃に保持したキャスティングドラム上で急冷固化させて、未延伸フィルムを得た。得られた未延伸積層フィルムを、75℃に予熱し、さらに低速・高速のロール間で14mm上方より830℃の表面温度のIRヒーターを用いて加熱して2.25倍に延伸し、急冷し、続いてステンターに供給し、110℃で幅方向に3.6倍延伸した。さらに、引き続いて110℃で予熱し、低速・高速のロール間で2.5倍に長手方向に延伸し、さらにステンターに供給し、240℃で2秒間熱固定し、厚み6.0μmのフィルムを得た。このフィルムを用いて、実施例1と同様にして磁気テープを得た。得られたテープの特性を表1に示す。実施例1と同様に良好な結果が得られた。
【0047】
〔実施例4〕
表1に示す架橋シリコン樹脂粒子とアルミナ粒子を含有する固有粘度0.62dl/g(o−クロロフェノールを溶媒として用い、25℃で測定した値)のポリエチレンテレフタレートをA層とし、表1に示すシリカ粒子を含む固有粘度0.63l/gのポリエチレンテレフタレートをB層として、共押し出し法により、未延伸積層フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを、実施例3と同様にしてフィルムおよび磁気テープを得た。このとき、磁性層はB層表面に、バックコート層はA層表面に施した。このフィルムおよび磁気テープの特性を表1に示す。実施例1と同様に良好な結果が得られた。
【0048】
〔比較例1〕
実施例1と同様にして、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの未延伸フィルムを得て、得られた未延伸フィルムを、75℃に予熱し、さらに低速・高速のロール間で14mm上方より830℃の表面温度のIRヒーターにて加熱し、3.8倍に延伸し、急冷後、ステンターに供給し、120℃にて幅方向に5.2倍に延伸し、その後、200℃で10秒間熱固定し、厚み6μmのフィルムを得た。また、このフィルムを用い、実施例1と同様にして磁気テープを得た。結果を表2に示す。本比較例は、上記式(1)の範囲を外れる場合であり、トラックずれによると思われるエラーレートが高い。
【0049】
〔比較例2〕
表2に示す架橋シリコン樹脂粒子とアルミナ粒子を含有する固有粘度0.63dl/g(o−クロロフェノールを溶媒として用い、25℃で測定した値)のポリエチレン−2,6−ナフタレートを170℃で3時間乾燥したのち、300℃で溶融押し出しし、25℃に保持したキャスティングドラム上で急冷固化させて、未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを、速度差を持った2つのロール間で長手方向に90℃の温度で3.6倍延伸し、さらにテンターによって横方向に3.9倍延伸し、その後、220℃で15秒間熱処理をし、厚さ6μmのフィルムを得た。また、実施例1と同様にして、磁気テープを得た。このフィルムおよび磁気テープの特性を、表2に示す。上記式(I)の範囲を外れ、トラックずれによると思われるエラーレートが高く、またフィルムのヤング率が低いため、テープにしたときの耐久性およびヘッドのあたり不足によって、出力特性が悪化する結果となった。
【0050】
〔比較例3〕
平均粒径0.3μmのシリカ粒子を2.0重量%含有する固有粘度0.61dl/g(o−クロロフェノールを溶媒として用い、25℃で測定した値)のポリエチレンテレフタレートをA層とし、同様のシリカ粒子を0.1重量%含有する固有粘度0.62dl/g(o−クロロフェノールを溶媒として用い、25℃で測定した値)のポリエチレンテレフタレートをB層とし、比較例2と同様にして、厚さ6μmの積層延伸フィルム(A層厚み0.4μm)、および磁気テープを得た。得られた二軸配向積層フィルムと磁気テープの特性を、表2に示す。本比較例は、上記式(I)の範囲を外れ、トラックずれによると思われるエラーレートが高く、またt/dの値が10以下のため、巻き取り性および走行耐久性が悪く、削れによってエラーレートが高かった。
【0051】
【表1】
Figure 0003547986
【0052】
【表2】
Figure 0003547986
【0053】
【発明の効果】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、磁気テープなどの磁気記録媒体としたときのトラックずれなどの寸法変化によるエラーレートの発生がなく、出力特性が良く、特にデジタルデータストレージ用テープとして有用である。

Claims (6)

  1. 全厚みが7μm未満の二軸配向ポリエステルフィルムからなり、ポリエステルがポリエチレン−2,6−ナフタレートまたはポリエチレンテレフタレートであり、フィルムの熱膨張係数αt(×10-6/℃)、湿度膨張係数αh(×10-6/%RH)、65℃で9日間保持したときの熱収縮率S(%)が下記式 II の範囲にあることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
    Figure 0003547986
    ここで、
    αt(MD);フィルム長手方向の熱膨張係数
    αt(TD);フィルム幅方向の熱膨張係数
    αh(MD);フィルム長手方向の湿度膨張係数
    αh(TD);フィルム幅方向の湿度膨張係数
    S(MD);フィルム長手方向の熱収縮率
    S(TD);フィルム幅方向の熱収縮率
    である。
  2. フィルムの長手方向のヤング率Y(MD)とフィルム幅方向のヤング率Y(TD)の比Y(MD)/Y(TD)が1.4〜2.0の範囲にある請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. フィルムがA層およびB層の2層からなり、A層厚みtとA層中に含有される粒子の平均粒径dとの比t/dが次式の範囲である請求項1または2のいずれか1項記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
    【数3】
    10<t/d≦30
  4. 磁気記録媒体用であって、磁性層を塗布する層の表面粗さWRaが0.5〜7nmである請求項1〜いずれか1項記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. デジタル記録型磁気媒体用である請求項1〜いずれか1項記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. データストレージ用である請求項記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
JP8387298A 1998-03-30 1998-03-30 二軸配向ポリエステルフィルム Expired - Fee Related JP3547986B2 (ja)

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