JP3552925B2 - 鋼管柱列土留壁における地下水通水孔の開設方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、地下構造物等の建設にあたって、止水及び土留めのために造成された鋼管柱列土留壁の地下水脈復元工法において、該土留壁の鋼管下のソイルセメント部分に地下水通水孔を開設する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地下構造物の建設等においては、その建設区域を囲んで遮水性のよい土留壁を造成し、地下部分の地盤掘削及び建造物の建設を行うようにしているが、その土留壁は工事終了後は埋殺しにされる。土留壁は遮水性が重視されることから、一般に、鉄筋コンクリートによる連続地中壁や鋼管柱列土留壁が用いられるが、これが造成されることによって地下水脈が遮断されることになり、地下水位に大きな変動をもたらし、周辺環境に悪影響を与えることが多くなる。特に近年は工事が大規模化するにつれ、これが社会的な問題となってきている。
【0003】
この問題を解決するため、土留壁に地下水脈を復元させる方策について種々研究開発が行われてきた。しかし、鉄筋コンクリートによる土留壁では、通水化の施工が面倒で多額の経費を要する。また、鋼管柱列土留壁の場合は、既製鋼管を利用するため、その構造を変えることが困難なことから、地下水流の復元を図るための構造物としては不向きなものとされてきた。
【0004】
本発明者らは、施工性がよく耐力及び遮水性に優れる等、利点の多い鋼管柱列土留壁における通水化の研究開発を進め、地上からの作業によって、土留壁の造成時に形成されたソイルセメントだけの土留壁に通水孔を形成して、地下水脈の流通復元を図れるようにした工法を提案してきた(一例として特願平9−189002号参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記提案の工法は、埋設された鋼管内及びその下方にあるソイルセメントを、地上よりオーガスクリューなどにより、掘削、除去して通水孔を開設するものである。しかし、オーガスクリューによる掘削には大型の杭打ち機が必要となることや、地上から鋼管内を掘削してその下のソイルセメント壁へと掘削を進めるため、本来掘削する必要のない地下水脈にあたる部分以外のソイルセメントも掘削、除去してしまうことで、大きな施工スペースが必要になるとともに、コストがかかりすぎる等、施工面及びコスト面でのデメリットが指摘されていた。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、比較的小型のウォータージェット施工機を使用し、地上よりの簡易な作業により、地下水脈と対応するソイルセメント壁の必要部分を掘削除去して通水孔を開設する新規な方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の構成について、実施例に対応する図面を参照して説明すると、請求項1の方法は、鋼管柱列土留壁Aの施工において、該土留壁Aの長さ方向に通水させる範囲を設定し、土留部材となる鋼管1のうち通水対象範囲にあたる鋼管1 a を、地下水脈 D の上端近くの深さまでに沈設を留め置き、その他の鋼管1は透水層を越えて必要とする深さまで沈設して、上記留め置いた鋼管の下部を、鋼管の存在しないソイルセメントだけの土留壁3 a に形成し、ソイルセメントの硬化後、地下水脈D近くまでに留めおいた鋼管1a中よりガイド孔6を穿設し、このガイド孔6よりウォータージェットのノズルを挿入して、ソイルセメント壁3aの通水対象範囲を掘削除去し、ソイルセメント壁3aに地下水脈Dと連通する通水孔5を開設することを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2の方法は、請求項1の方法において、ソイルセメントが末硬化状態のときに、地下水脈D近くまでに留めおいた鋼管1a中に小径縦長の型枠11を挿入してガイド孔6を形成することを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項3の方法は、鋼管柱列土留壁 A の施工において、土留部材となる鋼管1の必要根入れ長以深を、地下水脈 D を越えてその下の不透水層 E までの深さとなる、鋼管1の存在しないソイルセメントだけの土留壁3 a に形成し、ソイルセメントの硬化後、通水対象範囲aの上にある鋼管1a中よりガイド孔6を穿設し、このガイド孔6にウォータージェットのノズル8を挿入して、ソイルセメント壁3aの通水対象範囲を掘削除去し、ソイルセメント壁3aに地下水脈Dと連通する通水孔5を開設することを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項4の方法は、請求項3の方法において、ソイルセメントが末硬化状態のときに、通水対象個所aの上にある鋼管1a中に小径縦長の型枠11を挿入してガイド孔6を形成することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明は、地下構造物等の建設にあたって、遮水、土留のために造成される鋼管柱列土留壁(以下土留壁という)を対象として、これに、その造成により遮断された地下水脈に連通する通水孔を開設するものである。
【0012】
この土留壁Aは従来図1、図2、図13、図14に示すように、対向する外側面に継手材2を設けた鋼管1,1を互いに継手材2,2どうしを嵌合、連結しながら、ソイルセメント3を充填した掘削孔4に挿入、沈設して行われる。この方法はいわゆるONS工法と称されている。
【0013】
上記土留壁Aの施工態様としては、図1、図2に示すように、鋼管1を含む土留壁A全体を、地下水脈を越えてその下の不透水層Eに根入れして造成するものと、図13、図14に示すように、沈設する鋼管1は土留壁Aの安定計算上必要となる長さのものを使用するが、土留壁Aに遮水壁としての機能をもたせるため、掘削孔4にソイルセメント3だけを充填したソイルセメント壁3aが沈設した鋼管1の下端より深く透水層を越えてその下の不透水層Eまでの深さに造成されるものとがある。
【0014】
請求項1,2に対応する方法(第1の方法)は、前者である、鋼管1を不透水層Eまで根入れして造成する土留壁Aにおいて実施され、また、請求項3,4に対応する方法(第2の方法)は、後者である、沈設した鋼管1より下のソイルセメントのみの壁3aを不透水層Eに根入れして造成する土留壁Aにおいて実施される。
【0015】
まず、第1の方法の一実施例について説明する。図1、図2に示すように、土留壁Aは建設地盤Cを挟んで造成される。第1の方法では、土留壁Aの造成にあたって、土留壁Aの長さ方向に通水させる範囲(通水対象範囲)aを設定して、その範囲aにあたる鋼管1aを、地下水脈Dの上端近くの深さまでソイルセメント中への沈設を留め置くようにし、その他の鋼管1は従来同様に透水層を越えて不透水層Dに根入れする。したがって、通水対象範囲aにおいては、鋼管1aから下方の部分は、芯材としての鋼管の存在しないソイルセメントのみの土留壁(ソイルセメント壁)3aだけとなる。
【0016】
そして、このソイルセメント壁3aに地下水脈Dに連通する通水孔5(図3,図4参照)を開設する。この通水孔5の開設は、図5、図6に示すように、ソイルセメント3の硬化後、まず、土留壁Aの長さ方向に設定した通水対象範囲aの鋼管1a中より、ウォータージェットのノズルを挿入できる程度の小径のガイド孔6を穿設するとともに、鋼管1aの上部内のソイルセメント3を除去して凹部7を設ける。なお、図示の例では、ガイド孔6は地下水脈Dの下端近くに達する深さまで設けられているが、これに限られるものではなく、例えば、鋼管1aの下端に至る程度のものであってもよい。
【0017】
ついで、図7,図8に示すように、先端にノズル8を備えた高圧水噴射パイプ9をガイド孔6に挿入し、地下水脈Dと交差位置にあるソイルセメント壁3aに高圧水を噴射して、破砕、掘削する。掘削されたソイルセメントは水とともにガイド孔6から上方の凹部7へそして地上へと排出されるようになる。そこで、凹部7に達したソイルセメントと水を吸引パイプ10により吸引し適所に廃棄する。それにより、ソイルセメント壁3aには地下水脈Dと連通する通水孔5が開設されることになり、土留壁Aによって遮断されていた地下水脈Dは、建設地盤Cを挟んで造成された土留壁A,Aの通水孔5,5を介して水流が復元することになる。
【0018】
図9〜図11は、通水孔5開設の他の実施例を示したものである。この実施例では、土留壁Aの造成後、ソイルセメントが未硬化状態のときに、図9に示すように、地上から、通水対象範囲aの鋼管1a中より、例えば、先端を塞いだ有底、小径の縦長なパイプ状の型枠(中実棒状の型枠でもよい)11を挿入し、ソイルセメント3が硬化或いはほぼ硬化したときに型枠11を引き抜き撤去する。それにより、図10に示すように、鋼管1aから地下水脈Dに至るソイルセメント中にガイド孔6が形成されることになる。その後は、さきの実施例におけると同様に、ガイド孔6にノズル8を挿入してウォータージェットにより掘削してそのソイルセメントと水を吸引パイプ10で排出し、通水孔5が開設されることになる。なお、この実施例の場合も、さきの実施例におけると同様に、ガイド孔6の深さは鋼管1aの下端に至る程度のものであってもよい。
【0019】
上記の各実施例では。通水対象範囲aの鋼管1aの本数は1本となっているが、これは、例えば図12に示すように複数本を連ねた場合でも実施可能である。そのようにすれば、通水孔5を大きくとることができる。
【0020】
次に、第2の方法について、説明する。この土留壁Aもさきの第1の方法におけると同様に、建設地盤Cを挟んで造成されるが、この第2の方法における土留壁Aでは、図13、図14に示すように、沈設する鋼管1は土留壁の安定計算上必要な長さのものが使用されるが、土留壁Aに遮水壁としての機能をもたせるため、掘削孔4に充填したソイルセメントだけの土留壁(ソイルセメント壁)3aが地下水脈Dを越えてその下の不透水層Eまでの深さに造成される。通水孔5はそのソイルセメント壁3aに開設する。
【0021】
通水孔5の開設は、第1の方法における通水孔5開設と同様にして行われる。すなわち、その一つの実施例としては、図5〜図8を参照して説明したように、ソイルセメントの硬化後、通水対象範囲の鋼管1aからソイルセメント壁3aまでガイド孔6を穿設した後、ウォータージェットにより通水孔5を開設する。また、他の実施例としては、図9〜図11を参照して説明したように、ソイルセメントの未硬化状態のときに型枠11を挿入して引き抜き、ガイド孔6を形成した後、ウォータージェットにより通水孔5を開設するのである。
【0022】
上記の各実施例では、通水対象範囲aの鋼管1aの本数は1本となっているが、この第2の方法でも第1の方法の場合と同様で、例えば図15に示すように、通水対象範囲aを鋼管複数本にわたるように広げ、その中の各鋼管1aを通し、ソイルセメント壁3aに大きな通水孔5を開設することができる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、地下構造物等の建設において、従来、遮水性の高い土留壁として埋め殺しにされる鋼管柱列土留壁を利用し、その下部に、鋼管の存在しないソイルセメントのみの土留壁を形成して、それに通水孔を開設するようにしたので、建設時は遮水壁として機能させている鋼管柱列土留壁を、建設終了後は地下水脈を復元させる通水壁として機能を発揮させることができる。
【0024】
そして、土留壁の全体を不透水層まで根入れる施工においても、また、柱列鋼管下方のソイルセメント壁が透水層を越えて不透水層に根入れる施工においても、いずれもオーガスクリューのような大型の施工機を用いることなく、比較的小型なウォータージェット施工機により通水孔の開設ができるので、施工スペースが小さくてすむとともに、施工が簡便で経済的に行える。また、ウォータージェットによる洗浄効果により、地山中に浸透したセメントミルクも除去することができ、地下水脈の復元が確実に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の方法の実施態様において、土留壁を造成した状態を示す側断面図である。
【図2】同土留壁の一部正面図である。
【図3】同通水孔開設の状態を示す側断面図である。
【図4】同土留壁の一部正面図である。
【図5】通水孔開設の一実施例におけるガイド孔形成状態を示す要部側断面図である。
【図6】同要部正断面図である。
【図7】同ウォータージェット噴射の状態を示す要部側断面図である。
【図8】同要部正断面図である。
【図9】透水孔開設の他の実施例における型枠挿入状態を示す要部側断面図である。
【図10】同ガイド孔形成状態を示す要部側断面図である。
【図11】同ウォータージェット噴射の状態を示す要部側断面図である。
【図12】第1の方法の他の実施例を示す要部正面図である。
【図13】本発明の第2の方法の実施態様を示す要部側断面図である。
【図14】同正面図である。
【図15】同他の実施例を示す要部正面図である。
【符号の説明】
A 鋼管柱列土留壁
B 地下構造物
C 建設地盤
D 地下水脈
E 不透水層
1,1a 鋼管
2 継手材
3 ソイルセメント
3a ソイルセメント壁
4 掘削孔
5 通水孔
6 ガイド孔
7 凹部
8 ノズル
9 高圧水噴射パイプ
10 吸引パイプ
11 型枠

Claims (4)

  1. 鋼管柱列土留壁の施工において、該土留壁の長さ方向に通水させる範囲を設定し、土留部材となる鋼管のうち通水対象範囲にあたる鋼管を、地下水脈の上端近くの深さまでに沈設を留め置き、その他の鋼管は透水層を越えて必要とする深さまで沈設して、上記留め置いた鋼管の下部を鋼管の存在しないソイルセメントだけの土留壁に形成し、ソイルセメントの硬化後、地下水脈ちかくまでに留めおいた鋼管中よりガイド孔を穿設し、このガイド孔にウォータージェットのノズルを挿入して、ソイルセメント壁の通水対象範囲を掘削除去し、ソイルセメント壁に地下水脈と連通する通水孔を開設することを特徴とする、鋼管柱列土留壁における地下水通水孔の開設方法。
  2. 鋼管柱列土留壁の施工において、ソイルセメントが未硬化状態のときに、地下水脈近くまでに留めおいた鋼管中に小径縦長の型枠を挿入してガイド孔を形成することを特徴とする、請求項1記載の鋼管柱列土留壁における地下水通水孔の開設方法。
  3. 鋼管柱列土留壁の施工において、土留部材となる鋼管の必要根入れ長以深を、地下水脈を越えてその下の不透水層までの深さとなる、鋼管の存在しないソイルセメントだけの土留壁に形成し、ソイルセメントの硬化後、通水対象範囲の上にある鋼管中よりガイド孔を穿設し、このガイド孔にウォータージェットのノズルを、挿入して、ソイルセメント壁の通水対象範囲を掘削除去し、ソイルセメント壁に地下水脈と連通する通水孔を開設することを特徴とする、鋼管柱列土留壁における地下水通水孔の開設方法。
  4. 鋼管柱列土留壁の施工において、ソイルセメントが未硬化状態のときに、通水対象範囲の上にある鋼管中に小径縦長の型枠を挿入してガイド孔を形成することを特徴とする、請求項3記載の鋼管柱列土留壁における地下水通水孔の開設方法。
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