JP3568780B2 - 車両における動力伝達ケーブルのシール装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライドドアなどの車両部品を駆動ユニットに連動連結させるケーブルと、このケーブルを往復移動自在に嵌入させるガイドパイプとの間をシールする車両における動力伝達ケーブルのシール装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両の一例であるワンボックスタイプの自動車では、その車体の側壁にサイドドア装置を設けたものがあり、これは、通常、上記側壁の外面に沿って前後に往復移動自在となるようこの側壁に支承される車両部品であるスライドドアと、このドアを往復移動させるよう駆動させる開閉駆動装置とを備えている(例えば、実開平6‐1683号公報)。
【0003】
上記開閉駆動装置には、従来、次のように構成されたものがある。
【0004】
即ち、車体に支持され上記ドアを移動させるための駆動源となる駆動ユニットと、一端部が上記ドアに向って延出する一方、他端部側が上記駆動ユニットに連結されるガイドパイプと、一端部が上記ドアに連結される一方、他端部側が上記ガイドパイプに往復移動自在に嵌入されるケーブルとが備えられ、上記駆動ユニットの出力歯車と噛合する多数の噛合歯が上記ケーブルの外面にその長手方向に沿って成形されている。
【0005】
そして、上記噛合を介し、上記駆動ユニットに連動するケーブルと共に上記ドアが往復移動することとされ、この往復移動によって、上記ドアがドア開口を開閉することとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の技術によれば、ケーブルの外面には多数の噛合歯がその長手方向で全長にわたって成形されており、このため、上記ケーブルの上記一端部側における噛合歯は、ガイドパイプの外部に露出することとなっている。
【0007】
この場合、ガイドパイプの外部に露出した各噛合歯の間の歯溝には車外からの水が溜り易いため、上記ケーブルが往、もしくは復移動して、露出した噛合歯の間の歯溝が上記ガイドパイプの内部に入り込むとき、これと共に、水がガイドパイプに容易に入り込むこととなる。
【0008】
そこで、上記ガイドパイプの一端部と、これに嵌入された上記ケーブルとの間をシールするシール体を設けることが考えられるが、上記したように、ケーブルの外面には多数の噛合歯が形成されていて、その長手方向の各部で断面形状が不均一であるため、上記のようにシール体を設けても、十分のシール性能を得ることはできない。
【0009】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、駆動ユニットの動力を車両部品に伝達させるケーブルが、その外面に多数の噛合歯を有しており、かつ、上記ケーブルの長手方向の一部だけがガイドパイプに移動自在に嵌入されている場合でも、上記ケーブルと、これを嵌入させているガイドパイプとの間のシールがより確実にできるようにすることを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の車両における動力伝達ケーブルのシール装置は、次の如くである。
【0011】
なお、この「課題を解決するための手段」の項において、下記した( )内の用語は、特許請求の範囲の用語に対応するものである。
【0012】
請求項1の発明は、車体2に往復移動自在に支承されたドア(車両部品)14と、一端部32が上記ドア(車両部品)14に向って延出する一方、他端部34側が駆動ユニット23に連結されるガイドパイプ31と、一端部42が上記ドア(車両部品)14に連結される一方、他端部44側が上記ガイドパイプ31に往復移動自在に嵌入されるケーブル41とを備え、上記駆動ユニット23の出力歯車27と噛合する噛合歯50を上記ケーブル41の外面に成形した車両において、
【0013】
上記ケーブル41が、その軸心上に位置する芯材46と、この芯材46に螺旋状に巻き付けられた線材47と、これら芯材46と線材47とを覆う樹脂製表層材48とを備え、この表層材48により上記ケーブル41の上記一端部42側を断面均一部49とし且つ他端部44側に上記噛合歯50を成形し、上記断面均一部49を上記ガイドパイプ31の上記一端部32に嵌入させ、この嵌入状態が、上記駆動ユニット23に連動するケーブル41の往復移動(A,B)時に常時保持されるようにし、かつ、上記ガイドパイプ31の一端部32と、これに嵌入された上記断面均一部49との間をシールするシール体53を設けたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
【0015】
図2、3において、符号1は車両で、図例ではワンボックスタイプの自動車を示し、矢印Frはその前方を示している。
【0016】
上記車両1の車体2は、前、後車輪3により走行面4上に支持されている。上記車体2の側壁6は車幅方向で少し離れて対面するアウタパネル7とインナパネル8とで構成され、これら両パネル7,8の間には偏平な空間9が設けられている。上記側壁6には、車体2内部に設けられた車室11の内外を連通可能とさせるサイドドア装置12が設けられている。
【0017】
上記サイドドア装置12は、上記側壁6に形成されたドア開口13と、このドア開口13を開閉させる車両部品であるスライドドア14と、上記ドア開口13の後方近傍で前後方向に延び上記側壁6のアウタパネル7の外面に締結具15によって支持される上下一対のレール16(上側のレールは図示せず)と、これら各レール16を介し上記側壁6に上記ドア14を支承させるローラ式のブラケット17と、上記ドア14を前後に往復移動させるよう駆動させる開閉駆動装置19とを備えている。
【0018】
上記ドア14は上記レール16に案内されて側壁6の外面近傍で、この外面に沿って前後方向に移動自在とされ、その前方に向う往移動(矢印A)で、各図中実線で示すように、上記ドア開口13が全閉状態に閉じられ、上記ドア14の後方に向う復移動(矢印B)で、図2中一点鎖線で示すように、上記ドア開口13が開かれるようになっている。
【0019】
上記開閉駆動装置19は、上記インナパネル8にスポット溶接により支持される板金製の支持体21と、この支持体21に前後一対の締結具22,22により支持され上記ドア14を移動させる駆動源となる駆動ユニット23とを備え、上記支持体21と駆動ユニット23は、上記空間9に配設されている。
【0020】
上記駆動ユニット23は、これのユニット本体25の外殻を構成するケーシング26と、このケーシング26に支承された出力歯車27と、上記ケーシング26に支承されて上記出力歯車27と軸心が平行となるよう並設された反力受け歯車28と、上記ケーシング26に支持されて上記出力歯車27を選択的に往駆動(A′)、もしくは復駆動(B′)させる電動機29とを備えている。
【0021】
全図において、上記開閉駆動装置19はガイドパイプ31を備え、このガイドパイプ31の一端部32は、上記空間9側から上記アウタパネル7に形成された開口33を貫通して上記ドア14に向って延出する一方、他端部34側は、上記空間9内で上記駆動ユニット23のケーシング26に連結されている。上記ガイドパイプ31は断面円形で、鋼管製とされて剛性を有し、側面視で円弧状に湾曲させられている。また、上記ガイドパイプ31の中途部は上記ケーシング26に支持アーム35により支持され、これにより、上記ガイドパイプ31が所定の湾曲形状を保持することとされている。
【0022】
上記レール16に沿って前後方向に延びる他のガイドパイプ36が設けられ、このガイドパイプ36は上記レール16に溶接により支持されている。上記ガイドパイプ36は断面円形で、鋼管製とされて剛性を有し、このガイドパイプ36の後端部に上記ガイドパイプ31の一端部32が嵌脱自在に嵌合させられている。上記ガイドパイプ36にはその内外を連通させるスリット37が形成され、このスリット37は上記ガイドパイプ36の底部にその長手方向の全長にわたり設けられている。
【0023】
上記ガイドパイプ31の他端部34の延長線状には更に他のガイドパイプ38が設けられ、このガイドパイプ38の一端部は上記駆動ユニット23のケーシング26に連結され、他端部側は湾曲させられて上記側壁6のインナパネル8に支持されている。上記ガイドパイプ38は断面円形で、樹脂製とされて可撓性を有し、側面視で円弧状に湾曲させられている。
【0024】
上記開閉駆動装置19はケーブル41を備えている。このケーブル41の一端部42は、上記スリット37を通過した連結具43により、上記ブラケット17に連結されている。つまり、上記ケーブル41の一端部42は上記連結具43とブラケット17を介し上記ドア14に連結されている。また、上記ケーブル41の他端部44側は、上記各ガイドパイプ31,36,38にその長手方向に向って往復移動(摺動)自在に嵌入されている。
【0025】
上記ケーシング26の内部において、上記ガイドパイプ31の他端部34と、他のガイドパイプ36の一端部との間で、上記ケーブル41の中途部が上記出力歯車27と反力受け歯車28の各外周部の間を通過させられている。
【0026】
上記ケーブル41は、その軸心上に位置して複数の弾性ワイヤーを撚ることにより成形された芯材46と、この芯材46に螺旋状に巻き付けられた弾性の金属製線材47と、これら芯材46と線材47とを一体的に覆う弾性の樹脂製表層材48とを備えている。上記ケーブル41は全体として可撓性を有しているが、その長手方向には剛性を有し、伸縮しない構造とされている。
【0027】
上記ケーブル41の一端部42側は断面円形でその長手方向各部の寸法が均一な断面均一部49とされている。また、上記ケーブル41の他端部44側の外面には、上記出力歯車27、および反力受け歯車28と同時に噛合する多数の噛合歯50がその長手方向に沿って多数成形され、これにより、上記ケーブル41の他端部44側がラック部51とされている。この場合、ケーブル41の長手方向で、隣り合う噛合歯50,50の間が歯溝52となっており、これら噛合歯50と歯溝52とは、上記線材47と平行となるよう上記ケーブル41の外周面に螺旋状に延びている。また、上記線材47が上記各噛合歯50の芯材とされて、十分の強度が確保されている。
【0028】
そして、前記電動機29の駆動により、出力歯車27を往駆動(A′)させれば、これに連動するケーブル41と共にドア14が往移動(A)し、ドア開口13が閉じられ、一方、上記出力歯車27を復駆動(B′)させれば、これに連動するケーブル41と共にドア14が復移動(B)して、上記ドア開口13が開かれるようになっている。
【0029】
上記断面均一部49の長手方向の中途部は、上記ガイドパイプ31の一端部32に嵌入させられており、この嵌入状態は、上記駆動ユニット23に連動するケーブル41の往復移動(A,B)時に常時保持されるようになっている。また、上記ガイドパイプ31の一端部32と、これに嵌入された上記断面均一部49との間をシールする円環状の樹脂製のシール体53が設けられている。このシール体53は上記ガイドパイプ31の一端部32に取り付けられると共に、上記断面均一部49を嵌入させており、上記シール体53の内周面に対し上記断面均一部49の外周面が少し圧接した状態で摺接可能とされている。
【0030】
上記ガイドパイプ31の一端部32側に突設されて、前記開口33の開口縁と、上記開口33を貫通する上記ガイドパイプ31との間の空間を閉じるシールブラケット56が設けられている。このシールブラケット56は板状で、その突出端縁が、上記開口33の開口縁に締結具57により着脱自在に締結されている。
【0031】
上記シールブラケット56により、上記開口33から空間9側に向って雨水の浸入がないようシールされ、かつ、上記ガイドパイプ31の一端部32側が車体2の側壁6に対し強固に支持されている。
【0032】
上記構成によれば、ガイドパイプ31の一端部32に対するケーブル41の断面均一部49の嵌入状態が、このケーブル41の全往復移動(A,B)時に常時保持されるようになっており、このため、上記噛合歯50を有するケーブル41の部分(ラック部51)は、このケーブル41が往復移動(A,B)しても、常時、上記ガイドパイプ31の内部に嵌入されたままに保たれる。
【0033】
よって、上記ガイドパイプ31の外部に露出した各噛合歯50の間の歯溝52に溜った水が、ケーブル41の復移動(B)時に上記ガイドパイプ31の内部に入り込むということは未然に防止される。
【0034】
しかも、上記ガイドパイプ31の一端部32と、これに嵌入された断面均一部49との間をシールするシール体53が設けられており、このため、ケーブル41の断面均一部49の外周面と、シール体53とはケーブル41の相対的な移動(A,B)にかかわらず互いの密着状態が維持される。
【0035】
よって、ガイドパイプ31の外部の水がこのガイドパイプ31の内部に入り込むということは上記シール体53によっても防止される。
【0036】
なお、以上は図示の例によるが、ドアで例示した車両部品は、昇降開閉式のウィンドガラス、サンルーフの可動ルーフ、その他、可動式サイドミラー等であってもよい。また、ガイドパイプ31は側壁6の一部などを介し駆動ユニット23に間接的に連結させてもよく、また、他のガイドパイプ36はレール16と一体成形し、もしくは、このレール16の一部で成形してもよい。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、車体に往復移動自在に支承された車両部品と、一端部が上記車両部品に向って延出する一方、他端部側が駆動ユニットに連結されるガイドパイプと、一端部が上記車両部品に連結される一方、他端部側が上記ガイドパイプに往復移動自在に嵌入されるケーブルとを備え、上記駆動ユニットの出力歯車と噛合する噛合歯を上記ケーブルの外面に成形した車両において、
【0038】
上記ケーブルが、その軸心上に位置する芯材と、この芯材に螺旋状に巻き付けられた線材と、これら芯材と線材とを覆う樹脂製表層材とを備え、この表層材により上記ケーブルの上記一端部側を断面均一部とし且つ他端部側に上記噛合歯を成形し、上記断面均一部を上記ガイドパイプの上記一端部に嵌入させ、この嵌入状態が、上記駆動ユニットに連動するケーブルの往復移動時に常時保持されるようにし、かつ、上記ガイドパイプの一端部と、これに嵌入された上記断面均一部との間をシールするシール体を設けてある。
【0039】
このため、上記噛合歯を有するケーブルの部分は、このケーブルが往復移動しても、常時、上記ガイドパイプの内部に嵌入されたままに保たれる。
【0040】
よって、上記ガイドパイプの外部に露出した各噛合歯の間の歯溝に溜った水が、ケーブルの往移動、もしくは復移動時に上記ガイドパイプの内部に入り込むということは未然に防止される。
【0041】
しかも、上記ガイドパイプの一端部と、これに嵌入された断面均一部との間をシールするシール体を設けてあり、このため、ケーブルの断面均一部の外周面と、シール体とはケーブルの相対的な移動にかかわらず互いの密着状態が維持される。
【0042】
よって、ガイドパイプの外部の水がこのガイドパイプの内部に入り込むということは上記シール体によっても防止される。
【0043】
即ち、駆動ユニットの動力を車両部品に伝達させるケーブルが、その外面に多数の噛合歯を有しており、かつ、上記ケーブルの長手方向の一部だけがガイドパイプに移動自在に嵌入されている場合でも、上記ケーブルと、これを嵌入させているガイドパイプとの間のシールがより確実になされることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図3の部分拡大断面部分破断図である。
【図2】自動車の部分側面図である。
【図3】図2の部分拡大部分破断図である。
【図4】図2の部分拡大部分破断図である。
【図5】図4の5‐5線矢視断面図で、ドアが全閉状態から少し後方移動してドア開口を開いたときの図である。
【符号の説明】
1 車両
2 車体
6 側壁
7 アウタパネル
8 インナパネル
9 空間
13 ドア開口
14 ドア(車両部品)
16 レール
19 開閉駆動装置
23 駆動ユニット
27 出力歯車
31 ガイドパイプ
32 一端部
33 開口
34 他端部
41 ケーブル
42 一端部
44 他端部
49 断面均一部
50 噛合歯
51 ラック部
52 歯溝
53 シール体

Claims (1)

  1. 車体に往復移動自在に支承された車両部品と、一端部が上記車両部品に向って延出する一方、他端部側が駆動ユニットに連結されるガイドパイプと、一端部が上記車両部品に連結される一方、他端部側が上記ガイドパイプに往復移動自在に嵌入されるケーブルとを備え、上記駆動ユニットの出力歯車と噛合する噛合歯を上記ケーブルの外面に成形した車両において、
    上記ケーブルが、その軸心上に位置する芯材と、この芯材に螺旋状に巻き付けられた線材と、これら芯材と線材とを覆う樹脂製表層材とを備え、この表層材により上記ケーブルの上記一端部側を断面均一部とし且つ他端部側に上記噛合歯を成形し、上記断面均一部を上記ガイドパイプの上記一端部に嵌入させ、この嵌入状態が、上記駆動ユニットに連動するケーブルの往復移動時に常時保持されるようにし、かつ、上記ガイドパイプの一端部と、これに嵌入された上記断面均一部との間をシールするシール体を設けた車両における動力伝達ケーブルのシール装置。
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