JP3551906B2 - 質量流量制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス等の比較的小流量の流体の質量流量を制御する質量流量制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体製品等を製造するためには、半導体ウエハ等に対して例えばCVD成膜やエッチング操作が繰り返し行われるが、この場合に微量の処理ガスを精度良く制御する必要から例えばガスの精密な流量制御が可能な質量流量制御装置が用いられている。
この種の質量流量制御装置は、微量ガスの質量流量を検出するセンサ部と、流量制御弁と、これを制御する制御回路部とにより主に構成されている。上記センサ部は、全ガス量の僅かな比率の量が通過するセンサ管に電熱コイルを巻回してなるセンサを有しており、大部分のガスはバイパスを流れるようになっている。そして、このセンサ部での検出値に基づいて制御回路部は流量制御弁の弁開度を制御し、設定値のガス流量を流すようになっている。また、弁開度を制御するには、全体のガス流量自体が非常に少ないことから例えば数10μm程度のストローク範囲内で精度良く弁開度を制御しなければならず、このためにアクチュエータとして小さなストローク範囲内で大きな推力変化を生ぜしめることができることから、一般的には積層型圧電素子体や電磁石型アクチュエータが用いられており、これにより設定値に基づいて弁体の弁開度を操作するようになっている。
【0003】
そして、バルブの弁開度すなわち操作量を制御してガス流量をコントロールする方式としては、位置PID制御方式や速度型PID制御方式等が知られており、また、ガス流量の制御に際しては、急激なガス流の流れ込みにより半導体処理室内に製品の欠陥の原因となるパーティクルが巻き上がらないように制御する必要があるので、パーティクルの発生原因となるオーバシュートの発生は極力抑制しつつも、できるだけ迅速で且つ時間遅れのない制御が必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した質量流量制御装置の制御回路系は、設定信号や実際に流れる流量が変化した時の追従性が良好であることから、従来はアナログ回路で組まれていたが、通信機能の付加や流量の高精度化の要請により、マイクロコンピュータ等を搭載して各種データを演算しつつ処理を行なうようになってきた。
このマイクロコンピュータ等を搭載した質量流量制御装置では、通常はセンサ部から出力されてくるセンサ信号と外部より入力される所望の流量を設定する流量設定信号とをデジタル信号に変換した後にマイクロコンピュータに取り込み、これらの両者の信号を比較してバルブの開度(弁開度)を決定し、この開度を開度指令信号として流量制御弁に出力するようになっている。すなわち、上記比較処理や開度決定処理は上記マイクロコンピュータによりデジタル形態で演算される。
そして、このような弁開度の制御は、所定の間隔、例えば10msec毎にサイクリックに繰り返し行なうことで、フィードバックループ制御を行なうようになっている。このような、デジタル形態に基づく処理は、PID制御定数を流量制御弁の特性に適合するように設定し直したり、種々の記憶及び判断機能を伴う処理を行なう時は非常に有効となる。
【0005】
しかしながら、前述したようにこのデジタル形態の処理の場合には、センサ信号をデジタル変換するための遅れが必然的に生じ、また、完全な連続処理が可能なアナログ処理と異なり、不連続な処理となるので、例えばバルブ電圧には階段状の指令電圧が与えられることになり、アナログ制御と比較して制御性或いは応答性に劣る場合があった。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、アナログ処理の利点とデジタル処理の利点とを併せ持った理想的な応答性を発揮することができる質量流量制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、流体を流す流体通路に介設された流量制御弁を、外部より入力される流量設定信号と流量センサ手段からのセンサ信号とに基づいてコントロールすることにより前記流体の質量流量を制御する質量流量制御装置において、前記流量制御弁の応答性の制御に関してデジタル演算回路系とアナログ回路系とを有しており、前記アナログ回路系は、前記流量設定信号と前記センサ信号とを比較する比較部と、この比較部の出力に基づいた大きさの前記バルブ電圧を出力するバルブ駆動部と、前記比較部に接続されて前記比較部に用いる制御定数を切り換えて選択する制御定数切換部とを有し、前記センサ信号と前記流量設定信号とを比較して前記流量制御弁のバルブ電圧を決定するフィードバック制御を行い、前記デジタル演算回路系は、前記流量設定信号に基づいて前記制御定数切換部を制御する切換部制御信号を出力するように構成したものである。
このように、少なくともセンサ信号と流量設定信号(以下、単に「設定信号」とも称す)とを比較してこの結果によりバルブ電圧を決定するフィードバックループをアナログ回路系で行なうようにすることにより、完全に連続的で、且つ応答性に優れた制御を行なうことができ、しかも、応答性に関する他の複雑な制御はデジタル回路系により行なうようにしているので、応答制御の高精度化を達成でき、従って、デジタル処理の利点とアナログ処理の利点とを同時に達成することが可能となる。
【0007】
この場合、前記アナログ回路系は、前記流量設定信号と前記センサ信号とを比較する比較部と、この比較部の出力に基づいた大きさの前記バルブ電圧を出力するバルブ駆動部とを有する。
また、前記比較部には、制御定数を切り換えて選択する制御定数切換部が接続して設けられる。
に、前記デジタル演算回路系は、前記流量設定信号に基づいて前記制御定数切換部を制御する切換部制御信号を出力する。
【0008】
また、例えば請求項に規定するように、前記デジタル演算回路系は、前記流量設定信号と前記センサ信号とに基づいて前記流量センサ手段のゼロ点ずれの補正と直線ずれの補正とを行なって補正された流量設定信号を出力するようにしてもよい。
更に、例えば請求項に規定するように、前記デジタル演算回路系は、流量ゼロの状態から所定の流量に設定流量を変化させる時に、前記流量制御弁が開き始めて流体が流れ出す直前のバルブ電圧である初期バルブ電圧を求めるようにしてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る質量流量制御装置の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る質量流量制御装置を示す概略構成図、図2は図1に示す制御定数切換部を示す構成図、図3は流量センサ手段のゼロ点ずれと直線ずれの補正制御を説明するための設定信号とセンサ信号との関係を示すグラフ、図4はバルブ電圧と流量との関係を示すグラフである。
【0010】
ここでは流体として、例えばガス流体を流す場合を例にとって説明する。
図示するようにこの質量流量制御装置2は、例えばステンレススチール等により成形された流体通路4を有しており、この流体通路4のガス流体の流れ方向の上流側には大部分の流量を流すバイパス6が設けられ、下流側にはガス流体の流量を制御するために弁体として例えばダイヤフラム8を備えた流量制御弁10が設けられる。そして、この制御装置2は、流量制御弁10の応答性に関する制御の内の、上記流量制御弁10の弁開度の制御をフィードバックループで行なうアナログ回路系ANと、このフィードバックループ以外の応答性に関する他の制御を行なうデジタル演算回路系DEを有している。
【0011】
まず、アナログ回路系ANについて説明すると、上記バイパス6の両端側には、流量センサ手段12の一部を構成するセンサ管14が接続されており、これにバイパス4と比較して小量のガス流体を流し得るようになっている。このセンサ管14には制御用の一対の電熱コイル16が巻回されており、これに接続されたセンサ制御回路18によりガス流体の質量流量を検出し、検出流量をセンサ信号として出力するようになっている。このように、流量センサ手段12は、センサ管14、電熱コイル16及びセンサ制御回路18とにより主に構成される。このセンサ制御回路18は、例えばガス流体の流れに伴って発生する熱移動を、電気抵抗の変化としてホイートストンブリッジにより検出するようになされて、アナログ回路で構成されている。
【0012】
ここでの検出流量は、前述のようにセンサ信号S1として出力され、
アナログ回路により組まれた比較部22へ入力されるようになっている。この比較部22には、外部より入力される設定信号(流量設定信号)S0に、デジタル演算回路系DEにて所定の補正処理を加えて補正することにより形成された補正後の設定信号S0−1がアナログ化されて入力されている。また、この比較部22には、所定の制御定数を選択的に作用させるための制御定数切換部20が接続されている。この制御定数切換部20は、例えばPID制御の制御定数を適切に選択的に切り換えるものであり、例えば最大流量までの流量レンジを複数の領域に分割し、設定流量に対応した領域の制御定数を選択的に用いるようになっている。具体的には、図2に示すように抵抗値の異なる複数、例えば10個の制御定数抵抗R1〜R10とこれにそれぞれ直列接続された切り換えスイッチSW1〜SW10の回路を並列に設けてアナログ回路として構成されており、上記切り換えスイッチSW1〜SW10を後述するデジタル演算回路系からの切換部制御信号により選択的に切り換えるようになっている。この場合、例えば流量ゼロから最大流量までのレンジを10個の領域に等分して、それぞれの領域に対して最適な制御定数となるような抵抗R1〜R10を適用している。例えば最大流量の0〜10%の範囲内では抵抗R1を選択し、11〜20%の範囲内では抵抗R2を選択するという具合に設定流量が10%変化する毎に制御定数として異なる抵抗値を選択するようになっている。尚、図2において、コンデンサ38は上記各抵抗R1〜R10と組み合わせて時定数を決定するための容量である。
【0013】
また、比較部22では、上記センサ信号S1と上記設定信号S0−1とを比較してその差に上記制御定数を加味して比較信号S2を出力している。この比較部22からの比較信号S2は、同じくアナログ回路により構成されたバルブ駆動部26へ入力するようになっており、このバルブ駆動部26は、この比較信号の大きさに応じて上記流量制御弁10に向けて駆動電圧としてバルブ電圧を出力するようになっている。
このようにして、フィードバックループをなすアナログ回路系ANが構成されることになる。
また、上記流量制御弁10は上記ダイヤフラム8を上下駆動するためのアクチュエータとして小さなストローク範囲内で大きな推力変化を生ずる例えば積層型の圧電素子29を有しており、バルブ駆動部26からの駆動信号で制御される。上記アクチュエータとして、圧電素子29に代えて、例えば電磁石を用いたソレノイドを用いるようにしてもよい。
【0014】
一方、上記デジタル演算回路系DEは、例えばデジタル動作するマイクロコンピュータ等よりなる。このデジタル演算回路系DEには、外部の例えば半導体製造装置などより出力されてくる設定信号を入力するようになっている。この設定信号は、通常は0〜5Vのアナログ信号であり、A/Dコンバータ28にてデジタル信号へ変換した後に、上記デジタル演算回路系DEへ入力される。このデジタル演算回路系DEでは、この設定信号に対して上記流量センサ手段12の特性に応じた補正、例えばゼロ点ずれ補正や直線ずれ補正等を施して、補正後の設定信号を出力するようになっている。
この補正後の設定信号は、デジタル信号として出力されるので、D/Aコンバータ30にてアナログ信号に変換されて上記比較部22へ入力されることになる。
また、センサ制御回路18からのセンサ信号S1はA/Dコンバータ40にてデジタル信号に変換した後に上記デジタル演算回路系DEに入力され、上記設定信号S0に施した補正の正負を逆にした補正を施した後、D/Aコンバータ42にてアナログ信号に変換されて、流量出力信号S5として外部へ出力される。
そして、上記デジタル演算回路系DEは、外部との間で、必要に応じてデジタル通信を行なうために、インタフェース32に接続されている。更に、このデジタル演算回路DEは、上述したような補正の他に、制御定数切換部20に向けて切換部制御信号を出力したり、バルブ駆動部26に向けて、後述するように流量ゼロの状態から所定の流量への設定信号が入力された時に、バルブ電圧を流体が流れ出す直前の電圧まで一気に強制的に印加するように指令する信号を出力したり、センサ信号を常時モニタして関連するデータを必要に応じてアップデートするようになっている。
【0015】
次に、以上のように構成された質量流量制御装置を用いて行われる制御方法の一例を具体的に説明する。
まず、外部のガス使用系などから出力された設定信号S0がこの装置2へ入力されるとそれに応じて流量制御弁10が開いてガス流体が流れ出す。そして、流体通路4にガス流体が流れると、この一部は流量センサ手段12のセンサ管14を流れ、大部分はバイパス6を流れて行き、流体制御弁10によりその流量が制御されつつガス使用系、例えば半導体製造装置へ向かう。
センサ管14を流れるガス流体の流量はブリッジ回路を用いた定電流方式のセンサ制御回路18により検出されて流体通路4全体に流れる質量流量が求められ、この流量がセンサ信号S1として比較部22に向けて出力される。
【0016】
一方、例えば0〜5Vのアナログ信号として外部より入力される設定信号S0は、A/Dコンバータ28にてデジタル信号へ変換された後に、デジタル演算回路系DEに入力され、ここで種々の補正が加えられる。そして、このデジタル演算回路系DEからは、所定の補正が加えられた補正後の設定信号S0−1が出力され、この信号S0−1はD/Aコンバータ30にてアナログ信号へ変換された後に、上記比較部22へ入力される。
この比較部22では、上記センサ信号S1と上記補正後の設定信号S0−1とを、制御定数切換部20によって切り換え選択されるPID制御に最適な制御定数を加味してアナログ処理で比較し、この結果を比較信号S2としてバルブ駆動部26に向けて出力する。このバルブ駆動部26は、この比較信号S2に基づくバルブ電圧S3を流量制御弁10の圧電素子29に印加し、このダイヤフラム8の弁開度を調整することになる。
このように、ガス流体の流量は、センサ信号S1を出力するセンサ制御回路18、比較部22(制御定数切換部20を含む)、バルブ駆動部26及び流量制御弁10に至る閉じた系でフィードバック制御されることになる。この場合、この閉じたフィードバックループは、前述のように全体がアナログ回路系ANにより構成されているので、従来装置のように部分的にデジタル制御系を用いて間欠的、例えば10msec毎に制御する場合と異なり、フィードバック制御を連続的に行なうことができるので、制御精度の向上を図ることが可能となる。
【0017】
また、従来装置のように、デジタル処理でフィードバック制御を行なうには、アナログ状態の各信号をデジタル変換したり、或いは逆にデジタル信号を最終的にはアナログ信号に変換したりしなければならないので、変換操作の都度、遅延が生じて制御に遅延が生ずることは避けられなかったが、本実施例の場合には上述のようにフィードバックループの制御は全てアナログ処理で行なっているので、制御に遅延が生ずることはなく、迅速で且つ高い精度で流量制御を行なうことが可能となる。
尚、ここで設定信号S0に各種の補正を施す必要がない場合には、この設定信号S0を直接的に比較部22へ入力してもよい。また、同様に、PID制御の制御定数が固定の場合には、制御定数切換部20は不要となる。
【0018】
上述のように、流量制御弁10の応答性に関する制御の内、センサ信号S1の検出からバルブ電圧S3の出力に至るフィードバックループに関する制御はアナログ処理で行なうようにしたが、他の処理、例えば流量センサ手段12のゼロ点ずれの補正、直線ずれの補正、制御定数の切り換えの指令を発する操作及び、流れ出し開始直前のバルブ電圧の設定操作等は、デジタル演算回路系DEで行なうようにし、特に、制御定数の切り換え指令を発する操作は、記憶、比較判断が必要な処理であり、これをアナログ回路で行なうには実装サイズ、及びコスト面で現実的ではない、という理由から、デジタル演算回路系DEで必ず行なうようにする。
【0019】
次に、以上の各補正或いは操作について説明する。
まず、制御定数の切り換え指令を発する操作については、適用されている流量制御弁10の最大流量であるフルスケールに対してどの程度の流量を設定信号S0が示しているかをデジタル演算回路系DEが判定し、図2中においてその流量に見合った抵抗値(制御定数に対応)を選択するように切換部制御信号S4を出力し、該当する抵抗のスイッチSWをオンする。図2においては、設定信号S0(0〜5V)がフルスケールの流量の10〜20%の範囲内の流量を示していたので、スイッチSW2を閉じて抵抗R2の抵抗値を制御定数として選択している場合を示している。尚、上記フルスケールの流量に対する分割領域数は、図示例の10領域に限定されないのは勿論である。
【0020】
次に、流量センサ手段12のゼロ点ずれの補正、直線ずれの補正について説明する。
一般的には、図3に示すように、流量センサ手段12の実際の特性(実線)は、設定信号(設定流量)とセンサ信号(検出流量)との関係は、理想的な直線(破線)にはならず、曲線状となり、しかもゼロ点が原点よりもずれるような特性を有しており、この特性は、個々の流量制御弁10や流量センサ手段12によっても異なる。そのため、流量センサ手段12や流量制御弁10の特性を工場出荷段階で予め測定してこれをデジタル演算回路系DEの記憶部(図示せず)に予め記憶しておき、実際の制御動作時には流量制御の誤差を抑制するために、設定信号S0に対して上記したゼロ点ずれ補正と直線ずれの補正を行なう。
ゼロ点ずれ補正は、実際の特性(実線)を矢印Aに示すように下方向へシフトさせることにより、原点を通る特性曲線(一点鎖線)とする。そして、直線ずれの補正は、上記一点鎖線の特性曲線と破線で示す理想の特性とのずれを矢印Bで示すような変位量として求め、この変位量を加味して設定信号S0を補正する。
これにより、より制御精度の高い流量制御を行なうことが可能となる。
【0021】
次に、流れ出し開始直前のバルブ電圧の設定操作について説明する。
まず、図4に示すようにバルブ電圧と流量との関係は直線性がなく、全閉状態(0V)から少しずつ電圧を上昇させた時、電圧を上げても流量が変化せずにゼロの状態を示している領域がある。図4では50Vまではほとんどガスが流れていない。
その理由は、駆動電圧を上昇させると弁体(ダイヤフラム8)を開ける方向に力が発生するが、その力は直ぐには変位とならず、弁体が弁座を押さえる力(面圧)を小さくすることに使われる。そして、この面圧がゼロになってからの電圧上昇が変位となって現れる。尚、この流量制御弁は、バルブ電圧が150Vの時に最大流量(フルスケール)で2000cc/分のガスが流れる特性を有している。
マスフローコントローラのような質量流量制御装置のバルブアクチュエーターには、上記した積層型圧電素子以外にも、ソレノイド、熱膨張等が使われるが、全閉時の漏れ止め性能を要求されるため、何れのアクチュエーターでも、ある程度の面圧をかける設計がされている。また、バルブの機械的な位置ずれ、周囲温度が変わることによる部品の熱膨張差による位置ずれを吸収して、少々の位置ずれでは、漏れが発生しないためにも、このような設計、調整が必要である。
【0022】
このように、図4に示す場合には、略50Vが、流れ出しバルブ電圧となっている。
このような特性下において、流量ゼロの状態から所定の流量に設定流量を変化させた時、常にバルブ電圧ゼロの状態からPID制御を行なっていくと、ガスが流れ始めるまでに多くの時間を要するので制御に遅れが生じてしまう。そこで、この制御遅れを防止するために、流量ゼロの状態から所定の流量値まで急激に流量を変化させるような設定信号S0が入力された場合には、上記流れ出しバルブ電圧、例えば略50Vよりも僅かな電圧値、例えば5Vだけ少ない電圧、例えば45Vを初期バルブ電圧として圧電素子29へ出力させるようにバルブ駆動部26へデジタル演算回路系DEより指令を出すようになっている。そして、その後、直ちにPID制御へ移行する。従って、この場合には、流量ゼロから最大流量(流量100%)まで急激に流量を変化させる場合にも、初期バルブ電圧として45Vの駆動電圧を出力することになる。このような制御を行なうことにより、オーバシュートの発生を確実に抑制することができ、しかも迅速に所望の流量に安定的に設定することができる。
【0023】
この場合、上記初期バルブ電圧を求めるに際しては、デジタル演算回路系DEでは、予め求められた流れ出しバルブ電圧、例えば50Vの所定の割合、例えば9割として45V(=50V×0.9)として求めてもよいし、或いは、流れ出しバルブ電圧、例えば50Vよりも所定の量、例えば5Vだけ小さい電圧値を初期バルブ電圧として求めるようにしてもよい。
いずれにしても、流量制御弁10の特性は個々の制御弁に固有のものであるので、工場出荷段階等で上記流れ出しバルブ電圧を予め求めておく。
また、この場合、流量制御弁10の経年変化等によって、流れ出しバルブ電圧も変化する場合が生ずるので、デジタル演算回路系DEはこれを常時モニタし、アップデートするのは勿論である。
【0024】
ここで、上述したような本発明装置と従来装置の制御特性を実際に測定したので、その評価結果について説明する。
図5は本発明装置と従来装置(デジタル回路のみ)の制御特性を示すグラフである。図5(A)は従来装置の特性曲線を示し、図5(B)は本発明装置の特性曲線を示す。図5(A)に示すように従来装置の場合には、設定信号を入力してから約2秒程度の制御遅れが発生しているが、図5(B)に示す本発明装置の場合には、制御遅れは約0.7秒程度であり、制御遅れを大幅に改善できたことが判明した。
尚、本実施例ではガス状の流体を流す場合を例にとって説明したが、これに限定されず、液状の流体を流す場合にも本発明を適用できるのは勿論である。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の質量流量制御装置によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
センサ信号と流量設定信号とを比較してこの結果によりバルブ電圧を決定するフィードバックループをアナログ回路系で行なうようにすることにより、完全に連続的で、且つ応答性に優れた制御を行なうことができ、しかも、応答性に関する他の複雑な制御はデジタル回路系により行なうようにしているので、制御の高精度化を達成でき、従って、デジタル処理の利点とアナログ処理の利点とを同時に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る質量流量制御装置を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す制御定数切換部を示す構成図である。
【図3】流量センサ手段のゼロ点ずれと直線ずれの補正制御を説明するための設定信号とセンサ信号との関係を示すグラフである。
【図4】バルブ電圧と流量との関係を示すグラフである。
【図5】本発明装置と従来装置(デジタル回路のみ)の制御特性を示すグラフである。
【符号の説明】
2 質量流量制御装置
4 流体通路
6 バイパス
10 流量制御弁
12 流量センサ手段
14 センサ管
18 センサ制御回路
20 制御定数切換部
22 比較部
26 バルブ駆動部
AN アナログ回路系
DE デジタル演算回路系

Claims (3)

  1. 流体を流す流体通路に介設された流量制御弁を、外部より入力される流量設定信号と流量センサ手段からのセンサ信号とに基づいてコントロールすることにより前記流体の質量流量を制御する質量流量制御装置において、前記流量制御弁の応答性の制御に関してデジタル演算回路系とアナログ回路系とを有しており、
    前記アナログ回路系は、前記流量設定信号と前記センサ信号とを比較する比較部と、この比較部の出力に基づいた大きさの前記バルブ電圧を出力するバルブ駆動部と、前記比較部に接続されて前記比較部に用いる制御定数を切り換えて選択する制御定数切換部とを有し、前記センサ信号と前記流量設定信号とを比較して前記流量制御弁のバルブ電圧を決定するフィードバック制御を行い、
    前記デジタル演算回路系は、前記流量設定信号に基づいて前記制御定数切換部を制御する切換部制御信号を出力するように構成したことを特徴とする質量流量制御装置。
  2. 前記デジタル演算回路系は、前記流量設定信号と前記センサ信号とに基づいて前記流量センサ手段のゼロ点ずれの補正と直線ずれの補正とを行なって補正された流量設定信号を出力することを特徴とする請求項1記載の質量流量制御装置。
  3. 前記デジタル演算回路系は、流量ゼロの状態から所定の流量に設定流量を変化させる時に、前記流量制御弁が開き始めて流体が流れ出す直前のバルブ電圧である初期バルブ電圧を求めることを特徴とする請求項1または2記載の質量流量制御装置。
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