JP3551499B2 - 新規な非水分散液およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規にして有用なる非水分散液およびその製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、非水分散液の分散安定剤として機能する分散安定化用重合体の存在下に、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物の加水分解を行い、さらに必要に応じて、縮合反応を行って得られる該珪素化合物の加水分解物あるいは加水分解縮合物が複合化された変性樹脂と、
【0002】
ビニル系単量体は溶解するが、その重合体は溶解しないというような特定の有機溶剤との共存下で、該ビニル系単量体を非水分散重合せしめることによって得られる非水分散液と、該非水分散液の製造方法とに関し、とくに、耐候性などの、いわゆる耐久性に優れる塗膜を形成することの出来る、被覆用組成物として有用な非水分散液と、その製造方法とに関する。
【0003】
そして、このような斬新なる、本発明の非水分散液は、そして、本発明の製造方法により得られる非水分散液は、とりわけ、自動車上塗り用、建築外装用、耐熱塗料用、接着剤用、インク用、繊維・紙の含浸剤用ならびに表面処理剤用などとして、広範囲に利用されるものである。
【0004】
【従来の技術】
今までに、珪素化合物を含有する非水分散液としては、アルコキシポリシロキサンを分散安定化用重合体とする非水分散液が、特開昭62−116605号公報に開示されてはいるけれども、斯かる非水分散液は、とりわけ、保存安定性が劣っているという問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来型技術の製造方法に従って得られる、珪素化合物を含有する非水分散液は、どうしても、保存安定性が悪いという処から、此の保存安定性が良好なる非水分散液ならびに其の製造技術の登場が、強く、望まれている。
【0006】
したがって、本発明が解決しようとしている課題は、一にかかって、とりわけ、保存安定性の良好なる、それぞれ、新規にして有用なる、非水分散液ならびに其の製造方法を提供することにあるし、より一層詳細には、そして、最終的には、とりわけ、保存安定性が良好であって、しかも、特に、耐候性などの、いわゆる耐久性にも優れるという、極めて実用性の高い被覆用組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
しかるに、本発明者らは、こうした従来の非水分散液における問題点、就中、従来型非水分散液における保存安定性の悪さという問題点の存在に鑑み、と同時に、上述したような発明が解決しようとする課題に照準をも合わせて、鋭意、研究を開始した。
【0008】
つまり、上述したような本発明の課題を解決するべく、鋭意、検討を重ねた結果、非水分散液の分散安定剤として機能する分散安定化用重合体の存在下に、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物の加水分解を行い、さらに必要に応じて、縮合反応を行って得られるという、特定の該珪素化合物の加水分解物あるいは加水分解縮合物が複合化された変性樹脂と、
【0009】
ビニル系単量体は溶解するが、その重合体は溶解しないというような特定の有機溶剤との共存下で、該ビニル系単量体を非水分散重合せしめて得られる形の非水分散液が、果たせるかな、課題たる保存安定性が良好であることを見出し、上述の課題を見事に解決することが出来ることを確信するに及んで、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0010】
[構成]
すなわち、本発明は、基本的には、分散安定化用重合体(A)の存在下に、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)の加水分解を行い、さらに必要に応じて、縮合反応を行って得られる変性樹脂と、ビニル系単量体(C)は溶解するが、その重合体は溶解しない有機溶剤(D)との共存下で、ビニル系単量体(C)を非水分散重合せしめて得られる非水分散液を提供しようとするものであるし、併せて、こうした非水分散液の製造方法をも提供しようとするものである。
【0011】
以下に、本発明を、さらに詳細に、説明することにする。
【0012】
ここにおいて、本発明で言う「加水分解」とは、単なる加水分解をも含むという意味であるし、該加水分解だけではなくて、そのまま、付随して起きる縮合反応までをも含むという意味であり、他方、「縮合反応」とは、かくして得られる加水分解(反応)物または加水分解縮合物を、さらに、縮合せしめるための反応を意味するものである。
【0013】
まず、はじめに、分散安定化用重合体(A)の存在下に、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)の加水分解反応、さらに必要に応じて、縮合反応を有機溶剤の存在下または無溶剤下に行う。
【0014】
その際に、加水分解および縮合反応を促進する触媒を添加することができる。
【0015】
次いで、該加水分解または該加水分解縮合反応で得られた変性樹脂の存在下において、ビニル系単量体(C)は溶解するが、その重合体は溶解しない有機溶剤(D)を、先に添加してから、該ビニル系単量体(C)を非水分散重合せしめるとか、
【0016】
あるいはビニル系単量体(C)は溶解するが、その重合体は溶解しない有機溶剤(D)と、該ビニル系単量体(C)とを、同時に添加して、該ビニル系単量体(C)を非水分散重合せしめるというのが、本発明の製造方法のポイントである。
【0017】
本発明において用いる分散安定化用重合体(A)は、非水分散液における分散安定剤として機能するものであれば、如何なる重合体でも使用できるが、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ビニル系重合体、ポリエーテル系重合体、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリウレタン系重合体、アルキルエーテル化アミノ樹脂またはアルキド樹脂などであり、あるいはビニル系重合体とその他の重合体との、ブロック−またはグラフト重合体などである。
【0018】
これらの重合体のうちでも特に好ましいものとしては、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、カルボン酸ビニルエステル系重合体、芳香族ビニル系重合体またはポリオレフィン系重合体;あるいはビニル系重合体同志のグラフト重合体またはブロック共重合体などのような、種々のビニル系重合体が挙げられる。
【0019】
就中、耐久性などの観点から特に好ましいものとしては、アクリル系重合体またはフルオロオレフィン系重合体などである。
【0020】
また、当該分散安定化用重合体(A)としては、ビニル系単量体(C)を重合して得られる分散重合体粒子、または一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)の加水分解物、あるいは加水分解縮合物等と反応する官能基を含有しないものであってもよいが、より高い分散安定性を有する非水分散液を得るには、加水分解性シリル基、水酸基、重合性不飽和二重結合、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基の如き、種々の官能基を有するようなものの使用が、特に望ましい。
【0021】
さらに、本発明に係る非水分散液を、硬化性組成物用として利用する場合における、当該分散安定化用重合体(A)としては、加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基の如き、各種の官能基を有するようなものの使用が望ましい。
【0022】
かかる分散安定化用重合体(A)としての、それぞれ、アクリル重合体またはフルオロオレフィン系重合体を調製する際に使用されるビニル系単量体類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0023】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートもしくはラウリル(メタ)アクリレートの如き、C1 〜C22なるアルキル基を有する、各種のアルキル(メタ)アクリレート類;
【0024】
ベンジル(メタ)アクリレートもしくはフェネチル(メタ)アクリレートの如き、各種のアラルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレートもしくはイソボロニル(メタ)アクリレートの如き、各種のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;メトキシエチル(メタ)アクリレートもしくはメトキシブチル(メタ)アクリレートの如き、各種のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
【0025】
スチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンもしくはビニルピリジンの如き、各種の芳香族ビニル系単量体類; 酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、安息香酸ビニルもしくは「ベオバ」(オランダ国シェル社製品)の如き、各種のカルボン酸ビニルエステル類;
【0026】
クロトン酸メチルもしくはクロトン酸エチルの如き、各種のクロトン酸のアルキルエステル類;ジメチルマレート、ジブチルマレート、ジメチルフマレート、ジブチルフマレート、ジメチルイタコネートもしくはジブチルイタコネートの如き、各種の不飽和二塩基酸のジアルキルエステル類;
【0027】
(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸もしくはイタコン酸の如き、各種の不飽和カルボン酸類;コハク酸モノビニルもしくはアジピン酸モノビニルの如き、各種の飽和ジカルボン酸類のモノビニルエステル類;
【0028】
イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルもしくはフマル酸モノブチルの如き不飽和ジカルボン酸類と、飽和1価アルコール類とから得られるような、各種のモノエステル類;前掲した2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどで以て代表されるような、種々の水酸基含有単量体類と、無水コハク酸もしくは無水フタル酸などで以て代表されるような、種々の酸無水物類との付加物;前掲したカルボキシル基含有単量体類のラクトン付加誘導体類;
【0029】
(メタ)アクリロニトリルもしくはクロトノニトリルの如き、各種のシアノ基含有単量体類;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチエレンもしくはヘキサフルオロプロピレンの如き、各種のフルオロオレフィン類;塩化ビニルもしくは塩化ビニリデンの如き、各種のクロル化オレフィン類;エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテンもしくは1−ヘキセンの如き、各種のα−オレフィン類;
【0030】
エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルもしくはn−ヘキシルビニルエーテルの如き、各種のアルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルもしくはメチルシクロヘキシルビニルエーテルの如き、各種のシクロアルキルビニルエーテル類;アクロレインもしくはメチルビニルケトンの如き、各種のカルボニル基含有単量体類;
【0031】
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートもしくはジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートの如き、各種の窒素原子含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルキノリンもしくはN−ビニルピペリジンの如き、各種の含窒素単量体類;
【0032】
「ブレンマー PPもしくはPE」[日本油脂(株)製品]の如き、各種の含ポリエーテル含有単量体類;「ライトエステル PMもしくはPA」[共栄社油脂化学工業(株)製品]の如き、各種の燐酸エステル基含有単量体類;スチレンスルホン酸もしくはビニルスルホン酸の如き、各種のスルホン酸基含有単量体類;マレイン酸無水物もしくはイタコン酸無水物の如き、各種の酸無水物基含有単量体類;
【0033】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテルまたはポリエチレングリコールなどで以て代表されるような、種々のポリエーテルポリオールと(メタ)アクリル酸などで以て代表されるような、種々の不飽和カルボン酸とから得られる不飽和カルボン酸モノエステル、
【0034】
あるいは前掲した各種の水酸基含有単量体類とε−カプロラクトンなどで以て代表されるような、種々のラクトン類との付加物;またはグリシジル(メタ)アクリレートなどで以て代表されるような、種々のエポキシ基含有不飽和単量体と酢酸などで以て代表されるような、種々の酸類との付加物;
【0035】
さらには、(メタ)アクリル酸などで以て代表されるような、種々の不飽和カルボン酸類と、「カーデュラ E」(オランダ国シェル社製製品)などで以て代表されるような、種々のモノエポキシ化合物との付加物などのような、種々の水酸基含有単量体類などであるし、さらにはまた、加水分解性シリル基含有単量体類などである。
【0036】
そして、かかる加水分解性シリル基含有単量体とは、一般式
【0037】
【化1】
【0038】
(ただし、式中のR1 はアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基なる1価の有機基を、R2 は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基もしくはアルケニルオキシ基を表わすものとし、aは0あるいは1または2なる整数であるものとする。)
【0039】
で示されるような、加水分解されてシラノール基を生成するという加水分解性シリル基を有する形のビニル系単量体類を指称するものである。
【0040】
このような加水分解性シリル基含有単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、メチルジメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテルもしくはトリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、
【0041】
またはメチルジメトキシシリルプロピルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランもしくはγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシランなどである。
【0042】
かかるビニル系単量体類から、分散安定化用重合体(A)としてのアクリル系重合体を調製するには、これらの単量体のうち、炭素数が4以上なるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体および/またはシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体を必須成分とし、必要により、その他の単量体をも共重合せしめるというのが、分散安定性などの面からも好ましい。
【0043】
そして、かかる炭素数が4以上なるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体および/またはシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体の使用量としては、概ね、全単量体量を基準として、約20〜100重量%なる範囲内が適切である。
【0044】
そして、前述したような分散安定性の観点からは、加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基などのような官能基を有するビニル系単量体を、共重合用単量体(コモノマー)として併用するのが望ましい。また、重合性不飽和二重結合を当該分散安定化用重合体(A)中に導入せしめるには、公知慣用の方法が適用できるが、最も簡便には、エポキシ基含有単量体の共重合体に、カルボキシル基含有単量体を反応させるか、あるいはカルボキシル基含有単量体の共重合体に、エポキシ基含有単量体を反応せしめるようにすればよい。
【0045】
また、前述したように、本発明に係る非水分散液を、硬化性組成物用として利用する場合には、加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基などのような官能基を有するビニル系単量体を共重合単量体として併用するのが望ましい。
【0046】
かかる加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基の如き、種々の官能基を有する単量体類の使用量としては、分散安定化用重合体(A)を構成する全単量体を基準として、約0.1〜約50重量%なる範囲内が、好ましくは、0.5〜30重量%なる範囲内が、より好ましくは、0.5〜15重量%なる範囲内が適切である。
【0047】
一方、分散安定化用重合体(A)としてのフルオロオレフィン系重合体を調製するには、前掲した如きフルオロオレフィン類を、これらのフルオロオレフィン類と共重合可能なる、その他の単量体類と共重合せしめるようにすればよい。
【0048】
その際に使用される、共重合可能なる単量体類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、カルボン酸ビニルエステル類、アルキルビニルエーテル類またはシクロアルキルビニルエーテル類などである。
【0049】
そして、かかるフルオロオレフィン系重合体の、より具体的なものとして、特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、特開昭62−25103号公報、特開昭62−81409号公報または特開平2−69507号公報に開示されているような、種々のフルオロオレフィン系重合体類などが挙げられる。
【0050】
なお、前述したような分散安定性の観点からは、該フルオロオレフィン系重合体にも、前記アクリル系重合体の場合と同様の方法により、加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基または重合性不飽和二重結合の如き、各種の官能基を導入せしめることが望ましい。
【0051】
また、前述したように、本発明に係る非水分散液を、硬化性組成物用として利用する場合には、此のフルオロオレフィン系重合体にも、前記したアクリル系重合体の場合と同様の方法により、加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基などのような、各種の官能基を導入せしめることが望ましい。
【0052】
こうした加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基の如き官能基を導入せしめる際に使用される、該官能基含有のビニル系単量体の使用量としては、分散安定化用重合体(A)を構成する全単量体を基準として、0.1〜50重量%なる範囲内が、好ましくは、0.5〜30重量%なる範囲内が、より好ましくは、0.5〜15重量%なる範囲内が適切である。
【0053】
前掲した如きビニル系単量体類から、分散安定化用重合体(A)としてのアクリル系重合体またはフルオロオレフィン系重合体を調製するには、公知慣用の方法が適用できるが、後掲した重合開始剤を用いて、有機溶剤中で、ラジカル重合せしめるのが、特に簡便である。
【0054】
このようにして得られる、分散安定化用重合体(A)としてのアクリル系重合体またはフルオロオレフィン系重合体の分子量としては、数平均分子量で以て、500〜100,000なる範囲内が適切であるし、好ましくは、1,000〜50,000なる範囲内が適切である。
【0055】
分子量が500よりも小さい場合には、どうしても、重合体粒子の安定化が不充分になってしまい、ひいては、凝集や沈澱などを生じ易くなるし、一方、100,000を超えて余りに高くなる場合には、どうしても、分散液の粘度が異常に高くなってしまうようになるので、いずれの場合も好ましくない。
【0056】
以上に記述して来たような、分散安定化用重合体(A)としてのアクリル系重合体またはフルオロオレフィン系重合体は、単独使用であっても、2種類以上の併用であってもよいし、さらに、これらの特定の重合体に、該アクリル系またはフルオロオレフィン系重合体以外の、前掲のようなビニル系重合体や、ビニル系重合体以外の、それぞれ、ポリエーテル系重合体やポリエステル系重合体などのような、種々の重合体をも併用することができる。
【0057】
本発明において用いられる、前記した、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)とは、珪素原子に結合した水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基もしくはアルケニルオキシ基の如き、加水分解されて、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した水酸基を生成する基を有するような、特定の化合物を指称するものである。
【0058】
かかる珪素化合物(B)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、公知慣用のものが、いずれも使用できるけれども、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、次のような一般式
【0059】
【化2】
R1 aSiR2 4−a
【0060】
(ただし、式中のR1 は、それぞれ、置換基を有していても有していなくてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはアルケニル基なる1価の有機基を、R2 は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基もしくはアルケニルオキシ基を表わすものとし、aは0あるいは1または2なる整数であるものとする。)
【0061】
で以て示される形の珪素化合物;それら部分(共)加水分解;またはそれらの部分(共)加水分解縮合物;
【0062】
あるいは(CH3CH2O)3 SiOCH2CH2OSi(OCH2CH3)3 または(CH3CH2O)3 SiOCH2CH2CH2 OSi(OCH2CH3)3 などのような、一分子中に2個以上の加水分解性シリル基を有する珪素化合物などである。
【0063】
前掲したような一般式で示される珪素化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランもしくはテトラブトキシシランの如き、各種のテトラアルコキシシラン類;
【0064】
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシランもしくはブチルトリエトキシシラン、
【0065】
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランもしくはアリルトリメトキシシラン、
【0066】
またはトリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランもしくはγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランの如き、各種のオルガノトリアルコキシシラン類;
【0067】
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシランもしくはジブチルジエトキシシラン、
【0068】
ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、メチルジメトキシシリルエチルビニルエーテル、メチルジメトキシシリルプロピルビニルエーテルもしくはγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランの如き、各種のジオルガノジアルコキシシラン類;
【0069】
テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ビニルメチルジクロロシランもしくはγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシランの如き、各種のクロロシラン類;
【0070】
またはテトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシランもしくはジフェニルジアセトキシシランの如き、アセトキシシラン類などである。
【0071】
これらのうちでも、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)として特に特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキシシランまたはジオルガノジアルコキシシラン、あるいはそれらの部分加水分解物ないしは部分共加水分解物、さらには、それらの部分加水分解縮合物ないしは部分共加水分解縮合物などである。
【0072】
さらに、本発明において用いられる、当該珪素化合物(B)に、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシランまたはトリフェニルエトキシシランの如き、珪素原子に1個の加水分解性基が結合した形の珪素化合物をも併用することが出来る。
【0073】
前述した分散安定化用重合体(A)と、当該珪素化合物(B)との使用割合としては、前者重合体(A)と、後者化合物(B)の加水分解物または加水分解縮合物との重量割合が、約10:90〜約95:5程度となるように設定するのがよいし、さらに好ましくは、20:80〜85:15程度となるように設定するのがよい。
【0074】
分散安定化用重合体(A)の重量割合が10%未満となるように設定すると、どうしても、引き続いて行われる、非水分散液の重合反応で以て、安定なる非水分散液が生成しにくくなるので好ましくないし、一方、95%を超えて余りに多くなる場合には、どうしても、本発明の非水分散液に含まれる珪素化合物(B)の加水分解物または加水分解縮合物量が低くなり易くなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0075】
分散安定化用重合体(A)の存在下での、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)の加水分解と、さらに必要に応じて、行われる縮合反応とに用いられる触媒として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、塩酸、硫酸または燐酸の如き、各種の無機酸類;p−トルエンスルホン酸または酢酸の如き、各種の有機酸類;
【0076】
水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの如き、各種の無機塩基類;テトライソプロピルチタネートまたはテトラブチルチタネートの如き、各種のチタン酸エステル類;燐酸モノイソプロピルの如き、各種の燐酸エステル類;ジブチル錫ジラウレートまたはオクチル酸錫の如き、各種の錫カルボン酸塩類;
【0077】
鉄、コバルト、マンガンまたは亜鉛の如き、各種金属のナフテン酸塩;オクチル酸塩の如き、各種の金属カルボン酸塩類;アルミニウムトリスアセチルアセテートの如き、各種のアルミニウム化合物;
【0078】
ブチルアミン、オクチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンまたはN−メチル−イミダゾールの如き、各種のアミン化合物類;あるいはテトラブチルアンモニウムハイドロオキサイドの如き、各種の4級アンンモニウム塩類などである。
【0079】
使用される触媒量としては、前述した分散安定化用重合体(A)と、此の一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)との合計量に対して、約0.0001〜約10重量%なる範囲内が、好ましくは、0.0005〜5重量%なる範囲内が適切である。
【0080】
また、使用される水の量としては、珪素原子に結合している加水分解性基の1モルに対して、約0.05モル以上が、好ましくは、0.1モル以上が適切であるし、さらに好ましくは、0.2モル以上が適切である。
【0081】
約0.05モル未満の場合には、どうしても、加水分解の速度が著しく遅くなってしまい、実用上、好ましくないけれども、此の水の量が、5モル、10モルと、珪素原子に結合している加水分解性基の1モルに対して、過剰に使用することは、一向に支障がない。
【0082】
そして、これらの触媒および水の添加は、一括添加でも、分割添加でもよく、また、触媒と水を混合し、併用した形で以て添加しても、あるいは別々に、添加してもよいことは、勿論である。
【0083】
こうした加水分解反応または縮合反応の反応温度としては、約0℃〜約150℃程度が適切であり、好ましくは、20℃〜100℃程度が適切であるし、一方、これらの反応の圧力としては、常圧、加圧または減圧下の、いずれの条件においても行うことが出来る。
【0084】
これらの反応の副生成物であるアルコールや水などが、引き続いて行われる非水分散重合の重合過程や、得られる非水分散液の安定性などに問題を起こすようであれば、蒸留などの手段によって、反応系外に除くことが出来るし、問題が無ければ、そのまま、反応系に存在させておいて、一向に支障は無い。
【0085】
また、分散安定化用重合体(A)の存在下において行う、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)の加水分解または縮合反応にあっては、有機溶剤を使用してもよいし、使用しなくてもよいが、攪拌などが容易に行えるようにするためにも、有機溶剤を使用することが望ましい。
【0086】
ここにおいて、有機溶剤を使用する場合には、公知慣用の有機溶剤のいずれをも使用することが出来るし、しかも、それらは単独使用でも2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0087】
それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ホワイト・スピリットまたはミネラル・スピリットの如き、それ自体が、種々の炭化水素からなる混合物や、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタンもしくはシクロオクタンの如き、各種の脂肪族炭化水素類;
【0088】
トルエン、キシレンもしくはエチルベンゼンの如き、各種の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートまたはエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの如き、各種のエステル類;
【0089】
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルまたはエチレングリコールモノブチルエーテルの如き、各種のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンまたはシクロヘキサノンの如き、各種のケトン類;
【0090】
ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテルまたはジ−n−ブチルエーテルの如き、各種のエーテル類;クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、トリクロロエタンまたはテトラクロロエタンの如き、各種の塩素化炭化水素類;あるいはN−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはエチレンカーボネートなどである。
【0091】
また、それぞれ、分散安定化用重合体(A)と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)との、前記有機溶剤中における濃度としては、両者成分の合計量として、約5重量%程度以上にすることが望ましい。
【0092】
本発明のビニル系単量体(C)を分散重合せしめて得られる重合体分散粒子を形成している重合体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、カルボン酸ビニルエステル系重合体または芳香族ビニル系重合体などであるが、就中、調製のし易さなどの面からは、アクリル系重合体の使用が、特に望ましい。
【0093】
まず、かかる重合体分散粒子となる、アクリル系重合体を形成するビニル系単量体(C)としては、勿論、公知慣用の単量体のいずれもが使用できるけれども、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、前述した分散安定化用重合体(A)の調製に際して掲げたようなものが、そのまま、例示されるということである。
【0094】
すなわち、いわゆるアクリル系重合体分散粒子の調製用ビニル系単量体として特に代表的なものは、前述した分散安定化用重合体(A)を調製するに当たって、特に代表的なものとして例挙されているような、種々の単量体類が、そのまま、使用できるというわけである。
【0095】
かかる単量体のうち、炭素数が3以下なるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体を必須成分とし、必要により、その他の単量体を共重合せしめるのが望ましい。
【0096】
そして、斯かる炭素数が3以下なるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体の使用量としては、概ね、全単量体の20〜100重量%なる範囲内でよい。
【0097】
さらに、当該重合体分散粒子を架橋粒子とするために、ヘキサメチレンジメタクリレートまたはグリセリントリメタクリレートなどで以て代表されるような、2官能以上の、いわゆる多官能ビニル系単量体を併用することも出来る。
【0098】
また、ビニル系単量体(C)を重合して得られる重合体分散粒子は、分散媒を形成する分散安定化用重合体(A)と、あるいは一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)の加水分解物または加水分解縮合物と反応する官能基を有しないようなものであってもよいが、
【0099】
より一層、高い分散安定性を有する非水分散液を得るには、加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基の如き、各種の官能基を有するものを用いるのが、特に望ましい。
【0100】
加えて、本発明に係る非水分散液を、硬化性組成物用として利用する場合にも、ビニル系単量体(C)を重合して得られる重合体分散粒子もまた、加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基の如き、各種の官能基を有するものであることが、特に望ましい。
【0101】
こうした官能基を導入するには、前掲したような各種の単量体のうち、かかる官能基を有する単量体を、共重合成分として併用すればよい。
【0102】
そして、加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基の如き官能基を導入する際に使用される、各官能基含有ビニル系単量体の使用量としては、重合体分散粒子を形成するビニル系単量体(C)の全量の約0.1〜約50重量%となるような範囲内が、好ましくは、0.5〜30重量%となるような範囲内が、より好ましくは、0.5〜15重量%となるような範囲内が適切である。
【0103】
本発明において、非水分散重合時に使用する有機溶剤(D)としては、ビニル系単量体(C)を溶解するが、その重合体を溶解せず、しかも、分散安定化用重合体(A)を溶解するようなものであれば、公知慣用のものを使用することができる。
【0104】
それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、前掲した分散安定化用重合体(A)の存在下に行う、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)の加水分解または縮合反応において用いることが出来るような有機溶剤類を、そのまま、挙げることが出来るし、また、これらは単独使用でも2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0105】
その際に、上述した通りの、ビニル系単量体(C)を溶解し、分散安定化用重合体(A)をも溶解するが、その重合体は溶解しないという、溶解性のバランス化に、特に留意して、此の有機溶剤(D)を選択しなければならない。
【0106】
当該有機溶剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ホワイト・スピリット、ミネラル・スピリット、ヘキサンまたはオクタンなどで以て代表されるような、種々の脂肪族系ないしは脂環式系炭化水素を主成分とした形のものであるが、必要により、その他の有機溶剤類をも併用することが出来ることは、勿論である。
【0107】
次いで、前記した加水分解または縮合反応で以て得られる反応混合物の存在下において、ビニル系単量体(C)を非水分散重合させる際には、通常、ラジカル重合開始剤を用いるのが適切である。
【0108】
ここにおいて、使用できる重合開始剤としては、勿論、公知慣用のものが使用できるけれども、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)もしくは2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の如き、各種のアゾ化合物類;
【0109】
tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイドもしくはジイソプロピルパーオキシカーボネートの如き、各種の過酸化物類などである。
【0110】
これらの重合開始剤の使用量としては、重合に使用されるビニル系単量体(C)の100重量部当たり、約0.05〜約15重量部なる範囲内が、好ましくは、0.1〜10重量部なる範囲内が適切である。
【0111】
上述した非水分散重合の際に共存させる、前掲した加水分解または加水分解縮合反応で以て得られる分散安定化用重合体(A)と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)を複合して得られる樹脂の量と、ビニル系単量体(C)との使用割合としては、前者成分の100重量部に対して、後者成分が約1〜約300重量部程度となる範囲内が、好ましくは、5〜200重量部程度となる範囲内が適切である。
【0112】
また、上述した分散重合反応における有機溶剤中の、分散安定化用重合体(A)と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)との加水分解あるいは加水分解縮合物からなる複合樹脂と、ビニル系単量体(C)との合計濃度としては、約20〜約80重量%程度が適切であり、好ましくは、30〜70重量%程度が適切である。
【0113】
かかる非水分散重合反応の重合温度としては、約0℃〜約160℃程度が適切であり、好ましくは、50〜120℃程度が適切であって、しかも、常圧あるいは加圧下または減圧下の、いずれの圧力下においても、行うことが出来る。
【0114】
また、重合反応としては、約1〜約20時間程度が適切であり、通常は、斯かる反応時間で以て終了するというものである。
【0115】
さらに、本発明に係る非水分散液に、前掲した加水分解または縮合反応用の触媒を添加して、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(C)の加水分解物または加水分解縮合物の、更なる縮合反応を進めることも出来る。
【0116】
以上に掲げたような、種々の調製方法で以て得られる当該水分散液は、非常に良好なる保存安定性を示すという処から、何らの硬化剤を使用しない形の非架橋型としても、自己硬化するという形の架橋型としても、あるいは硬化剤を併用するという形の架橋型としても使用することが出来、さらに、流動調整剤、顔料、染料または可塑剤などを添加した形で以て、種々の用途に利用し、適用することが出来る。
【0117】
本発明の非水分散液から得られる樹脂は、とりわけ、耐久性などに極めて優れるという処から、主として、自動車上塗り用塗料用、建築外装用塗料用、耐熱塗料用、接着剤用、インク用、繊維・紙の含浸剤用ならびに表面処理剤用などの用途に利用し、適用することが出来る。
【0118】
【実施例】
次に、本発明を、参考例、実施例および比較例により、一層、具体的に説明をすることにするが、本発明は、決して、これらの例のみに限定されるものではない。
【0119】
なお、以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて重量基準であるものとする。
【0120】
参考例1〔分散安定化用重合体(A)の調製例〕
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に、キシレンの15部と、「LAWS」(オランダ国シェル社製の、低芳香族系炭化水素含有のホワイト・スピリット)の35部とを仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0121】
次いで、同温度で、2−エチルヘキシルメタクリレートの50部、n−ブチルメタクリレートの47部およびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン3部と、キシレンの12部と、「LAWS」の28部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの5部とからなる混合物を、4時間に亘って滴下した。
【0122】
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌して、不揮発分が53.5%で、かつ、25℃におけるガードナー粘度(以下、粘度と略記する。)がO−Pなる、目的重合体の溶液を得た。以下、これを(A−1)と略記する。
【0123】
参考例2(同上)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に、キシレンの50部を仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0124】
次いで、同温度で、2−エチルヘキシルメタクリレートの50部、n−ブチルメタクリレートの47部およびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの3部と、キシレンの40部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの5部とからなる混合物を、4時間に亘って滴下した。
【0125】
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌して、不揮発分が53.1%で、かつ、粘度がJ2 −Kなる、目的重合体の溶液を得た。以下、これを(A−2)と略記する。
【0126】
参考例3(同上)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に、「LAWS」の35部およびn−ブタノール15部を仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0127】
次いで、同温度で、2−エチルヘキシルメタクリレートの50部、n−ブチルアクリレートの47部および2−ヒドロキシエチルメタクリレートの3部と、「LAWS」の28部と、n−ブタノールの12部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの5部とからなる混合物を、4時間に亘って滴下した。
【0128】
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌して、不揮発分が53.0%で、かつ、粘度がIなる、目的重合体の溶液を得た。以下、これを(A−3)と略記する。
【0129】
参考例4(同上)
内容量が2リットルなる、ステンレス製の耐圧管に、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を具備した形の反応容器に、キシレンの66.7部と、アゾビスバレロニトリル(ABNV)の2部と、
【0130】
エチルビニルエーテルの22部、「ベオバ−9」(オランダ国シェル社製の、炭素数が9なるアルキル基を有する、カルボン酸のビニルエステル)の19部、ヒドロキシブチルビニルエーテルの3部およびビニルトリメトキシシランの3部とを仕込んで、ドライアイス/メタノール浴で、−70℃にまで冷却し、窒素ガスを吹き込んで、耐圧管内の空気を置換した。
【0131】
そして、液状で採取したクロロトリフルオロエチレンの53部を仕込んで封管をした。 その後は、此の耐圧封管を、60℃に加温した回転式高温水槽に入れて、16時間のあいだ反応を行って、不揮発分が59.5%で、かつ、粘度がZなる、目的重合体の溶液を得た。以下、これを(A−4)と略記する。
【0132】
実施例1
温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反応容器に、分散安定剤用重合体(A−1)の101.6部、キシレンの2.1部、「LAWS」の5.0部ならびにフェニルトリエトキシシランの85.7部を仕込んで、80℃にまで昇温した。
【0133】
次いで、同温度で、「AP−3」[大八化学工業所(株)製の、イソプロピルアシッドホスフェート]の0.17部と、イオン交換水の19.3部とを、5分間に亘って適下し、同温度で、4時間のあいだ攪拌したのちに、キシレンの13.7部および「LAWS」の31.9部を添加してから、減圧蒸留で、副生成物であるエタノールなどを除いて、不揮発分が57.7%なる、複合樹脂の溶液を得た。
【0134】
次いで、かくして得られた複合樹脂溶液の173.3部と、キシレンの23.0部と、「LWAS」の53.7部とを、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0135】
しかるのち、同温度で、メチルメタクリレートの32.5部、エチルアクリレートの16.0部およびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの1.5部と、キシレンの22.5部および「LAWS」の52.5部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの1.0部とからなる混合物を、3時間に亘って滴下した。
【0136】
滴下終了後も、同温度で、17時間のあいだ攪拌して、不揮発分が40.0%で、かつ、粘度がA4 −A3 なる、白濁な非水分散液を得た。 室温に、3ヵ月のあいだ放置したのちにおいても、粒子の沈降などは、全く、認められなかった。
【0137】
実施例2
温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反応容器に、分散安定剤用樹脂(A−2)の121.8部、メチルトリエトキシシランの95.4部を仕込んで、80℃にまで昇温し、同温度で、「AP−3」の0.0026部と、イオン交換水の29.4部とを、5分間で以て適下した。
【0138】
滴下終了後も、同温度で、4時間のあいだ攪拌したのちに、n−ブタノールの57.1部を添加してから、減圧蒸留で、副生成物であるエタノールなどを除いて、不揮発分が75.6%なる、複合樹脂の溶液を得た。
【0139】
次いで、かくして得られる複合樹脂溶液の132.3部と、キシレンの17.6部と、n−ブタノールの17.6部とを、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0140】
しかるのち、同温度で、メチルメタクリレートの32.5部、エチルアクリレートの16.0部およびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの1.5部、「IPソルベント−1620」[出光石油化学(株)製の脂肪族炭化水素系溶剤]の157.5部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの1.0部とからなる混合物を、3時間に亘って滴下した。
【0141】
滴下終了後も、同温度で、17時間のあいだ攪拌して、不揮発分が42.1%で、かつ、粘度がB2 −Cなる、白濁な非水分散液を得た。
室温に、3ヵ月のあいだ放置したのちにおいても、粒子の沈降などは、全く、認められなかった。
【0142】
実施例3
温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反応容器に、分散安定剤用樹脂(A−3)の143.5部と、メチルトリエトキシシランの63.6部とを仕込んで、80℃にまで昇温し、同温度で、「AP−3」の0.0018部と、イオン交換水の19.8部とを、5分間で以て適下した。
【0143】
滴下終了後も、同温度で、4時間のあいだ攪拌したのちに、「LAWS」の47.2部とn−ブタノールの20.2部とを添加してから、減圧蒸留で、副生成物であるエタノールなどを除いて、不揮発分が68.4%なる、複合樹脂の溶液を得た。
【0144】
次いで、かくして得られた複合樹脂溶液の146.2部と、「LAWS」の14.9部と、n−ブタノールの6.4部とを、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0145】
しかるのち、同温度で、メチルメタクリレートの32.5部、エチルアクリレートの16.0部およびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの1.5部と、「IPソルベント−1620」の157.5部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの1.0部とからなる混合物を、3時間に亘って滴下した。
【0146】
滴下終了後も、同温度で、17時間のあいだ攪拌して、不揮発分が40.1%で、かつ、粘度がZ1 なる、白濁な非水分散液を得た。
室温に、3ヵ月のあいだ放置したのちにおいても、粒子の沈降などは、全く、認められなかった。
【0147】
実施例4
温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反応容器に、分散安定剤用樹脂(A−4)の129.3部と、フェニルトリエトキシシランの42.9部とを仕込んで、80℃にまで昇温し、同温度で、「AP−3」の0.086部と、イオン交換水の9.6部とを、5分間かけて適下した。
【0148】
滴下終了後も、同温度で、4時間のあいだ攪拌したのちに、キシレンの47.6部を添加してから、減圧蒸留で、副生成物であるエタノールなどを除いて、不揮発分が60.0%なる、複合樹脂の溶液を得た。
【0149】
次いで、かくして得られる複合樹脂溶液の166.6部と、キシレンの0.9部とを、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0150】
しかるのち、同温度で、メチルメタクリレートの32.5部、エチルアクリレートの16.0部およびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの1.5部と、「IPソルベント−1620」の157.5部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの1.0部とからなる混合物を、3時間に亘って滴下した。
【0151】
滴下終了後も、同温度で、17時間のあいだ攪拌して、不揮発分が40.0%で、かつ、粘度がU−Vなる、白濁状の非水分散液を得た。
室温に、3ヵ月のあいだ放置したのちにおいても、粒子の沈降などは、全く、認められなかった。
【0152】
比較例1
テトラブトキシシランモノマーを、酸触媒下で以て、水と反応させ、加水分解と縮合反応とを行ったのち、n−ブチルアルコールで希釈せしめることによって、不揮発分が40%なる、ブトキシポリシロキサンの溶液を得た。
【0153】
次いで、此のポリブトキシシロキサン溶液の79部と、ヘプタンの100部とを、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に仕込んで、窒素ガスの通気下に、90℃にまで昇温した。
【0154】
しかるのち、同温度で、スチレンの11.6部、メチルメタクリレートの24.1部、メチルアクリレートの24.1部、エチルアクリレートの25.1部および2−ヒドロキシエチルアクリレートの15.1部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの0.4部とからなる混合物を、3時間に亘って滴下し、
【0155】
滴下終了後も、同温度で、17時間のあいだ攪拌して、不揮発分が47.1%で、かつ、粘度がA4 なる、対照用の分散液を得た。 しかしながら、この分散液は、とりわけ、安定性が悪く、室温における1ヵ月の放置で以て、ゲル化をしてしまった。
【0156】
以上に詳説した通り、本発明の非水分散液は、分散安定化用重合体の存在下に、あるいは一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物の加水分解または縮合反応を行って得られる、加水分解物または加水分解縮合物が複合化された形の、いわゆる変性樹脂の共存下に、ビニル系単量体を重合させて得られるという、斬新なるものである処から、
【0157】
とりわけ、保存安定性が良好なるものであるし、しかも、とりわけ、耐候性などの、いわゆる耐久性に優れる塗膜を形成することの出来る、被覆用組成物として極めて有用なものである。
【0158】
【発明の効果】
本発明に係る非水分散液は、つまり、本発明の非水分散液、そして、本発明の製造方法により得られる非水分散液は、とりわけ、保存安定性が良好なるものであって、しかも、特に、耐候性などの、いわゆる耐久性に優れる塗膜を形成することの出来る、被覆用組成物として有用なものである。
【産業上の利用分野】
本発明は、新規にして有用なる非水分散液およびその製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、非水分散液の分散安定剤として機能する分散安定化用重合体の存在下に、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物の加水分解を行い、さらに必要に応じて、縮合反応を行って得られる該珪素化合物の加水分解物あるいは加水分解縮合物が複合化された変性樹脂と、
【0002】
ビニル系単量体は溶解するが、その重合体は溶解しないというような特定の有機溶剤との共存下で、該ビニル系単量体を非水分散重合せしめることによって得られる非水分散液と、該非水分散液の製造方法とに関し、とくに、耐候性などの、いわゆる耐久性に優れる塗膜を形成することの出来る、被覆用組成物として有用な非水分散液と、その製造方法とに関する。
【0003】
そして、このような斬新なる、本発明の非水分散液は、そして、本発明の製造方法により得られる非水分散液は、とりわけ、自動車上塗り用、建築外装用、耐熱塗料用、接着剤用、インク用、繊維・紙の含浸剤用ならびに表面処理剤用などとして、広範囲に利用されるものである。
【0004】
【従来の技術】
今までに、珪素化合物を含有する非水分散液としては、アルコキシポリシロキサンを分散安定化用重合体とする非水分散液が、特開昭62−116605号公報に開示されてはいるけれども、斯かる非水分散液は、とりわけ、保存安定性が劣っているという問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来型技術の製造方法に従って得られる、珪素化合物を含有する非水分散液は、どうしても、保存安定性が悪いという処から、此の保存安定性が良好なる非水分散液ならびに其の製造技術の登場が、強く、望まれている。
【0006】
したがって、本発明が解決しようとしている課題は、一にかかって、とりわけ、保存安定性の良好なる、それぞれ、新規にして有用なる、非水分散液ならびに其の製造方法を提供することにあるし、より一層詳細には、そして、最終的には、とりわけ、保存安定性が良好であって、しかも、特に、耐候性などの、いわゆる耐久性にも優れるという、極めて実用性の高い被覆用組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
しかるに、本発明者らは、こうした従来の非水分散液における問題点、就中、従来型非水分散液における保存安定性の悪さという問題点の存在に鑑み、と同時に、上述したような発明が解決しようとする課題に照準をも合わせて、鋭意、研究を開始した。
【0008】
つまり、上述したような本発明の課題を解決するべく、鋭意、検討を重ねた結果、非水分散液の分散安定剤として機能する分散安定化用重合体の存在下に、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物の加水分解を行い、さらに必要に応じて、縮合反応を行って得られるという、特定の該珪素化合物の加水分解物あるいは加水分解縮合物が複合化された変性樹脂と、
【0009】
ビニル系単量体は溶解するが、その重合体は溶解しないというような特定の有機溶剤との共存下で、該ビニル系単量体を非水分散重合せしめて得られる形の非水分散液が、果たせるかな、課題たる保存安定性が良好であることを見出し、上述の課題を見事に解決することが出来ることを確信するに及んで、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0010】
[構成]
すなわち、本発明は、基本的には、分散安定化用重合体(A)の存在下に、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)の加水分解を行い、さらに必要に応じて、縮合反応を行って得られる変性樹脂と、ビニル系単量体(C)は溶解するが、その重合体は溶解しない有機溶剤(D)との共存下で、ビニル系単量体(C)を非水分散重合せしめて得られる非水分散液を提供しようとするものであるし、併せて、こうした非水分散液の製造方法をも提供しようとするものである。
【0011】
以下に、本発明を、さらに詳細に、説明することにする。
【0012】
ここにおいて、本発明で言う「加水分解」とは、単なる加水分解をも含むという意味であるし、該加水分解だけではなくて、そのまま、付随して起きる縮合反応までをも含むという意味であり、他方、「縮合反応」とは、かくして得られる加水分解(反応)物または加水分解縮合物を、さらに、縮合せしめるための反応を意味するものである。
【0013】
まず、はじめに、分散安定化用重合体(A)の存在下に、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)の加水分解反応、さらに必要に応じて、縮合反応を有機溶剤の存在下または無溶剤下に行う。
【0014】
その際に、加水分解および縮合反応を促進する触媒を添加することができる。
【0015】
次いで、該加水分解または該加水分解縮合反応で得られた変性樹脂の存在下において、ビニル系単量体(C)は溶解するが、その重合体は溶解しない有機溶剤(D)を、先に添加してから、該ビニル系単量体(C)を非水分散重合せしめるとか、
【0016】
あるいはビニル系単量体(C)は溶解するが、その重合体は溶解しない有機溶剤(D)と、該ビニル系単量体(C)とを、同時に添加して、該ビニル系単量体(C)を非水分散重合せしめるというのが、本発明の製造方法のポイントである。
【0017】
本発明において用いる分散安定化用重合体(A)は、非水分散液における分散安定剤として機能するものであれば、如何なる重合体でも使用できるが、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ビニル系重合体、ポリエーテル系重合体、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリウレタン系重合体、アルキルエーテル化アミノ樹脂またはアルキド樹脂などであり、あるいはビニル系重合体とその他の重合体との、ブロック−またはグラフト重合体などである。
【0018】
これらの重合体のうちでも特に好ましいものとしては、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、カルボン酸ビニルエステル系重合体、芳香族ビニル系重合体またはポリオレフィン系重合体;あるいはビニル系重合体同志のグラフト重合体またはブロック共重合体などのような、種々のビニル系重合体が挙げられる。
【0019】
就中、耐久性などの観点から特に好ましいものとしては、アクリル系重合体またはフルオロオレフィン系重合体などである。
【0020】
また、当該分散安定化用重合体(A)としては、ビニル系単量体(C)を重合して得られる分散重合体粒子、または一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)の加水分解物、あるいは加水分解縮合物等と反応する官能基を含有しないものであってもよいが、より高い分散安定性を有する非水分散液を得るには、加水分解性シリル基、水酸基、重合性不飽和二重結合、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基の如き、種々の官能基を有するようなものの使用が、特に望ましい。
【0021】
さらに、本発明に係る非水分散液を、硬化性組成物用として利用する場合における、当該分散安定化用重合体(A)としては、加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基の如き、各種の官能基を有するようなものの使用が望ましい。
【0022】
かかる分散安定化用重合体(A)としての、それぞれ、アクリル重合体またはフルオロオレフィン系重合体を調製する際に使用されるビニル系単量体類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0023】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートもしくはラウリル(メタ)アクリレートの如き、C1 〜C22なるアルキル基を有する、各種のアルキル(メタ)アクリレート類;
【0024】
ベンジル(メタ)アクリレートもしくはフェネチル(メタ)アクリレートの如き、各種のアラルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレートもしくはイソボロニル(メタ)アクリレートの如き、各種のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;メトキシエチル(メタ)アクリレートもしくはメトキシブチル(メタ)アクリレートの如き、各種のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
【0025】
スチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンもしくはビニルピリジンの如き、各種の芳香族ビニル系単量体類; 酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、安息香酸ビニルもしくは「ベオバ」(オランダ国シェル社製品)の如き、各種のカルボン酸ビニルエステル類;
【0026】
クロトン酸メチルもしくはクロトン酸エチルの如き、各種のクロトン酸のアルキルエステル類;ジメチルマレート、ジブチルマレート、ジメチルフマレート、ジブチルフマレート、ジメチルイタコネートもしくはジブチルイタコネートの如き、各種の不飽和二塩基酸のジアルキルエステル類;
【0027】
(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸もしくはイタコン酸の如き、各種の不飽和カルボン酸類;コハク酸モノビニルもしくはアジピン酸モノビニルの如き、各種の飽和ジカルボン酸類のモノビニルエステル類;
【0028】
イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルもしくはフマル酸モノブチルの如き不飽和ジカルボン酸類と、飽和1価アルコール類とから得られるような、各種のモノエステル類;前掲した2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどで以て代表されるような、種々の水酸基含有単量体類と、無水コハク酸もしくは無水フタル酸などで以て代表されるような、種々の酸無水物類との付加物;前掲したカルボキシル基含有単量体類のラクトン付加誘導体類;
【0029】
(メタ)アクリロニトリルもしくはクロトノニトリルの如き、各種のシアノ基含有単量体類;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチエレンもしくはヘキサフルオロプロピレンの如き、各種のフルオロオレフィン類;塩化ビニルもしくは塩化ビニリデンの如き、各種のクロル化オレフィン類;エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテンもしくは1−ヘキセンの如き、各種のα−オレフィン類;
【0030】
エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルもしくはn−ヘキシルビニルエーテルの如き、各種のアルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルもしくはメチルシクロヘキシルビニルエーテルの如き、各種のシクロアルキルビニルエーテル類;アクロレインもしくはメチルビニルケトンの如き、各種のカルボニル基含有単量体類;
【0031】
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートもしくはジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートの如き、各種の窒素原子含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルキノリンもしくはN−ビニルピペリジンの如き、各種の含窒素単量体類;
【0032】
「ブレンマー PPもしくはPE」[日本油脂(株)製品]の如き、各種の含ポリエーテル含有単量体類;「ライトエステル PMもしくはPA」[共栄社油脂化学工業(株)製品]の如き、各種の燐酸エステル基含有単量体類;スチレンスルホン酸もしくはビニルスルホン酸の如き、各種のスルホン酸基含有単量体類;マレイン酸無水物もしくはイタコン酸無水物の如き、各種の酸無水物基含有単量体類;
【0033】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテルまたはポリエチレングリコールなどで以て代表されるような、種々のポリエーテルポリオールと(メタ)アクリル酸などで以て代表されるような、種々の不飽和カルボン酸とから得られる不飽和カルボン酸モノエステル、
【0034】
あるいは前掲した各種の水酸基含有単量体類とε−カプロラクトンなどで以て代表されるような、種々のラクトン類との付加物;またはグリシジル(メタ)アクリレートなどで以て代表されるような、種々のエポキシ基含有不飽和単量体と酢酸などで以て代表されるような、種々の酸類との付加物;
【0035】
さらには、(メタ)アクリル酸などで以て代表されるような、種々の不飽和カルボン酸類と、「カーデュラ E」(オランダ国シェル社製製品)などで以て代表されるような、種々のモノエポキシ化合物との付加物などのような、種々の水酸基含有単量体類などであるし、さらにはまた、加水分解性シリル基含有単量体類などである。
【0036】
そして、かかる加水分解性シリル基含有単量体とは、一般式
【0037】
【化1】
【0038】
(ただし、式中のR1 はアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基なる1価の有機基を、R2 は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基もしくはアルケニルオキシ基を表わすものとし、aは0あるいは1または2なる整数であるものとする。)
【0039】
で示されるような、加水分解されてシラノール基を生成するという加水分解性シリル基を有する形のビニル系単量体類を指称するものである。
【0040】
このような加水分解性シリル基含有単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、メチルジメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテルもしくはトリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、
【0041】
またはメチルジメトキシシリルプロピルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランもしくはγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシランなどである。
【0042】
かかるビニル系単量体類から、分散安定化用重合体(A)としてのアクリル系重合体を調製するには、これらの単量体のうち、炭素数が4以上なるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体および/またはシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体を必須成分とし、必要により、その他の単量体をも共重合せしめるというのが、分散安定性などの面からも好ましい。
【0043】
そして、かかる炭素数が4以上なるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体および/またはシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体の使用量としては、概ね、全単量体量を基準として、約20〜100重量%なる範囲内が適切である。
【0044】
そして、前述したような分散安定性の観点からは、加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基などのような官能基を有するビニル系単量体を、共重合用単量体(コモノマー)として併用するのが望ましい。また、重合性不飽和二重結合を当該分散安定化用重合体(A)中に導入せしめるには、公知慣用の方法が適用できるが、最も簡便には、エポキシ基含有単量体の共重合体に、カルボキシル基含有単量体を反応させるか、あるいはカルボキシル基含有単量体の共重合体に、エポキシ基含有単量体を反応せしめるようにすればよい。
【0045】
また、前述したように、本発明に係る非水分散液を、硬化性組成物用として利用する場合には、加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基などのような官能基を有するビニル系単量体を共重合単量体として併用するのが望ましい。
【0046】
かかる加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基の如き、種々の官能基を有する単量体類の使用量としては、分散安定化用重合体(A)を構成する全単量体を基準として、約0.1〜約50重量%なる範囲内が、好ましくは、0.5〜30重量%なる範囲内が、より好ましくは、0.5〜15重量%なる範囲内が適切である。
【0047】
一方、分散安定化用重合体(A)としてのフルオロオレフィン系重合体を調製するには、前掲した如きフルオロオレフィン類を、これらのフルオロオレフィン類と共重合可能なる、その他の単量体類と共重合せしめるようにすればよい。
【0048】
その際に使用される、共重合可能なる単量体類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、カルボン酸ビニルエステル類、アルキルビニルエーテル類またはシクロアルキルビニルエーテル類などである。
【0049】
そして、かかるフルオロオレフィン系重合体の、より具体的なものとして、特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、特開昭62−25103号公報、特開昭62−81409号公報または特開平2−69507号公報に開示されているような、種々のフルオロオレフィン系重合体類などが挙げられる。
【0050】
なお、前述したような分散安定性の観点からは、該フルオロオレフィン系重合体にも、前記アクリル系重合体の場合と同様の方法により、加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基または重合性不飽和二重結合の如き、各種の官能基を導入せしめることが望ましい。
【0051】
また、前述したように、本発明に係る非水分散液を、硬化性組成物用として利用する場合には、此のフルオロオレフィン系重合体にも、前記したアクリル系重合体の場合と同様の方法により、加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基などのような、各種の官能基を導入せしめることが望ましい。
【0052】
こうした加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基の如き官能基を導入せしめる際に使用される、該官能基含有のビニル系単量体の使用量としては、分散安定化用重合体(A)を構成する全単量体を基準として、0.1〜50重量%なる範囲内が、好ましくは、0.5〜30重量%なる範囲内が、より好ましくは、0.5〜15重量%なる範囲内が適切である。
【0053】
前掲した如きビニル系単量体類から、分散安定化用重合体(A)としてのアクリル系重合体またはフルオロオレフィン系重合体を調製するには、公知慣用の方法が適用できるが、後掲した重合開始剤を用いて、有機溶剤中で、ラジカル重合せしめるのが、特に簡便である。
【0054】
このようにして得られる、分散安定化用重合体(A)としてのアクリル系重合体またはフルオロオレフィン系重合体の分子量としては、数平均分子量で以て、500〜100,000なる範囲内が適切であるし、好ましくは、1,000〜50,000なる範囲内が適切である。
【0055】
分子量が500よりも小さい場合には、どうしても、重合体粒子の安定化が不充分になってしまい、ひいては、凝集や沈澱などを生じ易くなるし、一方、100,000を超えて余りに高くなる場合には、どうしても、分散液の粘度が異常に高くなってしまうようになるので、いずれの場合も好ましくない。
【0056】
以上に記述して来たような、分散安定化用重合体(A)としてのアクリル系重合体またはフルオロオレフィン系重合体は、単独使用であっても、2種類以上の併用であってもよいし、さらに、これらの特定の重合体に、該アクリル系またはフルオロオレフィン系重合体以外の、前掲のようなビニル系重合体や、ビニル系重合体以外の、それぞれ、ポリエーテル系重合体やポリエステル系重合体などのような、種々の重合体をも併用することができる。
【0057】
本発明において用いられる、前記した、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)とは、珪素原子に結合した水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基もしくはアルケニルオキシ基の如き、加水分解されて、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した水酸基を生成する基を有するような、特定の化合物を指称するものである。
【0058】
かかる珪素化合物(B)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、公知慣用のものが、いずれも使用できるけれども、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、次のような一般式
【0059】
【化2】
R1 aSiR2 4−a
【0060】
(ただし、式中のR1 は、それぞれ、置換基を有していても有していなくてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはアルケニル基なる1価の有機基を、R2 は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基もしくはアルケニルオキシ基を表わすものとし、aは0あるいは1または2なる整数であるものとする。)
【0061】
で以て示される形の珪素化合物;それら部分(共)加水分解;またはそれらの部分(共)加水分解縮合物;
【0062】
あるいは(CH3CH2O)3 SiOCH2CH2OSi(OCH2CH3)3 または(CH3CH2O)3 SiOCH2CH2CH2 OSi(OCH2CH3)3 などのような、一分子中に2個以上の加水分解性シリル基を有する珪素化合物などである。
【0063】
前掲したような一般式で示される珪素化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランもしくはテトラブトキシシランの如き、各種のテトラアルコキシシラン類;
【0064】
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシランもしくはブチルトリエトキシシラン、
【0065】
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランもしくはアリルトリメトキシシラン、
【0066】
またはトリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランもしくはγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランの如き、各種のオルガノトリアルコキシシラン類;
【0067】
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシランもしくはジブチルジエトキシシラン、
【0068】
ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、メチルジメトキシシリルエチルビニルエーテル、メチルジメトキシシリルプロピルビニルエーテルもしくはγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランの如き、各種のジオルガノジアルコキシシラン類;
【0069】
テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ビニルメチルジクロロシランもしくはγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシランの如き、各種のクロロシラン類;
【0070】
またはテトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシランもしくはジフェニルジアセトキシシランの如き、アセトキシシラン類などである。
【0071】
これらのうちでも、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)として特に特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキシシランまたはジオルガノジアルコキシシラン、あるいはそれらの部分加水分解物ないしは部分共加水分解物、さらには、それらの部分加水分解縮合物ないしは部分共加水分解縮合物などである。
【0072】
さらに、本発明において用いられる、当該珪素化合物(B)に、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシランまたはトリフェニルエトキシシランの如き、珪素原子に1個の加水分解性基が結合した形の珪素化合物をも併用することが出来る。
【0073】
前述した分散安定化用重合体(A)と、当該珪素化合物(B)との使用割合としては、前者重合体(A)と、後者化合物(B)の加水分解物または加水分解縮合物との重量割合が、約10:90〜約95:5程度となるように設定するのがよいし、さらに好ましくは、20:80〜85:15程度となるように設定するのがよい。
【0074】
分散安定化用重合体(A)の重量割合が10%未満となるように設定すると、どうしても、引き続いて行われる、非水分散液の重合反応で以て、安定なる非水分散液が生成しにくくなるので好ましくないし、一方、95%を超えて余りに多くなる場合には、どうしても、本発明の非水分散液に含まれる珪素化合物(B)の加水分解物または加水分解縮合物量が低くなり易くなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0075】
分散安定化用重合体(A)の存在下での、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)の加水分解と、さらに必要に応じて、行われる縮合反応とに用いられる触媒として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、塩酸、硫酸または燐酸の如き、各種の無機酸類;p−トルエンスルホン酸または酢酸の如き、各種の有機酸類;
【0076】
水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの如き、各種の無機塩基類;テトライソプロピルチタネートまたはテトラブチルチタネートの如き、各種のチタン酸エステル類;燐酸モノイソプロピルの如き、各種の燐酸エステル類;ジブチル錫ジラウレートまたはオクチル酸錫の如き、各種の錫カルボン酸塩類;
【0077】
鉄、コバルト、マンガンまたは亜鉛の如き、各種金属のナフテン酸塩;オクチル酸塩の如き、各種の金属カルボン酸塩類;アルミニウムトリスアセチルアセテートの如き、各種のアルミニウム化合物;
【0078】
ブチルアミン、オクチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンまたはN−メチル−イミダゾールの如き、各種のアミン化合物類;あるいはテトラブチルアンモニウムハイドロオキサイドの如き、各種の4級アンンモニウム塩類などである。
【0079】
使用される触媒量としては、前述した分散安定化用重合体(A)と、此の一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)との合計量に対して、約0.0001〜約10重量%なる範囲内が、好ましくは、0.0005〜5重量%なる範囲内が適切である。
【0080】
また、使用される水の量としては、珪素原子に結合している加水分解性基の1モルに対して、約0.05モル以上が、好ましくは、0.1モル以上が適切であるし、さらに好ましくは、0.2モル以上が適切である。
【0081】
約0.05モル未満の場合には、どうしても、加水分解の速度が著しく遅くなってしまい、実用上、好ましくないけれども、此の水の量が、5モル、10モルと、珪素原子に結合している加水分解性基の1モルに対して、過剰に使用することは、一向に支障がない。
【0082】
そして、これらの触媒および水の添加は、一括添加でも、分割添加でもよく、また、触媒と水を混合し、併用した形で以て添加しても、あるいは別々に、添加してもよいことは、勿論である。
【0083】
こうした加水分解反応または縮合反応の反応温度としては、約0℃〜約150℃程度が適切であり、好ましくは、20℃〜100℃程度が適切であるし、一方、これらの反応の圧力としては、常圧、加圧または減圧下の、いずれの条件においても行うことが出来る。
【0084】
これらの反応の副生成物であるアルコールや水などが、引き続いて行われる非水分散重合の重合過程や、得られる非水分散液の安定性などに問題を起こすようであれば、蒸留などの手段によって、反応系外に除くことが出来るし、問題が無ければ、そのまま、反応系に存在させておいて、一向に支障は無い。
【0085】
また、分散安定化用重合体(A)の存在下において行う、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)の加水分解または縮合反応にあっては、有機溶剤を使用してもよいし、使用しなくてもよいが、攪拌などが容易に行えるようにするためにも、有機溶剤を使用することが望ましい。
【0086】
ここにおいて、有機溶剤を使用する場合には、公知慣用の有機溶剤のいずれをも使用することが出来るし、しかも、それらは単独使用でも2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0087】
それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ホワイト・スピリットまたはミネラル・スピリットの如き、それ自体が、種々の炭化水素からなる混合物や、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタンもしくはシクロオクタンの如き、各種の脂肪族炭化水素類;
【0088】
トルエン、キシレンもしくはエチルベンゼンの如き、各種の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートまたはエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの如き、各種のエステル類;
【0089】
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルまたはエチレングリコールモノブチルエーテルの如き、各種のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンまたはシクロヘキサノンの如き、各種のケトン類;
【0090】
ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテルまたはジ−n−ブチルエーテルの如き、各種のエーテル類;クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、トリクロロエタンまたはテトラクロロエタンの如き、各種の塩素化炭化水素類;あるいはN−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはエチレンカーボネートなどである。
【0091】
また、それぞれ、分散安定化用重合体(A)と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)との、前記有機溶剤中における濃度としては、両者成分の合計量として、約5重量%程度以上にすることが望ましい。
【0092】
本発明のビニル系単量体(C)を分散重合せしめて得られる重合体分散粒子を形成している重合体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、カルボン酸ビニルエステル系重合体または芳香族ビニル系重合体などであるが、就中、調製のし易さなどの面からは、アクリル系重合体の使用が、特に望ましい。
【0093】
まず、かかる重合体分散粒子となる、アクリル系重合体を形成するビニル系単量体(C)としては、勿論、公知慣用の単量体のいずれもが使用できるけれども、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、前述した分散安定化用重合体(A)の調製に際して掲げたようなものが、そのまま、例示されるということである。
【0094】
すなわち、いわゆるアクリル系重合体分散粒子の調製用ビニル系単量体として特に代表的なものは、前述した分散安定化用重合体(A)を調製するに当たって、特に代表的なものとして例挙されているような、種々の単量体類が、そのまま、使用できるというわけである。
【0095】
かかる単量体のうち、炭素数が3以下なるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体を必須成分とし、必要により、その他の単量体を共重合せしめるのが望ましい。
【0096】
そして、斯かる炭素数が3以下なるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体の使用量としては、概ね、全単量体の20〜100重量%なる範囲内でよい。
【0097】
さらに、当該重合体分散粒子を架橋粒子とするために、ヘキサメチレンジメタクリレートまたはグリセリントリメタクリレートなどで以て代表されるような、2官能以上の、いわゆる多官能ビニル系単量体を併用することも出来る。
【0098】
また、ビニル系単量体(C)を重合して得られる重合体分散粒子は、分散媒を形成する分散安定化用重合体(A)と、あるいは一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)の加水分解物または加水分解縮合物と反応する官能基を有しないようなものであってもよいが、
【0099】
より一層、高い分散安定性を有する非水分散液を得るには、加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基の如き、各種の官能基を有するものを用いるのが、特に望ましい。
【0100】
加えて、本発明に係る非水分散液を、硬化性組成物用として利用する場合にも、ビニル系単量体(C)を重合して得られる重合体分散粒子もまた、加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基の如き、各種の官能基を有するものであることが、特に望ましい。
【0101】
こうした官能基を導入するには、前掲したような各種の単量体のうち、かかる官能基を有する単量体を、共重合成分として併用すればよい。
【0102】
そして、加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基またはアミノ基の如き官能基を導入する際に使用される、各官能基含有ビニル系単量体の使用量としては、重合体分散粒子を形成するビニル系単量体(C)の全量の約0.1〜約50重量%となるような範囲内が、好ましくは、0.5〜30重量%となるような範囲内が、より好ましくは、0.5〜15重量%となるような範囲内が適切である。
【0103】
本発明において、非水分散重合時に使用する有機溶剤(D)としては、ビニル系単量体(C)を溶解するが、その重合体を溶解せず、しかも、分散安定化用重合体(A)を溶解するようなものであれば、公知慣用のものを使用することができる。
【0104】
それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、前掲した分散安定化用重合体(A)の存在下に行う、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)の加水分解または縮合反応において用いることが出来るような有機溶剤類を、そのまま、挙げることが出来るし、また、これらは単独使用でも2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0105】
その際に、上述した通りの、ビニル系単量体(C)を溶解し、分散安定化用重合体(A)をも溶解するが、その重合体は溶解しないという、溶解性のバランス化に、特に留意して、此の有機溶剤(D)を選択しなければならない。
【0106】
当該有機溶剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ホワイト・スピリット、ミネラル・スピリット、ヘキサンまたはオクタンなどで以て代表されるような、種々の脂肪族系ないしは脂環式系炭化水素を主成分とした形のものであるが、必要により、その他の有機溶剤類をも併用することが出来ることは、勿論である。
【0107】
次いで、前記した加水分解または縮合反応で以て得られる反応混合物の存在下において、ビニル系単量体(C)を非水分散重合させる際には、通常、ラジカル重合開始剤を用いるのが適切である。
【0108】
ここにおいて、使用できる重合開始剤としては、勿論、公知慣用のものが使用できるけれども、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)もしくは2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の如き、各種のアゾ化合物類;
【0109】
tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイドもしくはジイソプロピルパーオキシカーボネートの如き、各種の過酸化物類などである。
【0110】
これらの重合開始剤の使用量としては、重合に使用されるビニル系単量体(C)の100重量部当たり、約0.05〜約15重量部なる範囲内が、好ましくは、0.1〜10重量部なる範囲内が適切である。
【0111】
上述した非水分散重合の際に共存させる、前掲した加水分解または加水分解縮合反応で以て得られる分散安定化用重合体(A)と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)を複合して得られる樹脂の量と、ビニル系単量体(C)との使用割合としては、前者成分の100重量部に対して、後者成分が約1〜約300重量部程度となる範囲内が、好ましくは、5〜200重量部程度となる範囲内が適切である。
【0112】
また、上述した分散重合反応における有機溶剤中の、分散安定化用重合体(A)と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)との加水分解あるいは加水分解縮合物からなる複合樹脂と、ビニル系単量体(C)との合計濃度としては、約20〜約80重量%程度が適切であり、好ましくは、30〜70重量%程度が適切である。
【0113】
かかる非水分散重合反応の重合温度としては、約0℃〜約160℃程度が適切であり、好ましくは、50〜120℃程度が適切であって、しかも、常圧あるいは加圧下または減圧下の、いずれの圧力下においても、行うことが出来る。
【0114】
また、重合反応としては、約1〜約20時間程度が適切であり、通常は、斯かる反応時間で以て終了するというものである。
【0115】
さらに、本発明に係る非水分散液に、前掲した加水分解または縮合反応用の触媒を添加して、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(C)の加水分解物または加水分解縮合物の、更なる縮合反応を進めることも出来る。
【0116】
以上に掲げたような、種々の調製方法で以て得られる当該水分散液は、非常に良好なる保存安定性を示すという処から、何らの硬化剤を使用しない形の非架橋型としても、自己硬化するという形の架橋型としても、あるいは硬化剤を併用するという形の架橋型としても使用することが出来、さらに、流動調整剤、顔料、染料または可塑剤などを添加した形で以て、種々の用途に利用し、適用することが出来る。
【0117】
本発明の非水分散液から得られる樹脂は、とりわけ、耐久性などに極めて優れるという処から、主として、自動車上塗り用塗料用、建築外装用塗料用、耐熱塗料用、接着剤用、インク用、繊維・紙の含浸剤用ならびに表面処理剤用などの用途に利用し、適用することが出来る。
【0118】
【実施例】
次に、本発明を、参考例、実施例および比較例により、一層、具体的に説明をすることにするが、本発明は、決して、これらの例のみに限定されるものではない。
【0119】
なお、以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて重量基準であるものとする。
【0120】
参考例1〔分散安定化用重合体(A)の調製例〕
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に、キシレンの15部と、「LAWS」(オランダ国シェル社製の、低芳香族系炭化水素含有のホワイト・スピリット)の35部とを仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0121】
次いで、同温度で、2−エチルヘキシルメタクリレートの50部、n−ブチルメタクリレートの47部およびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン3部と、キシレンの12部と、「LAWS」の28部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの5部とからなる混合物を、4時間に亘って滴下した。
【0122】
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌して、不揮発分が53.5%で、かつ、25℃におけるガードナー粘度(以下、粘度と略記する。)がO−Pなる、目的重合体の溶液を得た。以下、これを(A−1)と略記する。
【0123】
参考例2(同上)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に、キシレンの50部を仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0124】
次いで、同温度で、2−エチルヘキシルメタクリレートの50部、n−ブチルメタクリレートの47部およびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの3部と、キシレンの40部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの5部とからなる混合物を、4時間に亘って滴下した。
【0125】
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌して、不揮発分が53.1%で、かつ、粘度がJ2 −Kなる、目的重合体の溶液を得た。以下、これを(A−2)と略記する。
【0126】
参考例3(同上)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に、「LAWS」の35部およびn−ブタノール15部を仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0127】
次いで、同温度で、2−エチルヘキシルメタクリレートの50部、n−ブチルアクリレートの47部および2−ヒドロキシエチルメタクリレートの3部と、「LAWS」の28部と、n−ブタノールの12部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの5部とからなる混合物を、4時間に亘って滴下した。
【0128】
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌して、不揮発分が53.0%で、かつ、粘度がIなる、目的重合体の溶液を得た。以下、これを(A−3)と略記する。
【0129】
参考例4(同上)
内容量が2リットルなる、ステンレス製の耐圧管に、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を具備した形の反応容器に、キシレンの66.7部と、アゾビスバレロニトリル(ABNV)の2部と、
【0130】
エチルビニルエーテルの22部、「ベオバ−9」(オランダ国シェル社製の、炭素数が9なるアルキル基を有する、カルボン酸のビニルエステル)の19部、ヒドロキシブチルビニルエーテルの3部およびビニルトリメトキシシランの3部とを仕込んで、ドライアイス/メタノール浴で、−70℃にまで冷却し、窒素ガスを吹き込んで、耐圧管内の空気を置換した。
【0131】
そして、液状で採取したクロロトリフルオロエチレンの53部を仕込んで封管をした。 その後は、此の耐圧封管を、60℃に加温した回転式高温水槽に入れて、16時間のあいだ反応を行って、不揮発分が59.5%で、かつ、粘度がZなる、目的重合体の溶液を得た。以下、これを(A−4)と略記する。
【0132】
実施例1
温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反応容器に、分散安定剤用重合体(A−1)の101.6部、キシレンの2.1部、「LAWS」の5.0部ならびにフェニルトリエトキシシランの85.7部を仕込んで、80℃にまで昇温した。
【0133】
次いで、同温度で、「AP−3」[大八化学工業所(株)製の、イソプロピルアシッドホスフェート]の0.17部と、イオン交換水の19.3部とを、5分間に亘って適下し、同温度で、4時間のあいだ攪拌したのちに、キシレンの13.7部および「LAWS」の31.9部を添加してから、減圧蒸留で、副生成物であるエタノールなどを除いて、不揮発分が57.7%なる、複合樹脂の溶液を得た。
【0134】
次いで、かくして得られた複合樹脂溶液の173.3部と、キシレンの23.0部と、「LWAS」の53.7部とを、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0135】
しかるのち、同温度で、メチルメタクリレートの32.5部、エチルアクリレートの16.0部およびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの1.5部と、キシレンの22.5部および「LAWS」の52.5部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの1.0部とからなる混合物を、3時間に亘って滴下した。
【0136】
滴下終了後も、同温度で、17時間のあいだ攪拌して、不揮発分が40.0%で、かつ、粘度がA4 −A3 なる、白濁な非水分散液を得た。 室温に、3ヵ月のあいだ放置したのちにおいても、粒子の沈降などは、全く、認められなかった。
【0137】
実施例2
温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反応容器に、分散安定剤用樹脂(A−2)の121.8部、メチルトリエトキシシランの95.4部を仕込んで、80℃にまで昇温し、同温度で、「AP−3」の0.0026部と、イオン交換水の29.4部とを、5分間で以て適下した。
【0138】
滴下終了後も、同温度で、4時間のあいだ攪拌したのちに、n−ブタノールの57.1部を添加してから、減圧蒸留で、副生成物であるエタノールなどを除いて、不揮発分が75.6%なる、複合樹脂の溶液を得た。
【0139】
次いで、かくして得られる複合樹脂溶液の132.3部と、キシレンの17.6部と、n−ブタノールの17.6部とを、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0140】
しかるのち、同温度で、メチルメタクリレートの32.5部、エチルアクリレートの16.0部およびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの1.5部、「IPソルベント−1620」[出光石油化学(株)製の脂肪族炭化水素系溶剤]の157.5部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの1.0部とからなる混合物を、3時間に亘って滴下した。
【0141】
滴下終了後も、同温度で、17時間のあいだ攪拌して、不揮発分が42.1%で、かつ、粘度がB2 −Cなる、白濁な非水分散液を得た。
室温に、3ヵ月のあいだ放置したのちにおいても、粒子の沈降などは、全く、認められなかった。
【0142】
実施例3
温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反応容器に、分散安定剤用樹脂(A−3)の143.5部と、メチルトリエトキシシランの63.6部とを仕込んで、80℃にまで昇温し、同温度で、「AP−3」の0.0018部と、イオン交換水の19.8部とを、5分間で以て適下した。
【0143】
滴下終了後も、同温度で、4時間のあいだ攪拌したのちに、「LAWS」の47.2部とn−ブタノールの20.2部とを添加してから、減圧蒸留で、副生成物であるエタノールなどを除いて、不揮発分が68.4%なる、複合樹脂の溶液を得た。
【0144】
次いで、かくして得られた複合樹脂溶液の146.2部と、「LAWS」の14.9部と、n−ブタノールの6.4部とを、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0145】
しかるのち、同温度で、メチルメタクリレートの32.5部、エチルアクリレートの16.0部およびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの1.5部と、「IPソルベント−1620」の157.5部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの1.0部とからなる混合物を、3時間に亘って滴下した。
【0146】
滴下終了後も、同温度で、17時間のあいだ攪拌して、不揮発分が40.1%で、かつ、粘度がZ1 なる、白濁な非水分散液を得た。
室温に、3ヵ月のあいだ放置したのちにおいても、粒子の沈降などは、全く、認められなかった。
【0147】
実施例4
温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反応容器に、分散安定剤用樹脂(A−4)の129.3部と、フェニルトリエトキシシランの42.9部とを仕込んで、80℃にまで昇温し、同温度で、「AP−3」の0.086部と、イオン交換水の9.6部とを、5分間かけて適下した。
【0148】
滴下終了後も、同温度で、4時間のあいだ攪拌したのちに、キシレンの47.6部を添加してから、減圧蒸留で、副生成物であるエタノールなどを除いて、不揮発分が60.0%なる、複合樹脂の溶液を得た。
【0149】
次いで、かくして得られる複合樹脂溶液の166.6部と、キシレンの0.9部とを、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0150】
しかるのち、同温度で、メチルメタクリレートの32.5部、エチルアクリレートの16.0部およびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの1.5部と、「IPソルベント−1620」の157.5部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの1.0部とからなる混合物を、3時間に亘って滴下した。
【0151】
滴下終了後も、同温度で、17時間のあいだ攪拌して、不揮発分が40.0%で、かつ、粘度がU−Vなる、白濁状の非水分散液を得た。
室温に、3ヵ月のあいだ放置したのちにおいても、粒子の沈降などは、全く、認められなかった。
【0152】
比較例1
テトラブトキシシランモノマーを、酸触媒下で以て、水と反応させ、加水分解と縮合反応とを行ったのち、n−ブチルアルコールで希釈せしめることによって、不揮発分が40%なる、ブトキシポリシロキサンの溶液を得た。
【0153】
次いで、此のポリブトキシシロキサン溶液の79部と、ヘプタンの100部とを、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に仕込んで、窒素ガスの通気下に、90℃にまで昇温した。
【0154】
しかるのち、同温度で、スチレンの11.6部、メチルメタクリレートの24.1部、メチルアクリレートの24.1部、エチルアクリレートの25.1部および2−ヒドロキシエチルアクリレートの15.1部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの0.4部とからなる混合物を、3時間に亘って滴下し、
【0155】
滴下終了後も、同温度で、17時間のあいだ攪拌して、不揮発分が47.1%で、かつ、粘度がA4 なる、対照用の分散液を得た。 しかしながら、この分散液は、とりわけ、安定性が悪く、室温における1ヵ月の放置で以て、ゲル化をしてしまった。
【0156】
以上に詳説した通り、本発明の非水分散液は、分散安定化用重合体の存在下に、あるいは一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物の加水分解または縮合反応を行って得られる、加水分解物または加水分解縮合物が複合化された形の、いわゆる変性樹脂の共存下に、ビニル系単量体を重合させて得られるという、斬新なるものである処から、
【0157】
とりわけ、保存安定性が良好なるものであるし、しかも、とりわけ、耐候性などの、いわゆる耐久性に優れる塗膜を形成することの出来る、被覆用組成物として極めて有用なものである。
【0158】
【発明の効果】
本発明に係る非水分散液は、つまり、本発明の非水分散液、そして、本発明の製造方法により得られる非水分散液は、とりわけ、保存安定性が良好なるものであって、しかも、特に、耐候性などの、いわゆる耐久性に優れる塗膜を形成することの出来る、被覆用組成物として有用なものである。
Claims (18)
- 分散安定化用重合体(A)の存在下に、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)の加水分解を行い、さらに必要に応じて、縮合反応を行って得られる変性樹脂と、ビニル系単量体(C)は溶解するが、その重合体は溶解しない有機溶剤(D)との共存下で、ビニル系単量体(C)を非水分散重合せしめて得られる非水分散液。
- 前記した分散安定化用重合体(A)が加水分解性シリル基および/または水酸基を有する重合体である、請求項1に記載の非水分散液。
- 前記したビニル系単量体(C)が、加水分解性シリル基含有ビニル単量体を、必須の単量体成分として含有するものである、請求項1に記載の非水分散液。
- 前記した加水分解性シリル基がアルコキシシリル基である、請求項2または3に記載の非水分散液。
- 前記した加水分解性基がアルコキシ基である、請求項1に記載の非水分散液。
- 前記した、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)が、テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキシシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、それらの部分加水分解縮合物、およびそれらの部分共加水分解縮合物よりなる群から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシシランである、請求項1に記載の非水分散液。
- 前記した分散安定化用重合体(A)がビニル系重合体である、請求項1または2に記載の非水分散液。
- 前記したビニル系重合体がアクリル系重合体である、請求項7に記載の非水分散液。
- 前記したビニル系重合体がフルオロオレフィン系重合体である、請求項7に記載の非水分散液。
- 分散安定化用重合体(A)の存在下に、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)の加水分解を行い、さらに必要に応じて、縮合反応を行って得られる変性樹脂と、ビニル系単量体(C)とは溶解するが、その重合体は溶解しない有機溶剤(D)との共存下で、ビニル系単量体(C)を非水分散重合せしめることを特徴とする、非水分散液の製造方法。
- 前記した分散安定化用重合体(A)が加水分解性シリル基および/または水酸基を有する重合体である、請求項10に記載の製造方法。
- 前記したビニル系単量体(C)が、加水分解性シリル基含有ビニル単量体を、必須の単量体成分として含有するものである、請求項10に記載の製造方法。
- 前記した加水分解性シリル基がアルコキシシリル基である、請求項11または12に記載の製造方法。
- 前記した加水分解性基がアルコキシ基である、請求項10に記載の製造方法。
- 前記した、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物(B)が、テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキシシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、それらの部分加水分解縮合物、およびそれらの部分共加水分解縮合物よりなる群から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシシランである、請求項10に記載の製造方法。
- 前記した分散安定化用重合体(A)がビニル系重合体である、請求項10または11に記載の製造方法。
- 前記したビニル系重合体がアクリル系重合体である、請求項16に記載の製造方法。
- 前記したビニル系重合体がフルオロオレフィン系重合体である、請求項16に記載の製造方法。
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1994
- 1994-10-28 JP JP26483394A patent/JP3551499B2/ja not_active Expired - Fee Related
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