JP3559905B2 - 環境浄化型無機質材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環境浄化能として溶液中のリン酸イオンを吸着する能力を有する無機質材に関する。
【0002】
【従来の技術】
湖沼の富栄養化に関して、藻類、微小生物等の栄養源としてのリン及び窒素の除去が大きな問題となっている。また近年、河川などの護岸工事などでは自然型工法への転換が行われており、環境浄化に対する関心が高まっている。
【0003】
この湖沼の富栄養化等の問題を解決するためには、原因となるリンや窒素を除去する必要がある。
【0004】
現在行われている対策としては、湖沼などで葦原を広げる方法等であり、多くは生物による浄化方法である。具体的には、湖沼の水から窒素を除去する方法としては微生物の作用によって最終的には窒素ガスなどとして空気中に拡散させる方法があるが、リンの場合は窒素のようにガス化しないため、リンを蓄積した生物を除去する必要がある。
【0005】
また、一方では自然型工法による護岸工事などでは、植物をいかに早く生育させるかが課題として残っている。さらには、吸着剤によりリンを吸着除去した場合には、リンを吸着した吸着剤自体が廃棄物となりその処理方法が問題として残っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、セメント等の水硬性無機質材料にリン酸イオン吸着能を付与することによってそれ自体が環境浄化機能を有する無機質材を提供することを目的とする。より詳細には、本発明は、現場で施工されるもの(湿式施工品)並びに工場で予め成型製造されるもの(乾式施工品)のいずれの無機質材をも対象とし、それぞれ各種の用途に応じた強度並びにリン酸イオン吸着能を備えた無機質材を提供することを目的とする。
【0007】
さらに本発明は、有害な物質や有機物をほとんど含まず、かつ再資源化が容易な無機質材を提供することを目的とする。より詳細には、本発明は無機質材から構成された環境負荷の低い環境浄化型無機質材であってリン酸イオン吸着能を有するとともに、リン吸着後は再生骨材などの土木・建築用資材として、また植物へのリン供給基材として再利用可能な無機質材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的の達成を目指して日夜鋭意研究を重ねていたところ、セメント等の水硬性無機質材料、複合金属水酸化物及びフィラーを組み合わせることによって所望のリン酸イオン吸着能を備えた環境浄化型の無機質材が調製できることを見出した。さらに、本発明者らは、水硬性無機質材料の種類やそれに配合する複合金属水酸化物及びフィラーの量を適宜調整することにより、各種用途に応じた強度を備えながらも所望のリン酸イオン吸着能を有する無機質材が調製できることを見出し、これによって、従来より使用されている公知用途の無機質材にリン酸イオン吸着能という環境浄化機能を付与することができること、またかかる新たな機能の付与により、有害物質を含まず、再生容易な低環境負荷材料である無機質材の用途をさらに一層拡大することができることを確認した。さらに本発明者らは、上記無機質材は高pH条件下でもそのリン酸イオン吸着能が低下しないことから、セメントやコンクリート調製品として調製でき、またリン吸着後は再生骨材などの土木・建築用資材として利用できることを確認した。
【0009】
本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
すなわち本発明は、下記に掲げる環境浄化型無機質材である:
項1.複合金属水酸化物、水硬性無機質材料及びフィラーを含有する環境浄化型無機質材。
項2.水硬性無機質材料がセメントである項1記載の環境浄化型無機質材。
項3.複合金属水酸化物100重量部に対して、水硬性無機質材料を2〜900重量部及びフィラーを2〜9000重量部の割合で含有する項1又は2に記載の環境浄化型無機質材。
項4.リンを吸着してなる項1乃至3のいずれかに記載の環境浄化型無機質材。
【0011】
なお、本発明の環境浄化型無機質材は、少なくとも複合金属水酸化物、水硬性無機質材料及びフィラーを含むものであればよく、その形態を特に制限するものではない。例えば上記3成分を含有する粉状物、さらにこれに水を配合して調製されるペースト状物、これを乾燥固化してペレット状やその他所望の形状に成形されてなる成形物がいずれも包含される。さらに成形物は現場で施工されるもの(湿式施工品)、または工場等で予め製造されるもの(乾式施工品)のいずれであってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる複合金属水酸化物は、化学組成式(1)
1−x 2+ 3+(OH2+x−y(A y/n (1)
〔式中、M2+はMg2+、Ni2+、Zn2+、Fe2+、Ca2+及びCu2+からなる群から選ばれる少なくとも1種の二価の金属イオンを示し、M3+はAl3+及びFe3+からなる群から選ばれる少なくとも1種の三価の金属イオンを示し、An−はn価のアニオンを示す。また、xは0.1≦x≦0.5の正数であり、yは0.1≦y≦0.5の正数であり、nは1または2である。〕
で表される。
【0013】
ここでM2+で表される二価金属イオンとしては、前述するようにMg2+、Ni2+、Zn2+、Fe2+、Ca2+、Cu2+等が挙げられるが、好ましくはMg2+、Ca2+である。M3+で表される三価の金属イオンとしては、前述するようにAl3+、Fe3+が挙げられるが、好ましくはAl3+である。
【0014】
n−は、n価のアニオン(n=1または2)を示す。すなわち、An−は、一価または二価のアニオンのみからなるか、一価のアニオンと二価のアニオンの両者を含むものである。但し、二価のアニオンはモル比で一価のアニオンより少ないのが好ましい。一価のアニオンとしては、例えばOH、Cl、NO 、NO 、F、Br、HCO 等が例示できる。好ましくはClである。二価のアニオンとしては、例えばSO 2−、CO 2−、SO 2−等が例示できるが、好ましくはCO 2−である。
【0015】
xは、通常0.1≦x≦0.5であるが、好ましくは0.2≦x≦0.4、より好ましくは0.2≦x≦0.35である。
【0016】
yは、通常0.1≦y≦0.5であるが、好ましくは0.2≦y≦0.4、より好ましくは0.2≦y≦0.35である。
【0017】
本発明の一般式(1)の化合物において、二価の金属イオンM2+及び三価の金属イオンM3+は、滴定法で測定した値である。またn価のアニオンAn−に関しては、それが炭酸イオンである場合は滴定法で測定した値、Clイオンである場合は塩化物イオン選択性電極を装備したイオンメーターにより測定した値、炭酸イオン及びClイオンを除くNO 、NO 、F、Br、HCO 等の一価のアニオン及びSO 2−、SO 2−等の二価のアニオンである場合は、イオンクロマトグラフィーにより測定した値である。なお、二価のアニオンに関する「y」の値は、上記方法により測定したモル数をA2−として表した値である。水酸化物イオンOHは、M2+、M3+及びAn−の測定値をもとに電気的中性条件から計算により求めた値である。
【0018】
なお、上記複合金属水酸化物において、(An−)の一価のアニオンとしてNO 、NO を除くハロゲンイオン(Cl、F、Br)及び水酸化物イオンOHを用いることもできる。この場合、リン成分の吸着だけでなく窒素成分も吸着できるため、富栄養化した湖沼や排水などに多く含まれるリン成分や窒素成分の除去に有用である。この場合、環境上の問題から特にClが好ましい。
【0019】
これらの複合金属水酸化物は一種単独で用いてもよく、また上記イオンの組合せで調製された二種以上の複合金属水酸化物を任意に混合して用いてもよい。
【0020】
前述する複合金属水酸化物は、一般に、原料となる二価の金属塩類及び三価の金属塩類をアルカリ環境下において反応させることによって調製することができる。かかる複合金属水酸化物の製造方法は公知であり、例えばLangmuir, 9, 1418−1422 (1993)の記載に従って調製することができる。また、これらの複合金属水酸化物は商業的に入手可能であり、簡便にはかかる複合金属水酸化物を使用することができる。
【0021】
本発明で用いられる複合金属水酸化物は、その形状を特に制限するものではないが、通常粉末状、粒子状のものを挙げることができる。その大きさとしては、粉末状として平均粒径10μm以下(レーザー回折測定法による)のもの、粒子状として平均粒径10〜200μm程度のものを挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
【0022】
本発明において水硬性無機質材料とは、それ自体が水と反応して凝結ないしは硬化する、いわゆる水硬化性を有するもの(水硬性成分)を広く包含するものであり、具体的にはセメント、水硬性石炭、水硬性ポゾラン、シリカ及びセッコウ(硫酸カルシウム)などを例示することができる。これらは1種ないしは2種を任意に組み合わせて用いることができる。好ましくはセメント及びセッコウであり、より好ましくはセメントである。
【0023】
セメントは、水硬性セメントであれば特にその種類に制限されず、ケイ酸石灰質セメント(例えば普通ポルトランドセメント,早強ポルトランドセメント,中庸熱ポルトランドセメント,耐硫酸塩ポルトランドセメント又は白色ポルトランドセメント等の各種のポルトランドセメント;高炉セメント,シリカセメントまたはフライアッシュセメント等の混合セメント)、アルミン酸石灰質セメント、ケイ酸アルミン酸石灰質セメント、リン酸セメントなどが広く包含される。好ましくはケイ酸石灰質セメント、アルミン酸石灰質セメント、ケイ酸アルミン酸石灰質セメントであり、より好ましくは早強ポルトランドセメント、高炉セメントである。なお高炉セメントには、JIS R 5211によればスラグ量が5%を超え30%以下のA種、スラグ量が30%を超え60%以下のB種、スラグ量が60%を超え70%以下のC種のいずれもが包含され、その種の別を問うものではない。好ましくはB種の高炉セメントである。
【0024】
セッコウは、それ自体が水和硬化性を有するか、若しくは凝結剤や凝結促進剤などといった補助剤と併用することによって水和硬化性を呈するようになるものであればよく、具体的には半水セッコウ(α、β)、II型無水セッコウを挙げることができる。なお、ここで用いられる凝結剤又は凝結促進剤としては、セッコウの成分である硫酸カルシウムの水和硬化性発現を補助もしくは増強する作用を有するものを広く挙げることができ、例えば硫酸カリウム、ミョウバン、二水セッコウの微粉末、シュウ酸などの有機酸などを挙げることができる。
【0025】
また本発明においてフィラーとして、セメントやコンクリートの分野で通常使用される骨材を広く用いることができる。例えば珪砂,寒水砂,川砂等の天然骨材;陶磁器片やガラス粒等の着色骨材、パーライト,バーミキュライト,シラス球等の軽量骨材、及び汚泥焼成骨材などの再生骨材等及び加工骨材などの人工骨材を挙げることができる。但し、これらに限定されることはなく、骨材と同様な機能を担う骨材相当物を使用することもできる。またこれらの骨材は、一種単独で使用してもまた2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0026】
上記複合金属水酸化物、水硬性無機質材料及びフィラーの各配合割合は、調製される無機質材の種類やその用途によって異なり一概に規定することはできないが、例えば水硬性無機質材料は、複合金属水酸化物100重量部に対して2〜900重量部、好ましくは5〜600重量部、より好ましくは5〜400重量部の範囲から適宜選択して用いることができ、またフィラーは、複合金属水酸化物100重量部に対して2〜9000重量部、好ましくは3〜8000重量部、より好ましくは3〜6000重量部の範囲から適宜選択して用いることができる。
【0027】
より具体的には、例えば、本発明の無機質材が予め工場などで製造される成形物である場合は、複合金属水酸化物100重量部に対して配合する水硬性無機質材料の割合として2〜100重量部、好ましくは5〜100重量部、より好ましくは5〜50重量部の範囲を、またこれらの複合金属水酸化物と水硬性無機質材料との混合物100重量部に対して配合するフィラーの割合として20〜900重量部、好ましくは30〜800重量部、より好ましくは30〜600重量部の範囲を例示することができる。かかる割合で複合金属水酸化物、水硬性無機質材料及びフィラーを用いることにより、適度な強度を有しながらも少量で強力なリン酸イオン吸着能を発揮する無機質材を調製することができる。このような無機質材は、強度より寧ろ高いリン酸イオン吸着能が求められる用途に使用することができ、このようなものとしては例えばリン酸イオン吸着・除去用の濾過材(粒状、板状または棒状等)を挙げることができる。なお、上記濾過材のようにリン吸着能を重視する場合は、早強ポルトランドセメント等のように早期に強度を発現する水硬性無機質材料を用いて本発明の環境浄化型無機質材を調製することが好ましい。
【0028】
また、コンクリートやモルタル等のセメント調製物(湿式施工品、乾式施工品)のように強度が求められる無機質材を調製する場合には、水硬性無機質材料を比較的多量に使用することが好ましい。例えばコンクリートの場合、従来のコンクリート調製物と同等の強度を得るためには、複合金属水酸化物100重量部に対して配合する水硬性無機質材料(セメント)の割合として50〜900重量部、好ましくは100〜400重量部、より好ましくは200〜400重量部の範囲を、またこれらの複合金属水酸化物と水硬性無機質材料との混合物100重量部に対して配合するフィラーの割合として100〜900重量部、好ましくは150〜500重量部、より好ましくは200〜400重量部の範囲を例示することができる。また、モルタルの場合、従来のモルタル調製物と同等の強度を得るためには、複合金属水酸化物100重量部に対して配合する水硬性無機質材料(セメント)の割合として40〜900重量部、好ましくは100〜700重量部、より好ましくは300〜600重量部の範囲を、またこれらの複合金属水酸化物と水硬性無機質材料との混合物100重量部に対して配合するフィラーの割合として20〜500重量部、好ましくは30〜300重量部、より好ましくは30〜200重量部の範囲を例示することができる。かかる割合で複合金属水酸化物、水硬性無機質材料及びフィラーを用いることにより、従来のコンクリートやモルタル調製物に要求される強度はそのままに、新たに環境浄化機能であるリン酸イオン吸着能を付加してなる環境浄化型の無機質材を調製することができる。なお、上記コンクリートやモルタル調製物には、例えば、護岸の擁壁等に用いる生コンクリートやプレミックスモルタル等の湿式施工品や、環境保全型河川用製品(大型ブロック等)、魚礁類製品(一般魚礁及び藻礁等)、上下水道用製品(マンホール鉄筋コンクリート管など)、土木用積みブロック、農業用用水製品、農業用排水製品、道路用側溝(JIS及びJIS外側溝など)、擁壁類製品、ボックスカルバート製品、貯留槽、防火水槽、景観製品(インターロッキングブロックなど)、緑化・植栽用製品(ポーラスコンクリート利用製品など)、浄化施設の濾床に用いる濾過材などの乾式施工品が包含される。
【0029】
かかるコンクリートやモルタル調製物に使用する水硬性無機質材料としては高炉セメント等のように長期強度に優れたものが好ましい。
【0030】
また本発明の環境浄化型無機質材は、必要に応じて、一般に当業界で用いられる混和材、混和剤または高分子混和剤等を配合して調製することもできる。
【0031】
ここで混和材としては、通常セメントに配合して用いられる混和材を広く用いることができ、具体的はフライアッシュ、シリカフューム、ポゾラン、高炉スラグ、ケイ酸質微粉末、鉱物質微粉末などが例示できる。
【0032】
また混和剤としては、AE剤、減水剤、AE減水剤、減水促進剤、減水遅延剤、促進剤、遅延剤、急結剤、防水剤、起泡剤、発泡剤、保水剤、接着剤、防水剤などが例示できる。これらの混和剤は上記範疇に含まれるものであれば制限されることなく任意に用いることができる。例えば、AE剤としては陰イオン系、非イオン系、陽イオン系または両性イオン系のAE剤を任意に使用することができるが、好適には非イオン系のAE剤である。また減水剤としては、リグニンスルホン酸塩系、高級多価アルコールのスルホン酸塩系、オキシ有機酸、アルキルアリルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオール複合体の減水剤を任意に使用することができるが、好適にはポリオール複合体である。
【0033】
高分子混和剤は粉末状で配合しても、また液体状で配合してもよい。ここで、高分子混和剤としては、具体的に水性ポリマーディスパージョンおよび水溶性ポリマーを挙げることができる。具体的には、ゴムラテックス、アクリルエマルジョン、アクリルスチレンエマルジョン、エチレン酢酸ビニルエマルジョン、スチレンブタジエンゴムラテックス、エポキシ樹脂エマルジョン、混合ラテックス、混合エマルジョン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、メラミン等が例示できる。
【0034】
本発明の環境浄化型無機質材は、前述する複合金属水酸化物、水硬性無機質材料及びフィラー、並びに必要に応じて上記任意成分を単に混合して粉状物として調製されてもよいし、これにさらに水を配合してペースト状に調製されてもよいし、またこの含水物を乾燥固化して所望の形状に調製されてもよい。
【0035】
かくして得られる本発明の環境浄化型無機質材は、例えば水硬性無機質材料としてセメントを用いて調製された場合には、セメントモルタルやコンクリート、その他セメントを成分とする各種のセメント調製物(生コンクリート、プレミックスモルタル、乾式施工品、湿式施工品)として提供することができる。
【0036】
本発明の環境浄化型無機質材は、前述するようにそのリン酸イオン吸着能に基づいてリンを吸着するとともに、リン吸着後は、複合金属水酸化物のイオン交換能に基づいて特定条件下でリンを放出可能であるため、リンの供給源として利用することができる。かかるリンは植物の栄養源として有用である。また、リンの吸着能はpHの高低に影響されないので、再生骨材などの土木・建築用資材として再資源化して利用することが可能である。
【0037】
なお、本発明に下記の実施態様が含まれる:
(1)複合金属水酸化物、水硬性無機質材料及びフィラーを含有する環境浄化型無機質材。
(2)水硬性無機質材料がセメントである(1)記載の環境浄化型無機質材。
(3)複合金属水酸化物100重量部に対して、水硬性無機質材料を2〜900重量部及びフィラーを2〜9000重量部の割合で含有する(1)又は(2)に記載の環境浄化型無機質材。
(4)複合金属水酸化物100重量部に対して、水硬性無機質材料を2〜100重量部及びフィラーを20〜900重量部の割合で含有する(1)又は(2)に記載の環境浄化型無機質材。
(5)水硬性無機質材料が早強ポルトランドセメントである(4)記載の環境浄化型無機質材。
(6)所定の形状を有する成形物である(3)、(4)又は(5)に記載の環境浄化型無機質材。
(7)濾過材として使用される(6)記載の環境浄化型無機質材。
(8)複合金属水酸化物100重量部に対して、水硬性無機質材料を50〜900重量部及びフィラーを100〜900重量部の割合で含有する(1)又は(2)に記載の環境浄化型無機質材。
(9)複合金属水酸化物100重量部に対して、水硬性無機質材料を40〜900重量部及びフィラーを20〜500重量部の割合で含有する(1)又は(2)に記載の環境浄化型無機質材。
(10)水硬性無機質材料が高炉セメントである(8)または(9)記載の環境浄化型無機質材。
(11)生コンクリートまたはプレミックスモルタルとして使用される(8)乃至(10)のいずれかに記載の環境浄化型無機質材。
(12)リンを吸着してなる上記(1)〜(11)のいずれかに記載の環境浄化型無機質材。
(13)リン供給源として利用される(12)記載の環境浄化型無機質材。
(14)再生骨材などの土木・建築用資材として利用される(12)記載の環境浄化型無機質材。
(15)(12)記載の環境浄化型無機質材を材料として調製されるモルタルまたはコンクリート。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実験例及び実施例によって更に詳細に説明するが、本発明は当該実施例によって何ら制限されるものではない。
実施例1 セメント含有量とリン吸着量との関係
下式:
Mg2+ 0.665Al3+ 0.317(OH2.033Cl 0.238(CO 2−0.023
で示される複合金属水酸化物に対して、ポルトランドセメント100重量部に対して微粉砕高炉スラグ(比表面積6000g/m)を100重量部配合して調製した高炉セメントを、表1の割合(重量比)で配合して被験の環境浄化型無機質材用組成物(No.1〜No.9)を調製した。具体的には下記の調製方法に従って試験体を調製した。
【0039】
【表1】
Figure 0003559905
【0040】
(1) 試験体の調製
上記各処方からなる組成物を、練り混ぜ機を用いて3分間練りまぜて、成形型枠に突き詰めて湿気箱中に静置した。24〜72時間経過後、成型物を型枠から取り外し、破砕して10〜20メッシュの試験体(破砕物)(No.1〜No.9)を調製した。
【0041】
(2) リン吸着能の測定
上記で調製した試験体(No.1〜No.9)についてリン吸着能を測定した。リン吸着能の測定は、具体的には、各試験体0.2gを、塩酸にて約pH7に調整したリン濃度26.7mM−P NaHPO水溶液 20mL中にいれて、30℃にて24時間横振り振盪(170回/分)し、その後該水溶液から試験体を濾別して、濾液中のリン酸イオン濃度をモリブデンブルー法にて定量することによって行った。試験体のリン酸イオン吸着量は、水溶液のリン酸イオンの初期濃度と吸着平衡後の濾液中の残存濃度との差から、試験体1g当たりの吸着量として算出した。結果を図1に示す。
【0042】
尚、図1中、セメントの重量割合とは、複合金属水酸化物と高炉セメントの総量100重量部に対する高炉セメントの重量割合を意味する。
【0043】
実施例2 セメントの種類と強度発現の特性
表2に示す処方からなる環境浄化型無機質材用組成物(No.10〜No.12)に骨材200重量部と水60重量部を配合して試験体を作成した。具体的には、まず上記混合物を練り混ぜ機を用いて3分間練りまぜて、鋼製の成形型枠に2回にわけて突き硬めながら詰め、5時間以上経過した後、型の上から盛り上げを削り取り、湿気箱中に静置した。24時間経過後、成形物を型枠から取り外し、水中に完全に浸漬し、さらに28日間養生を行って試験体(No.10〜No.12)を調製した。
【0044】
【表2】
Figure 0003559905
【0045】
(1) 強度試験(圧縮強度試験)
上記の試験体(環境浄化型無機質材)No.10及びNo.11について、JIS R 5201−1992の「セメントの物理試験方法」10.強さ試験の規定に従って、強度(圧縮強度)を測定した。
【0046】
具体的には曲げ強度試験はJIS R 5201−1992「セメントの物理試験方法」10.強さの試験に規定されているミハエリス二重てこ型曲げ強さ試験機を用いて、支点間の距離を100mmとして試験体の中央部に毎秒5kgf(49N)の割合で載荷し、最大荷重を求めることによって実施した。また、圧縮強度試験はJIS R 5201「セメントの物理試験方法」10.強さの試験に規定されている圧縮試験装置を用いて、供試体中央部に(40±0.1mm)の範囲で、毎秒80kgf(785N)の割合で載荷し、最大荷重を求めることをによって実施した。圧縮強度試験の結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
Figure 0003559905
【0048】
結果からわかるように、本発明の環境浄化型無機質材No.10及びNo.11はいずれも強度においてJIS R 5211規定の基準と遜色がないか、または該基準を十分に満たすものであった。
【0049】
(2) リン吸着能の測定
調製した環境浄化型無機質材のうち、No.11とNo.12(28日養生後)をさらに破砕して、破砕状(粒径:10〜20メッシュ)とした。調製した破砕状環境浄化型無機質材(No.11、No.12)を試験体として、下記の方法に従ってそのリン吸着能を測定した。
【0050】
<リン吸着能測定>
塩酸にて約pH7に調整した26.7mM−P NaHPO水溶液20mlに上記破砕状の無機質材(試験体)を約0.2g添加し、横振り振盪器で振盪する(30℃、170rpm×24h)。振盪後、上澄み液を限外濾過膜(ミリポアー、0.45μm)を用いてろ過し、濾液中のリン酸イオン濃度を分光光度計(波長660nm)により定量する。試験体のリン酸イオン吸着量は、実施例1と同様に水溶液のリン酸イオンの初期濃度と回収した濾液中の残存濃度との差から、試験体1g当たりの吸着量として算出した。結果を表4に示す。なお、その結果から換算した、試験体中に含まれる複合金属水酸化物1gあたりのリン酸イオン吸着量(mmol/g)を併せて示す。
【0051】
【表4】
Figure 0003559905
【0052】
結果からわかるように、試験体No.11及びNo.12はいずれも、リン吸着能目標値1.6mmol/gの8割以上を超え、優れたリン吸着能を備えていた。また、この結果から、水硬性無機質材料として高炉セメントを用いることによってより高いリン酸イオン吸着能が得られることがわかる。この理由として、高炉セメントの場合には、試験体中のアルカリ量が少ないため炭酸ガスの吸収量が少なく、複合金属水酸化物の吸着能を高く保っていられることを挙げることができる。
【0053】
実施例3
下式:
Mg2+ 0.665Al3+ 0.317(OH2.033Cl 0.238(CO 2−0.023
で示される複合金属水酸化物に表5に記載する割合(重量比)で水硬性無機質材料(セメント)を配合した環境浄化型無機質材用組成物(No.13〜18)を用いて、実施例1に記載の方法に従って破砕物(粒径:10〜20メッシュ)を調製した。調製した破砕物(No.13〜No.18)を試験体として、下記の方法により耐破砕強度とリン吸着能を測定した。
【0054】
【表5】
Figure 0003559905
【0055】
(1) 耐破砕強度の測定
試験体を約0.2g精秤した後、共栓付きの30ml容三角フラスコに移し、水20mlを入れ、横振り振盪機で振盪する(30℃、170rpm×24h)。振盪後、メンブランフィルター(0.8μm)を用いて、吸引ろ過し、40℃で24時間乾燥する。乾燥後、サンプル重量を測定した後、20メッシュの篩いで整粒し、20メッシュ通過品の重量を測定し、20メッシュの篩いの残留分(重量%)から耐破砕強度を評価する。
【0056】
(2) リン吸着能の測定
実施例2に記載する方法に従って試験体(No.13〜No.18)のリン吸着量を測定した。結果を表6に示す。なお、リン吸着能については、試験体中に含まれる複合金属水酸化物1gあたりのリン酸イオン吸着量(mmol/g)の換算値も併せて示す。
【0057】
【表6】
Figure 0003559905
【0058】
結果からわかるように、水硬性無機質材料として早強セメントを用いることによって、調製された破砕物(試験体No.13〜16)はリン吸着能目標値1.6mmol/gの約7.5割以上のリン吸着能を備え、また耐破砕強度目標値である95重量%(残留分)を十分に超えることが可能であった。
【0059】
実施例4
(1)試験体の調製
下式:
Mg2+ 0.665Al3+ 0.317(OH2.033Cl 0.238(CO 2−0.023
で示される複合金属水酸化物100重量部に対して、ポルトランドセメント100重量部に対して微粉砕高炉スラグ(比表面積6000g/m)を100重量部配合して環境浄化型無機質材用組成物を調製した。この環境浄化型無機質材用組成物に、骨材375重量部、水46重量部を配合し混合した後、φ10×10の大きさに充填率約75%で充填し、14日間水中養生を行って試験体を調製した。
【0060】
(2) リン吸着能の測定
上記で調製した試験体についてリン吸着能を測定した。リン吸着能の測定は、具体的には、試験体を、塩酸にて約pH7に調整したリン濃度26.7mM−P NaHPO水溶液中にいれて、48時間静置した。所定の時間経過後、該水溶液から試験体を濾別して濾液中のリン酸イオン濃度をモリブデンブルー法にて定量した。また、同時にpHメーターを用いて該溶液のpHを測定し、リン吸着能に対するpHの影響を調べた。
【0061】
結果を図2に示す。図2からわかるように、溶液のpHの上昇に伴って水溶液中のリン濃度が低下しており、このことからpHが高くなってもリン酸イオンの放出は認められず、リン吸着能が維持されていることが明らかになった。従って、本発明の無機質材はセメントやコンクリート調製物などの高pH環境下でもリン吸着能を発揮し、また一旦吸着したリン酸イオンは、セメントやコンクリート調製物などの高pH環境下で最放出しないことが判明した。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、本来有害物質を含まずまた再生容易な低環境負荷材料である無機質材にリン酸イオン吸着能を付与することによって、所望のリン酸イオン吸着能を発揮する環境浄化型の無機質材を提供することができる。本発明の環境浄化型無機質材は各種用途に応じた強度を備えているため、当該無機質材によれば従来より使用されている公知用途に環境浄化という有用な機能を付加することができる。
【0063】
さらには、本発明の無機質材は、高pH条件下でも吸着したリン酸イオンを放出しないため、リン吸着後の環境浄化型無機質材は再生骨材等の土木・建築用資材として再資源化利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】セメント含有量とリン吸着量との関係を示す図である(実施例1)。
【図2】pHとリン吸着能との関係を示す図である(実施例5)。

Claims (3)

  1. 複合金属水酸化物、水硬性無機質材料及びフィラーを含有する環境浄化型無機質材であって、複合金属水酸化物は、化学組成式(1)
    1-x 2+ x 3+ (OH - 2+x-y (A n- y/n (1)
    〔式中、M 2+ はMg 2+ 、Ni 2+ 、Zn 2+ 、Fe 2+ 、Ca 2+ 及びCu 2+ からなる群から選ばれる少なくとも1種の二価の金属イオンを示し、M 3+ はAl 3+ 及びFe 3+ からなる群から選ばれる少なくとも1種の三価の金属イオンを示し、A n- はn価のアニオンを示す。また、xは0.1≦x≦0.5の正数であり、yは0.1≦y≦0.5の正数であり、nは1または2である。〕
    で表され、水硬性無機質材料は高炉セメントである環境浄化型無機質材
  2. 複合金属水酸化物100重量部に対して、水硬性無機質材料を2〜900重量部及びフィラーを2〜9000重量部の割合で含有する請求項に記載の環境浄化型無機質材。
  3. リンを吸着してなる請求項1乃至のいずれかに記載の環境浄化型無機質材。
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