JP3553693B2 - 遮水シート工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、現場施工に最適で、地形に沿わせることが容易で、しかも防水・止水材の浸透性、乾燥硬化性に優れ、その結果、積層塗装時間が短く、施工作業性に優れ、かつ防水・止水性能にも優れた遮水シート工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、廃棄物処理場、水路、貯水槽、水処理槽、地下鉄やトンネルなどの地下構築物の壁面などを遮水シートを用いて遮水する、遮水シート工法が開発されている。
【0003】
このような土木建築用に使用される遮水を目的とした、防水・止水材には、▲1▼あらかじめ工場で成形された防水・止水材用のシートを現場で敷設して継ぎ手部処理を行う方法と、▲2▼現場施工により敷設した布帛シートに、防水・止水材を塗布・吹き付けする方法が用いられている。
前者には、ポリ塩化ビニル樹脂シート、ポリエチレン樹脂シートやエチレン−プロピレンゴムおよびブチルゴム系の加硫ゴムシートなどがあるが、現場での継ぎ手部処理の不具合からの欠陥による漏水事故が多く、また成形シートは地表面凹凸の整形が必要であり、地表面への密着が悪く、そのため法面の勾配・長さは制限されるなどの問題がある。
【0004】
後者の現場施工型の防水・止水材は、セメントを主成分とするポリマーセメントモルタル、アスファルトと高分子ラテックスを主成分とするゴムアスファルトエマルジョン、ウレタン系塗膜防水材などを用いて、現場でシートを作る工法で、成形シートの問題点である現場での継ぎ手部処理の不具合、法面の勾配・長さの制限問題などは解消されているが、防水性、布帛シートへの含浸浸透性、硬化乾燥造膜時間が遅いなどの問題がある。また、ポリマーセメントモルタルは、乾燥硬化が遅く、しかも材質的に脆いため、防水・止水性能が重量部とはいえない。さらに、ウレタン系ポリマーを用いたコーティング材は、塗膜の寸法安定性が悪く、その結果防水・止水性能の面で満足できないものである。
【0005】
しかも、これらの防水・止水材は、防水・止水性能を向上させるために、通常、積層塗装されるが、現状の防水・止水材では乾燥硬化速度が遅いため、積層の作業工程に時間がかかり、生産性、省力化の観点から、大きな課題となっている。
また、アスファルトなどの瀝青乳剤中にセメントを添加したセメント入り瀝青乳剤に、水溶性ポリイソシアネートを配合した硬化性組成物も提案されている(特公昭59−38990号公報参照)。しかしながら、この硬化性組成物は、セメントの硬化反応を利用するものであるため、充分硬化させるには、例えば24時間以上を要し、施工作業性に関する前記課題は依然解決されていない。
そこで、今日、施工作業性と防水・止水性能の両面で満足しうる防水・止水材を用いた遮水シート工法の開発が強く望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した技術的課題を背景としてなされたもので、現場施工に最適で、地形に沿わせることが容易で、しかも防水・止水材の浸透性、乾燥硬化性に優れ、その結果、積層塗装時間が短く、施工作業性に優れ、かつ防水・止水性能にも優れた遮水シート工法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、布帛シートを施工下地に沿わせて敷設後、下記改質アスファルト組成物を布帛シート全面に吹き付け塗布し遮水層を形成させることを特徴とする遮水シート工法を提供するものである。
改質アスファルト組成物
(イ)(a)ガラス転移点−80〜+10℃の重合体ラテックス2〜70重量%(固形分換算)に(b)界面活性剤0.01〜5重量%を配合したラテックス中に、(c)加熱溶融したアスファルト25〜97.99重量%〔ただし、(a)+(b)+(c)=100重量%〕を添加し混合して得られる、全固形分が60〜90重量%のゴムアスファルトエマルジョン100重量部(固形分)に対して、(ロ)反応性イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物0.05〜40重量部を配合してなる改質アスファルト組成物。
【0008】
本発明に使用される布帛シートとしては、編物、織物、不織布などの布帛からなるシートが挙げられる。
これらの布帛シートの目付としては、通常、20〜1,000g/m、好ましくは60〜800g/m程度である。
布帛シートの素材としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリビニルアセテート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などの合成繊維やガラス繊維などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、布帛シートは、1層でも、あるいは2層以上複合されたものであってもよい。
【0009】
この布帛シートの具体例としては、ポリエステル不織布;ポリエステル織布/ポリエステル不織布、あるいはポリエステル不織布/ガラスクロスからなる複合シート;緯編地で、経緯それぞれ1kg荷重で10%以上伸長する低荷重伸長性を備え、厚みが0.5mm以上で、かつ嵩比重が0.01〜0.2g/cmである遮水シート工法用編地(特開平3−147919号公報の特許請求の範囲第1項参照)などが挙げられる。
【0010】
なお、本発明の遮水シート工法に適用されるシートとして、布帛シートを挙げたが、そのほか鉄、ステンレス、亜鉛合金、アルミニウムなどの金属製の金網や、合成樹脂製の網やネットなども採用することができる。
【0011】
次に、本発明の防水・止水材に用いられる改質アスファルト組成物は、特定の、(イ)ゴムアスファルトエマルジョン〔(a)重合体ラテックス+(b)界面活性剤+(c)アスファルト〕と、(ロ)ポリイソシアネート化合物を主成分とする。
【0012】
ここで、(a)重合体ラテックスとしては、例えばポリブタジエンラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン−メチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、クロロプレンゴムラテックス、塩化ビニル系ラテックス、塩化ビニリデン系ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体ラテックス、アクリレート−酢酸ビニル共重合体ラテックス、アクリレート−スチレン共重合体ラテックス、アクリレート−エチレン共重合体ラテックス、シリコーン−アクリレート共重合体ラテックス、オレフィン系ラテックス、ポリウレタンラテックスなどのゴムラテックスあるいは樹脂ラテックスを挙げることができる。また、これら(a)重合体ラテックスは、カルボキシル基、アミド基、N−メチロール基、グリシジル基、水酸基、スルホン酸基などの官能基を少なくとも1種以上有することもできる。本発明において、特に好ましい重合体ラテックスは、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスおよびカルボキシル変性スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスである。
【0013】
上記(a)重合体ラテックスを構成する重合体のガラス転移温度(Tg)は、−80〜+10℃、好ましくは−70〜0℃、さらに好ましくは−65〜−10℃である。この場合、Tgが−80℃未満では、得られる改質アスファルト組成物の塗膜強度が低下し、また耐汚染性も不充分となり、一方+10℃を超えると、塗膜が硬くなり、耐寒性が低下する。
【0014】
なお、本発明における重合体ラテックスのTgは、理学電気(株)製の示差走査熱量分析計(DSC)を用い、次の条件(i) および(ii)で測定したものである。
(i) 重合体ラテックス約5gをガラス板に薄く引き伸し、25℃で7日間乾燥させ、重合体フィルムを得る。
(ii)得られた乾燥重合体フィルムのTgを、昇温速度:20℃/分、雰囲気:窒素ガス、およびサンプル量20mgの条件で測定する。
【0015】
なお、上記(a)重合体ラテックスの固形分は、通常、45〜75重量%である。
本発明において、(a)重合体ラテックスは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明における(a)重合体ラテックスの使用量は、固形分として、(イ)ゴムアスファルトエマルジョン(固形分)に対して2〜70重量%、好ましくは3〜60重量%、さらに好ましくは5〜50重量%である。この場合、(a)重合体ラテックスの使用量が2重量%未満では、最終的に得られる改質アスファルト組成物の塗膜の温度依存性が大きくなり、塗膜にふくれが生じやすくなり、また下地への密着性も低下し、一方70重量%を超えると、コストに見合う防水・止水性能が得られない。
【0016】
上記(a)重合体ラテックスに配合される(b)界面活性剤としては、脂肪酸塩、高級アルコール硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルジスルフォサクシネート、アルキルフォスフェート塩、ポリオキシエチレンサルフェート塩などのアニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、ポリオキシアルキルアミンなどのカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアミンエステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン性界面活性剤などを挙げることができる。また、上記(b)界面活性剤は、親油性基がフッ素原子を有するフッ素系界面活性剤であることもできる。これらの(b)界面活性剤のうち、脂肪酸塩およびポリオキシエチレンサルフェート塩が好ましい。
上記(b)界面活性剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0017】
(b)界面活性剤の使用量は、(イ)ゴムアスファルトエマルジョン(固形分)に対して0.01〜5.0重量%、好ましくは0.1〜4.5重量%、さらに好ましくは0.3〜3.0重量%である。この場合、(b)界面活性剤の使用量が0.01重量%未満では、ゴムアスファルトエマルジョンの経時的な粘度安定性が低下し、一方5.0重量%を超えると、得られる改質アスファルト組成物の耐吸水性が低下し、初期の防水・止水性能を持続することが困難となる。
【0018】
さらに、本発明において使用される(c)アスファルトとしては、特に限定されるものではなく、天然アスファルトでも石油アスファルトでもよい。このような(c)アスファルトとしては、例えばアスファルテン、パラフィン、ナフテン、芳香族レジンなどを主成分とするスレートアスファルト、ブローンアスファルト、セミブローンアスファルトなどを挙げることができる。
【0019】
本発明における(c)アスファルトの使用量は、(イ)ゴムアスファルトエマルジョン(固形分)に対して25〜97.99重量%、好ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは40〜80重量%である。この場合、(c)アスファルトの使用量が25重量%未満では、防水・止水性能が低下し、一方97.99重量%を超えると、得られる改質アスファルト組成物の温度依存性が大きくなり、塗膜が経時変化しやすく、また低温における伸びが小さくなり脆い塗膜となる。
【0020】
本発明における(イ)ゴムアスファルトエマルジョンは、(a)重合体ラテックス中に所定量の(b)界面活性剤を添加したラテックス中に、例えば110〜150℃で加熱溶融した(c)アスファルトを添加し、混合したのち、冷却することにより調製される。
このように、(c)加熱溶融したアスファルトをラテックス中に添加、混合することにより、あらかじめ調製されたゴムアスファルトエマルジョン中に重合体ラテックスを添加、混合する場合に較べて、特に防水・止水性能が改善される。
【0021】
本発明における(イ)ゴムアスファルトエマルジョンの全固形分は、60〜90重量%、好ましくは65〜89重量%、さらに好ましくは70〜88重量%である。この場合、全固形分が60重量%未満では、得られる改質アスファルト組成物の全固形分も低くなり、その結果、乾燥硬化性が低下し、積層塗膜を作るための施工作業性が悪くなり、一方90重量%を超えると、ゴムアスファルトエマルジョンが経時的に粘度変化を生じやすく、またゴムアスファルトエマルジョンの粘度が高くなって、得られる改質アスファルト組成物の塗工適性も低下する。
【0022】
本発明において使用される(ロ)反応性イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、例えばフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4′−ビフェニルジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニルジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物;ビフェニルトリイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレントリイソシアネートなどのトリイソシアネート化合物;これらの重合物などを挙げることができる。
【0023】
また、本発明における(ロ)ポリイソシアネート化合物は、上記ポリイソシネート化合物とポリアミン化合物、多価アルコール、ポリオール化合物などとの反応により得られる末端に反応性イソシアネート基を有するプレポリマーの形態で用いることもできる。
【0024】
上記ポリアミン化合物としては、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンヘキサミン、ペンタエチレンヘキサミン、シクロヘキシレンジアミン類、ジシクロヘキサシルメタンジアミン類、イソホロンジアミン類、フェニレンジアミン類、トリレンジアミン類、キシリレンジアミン類、ジフェニルメタンジアミン類、トリフェニルメタンポリアミン類、ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどを挙げることができる。
【0025】
また、上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどを挙げることができる。
【0026】
さらに、上記ポリオール化合物としては、上記多価アルコール類と、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド類との付加重合により得られるポリエーテルポリオール化合物;上記多価アルコール類と、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、酒石酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの多塩基酸類との縮合反応により得られるポリエステルポリオール化合物;ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類の開環重合により得られるポリエステルポリオール化合物;両末端にエポキシ基を有するエポキシ樹脂にモノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン類を反応させたエポキシポリオール化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸モノエステルなどの水酸基含有重合性モノマーの単独重合体またはそれらの共重合体;上記水酸基含有重合性モノマーと、他の共重合可能なモノマー、例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレンなどとの共重合体;ヒマシ油もしくはその誘導体などを挙げることができる。
【0027】
本発明において、好ましい(ロ)ポリイソシアネート化合物は、上記ジイソシアネート化合物と上記ポリオール化合物との反応により得られるプレポリマーであり、特に好ましくはヘキサメチレンジイソシアネートと上記ポリオール化合物とを反応させて得られるプレポリマーからなる水溶性タイプのポリイソシアネート化合物である。
上記(ロ)ポリイソシアネート化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0028】
本発明における(ロ)ポリイソシアネート化合物の配合量は、(イ)ゴムアスファルトエマルジョン100重量部(固形分)に対して0.05〜40重量部、好ましくは0.1〜35重量部、さらに好ましくは0.15〜30重量部である。この場合、(ロ)ポリイソシアネート化合物の配合量が0.05重量部未満では、得られる改質アスファルト組成物の乾燥硬化性が低く、積層塗膜するのに時間がかかり、施工作業性が低下し、一方40重量部を超えると、(イ)ゴムアスファルトエマルジョンとの相溶性が悪くなり、その結果、得られる改質アスファルト組成物の粘度が経時的に変化しやすくなり、塗工適性が低下する。
【0029】
本発明において、(ロ)ポリイソシアネート化合物は、(イ)ゴムアスファルトエマルジョンの調製後から最終組成物の使用直前までの適宜の段階で配合することができるが、最終組成物を例えば防水・止水材として使用する直前に配合することが望ましい。
【0030】
本発明に用いられる改質アスファルト組成物には、必要に応じて、セメント、石油樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤;重油、ピッチ、タールなどの他の瀝青物質;炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、クレー、マイカ、ゴム粉、シラスバルーンなどの充填剤;炭素繊維、ガラス繊維、有機繊維などの補強材;硅砂、砕石、砂利などの骨材;酸化チタン、カーボンブラックなどの顔料;スチレン化フェノール、ジフェニルアミン、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノールなどの老化防止剤;ヒンダードアミン、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収剤;ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ポリエチレングリコール、ブチルセロソルブ、カルビトールアセテートなどの可塑剤;トルエン、キシレン、酢酸エチルなどの希釈剤;ジメチルポリシロキサン乳化物などの消泡剤;メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン化合物;酸化亜鉛、酢酸カルシウム、酢酸ジルコニウム、アジリジン、メラミン樹脂などの架橋剤;ベンゾイソチアゾリン、メチルイソアゾリン、過酸化水素などの防腐剤;三酸化アンチモンなどの難燃剤;水酸化ナトリウム、ゼオライト、ケイソウ土などの発泡防止剤、増粘剤、保護コロイドなどを後添加し、性状を最適化することもできる。
【0031】
上記改質アスファルト組成物は、コンクリートビルなどの地上建造物の屋上や壁面、地下鉄やトンネルなどの地下構築物の壁面、産業廃棄物処理場の法面や底面などの施工下地の遮水シート工法において、防水・止水材として用いられる。
【0032】
本発明の遮水シート工法は、布帛シートを施工下地、例えば地表面に沿わせて敷設し、シート全面に遮水層を形成するのに必要な量の防水・止水材(改質アスファルト組成物)を吹き付けあるいは手塗り(刷毛、ゴムローラ)などにより、該シートを基材とする遮水シートを完成させるものである。なお、塗布後の乾燥に際しては、特に加熱を行なう必要はない。
【0033】
この場合、遮水層は、布帛シートに防水止水材(改質アスファルト組成物)が浸透し含浸する状態で形成されているのが好ましく、遮水層の厚みは乾燥膜厚で好ましくは1.0〜20mm、さらに好ましくは1.5〜8mm形成されているのがよい。遮水層の表面には、さらに必要に応じて撥水剤、硬化樹脂などの保護仕上げ剤からなる層を設けてもよい。
【0034】
布帛シートを地表面やコンクリート下地などの施工下地に敷設する場合、隣り合うシートの端部どうしを200mm程度必要量重ね合わせ、クギ、ビョウ、目串などの留め具を用いる物理的手段や、防水・止水材による流し張り接着法などを用いて、下地の凹凸に沿わせてフィットさせて固定する。
【0035】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。
なお、実施例中における、部および%は特に断らないかぎり重量基準である。
【0036】
実施例1〜6、比較例1〜10
ゴムアスファルトエマルジョンA〜Lの調製
内容積1リットルのステンレス製容器に、表1および表2に示す組成の材料を配合して、ゴムアスファルトエマルジョンA〜Lを調製した。
ゴムアスファルトエマルジョンA〜Kは、まず界面活性剤と重合体ラテックスをステンレス製容器に配合し、ラボスターラーにて撹拌しつつ、この混合液中に、撹拌下で、130℃にて加熱溶融したストレートアスファルトを徐々に添加し、その後所定の固形分にするために水を添加し調製した。また、ゴムアスファルトエマルジョンLは、界面活性剤水溶液中に、130℃にて加熱溶融したストレートアスファルトを添加し、撹拌したのち、重合体ラテックスを後添加して調製した。ゴムアスファルトエマルジョンA〜Lの性状を、表1および表2に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0003553693
【0038】
【表2】
Figure 0003553693
【0039】
*1)スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス〔日本合成ゴム(株)製〕
*2)カルボキシル変性スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス〔日本合成ゴム(株)製〕
*3)2−エチルヘキシルアクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体〔日本合成ゴム(株)製〕
*4)スチレン−メチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体〔日本合成ゴム(株)製〕
*5)ポリブタジエンラテックス〔日本合成ゴム(株)製〕
【0040】
改質アスファルト組成物の調製および評価
表1および表2に示すゴムアスファルトエマルジョンA〜Lに対して、表3(実施例1〜6)および表4〜5(比較例1〜10)に示すポリイソシアネート化合物を配合し、得られた改質アスファルト組成物について、各種物性を下記(1)〜(4)の要領で評価をした。
【0041】
(1)組成物の調製直後の粘度
B型粘度計を用い、20℃で測定した。
(2)組成物の粘度安定性
改質アスファルト組成物の粘度変化の程度により、粘度安定性を下記基準で評価した。粘度安定性が高いほど、組成物の塗工適性がよく、施工作業上有利となる。
○:組成物調製直後の粘度に対する10分後の粘度変化が±10%未満
△:組成物調製直後の粘度に対する10分後の粘度変化が±10%以上±30%未満
×:組成物調製直後の粘度に対する10分後の粘度変化が30%以上
【0042】
(3)組成物の乾燥硬化性
改質アスファルト組成物をスレート上に、乾燥塗膜の厚さが7mmとなるように塗布し、5時間後の塗膜硬さを、スプリング式JIS硬度計を用いて測定した。この値が大きいほど乾燥硬化性が速く、施工作業性が良好であることを示す。
【0043】
(4)乾燥塗膜の防水・止水性能
▲1▼耐ふくれ性
改質アスファルト組成物をスレート上に、厚さ1mmとなるよう塗布したのち、70℃の熱風乾燥機内へ入れ、耐ふくれ性を下記基準で評価した。耐ふくれ性が良好なほど、均質な乾燥塗膜を形成しうることを示す。
○:ふくれの個数が5個以下
△:ふくれの個数が6〜10個
×:ふくれの個数が11個以上
【0044】
▲2▼スレート密着性
改質アスファルト組成物をスレート上に、厚さ1mmとなるよう塗布し、5日間常温乾燥したのち、JIS A6910に準じ、2mm角100個のゴバン目についてセロハンテープ剥離テストを行い、残存するゴバン目の個数により、スレート密着性を評価した。この値が大きい方ほど、下地との密着性が良好であることを示す。
【0045】
▲3▼耐吸水性
改質アスファルト組成物を離型紙上に、厚さ2mmとなるように塗布し、5日間常温乾燥したのち、この乾燥塗膜を常温水に24時間浸漬したときの吸水率(%)により、耐吸水性を評価した。
【0046】
遮水シート工法の評価
布帛シートとして、ポリエステル製のスパンボンド不織布を用いた。このポリエステル製のスパンボンド不織布は、厚さ2mm、目付量;210g/m、1巻の長さ100m、幅2m、引張強さ;タテ60kg、ヨコ50kg、破断伸度;タテ70%、ヨコ75%である。
【0047】
この布帛シートに、上記改質アスファルト組成物をそれぞれ乾燥厚さ3mmとなるように吹き付け塗布し、5日間、常温で乾燥したのち、JIS A1404に準じて、3kg/cmの水圧を1時間かけて透水試験を実施し、透水量(g)を求めた。この値が大きいほど、透水の量が多く、遮水性が悪いことを示す。
【0048】
また、上記布帛シートを、廃棄物処理場掘削側壁斜面に、反端を200mm重ね合わせて止め具により地面に固定し、同時に地表面の凹凸にこのシートを沿わせて止め具により地面に固定して敷設したのち、上記改質アスファルト組成物を、ゴムアスファルトエマルジョンとポリイソシアネート化合物とをそれぞれ別にポンプで圧送し、スタティックミキサーにより内部混合したのち、50mのホースを使用し、一つのノズルを介してシート全面に吹き付ける工法により、遮水シートを形成させ、評価した。
【0049】
評価法;
▲1▼吹き付けノズルの吐出安定性
連続吹き付け作業において、粘度上昇(5,000mPa・s)、機械的安定性異常などによるノズル詰まり、吹き付けパターンの乱れがないかどうかを判定した。
○;30分以上
△;5分以上30分未満
×;5分未満
【0050】
▲2▼混合20分後の可使時間
吹き付け作業中、スタティックミキサー(混合機)を通過後、吹き付けノズルのホース内材料の途中停止時間内で材料粘度が異常に上昇(硬化開始)せず、再開後、吹き付けが可能な時間を判定した。
○;20分以上
△;5分以上20分未満
×;5分未満
【0051】
▲3▼硬化時間(耐降雨性)
施工後、下記時間ごとに、園芸用ジョウロで3リットル/分/mで水を散布し、遮水層の表面状態を観察した。
○;5時間経過後で流出なし
△;5時間で流出、12時間経過後流出なし
×;12時間経過後も流出あり
実施例1〜6の評価結果を表3に、比較例1〜10の評価結果を表4〜5に、それぞれ示す。
【0052】
【表3】
Figure 0003553693
【0053】
【表4】
Figure 0003553693
【0054】
【表5】
Figure 0003553693
【0055】
*6)ヘキサメチレンジイソシアネート系プレポリマー〔日本ポリウレタン工業(株)製〕
*7)トリレンジイソシアネート系ポリマー〔三洋化成工業(株)製〕
*8)ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート系プレポリマー〔三菱化学(株)製〕
【0056】
その結果、本発明に用いられる改質アスファルト組成物は、粘度安定性、乾燥硬化性および乾燥塗膜の防水・止水性能のいずれの面でも優れており、この組成物を用いた遮水シート工法では、吹き付けノズルの吐出安定性、可使時間、硬化時間および透水性に優れている。
【0057】
これに対して、ポリイソシアネート化合物の使用量が本発明の範囲外(比較例1〜2)では、塗膜の防水・止水性能が低下し、可使時間、硬化時間のバランスが悪く、またポリイソシアネート化合物の使用量が多すぎると(比較例2)、乾燥硬化性はある程度改善されるとしても、組成物の粘度安定性が著しく損なわれ、吹き付けノズルの吐出安定性が低下する。
【0058】
さらに、界面活性剤の使用量が本発明の範囲外(比較例3〜4)では、組成物の粘度安定性が低下し、吹き付けノズルの吐出安定性が悪く、しかも界面活性剤の使用量が少なすぎると(比較例3)、乾燥塗膜の耐ふくれ性およびスレート密着性も不十分となる。一方、界面活性剤の使用量が多すぎると(比較例4)、組成物の乾燥硬化性および乾燥塗膜の耐吸水性が著しく低下し、かつゴムアスファルトエマルジョンおよび組成物の粘度が高く塗工適性が悪くなり、耐降雨性も悪くなる。
【0059】
さらに、重合体ラテックスのTgが本発明の範囲外(比較例5〜6)では、防水・止水性能が低下し、、また重合体ラテックスのTgが低すぎると(比較例6)、吹き付けノズルの安定性、可使時間、硬化時間も悪化する。
さらに、ゴムアスファルトエマルジョンの全固形分が低すぎると(比較例7)、組成物の乾燥硬化性および乾燥塗膜のスレート密着性が著しく低下し、かつ乾燥塗膜の耐ふくれ性も不十分となり、硬化時間も悪化する。
【0060】
さらに、重合体ラテックスとアスファルトとの使用割合が本発明の範囲外(比較例8〜9)では、組成物の粘度安定性と乾燥塗膜の耐ふくれ性およびスレート密着性とが著しく低下する。また、比較例8では、アスファルトの使用量が少なすぎ、透水量が増大し、吹き付けノズルの吐出安定性、可使時間、耐降雨性が悪化する。比較例9では、透水するほか、可使時間、耐降雨性も悪い。
さらに、本発明とは異なり、あらかじめアスファルトラテックスを調製したのち、重合体ラテックスを添加すると(比較例10)、乾燥塗膜の防水・止水性能が著しく低下し、また透水量が著しく増加し、耐降雨性も悪い。
【0061】
【発明の効果】
本発明によると、界面活性剤を配合した重合体ラテックス中に、加熱溶融したアスファルトを添加し、混合して得られるゴムアスファルトエマルジョンに対して、ポリイソシアネート化合物を配合した改質アスファルト組成物を用いることにより、粘度安定性および乾燥硬化性が優れ、塗工適性がよく、かつ短時間で積層塗布することがが可能となり、その結果、施工作業性が極めて優れ、しかも防水・止水性能にも著しく優れた遮水シート工法が提供される。
【0062】
また、基布として、布帛シートを採用しているので、施工下地に沿わせることが容易で、適正なシート厚みを容易に確保でき、防水・止水材(改質アスファルト組成物)の浸透性にも優れている。
従って、本発明の遮水シート工法は、特に高度の防水・止水性能が要求されるコンクリートビルの屋上、産業廃棄物処分場の法面や底面、地下鉄、トンネルなどの地下構築物の壁面などにおける防水材、止水材などを含む幅広い用途に極めて好適に適用することができる。

Claims (1)

  1. 布帛シートを施工下地に沿わせて敷設後、下記改質アスファルト組成物を布帛シート全面に吹き付け塗布し遮水層を形成させることを特徴とする遮水シート工法。
    改質アスファルト組成物
    (イ)(a)ガラス転移点−80〜+10℃の重合体ラテックス2〜70重量%(固形分換算)に(b)界面活性剤0.01〜5重量%を配合したラテックス中に、(c)加熱溶融したアスファルト25〜97.99重量%〔ただし、(a)+(b)+(c)=100重量%〕を添加し混合して得られる、全固形分が60〜90重量%のゴムアスファルトエマルジョン100重量部(固形分)に対して、(ロ)反応性イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物0.05〜40重量部を配合してなる改質アスファルト組成物。
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