JP3554723B2 - 渦流探傷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、渦流探傷装置に係わり、特に、導体の外周に絶縁被覆体を有する架空配電用絶縁電線(OE、OC、DV,OW等)や絶縁被覆体の外表面に着雪防止用のヒレを有する難着雪型絶縁電線等の導体の小さな傷、導体内部の断線、若しくは導体の錆等(以下「損傷部」という。)を検出する場合に有用な渦流探傷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、架空配電線としては、安全性の向上の観点から、裸線に代えて架空配電用絶縁電線が汎用されているが、かかる架空配電用絶縁電線においては、雨水の浸入により導体が腐食し、この腐食が進行してついには導体の断線に至ることが知られている。このため、架空配電線の断線事故等を未然に防止するために、電磁誘導法を応用した渦流探傷装置により架空配電用絶縁電線の損傷部の検出が行なわれている。
【0003】
図4は、従来の渦流探傷装置の検出回路図を示している。同図において、符号1は被測定電線を示しており、この被測定電線1の周囲には交流のブリッジ回路2の2辺を構成する一対の探傷コイルL1、L2が被測定電線1の外周に長手方向に沿って同軸かつ相互に離間して配置されている。
【0004】
一対の探傷コイルL1、L2は、それぞれ、一つのコイルで励磁コイルおよび検出コイルを兼用しており、これらの探傷コイルL1、L2には、32kHzの励磁電源3が接続されている。そして、この励磁電源3からの励磁電流が一対の探傷コイルL1、L2に流れ、この励磁電流により被測定電線1の導体(不図示)に高周波磁界が加えられ、導体に渦電流が発生するように構成されている。
【0005】
また、一対の探傷コイルL1、L2は、それによって生じる磁界が逆相となるように差動接続され、いずれか一方の探傷コイルL1(L2)のインピーダンスが変化したときに、ブリッジ回路2の平衡状態が崩れて検出信号Sが出力されるようにブリッジ回路2が構成されている。なお、図中、符号R1、R2は一対の基準抵抗、4は判定部、5は交流電源をそれぞれ示している。
【0006】
しかして、このような構成の渦流探傷装置を被測定電線1の長手方向に沿って移動させると、被測定電線1の導体に損傷部が存在しない場合は、導体から一対の探傷コイルL1、L2に対して及ぼす電磁誘導作用が同等であることから、一対の探傷コイルL1、L2のインピーダンスも同等となり、交流のブリッジ回路2は平衡状態にある。
【0007】
これに対して、被測定電線1の導体に、損傷部が存在する場合は、いずれか一方の探傷コイルL1(L2)に対して及ぼす電磁誘導作用が異なることから、いずれか一方の探傷コイルL1(L2)のインピーダンスが変化し、ひいては交流のブリッジ回路2の平衡が崩れて、ブリッジ回路2から検出信号Sが出力されることになる。
【0008】
このようにして、被測定電線1の導体の損傷の程度による渦電流の変化を、一対の探傷コイルL1、L2のインピーダンスの変化として、この大きさを評価することにより、被測定電線1の導体の損傷状態を知ることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような電磁誘導法を応用した渦流探傷装置においては、被測定電線が裸線の場合は、探傷コイルが導体の外表面に密接して配置できるため、導体の損傷部を高感度で検出することができるが、被測定電線が架空配電用絶縁電線の場合は、絶縁被覆体の被覆厚の分だけ探傷コイルが導体から離間し、また、難着雪型絶縁電線の場合は、ヒレの高さ分だけさらに探傷コイルが導体から離間するという難点があった。このため、探傷コイルが被測定電線の導体から離間すると、被測定電線の導体に生ずる渦電流が小さくなり、この渦電流による探傷コイルへの電磁誘導作用が弱まることから、交流のブリッジ回路における検出感度が悪くなり、被測定電線の導体の損傷部を検出することが困難になるという難点があった。
【0010】
一方、大きな励磁電源を使用して、探傷コイルへの励磁電流を常時大きくすれば、検出感度は高くなるが、大きな励磁電源を使用した渦流探傷装置では消費電力も大きくなるため、エネルギー効率が悪くなるという難点があった。
【0011】
本発明は、上述の難点を解決するためになされたもので、被測定電線が架空配電用絶縁電線や難着雪型絶縁電線であっても、被測定電線の導体の損傷部を高感度で検出することができる渦流探傷装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するため、本発明の渦流探傷装置は、被測定電線に沿って同軸かつ相互に離間して一対の探傷コイルを、それによって生じる磁界が逆相となるように配置し、一対の探傷コイルでブリッジ回路の2辺が構成され、いずれか一方の探傷コイルのインピーダンスが変化したときに、ブリッジ回路の平衡状態が崩れて検出信号を出力するブリッジ回路を構成し、一対の探傷コイルの間に、ブリッジ回路が平衡状態のときには、一対の探傷コイルによって生じる磁束が相殺されるように共振用コイルを配置し、この共振用コイルに所定周波数で共振する共振回路を接続し、この共振回路に電流が流れたときに、一対の探傷コイルへの励磁電流を増幅させる増幅回路を設けたことを特徴としている。
【0013】
また、本発明の渦流探傷装置は、被測定電線に沿って同軸かつ相互に離間して一対の探傷コイルを、それによって生じる磁界が逆相となるように配置し、一対の探傷コイルでブリッジ回路の2辺が構成され、いずれか一方の探傷コイルのインピーダンスが変化したときに、ブリッジ回路の平衡状態が崩れて検出信号を出力するブリッジ回路を構成し、一対の探傷コイルの間に、ブリッジ回路が平衡状態のときには、一対の探傷コイルによって生じる磁束が相殺されるように共振用コイルを配置し、この共振用コイルに所定周波数で共振する共振回路を接続し、この共振回路に流れる共振電流を一対の探傷コイルへの励磁電流に重畳させることを特徴としている。
【0014】
これらの本発明の渦流探傷装置によれば、一対の探傷コイル間に配置した共振用コイルに共振回路が接続され、この共振回路に電流が流れたときに一対の探傷コイルへの励磁電流が増幅(共振回路に流れる共振電流が励磁電流に重畳)されることから、一対の探傷コイルからより大きな磁束を発生させることができ、ひいては、被測定電線の導体に生ずる渦電流がより大きくなり、この渦電流による探傷コイルへの電磁誘導作用の影響がより大きくなることから、被測定電線が架空配電用絶縁電線や難着雪型絶縁電線であっても、被測定電線の導体の損傷部を高感度で検出することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の渦流探傷装置を適用した好ましい実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の渦流探傷装置における検出回路図、図2は、本発明の渦流探傷装置における各コイルの磁界の発生状況を示す説明図である。なお、同図において、図3と共通する部分には同一の符号が付されている。
【0017】
図1において、本発明の渦流探傷装置は、従来の渦流探傷装置と同様に、交流のブリッジ回路2を備えており、この交流のブリッジ回路2は、直列に接続された同等の形状、寸法および電気的特性を有する一対の探傷コイルL1、L2と、直列に接続された同等の抵抗値を有する一対の基準抵抗R1、R2と、一対の探傷コイルL1、L2の接続点Aおよび一対の基準抵抗R1、R2の接続点B間に接続される判定部4と、一方の探傷コイルL1および一方の基準抵抗R1の接続点Cと他方の探傷コイルL2および他方の基準抵抗R2の接続点D間に接続される交流電源5とで構成されている。なお、一対の基準抵抗R1、R2に代えて同等のインピーダンスを有するコイルを接続してもよい。
【0018】
ここで、一対の探傷コイルL1、L2は、従来の渦流探傷装置と同様に、交流のブリッジ回路2の2辺を構成しており、これらの探傷コイルL1、L2は、被測定電線1の周囲にその長手方向に沿って同軸かつ相互に離間して配置されている。また、一対の探傷コイルL1、L2は、それぞれ、一つのコイルで励磁コイルおよび検出コイルを兼用しており、これらの探傷コイルL1、L2は、それによって生じる磁界が逆相となるように差動接続されている。これにより、後述するように、いずれか一方の探傷コイルL1(L2)のインピーダンスが変化すると、交流のブリッジ回路2の平衡状態が崩れて判定部4に対して検出信号Sが出力されるように構成されている。
【0019】
符号L3は、一対の探傷コイルL1、L2間に配置された共振用コイルL3を示しており、この共振用コイルL3には、所定の周波数で共振するコンデンサ(不図示)等から成る共振回路6が接続されている。ここで、共振用コイルL3は、ブリッジ回路2が平衡状態のときには、図2に示すように、一方の探傷コイルL1によって生じる磁束ψ1と他方の探傷コイルL2によって生じる磁束ψ2とが相殺されるように被測定電線1の周囲に配置されている。
【0020】
符号7は、例えば32kHzの励磁電源3と増幅回路8とを備える励磁回路を示しており、この増幅回路8は励磁電源3、共振回路6および一対の探傷コイルL1、L2に接続されている。また、共振回路6に共振電流が流れた場合、これを検出して増幅回路8へ増幅指令信号Cが出力される構成となっている。
【0021】
次に、このような構成の渦流探傷装置を用いて、被測定電線1の導体の損傷部を検出する方法について説明する。
【0022】
先ず、一対の探傷コイルL1、L2には、励磁電源3からの励磁電流が流れ、この励磁電流により被測定電線1の導体に高周波磁界が加えられ、導体に渦電流が発生することになる。
【0023】
しかして、本発明の渦流探傷装置を被測定電線1に沿って移動させると、被測定電線1の導体に損傷部が存在しない場合は、導体から一対の探傷コイルL1、L2に対して及ぼす電磁誘導作用が同等であることから、一対の探傷コイルL1、L2のインピーダンスも同等となり、交流のブリッジ回路2は平衡状態にある。
【0024】
一方、ブリッジ回路2が平衡状態のときには、図2に示すように、一方の探傷コイルL1によって生じる磁束ψ1と他方の探傷コイルL2によって生じる磁束ψ2とが相殺されることから、すなわち、共振用コイルL3に生じる誘導電流が相殺されることから、共振回路6には電流が流れないことになる。
【0025】
これに対して、被測定電線1の導体に、損傷部が存在する場合は、いずれか一方の探傷コイルL1(L2)に対して及ぼす電磁誘導作用が異なることから、いずれか一方の探傷コイルL1(L2)のインピーダンスが変化し、ひいては交流のブリッジ回路2の平衡が崩れることになる。
【0026】
そして、ブリッジ回路2の平衡が崩れている状態においては、何れか一方の探傷コイルL1(L2)のインダクタンスが変化して磁界に偏りが生ずることから、図2に示すように、一方の探傷コイルL1によって生じる磁束ψ1と他方の探傷コイルL2によって生じる磁束ψ2とが相殺されず、ひいては共振用コイルL3に誘導電流が流れる。これにより、共振用コイルL3と共振回路6間に共振電流が流れ、この共振回路6から増幅指令信号Cが出力される。そして、増幅回路8に増幅指令信号Cが入力すると、励磁電源3から供給される励磁電流が増幅されて、一対の探傷コイルL1、L2へ供給される。
【0027】
このように、本発明の渦流探傷装置においては、共振用コイルL3が共振すると、何れか一方の探傷コイルL1(L2)のQが大きくなるため、ブリッジ回路2の平衡状態が大きく崩れ、さらに、励磁電流が増幅されて一対の探傷コイルL1、L2へ供給されることから、発生する磁束も大きくなり、ブリッジ回路2からは従来よりも大きな検出信号Sが出力され、この検出信号Sが判定部4へ入力される。この結果、従来よりも、検出感度を高めることができる。
【0028】
なお、検出結果は、判定部4を構成するペンレコーダ等に連続して記録され、この記録から被測定電線における導体の損傷の程度を容易に把握することができる。
【0029】
ここで、前述の実施例においては、増幅回路を介して一対の探傷コイルL1、L2への励磁電流を増幅させているが、本発明は、増幅回路を用いたものに限定されず、例えば、第3図に示すように、共振回路6に流れる電流を、重畳回路9を介して一対の探傷コイルL1、L2への励磁電流に重畳させるようにしてもよい。但し、この場合には、共振回路6に流れる電流の周波数を励磁電源3の周波数に一致させる必要があり、また、2つの電流を重畳させる場合は2つの電流の位相を合わせる必要がある。
また、前述の実施例においては、一つのコイルで励磁コイルおよび検出コイルを兼用しているが、励磁コイルと検出コイルを別体で構成して、励磁コイルを励磁回路に接続し、検出コイルを交流のブリッジを構成する2辺としても、本発明と同様の効果を得ることができる。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の渦流探傷装置によれば、共振用コイルの共振により、何れか一方の探傷コイルのQが大きくなり、これによりブリッジ回路の平衡状態がさらに大きく崩れるため、ブリッジ回路からより大きな検出信号を出力させることができる。また、共振用コイルの共振により、励磁コイルへの励磁電流が増幅(共振回路に流れる共振電流が励磁電流に重畳)されるため、一対の探傷コイルからより大きな磁束を生じさせることができる。従って、本発明によれば、被測定電線が架空配電用絶縁電線や難着雪型絶縁電線であっても、被測定電線の導体の損傷部を高感度で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の渦流探傷装置における検出回路図。
【図2】本発明の渦流探傷装置における各コイルの磁界の発生状況を示す説明図。
【図3】本発明の渦流探傷装置の他の実施例に係る検出回路図。
【図4】従来の渦流探傷装置における検出回路図。
【符号の説明】
1………被測定電線
2………ブリッジ回路
3………励磁電源
4………判定部
6………共振回路
7………励磁回路
8………増幅回路
9………重畳回路
L1、L2………一対の探傷コイル
L3………共振用コイル
S………検出信号
Claims (2)
- 被測定電線に沿って同軸かつ相互に離間して一対の探傷コイルを、それによって生じる磁界が逆相となるように配置し、
前記一対の探傷コイルでブリッジ回路の2辺が構成され、前記いずれか一方の探傷コイルのインピーダンスが変化したときに、前記ブリッジ回路の平衡状態が崩れて検出信号を出力するブリッジ回路を構成し、
前記一対の探傷コイルの間に、前記ブリッジ回路が平衡状態のときには、前記一対の探傷コイルによって生じる磁束が相殺されるように共振用コイルを配置し、
この共振用コイルに所定周波数で共振する共振回路を接続し、この共振回路に電流が流れたときに、前記一対の探傷コイルへの励磁電流を増幅させる増幅回路を設けたことを特徴とする渦流探傷装置。 - 被測定電線に沿って同軸かつ相互に離間して一対の探傷コイルを、それによって生じる磁界が逆相となるように配置し、
前記一対の探傷コイルでブリッジ回路の2辺が構成され、前記いずれか一方の探傷コイルのインピーダンスが変化したときに、前記ブリッジ回路の平衡状態が崩れて検出信号を出力するブリッジ回路を構成し、
前記一対の探傷コイルの間に、前記ブリッジ回路が平衡状態のときには、前記一対の探傷コイルによって生じる磁束が相殺されるように共振用コイルを配置し、
この共振用コイルに所定周波数で共振する共振回路を接続し、この共振回路に流れる共振電流を前記一対の探傷コイルへの励磁電流に重畳させることを特徴とする渦流探傷装置。
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