JP3568480B2 - ラミネート構造物の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶解除去性及び酸素バリア性が向上したラミネート構造物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、書籍、新聞等の包装及び食品類の包装に用いられるラミネート紙及びラミネート布としてポリエチレンを加工剤として用いた積層体が一般に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、水質汚染公害や天然資源の保護が大きく問題となっている。かかる解決手段の一つとして紙及び布等の繊維製品の再利用が盛んに行われている。
繊維製品を再利用するためには、水中で加熱及び撹拌して元の繊維状態にまでほぐしてやらねばならない。
しかしながら、ポリエチレンは疎水性であるため、再生に長時間要したり、再生紙及び再生布の品質がおとろえる等の問題が生じ、実質上、再生は不可能である。又、ポリエチレンは酸素バリア性が低いため、特に食品類の包装には適しておらず、酸素バリア性に良好な新たな包装紙及び包装布の出現が望まれいてる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
しかるに本発明者等はかかる課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、オキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール(以下、EO−PVAと略する)を紙又は布にメルトコートした後、温度20〜80℃、湿度50〜100%の条件で、含水率5〜30%に調湿を行うことにより、基材の紙及び布の再利用が容易に行えるとともに、酸素バリア性にも優れたラミネート構造物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
発明で使用されるオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂としては、下記一般式(1)
【0006】
Figure 0003568480
【0007】
〔但しR、Rは水素又はアルキル基、Xは水素、(但し、RとRは同時に水素ではない)、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルアミド基、スルホン酸塩基等の有機残基、nは1〜300の整数を示す〕で表わされる構造を有するものである。Xは通常は水素である。nの数は有利には2〜300、特に好ましくは5〜300程度のオキシアルキレン基が実用的であり、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基等が効果的である。
オキシアルキレン基を有するビニルアルコール系樹脂は任意の方法で製造できる。例えば▲1▼ポリオキシアルキレンの存在下にビニルエステルを重合し、ケン化する方法、▲2▼オキシアルキレン基を有する不飽和単量体とビニルエステルを共重合し、ケン化する方法等が挙げられるが、▲2▼が樹脂の製造面、性能面から実用的である。
以下▲2▼の方法について具体的に説明する。
【0008】
オキシアルキレン基を有する不飽和単量体としては次の様なものが例示される。但し、本発明ではこれらのみに限定されるものではない。
メタ アクリル酸エステル型
下記一般式(2)
【0009】
Figure 0003568480
で示される (但しRは水素又はメチル基、Aはアルキレン基、置換アルキレン基、フェニレン基、置換フェニレン基、mは0又は1以上の整数、nは1〜100の整数) もので、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0010】
メタ アクリル酸アミド型
下記一般式(3)
【0011】
Figure 0003568480
で示される(但しRは水素又はアルキル基又は
【0012】
Figure 0003568480
A,R,R,R,m,nは前記と同様)もので、ポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸アミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリル酸アミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル等が挙げられる。
【0013】
メタ アリルアルコール型
下記一般式(4)
【0014】
Figure 0003568480
で示される(R,R,R,nは前記と同様)ものでポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
【0015】
ビニルエーテル型
下記一般式(5)
【0016】
Figure 0003568480
で示される(A,R,R,m,nは前記と同様)ものでポリオキシプロピレンビニルエーテル等が挙げられる。かかる単量体の中で(メタ)アルコール型のものが好適に使用される。
【0017】
ビニルエステルとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が単独又は併用で用いられるが実用上は酢酸ビニルが好適である。
【0018】
本発明においては、かかる重合の際に前述した如きオキシアルキレン基を有する不飽和単量体、ビニルエステル以外の他の一般の単量体を水溶性を損なわない範囲で少量存在せしめて重合を行なっても良い。これらの単量体を次に例示する。
【0019】
エチレン性不飽和カルボン酸及びそのアルキルエステル等
クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、イタコン酸メチル、イタコン酸エチル、ソルビン酸メチル、ソルビン酸エチル、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、オレイン酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等が挙げられる。
【0020】
飽和カルボン酸のアリルエステル
ステアリン酸アリル、ラウリン酸アリル、ヤシ油脂肪酸アリル、オクチル酸アリル、酪酸アリル等。
α−オレフィン
エチレン、プロピレン、α−ヘキセン、α−オクテン、α−デセン、α−ドデセン、α−ヘキサデセン、α−オクタデセン等。
エチレン性不飽和カルボン酸
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸ならびにこれられのアルカリ金属塩、アンモニウム塩等。
【0021】
アルキルビニルエーテル
プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、テトラデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等。
アルキルアリルエーテル
プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル、オクチルアリルエーテル、デシルアリルエーテル、ドデシルアリルエーテル、テトラデシルアリルエーテル、ヘキサデシルアリルエーテル、オクタデシルアリルエーテル等。
その他、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニル等の使用も可能である。
【0022】
共重合するに当たっては特に制限はなく公知の重合方法が任意に用いられるが、普通メタノール、エタノールあるいはイソプロピルアルコール等のアルコールを溶媒とする溶液重合が実施される。勿論、乳化重合、懸濁重合も可能である。かかる溶液重合において単量体の仕込み方法としては、まずビニルエステルの全量と前記オキシアルキレン基含有不飽和単量体の一部を仕込み、重合を開始し、残りの不飽和単量体を重合期間中に連続的に又は分割的に添加する方法、前者を一括仕込みする方法等任意の手段を用いて良い。共重合反応は、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの公知のラジカル重合触媒を用いて行なわれる。又反応温度は50℃〜沸点程度の範囲から選択される。
【0023】
ケン化に当たっては共重合体をアルコールに溶解しアルカリ触媒の存在下に行なわれる。アルコールとしてはメタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられる。
アルコール中の共重合体の濃度は20〜50重量%の範囲から選ばれる。ケン化触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒を用いることが必要である。かかる触媒の使用量はビニルエステルに対して1〜100ミリモル当量にすることが必要である。
【0024】
好ましいケン化度は30〜100モル%、特に好ましくは50〜100モル%の範囲から選択される。
尚、上記方法に限らず、例えばポリビニルアルコール(部分ケン化物又は完全ケン化物)に酸化アルキレン類を付加反応させる方法等も実施可能である。
本発明におけるEO−PVAのオキシアルキレン基の含有量は特に限定されるものではないが、通常樹脂全体に対し1〜50重量%、より好ましくは5〜40重量%である。
かかるEO−PVAを紙又は布に塗布する際に、必要であれば更にグリオキザール、尿素樹脂等の耐水化剤、消泡剤、離型剤、界面活性剤、防腐剤、防虫剤、防錆剤、増粘剤等の公知の添加剤を添加することも可能である。
【0025】
かくして得られたEO−PVAは紙又は布に塗布される。塗布方法としては、メルトコート法が用いられ、この場合、連続的な生産が可能であり、又、膜厚の大きい層を容易に得ることができるので、ラミネート構造物の耐水性強度が著しく向上する。
本発明によるメルトコート法とは、かかるEO−PVAを180〜220℃に加熱して溶融し、該溶融物をそのままコーター等で紙又は布に塗布することもできるし、又、一旦溶融物を押出し、ブロック、スラッグ、ひも、糸、スティック、フレーク、ペレット、シート、フイルムパウダー状等に成型した後、使用時に再溶融して塗布することもできる。該EO−PVAは紙又は布に膜厚10μm以上、好ましくは20〜50μm程度になるように塗布することが好ましく、塗布膜が10μm未満の場合は十分な酸素バリヤ性が得られない。
【0026】
かかるラミネート構造物は、更に温度20〜80℃、湿度50〜100%の条件で、含水率5〜30%、好ましくは8〜15%になる様調湿される。
かかる工程により、ラミネート構造物のカール発生の防止、巻き取りの均一性等の効果を示す。
本発明に用いられる紙又は布としては特に制限はないが、例えば紙としてはマニラボール、白ボール、ライナー等の板紙、一般上質紙、グラビア用紙等の印刷用紙などが用いられ、布としては木綿、羊毛、絹、麻等の天然繊維、アセテート等の半合成繊維、ナイロン、アクリル等の合成繊維からなる織布、不織布等が用いられる。
【0027】
【作用】
本発明の方法により得られるラミネート構造物は、紙及び布の再利用を有効に行うことができ、更に酸素バリヤ性が著しく向上することにより、鮮度保持を要求される食品類の包装等にも適応でき、幅広い用途に使用可能なラミネート構造物を得ることができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明について更に詳述する。
尚、「部」及び「%」とあるのはことわりのない限り重量基準である。
【0029】
実施例1〜5
表1に示す如き各種のEO−PVAを200〜210℃で加熱して溶融した後、上質紙にロールコーターを用いて表1に示す膜厚に塗工した。続いて上記ラミネート紙を温度75℃、相対湿度90%RHの条件下で調湿して含水率8%に調整した。
かかるラミネート紙についての諸物性を下記の方法を用いて測定した。結果はまとめて表2に示す。
【0030】
(酸素透過性)
酸素透過度測定装置(OX−TRAN,MODERN CONTROLS,INC社製)を用い、温度20℃、相対湿度40%RH下で測定を行った。
【0031】
(水溶解除去性)
大きさ5cm×5cmのラミネート紙を真空ポンプで40℃、1mmHg下24時間乾燥して重量を求めた後、温度60℃、及び90℃の水浴に浸漬し、30分間撹拌した後取り出して110℃で2時間30分熱風乾燥器中にて乾燥を行いその重量を測定した。EO−PVAを塗工していない上質紙(大きさ5cm×5cm)について上記と同様に真空ポンプで40℃、1mmHg下24時間で乾燥した重量を求めた。水溶解除去率を次式より求めた。
水溶解除去率(%)=100×(水浸漬処理後の乾燥重量−紙のみの乾燥重量)/(水浸処理前の乾燥重量−紙のみの乾燥重量)
【0032】
(耐水性)
大きさ5cm×5cmのラミネート紙の乾燥重量を上記と同様に求めた後、温度7℃の水浴に浸漬し、5秒間撹拌した後取り出して110℃、2時間30分熱風乾燥器中にて乾燥を行い重量及び表面のべたつきの有無を測定した。EO−PVAを塗工していない上質紙について上記と同様に乾燥重量を求めた。冷水溶解率を次式より求めた。尚、評価基準は次のように表す。
冷水溶解率(%)=100×(冷水浸漬処理後の重量−紙のみの乾燥重量)/(冷水処理前の乾燥重量−紙のみの乾燥重量)
Figure 0003568480
【0033】
(まとまり性)
長さ2mの紙管(直径15cm)にラミネート紙100mを巻き取り、巻き取り後のラミネート紙、紙管を含めた直径を6カ所で測定し(最大値−最小値)が最小値の何%に相当するかを次式より求めた。
100×(最大値−最小値)/(最小値)
評価規準は次のように表す。
0〜5% ○
5〜10% △
10%以上 ×
【0034】
Figure 0003568480
【0035】
実施例6
実施例1において上質紙の代わりに綿布40番手ブロードを用いた以外は同例に従って実験を行った。結果はまとめて表2に示す。
【0036】
比較例1
実施例1においてEO−PVAの代わりに加工剤として高密度ポリエチレンを用いた以外は同例に従って実験を行った。結果はまとめて表2に示す。
【0037】
比較例2
実施例1においてEO−PVAの代わりにケン化度80モル%、重合度500のポリビニルアルコールを用いた以外は同例に従って実験を行った。結果はまとめて表2に示す。
【0038】
比較例3
実施例1におけるEO−PVA10部を水90部に溶解した。かかる加工剤を秤量64g/m上質紙に塗膜20mmになるようにサイズプレスコートを行い、円筒回転式ドライヤーにて110℃で3分間乾燥した。かかるラミネート紙について同例に従い諸物性を調べた。結果はまとめて表2に示す。
【0039】
比較例4
実施例1において調湿工程を行わなかった以外は同例に従い実験を行った。結果はまとめて表2に示す。
【0040】
Figure 0003568480
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、基材の紙や布の再利用を有効に行うことができ、更に酸素バリヤー性に優れたラミネート構造物を得ることができる。

Claims (1)

  1. オキシアルキレン基含有ポリビニルアルコールを紙又は布にメルトコートした後、温度20〜80℃、湿度50〜100%の条件で、含水率5〜30%に調湿を行うことを特徴とするラミネート構造物の製造法。
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